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國務大臣(
栗栖赳夫君) 木村委員の御
質問に対してお答えしたいと思います。二十三年度の
予算編成につきましては、近く閣議等に上ぼしまして決定をしたい、こういたしておるのでありまして、今
政府として決ま
つた方針はないのであります。決めようといたしておるのでありますが、併しその決めるにつきまして、
大藏大臣としての心組みをここで少し申上げてお答えといたしたいと思うのであります。
今木村委員からもお示しの
通り、この
追加予算はその筋との交渉で百日も掛かりまして、大変遅れた次第でありますが、とにかく前
内閣の本
予算に対して足らざるもの或いは新たに出ました
事情等のものに対する
予算を盛
つたような次第でございまして、いわゆる本
予算の延長であります。そこで能う限りの点におきましては、片山
内閣としての特質をも出すように、いろいろ努めたのでありますが、
財政需要の非常に大きな金額等の制約を受けるとか、或いは既に本
予算の制約を受けまして、十分できなか
つた点も多々あるのであります。併し二十三年度の
予算につきましては、これは全面的に片山
内閣の編成するものであり、そういう
意味においても十分
日本の現状及び将来への、
日本経済再建への計画等とも睨み合わせた
予算を盛りたい、そういう方針を持
つておるのであります。で、いろいろ
日本のベースについて考えますと、終戰以来二年余を大体経過いたしたのであります。併しこの
予算を見まして、本
予算は勿論のこと、
追加予算でも尚戰後應急処理の
財政的
措置を多分に含め、そこに
相当の重点を置いた
予算たらざるを得なか
つたのであります。併しながらこういうような
予算も危機を突破し、それが突破ができ得るについて、今度の本
予算と、二十三年度の
予算というようなものにつきましては、やはり先程申上げましたような長期計画というようなものも十分織り込みまして、むしろ
日本の
國民経済再建計画というようなところに重点を置いた
予算をも盛りたいと思うのであります。終戰処理その他戰後の應急処置の費用も、
相当段々減少することであり、その代わりには
企業の
再建整備とか、集中排除とかいうようなものによ
つて、民間の
企業機構その他をも脱皮して、新しい形をとらなければならず、それに應じて
政府の官業であるとか、或いは行政機構、そういうようなものも凡そ一新をした新しい形をとり得ると思いますから、それに即應する
予算を盛りたい。かように、
大藏大臣としては考えておる次第であります。それで片山
内閣として、いろいろ公約をしたところもありますし、それからこの二十三年度の
予算につきましては、すでに危機を突破することを目標としての
政策協定というものはございましたけれども、長期協定というようなものについては、新たに更に與党の意向などを纒めて、そうして十分その
政策を盛
つたところに即應する
予算といたしたい。かように考えておる次第であります。社会的文化的方面の
施設、或いは
産業振興、平和
産業の
振興への
施設というようなものも十分盛りたい、こう考えておる次第であります。
それから
産業とか、いろいろの新しい
日本の
再建への諸施策と、
財政政策というものは全く一連の
関係を持
つたものでありますので、綜合的にそれを考えてこれをやりたい。こういうことを、私強くここで申上げたいと思うのであります。それから租税
徴收の問題でありますが、これも片山
内閣が今年度の初めからできたのでなしに、中途からできまして、既に租税
徴收とかその他については、
予算その他の制約を受けない限りにおいて、機構の拡充とか、人員の
増加とか、その他について十分いたしておりますけれども、併し尚これは木村委員のお示しの
通り、十分でない点も多々あるのであります。そこで今度
追加予算ができますれば、費用その他についても、
相当大きな幅の
経費を、大きな税を
徴收する
ために費用が嵩むことは当然でありますから、思い切
つて盛
つたのであります。これによりまして更に機構拡充及びその
人件費等も
出して、十分
徴收の実を挙げたい。かように考える次第であります。この税の
徴收が遅れるとか、或いは不十分であるとか、それが
ために藏券で一時を賄うということにしなければ、度々申しますように、これ
日本銀行券の増発であり、インフレーションを激成するわけでありますから、この点は十分心得でやりたいと思うのであります。そこで租税防止の問題でありますが、これも今までの税制と違いまして、
申告制等をとりまして、
日本國民の間に十分趣旨が
徹底しない点もあり、普及しない点もあるのであります。それと共に、今度の税法改正でも、税法改正でも、一部採用したのでありますが、税組織を成るべく簡易にしまして、
國民が租税はいくらだということを直ぐわかるようにして、
徴收手続を簡単にするとともに、租税の算定その他をも簡明直截にして、十分趣旨を
徹底し、そうしてこの脱税等の防止に努めたいと思うのであります。脱税等をする悪質者を防ぐ
ために、処罰を厳重にするということは、すでに今回の税法改正で、その趣意を
徹底するようにいたしたのであります。なお税を
徴收しております。税の負担者ではありませんけれども、税を
徴收している、或いは入場税その他の税等、或いは源泉課税を
徴收しておる
徴收者が、その金を
徴收しなか
つた場合、或いは
徴收しても、他に流用した場合というような場合に対する制裁規定も十分なか
つたのでありますが、今回
財政金融委員会の方へお願いいたします改正の
法律には、その点の趣意を
はつきりいたしまして、十分悪質者には重罰にも処したいと考えておる次第であります。そうして従来大蔵省では悪質の脱税者にも刑罰の適用ということは殆どした例がないようですけれども、今回はそういう趣意は抛擲しまして、十分悪質の者に対しては、この刑罰の適用をもいたしたいと考えたのであります。すでに両三回も悪質の脱税者に対しては、非常な大きな追徴をし、又それを発表いたしておるような次第でございます。今後もそれを続け、更に悪質者には、体刑を以ても臨みたいようにも考えておる次第であります。そこでそういうふうにして、脱税の防止、それに対する制裁ということは、十分
徹底していたしたいと思いますけれども、なほ今後におきまして、そういうような点がなほ不
徹底な点がありますれば、木村委員のお説の
通りに、特別の立法というものも必要に應じては考えたい。かように考えておる次第でございます。それから税の問題について、今後の税制、殊に二十三年度の
予算は
相当大きな金額に上るのでありますが、その
收入はやはり税を大宗とするのでありまして、その税を
徴收するという点においては、或いは新税を考慮し、
財政税の如きものも考慮することが更に必要じやないかというのであります。これにつきましては、財産税を更に課するということは考えておりません。併しながら適当な他の新税等については、十分考慮いたし、そうして形式だけでなしに、実質的にも均衡を得た
予算を立てたいと、かように考えておる次第であります。それから長期の五ケ年計画と、こういうものについての、或いは長期計画というもの、
産業の計画というものについては、一環として
財政の長期計画を立てる必要ということをお述べにな
つておるのであります。私尤もだと思うのでありまして、これは既に二十三年度のものもその長期計画の
一つというように、部節というように考えて、編成をいたしたいと思うのであります。
財政ということが、
國民経済、
産業、そういう面には誠に密接な
関係を
持ち、その他
國民の生活の安定ということにも、誠に密接な
関係を持
つておるのであります。いずれにも長期的に考え、そうして長期的に綜合的に立て、綜合的に運営をし、実を收めたいと考える次第であります。
それから預金保險
制度の
お話があ
つたのであります。これは実は
政府としましては、
金融機関の
再建整備ということを急ぐことに相成るのであります。これはその他の
企業の
再建整備と共に急がなければならんのであります。
金融機関の
再建整備或いは集中排除等の
関係において非常に急ぐことになるのであります。併しそれ以外にも特殊
金融機関が沢山あるわけであります。
日本銀行、
復金というものはさて措きましても、勧業銀行、興業銀行或いは農林中央金庫、北拓、商工組合中央金庫、こういうような特設の機関が
相当あるのであります。これはやはりこの一連のものであります。平和
日本の
將來再建への指針ということにすれば、これを一緒にこの
制度をも考える、最も新しい最も時代に相應する
制度に変えて行こうというように考えておるのであります。これをどういうふうに整備するかどうかということはまだ
はつきり決まりませんけれども、この際成るべく速やかに建直し、
再建整備をいたしたいと思うのであります。
それから農林中金の下部機構にな
つております農業会あたりも、今度廃止になりまして、協同組合が生まれることになるのであります。そういうようなものについても、
地方の
金融機関についても、民衆と最も接する
金融機関につきましては十分改善、
再建整備ということをも
実行いたしたいと考えるのであります。そういうようなことを
実行した暁におきましては、預貯金に対する安全性というか、
保護ということを加えなければならんのであります。そこで預貯金の安全性の確保という
意味におきまして、預金保險
制度を採
つたらどうかと考えておるのであります。これは
只今研究中でありまして、そうしてその筋との交渉もいたしておりますがまだ成案を得るに至
つておりません。これはすでに今日までの預貯金というものは、今申上げましたように特殊
金融機関の
再建整備とかそういうものによ
つて、すべて
國民の預貯金というものは十分
保護するように整備をして行きますけれども、
將來に向
つて新たにできる
金融機関、これは銀行とか信託会社とかそういうもののみならず、下の協同組合とかその他或いは今度できるでありましようところの
國民に接することの最も多い下部の
金融機関というものの間においても、預貯金の安全を
保護するということが
貯蓄増強ということに非常に資するのでありますから、そういう
意味において、
將來に向
つての預金保險
制度をとりたいと思うのであります。その内容等については
只今研究しておるのでありまして、まだこうだというところにまだ至
つておりません。
それから物の報獎ということでありましたが、物の報獎附きという
お話でありましたが、これは預貯金の
貯蓄運動を展開いたしまして、現在も展開いたしておりますが、この年末を控えては、更にこの展開をいたしたいと思うのでありますが、これについては今無記名の預金とか、その他の預金もあるのでありますが、やはり物資の報獎附の預金をも始めさしたらどうであろうかというような考えを持
つておるのであります。そういう
意味においてこの分は当面の問題でありますが、
貯蓄増強に資することができるならばやりたい。かように考えて、衆議院の
委員会でそれを答弁したような次第でございます。