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國務大臣(
栗栖赳夫君) お答えいたします。丁度誠によい機会でございます。
新聞などにも、
地方では誤解を招いておる点もございますが、先ず今回の
追加予算で政府が百億円の補償打切等による補償を削つたことについて一應申上げたい。それから封鎖の見通し等について申上げたいと思います。
今
年度の本
予算におきましては、補償打切り等によりまして、金融機関が新勘定に入れました預金を、若し預金として見合うべき資産が損失を受ける場合には、百億円を限度として補償するということが約束され、百億円の補償が予定されてお
つたのであります。それに対する資産の見合いといたしましては、百億円の交付公債でもよいわけでございますけれども、前内閣において四十八億円余の公債の発行を認め、更に残りは普通一般の收入で以てこれを賄うような措置が執
つてあ
つたのであります。ところがその後における企業再建整備、金融機関の再建整備、経済力集中排除等の問題も出まして、進捗が非常に遅れて参
つたのでありまして、今
年度内にこれが処理をするということは、これは実は見通しが着かんことにな
つて、二十三
年度に廻ることにな
つたのであります。そこで二十二
年度の
予算の中に計上してありしました百億というものの政府補償は、これは落したわけであります。併しながら
地方などによりますと、それならば百億の補償は政府はもうしないという意味かというような誤解も招いておりますので、衆議院では一度
説明をいたしたのでございますが、この機会に御了承を得て置きたいと思うのであります。それは決して補償を打切つた意味じやありません。この
年度に補償を実行する見通しが着かんことになりましたので、二十三
年度にこれを見送つたわけでございまして、政府の背負
つております補償というものは、決してそれを棒引きにするというような考えはないのでございます。二十三
年度で企業再建整備、金融機関の再建整備の見通しと睨み合せて、更にこれを計上するようにいたしたいと思
つております。それから尚その中で、この補償をする場合、金融機関でありますが、金融機関の中には農業会が含まれておるのであります。農業会は過般の農業協同組合法によりまして協同組合ができます場合には、農業会は解散をいたしまして、そうしてこの協同組合へその資産その他を移行することにな
つておるのであります。それならば解散を
年度内にする場合において、補償の問題はどうなるかという点が残るのであります。ところが農業会の中でも補償打切りによ
つて新勘定と旧勘定に勘定を分ける。そういうふうに扱われるというものが生じておる場合におきましては、これは直ちに解散はしないで、そうしてこの企業再建整備その他の再建整備に従
つて処理して行く。損が出れば補償を立てる。そうして補償に上
つて預金者には迷惑を掛けない。こういうことにな
つておるのでありまして、それまでは特に解散はしなくて、そのまま存続するということにな
つておるのでありまして、これもやはり再建整備その他の手続が來
年度に廻わると思いますので、来
年度まで解散をしないで存続して処理を済まし、損が出た場合には百億の
範囲において補償を実行して、預金者には迷惑を掛けないようにして初めて解散をするということに相成るのでございます。
それから第一封鎖、第二封鎖の解除の問題でありますが、これは先程來申しましたように、金融機関の再建整備の進捗と見合
つて処理すべきものと考えるのでございます。併し自由預金と封鎖預金というものにつきましては、いつまでも区別をして取扱
つて置くということは、國民生活の上に、國民経済の上においても本来成るべく早く整理して、そういうような区別を立てないようにするということが必要であると考えておるのでありまして、そこでこの再建整備が完了し、或いは見通しがつき次第、この封鎖というものは、成るべく早く解除いたしまして、自由預金一本建にいたしたいと政府は考えておる次第でございます。併しながら
只今のどころでは、まだそういうように金融機関の再建整備が進まんために、止むを得ず両建でおるのでございます。併しこれは
只今も申上げましたように、成るべく再建整備を早く促進して、そうして両建でないように、自由預金の一本建になるようにいたしたいと考えております。尚貸出等につきましても、第一封鎖の貸出をいたしまして、自由円の貸出とういことは制限的にな
つたのでありますが、これも國民経済産業再建というような立場からいいまして、成るべく一本に、自由貸出という方面に、やはり日本の経済の再建が進捗するにつれて一本にして行きまして、そうして封鎖円の貸出ということは止めたいと考えておるのでございます。あらゆる機会においてこれが拡大に努めておるのでございまして、今回もすでに
新聞等で御案内のことと存じておりますが、貸出につきましても、自由円の貸出の
範囲を拡大いたしましたような次第でございます。