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小野光洋君
前回の
分科会で御質問申上げて、その御
答弁に聊か我々として
納得のいかない点がありますから、もう一回その点について質したいと思います。それは初めに
講習会費の
追加予算十九万円の問題でありますが、これは実は昨日
千葉縣の
教育者の一部の集まりでございましたが参りまして、いろいろ六・三制の
実情ついて伺いました。そのとき一番困るのは勿論
建物、そうして
建物を整備するために
多額の
寄附を徴収せられておる。農村でも
最低が千円乃至千五百円、平均しますと五千円くらいの
寄附金を徴收せられておる。これを
文部省では今年中に是非やれというような
指令を出しておるという話だが、今年中に全部
新制中学を完成するなどということは、到底できない。そういうような
指令が出ておるものでしようかということが先ず第一に質問がありました。
それからもう
一つは今の
小学校及び
新制中学の
教員は、有資格の
教員が非常に足りないものだから、そこで間に合せの
先生が非常に多くて、殆ど何も知らないような
先生が、宜い加減のこ
とを言
つておる。しかも新
教育につい
ての
取扱方針というものが極めて不徹
底であ
つて、
先生は
教室で煙草を吸い
ながら勝手にやれということで、それ
が
自由主義の
教育であるという、これ
が
実情である。かような
教員に我々の
子弟を委せることができない何とか
この点について監督ができないものか
というようなことも言われました。
それらの点について六・三
制予算の
國庫負担が七億円に削られたというこ
とは甚だ遺憾でありますが、それと同時に
講習会費が十九万円の
追加予算で
できるかどうか。これはこの前にも質
問をいたしましたが、いろいろ
事情があ
つて通常予算において計上した六百数十万円の
予算がまだその儘残つでおる。これから始めるところだというような
お話でありましたが、これは
文部
省が折角取
つたところの
予算を実行す
るところの
実力を持たないということ
にな
つてしまう。こんな
実力のない
文部省にいくら
予算を計上してみたと
ろが、実効が挙らんじやないかということになるのであります。最も必要を
痛感されておる
教育の
実質内容に、しかも
應急措置としてやらなければならんことを痛感しておりながら、しかもそれができない。
通常予算が余
つておるから、現在その儘残
つておるから、十九万円の
追加予算で間に合うというような、そんな無責任な
答弁を甚だ遺憾至極だと思います。この点についてもう一
應立入つた説明を願いたい。
納得ができるようにして貰いたいと思います。
それから次に
育英会補助金の問題でありますが、第一に
育英会の
昭和二十二
年度の
貸付金額は九千九百万円、一億に足らない金であります。これの
貸付についての
事務費が
人件費その他を加えまして
追加予算と
通常予算を合計しますと千五百万円かあります。九千九百万円の
貸付に千五百万円の
事務費を要するということは何事であるか。そのくらい
沢山金が要るというならば
文部省予算の中におきましても、もつと
必要費目が沢山あると思います。例えば
文部省の
施設局の
予算というようなものは、この
追加予算で百三十四七八千円にな
つております。
教科書局の
予算は十万円にな
つております。
教科書の配給その他について、非常に澁滞を來しておるということはよくおわかりのことと思います。又
施設局の
仕事は、
新制中学を建設するとか、その外につきまして極めて重大な
仕事であり、
連絡をよくし、特に安本その他と
連絡を保ち、
地方の
資材と睨み合せてできるだけそれらのものを進展させるような手を打たなければならんと思うのであります。現在六・三
予算がつかえておる最も大きな原因は、
資材が整わないからだといわれております。その
資材を整えるのが、
文部省施設局の
仕事であろうと思う。それがかよう
少額な
追加予算で、それで事足りるのかどうか、而も九千九百万円の
貸付をするために、一千五百万円の
多額の
事務費を計上しておる。どう
考えて見てもこの間に釣合のとれない、何としても
育英会に対してのみさような
多額な金を出すということは、
納得の行かないものがあるのであります。尚その
内容について、この前の
分科会においての御
説明では、五百二十数名の
専任の
事務員が必要だ。それを千八百円べースに直すという
計算で、勢いそこに六百九十万円の
追加予算が計上せられたのである、こういうようなことを仰しや
つておられましたが、事実を調べて見ますると、それはそうではなくて、
実在人員として五百数十名居るのじやない、
地方の四百二十何名かという
人達は、これは
専任だけではなくて、兼任の
人達も居るのだというようなことで、ただ定員が幾らにな
つてお
つたかという、初めの
予定計画の
人数に千八百円
ベースを掛け合して、それで
予算を立
つておるというような杜撰な
予算のように了解せざるを得ないのであります。
人件費が、千二百円
ベース、千六百円
ベース、千八百円
ベース、これは当然に
インフレの助長と同時に進行して参るものでありますから、
予算を取るのには、一番
都合のいい
口実であります。
都合のいい
口実ですから、
大藏省をだまくらかすのに
都合がいいから、
人数をこれだけ居るのだというような
計算をするということは、甚だこれは不謹愼な
予算の立て方じやないかと思うのであります。かような点から
考えて行きますると、私共
文部予算に限らず、
官廳予算というものは、大体そういうごまかしの基礎の上に立
つておるのかというような誤解を生ずるのであります。恐らくそうではないかも知れませんが、この
一つを以つ掘下げて見ますると、すべてのものがそういうような起算の下に
予算が計上せられておるのではないか、やはり今澎湃として
待遇改善ということが叫ばれており、
人件費の土におんぶしてやれば
予算が取りやすいからというようなことで、
予算を立てられておるというようなことになると、
予算全体に対して我々はもう一度仔細に檢討し直さなければならんということになるのであります。この点甚だ遺憾でありますから、
十分納得の行くような御
説明を願いたいと思います。それから又根本的に九千九百万円の
貸付に対して、一千五百万円の
事務費を必要とするという
建前であります。かような
考え方が大体
官僚形式主義の
行き方ではないか。
もつと効果のある
方法が沢山あると思うのであります。我々は一面
予算委員であると同時に、
文教に
関係のある点におきまして
文教常任委員をいたしておる
文教関係者といたしまして、特に
文部予算を削ろうかとか、けちを付けようという考は毛頭ありません。できるならば
文部予算は、
國家予算の中における最も王座を占め、
日本の
文教再建に最も有効な
方法をと
つて頂きたいということを熱望して止まないのでありますが、
文部当局自体が、かような熱望に應えるに、余り杜撰な
予算を以てするならば、
大藏当局ならずとも、
文部予算について、もつと嚴重に檢討しろということに勢いな
つてしまうのぢやないか。又こういう脆弱な
予算ではなくして、本当に必要欠くべからざる
予算をもつと確実な根拠の下に要求して頂いたならば、
文部予算はもつと権威のある
予算になり絶対
文部省から提出された
予算は削るところがなく、一点の非の打ちどころがないというような
予算にな
つてこそ、我々としてあらゆる部面において
文部予算の増額を叫ぶことができるのであります。遺憾ながらかような
内容を含んでおるとするならば、私はその
勇氣を失うのであります。この点について甚だ遺憾に存ずるのでありますから、
文部当局から明快な御
答弁を願
つておきたいと思うのであります。