運営者
Bitlet
姉妹サービス
kokalog - 国会
yonalog - 47都道府県議会
nisalog - 東京23区議会
serelog - 政令指定都市議会
hokkaidolog - 北海道内市区町村議会
aomorilog - 青森県内市区町村議会
iwatelog - 岩手県内市区町村議会
miyagilog - 宮城県内市区町村議会
akitalog - 秋田県内市区町村議会
yamagatalog - 山形県内市区町村議会
fukushimalog - 福島県内市区町村議会
ibarakilog - 茨城県内市区町村議会
tochigilog - 栃木県内市区町村議会
gunmalog - 群馬県内市区町村議会
saitamalog - 埼玉県内市区町村議会
chibalog - 千葉県内市区町村議会
tokyolog - 東京都内市区町村議会
kanagawalog - 神奈川県内市区町村議会
nigatalog - 新潟県内市区町村議会
toyamalog - 富山県内市区町村議会
ishikawalog - 石川県内市区町村議会
fukuilog - 福井県内市区町村議会
yamanashilog - 山梨県内市区町村議会
naganolog - 長野県内市区町村議会
gifulog - 岐阜県内市区町村議会
sizuokalog - 静岡県内市区町村議会
aichilog - 愛知県内市区町村議会
mielog - 三重県内市区町村議会
shigalog - 滋賀県内市区町村議会
kyotolog - 京都府内市区町村議会
osakalog - 大阪府内市区町村議会
hyogolog - 兵庫県内市区町村議会
naralog - 奈良県内市区町村議会
wakayamalog - 和歌山県内市区町村議会
tottorilog - 鳥取県内市区町村議会
shimanelog - 島根県内市区町村議会
okayamalog - 岡山県内市区町村議会
hiroshimalog - 広島県内市区町村議会
yamaguchilog - 山口県内市区町村議会
tokushimalog - 徳島県内市区町村議会
kagawalog - 香川県内市区町村議会
ehimelog - 愛媛県内市区町村議会
kochilog - 高知県内市区町村議会
fukuokalog - 福岡県内市区町村議会
sagalog - 佐賀県内市区町村議会
nagasakilog - 長崎県内市区町村議会
kumamotolog - 熊本県内市区町村議会
oitalog - 大分県内市区町村議会
miyazakilog - 宮崎県内市区町村議会
kagoshimalog - 鹿児島県内市区町村議会
okinawalog - 沖縄県内市区町村議会
使い方
FAQ
このサイトについて
|
login
×
kokalog - 国会議事録検索
1947-09-17 第1回国会 参議院 労働委員会 第4号
公式Web版
会議録情報
0
付託事件
○
職業安定法案
(
内閣送付
) ○
勞働基
準法の
適用除外規定設定
に關 する陳情(第二百五十二號) ○
失業手當法案
(
内閣送付
) ○
失業保險法案
(
内閣送付
)
—————————————
委員
の異動 八月二十九日議長において、本
委員
を 左の通り選定した。
紅露
みつ君
—————————————
昭和
二十二年九月十七日(水曜日) 午前十時四十二分
開會
—————————————
本日の
會議
に付した
事件
○
職業安定法案
—————————————
原虎一
1
○
委員長
(
原虎一
君)
只今
から
開會
いたします。その前にお断りいたしますが、私ちよつとのつぴきならん
面會人
が來ておりますので、その
間代つて議事
を進めて頂きたいと思いまするが、
理事
の方にどなたかお願いしたいと思いますが如何ですか。
原虎一
2
○
委員長
(
原虎一
君) それでは
栗山
さんに
一つ
お願いいたします。
栗山良夫
3
○
理事
(
栗山良夫
君) それでは
委員長
がお見えになりますまで、皆さんの御承認を得まして
代理
を勤めさせて頂きたいと思います。一般的な御
質問
は先般來の
委員會
で一應の形がついておるわけでございますが、この
法案
に對する
全般
的な、
内容
的な
説明
を
政府委員
からお聽きいたしたいと思いますが、如何でございましようか、よろしうございますか。
栗山良夫
4
○
理事
(
栗山良夫
君) それではどうぞ、
政府委員
。
上山顯
5
○
政府委員
(
上山顯
君) 時間が遅れまして誠に
申譯
ございません。
職業安定法
の
提案
の
趣旨竝びに
大體の
構想
につきましては先に
米窪大臣
から御
説明
申した次第でございますが、尚それに補足いたしまして大體の
趣旨
を主なる
條項
につきまして御
説明
申上げたいと思います。 先ず第一章
總則
、第
一條法律
の
目的
でございますが、
提案理由
でも御
説明
いたしましたように、今までの
職業紹介
、殊に戰時中の
職業幹旋
につきましては御承知の
徴用等
の手段を伴いましての非常な強權的な
勞務配置
というような色彩が強かつたわけでございます。それで今囘の
安定法
におきましては、そういう今までの
やり方
を全然改めまして、
各人
にその能力に
適當
な
職業
に就く
機會
を與えるということを
目標
といたしまして、できるだけ
各人
の
意思
を尊重いたしましてや
つて
參りたいと
考え
ております。と同時に
日本
の
經濟再建
のために必要な工業その他
重要産業
への必要な
勞働力
を滿たして參るということを
考え
て行く、かように
考え
ておるのであります。 第
二條
は、
憲法
第二十
二條
の
精神
を繰返しまして、何人も、
公共
の福祉に反しない限りは、
職業
の自由を持
つて
おることを明らかにした次第でございます。第三條では、これも
憲法
の
精神
に則りまして、人種、
國籍
、
信條
、性別、
社會的身分
、門地、從前の
職業
、
勞働組合
の
組合員
であること等を
理由
としましての
差別待遇
がありませんように
規定
したのでございまして、こういう
趣旨
のことは
勞働基
準
法等
にも
規定
されておる通りでございます。而してこの第三條の
規定
としましては、「
職業紹介
、
職業補導等
について」とございまして、
職業紹介
、
職業補導等
を行います
機關
に對して
法律
的な義務を課しておるわけでございます。從いまして雇い入れる方としましては、そういう大
方針
の
原則
に從うという道徳的、
社會的義務
はありまするが、嚴格に男女同じように雇わなければならんというような制度はないのでございまして、
適當
に男を採用し、女を採用するということもできるのでございます。但し書にあります點は、そういう性質のものでありますので、
勞働組合法
の
規定
によ
つて
、
雇傭主
と
勞働組合
との間に締結されました勞働協約でも別段の
規定
を決めております場合には差別的なような扱いになりましても、この第三條の違反にはならないのだということを明らかにしておるのでございます。第四條は、
安定法
によりまして
政府
の行う
事業
を速記してございまして、それの尚詳しいようなことについては後程いろいろ
規定
しておるわけでございます。その中で、或いは特に御
説明
を要するかと存じまするのは、第四條の第一號に、
國民
の
勞働力
の
需要供給
の適正な
調整
を圖るというような事柄があるわけでございます。それでこれは非常に大きな
意味
におきましても、こういう
需要供給
の
調整
を圖るための計畫が必要だと存じまするし、更に進みましては、相當長期に亙りましての
國民
の
勞働力
の
需要供給
の計畫ということも必要かと存じます。それであとの方につきましては、これは寧ろ
安本等
がやりますことが一層
適當
かと存じますが、
日本
の
經濟再建
の
全般
の計畫と睨み合せまして、
勞務需給
につきましてもそういう長期な計畫も必要だと思うのでございまして、私たちといたしましてもいろいろ資料を集めて
研究
はいたしておる次第であります。 それから第
五條
は定義でございますが、特に御
説明
する必要がありません。 第二章に、
政府
の行いますところの
職業紹介
、
職業指導
及び
職業補導
について
規定
をしてございます。その中第一節は通則でありまして、特に機構でございますとか、その他
全般
に關することが
規定
してあるわけでございます。それでこの點はすでに
提案理由
でも御
説明
いたしたのでございますが、
職業行政
というような
仕事
は、
府縣ごと
の
區域
によりまして別々の
行政
を行いますことが
適當
でない
種類
のものでございまして、人の
動き
を
對象
にする
仕事
でありますから、而してその人の
動き
が
府縣
の
區域
等には拘わらないわけでありますので、從いましてそういう人の
動き
を
對象
とします
職業行政
としましては、
府縣知事
に全部やらすという
建前
ではございませずに、どうしてもこれは國が統轄をするという必要がありまして、
公共職業安定所
としましては、これは國の
機關
ということに
なつ
ておるわけでございます。併し一方
職業行政
というものは、いろいろ
府縣等
の
地方團體
の
行政
とも密接な
關係
がございますので、單に國の
機關一本
でや
つて
行くという
建前
ではございませずに、
府縣知事
が
指揮監督
をするということにいたしまして、
府縣知事
との繋がりを密接にや
つて
參るという
趣旨
で進んでおります。この點につきましては、實は立案の途中の案としましては、ブロツクを單位といたしまして
職業安定事務局
というような仕組を
考え
まして、
勞働省職業安定事務局
、それから
職業安定所
というふうに、國の
機關一本
でや
つて
參るというような
構想
も一時あつたのでございますが、今申したような
府縣行政
との密接な
連繁
ということを
考え
まして、全然國の
機關一本槍
でやるということは
適當
でなかろうという結論に到達したのでありまして、途中に
府縣
の知事さんを煩わすという
やり方
を
考え
ておるわけでございます。ただこの第六條の第二項に
職業安定事務所
というのがあります。併しこれは今申したような非常に強力な
職業安定事務局
という、今までの
構想
しておりましたようなものとは違いまして、非常にこの現業的な
連絡機關
として
職業安定事務所
を
考え
ておるのでございます。即ち二以上の
都道
府縣
に亙ります
業務
の
連絡
に當らすというような點につきましては、私達今
具體的
に
考え
ておりますことは、東京、
横濱
を
中心
としました
南關東
につきまして、學問上の熟語を使えば
勞働市場といつて
もよろしいと思いますが、
勞働市場
という
言葉
が耳障りだというようなことも
考え
まして、後に出て參りますが、
勞働需給區域
というような
言葉
を使
つて
おるのでございますが、とにかくそういう
府縣
を超えましての人の
流れ
があるわけでございます。
南關東
の
勞働市場區域
、その他
阪神地方
、それから
中京地方
、
山口縣
の一部をも含めましたところの
北九州關門地方
、こういう
地方
につきまして、
府縣
を超えましての勞務の
流れ
を
調整
いたしますために、
連絡機關
としましての
職業安定事務所
を設置いたしたいと
考え
ております。
具體的
に申しますと、
府縣
の
範圍
を越えまして求人、
就職
の
申込み
の
カード交換
というような
仕事
をやりたいと
考え
ておるのであります。そういうことが
職業安定事務所
の
目標
の
一つ
でございます。
只今具體的
に
職業安定事務所
を設けたいと思
つて
おりますのは、そういうことだけでございますが、尚
法律
の上におきましては、
技術
に關する
事務
について
府縣知事
に
指示
若しくは
助言
をするということもできることに
なつ
ておりまして、例えば
職業指導
でございますとか、
職業補導
というような
技術
的な
行政部門
につきまして、今のところ各
府縣
になかなか專門家を揃えることができないので、そういうのを
本省
の方の者が駐在をいたしまして、二
府縣
以上の
職員
につきまして、
技術
に關する
指示
、
助言
をするということにいたすことも、
法律
の上ではできることに
なつ
ているのでございます。それで第
七條
の點に、
都道
府縣知事
としましては、
勞働大臣
の
指揮監督
を受けまして、
公共職業安定所
の
業務
の
連絡統一
に關する
事務
を
掌つて
、
公共職業安定所長
を
指揮監督
するというような
規定
があるのでございます。それから第
八條
は、
公共職業安定所
の
規定
でございまして、「
無料
で
公共
に奉仕する
公共職業安定所
を設置する」ということが
規定
されているのでございます。
公共職業安定所
という
言葉
は實はこの四月から使
つて
いるのでございまして、
内容
の
中心
は
職業紹介機關
でございますので、あつさり
職業紹介所
という名前ではどうかということも
考え
られたのでございますが、從來の
職業紹介機關
につきまと
つて
おりますところの
既成概念
、そういう因習を一擲いたしまして、眞に
公共
にサービスをする
機關
という
趣旨
をはつきりいたしたい
意味
で、聞きなれない
言葉
ではございますが、
公共職業安定所
という
言葉
を使つたような次第でございます。それで
公共職業安定所
は
勞働大臣
の管理に屬しまして、これは直接國の
機關
ということに
なつ
ております。それから第九條に、
職員
の任用その他人事についての
規定
がございます。これら
安定機關
に從事します者については、できるだけその
仕事
になれました者を長く勤めさしたいというような
考え
からいたしまして、資格、要件その他について、
規定
いたしているのでございます。と申しましても、全然
外部
から人を入れないとか、
外部
への轉出を認めないとかいう
趣旨
じやございませずに、人の出入は認めるのでございますが、できるだけ安定さして
仕事
に從事さしたい、こういう
趣旨
でございます。それで第九條の第二項に「その意に反して、
職業安定機關以外
の
機關
の職に轉じさせることはないものとする」という
規定
がございますが、これは今申した
趣旨
で、その意に反しては轉じさせないというように
規定
してございますが、
本人
の希望によ
つて
轉ずることもございますし、又
行政整理
でございますとか、
懲戒等
のために迭りますことは、勿論前提にいたしているのでございます。それから第九條の第三項に、任命の
手續
のことがございますが、
只今
と變
つて
いる點を申上げますと、
只今都道
府縣
におります者は、これは
地方事務官
ということになりまして、
身分
としましては内務省が握
つて
いるということに
なつ
ておりましたのを、全部
勞働大臣
が
身分
を握るということにいたした點が
一つ
でございます。もう
一つ
は、
公共職業安定所
の者につきましては、これは國の
機關
でありまして、
勞働事務官
ということに
なつ
ておりますので、それについては、
只今
までは三級官でも全部
本省
へ參るということにいたしておりますのを、
事務簡捷
と、成る
たけ都道
府縣知事
の
地位
を認めようという
考え
からいたしまして、三級官は
都道
府縣知事
に委すことにして、二級官のみ
勞働大臣
が
自分
で任命するというように
なつ
ておるのであります。第十條、第十
一條
に「
公共職業安定所
の
業務
を補助させるために
連絡
委員
なり、又
市町村長
を煩わすということが書いてございます。第十
二條
に
職業行政
につきまして
業務
の
實情
に應じ、又できるだけ
關係
者の
意思
を反映さして運營いたしたいというつもりで、
職業安定委員會
というものを設けることに
なつ
ております。これは各種の段階がございまして、
中央
にもございますし、
都道
府縣
にもございますし、それから
府縣
を超えましても、先刻申上げましたような
勞働市場
を管轄いたしますような
委員會
もございます。それから
安定所
を
區域
といたしますような小さい
區域
の
委員會
も置くことに
なつ
ております。そうしてこれは
諮問機關
という性格ではございますが、十
二條
にこまごま
規定
いたしておりますように、度々
會議
をもう開き、どうかいたしますと今までの
委員會
がほんのときどき會合を開きます有名無實に過ぎない弊を改めまして、眞に實質的な御相談の
機關
といたしたいと思うのでございます。尚これの
委員
につきましては、
勞働者
を代表する者、
雇用主
を代表する者、公益を代表する者を以てこれを組織するということにいたしまして、
勞働者
を代表する者、
雇用主
を代表する者はおのおの同數とするということに相成
つて
おります。途中省略いたしまして、第十六條以下に
職業紹介
の
規定
がございます。十六條、十
七條等
については特に御
説明
は要らないかと存じます。ただこの十
七條
の三項に「特殊な
業務
に對する
求職者
の適否を決定するため
心要
があると認めるときは、試問及び技能の
檢査
を行うことができる。」ということが書いてございます。それから關連しますから申上げますと、後の二十三條に
適性檢査
というような
規定
もございます。それで今後の
職業行政
といたしましては、今まではややともいたしますと大雜把な
職業
の斡旋というようなことがございましたのを、もつと科學的と申しまするか、
本人
の
性能等
を十分
檢査
いたしました眞に適職に斡旋するというふうに努力いたしたいつもりでございます。第十九條の
職業紹介
の
原則
の
規定
でございますが、そのうち第二項に「
公共職業安定所
は、
求職者
に對し、できるだけその住所又は居所の變更を必要としない
就職先
に、これを紹介するように努めなければならない。」という
規定
がございます。これは後に
勞働者募集
のところにも出て參りまして、第三十九條に
募集地域
の
原則
といたしまして、同じような
趣旨
からして「
勞働者
の
募集
を行わうとする者は、通常通勤することができる
地域
から、
勞働者
を
募集
し、その
地域
から、
勞働者
を
募集
することが困難なときは、その
地域
に近接する
地域
から、
勞働者
を
募集
するように努めなければならない。」という
規定
がございます。これらの
規定
の
趣旨
といたしますところは、外の
條件
が均しくて事情が許すならば、なるたけ
自分
の家から通勤ができるというようなところへ
就職
するのが最も望ましい、
雇用關係
の
民主化
の點からも望ましい、こういう
方針
でこういう
原則
が掲げられておるのであります。從いまして今後の
工場
の
建設等
につきましては、こういう
方針
も
一つ
の大きな要素に
考え
て貰いまして、
工場
の立地を決めて貰いたいと思うのであります。ただ現状におきましては、こういうことに拘わらず現に
工場
は建設されておるわけでございます。尚今後におきましても、
工場
の
種類等
によりまして、どうしても餘所から人を雇わなければならんというような場合も出て來るかとも思うのであります。從いまして
原則
としましてはできるだけこういう
方針
によりたいと思
つて
おりますが、これの
運用
に當りましては
實情
に即しまして彈力性を以て
運用
して參りたいと思
つて
おるのでございます。この點につきましてはこの
委員會
で前にもいろいろ御
質問
がございましてお答もいたした點でございます。それから第二十條に
爭議行爲
に對する不介入の
規定
がございます。即ち
公共職業安定所
としましては
勞働爭議
のありました場合に勞資のいずれにも偏らない中立の立場を維持いたしするために、現に
爭議行爲
の發生しておりますことが明かな
業務
の
部門
なり、又は
爭議行爲
の發生する虞れがありますことが明かな
業務
の
部門
には
求職者
を紹介しないということに
なつ
ております。ただその
業務
の
部門
が
爭議
が發生していない、又
爭議
が發生する虞れがないという
部門
でありました場合には、
求職者
をあつ旋してもよろしい。但しその場合にはその
業務
につきましては他の
部門
において
爭議行爲
が發生しておるということを文書によ
つて
通告しなければならない、かような
規定
に相成
つて
おるのでございます。第二十
二條
以下に
職業指導
に關する
規定
がございます。それから第二十六條以下に
職業補導
に關する
規定
がございます。この邊につきましては特に御
説明
は要らないかと存じます。 第三章は、
政府
以外の者の
職業紹介
、
勞働者
の
募集
及び
勞働者供給事業
でございまして、第三十
二條
以下に
規定
があるのでございます。先ず三十
二條
の
有料
、
營利
の
職業紹介事業
でございますが、これは現在の
職業紹介法
におきましては
原則
的に
有料
、
營利職業紹介事業
というのは禁止しておるのでございまして、ただ
職業紹介法
が
施行當時
にこういう
仕事
をや
つて
おりました者が過渡的に
仕事
をやりますことのみが認められてあつたわけでありますが、今
囘安定法
ができるにつきましては、こういう大
方針
は
國際勞働總會等
でも決ま
つて
おる
方針
でありまして、その
方針
に則りまして、
有料
又は
營利
を
目的
とする
職業紹介事業
は
原則
としてはや
つて
はいけないということにいたしておるのでございます。ただ美術、
音樂
、演藝その他の特別の
技術
を必要とする
職業
に從事する者の
職業
のあつ旋につきましては、むしろ一般の
職業紹介機關
がやりますことは効果が少いだろうというので、そういうものに限りまして
職業紹介事業
を
行つて
もよろしいということにいたしております。但しこの場合には
勞働大臣
が
豫め中央職業安定委員會
に
諮問
をいたしますとか、又
許可
の
有効期間
を一年といたしますとか、そういう
規定
を設けまして、
弊害
の生じないように
萬般
の氣を使
つて
おるわけでございます。第三十三條は
無料
の
職業紹介
を行わうとする場合についての
規定
でございまして、これも現在におきましては經過的に現にや
つて
おりますものを認めておりますのみで、
原則
的には
無料
の
職業紹介事業
も禁止されておるわけなんでございますが、ところがこれらにつきましては十分の
監督
を行いますれば、必ずしも
弊害
があるものとも限りませんので、今囘の
安定法
では
勞働大臣
の
許可
を受けることを
條件
といたしまして、
無料
の
職業紹介事業
を認めておるのでございます。但しこれにつきましても、
安定委員會
に對する
諮問
でございますとか、
有効期間
二年というような
制限規定
を設けておるのでございます。それから第三十
五條
以下に
勞働者募集
の
規定
がございます。
勞働者募集
につきましては、
現行
の
紹介法
でもいろいろ
規定
があるのでございますが、大體それによ
つて
おりますが、しかし
弊害
がないものと
考え
られますようなものにつきましては、
現行
の
紹介法
よりもむしろ自由にいたしておる面もあるのでございます。特に御
説明
する必要はないかと思います。第三十九條の
募集地域
の
原則
につきましては、前に觸れた點でございます。それから第四十四條に
勞務者供給事業
についての
規定
があるのでございます。
勞務供者給事業
については、
只今
の
職業紹介法
ではこういう
事業
を認めておるのでございますが、但し最近におきましてはそういう
仕事
は全然
許可
をしない
方針
にいたしておりまして、殊に
進駐軍關係
の
仕事
につきましては、
昭和
二十年十月から以降は
勞働者供給事業
を全然認めないことにして、現にや
つて
參
つて
おるのでございます。それで
勞働者供給事業
につきましては、どういたしましても所属いたしておる
勞働者
に對しましての
支配關係
というようなものが伴いまして、
雇用關係
の
民主化
の點から申しまして、いろいろ
弊害
がありますので、今
囘安定法
によりましては、
勞働者供給事業
を
全般
的に一應禁止をするという
方針
をと
つて
おるのでありまして、ただ例外といたしましまして
勞働組合法
による
勞働組合
が
勞働大臣
の
許可
を受けました場合のみは、
勞働者供給事業
を行うことができるということにいたしておるのでございます。それで
只今關係業者
も二千數百ございまするし、これに從事いたしておりますところの
勞働者
の數も七、八萬に上
つて
おりますので、これが禁止されます場合には相當の影響がありますことが
考え
られるのでございます。但し私達といたしましては、こういう
方針
がとられるだろうということは今まで
業者
には洩らしておりまして、いろいろ
對策
も
考え
させておりますし、尚
本法施行
後三ヶ月間は猶豫を設けておりますので、その間に
善後措置
を構じさせたいというつもりでありますが、大體のこれに對する
對策
の
方針
としましては、先ず第一番目にはこれらの
勞務供給業
が供給いたしておりますのは、
工場
の雜役、
人夫等
が相當多いのであります。それでそういうものにつきましてはできます限りは、
工場等
の
常用
に直して貰いたいということを
考え
ております。それから第二にはこの
法律
で認められておりまするような
組合法
による
組合
を作らしまして、自主的に
勞働者供給事業
を行わして行くということを
考え
ております。それから第三といたしましては國の
職業安定機關
を活用いたしまして、今まで
供給業者
がや
つて
おりましたような機能を
安定機關
にやらしたいということを
考え
ております。それから第四番目としまして、こういうことがあろうかと思
つて
おります。それはこの
勞務供給業
を營んでおります者が同時に本業若しくは兼業として
請負事業
を營んでおるようなものがあります。その
請負事業
の
常用
として雇われるというようなこともあり得るということを
考え
ておるます。 それから第四章は雜則でありまして、一々の
規定
は必要ないかと思いますが、若干問題があると思いますのは、五十六條以下に
都道
府縣知事
に對する
監督
の
規定
があります。それで
都道
府縣知事
としましては、これは
地方自治法
によりまして、
自治體
の
首長
であるという一面を持
つて
おりますと共に、國の
行政機關
であるという一面があるわけでございます。それで國の
行政機關
としてこの
安定法
においてもいろいろの
職權
があるわけでございますが、そういう
職權
を守らなかつた場合の
是正
の
規定
が必要に
なつ
て參るわけでございます。それでここにありますのは、
本法
に基いての
命令
とか處分に違反したと認められます場合について、
都道
府縣知事
に對しまして、
是正命令
を出すことができる。更に五十
七條
におきましては、
都道
府縣知事
が
是正
しないときには、
高等裁判所
に對しまして
都道
府縣知事
に對して
是正命令
を出して貰いたいという請求ができる。更に五十
八條
におきまして、それでも尚
都道
府縣知事
が
是正
いたさないときには代
執行
ができるという、そういう
趣旨
の
規定
ができておるわけであります。それでこの點についてはいろいろ私達の間でも
研究
をいたした點でございますが、特に
都道
府縣知事
が國の
行政機關
たる面がございます以上、國の
行政機關
として
中央
の
命令
なり法令の現定に從わない場合には
是正
する必要があるのでございまして、何らかの
規定
を設けますことは、どうしても必要だと思うのであります。ただこの
都道
府縣知事
が同時に
自治體
の
首長
であるという
地位
に鑑みまして、その
手續
はできるだけ愼重にしなければならん。こういう
趣旨
からいたしまして、五十六條以下にありますような若干
煩雜
だと或いは御覧になりますような
規定
せ設けたわけであります。尚これの
適用
につきましては、できるだけ代
執行
でございますから、そういうような
手數
が起りませんように、
運用
上には十二分の注意をいたしたい
考え
でございます。大體以上を以ちまして、主だ
つた規定
の御
説明
といたします。
栗山良夫
6
○
理事
(
栗山良夫
君) 本案の
内容
につきまして、逐條的に要點の御
説明
を頂いたわけでありますが、丁度先程から
委員長
がお歸に
なつ
ておりますので、私はここで
代理
の責を解いて頂きたいと思います。
原虎一
7
○
委員長
(
原虎一
君) 失禮いたしました。
只今説明
を聞きましたのですが、直ちに
質問
に入りたいと思いますが、總括的
質問
を先きに願いますか、それとも章を
逐つて
や
つた方
がよろしうございますか。
姫井伊介
8
○
姫井伊介
君 章を
逐つて
おやりになれば、第一章で
總則
があれば從
つて
總括的な
質問
も出ましようし、章を
逐つて
お進め願いたいと思います。
原虎一
9
○
委員長
(
原虎一
君) それでは章を
逐つて
質問
いたすことにいたしたいと思います。第一章から
質問
を願うことにいたします。
姫井伊介
10
○
姫井伊介
君 第三條の「
信條
」とありますのは、これは思想上若しくは宗教上のあれは信念とか信仰とかいうことの
意味
なんでございましようか、この「
信條
」の意義をお尋ねいたします。 その次に第三條の三行目でありますが、この「
雇用主
」という文字の使い方でありますが、
勞働基
準法には
使用者
とあつたと思います。
雇用主
ということを私は
使用者
もいけないが、むしろ雇用者とい
つた方
が非常に穏やかな感じがするのではないか。主ということ、これに對應いたしますことは被用者ということに
なつ
ております。用いられる者ということは先にありますが、
一つ
は主ということ、
一つ
は者ということにやはり對立的な觀念が隠されて行くのでありまして、私は主というのはこれは訂正せられて
使用者
という
言葉
を使つたのが妥當ではないかと
考え
るのであります。尚この但し書におきまして、
勞働組合
が何かの
仕事
を引受ける場合があるかどうか。若し勞働協約などにおきまして、或る
一つ
の
事業
を引受けたといたしました時に、今度は
勞働組合
が雇主になる場合が
考え
られる。その時には矢張り
勞働組合
を雇用者と
考え
て行くことがあるかどうか、この
關係
をお尋ねいたします。第四條におきまして、
業務
が列記してありますが、この
職員
に對する五十
二條
の教養ということは無論でありますが、更に
求職者
に對する或る
職業指導
、又は補導とありますが、その中には當然
精神
的な指導と言いましようか、
精神
的な指導が行われることを現わす必要はなかろうか。餘りにこれは錯雜としたものでありまして、實際の
安定所
等に聽きますると、ただ
仕事
の選り食い、或いはそれに對する報酬賃金の如何によ
つて
取引的に
考え
られておる。今日の
日本
經濟再建
の上から勞働、勤勞の重要性を
考え
て行きまするならば、もう少し勤勞者に對しましても、取引觀念から離れてやはり尊い信念の持主であるという立場からいたしまして、その
職業
を尊重し、勤勞を勵んで行くという點につきましては、やはり指導者側におきまして、
一つ
のヒントを與える。親切な指導を與えるという部面が非常に必要だと思うのであります。私はそういうふうな方面をやはり加えて指導させる必要はなかろうかということを
考え
るのであります。それの第七項におきまして、失業手當若しくは失業保險、これは
本人
のみに給付されるものでありますから、若し多くの家族を持
つて
おる場合に、それのみによ
つて
はやはりや
つて
行けないこの
職業補導
を受けて行かれない。これはやはりいろいろそういう
關係
はあるのでありまして、補導を受けたいけれども、生活に苦しんでその餘裕がない。こういう場合には生活保護法というものが、更にその上に超過して操作されるべきものでありますかどうか、これをお尋ねいたします。 尚
言葉
の文字でありますが、第四條の第三號でありますか、「あつ旋」とあります。先にも或いは編さんと假名が使
つて
おりますが、これは漢字制限の上で、從
つて
そう
なつ
たかと存じますが、併しこれはやはりどうも分りにくいのでありまして、止むを得ざるこういうものはやはり漢字をお使い下さることが
適當
ではないかと思います。以上でございます。
上山顯
11
○
政府委員
(
上山顯
君) お答え申上げます。第三條の
信條
とございますのは、これは外の
法律
にもいろいろこういう點がございますので、宗教的の
信條
なり、政治的の信念のことでございまして、例えばキリスト教徒でございますとか、或いは特定の政當に属するとか、そういう場合が
信條
でございます。それから
雇用主
をむしろ雇用者と改めてはどうかという御意見でございますが、これは特に深くこの點實は檢討をいたしておりませんが、今までも又丁度御審議を願います失業保險におきましても
事業
主と、主という
言葉
を使
つて
おります。どちらがいいかにつきましてはいろいろ御意見があるかと存じますが、一應長年の常例に從
つて
使つた次第であります。 それから第三條の但書の點でございますが、ここで
規定
しておりまする
意味
は例えば勞働協約でこの
組合
の者は採用しないとか、或いは採用するとか、そういう勞働協約がありました場合は、勿論勞働協約に從いまして
雇用主
が採用することは差支ないのだ、これだけのことを
規定
したわけでございまして、御
質問
のような場合は、實はこの
規定
では豫想して
規定
した次第ではないのでございます。 それから
職業指導
の點でございますが、これは第
五條
に
職業指導
の定義も掲げてございますが、
本法
で
職業指導
として用いておりまする
意味
は、主としてこの定義に掲げてありますような、その
本人
に
適當
な
職業
の選擇を容易にさせ、及びその
職業
に對する適應性を大ならしめるために必要な實習、
指示
、
助言
その他の指導を行うというのが
職業指導
でございますが、併し
只今
御
質問
にございましたように、
職業
についての觀念を適正しますためにいろいろの宣傳と申しますか、啓蒙と申しますか、そういうことをいたしますことは、お説の通り非常に必要なことだと思
つて
おりまして、
安定所
としましてはそういう
仕事
に今まで努力いたしたつもりでございますが、今後そういう方面に一層努力するつもりでございます。 それから失業保險と生活保護法との
關係
でございますが、これは近く失業保險法、手當法を御審議を願いますときに、更にいろいろ御
説明
をいたしたいと存じますが、失業保險としましては標準報酬というものを基準にして、それの何パーセントの保險金というような
規定
の仕方に
なつ
ておるのでございます。その標準報酬の中に家族手當も入れたつもりでございますので、若干家族數等も考慮されますが、併しとにかく結論といたしまして失業保險金だけでは生活ができないという場合もあり得ると存じますが、そういう場合についてその者が更に生活保護法の
條件
に適いました場合は、カバーするような
意味
では、生活保護法の給付を受け得ることもあり得ますことを申上げたいと存じます。 それから「あつ旋」の「あつ」という字が假名でございますことは誠に見にくい。私達も好きではないのでございますが、これはまあこういう
方針
で當用漢字のみを使うことに
なつ
ておりますので、止むを得ずこんなふうに
なつ
ておるわけであります。
原虎一
12
○
委員長
(
原虎一
君) 第一章につきまして、その他御
質問
はありませんか。
深川タマヱ
13
○深川タマヱ君
只今
もくろんでおります
職業安定所
は
本人
が自發的に
職業安定所
へ職を求めに賓た人のみを
對象
にいたしまして、その人について能力本位に、そうしてその人の
意思
を尊重して
適當
な職に就かしむる機構に
なつ
ておりますけれども、
只今
の
日本
の
實情
は本當に
職業安定所
へ職を求めて行かない人だ
つて
、
職業安定所
へ
行つて
少少の月給ぐらい貰
つて
もあまりいい暮しもできないからというので、闇その外不健全な
仕事
によ
つて
渡世をして行こうという
考え
の人が大變多いので、そのために
日本
を暗くしておることが非常に多いと思いますので、
職業安定所
の
精神
をもう一歩突き進めまして、國家が本當に
國民
の生活を保護する
目的
から、
各人
の家庭の生活の
實情
を調査いたしまして、この頃でありましたら自由引出し貯金がどのくらいあ
つて
、そこの家族のおのおのがどういう
職業
に就いて、どのくらい收入があるか、これならば眞面目に暮して行ける見込の立つ人はそれでいいけれども、これだけの
就職
の状態では家族が眞面目に暮らして行けない實状にある場合は、それは國家がもつと平渉を加えて、もつと
適當
な職に就かしむるということも必要だし、又世帶持ちが非常に下手であ
つて
、もつと上手に切り盛りしたら暮らしがよくできて、よくしない人もありますが……、それに知識を與えて、更にもう一歩突き進んで、
職業安定所
から家庭の中に入り込んで
行つて
、
職業
の世話をするということは、今の
日本
では大切であると思います。少し脱線しておるかも知れませんけれども……。
米窪滿亮
14
○國務大臣(米窪滿亮君) お答えします。理想を言うと深川さんのおつしやる通りで、そこまで參れば痒いところに手が届くようになるのですが、現状ではなかなか豫算の
關係
及び
職業
安定局の人員の
關係
でなかなか參らないことがございますが、前段でお尋ねの今日
職業安定所
へ
職業
の求職に行く者は比較的少い。その原因としては、そこで紹介をして貰
つて
就職
して得る收入よりももつと多い、即ち闇の方に行くのであるからという點については同感でございます。併しこれは過日
政府
が發表しました緊急經濟
對策
が、計畫通り軌道に乘
つて
參りまして、即ち流通秩序の確立が實現して參りますというと、いわゆる闇がなく
なつ
て來ますから、我々はそこでいわゆる失
業者
が出て來るのではないか、こういう工合に
考え
ておるのであります。昨年度の
求職者
が實は二百二十萬人登録されておつたのに對して、求人の方が三百萬を超えておる、約八十萬ばかり計數としては多いのです。そこでいわゆる就業が成立した者が百三十萬、こういう状態でございますから、この數字は勿論昨年度の特別な數字であ
つて
、これで今後の見通しはつかんと思いますが、我々としては尚未だ
職業紹介所
において就業の
機會
を與え得る希望がある。もつと工夫をこらして、或いはもつと
職業安定所
の政治力を強大化して行けばあるのではないかと
考え
ております。大體
職業安定法
を今議會に上程したのもそういつた
意味
から來ておる、こういつた點を御了承願いたいと思います。
小川久義
15
○小川久義君 實はこの
職業安定法案
の概念からしますと、安定した
事業
があ
つて
職業
を安定するということが
原則
のようでありますが、近頃の
事業
はどの
事業
も不安定であります。この不安定な
事業
の上に
職業
の安定のみ
考え
られんのであります。休會中に富山へ歸
つて
おりまして
工場
を二つ程調べて見ましたが、立山重工業の如きはすでに成り立たない。何放成り立たんか。不二越の會社もそうでありますが、千人でできる
仕事
に大體二千人、二千五百人の職工を擁しておる。そうして最低生活を保障しろというて皆千六百圓を要求し、二千三百圓を要求しておる。この現状では
事業
が成り立たん。そこの所へ
職業
をこの
法律
によ
つて
安定するというのは
考え
られんと思いますが、根本の
事業
の安定ということをまず先におやりに
なつ
て、然る後
職業
の安定……、むづかしい
法律
なんか作らなくても
職業
の安定は十分生れて來るのじやないか、かように
考え
ますが、大臣の御所信を伺いたいと思います。
米窪滿亮
16
○國務大臣(米窪滿亮君) お尋ねの點は、
本法
の
職業
安定という、その安定という
言葉
も相當お尋ねの點と關連があるように
考え
ておりますが、これはそう深い
意味
があるのではないのでありまして、これはやはり
職業紹介法
が新
憲法
の
精神
に基きまして、いわゆる
職業
の選擇を誰人もなすことができるという、あの
憲法
の
精神
を實に化する
意味
において從來の
職業紹介法
の不備の點を補
つて
行くためにこの
法律
ができたのでございまして、名前はただ
職業
安定とこうしたと私は
考え
ておるのであります。勿論そういつた文字の解釋を離れましては、
事業
が安定しなければ
就職
の
機會
が少くなるだろうというお尋ねについては同感でございます。併し
事業
の安定を圖るということが濟んでからこの
法律
をや
つて
もいいじやないかということは私は賛成できないのでありまして、現に失業
對策
が相當現下は重大な問題で、多くの失
業者
が出ることが豫想されるのであります。これはやはり
事業
が如何に安定するかということも必要であるが、例えば産業合理化をやるためにはやはり企業の合理化、更に引續いて企業の整備ということも、
一つ
の企業内においてものの配置轉換を
行つて
、なるべくその企業内において失
業者
をなくす。どうしてもその企業で失
業者
を整理吸收することができないときは、他の企業の方へこれを配置轉換をする、こういつた工合で段々とこの需給の
關係
は
一つ
の企業から離れて國家的な
事業
に
なつ
て行く傾向にあるのでありまして、從
つて
この
意味
において國がこの失業問題を處理することがまず第一著手で、
就職
の
機會
をなるたけ多く作るということが必要である。勿論御指摘のような點においては
事業
が甚だ不安定であることは現下の經濟段階においてこれは私共認めまするが、さればとい
つて
政府
が手を拱いておるわけにも行かない。
政府
はそれに對して
公共
事業
を起すとか、或は電源の開發をやるとか、或いは輸出産業の振興を圖るとか、こういうことによ
つて
そういうことを處理しなければならないのであります。この點においてもやはり
職業紹介
も必要であるとこういう工合に
考え
ております。
山田節男
17
○山田節男君 これは總側の第
一條
から第
五條
までのこのバランスの問題ですが、第
一條
にはいわゆる
職業
安定の
法律
の
目的
ということを謳
つて
おりますが、これはやはり
憲法
の第二十
五條
には、いわゆる
國民
は健康にして文化的な最低限度を保障してある。それから基準法の第
一條
に、例の勞働
條件
は、あくまで人たるに値する生活を保障するものでなければならん。そういうことを謳
つて
おる。そうしてこの
總則
の第
二條
には、いはゆる
憲法
の二十
二條
でありましたか、いわゆる
職業
の選擇の自由ということを謳
つて
ある。そういうことを見ますと、やはりこの第
一條
の中か、或いは更に第
一條
に、いわゆるこの
職業
安定のために行う
職業紹介
ということは、結局これは雇用の安定というばかりでなくて、
一つ
の生活の保障、從
つて
生活
安定所
で行いまする
職業
の斡旋ということに關する
一つ
の
條件
というものは、いわゆる雇用
條件
、
勞働者
にとりましての雇用
條件
というものは、これはやはり基準法の第
一條
、
憲法
の第二十
五條
に附随した
規定
を必ず設けなければならん。殊にこれはイギリスにおいてでありますが、これは失業保險とも
關係
がある。
職業安定所
で失業保險を扱うということになれば、これは尚更必要と思いますが、要するに失業した者が求職する場合に、今まで
自分
の受けていた賃銀より以下の場合に、これを拒絶しても、これを拒否した場合にも、失業保險の給付を受ける。それを受けるに
關係
しない。これは可なり
職業安定所
の失業保險
條件
につきましての大きな問題であります。確か十六條だつたと思いますが、この
安定所
では勞働時間、その他の勞働
條件
が、通常の勞働
條件
と比べて、著じるしく不
適當
であると認めるときは、その
申込み
を受理しないことができる。これはいわゆる雇用者に對しての問題でありまするが、併し
總則
において、今の
憲法
、基準法、これとこの
總則
の第
二條
とを有機的に連關するために、第
一條
の中に、やはり從來
自分
が受けておつた從來の賃銀に劣らない率の賃銀、或いは勞働
條件
でや
つて
行くことを、
條件
を當然設けられるべきじやないかと思うのであります。とかく從來の
職業紹介事業
、或いは現在すでに行
なつ
ておる
職業安定所
、勞働
安定所
を見ましても、
仕事
がないのだからと言
つて
、贅澤を言うな、賃銀は多少少くともよかろう、働かなくちやならんということを可なり我々は窺い得るのでありますが、これはやがて低賃銀、いわゆる失
業者
が多くなれば、失
業者
のいわゆる競爭というものによ
つて
賃銀が低下する。延いては組織
勞働者
に對しても、非常なる脅威を感ずる。これは歐米各國ですでに長い間經驗したことでありまして、今
職業安定法
を作るについては、第
一條
に必ずこの文句を入れて貰いたい。これは決して社會主義的の文句ではなくて、
日本
の
憲法
、
勞働基
準法から申せば、當然の
精神
であると思います。
一つ
この點について大臣の御意見を承りたいと思います。尚私としては、第
一條
に必ずこれは謳うべきものである。かように私は
考え
ております。
米窪滿亮
18
○國務大臣(米窪滿亮君) 山田さんのお尋ねであり、且つ御意見である點は、
憲法
の二十
五條
と基準法の
一條
、そして
本法
との關連性において、いわゆる一人々々の人間として、文化的な生活をなし得る價値のある待遇を受ける權利というようなことを
本法
で現わしたらどうかということである。こういうようなことでありますが、すでに
憲法
でも決めてありまするし、
勞働基
準法でこの點がはつきりしておる。これを承けて來て第
一條
に
目的
の所で書いてあるのでありまして、これはこの今日の
日本
のレイバー・マーケツトは、非常に狭いのであり、從
つて
本人
の意向によ
つて
は、今までの給料よりは、或いは今までの勞働
條件
よりも惡く
なつ
ても、時間のアンバランスのこの
關係
においては、少くとも勞働
條件
が惡く
なつ
ても、働く
意思
を持
つて
いる人に對しては、
法律
によ
つて
これを保護するということは、これは却
つて
本人
のためでないかということを
考え
る。そういうことをここに明文化すると、從來の勞働
條件
よりも惡く
なつ
たとか、從來の賃金よりも安いことについては、
本人
が望んでも、これは
就職
を斡旋することができない、こういう窮屈な解釋が當然起
つて
來る。これは自由に、
本人
の
意思
によ
つて
は、この勞働
條件
が從來より惡くつでも、
職業安定所
が斡旋ができるようにした方が、却
つて
本人
の自由
意思
を尊重することになるという
意味
で、こういうことを書かなかつたのであります。
山田節男
19
○山田節男君 今の大臣のお
言葉
は、これは自由黨の人ならば、これは私は非常にそりあると思いますけれども、少くとも社會黨の大臣としてそういうことを言われることは誠に意外と思いますが、併しこれは今おつしやつたお
言葉
から言うと、
職業安定所
、或いは勞働
安定所
というものが、從來の社會
事業
的な、慈善
事業
的な、僕はやはり
一つ
の殘滓があるのではないか。これは最も恐るべきことでありまして、これはああいうような勞働保險法、それから
勞働基
準法、こういうもののバランスから
考え
ましても、今大臣がおつしやつたような、そういうような、そういう御意見では僕は非常に不滿であります。私はこの
職業安定所
に厄介になるべき者は、今後は相當
勞働組合
員であつた者も出ましようが、これは主として未組織の者、未組織
勞働者
は一般に弱いのです。そういうことになれば、先程おつしやつたように、安い賃金でも働かなければならない、
本人
はそれを喜ぶ。又それは急場だからしようがない。又
日本
として敗戰經濟の危機にあるから少々我慢してもやらなければならん。なんでもやらなければならん、耐之生活だからしなければならん。その理窟は立ちますけれども、併し今の
憲法
の
建前
から言
つて
もそういうことで、いわゆる
日本
人にあり勝ちな、いわゆる常織的な、或いは奮時代の慈善
事業
的な立場におきまして、これも非常に危險である。殊に今
憲法
、基準法にあること 十分これで、それを前提としてやるんだから、そういう危險はないかとおつしやるけれどもそれならばなぜ第
二條
に、「
公共
の福祉に反しない限り、
職業
の自由の選擇」ということを揚げる必要がありますか、それは私が申上げたように、この立法
技術
から申しましても、第
一條
と第
二條
、これは
憲法
のいわゆる勞働權と申しますか、生存權と申しますか、これとのバランスがとれていない、これを私は申上げた、少くとも、この中に、この第
一條
にございます通り、「
各人
に、その有する能力に
適當
な
職業
に就く
機會
を與えることによ
つて
、工業その他の産業に必要な
勞働力
を充足し、以て
職業
の安定を圖るとともに、經濟の與隆に寄與することを
目的
とする。」でありますから、これにもう一項目、なんと言いますか、先程申上げました、勞働
條件
著しく不良なような職を與えちまいかん、そういう自由競爭、自由經濟式なことをさせないということを一方謳
つて
頂くか、さもないならば、第
二條
とのバランスをとるために、それじや第
一條
にそういうことを謳われたらどうか。立法上、この
法律
の安定りの第
二條
とのバランスからも、實は私は是非そうして頂くのが當然じやないかと思います。そういう點については如何でございますか。
米窪滿亮
20
○國務大臣(米窪滿亮君) 山田さんのお
言葉
は心外であります。私は苟くも社會黨の黨員であ
つて
、決して自由經濟論者じやない、私の申上げたのは、或いはお聞き違いに
なつ
たかと思いますが、すでに十六條において求人を申込む者が、
本人
が從來
就職
しておつた
條件
よりも惡い
條件
でしてはいけないということを決めてある、又第
二條
に
職業
の選擇ができるということにしてあるのであります。併しそれと同時に
本人
の
意思
によ
つて
、
自分
が今までこれだけの給料を貰
つて
おつた、今までの勞働
條件
はこうである。併しいろいろマーケツトの事情から見て、今までと同じ
條件
では到底
自分
は雇われるチヤンスがないというときに、法文において、今までの勞働
條件
を下げるような
條件
では雇うことはできないということは、決して
本人
のために不親切ではないというので、
本人
が今までの勞働
條件
より以上に、今までの賃金より多いことを望むことは、何ら妨げておらない、私はそういうことをしてはいけないということを申上げるのではない、
本人
の自由
意思
を尊重せしめるという
意味
においてここに敢えて書かない方がよいのではないか、書けば、却
つて
勞働
條件
が安くてもよい。惡くてもよいということを拘束してしまうというならば、現下の需給
關係
が非常に窮窟なとこにおいて、ますます失
業者
が多くなるのではないか、こういうふうに申上げたに過ぎないのであります。
山田節男
21
○山田節男君 今の
米窪大臣
にも多少誤解があると思いますが、要するに
職業
安定というものは、ここにございまする通りに、
一つ
の紹介
事業
をやりますと同時に、
職業補導
をやり、指導をやる、殊に補導をすることによ
つて
その
職業
に就く、
就職
の
機會
を作るということをここに謳
つて
ある。そういう
意味
からいたしまして、私は
憲法
に保障された
國民
の勞働權、而も最低生活の……それからそれによ
つて
基準としまする
勞働基
準法、それと竝んで、
一つ
の勞働省の
職業
安定局の主要事項、これは有機的に一貫性を持たせなければならん、或る程私は先程申上げましたように、十六條には、「通常の勞働
條件
に比べて、著しく不
適當
である」場合には、これより低い時にはこれを受理しないことがある、こういうことで十分妨げるということを申しておりますけれども、少なくともこの
安定法
の第一章は
總則
であります。
一つ
の
精神
であります。たとえ抽象的であろうとも、そこに一項目入れることによ
つて
、その最後に、第六條に謳う……私は今大臣のその點の御
説明
だけでは、殊に昨今のように失
業者
が非常に殖える、企業整備その他によりまして非常に失
業者
が殖えるという點におきまして、これは當然勞働の供給が需要にオーバーするということは明らかな事實であります。從
つて
これは低賃金ということに、必らずそうなるべきであります。殊に
日本
のように、たとえ組織勞働に
なつ
ておりましても、そういう危險はありますが、こういうものが
安定所
へ參ります無組織のものは、非常にその點不利になるという點が多分にあると思います。この点について私は十分
一つ
御
研究
を願いたいと思います。
上山顯
22
○
政府委員
(
上山顯
君)
只今
山田さんからお尋ねになりました點、近く御審議を頂きます失業保險法の給付の制限の
規定
と非常に關聯がございますので、先刻の大臣の答辯を補足いたしまして一言申上げたいのであります。それで私たち
職業安定機關
に携わ
つて
おる者といたしましては、
就職
斡旋に當りましては、勿論
本人
の前職なり、
本人
の從來の報酬なり、そういう點を極力、
考え
まして、できるだけ
適當
な
職業
を斡旋したいと努力をいたしますことは當然でございまして、そのために失業保險制度におきましても、保險法の第二十
一條
でございますが、受給資格者が
職業安定所
の紹介する
職業
に就くことを拒みました場合には、保險金の支給はしないという
規定
がございますが、それに對する但し書といたしまして、紹介されました
職業
が、「受給資格者の能力から見て不
適當
と認められ」ますような場合には、これは拒んでもよろしい、その他正當な
理由
があるときには拒んでもよろしいという、そういうような
規定
があるのでございます。それで實はこの失業保險法のこの
規定
につきましてもいろいろ議論がございまして、
只今
の
日本
の經濟状態から申しますと、「受給資格者の能力からみて不
適當
と認められるとき。」というような
規定
は甘過ぎるのではないか、それは却
つて
職業
の轉換を遲らせるのだから、むしろ受給資格者の能力から見て變え得られないようなもののみを拒み得る正當な
理由
として
規定
した方がよいのではないかという意見があつたのでありますが、私たちとしては、それは被保險者に對して酷に失するであろうというので、「受給資格者の能力からみて不
適當
と認められるとき。」という
規定
にいたしまして
提案
をいたしておるようなわけでございます。從いまして極力
適當
な
職業
を斡旋することは當然でございまして、そのためにあらゆる努力をいたすのでありますが、ただ
日本
の今の經濟事情から申しますと、今まで通りの前職、今まで通りの報酬ということでは必らずしも職が得られない場合があり得ると思うのでございます。尤もこの報酬の點につきましては、物價が非常に騰
つて
、賃金が上
つて
おるということを前提にすれば別でございますが、一應その場合にその點をコンスタントに
考え
ます場合には、場合によ
つて
は今までの
職業
でない違つた
職業
、又今までの報酬よりは違う低い報酬でも、場合によ
つて
は
就職
を斡旋しなければ
適當
な
職業
があり得ないという場合もあり得るのではないかと
考え
られるのであります。從いまして
職業紹介機關
の心構え、努力の
目標
といたしましては、極力前職に劣らない賃金ということに努力いたして斡旋いたすのでございますが、場合によりまして若干低い
仕事
でも、
本人
も承知し
適當
な
仕事
でありますれば、斡旋してもよいのではないか、こういう
考え
でございます。ただ併しその賃金自體が、同種の
地域
、同種の
職業
内容
、同種の技能でありますものの賃金に比べまして、即ち賃金の一般水準に比べまして、その賃金自體が低いということにつきましては、いろいろ基準
法等
の最低賃金のような
規定
でございますが、そういうことによりまして賃金水準を
適當
なところまでは引上げまして、生活の安定を圖るということは勿論必要だと存じますが、併し個々の人につきましては場合によ
つて
は賃金が低くなりましても、むしろ
就職
して貰う方が、殊に
本人
が希望する場合には
就職
して貰う方がいいのではないかというような場合があり得るのではないか、こんな氣持でおるようなわけであります。それから第
一條
の字句につきましては、字句の表現でございますから、いろいろ御意見はあると存じますが、「その有する能力に
適當
な
職業
に就く
機會
を與える」、そうして
職業
の安定を圖る、こういう
言葉
によりまして、できるだけ前職を考慮するし、收入についてもできるだけ今までの收入に近いものが得られる、或いはそれ以上のものが得られるということにも努力いたすということが現われておるのではないかと思うのでございまして、假りに非常に今までの收入とはかけ離れたような、又
本人
の前職とはかけ離れまして全然や
つて
いけないような
仕事
がございますならば、その能力に
適當
な
職業
に就く
機會
を與えられる、又
職業
の安定を圖るというような表現は恐らく
適當
ではないと思うのでありまして、私たちといたしましては、第
一條
のこれらの字句によりまして、山田さんの仰しやつたような氣持は現わし得ておるつもりで
規定
いたしましたような次第であります。
山田節男
23
○山田節男君 今ので大體分りました。併しこれから出されます失業保險、それからこの
職業安定法
にいたしましても、これはやはり私は多分に十九世紀的ないわゆる社會政策的な要素が含まれておる。殊に今から出します
失業保險法案
なるものを見ると、可なり社會政策的なものがあ
つて
今日においてはすでに社會保障、ソーシヤル・セキユーリテイーで行こう、アメリカなりイギリスなりでや
つて
おるのでありますが、イギリスで今度改正されました失業保險、それからアメリカの社會保障法の中の失業保險からいいましても、これは間もなく社會保障的な概念による社會立法に變るのじやないか、そういうことも聞いております。そういう點から見ましても、私はこの
總則
の點は餘程
考え
て頂きたいと、少ししつこいようでありますが、申上げる次第であります。それから尚又
職業安定所
は例の失業保險
行政
と非常に密接な關連が、例えばイギリスの例を見ましても、本當に職を探しておるのだ、いわゆるゼニユインリー・シーキング・ワーク、これが非常に問題に
なつ
て勞働黨がこれを廢止させたが、要するにそれがないと、社會
行政
が慈善
行政
に
なつ
て、いわゆる濫救の
弊害
に陷りやすいのであります。併しながらそれを又防がんがために、本當に
仕事
を探しておるのだということを證明するために、
日本
でいえば
職業安定所
へ
行つて
、二度、三度來いということになりまして、そして今の勞働
條件
、今の上山局長の
説明
で若し末端の
行政
がやればよろしうございますけれども、これは今日はレーバー・マーケツトが供給が非常に過大に
なつ
ておる現状から見て非常にむづかしい、耐乏生活固よりこれは我々覺悟するところであるけれども、未熟な者、不熟練工、殊に海外から引揚げた者、復員者、こういつたような者が非常にレーバー・マーケツトにあふれるというようなことになりますと、團體交渉も何にもない、
職業安定所
が
雇用主
に對して團體交渉的な、十六條があると仰しやるけれども、これは少くとも私は社會主義的といわれるかも知らないけれども、これはしつこいようですけれども、
自分
が失業以前にや
つて
おつた待遇よりか、何と申しますか、待遇よりか惡くない
條件
、私はむしろそういうような文句を入れてこの
總則
なり或いは今の十六條において調節されて行くのが妥當じやないかと、私はしつこいようですが主張しておるのであります。
米窪滿亮
24
○國務大臣(米窪滿亮君) その點は重大ですから私も一言申上げたいのですが、それは前の
職業
より著しく
條件
が惡い場合に、たとえ
本人
がそれを承知の上で
就職
の斡旋を願い出ても、これは
職業安定所
の實務に携わる者がこれをチエツクすべきであるという意見は、私は一應うなずけるのであります。併し今日のように、山田さんが仰しやつたように、サプライとデマンドが非常なアンバランスである場合において、失業状態を續けるよりも、少しは勞働
條件
が惡くても當面の
自分
の生活の危機を救わんためには、少しは
條件
は惡くても
就職
した方がいいという
意思
がある場合には、それを法文の上において、この前の勞働
條件
より少し惡くてもいけないということによ
つて
縛るということは、この
二條
のいわゆる自由に
職業
の選擇ができるという
精神
と背馳するのだ、こういうことも
考え
られるのであります。この點は私はノーマルな經濟状態である場合には、それはそういうのでございますけれども、今日の
日本
のレーバー・マーケツトの
實情
から見て、餘り窮屈にそういうものを入れると、却
つて
第
二條
の自由なる選擇ができなくなると同時に、又現實的にはむしろそういうことによ
つて
失
業者
をいつまでも失
業者
たらしめるということに陷るのじやないか、いわゆる最低賃金の
原則
というものができれば、これは一方において
勞働基
準法に最低賃金を決めることが明記してあります。最低賃金を
勞働基
準法によ
つて
設ければ、強いてここで前の
條件
より惡くないようにというような文句をそれほど強く入れることを主張する必要はないのじやないか、こういうふうに
考え
ておりまして、勞働
條件
の維持改善については非常に進んだ
規定
が
勞働基
準法では決められてはいます。又不日、最低賃金制も採用しなければならないというような状態に立到
つて
いるわけでございますから、その勞働
條件
に關する詳しいことまで、
職業安定法
に強いて書き入れなければならないという御主張につきましては、もう一遍御再考願いたいと
考え
ております。
栗山良夫
25
○
栗山良夫
君 一般
質問
で或いはこの
機會
が
適當
でないのかも知れませんが、一應重大な點でありますので
勞働大臣
にお尋ねしたいと思います。先程
勞働大臣
のお
言葉
の中で、企業整備その他によ
つて
失
業者
が相當出ることを覺悟しなければならない、こういうようなお話があつたようでありますが、私は現在の經濟情勢を見ますと、いわゆる企
業者
の間には、企業整備即人員整理だというような
考え
方が
一つ
の社會の輿論化するような運動にまで段々發展しつつあるように私は見るのであります。そうして實際問題といたしまして、企業整備で若干の人員整理を行う場合に、必要以上に多數の人が整理されるような危險性を多分に包藏していると私は思うのであります。ここで現在の
職業
安定は、こういうような立派な
法律
を作りまして動かそうといたしましても、なかなか動かないのでありまして、やはり現在就いている人、この人を少くともその職に留めるというようなことをすること自體が、すでに大きな
職業
安定方策であろうと私は
考え
ますが、こんなことは今更申上げるまでもないことでありますけれども、どうも
只今
の情勢を見ておりますると、そういうような
一つ
の
考え
方を現實化し、そうして輿論化して行こうというような
動き
が見られるように感じまするので、この點について新らしく發足された勞働省のとられるべき今後の積極的な方策というものについて、一應お
考え
を伺
つて
置きたい。先程深川
委員
からも極めて堀下げたところの御
質問
がありましたが、要するにそういうような根本的な問題を取上げないで置きましては、結局、職場の安定の見通しを得ないでは、到底こういうような
法律
案ができましても、ただ單なる
一つ
の空文化する虞れがある、或いは散發的な失業の
安定機關
に終るというようなことが多分に懸念されますので、積極的な
職業
安定の方策というものについての見解をもう一度お聽きしたいと思います。
米窪滿亮
26
○國務大臣(米窪滿亮君) 私はこの失業保險法を國會に上程したときに、特に力を入れてこういうことを私の所信を發表したのですが、それは失業保險法、失業手當法を實施するということを前提としていわゆる人員整理、早くいえば首きりをしてよろしいというような解釋を若し持つならば、重大なる誤りである、これは嚴に戒めなければならん、決してそれと不可分の問題として失業保險法を出すものでないということを力説したのであります。今日の
日本
の經濟状態は
昭和
九年から十一年當時の
日本
の生産に比べて、三分の一に生産能力が落ちておることは御承知の通りであります。從
つて
生産増強を圖る
意味
においては、
勞働者
の生産性向上を圖らなければならないことはいうまでもないのでありますが、同時に私は企業面における無駄を省い、てそうして企業の合理化をするということが、産業合理化の前提になるのではないかと
考え
ております。企業の合理化ということは、直ちに企業整理で首をきらなければならぬ、いわゆる人間が餘
つて
おるという、ただその
一つ
の點だけに歸納するということは間違
つて
おると
考え
るのであります。先ず經營者側の經營面の合理化を圖らなければならぬ。それにはアンチ・トラスト法であるとか、經濟力集中排除法というようなやかましい
法律
が最近できるので、これによ
つて
企業の合理化が妨げられる點が多分にあると思いますけれども、尚且つこの枠内においても、從來の
日本
の企業自體が合理化される餘地が十分にあると私は
考え
ております。例えていいますならば、例の戰時補償打切によ
つて
、企業の面においても或いは經理の面においても非常な清算を要求されておるに拘わらず、今日においていわゆる會社の帳簿價格を水膨れさして、なんら整理されておらないということは、すでに御承知の通りであります。こういつた放漫なる經營をや
つて
おるようであ
つて
は、生産が起らないことの重大な原因はそこから出て來るのじやないかと思うのです。從
つて
いわゆる經營の合理化ということが、先ず最初に取上げられなければならない。そうしてそれをやつた後においても、尚且つそこに使われておる人間が過剩である場合において、初めて企業整理が行われる、この企業整理を行なうときにも、企業内においていろいろな
部門
が存在する場合においては、多い
部門
から足りない
部門
へいわゆる勞務の配置轉換を行い得る剩裕が若しあれば行う、どうしてもそこで行い得ないときに、初めて國家が乘り出して
行つて
、失業
對策
を講すべきである。こういうふうに私は
考え
ておるのでございまして、この
意味
において更に徹底して行くべきであるとするならば、深川さんのいわれたように各家庭にまで入り込んで
行つて
、その生活事情を調べてそうして國家がやらなければならぬのですが、これは先程私が申上げた通りこれについては相當の金が要りまするし、相當の人間が要ることに
なつ
て、到底今日の
日本
の財政では、又今日の段階では、そういう方法の
職業紹介
はできない
實情
にあるということを申上げて置く次第であります。
深川タマヱ
27
○深川タマヱ君 これはただ單に
勞働大臣
だけの管轄の問題でなくて、商工省などとも關連の深い問題かと存じますけれども、
只今
栗山
さんが全體問題について
質問
なさいましたので、私もちよつと關連してお尋ねいたしますが、
只今
日本
では傾斜生産が行われておりまして、どうしてもここから犠牲産業を拵えて、そこからの失
業者
を出すのをもくろまれておるようでありますけれども、それによ
つて
失業した人間に、二箇月間くらいは、その家族の人數がいくら多くても、大體千圓くらいな失業手當金を與えて、その間に運好く職があつたら職に就かせる
方針
のようでざいますけれども、私達
國民
の一人でも生活に困
つて
ゐる人がある間は、私たちの努力の足りないところと思
つて
、できるだけ
國民
が仕合せに暮らして行くことを念頭に置いておる者としては、非常に不安に感じております。今日は職に就いてお
つて
もなかなか暮らして行けない時代でありますのに、主人公が失業して、一箇月に千圓そこらの手當金をもら
つて
、職にありつけるのやらありつけないのやら分らない人が澤山できるといたしますと、家族の心配は並大體ではございません。この頃の失業というのは、本當に職の切れ目は命の切れ目でありますので、うつかりすると一生涯浮かび上がれないかも知れないような状態でございますので、私は
日本
の今日は資材を食い潰してしま
つて
後の傾斜生産でありますから、なかなかそれが効果を現わしますまでには時間がかか
つて
、その間犠牲産業が耐えられない事情にありますから、私はこれ以上傾斜生産の角度をできるだけ大きくして、厖大な失
業者
を出すという方法は餘り芳ばしいことでないのであ
つて
、貿易も再開されたことであるから、できるだけ貿易によ
つて
機械とか食糧などを輸入することによ
つて
、
日本
の經濟復興を助けるようにして、餘り失
業者
を出さないようにするのが
一つ
、もう
一つ
は、これは全然出さないということは勿論できません。犠牲産業の方でも今までのように厖大な過剩人員を擁していたのでは、生産費が嵩んで、貿易が再開されても到底輸出は利きません。それから又このまま爲替レートが決ま
つて
、世界の經濟と公式に結びつくようになりましたときには、
日本
の
事業
家の中でどしどし倒るれ者ができて一大パニツクを生ずる虞れが りますから、どうしてもこの際産業合理化をしなければなりませんけれども、現在もやはり首きります場合には、次にどうしても何人生きさすかという畑を十分に準備して置いておら、首きるというような親心がこの際坪常に大切だと思いますので、ちよつと私の立場から申上げましたのであります。
米窪滿亮
28
○國務大臣(米窪滿亮君) 深川さんの仰しやつた傾斜生産を強化すると犠牲産業が當然多くなる。いわゆる中小工業がいろいろな壓迫を受けて、そうして輸出産業は振興しないだろうという御懸念は同感であります。これは一勞働省の問題だけでなしに、一
職業安定法
の問題だけでなしに、内閣全體の問題でございまして、どの程度に傾斜生産の規模を保
つて
行くかということは、今後も重大な問題だと思いまするから、よく
關係
方面と協議をして、そうして餘りそれを強化しないように、失
業者
が澤山出ないように、今から準備して參りたい。こういう工合に
考え
ております。
原虎一
29
○
委員長
(
原虎一
君) この際お諮りいたしますが、時間は十二時十七分過ぎに
なつ
ております。本日午後一時から
政府
側では衆議院の方がやるそうでありまして、續行困難だと申しておりますが、明日續いてお願いすることができましようか。
原虎一
30
○
委員長
(
原虎一
君) 明日午前十時からでよろしうございますね。甚だ御多忙のところ恐縮でありますが、後に失業手當法と失業保險法が控えておりますので、これを早く切上げたいと思います。誠に恐縮でありますが、明日午前十時から引續いて
質問
いたしたいと思います。
赤松常子
31
○赤松常子君 ちよつと簡單に上山局長にお尋ねいたします。先程の御
説明
の中で勞務供給
事業
は、進駐軍の
關係
の方は現在はどう
なつ
ているのですか。
上山顯
32
○
政府委員
(
上山顯
君) 現在進駐軍は
職業紹介法
によりまして、勞務供給
事業
というものが認められておりますが、最近は新らしいものは全然
許可
をしない
方針
に
なつ
ております。即ち
進駐軍關係
の
仕事
については、
昭和
二十年十月以降勞務供給
事業
は廢止いたしております。
赤松常子
33
○赤松常子君 この點は私いろいろ
進駐軍關係
の
勞働者
から聞いておりますが、いろいろ組が入
つて
おりまして、それが健全な
勞働組合
の發達を阻害しているような状況を
進駐軍關係
の
勞働組合
から聞いております。そういう
實情
を
勞働組合
でも調査してくれるように聞いておりまするけれども、そちらからもそういう
實情
を御存じでいらつしやいましようか、どうでしようか。東京附近では澤山聞いておりますから
地方
でも随分多いのじやないかと思いますが。
上山顯
34
○
政府委員
(
上山顯
君)
進駐軍關係
につきましては全然認めてないわけでございますが、ただときどき類似の行爲をや
つて
おるような噂を聞きまして調べまして、嚴重に戒めておるような例もございます。私達も十分氣をつけておるつもりでございますが、若しもそういう事質がございますればお知らせ頂きまして尚、調べて見たいと思います。
原虎一
35
○
委員長
(
原虎一
君) 本日はこの程度で閉會いたしたいと思います。明日は午前十時から御足勞願います。どうも有難うございました。本日はこれにて散會いたします。 午後零時二十一分散會 出席者は左の通り。
委員長
原 虎一君
理事
堀 末治君 小川 久義君
栗山
良夫君
委員
赤松 常子君 山田 節男君 平岡 市三君 植竹 春彦君
紅露
みつ君 平野善治郎君 深川タマヱ君 奥 むめお君 早川 愼一君 姫井 伊介君 穗積眞六郎君 國務大臣 勞 働 大 臣 米窪 滿亮君
政府委員
厚生
事務
官 (
職業
安定局 長) 上山 顯君