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1947-11-13 第1回国会 参議院 予算委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    付託事件昭和二十二年度一般會計豫算補正  (第七號)(内閣送付) ○昭和二十二年度一般會計豫算補正  (第八號)(内閣送付) ○昭和二十二年度特別會計豫算補正  (特第三號)(内閣送付) ———————————————— 昭和二十二年十一月十三日(木曜日)    午前十時三十一分開會   —————————————   本日の會議に付した事件昭和二十二年度一般會計豫算補正  (第七號) ○昭和二十二年度一般會計豫算補正  (第八號) ○昭和二十二年度特別會計豫算補正  (特第三號)   —————————————
  2. 櫻内辰郎

    ○委員長(櫻内辰郎君) 只今より委員會開會いたします。機能に引続き質疑を行いたいと存じます。石坂豊一君。
  3. 石坂豊一

    石坂豊一君 私は只今御出席下さいました経済安定本部長官に極く簡単に伺いたいと思います。今回の補正豫算は、現内閣の経論、抱負が織り込まれておる最大の我々は関係があものと考えますが、この編成に当りましては、御所管は大蔵省ではございますが、全くその実際においては安本長官推進力によつてできたものと私共は考えざるを得ないのであります。而して追加豫算最大理由は、本年度の既定豫算なるものは昨年の十月乃至今年の一月間における物価標準基礎として編成してあるが、その後新内閣ができて価格の改訂をせられた結果、給与に関しては千八百円ベースを抑えてそれが基となつておるようであります。他にも理由がありますが最大理由は、増額を求める理由はそこにある。それは各種の場合において長官から説明があつたのでありまするが、一応了承しておるのでありまするが、併しこれは單り官庁間においてこの豫算をそれで押えておりましても、一般民営事業に対してこれが徹底しなければ、遂に官庁間の基礎計算も動揺する虞れがあるものと私共は考えます。現に民間の方におきましては千八百円ベースはとうに破れまして、いろいろまちまちになつておりましようが、余程これを上回つております。最近においては、又それに加うるに越冬資金なども要求しておりますし、それが必ず官庁に移つてくることは必然の勢いである。私共今、別席において豫算の小委員會がございましたが、これは全く税務官吏待遇改善についてどうするかという相談があるのでありまして、それらの如きも実に机上堆をなすくらいな陳情書が来ております。読んでみますと大いに同情すべき点が甚だ多いのであります。而してそれらを取入れるといたしますと、多少本豫算の動揺を来す点がございまするので、この点に対して政府の確乎たる所信を伺つて置く必要があろうと私共考えます。安本長官はこれを豫算面において千八百円の基礎はどこまでも堅持するという御所信であることは当然でありますが、然らば政府の手の及ばない、豫算面に載つておらないところの民間の諸給与について、これをどういうふうにして操作して行かれまするか、その所信一つ先ず以て伺いたいのであります。
  4. 和田博雄

    国務大臣和田博雄君) お答えいたします。新しい物価体系を千八百円ベースで立てようといたしましたときに、民間事業に対しましては、能率の増進とか、或いは経営合理化をやつて、その改定された価格の下で増産を行なつて企業に余力が出た場合には、これは實收賃金が千八百円を越えても、この点については、政府はむしろそういう方向賃金生産増加伴つてつて来るということについては、これは賃金のストップではございませんから、抑えていなかつたわけであります。ところがその後各企業の何を見ますと、勿論千八百円の平均を上回つておりまするが、その原因は、これは資材値上がり、当然手持ち資材値上がり、これは価格差益金として国庫に納むべきもの労賃に渡しておる。或いは金融を受けたものを、資材が手持に入らないので、その間にその融通されたものを労賃の支払に充てるとか、いろいろな形で、いわば経営合理化そのものによつて實收賃金を上げたものも中にはありましようが、そうでないものもあるのであります。そこで我々としては、そうやつて民間企業基礎が何も確率しないのに、一部労働攻勢なり、何なりに襲われて、それで名目賃金だけを上げて行くという形はやはり望ましくありませんので、今後はこの企業監査ということをやろうと思つておるのであります。差当つてあの石炭につきましては、物価庁中心なりまして、原価監査というものをやつておりますが、まだ北海道その他は済んでおりませんが、そういうように物価庁だけでなくて、今後我々としては、或いは大蔵省、或いは商工省、そういうところの協力を得まして、やはりそこに経営の査察と言いますか、監査と申しましようか、そういうようなものをやはり政府としては十分やつて行つて、そうして企業そのもの合理化というものの健全化といつたようなことを推進して行つて物価体系は堅持して行く。こういう形で進んで行きたい。こう思つておるのであります。
  5. 石坂豊一

    石坂豊一君 この豫算遂行しまするのには、只今の御意見によりまして、政府としては相当配慮をなさつておるのでありまするが、その各會社等において、只今のように千八百円を上回る理由はそれぞれございましようが、その給与というものはこれは皆うつつて来るものでありますから、どこへ行つておる自分の同窓の人がこれだけ貰つておる。又どこに勤めておる者が私共よりももつと仕事能率も悪いし、もつと下の者であるが、そういうふうになつておる。こういうようなことはこれは何さまうつるのであります。そこで我々の心配しますることは、それが官庁労務者にうつります。現にそれがうつつて非常に皆大騒ぎをしておる。ご存じの通り通信事業に従事する者が遂に一種のサボをやりまして、郵便電信等に非常に支障を来しておる。殊に私のつい近くの藤沢の南海岸におる友人が先月二十一日に消印したやつが、漸く十日に着いております。検閲も何も受けておりません。又その他の郵便物にしても非常に遅配される。現に厚生大臣か私の忰が招待を受けたのですが、二日に招待されるのに、それが過ぎ去つて八日に漸く受け取つておる。そんなことが沢山行われるのであります。そういうことが抑え切れないような状態なつたときに、政府はどういうようにこれを切拓いて行かれるか。これは何も経済のことではありませんが、一般の国務の上から非常に私それを心配する。成る程よく理屈は分つておる。殊に豫算を編成された今日までの御苦心は我々もよく分る。併しここでどうも人間はどうすることもできない場合に遭遇することがあるのでありますから、その際に長いものには巻かれろという譬えがありますが、そういうときに豫算はどこまでも堅持できるというお見込みでありましようか。そこを一つ私は突き止めておきたいのであります。我々は豫算に対する修正権があるからと言つて、勝手な修正ができるものでもありません。又大局において豫算をどう見て、修正をどうこうするという考えも今のところないのでありますけれども、併しその肝腎な人件費において狂いを来たすということがあつては、この予算は遂には極めて薄弱なものになる。その点を憂うるのであります。御意見の程はよく分つて参りました。その点に対する政府所信を、これはまああなたに伺うのは誠に筋違いかも知れませんが、併し予算を編成された御責任がございましようから、御決心を一つつておきたいと思います。
  6. 和田博雄

    国務大臣和田博雄君) 御尤もな御質問であり御意見でありまして、今度の予算を立てて見ますときに一番苦心をいたしましたのは、やはりまあ形式的なバランスを合わせるということでなくて、組んだ予算がその額面通り遂行ができるようにして行こうということについて非常に苦心いたしたわけでありまして、その意味から言つて進駐軍関係の工事についても、すべて公債堅持主義でやるということで、その辺については近く法律案も出す予定でありまして、そういうように一方でもそういう手を打つておるわけであのますが、差当つての問題は官公庁の職員の給与の問題であると思います。民間只今給与とそれから官公庁給与の間には、相当の差ができておるということの事実は認めなければいかんと思うのであります。併し一方から言いますと、財源もないのに非常に大きな給料を出して行くということになつて来ますと、追加予算そのものが崩れて行くということになつて来るのであります。そこで只今中労委官公庁のこの問題の調停が行われておるわけでありますが、それがどういう裁定なりまするか。その結果によつて見ませんと、そりに対してどう対処するのかということの明確なことは言えんのでありますが、併し我々の考え方といたしましては、どこまでもやはり物価体系そのものは堅持して行くというその範囲内においてこれは考えて行こう。そうして又追加予算そのもの均衡が取れておるその均衡を破ることがないように、そういう方向で問題を善処して行きたい。こう思うのであります。この問題はここ二、三日の内に中労委裁定が下るかもしれません。非常に微妙な関係にありまするので、政府といたしましては、はつきりとした態度は……先般の労働関係閣僚懇談会で或結論は持つておるわけでありますが、これはやはり中労委との関係もありまするので、どうも具體なことはちよつとお話するわけには参りませんが、方向としては物価体系そのものは動かさない。こういう範囲内でやつて行きたいと考えております。
  7. 石坂豊一

    石坂豊一君 よく拝承できました。併しこれは何としても千八百円ベースで抑えて行くという点については、恐らく民間においても、経営者などは反対しておるわけは更にない。全く労働者大衆勢力によつて、これを脱しておるものと思います。政府標準を上回ることは好むわけではなかろうが、そういうことに段々なつて行くのであります。続きましては物価を堅持される場合においては、これこそ民主手鼻体制をとつて企業者経営者労務者というものが三位一体となつて、どこまでもこれを堅持して行く。又その他のすべての国民協力を仰ぐというように、この議会も一つ勢力でありますが、そういう点については勿論御用意もあることと思いますが、御準備はどういうようにできておるかを伺います。
  8. 和田博雄

    国務大臣和田博雄君) 結局は、具体的には中労委裁定に対して政府は対処することになるのでありますが、そのときは政府として具体的な案を出して、これはやはり国民の批判に愬えて、国民に判断して貰うということになろうかと思うのであります。
  9. 石坂豊一

    石坂豊一君 それでは次の問題について、もう一点伺つておきたいと思います。それは公共事業費であります。これはこの予算によると、五十二億となつておるのでありますが、この支出について一々災害復旧費とか、或いは又六・三制の補助費というようなものは一々安定本部承認を得る制度になつておるのでありましようか、又この額によつて自由に委しても差支えないことでありますか。これは他の方に聴いても分ることでありますが、御方針を伺つておきたいと思います。何か説明書によりますと、どれどれは経済安定本部承認を得たとか何とか言つております。それから国土計画委員会などにおいても、この点は経済安定本部において承認を得ておるという御答弁を時々伺います。仕事遂行上我々は大いに関心を持つておるのでありますから、その点を伺いたいと思います。
  10. 和田博雄

    国務大臣和田博雄君) 公共事業費については、経済安定本部で一応取纏めまして、いろいろの事業経済安定本部において認証するということになつておるのであります。従つて予算を分けますが、その仕事の枠内でこういうことをやるというときには、経済安定本部がその事業について認証するということになつておるのであります。そういうことをやつておるわけであります。
  11. 石坂豊一

    石坂豊一君 長官自身から申せばわけのないことかもしれませんが、認証を受けるものから見ると、億劫にかんがえておるのでありまして、一々認証を受ける手続きについては、相当時間も要するし、手数もかかるのでありますが、その点については非常に簡易な方法をとつて時期を誤らないような仕事のやり振りにならなければならんと考えます。その点については勿論相当の御苦心もあるだろうと思いまするけれども、どういうようになつておりまするか、とに角戦時中などは非常な手数を煩わしまして、各方面行つて、ここへ行けあすこへ行けというようなことを言われて非常に困つた。今日はさようなことは大分省けておると思いますが、とにかく認証を受けるということに付ては、いろいろな点において困る場合が多いのでありますから、その点に対して長官のお考を伺つておきたい。
  12. 和田博雄

    国務大臣和田博雄君) 公共事業費は確か九十五億というもので公共事業をやれということになりまして、その公共事業をやるについては、公共事業の中におのずと今の情勢から申しまして、食糧増産であるとか、直ぐそういつたものに役立つもの、そういうものに重点を置く。或いは失業者に皆労の機会を与えるものといつたような順序がありまして、その順序従つて公共事業というものをやつて行くということの大きな方針が決つておるわけであります。従つて仕事をやるやり方につきましては、これは各農林省ならば農林省で開拓をやる。或いは開墾をやるといつたような場合に、そのどこどこについてやるというようなことは農林省の方から見まして、これを一番にやつて貰いたいというようなものが出て来るわけであります。それを経済安定本部としましては、予算の総額或いはその他の公共事業等をやはり睨み合わせまして、公共事業の本来の趣旨に一体これは最も適当であるかどうかといつたようなことについて判定を下すわけなんでありますが、併し勿論その場合には十分に内面的な連絡を取つておりまするから、それはそれで本来農林省がここを一番にやつて貰いたいということが出て来ますれば、やはりこちらとしても十分に調べれば、多くの場合はそれが実質的にそこに何らの間違いがなければ、これはもう当然運んで行くわけでありまして、その点についての仕事渋滞ということはむしろないのじやないか。ナイロン的な連絡を十分とつた上でやつておりますから、ただ予算の枠が大体決つておるに拘わらず、非常に現庁現局の方から申せば厖大要求が出て来ますから、厖大要求そのものを今の状態では認めるわけには参りませんから、そこにおのずから順序をつけて貰つてつて行く。こういうことになつております。仕事自体渋滞は今はむしろないのであります。それでむしろ公共事業の今後の問題としましては、予算の枠内、例えば九十五億なら九十五億というものを初めから決められずに、公共事業費そのもの仕事分量があるわけでありますから、その中で今年度はこの程度がやはり絶対に必要だというその仕事分量の方から規定して行つて、金額の方を本当の予算に編成してやるというふうに組んで行くのが私は順序だと思つておるわけであります。今度の公共事業費というものは一応枠が最初決つてつて、それでそういうことになつたのであろうと思います。公共事業費そのものの組み方については、予算上の問題はあるかと思いますが、今のところはそうなつております。その間別段仕事渋滞するとか、遅れるとかいうようなことは、今のところ私の知つておる限りではありません。
  13. 川上嘉市

    川上嘉市君 御趣旨のことは、勿論仕事渋滞させないようなお考えであることはわかつておりますけれども、實際仕事につきましては、なかなかそうは参らんことは、地方において私共は現に感じておるのであります。これは安定本部関係とは申しません。そこで今日の場合は食糧増産は勿論、治山治水にいたしましても、道路の復興等にいたしましても、非常に急を要する、殊に北陸方面などにおきましては冬を控えておりまするし、もう今は一番大切な時で急いでおりますので、この予算成立の急ぐ場合におきまして、立所に着手しなければならん。そう言う点をお考え下さいまして、非常に簡捷に運ぶようにこの上とも御配慮を願いたい。私は外の委員会がありますからこれで安定本部に対する質問は終わります。
  14. 和田博雄

    国務大臣和田博雄君) 承知いたしました。例えば今度の水害の対策にしましても、いろいろこの金を出すのに早く出す必要がありますので、公共事業費の中でまだ使い残りが四億ばかりあつたので、差当りそれを出してやつておる。とにかく迅速にやるように我々の方としていやつております。ただそうやつておりましても一体どこで止まるか、地方へ実際上の金が、枠があるに拘わらず行かないものがあります。元来どこで止まつておるかということを我々の方としては注意して貰いまして、どこで止まつておるかということがわかれば、関係者大蔵省その他と直ぐ連絡をとりまして、それを疎通するように今のところいたしております。
  15. 川上嘉市

    川上嘉市君 安本長官物価並びに国民生活の安定に関する御努力は非常に感謝するところであります。殊に非常な御奮闘で誠に感激に耐えません。併し今日までの実積を見るというと、物価がまだ上る方が多くて下るという方の影響は殆ど見られない、これは或いは假すには時日を持つてせよというようなお話があるかもしれませんけれども、併し実は経済の破局が近ずく方が、これは一年経つてから、二年経つてからというのでは間に合わない。早くやらなければならんという観点から見ると、私は必ずしもこの内閣物価安定政策というものは成功しておると考えません。或いは一部においてそういうふうな効果は収めた点があるかも知れませんけれども、全体として見るというと、可なり上がつておるように考えますが、このマル公を六十五倍の安定帯に引上げましたために、そのためにどのくらいの本予算に対して影響が及んでおりますか。それをちよつと伺いたい。
  16. 和田博雄

    国務大臣和田博雄君) 大体半分だそうであります。今度の追加予算の半分であります。
  17. 川上嘉市

    川上嘉市君 お話の通り非常に上つておるのでありまして、実は政府で頂戴いたしました補正予算中心とする昭和二十二年度予算説明の十二頁を見まして、例えば特別会計の中の鉄道だけの物価騰貴に伴う物件費増加というのが百八十二億になつております。こういう点から考えて見るというと、この上り方が非常にひどい。そうして一方において下る方の傾向がまだ殆ど見られんということは、先程から問題になつております千八百円のベースも無論守ることがむずかしいというような状態なりますし、私は何とかしてこれを止めたいという見地からいろいろ考えて見まするのに、結局マル公は上げたけれども、併しながら闇を絶對に止める。こういうことでないというと、上る方が先立つて、下る方の傾向が殆どないというようなことになり得るのであります。この闇を止めるに、今どんなふうないろいろな手段をおとりになつておるか、その御説明を聴きたいと思います。
  18. 和田博雄

    国務大臣和田博雄君) 我々といたしましては、最初経済緊急対策を立てますときに、流通秩序の確立のために闇を撲滅する点について一つは物の流れの組織を基準とするということを考えまして、重要な物資については公団制度をとるということで進んだのであります。それで只今のところ食糧関係のものが四つばかり出ておるわけでありますが、その外に例えば鉄鋼であるとか、ゴム製品であるとか、或いは繊維製品といつたようなものについても、これは公団組織によつてつて行くということが一番流通秩序を確立する上においてはいいと、こう考えまして、進んだわけでありますが、これは関係方面との交渉におきまして、その結果先ず切符制度改善によつてやれ。こういうことで、これはアンチ・トラストの方の意見相当加わつたと思いますが、併し公団制度でなくして、切符制度を先ず改善して、それで行かなかつた場合に公団組織によつてつて行つたらいいじやないかということを言われまして、私がそれについて随分長い開議論をしましたのでありますが、どうしても認められませんので、一応その点については折れたわけであります。併し原則としては、どうも公団でやる方がいいという原則は認めておるわけでありますが、先ず切符制度改善でやれということでありますから、その点は切符制度改善でやろうとしておる次第でありますが、併し一面この闇の撲滅につきましては、どうしても取締の方も厳密にやらなければなりませんので、その点については、生鮮食料品その他の消費財についてのいろいろの取締につきましては、これは只今のところ、関係各省次官中心にした一つ委員会を作つております。それで向うの方と十分連絡をとりながら、毎週一回なり二回なり寄りまして、そうしてそれぞれの問題を採上げて具体的に手を打つておる。こういうことになつております。只今のところ経済安定本部としましては監査を実はやつております。この間生鮮食料品について東京、神奈川その他やりましたが、その結果配給のどこに欠陥があるかということも、これは新聞にもちよつと発表したわけであります。出ましたので、早速私は東京都の長官に来て貰つて、どうしても東京中央市場というものの市場長にもつとしつかりした人をおいて、そこに局長が乗り込んで行くくらいにして、現に入荷は非常に沢山あるが、それが末端配給が、なかなかうまく行かないというような状況はやはりそこの市場に入つて来たものを分荷するところを公平にやるということが先ず第一の点じやないかというので、都長官に来て貰いまして話合つて只今農林省一死代になつてつておる次第であります。  それから薪炭その他の点につきましては、これは問題は運輸の問題でしようが、薪炭についての運輸計画を立てまして、昨日農林次官予算委員会説明しましたように、特別の列車を毎日仕立てて送る。又船を廻して送るというような形でやることもやつております。それから配給のルートに乗せることに努力いたしております。  それからもう一つはやはり物の経済取締のことでありますが、これもなかなか効果を挙げることは、これは余程困難な事実でありますが、今の委員会中心になつて、都庁その他と連絡をとつてやる。こういうことは我々として今までも全面的にやつて来ておる次第でありますが、これはもつと続けて行く積りであります。  それから恐らく今後はどうしても闇をなくして行こうとするには、やはり各企業その他についての實體を正確に把握しておく必要がある。やはり監査そのものをもう少し強力に進めて行く。それに伴つて闇の摘発をやつて行く。こういうようにやつて行くのが一番効果があるじやないかと思いますが、それにはやはりそういう人を揃える必要がありますので、今そういう準備をしております。
  19. 川上嘉市

    川上嘉市君 結局闇が、若し厳重な取締ができたならば、相当物価が下り得るだろうという一つの例をお話申し上げます。  静岡縣の遠州地方では、従来「さつまいも」は東京辺の値段とほとんど変らなかつたが、最近鉄道で輸送することを禁ぜられたため、闇買が来なくなつたため、今貫十二円から十五円くらい下つておる。これは皆が買いに来る人がないために持てあましておるような状況でしたつて来る。又つい二、三日前、新潟県から或知人が帰つて参りまして、向うから米を三升買つて来たが、七十円だという。話を聴いて見ると、毎日汽車の中で何回も調べるため、つまり闇の買出ができなくなつた。そのために可なり安いという。結局我々は食糧品などが全部その仕組で本当に闇を買出すことができないという方法にいたしますれば或程度までマル公、或いはマル公に近いところまで守り得ると考えております。そんなふうな有様で、将来一つ勇氣奮つて、時々思い出したように取られて又直ぐやめるという従来のやり方でありますが、これをすつかり改めて、どこまでも一つ闇を撲滅するという覚悟を以ておやりにならんことを希望するのであります。  それから物価の高騰する主なる原因は、やはり或物が、飛び離れてよ過ぎる。つまりあらゆる方面の不均衡ということがいつでもその時の物価標準になる。或物はこんなに高い。だからこれに比べてまだ上げていいという考え方が多いようであります。  私一つの例として、生果物、普通の農作物以外の生果物、こういつたものが非常に高過ぎる。これは本会議の時にもちよつと申しましたが、例えば「りんご」の一町歩の収穫が百万円から三百万円くらいある。それから「みかん」が百万円くらいとなる、或いは「さとうきび」が百五十万円くらいになる。又お茶が二百五十万円。こういうべらぼうな値段が一方にありますと、それが影響して他の方面の闇を助長するし、又物価が妙に引上がる。こういうようなことになりますし、この農産物の価格を決定する時に、これは農林省関係もありましようけれども、どこまでももつと他と均衡のできるようにお願いしたいと考えます。これは原価計算をやつて見れば直ぐ分ります。例えば一町歩の畑を耕作するのに幾人の人が要るか。茶園の例をとりますれば、一家族自分の家だけで以て茶をとり入れたり製茶するという時は急がしいが、他の時は殆ど手がかからない。而も資本はと申しますと、殆ど資本は要らない。茶園があればいい。こういうのであります。ところが工業で以てそれだけの仕事をやろうとすると、二百五十万円の収益をあげるためにはどうしても千万円、二千万円のの資本が要り千人、二千人の人がかかつて、それでもこの頃は法人税が高いために八割くらい税に取られるということになるのであります。それを考えて見ると、不均衡ということがひど過ぎて、それが目の前にあつて一年間続いて一つも手を著けられないということは国の政策として間違つておるのであります。  それで実は青果物について、或座談会で私その話をしたところが、生果物は自由販売である。であるから店先に皆今申しましたような二百万円、三百万円なりの値段がちやんと麗々しく掲げてあつて取締れないのだ。こういう話を聴きまして、非常に遺憾に感じたのです。つまり安定本部の任務というものは、ただこれは自由販売だから放つておいていい、或は自由販売でないが故に取締るというのでなく、国全体価格を安定し、而もそれを安くするというのが任務であると考えるので、その考え方を根本的に直して頂きたいと考えるのであります。これについてお考え一つ承りたい。
  20. 和田博雄

    国務大臣和田博雄君) この闇の取締につきましては、今後これは私共としては尚一層やつて行く積りであります。今お話に出ましたが、私説明を落としましたが、実は輸送の説明制度をやつておるわけであります。例えばトラックなんかでやはり證明を持して、実際運んでおるものが闇であるかどうかということについての取締をやつておるわけであります。これは今石炭からやつておりますが、これを品目を実は段々広げて行くわけでありますから、そうしますとこれで非常に闇の方は抑えられるということになろうかと思いまして、この輸送の證明制度は私共報告を聴きますと可なり効果があるのであります。  それから今の生果物ですが、これは実は物価統制を外したわけであります。生果物につきましては、だから今は自由販売になつておるわけであります。この間他の物価影響……並びに又他の物の生産にもそれほど影響のないものにつきまして、一面から言うと取締が非常に技術的に困難であるというものにつきましては、一応各品目についてこの間発表したように、一部のものについて物価統制を外しました。これは物価の統制はやはり重点的なもので重点的にやつて行くのが、今の取締の能力或いはその他の点から言いましても必要なことでありますので、今度の新物価体系を立てます時にも、その含みで実はやつた次第でありまして、生果物についてはこれは一応物価統制からは外した次第であります、併しこの様子を見ておりますと、輸送の関係上非常な大きな影響を持つのであります。輸送統制をやつておりまするから、併しまあ値段が暴騰したと言うよりも、どちらかというと可なりつておる。相当「りんご」なんか下つたのじやないかと私は思います。他の農産物との間のこの関係は、これは我々といたしましては、農産物間の均衡がとれるように、物価統制をやりまする農産物については考えてやつておるのでありまして、例えば米とか甘藷、馬鈴薯、麦、こういつた価格統制をやつておりますものについては、その間の均衡が十分にとれるように考えて、値段を決めておるのでありまして、その点は我々としては、非常に注意を払つてつておるつもりであります。併しこの青果物につきましては、今統制をやつて来ましても、実質的にこれは統制が非常に困難であるし、むしろこの際外しましても、これは資材の面において十分統制をいたしておる関係上、他の生産物に対してもそう影響はないだろう。例えば「みかん」畠を水田の中に作るようなことは、到底できることではない。茶を作つておる所は、これは温暖の地帯であつて、そう良田を潰して茶を作るということもないのでありまして、その点の生産面への影響ということを我々は非常に今まで恐れて来たわけでありますが、その点についても大体見透しもつきましたので、一応この青果物については外した次第であります。従つて青果物そのものについては、価格統制というものをやらない建前であります。これを取締るというわけには今のところ参らないのであります。むしろ取締ろうと思えば、これをもう一遍、統制の枠に入れなければならない。只今申しますような理由で、政府としてはこれを外した次第であります。
  21. 川上嘉市

    川上嘉市君 マル公を改訂することは、一巡できましたのですか。まだ相当に残つておりますのですか。それを一応伺つて、それから後……。
  22. 和田博雄

    国務大臣和田博雄君) 一巡いたしました。ただ紡績の方が加工資金が確かまだ残つていたと思いますけれども、これはいろいろな関係がありますので、ちよつと遅れたのでありますが、後は皆済んだ、一巡いたしております。
  23. 川上嘉市

    川上嘉市君 ところで、マル公の改訂のときに、非常にやはり不均衡があります。これは私が申し上げるまでもなく、物価の、この製品の原価というものが、決して比例的に行くものでなくて、或物はほんの二割か三割上げれば、もう十分によいという物もあるし、或物は二三倍にもしなければならんということがあるでありましようが、ところが計算の仕方が、基礎をどこに置きまするか知りませんが、私共専門の工業家から見ると、殆ど原価計算というものの何たるかを知らんような人がやつておるように、結果から見ると感じられることが非常に多いのであります。これは本会議の時もちよつと例に申上げましたけれども、例えば化学薬品を一度に五倍に或いは火薬を六倍に上げたと、こういうようなことである。普通我々が商売をやつておりまして、可なり赤字だと、だからして、困るからしていくらに上げる、一割か二割上げるというのが普通の観念であります。それを一度に五倍、六倍に上げるということは、殆ど創造もできないようなことでありまして、この前もちよつと申し上げましたけれどもも例えば千五百万圓の火薬会社があると、その会社がつきに今まで千二百万圓作つておつたと、それが六倍にマル公を上げたために、月に七千二百万圓になつたと、年に八億圓からの製品の売上が出ることになります。それを勘定して見れば直ぐ分ることであります。今までと同じ設備で、量が増えませんから、同じ設備で、同じ従業員であつて、それに対するいろいろな諸がかりというものがこれも前と同じだ、上つたものは原料に使つておる癖に化学薬品が五倍に上つたと、五倍に上つたからして、それが五倍に上つたと、こういうだけで他に上るべきものが一つもない。それに製品の方は六倍に上るということは常識のある人の殆ど考えられんことでありますから、そうするとどうなるかと申しますと、結局恐らくは千五百万圓の会社が、年に三億圓か四億圓儲かるという勘定になりはせんかと私は考える。若しそうでないとするならば、原価計算の書類を拝見しますれば、必ずこうだと申し上げることができると、これは確信いたしております。そういうふうなことがなぜ一体決められるかと、こう考えると、結局は営業者においても一つの責任があります。営業者がこれだけでなければいかんと、こう言つて、誤まれる、偽わられる原価計算を示して修正せしめる。或いは修正がなくても、それを動かすという点があるであります。併しながらそんな不法なマル公を決めるということ自身が、私はやはり関係当局の間において、本当に決まつた原価計算の考え方がよくできておらんがために、誤まれる計算になるのではないと考えるのであります。  そういうように、非常に杜撰な、マル公の改訂の仕方がいろいろな方面に行われておるということの、一つ著しい例を申し上げますと、例えば官公綿と、この頃やかましく言われる、闇の対象になり易いこの官公綿を織りますと時に、綿絲を渡して、いくら出すというときしに渡した綿絲の量と、今度は織りましたその織物の量と同じに取つてしまう。ところがこれは、どの織物屋に聴いても常識であるが、糊付けをするとそれは目方が一割も殖えるということは、誰も申しておる。ところでいくら儲けが出るかというと、一梱について三十四、五万圓の儲けがあります。それは公然とやつておる。若し十梱を取扱つておる者だつたら、一梱方だけ余分が出て来る、それが三十六万圓とあれば、若し月に一梱の工場があれば、年に四百万圓くらいは浮いて出る。これは誰も……実は私営業者に聞いて、私は、そんな馬鹿なことはないと思つて、或所で聞いたから、外の営業者に話したら、それはみんな当然だと、みんな肯定している。そんな筈がない。そんな筈がないと言つても、ずつと一年余りもみんなやつていると言うのであります。これが物価を上げる大きな原因になつている。つまり上げなくてもいいやつを無暗に上げる。或いは六倍に上げる。三倍で十分であるのに。この前も話したように、我々木材をやつてつて、木材の方は、一時闇の方がマル公より安かつた。それがマル公が二割二分くらい上つた。なんで上つたか分らない。それを物価を上げて製品の方は上げさせない。上げると購買の力がなくなるという程度になつている。私がお伺いしたいことは、今申しましたように、原価計算というようなものをどういう基準で以てお決めになつておるか、今までマル公を上げるたびにお決めになつておるか、若しそういつた非常に不合理な、高過ぎたものであつたら、又改訂し直して、正常な所へ戻しておいたらいいと思います。これに対するお考えを伺いたい。
  24. 和田博雄

    国務大臣和田博雄君) 今度できました価格体系のことについて、その間にでこぼこがある、中には或程度不合理なりのがふるということは、これは私はあつたと思います。従つて只今のところ我々といたしましては、そういうものは、下げるべきものは引下げるという方針で進んでおります。従つてお話の木材の点については、公定価格と闇の価格と開きができたのは、特殊の事情があつたのであります。例えば建築制限を非常に厳密にやり、やはり輸送の関係で引上げた闇値が暴落した。そういうことは別にして、木材については、公定価格を検討して、引下げたいと思つております。ラジオとか、そういつた物は下げるつもりであります。味噌、醤油、監干、魚等は下げるつもりで、近日中に発表するつもりであります。これは原価計算は役入が独断で実はやつておるのではないのであります。業者の人たちも呼び、又その方面関係者の、まあ経験者の意見も聴いて、そうして実は検討してやつておるわけでありますが、併し何分にもそれは役人が、総てこれはオール・マイティーというわけに行きませんから、中にはそういう業者が本当のことを言わずに、眼光紙背に徹せずにごまかされるものもあるでありましようし、そこらで原価計算そのもののやり方については、きちんと今まで物価庁その他で研究しております一定の方式に従つてつておるのであつて、ただ無暗に、例えば安定帯が六十五倍であるからといつて、全部六十五倍にしなければならんというような方針では進んでおりません。それぞれの商品についての事情を考えて、具体的に原価計算の基礎の上に価格を決めるという方針でやつておるわけであります。併し今度の改訂は実は非常に早く私たちとしてはやりたかつたのであります。そこに多少の齟齬はあつても、できれば一月くらいの間に全部やつてしまつて、あとは川上さんのお話のような補正の仕事に実は従事したかつたのでありますが、これはこちらだけで決定するわけには行きませんで、こちらで案ができても向うとの交渉に手間取るとか、いろいろな事情がありまして、三ケ月かかつて、この点は私共は非常に相済まんと思つておるわけでありますが、非常に物価庁は殆ど全力を呈してやつて呉れたわけでありますが、とにかく三ケ月かかつたわけでありまして、只今のようにその間にアンバランスがあり、それを直さなければならん。また価格改訂をした以後において、その供給面において或いは変化の起きたものもうりましようし、事情の変化もありますので、今仰つたように、適当の所へ、この公定価格を引下げて行くということは、今その作業をやつているのでありました、不合理なものについては、次々は是正して行くということをお答えいたして置きます。
  25. 川上嘉市

    川上嘉市君 それから今度の追加予算でありますが、九月二十一億円の追加というのは、これは追加せずに、詰り今までの本予算で以て何月まで行けて、例えば六月までは今までので大体行たのだ。それからその後に上つて、追加せんならん。その追加予算を使う期間です。詰り十二ケ月ある中で、四ケ月間は従来の予算でよかつた。それからあとの奴がこの追加が来たので。この追加は何ケ月分に相当するのでしようか。それを伺いたい。
  26. 河野一之

    政府委員(河野一之君) そう性格に何ケ月分ということは出て参りませんのでございますが、大體人件費につきましては、十月分くらいまで、物によりましては十一月までくらいが当初予算で以つて賄い得る。物件費につきましては、昨年の十一月頃の実は物価事情を基礎にしておりましたので、それが更に七月のマル公改訂までの間に相当の実際上物価の騰貴があり、更に三倍乃至三倍半に七月に改訂されましたので、その関係として、追加予算として出て参つておるわけでありますが、これも一概には申せませんが大體従来の計畫その儘で行きますれば、九月程度まではある。しかしこういつたような状況でありますので、物件費につきましても、相当な節約もいたしまして、計画を変更いたしてずつと延ばして来ておりますので、必ずしも何月というふうには物件費については申し兼ねるかと思うのであります。唯終戦処理費の如きものにつきましては、当初予算二百七十億でありましたが、これが大体十月一杯で払い切りになりまして、その通りの計画で行くと、これ亦外の物件費についてもおなじような計画で行くとすれば、十月頃……大體その辺の見当かと存ぜられます。
  27. 川上嘉市

    川上嘉市君 それで詳しく分けることはむずかしいと思いますが、極く大體に申しまして、仮に七月までは今までの予算で大体行けたんだ。それで足りないからして、あとのやつを追加して、あとの八ケ月でそれを大體使ういうような、そのくらいの見当で見て差支ありませんでしようか。
  28. 河野一之

    政府委員(河野一之君) それでは少し使い過ぎになるかと思います。
  29. 川上嘉市

    川上嘉市君 七月までは余り喰い込みなしに行けたんではありませんか。
  30. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 喰い込みなしに行つております。それからマル公が改訂になりまして、それから止むを得ないものしか追加予算を出さんという建前で、一般物件費を上げるということは考えておりませんので、今度の八号の予算で、物件費人件費の節約をやつておりますが、先程も大體一割、六億程度の節約をいたしておりますので、物価が上つたのにも拘らず、更に節約を強行する。こういう建前で参つておりますので、大體ずつと先までつなぐ積りで一応やつておるわけであります。
  31. 川上嘉市

    川上嘉市君 大雑把に、大雑把に、私は実は勘定してみたんですが、仮に今度追加したこの追加予算のそれを、あとの八ケ月……。八月後の八ケ月に使うと仮定して勘定してみますと、それを今度同じ物価で一年続いたと仮定すると、千四百八十億円。それを初めの予算と両方を加えたもの、それで以て前年度に比べて殖えた率をずつと掛けてやつてみると、来年度の予算が五千二百五十億円。昨年と比べて上つたこの追加したと同じ率で以て、又今度追加せんならんということになると、この次は五千二百五十億くらいになるように思うのです。今どうしてもこれを喰い止めないと、五千二百五十億になるというようなことになると、日本は結局破局になるような感じがするのであります。それで実は政府の節約の方の今もお話がありましたけれども、特別会計の方で見ますると、鉄道の方で人件費なんかは、節約の数が三%しか節約しておりません。通信の関係は十三%、これに比べて非常に鉄道のほうは低過ぎますけれども、どうして鉄道の方はできないのですか。全体としては一割平均というお話を聞いておりますけれども、非常に小さ過ぎる。
  32. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 全般的に一割をやつたのでありますが、鉄道につきましては、物件費の大部分を占めまするものは石炭でございます。年間七百万トン以上の石炭を使つておるわけで、これにつきましては石炭費自身相当マル公の改訂によつて値上がりしたわけでありますが、これを節約いたしますことは、運輸上非常に支障がございますので、石炭費については節約をいたしません。ただ構内のガス用炭、焚用炭については、大體二割程度の節約をしております。通信、鉄道を通じまして、鉄道の石炭を除きまして、大體一般的な物件費については二割節約するという原則を貫いております。
  33. 川上嘉市

    川上嘉市君 今申しましたのは、人件費だけについて私は申しました。人権皮脂六十何万人の中で幾人減らすというその数字を取つて見ますと、三%にしかなつておらん。遞信關係の方は十三%になつておる。人を減らしておる方は……。何故、我々が見て鐵道が最も冗員が多いと考えておるのが、余りに減り方が少な過ぎる。
  34. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 物件費の問題と聴きましたもんですから……。鐵道は外地、海外に相当な職員を出しておりまして、それが毎月千人以上戻つてつておりまして、これが定員外としてそのまま入るというような關係で、相当人の欠員が少かつたわけでございます。その外主として連合軍關係にも相成りますが、通信に比較いたしまして、連合軍關係の要員というものは相当多いのでございます。六十万人中、大體三万五、六千人はその關係に相成つております。そういつた關係におきまして、人員を自然減耗の形で減らして行きますようにしましても、なかなか困難なような事情がございまして、従いまして、七月初めの人員を取りますと、通信と鐵道では相当の減員の差がございます。その後減耗補充のストップを掛けた關係もございまして、節約の率が相当通信鐵道で違う。こういう事情に相成つております。
  35. 川上嘉市

    川上嘉市君 最後に一つ、先程お伺いしましたように、この追加予算の約半分は、この内閣になつてからの値上りのためであるというふうに伺つておるものでありますが、結局今日までの安本の功罪を若し形において言うならば、上げた方が多くて、殆どまだ實効がないと、こういうふうな結果になるのでありますが、一つその責任をどこまで取返すつもりで、うんともつと物価安定に対して實効のあるような御努力を願いたいと考えます。これで私の質問は終わります。
  36. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 安定本部長官がおいでになるので、長官一つ一つ政府側の意見をお伺いしたい点があるのでありますが、それは八月の十五日から対外貿易の民間貿易が再開されるというようなことで、そう当時から円の為替相場の問題は相当重要な関心事であつたわけであります。政府側においても、それぞれ準備しておられることと思いますが、昨日の対日理事会におきまして、為替相場を早急に決定するというような意向が決定したように新聞では見るのでありますが、私共の考えますところでも、日本の国内の情勢が非常に不安定なときであるので、為替相場を早く決めて見ても、これを維持することがなかなか困難な事情もあるが、又他方から考えると、為替相場は、円の価値を示すものでありますので、この円の価値をはつきり一つ目標として定めて置くことが、経済再建に役立つ面もあると、まあいろいろの面がありますが、とにかく相当困難な問題ではあるにしても、できるならば早くこの為替相場を決めるということが望ましいということは言えると思います。そこで従来から政府の方でどういうような対策を、考えをしておいでになるか、準備をしておいでになるかという点をはつきりして頂きたいと思うのであります。  聞くところによると、為替を暫定的には複数制度にして行くと、そうして追々情勢の推移を待つて相場を一本に纏めるというような手続をとるというような噂も聞きますけれども、そういうような点などについて、はつきりしたところをお知らせ願いたいと思います。
  37. 和田博雄

    国務大臣和田博雄君) 為替相場の交換比率の問題ですが、これは政府としましても、貿易再開の八月十五日以後、やはり何らかの形の交換比率というものが決まりますことは必要でありまするので、実は関係方面とずつと折衝いたしておるのであります。御承知のように、今波多野さんの御意見にもありましたように、実は日本の経済が非常に今のところ不安定なものでありますから、だから一時は為替のレートを一律に決めるということの意見相当ありましたが、実際問題として考えて見るときには、直ぐそれを一律に早く決めるということは、必ずしも僕は日本の経済のためにはむしろならないのであつて、悪影響の方が非常に多い点が出て来るのではないかというようにも考えられますので、実とは経済安定本部といたしましては、関係方面といろいろ話合い相談もいたしておりまして、最終の結論というものには至つておりませんが、僕らの方としての考え方は、向うに通じておるわけでありまして、やはり段階的にやつて行くということの考で、一応我々の方としては進んでおるような現状であります。これはまあ詳しいことはちよつと話せませんので、その程度一つ御勘弁願いたいと思います。
  38. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 速記を止めてはどうでしようか。もう少し聴きたいのですが。
  39. 和田博雄

    国務大臣和田博雄君) いずれ適当な機会がありましたら、もう少し詳しくお話申し上げたいと思います。
  40. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 若しこういうような資料が出して頂ければ非常に結構だと思いますが、それは日本の現在の工業各部門について、例えば紡績なら紡績、化学工業なら化学工業などについて、この程度の為替相場ならば引合う。現在の技術水準から言つて、この程度のものならば引合うというようなものの調査があるのではないかと思いますが、そういうようのものも御発表できないですか。
  41. 櫻内辰郎

    ○委員長(櫻内辰郎君) ちよつと速記を止めて。    〔速記中止〕
  42. 櫻内辰郎

    ○委員長(櫻内辰郎君) 速記をとつて
  43. 中西功

    ○中西功君 新物價體系は、実に難航を極めていると思うのです。それでこれについては根本的にいろいろと問題はあると思うのですが、さつき川上さんから指摘されましたように、この中に非常に不均衡がある。でこぼこがあるということも、勿論大きな問題ですが、その実は不均衡の最たるものは、結局は勞銀といわゆる物價の不均衡だと思うのです。で、ここに結局新物價體系の一番の弱さがあると思う。私しては結局闇、並びにインフレを撲滅するという全方針の中で、この流通を掴んで、そうして何かやろうということよりも、むしろ重点は生産や、或いは金融方面にもつと持つて行かなければいけないと思うのですが、そういう問題は一応別といたしますれば、この新物價體系自體だけを見れば、その労勞銀と物價の間の非常な不均衡という点が、これが致命的な欠陥だと思う。それで、その場合こういうことも考えられる。結局これは川上さんの御説の通りだと思いますが、マル公六十五倍の安定帯自體、これは十分研究されなければならぬもの、即ち原価計算自體が非常にルーズであり得る可能性があるという点が一つ。で、又或人々はこのマル公安定帯自體は、実は大體三割程度、或いはもう少しぐらいはこれは高く見積り過ぎているというような評価をしておる人もあります。で、この場合、それはだからその点は矯正されなければならぬと思いますが、この勞銀の方千八百円ベースといいますか、この勞銀の方が、この千八百円という数字にこだわらなくても、カロリー計算自體が、千五百五十カロリーになつておる。こういう基礎から計算されておる。で、これはまあ千五百五十カロリーというのは、さつぱり我々がこれだけでは食つていない。これはみんな認めておると思うのですが、こういうふうな点に非常に、結局不均衡がきている。これは一つ……一つですよ。一つの問題があるのです。それで結局は今労働組合、或いはその他の方から出てくる最低賃金制という問題、これは今のところでは、二千四百カロリーということを基礎にして出てきている。而もこれは現実なんです。この現実を基礎にしてはつきり賃金と物價の間の不均衡を、悪循環ではなくて、不均衡を訂正する必要……訂正しなければいけない。これは単に物價の均衡という面だけではなくて、實際においてこの物價體系自體が維持される。これは技術問題ではなくして政治問題だと思うのです。若し労働者、或いは實際に農民も関係があるのですが、そういうふうな大衆から支持されないような物價體系は、維持されないのは無理ないと思う。ですから決して物價體系が技術的な問題ではなく、やつぱり根本的に大きな政治問題だという点をよく考え貰つて、そうしてこのいわゆる賃金計算の基礎を根本的に再検討して貰わなければ、決してこの物價體系は維持できない。で、この物價體系、千八百円ベースについては各考え方は違うと思います。我々といたしましては、この最低生活を保障して、そうしてその上にがつちりとした物價體系を築いて貰うということ、これは我々は非常に賛成であります。そうして又或面では、千八百円ベースに反対しておる人々も、必ずしもこの千八百円ベースに反対ではなくして、これを築くことによつて、いわばマル公自身をもつて上げて行こうというような向もあろうと思いますが、お互のことは大分違うと思いますが、併しいずれにしても、千八百円に無理があるということが一方におけるインフレ促進論者をも利用させることになる。だから是非この点をはつきりと最低賃金、特に現在二千四百カロリーという現実を基礎にして築いて貰う。その上に非常に強い、強力な均衡のとれた物價を築いて貰う。これがなければいけないのだと思う。それで私の質問の第一点は、千五百五十カロリーを二千四百カロリーに飛躍できるかどうかということ。この点はこれはどうしてもやつて貰わなければならんと思いますから、その点を一つ。  それから第二番目は、これらは本会議でも昨日ちよつともうしたのでありますが、価格調整費の費途の中で、国鉄や火力発電所が除かれておるわけである。さつき政府委員の説明もありましたように、国鉄は今最大の石炭の消費者である。而も国鉄の赤字というのは、結局これから出ていることは明白だと思います。勿論私は国鉄の経費が非常にうまく運営されること、又合理的な意味なら、今日配置転換が行れることは勿論賛成なんでありますが、併しその他の部門に対しては流安或いは鋼材、銑鉄その他いろいろありますが、そういうものに対しては、六百円の石炭が供給されている。国鉄や火力発電は千二百円ということですが、そういうような一般消費者価格であるということになつておる。どうもここにおかしいものがあると思う。若し国鉄に価格調整金をやつておるならば、今度の一般会計のこの中に、国鉄に与える損失、一般会計への繰入れがありますが、ああいうものも要らないと思う。結局調整費の中に入つて来るので、どうもその点が我々には国鉄或いはそういうものだけが、何か除外されておるというような感じがするのです。この点を一つ答弁して貰いたい。  それから第三番目は今後経営監査をやられる。これは非常に結構だと思います。というのは、実はこういう意味で結構なんであります。私達は政府経営は赤字だとか何とか要つておりますけれども、實際そうは思つておりません。實際のところに行つて、大経営はいろいろな点で黒字を隠しておると思います。そういう点を本当に突いて貰うという点において賛成なんですが、併しこれが果してそういうふうに向くかどうか。これは非常に疑問だと思つております。と申しますのは、例えば池具の勞働組合では、四千円の賃金を取つた。そういうときに政府はこれは出し過ぎであろうかとか何とかいうことによつて、査察をするということも新聞に出ておりました。安本長官自身は民間の方は経営に余裕がある限りやつて貰つていいんだというふうなことを、前からいつておるわけですが、この経済査察というものが、そういうふうな池具のようなことになつて行くと、非常にこれは混乱を巻き起こすと思うのです。実は併しこれは単なるそういう例に止まらず、もつと問題があると思うのです。恐らく安本長官或いは政府の方では、今後の経営合理化といいますか。或いは企業整備に絡まつて相当の首切り計画が立つておると思います。その首切り計画と、この経済査察ということが関係して来ますと、これが又一方においては、もつと大きな問題は、金融機関に今後非常に沢山の経営がますます依存して行く傾向にある。そういうときに、これが三者絡み合つてつて行きますと、非常なもの凄い首切りの上における経営合理化、或いは労働強化というようなものがまぁ来るわけであります。それで、三番目の質問の要点は、政府考えていられる何といいますか、経営合理化といいますか、或いは首切りの計画、それはどういうふうな標準で、どういうふうな原理に基いて、これをやられるつもりかと、その点三つをお聴きしたいと思います。
  44. 和田博雄

    国務大臣和田博雄君) 千五百五十カロリーを上げるということは、これは今の段階ではできません。これは中西さんも御存じのように、外国から今非常に輸入しなければならんわけなんです。例えば今年なら百九十万トンとか二百万トンとかいつたものを輸入しなければならん。その輸入も日本が自由に決定することはできないので、ワシントンの食糧委員会で結局決まつて行く。併し日本としては、只今のところ輸出入の関係からいいまして、それだけの食糧を、日本の輸出としたその輸入資金で賄うというだけの余裕は全然ないわけです。そこでどうしてもそういう状態であるときに、平均千五百五十カロリーというものを上げてあなたの仰しやる平均二千四百カロリーということは、これは実際問題として、できないことなんです。その点は何と仰られても、これはまあ上げることはできないと、こう御了承をお願いいたしたいと思うのであります。それから仮に二千四百カロリーというものを基礎にして最低賃金を設けるということも、今のような不安定なときには、実は巡り巡つてこれは高は貨幣賃金になろうと思います。そうすると、その高は貨幣賃金基礎にして各物価を安定させて行くということになると、恐らく物価水準というものは、今よりもつと高いものになろうと思います。今よりもつと高いものになつたに拘らず、その物価水準が安定した物価水準であるかどうかということは、これは私は疑問であると思うのです。なぜなれば、そうやつても生産回復のテンポと、仮に物価水準の高いもの……上つたものを金融面から見れば、それだけ沢山の通貨というものがどうしても必要になつて来る。今以上通過の増発というものを予定しなくちやならんことになつて来ます。そうして経済自体はどんどん動いて行つておるので、それだけ多く通貨増発を予定した新しい高い物価水準というものが予定されるときには、これは恐らくインフレーションというものは、これ破局的に進むものであつて、むしろ物価を安定した最低賃金制そのものが崩れちやうということに、私は理論的になると思う。又現実も私は恐らくそう動くと思う。そこで、これは私はどうしてもそういう制度はとれない。今の時代においてはとれない。これはもつと日本の経済そのものが安定した後の問題として始めて起り得ることじやないかと思うのです。  それから第二点の国鉄に対する石炭の問題でありますが、これは初めから特別会計というものは独立採算制でやつて行く。こういう建前をとつたわけであります。そうしますと、独立採算制ということになりますると、そこに従来のようにこの多くの価格差補給金というようなものを出すということは、これは総ての面において実は政府としては避くべきことであり、又避けたいのであります。そこでその建前からいいまして、今後は鉄道の補給金というものは、まあ運賃の三倍ですか、上げたのですが、運賃合計とも無論関係は持つておるわけであります。独立採算制の建前から、そういう二重価格性のものは止めようということで、国鉄は止めたのでございまして、外の企業のものについて、価格差補給金が言つておりますがこれは本会議でお答えしましたように、財政の負擔力というものを最小限に止める。それからもう一つ価格水準というものを、非常に高い程度に行くことを抑えるという意味から、基礎的なものについてだけ実は出したわけであります。従つて出しておるものも肥料であるとか、そういつた直ぐ食糧生産に影響のあるものだとか、又その他の本当に基礎的なものに限つて行くということは御承知願えるだろうと思うのであります。  それから第三点の経済監査でありますが、これは中西さん初めにお触れになられたように、今後の施策の重点が生産増強に行くということは、私共も全くその考えなんであります。ただ経済緊急対策を作りました時には、流通秩序が余りにも紊れておる。殊に闇という形において流通秩序の乱れ方が生産の増強の方に逆に大きく響いておる。これをこのままにして置いて、生産の増強を図るということをやろうとしてもなかなかできにくい。むしろ流通秩序というものは破壊されておる。その場合においては、又新しい価格体系を作ることが生産というものを促進さす一番大きな刺激であるという考え方から流通面の問題を捉えたのであります。しかし今後の二十三年度の問題としましては、これはお話のように、生産そのものの増強ということを中心にして、我々の方としては長期計画の第一年度を何とかしてはつきりさして、それを中心にして生産増強ということの方向へこれは向けて行きたい。そのためにもやはり企業の実態を把握し、企業そのものが合理的に行われておるかどうかという点についてのやはり監督というものをやつて行くことが必要なんじやないだろうか、こう考えるのであります。従つてただ単に人員を整理するとか、何とかいうようなことを考えるのではないのであつて、やはりそこに生産の増強ということを中心にして、いろいろなそういつた問題も考えて行きたい。こういう考え方であります。
  45. 村上義一

    ○村上義一君 安本で以て想定されております現在の物價體系、並びに賃金体系というものは、大體何時までこれを維持されて行くお積りであるか。尚現在すでに新年度の予算編成が始まらんとしておるわけでありますが、新年度の予算編成は、現在の物價體系なり賃金體系なり基礎として編成されるお積りであるか、その二点だけをお伺いしたい。
  46. 和田博雄

    国務大臣和田博雄君) これ僕は、物價體系はやはり堅持する建前をとりたいのであります。というのは、将来これは物價を非常に改訂して高く上げるということになれば、それだけでインフレーションに対しての影響は非常に多いと思う。殊に先般の公聴会で、大内さんが、この年度内に八百億からの追加予算が出るだろうということは、これは非常にどこを根拠にして言われるのか、甚だ遺憾に考えてるので、やはり物價の體系はアンバランスがありますが、これは直して行く體系をとる。ただ賃金水準の点については、官吏の給与制度が問題になろうかと思いますが、この官吏の給与制度については、社会党の荒畑委員の御質問にもお答えいたしたのでありますが、やはり官吏の給与制度そのものはもつと合理化して行く必要はあろうと思います。そういう点でやはりそれらも睨み合わして来年度の予算編成については、未だ最後の方針が決つておりませんが、今御指摘のような、いろいろな問題は考慮にいれて編成して行かなければならん、こう考えております。
  47. 櫻内辰郎

    ○委員長(櫻内辰郎君) お諮りいにします。午前中の会議は、この程度に止めまして、午後一時から再開いたします。    午後零時一分休憩    —————・—————    午後一時五十一分開会
  48. 櫻内辰郎

    ○委員長(櫻内辰郎君) 只今より開会いたします。石坂豊一君。    〔「今日は総理大臣欠席でもやりますか。」と呼ぶ者あり。〕
  49. 石坂豊一

    石坂豊一君 総理大臣は留保してあるのです。大蔵省の……(「どうぞ大いにやつて下さい」と呼ぶ者あり)今日は大蔵大臣が御出席になるということで、大蔵省所管についてお伺いしたいと存ずるのでありますが、お見えになつておりません。なつておりませんけれども、他の政府委員の方でお答え下さるような問題に限つて一つお伺いしたいと思います。又いずれ大蔵当局所管の方は、分科に移されるわけであろうと思いますから、その機会に質疑を許して頂きたいと思います。先ず大體におきまして、政府は我々に説明書を出して、非常に懇切に書いてあります。これは、私この点に対しては、政府の努力を感謝するものであります。従つてこれをよく熟読いたしますと、全く大蔵省の御説明も、私共の言わんと欲する所を述べてあります。殊にこの鳴物入りで、二十二年度の追加予算は新装を以て内外の財界に見えておるので、この成否いかんは、国民協力を以て完成する外はないという、点において、我々は全く共鳴するものであります。併しこの健全財政を謳われておる、新装美々たる予算も、もう一遍考えて見ますとどうもこれは、少しく看板に偽りあるように思われる。と申しますのは、国の予算は、勿論一般会計ばかりではないのでありまして、今一面の特別会計ということも併せて考えにければならん。そこでその特別会計におきましては、公債や借入金というものの形で、成る程後で還つてくるものもありますけれども、七百六十六億四千五百万円というものを見込んである。ただ一般会計の方ばかりが、通常予算の赤字公債四十八億までも無くしておるのでありますから、この点においては、健全財政と言うことができるかも存じませんが、併し一度その内容を掘り割つて見ますというと、非常に大きな増税である。殆ど通常予算の畳を摩せんとする巨額なる租税収入を見込んであるのであります。この租税収入の予定通りに取るか否やということが、懸つてこの健全財政の本質を発揮するか、或いはこれは一片の希望に止まつたものであるかということになると考えるのでありますが、尚租税収入の外に煙草益金も二百四十億程見てあります。非常に大きな金であります。そこで段々煎じ詰めて見ますと、大蔵省から頂いた、主計局から頂いた説明書にも……、とは言うものの一千三百三十億からの大租税を賄つて行かなければならんのであるから、これは残るわずかな機関において、この整理ができるかどうかということが、非常に心配物であるということを言われておる。率直に述べておられます。どこまでも私共はこれを大確信を持つておるということを言われておられない。であるから、我々もこれに対して決議を与えるときには、同じき事理を以て、これを考え直さなければならん。こう考えるのであります。そこでこの一千三百三十億の租税収入を完納させるだけの、一つ政府に御用意があるのかどうか。これを一つ私は冒頭において、大蔵大臣の御意見を聴いて見たいと思つておつたのであります。ところが見えませんから、長引いても仕方ありませんから、ここに新進有為の政務次官も見えており、又事務当局も見えておりますから、一つ肚を割つて御答弁を願いたいと思います。これは真剣に私は伺うのであります。
  50. 小坂善太郎

    政府委員(小坂善太郎君) 石坂さんにお答え申し上げます。只今は我々の非常に苦心しておりまする、この二十二年度の補正予算につきまして、いろいろと適切なる御注意を頂きましたのでありますが、その冒頭におきまして、私共が昨年以来鋭意改善を加えつつありました。この予算編成の形式、予算内容につきまして、極力これをどなたにも、一応の会計知識のある方には、一読されてお分りになるような形式にして、広く財政の実情を国民に認識して頂いて、御協力を得なければならないという趣旨に基きまして、今回新たなる試みとして、説明書を差上げましたところ、これにつきまして、お褒めの言葉を頂きましたので非常に嬉しく存ずるのであります。主計局の一同は、非常にこの点に努力しておられまして、今日のお言葉を深く多としておるわけであります。  次にこの御質問の要点でございます、千三百億円に上るこの租税の実態が、果して今後五ケ月後に、今まで三百億程度しか徴収されていない。残りの千億というものが果して徴収し得る確信があるかどうか。又具体的にどういう方法を以て徴収しようとするのかという点につきましての御質問でありまして、この点にお答え申し上げますが、私共といたしましては、確信を持つともう居まするか、結局こういうことは、やつて見なければ分らんのでありますが、かかる点に最前を尽したらば、取り得るだろうという点をお答えを申上げて見たいと思います。  今この一番隘路になつておりますのは、私は敗戦後の不健全な国民心理であろうと思うのであります。一体この租税の民主化とか、納得ずくの納税というようなことを申しまかるが、これは健全な国民心理の上に立つて始めて言い得ることでありまして、本来ならばなるたけ自分の納税というものは少なくしたいという心理が現在においてはあるのでありましようと思うのであります。これを我々の、結局すべての国民の負担において納税を強行して、そうして始めてインフレを破滅的な危機に持ち込まないようにすることができるという点を、十分に一つ国民運動として展開して頂くことが必要であろうと思うのであります。その人々の今日の利益のために、今日の小やかな利益を守るために、明日において非常に大きな民族の不幸を齎すような惨事を来すんだという点を強調して頂きまして、皆にこの趣旨を徹底して頂くということが第一点であると思います。  更にこの実際の徴税機構を補充いたしまして、この第一線を強化するということのために、先ず税務官吏の現在非常に悪い待遇を改善すること、このことにつきましては、でき得る限り早く單行法を以ても、改善に関しまする法律案を提出いたしまして、御審議を相煩わしたいと思つておるのでありますが、待遇を先ず改善する。それから次に徴税費を相当に見込みまして、相当機動的に税務官吏が動けるようにする。更にこの行政の機動的処置と申しまするか。場合によつては、国税調査の資料も、或いは警察、或いは司法関係におけるいろいろな資料も、すべてこれは有機的に使いまして、税務官吏がそれぞれの判断を早く下して活動し得るようにする。そういうような点が必要であろうかと思うのであります。  又どうしても、自発的によく納税してくれない人につきまして、滞納に対する罰金を強化する。或いは体刑敢て辞さずというようなことも必要でありましよう。これは勿論法律として御審議を願わなければならん点がございますので、その節にはよろしくお願いいたしたいと存ずるのでありますが、そういう点も必要でありましよう。又上は欺けますが、仲間は欺けないのでありまして、近所の者は一番よくその隣り人の生活を知つておるのでありますから、第三者における通報制の活用というようなことも又必要であろうと思うのであります。でこのような点を一つ強調して見まして、何と申しましても歳入を確実に上げることが實際のこの財政が健全財政であるか否かということを決定する一番根本の問題でありますので、これらの点につきまして全力を挙げて政府は当りたいと思つております。併しながらこれはやはり国民の総意を代表せられる国会においてこの問題を力強く取上げて頂くことによりまして、著しく成績を上げ得ると思いますので、この点につきまして十分な御協力をお願いいたしたいと考えております。
  51. 石坂豊一

    石坂豊一君 問題はこの徴税の方のことで、只今説明で導かれて行つたようなわけになりますが、関連しておりまするから序にそのことを申しますと、只今説明下さつたことで大蔵省の心構えは非常によくわかつております。わかつておりまするが、実際によくこれは徹底して行くかどうか甚だ疑問である。で大臣も本会議において既に本年度の賦課してあるところの租税が百億も滞納になつておるということを言明なさつておる。実は私は非常に心配になりましたから、その財務局別、租税別に一つ調べて貰いたいということを材料を要求したが、まだ私の手許に廻つて参りません。参りませんが、今日午前、委員長の許しを得まして、予算委員の小委員の所に行きまして、いろいろと徴税上滞納金等の資料について伺つて見ますと、我々が想像以上に憂うべき状態に陥つておる。それで、所得税の如きは、極めてまじめな相当の私共の附合つておる紳士の人が、どうも今年所得税はどうなつたのか通知が来ん。届けないわけにも行かずどうすればよいのかわからん。こういうことを申しておる。それは徴税方法が変わつたので自分で届けて納める。併し届けた金額に対しては徴税令書が来る。必ず来る筈である。そうでないと幾ら納めてよいかわからんのであるからということを私は常識で以て答えた。ところが今日聴いて見ますと、自由の申告に対して、それに認めを貰うと納めなければならんということになる。全く米国式に変わつておる。私は嘗て米国に行つてその点を調べて見ましたが、私は滞在も短かつたために、動産だけにそういう手続をしておると思つておつた。不動産については新聞に公告して何日かが納税期日であるということを公告すれば、後は皆その日に持つて行く。その期日に来なければ遠慮なしに滞納処分をする。こういう制度になつておる。日本でもこうやれば多数の税務官吏も要らないし、徴税念書の紙も要らない。大変結構なことをしておると、こう思つた。まさか所得税その他について全部そうやつておるということは、実は徹底した調査はできなかつた。今見るというと、税務の扱いはそういうことになつておるけれども、これは金がふんだんにある。納めたい者は納める。納めない者は納めない。納めない者はひどい罰を受ければいい。こういうように慣らされておる国民はそれでよろしいけれども、日本のように、余りに綿密に徴税方法が行届いておつた国、又各人の申告も、審査員に付して、非常に厳重に詮議されておつた国の習慣を、一朝にしてこれを改めまして、そうしてこの自由納税の方法を取るということになりましては、これは私は容易に納めるものでないと考えます。それに加うるに、これを扱うところの税務官吏は又非常にそれに疎いと来ておる。その税務官吏はいちいち納税者に廻つてそれを説明して歩くわけでもないし、又戦時中あつた町内会というものがあつて下部組織まで徹底するというのでもなし、まるで開放されておる。ここにおいて、破天荒な租税を徴収してこの財政を切り盛りしようと思つても、これはなかなか容易でないということを私は午前一層その感を深くしました。然らば、租税に従事しておる税務官吏はどれだけおるかというと、四千何百人かおりますが、待遇は非常に菲薄で一般官吏に比して一割一分一厘の割合、金額にして月額百三十七円と思いますが、それだけ低い、七月一日現在で、平均額にこの頃は達しておるかも知れんけれども、まあそういう状態であつた。税務当局から新たにそり資料を貰うことになつておりますが、こういうことでは、これは昔の言葉でないかも知れませんけれども、木によつて魚を求むるようなものでないかと私は考えるのであります。でありますから、これは非常な、官民共に、今官民なんという言葉を使つてはいけませんが、民官共に努力をしまして、そうして納税者に徹底するようにしなければならない。このことは大蔵省において、只今財務次官説明されたようなことでは、私は不十分であると思う。もう少し徴税に関する運動を展開しなければならん。而して又地方においては、相当委員会でも設けて国民に徹底する方法をやらなければ、又憂うべき結果に陥らないかと考えるのであります。その点についてはいずれ又御答弁もあるかも知れませんが、私はさように考えます。更に私は先般本会議において同僚の佐佐君から指摘されましたが、併しこれは事実が多少違つておるのですが、金融機関再建整備の百億……調整法の第三十三条の規定によりまして、金融機関に、第一封鎖期にこれは当然やることになつておる。これはもう否応なしにやらなければならん金であつて、お約策済みの金である。本年度、この年度内に終るか、終結を告げるか否かという問題である。百億という大金になりますと、これに対してはやはり増税の形式が、或いは別途何かこれを賄うところの見当がなければならん。従つてこれを次年度に繰越す、次年度になりますか、まだ一年先に行くか知りませんけれども、とにかく支出金の繰越であります。繰越になりますと、やはりこれは歳入と共に繰越すということになるのでありますから、この金を随意に他の方法に使うということは、これは許さるべきものじやないじやないか。これは金庫が、財布が一つであるから、どこへ使つてもいいという、そういう理屈は無論立ちます。立ちますけれども、どうも学生が親から月謝に払う金を貰つて、その金を芝居見に使つてしまつた。そうすると、どうしても月謝は出さなければならんからもう一遍貰わなければならん。こういうことになる。それで今我々はこれを月謝に払わないで、金が余つておるからこれで芝居見物をやるか何かする。よそ途のことに、目的外に使つて行くことになるから、予算の立て方上は、私はこれをそのまま他の方に分けて行くということは穏当でないと思います。もう一歩進んで言えば、それは事実上において国民を欺いたことになりはしないか、欺くのでない。今両院に掛けて民意に問うておるのであつて、こういう順序なりますが、そこは私共が工夫しておるわけでありますが、併しどうも私はそういう心持ちになる。然らば来年に行つて百億からの財源がどこから出て来るか、こう考えますと、成る程今年度限り打切りになる費用はあります。鉄道に対する五十億、通信に対する二十五億、大蔵省の預金全部に対する十億、八十五億というものが即座に出て参りましよう。あとの十五億というものはどこを尋ねても出そうにない。来年に行つて支出金が増しこそすれ、減る所はちよつと見当らない。そうするとこの金について、更に又一種の増税というものを起こさなければならんということになるように考えますが、この点実は大蔵省の事務当局から、大蔵省伝統の取扱について一応伺つて見たいと思うておつたのであります。先の点は御説明があつてもなくても私の考として申上げたのであります。あとの分に対しては大蔵省の所見を伺つて見たい。百億を明年度において支払う目当があるのか、そこを伺つて置きたい。
  52. 小坂善太郎

    政府委員(小坂善太郎君) 最初の税の納税方法の点でありますが、これは申上げるまでもないことと存じまするが、今年度新たに採用いたしました申告納税制度が十分に咀嚼されておらない結果といたしまして、そういうような非常な手違いが、善意な手違いがある面が相当あるのであります。これにつきましては極力更正決定をいたしまして、従来と同様な方法におきまして納税して頂くような手続を取るように今手続を進めておるような次第であります。尚後段の金融機関への補助の百億の問題でございますが、これは交付公債で処理をするという建前になつておりまするので、これを落としまするということも又差支えないという考えを持つておるのでございますが、尚詳しく主計局の方から御説明いたします。
  53. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 金融再建補助の百億圓につきまして、これは企業再建整備法の規定で交付公債で以てこれを交付することができる建前に相成つております。当初予算におきまして百億計上いたしておりまして、その中五十二億については一般市場の公債を買つて交付する。四十八億圓につきましては公債を発行してこれを交付する。こういう建前でおつたわけであります。これを今回落としましたにつきまして、来年度には当然出て来る金でありますが、これは全額交付公債で行くようにいたすか、或いは又別途歳入を調達いたしまして、それによつて公債を買入れて交付するようにいたしますか。これは明年度の予算の編成の問題と相絡みまして考えて頂きたいと、こう考えている次第であります。
  54. 石坂豊一

    石坂豊一君 金融再建の百億、ちよつと今の御説明で一層分からなくなつたのですが、そうすると二十二年度の本予算にありまするものは歳入……歳出が百億超過されておることになつておるのでありましようか。又これに対して交付公債として公債收入となつておるのでありますか。その辺をちよつと……。
  55. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 千百四十五億というのが当初予算でございますが、その中に百億、金融再建補助金というのがございまして、それに対して四十八億圓だけ赤字が出ておる。四十八億だけ公債発行して、残りの五十二億、百億の中、四十八億を引きました五十二億の分につきましては、普通歳入で賄うというこういう建前で当予算がなつております。今度の予算でその四十八億を落した経緯でございますが、今度の予算で一号から八号まで合計いたしますと、九百二十一億ということに相成るわけでございますが、実はこれを解剖して見ますと、歳出の追加が千二十一億であります。一方百億落としまして、それで差引いたしまして九百二十一億というこうに相成るのでありまして、従いまして今度の補正予算で歳入を調達いたします場合に、九百二十一億調達いたしますと、本予算と併せまして四十八億の赤字が出る。従いまして四十八億を九百二十一億に追加いたしましたものを歳入予算で調達した。こういう関係になつております。
  56. 石坂豊一

    石坂豊一君 たまたまこの金は大蔵省所管にありますために相當美事なからくりができることになつておりますが、若しこれが他のところにありますならば、頑張つて、縄張りで、決してかようなことは許すまいと思います。幸にして大蔵省所管でかようなものがあつたとさらけ出して、編成ができたということを私は喜ぶのでありますが、恐らくは他の各省の中にも、かようにして一年ぐらい待つてるものは、十分極めればないではなかろうかと思います。併しながらそれはなかなか官庁間の縄張りとして容易に出すものではないのであるが、これはかようなことを考えますと、予算編成は大蔵省が所管すべきもので、これを総理庁に持つて行つて独立させるというような行政機構の改革について意見を出す者がありますが、この一事を以て見ましても、飽くまで私共は大蔵省所管に置いて貰わなければならんと思います。今の取扱で一応よく分かりましたが、明年度においてもあとの四十八億、五十二億というものの算出については余程御苦心の存するところだと考えるのであります。そこで私は他の歳入の影響関係について申上げますが、住宅復興につきましては、私は非常な関心を持つておりますので、昨日総理にも一応質問いたして置きましたところが、総理も余りこれについては御存じではなかつたと見えますが、戰災都市におりました関係上、戰災復興並びに住宅の復興については私共はこれは容易ならざる重大問題、社会問題として頗る深刻なものであると考えておるのであります。ところで今度の説明によりますと、住宅復興資材費の方は年度一ぱい賄う程度のものであるから、今度の補正で何ら追加しなかつた。ガラスでも何でも皆買溜めて捌きがつかないようにも説明しておりますが、これは私共合点が行かない。住宅が四百万戸足らんということは政府経済説明にもよく分つておるのであります。然るに一面予算化される場合においては、誠に簡単な取扱になつておる。これで果して深刻なる社会不安が克服できるのであるかどうか、真に私共はそれを心配しておる。大蔵省は金さえ出さなければどうでもいいとお考えになつておるので、かような方面に対してはどうか復興院などを督励して、速かに住宅の増設のできるようなお取扱をして頂かないというと、これ幸にしてこういうものを蹴られてしまうということになると、これは最後に皆さんの手許に転んで来るのです。でありますから、この点に対して一段と私は如何なる場合でも絶叫したいのでありますが、大蔵省は如何なる考えをお持ちになつておるか。幸に政府でやつておるから政府要求して来なければこれで打切つてしまう。恐らくは復興院からかような申出が来ないのではないので、予算を緊縮せられる結果、それでは復興院のかようなお考えでもあるというので。追加要求せなかつたものではないかと考えるのであります。大蔵省一つ事務當局の御所見を承つて置きたい。
  57. 河野一之

    政府委員(河野一之君) この説明書にあります住宅復興資材費でありますが、これは住宅復興において必要な各種の資材を戰災復興院が一手に買いまして、そうしてそれを一種の資金として持つておりまして、公共団体その他が住宅を建てるのに資材がなければそれを優先的に売払つてやる。こういう建前で住宅復興資材費というものが入つておるわけであります。これは各種の関係から、住宅の復興が十分に行かない点もあるのでありますが、従来までの実積がそれほど、ここにも書いてございますが、買つておりませんので、節約はいたしませんでしたが、特に追加もいたさなかつた。こういう関係に相成つております。住宅の復興につきましては、これは主として公共団体がやつておるのでございますが、戰災地の住玉復興に重点的に施工いたしております。この経費におきましては公共事業費の中で見る建前になつております。この六億八千六百万円の資材費は単に住宅復興の資材を買溜めして置くだけのものでありまして、公共事業費の中で当初予定しておりましたのは七億八千万円、今度の五十二億六千万円の公共事業費の追加をしまして一億三千四百万円の追加を計上いたしております。併し予算その他の関係で十二分に行かないということを甚だ私共として遺憾に思う次第でありますが、本年度は特に災害その他の非常に巨額の金を割かなければならん情勢になりましたので、多少この点について遺憾な点が、あることを存じておる次第で、誠に申訳ないと思つております。
  58. 石坂豊一

    石坂豊一君 私もさような点は公共事業費に持つておることくらいは知つておる。しかし一番今疊とかガラスなどに因つておる。これは復興院において十分獲得せられんければ本当の設備ができない。それをいい加減に月並みにやつてつては皆外に行つてしまう。それを一つ督励して戴きたい。  もう一つ、昨日総理大臣に私は行政整理をやるか、やらんかというお尋をいたしましたが、これは西尾官房長官もやるという言明をし、総理大臣も更に昨日齋藤国務大臣に命じて行政機構の改正を立案して貰つておる。その結果根本的に整理をする。こういうことでありました。ところが、整理をなさる結果として、必然的にこの失業保険或いは退職資金というようなものが起るだろうと思います。相当の金額だろうと思います。これらに対するところの、もう既に明年度の予算編成の時期になつてえりますし、これらに対して大蔵省相当の財源その他について御用意がありますか、その時場当りに考えるというのでなく、これは総理に対する質問の結果、その結末を附けて置きたいから、一つお尋ねします。
  59. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 現在におきまして行政整理の前提と申しますか、現在人員について取つております手段は、十月十四日閣議決定をいたしまして、一切の欠員を補充しない。緊急止むを得ざるもの及び減耗補充の三分の一程度を認めて、後は一切補充しないと閣議決定いたしました。その結果、現在の只今提出しております補正予算におきまして、人件費の節約が約九億でございますが、これは一律に一割やりました結果でありまして、政府職員全体を通じますと、大体二割程度一般会計で空定員がございます。特別会計においては約五%程度であります。これは実行上ずつと押えて参りたい。支払予算を作ります場合に、現員及び現給を見まして押えて行きたいと存じております。従いまして予算では一割節約いたしますけれども、空定員その他の関係で、その分は当然予算上不用となつて現れる経費がやはり数億あるのではないかと思います。  それから行政整理はどういう方向において決定せられるか、これは内閣でいずれ御決定になると思います。年度内になりますか、或いは明年度になりますか、仮に年度内になるといたしましても、今言つた財源及び整理による俸給その他の不用額というようなことによりまして、この退職資金その他は支払できるのではないか。こう考えております。
  60. 石坂豊一

    石坂豊一君 私に与えられた時間が来ましたので、まだ私は治山治水及び道路改修等についての質疑をいたしたいと思つておるのでありますが、これで打切ることにいたしまして、一言委員長にお願いして置きたいことは、その問題につきましては、実は国土委員長から委員長として満場の諸君に聴いて頂きたいことがあるそうでありますから、その際に発言を許して頂くことにいたしまして、私はこれで大蔵省に対する質疑を止めて置きます。
  61. 櫻内辰郎

    ○委員長(櫻内辰郎君) 波多野さん、大蔵省の事務当局に御質疑はございませんか。
  62. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 戦時中に、十二年の七月から二十年の八月ですかの間に発行された何とか国債とか、何とか国庫債券とか、貯蓄債権とか、報国債権、そういつた名前で発行されておる。いわゆる広い意味の公債なんですが、公債の総額はどれくらいになつておりますか。
  63. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 只今その資料を手許に持つておりませんでございますが、この公債の範囲政府の特殊借入金、その他或いは戦時貯蓄債権その他いろいろございますので、的確なる数字はいずれ調べまして御答弁申上げますが、大體現在の国債の半分程度になつておるのじやないかと私記憶しております。
  64. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 それから次の点は、当時の公債の額面百円の現在の市場価格と言いますか、市場価格の中値ですかは、どの程度になつておりましようか。
  65. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 私はその方の当局でありませんので、的確なる御答弁がいたし兼ねるのでありますが、当時発行いてしました国債につきましては、御承知のように銀行その他額面価格で実際にのせておるわけであります。又日本銀行がそれを取りますにつきましても、三分五厘の、額面価格百円でありますれば九十八円で取つておる。こういう関係に相成つております。一度市場に売られております関係については統計その他で見ますと、大体七〇%程度で取引されておるのじやないかというふうに仄聞いたしております。
  66. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 こういう点をはつきりさして頂きたいと思うのは、次の理由からなんであります。戰時公債が相當発行當時から、時が経つに従つて持主を変えて転々としておると思います。そうして現在では大體百円のは七十円見當というような市価になつておると仮定いたしますと、仮定として話しますが、この七十円見當の市価になつておるものに対して百円について三分五厘の利子を払つておりますと、利回りは大體五分になる。五分というのは高い利回りになつておるようなわけなんであります。銀行が仮に市中から借入て七十円持つておるとすれば、そりによつて五分の利回りを稼いでおる。しかも他方において銀行がこれを日本銀行に担保に入れて、例えば九十八円なりというような金を借出し、そうしてこれを一般産業界に貸付けるのに五分とか六分とかいう。そういう高い利子で貸付けております。こういうふうに伺つておるが、戰時公債を種にして市中銀行は相當大幅の稼ぎをやつておるということになると思うのです。で、私が本会議で戰時公債の利子だけについては、徹底的な利下げの方法を例えば三分五厘の利子を一分くらい引下げたらどうかというようなことを申したわけなんでありますが、その引下げによつて金融機関が相當な迷惑を蒙る。それがひいて預金者に非常に迷惑をかけるというようなことになれば、これは又別の点から考えなければならいのですが、今公債の価格の問題だけから考えても余りに銀行が高率にこれを運用している。つまり儲け過ぎているということを思うのです。で戰時中のいろいろな思出を我々はだんだんだんだん払拭して行かなければならない時に、戰時公債だけがこういうようなふうに銀行の大きな儲けの種になつておるというようなことは、どうも公正の見地から考えて妥當ぢやないと思うのです。そういう点についての方策を講じても尚且銀行にそう大した迷惑はかけない。預金者にそう大した迷惑はかけないという見透しが立つのじやないか。こういうことを確かめたいために聴いておるのですが、當局におきまして市価の点について詳細な調査を一つ出して頂きたいと思います。先程申あげた戰時中の国債、貯蓄債券、報国債券等の総額のはつきりした数字、それから銀行その他の金融機関の手許にそういうものがどれ程集積されておるかという点、この点はまあはつきりした数字が出ると思います。  それから、これに関連いたしまして現在の市中銀行は、インフレーションの進行によつて資産内容はよくなつておらないということを大蔵政務次官は申しておられましたが、これはその理由として銀行は何も物的な財産を持つてないからということを言われましたけれども、これはちよつと納得できない。銀行の取扱金額がべらぼうに殖えておる。そうして利子はどんどん高くなりつつある。人件費も一方において殖えておりましようけれども、私はインフレーションによつて銀行の取扱金額の殖え方がむしろ大きいと思う。そのために銀行資産の内容は相當よくなつておると思う。これは私の推測なんですが、銀行検査の結果として、どんなふうになつておるかというような数字も一つ出して頂きたいと思います。
  67. 河野一之

    政府委員(河野一之君) お話がありました諸点につきましては、早速関係の方へ連絡して取調べまして御報国申上げます。ただ国債は戦時中でもそうでありますが、現在でも大體預金部を合せまして九割程度は金融機関が持つております。そういたしまして戦時中の国債は大體九十八円ということで持つておりますので、それを市中に売ることによつて先程の七〇%ということになりますと、金融機関としては却て損が行くというような関係で現在のところは、大體一般市中に売買ということでなしに、日本銀行との間における売買というものが主として行われておる。或いは預金部との間における売買というような建前になつておるようであります。実情は分部五厘の公債との交換というようなことも多少はあるように私も聴いておりますので、公債を一般的に市中に売つて儲けるということは、恐らくないのじやないかと思います。
  68. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 ちよつと、それは政府委員が誤解しておられるので、私の言うのは市中銀行の手許に入る公債が現在では七十円見当で入つておるという意味なんです。
  69. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 私もその点につきましての関係政府委員でありませんので、いずれ後刻その点を取調べさせまして、お答え申上げたいと思います。
  70. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 それからもう一つちよつと事務当局が違うかも知れませんが、證券の問題について少しお尋ねしたい点があるのです。一つはこの財産税納付の場合に税金として受取つた證券が相當多額にあると私は思いますが、どのくらいの金額になつておりますか。財産税の納入に充てられた證券の中で。
  71. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 只今資料を手許に持つておりませんが、私の記憶いたしておるところでは、国債だけで二十億圓程度であつたかと存じます。
  72. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 この点も正確に資料を一度取つて頂きたいと思います。国債並びに株式その他どんな程度のものがあるか、そうして又それをどの程度に既に換金しておるかということ、それからもう一つは特に株式でありますが、株式を財産税の時に取上げた時の評価額と現在の一般市価との開きが相当あると思いますが、これによつて予定財産税收入の何割ぐらいが減つておるか、或いは殖えておるかという点、これも一つ調査して出して頂きたいと思います。  もう一つは、持株会社整理委員会の手許にある株式をこれを一般化する、特に従来の持株会社の従事員であつた労務者にも、まあ優先的に分けるといつたような方針が決つておると思いますが、この持株会社整理委員会の持つておる株式は一体どれ程現在までに処分されておるか。又どういう程度に労働組合などが持ち得たか、この方針がどこので遂行されておるかという点、これについても一つはつきりとした資料を出して頂きたいと思います。
  73. 櫻内辰郎

    ○委員長(櫻内辰郎君) 藤田芳雄君、大蔵当局に対する御質疑がありましたらどうぞ……。
  74. 藤田芳雄

    ○藤田芳雄君 實は大臣にお聴きしたいと思つておつたのですけれども、只今の御質疑の内容からしまして、今ここで直ぐお聴きすることはむずかしいと思いますので、ここで私入り用だと思う項目を申上げますから、この次までに一つお調の上御答弁願いたいと思います。先ず一つは本会議で今回の予算を立てます根本として国民所得を九千億圓と見積つたその内容は予算委員会に提出するというお話であつたのですが、これがまだ出ておりません。これが分りませんと、實は予算の根本についての点がはつきりいたしませんから、どうか至急これを出して頂きたい。これが第一。それから第二に現在の日本銀行券を所有しておる者はいわゆる日本人及び第三国人というふうに分けられると思うのでありますが、それがどんな割合に所有されておるか。これを一つお知らせ願いたいと思います。それから今一つはこの所得税の問題で、先程次官からお話があつたようでありますが、先日予算を見ますと、終戦処理費の中にここに随分沢山な要員として使われている者があり、それの経費も相当多額に計上されておるのでありますが、それらの人の所得税はどんな形において取られておるのか、それから同時に先程お願いした第三国人の所得についての税については調査中だというお話でありましたけれどもこれは調査中では済まないのじやないか。法律に現に徴税することになつておるのでありますから、当然もうこれでほぼ年度の半ばを過ぎておるのでありますから、今更調査中じやない。その取つておる状況實際をお知らせ願いたい。こう思うのであります。その点をお聴きしたいのであります。
  75. 櫻内辰郎

    ○委員長(櫻内辰郎君) それでは今のは資料として提供願うようにいたします。川上嘉君事務当局への質疑はございませんか。
  76. 川上嘉

    川上嘉君 誰も来ていないので駄目ですね。
  77. 櫻内辰郎

    ○委員長(櫻内辰郎君) 今主税局長が来られます。
  78. 西郷吉之助

    ○西郷吉之助君 それまで休憩しましては……。
  79. 櫻内辰郎

    ○委員長(櫻内辰郎君) では暫く休憩いたします。    午後二時四十三分休憩    —————・—————    午後三時五分開会
  80. 櫻内辰郎

    ○委員長(櫻内辰郎君) 開会いたします。大蔵当局に対する質疑を続行いたします。川上嘉君。
  81. 川上嘉

    川上嘉君 昨日私は本会議におきましても質問したのですが、ポイントをはずれた答弁で、非常に遺憾に思つておりますが、先ず主税局に質問いたしたいことは、本年度における今日までの大体の徴税の実績の概略を御報告願いたいと思います。  それから政府が度々言うておる税務機構の拡充強化がどの程度進捗しておるか。その進捗状況並びに税務職員の待遇問題についての政府の具体策。それから国民運動の具体的な方法を御報告願いたいと思います。  それから銀行を調査する権限を、政府側が拒否しておるが、どういう理由か、その具体的な理由を述べて貰いたい、  それから第三国人に対する課税、これを税法では当然徴収できることに相成つておりますが、これに対する対策なりをどの程度講じておられるか。以上の点についてお伺いいたします。
  82. 前尾繁三郎

    政府委員(前尾繁三郎君) 只今の御質問にお答えいたします。具体的に申上げるのですが、只今の御質問は非常に抽象的でありますので、或いは尚。更に質問して頂いて、お答え申上げた方がいいと思います。  先ず現在までの徴税状況でありますが、既に申上げております通りに、九月末までの国庫收入は二百六十二億というような實情であります。今回の追加予算を入れますと、千三百三十二億でありまして、今後におきまして百七十億出さなければならんという事態に追い込まれておりますことは、たびたび申上げている次第であります。併し二百六十二億の元になりました、即ち上半期を對象といたしました場合に考えて参りますと、他の源泉課税のもの並びに消費税等につきましては、これは月々入つて参るのでありますし、當初考えておりました當初予算における物價或いは賃金の水準から考えまして、大體順調に行つておるというふうに考えていいのではないかと思つております。ただ申告納税の分が、當初予算にいたしますと、人員に對しましては八割以上の申告者があるのでありますが、所得金額になりますと六割なんぼかに當つております。従いまして當初予算に對しましては、税額においては二割六分という程度の深刻しかないのであります。併し我々も當初からそういうような事態も考えられますので、いずれにいたしましても更正決定をやらなければならんということは考えておつた次第であります。従いまして上半期といたしましては、幾分法人税の決定が遅れておるというような点、それから増加所得税の怠納整理が遅延したという点からいたしまして、月別に考えると幾分予想より下廻つておつた次第でありますが、大した予想違いというようなことではございません。ただ今後におきまして追加予算のあれを入れて見ますと、従来の所得税の申告納税は一割五、六分に足りないというようなことになりますのであります。しかしそれにいたしましても、追加予算の租税收入の見積りは、最近の物價の改訂、賃金の千二百円ベースから千八百円ベースなりましたそういうような状況を織り込んでおりますので、源泉課税並びに消費税等につきましては、最近相當殖えて参つておるのでありますし、その点については現在見込んでおります通りの收入は入ると思つております。ただ問題は所得税であります。所得税も只今更正決定の準備中でありますので、これは年度内に更正決定を大體終りまして、怠納整理というような点に努力をいたしますれば、本年度追加予算を含みました予算は、大體において十分に取り得るという確信をもつておる次第でございます。  次に税務機構の拡充の問題でございまするが、1つは税務署の分割というので、八十一の税務署を只今のところ新設いたしまして、成るべく納税者に便宜であり、又税務署といたしましても、重点的に調査をし得るというような態勢に持つて行つた次第であります。それからこの税務署員の定員の増加、これは既に定員といたしまして二級官四千名、三級官大體一万人、それに準ずる雇用人の増員をいたしたのでありまするが、只今のところまでは大體において雇員の方を確か六千名程入れたと思うのでありますが、二級官は外部から補充いたしておりますが、余り只今のところ良い方が参つておりません。又部内の優秀な人の二級官の銓衡は相當いたしておりますので、最近において二級官の補充はできると思つております。三級官も結局現在の雇員で一年以上も経ちましたものを引上げて行けば相當数補充できるものでありますが、いずれにいたしましても最近から三級官として採用し得るというような適當な人がありませんので、最近におきましては、いわゆる普通試験というようなものも試みておるような次第であります。尤も地方におきましては割合に応募者があるのでありますが、残念なことには東京、大阪というような重点をおかなくちやならんというような所で、なかなか人が得られないというような状況でありまして、これは待遇改善その他の問題と絡んで考えなくちやならん問題でありますし、又住宅の問題というようなことも考えなければ、なかなか補充は困難な状況であります。いずれにいたしましても、税務官吏として一本立になるということについては、相當な日数を要しますので、只今緊急措置としては各財務局等におきまして短期の講習をやつて、できるだけ急場に間に合わせるというような意味でやつております。恒久的な税務官吏の養成といたしましては税務講習所というようなのを拡充強化いたしまして、これは相當な応募者があり、相當な成績を挙げておる次第であります。又現在税務官吏であります中で二百人ばかりを高等財務講習所というのを東京に設けまして只今養成中であります。恒久的な對策としては、割合円滑に行つておりますが、急場の間に合わないというので聊か我々も懸念しておる次第でありますが、いずれにいたしましても最善の努力を尽すという以外にはいたし方ない問題でありますので、できるだけ税務官吏の待遇の改善というようなこと、それから尚各省に配置転換というような方法によりまして、相當数の若い優秀な人を頂きたいというようなことも要望いたしておる次第であります。それ以外の税務機構の改正といたしましては、財務局をどういうふうに持つて行くかということで、地方財務局の数を殖やすという案も考えられます。又県毎に支局を設けるというようなことも考えられるのでありますが、いずれにいたしましても余り財務局の分割というようなことをやりますと、結局人が分割されることによつて能率が低下するというような虞がありますので、只今のところ財務局の定員を相當殖やすと共に、各県に分駐する制度を設け、又県毎の所在地に財務局員として分駐して、その機能を発揮して貰う。その中心として直税部におきましては監査課、それから関税部におきましては監視課、それから徴收の面におきましては滞納整理課というような課を設けまして、その分駐員の中枢的な仕事をやつて貰うというようなことで進んでおります。尚権限の点におきまして、財務局長にも直接税並びに間接税の決定権を持たせるというような改正もいたしております。主税局におきましては最近におきまして、職員課と管理課という二課を設けまして、實務行政の面におきまして實地指導なり、又實際の運営の締め括りというような意味で仕事をさしておる次第であります。従来主税局は殆ど企画に追われておりまして、實際の實務行政の面に目が届かなかつたというような点も只今申上げました監理課なり。職員課という面で補つて行くというような考え方で進んでおるわけです。それから次は税務官吏の待遇の改善の問題でございます。主税局の當局としましてはできるだけ優遇して頂きたいということを皆さんにお願いいたしておる次第でありますが、単に税務官吏のみを優遇するというような、大蔵省としましては行き得ない面もありますので、今回の改善といたしましては、その主なものは結局において税務官吏の一番主要な仕事であります。實際に出張して調査するなり、或いは滞納処分をするなり方法で行かなければなりません。重要な調査の事務に出張いたしました場合に、調査手當、或いは検査手當、滞納処分整理手當というような方法で手當を支給する。殊に最近いろいろな密造の検挙におきまして不詳な事件も起つておりますので、そういうような危険な仕事に従事いたしました場合には、危険手當、又最近は滞納処分等につきましての出張旅費が従来は幾分違つておつたのでありますが、それが最近給与の統制になりまして、余り差が設けられていないというような点も、先程申しました滞納整理手當というような中に織り込んで行くというような建前で、この公務員給与法案が通過いたしますと、政令で出し得る事項でありまするが、それでは急務の間に合わないというようなことも考えられますので、單行法で出すべきかどうかというので、折角今交渉中でございます。それ以外に實際面といたしまして、いろいろ弊害を伴うことを慮りまして、できるだけ被服の斡旋だとか、自転車等の斡旋というようなことも、これは待遇の改善ではありませんが、折角努力いたしておるのであります。次に納税運動の詳細はどうかというような御質問に對しましては、これも實は法案を出しますと同時に、できれば国会の決議を頂いて、国民全般に税に對する認識、どうしてもこの税を納めなければインフレーションは必至でもあり、日本の再建はできないという認識を十分高めて頂く。それと一方におきましては、各種団体に呼び掛けまして、国民、溶くに民間から沸き上がる納税運動というようなものを展開し、いろいろ政府といたしましても相當の決意を表明いたしまして、この重い負担に耐えて頂く。又ラジオ、或いは報道機関を使いまして普及徹底をやる。殊に最近までの紙の入手が非常に困難でありましたので、簡易なパンフレットを作りまして、實際税のことがどういうふうになつておるかということを周知させるというような方法をとりたいと思います。いずれにしましても税と貯蓄という二つの運動を、大蔵省としては従来は貯蓄を中心として税の運動をやつておりましたのでありますが、今度は税を表面に、第一面に押し立てまして、又そのときどきに従つて両々相俟つて行くというふうに進行して行きたいというふうに考えておるわけであります。次に銀行預金の調査権の問題であります。銀行預金の調査権は既に御承知のとおり、税法としてはこれはできることになつておるのであります。唯問題は先程申上げました税と貯蓄という問題が又大きな一要素を成しているわけでありますので、貯蓄に對する不安というものを起させるということは必ずしも得策ではない。又預金のみを調査いたしまして預金した部分は正確に税の補足をされるが、他の預金をせずに、或いは物で持つておるという人に強く當つて行けないというような片手落ちなことになりますことは、この際避けるべきであるというふうに考えておりますので、むしろ實際物に換えておるという人に強く當つて行くというような方針をとつておる次第であります。従いまして只今のところ、全般的に銀行預金を調査いたしまして、それによつて所得税の資料にするということはいたしておりません。唯併し非常に脱税の嫌疑濃厚な場合におきましては、これは當然調査権がありますので、それを発動して調査するということにいたしておる次第であります。これは税の面からいたしますと、幾分歯痒いのでありますが、併し税と貯蓄という両面の政策を併行してやらなければならんという場合でありますので、當分この通貨の不安定なときにおきましては、只今方法も止むを得ないというふうに考えておる次第であります。次に第三国人の課税の問題でありますが、これはもう我々といたしましては、いろいろ従来の経緯もあるのでありますが、明確に課税してよいということになつております。唯問題は實行の問題であります。又實行いたすにいたしましても、第三国人の人もいろいろ言い分がありますので、又初めから強制力をもつてやるということが、必ずしも得策ではありません。従いましていろいろ交渉いたしておるのでありまするが、唯残念なことには、我々が直接に第三国人の代表団というような人と交渉する権限を持たないのであります。その点は禁止されておりますので、その交渉はむしろ實際面として納税してもらうという1番末端でいろいろ話をつけて頂くということよりいてし方がないというような状況にありますので、我々は関係方面といろいろ交渉して、関係方面からのいろいろ指導して頂くということと、末端の方から實際に課税をどういうふうにして行くかという話合をつけて行くこと。この両方から折角努力いたしておるのでありますが、大分話は円滑に進行しつつあります。まだ最後の話まで来ておりませんことは甚だ遺憾に存じておるわけでありますが、大分最近は話合は好転しつつあるという實情にあることは申上げて憚らないというふうに考えておる次第であります。
  83. 櫻内辰郎

    ○委員長(櫻内辰郎君) 川上さんまだ御質疑あるでせうが、先程から文部大臣が見えておりまして、文部大臣は四時までしかここにおられないことになつておりますから、文部大臣に対する質疑を先にやつて頂きます。西川さん文部大臣に対する御質問を……。
  84. 西川昌夫

    ○西川昌夫君 六・三制の問題についてお尋ねしたいと思います。六・三制の問題につきまして、国民一般は案外に負担の大きいことに驚いております。これを細かく数字をとつてみますると、最近の何からしますと、学校の設備その他の寄付金、或いは借入金、その他の方法によりまして、全国で恐らく私の考では一千億乃至一千五百億の負担をするのではないか。尚次年度、逐次その何か設備の方は少くなるでありましようが、経費の点では、この来年、再来年において殖えて行く。かようなものが現在の国民の所得において、或いは負担能力において負担し得るや、又理想におきましては、文化国家を建設する上におきまして、六・三制甚だ結構でありまするけれども、敗戦国になつた今日、いわゆる個人の経済におきましては、本当に破産しちやつた状況におきまして、普通の人並の生活のできるときなら、子供を中学までも、大学までもやれる。やらなくてはいかんというのが普通の常識であります。破産の状況なり敗戰の今日、教育どころじやない。先ず親が食つて行かなければいかんというような考え方をしなければ国の経済も成り立たん。かように思いますと、理想として一応當分棚上げして置いて、国民のこういつた経費に耐え得る状況になるまで、考えたらどうかというように思うのであります。国会等にもいろいろ陳情がわんさわんさと来ますが、延ばして呉れという陳情はなくて、国庫から金を出してしつかりやつて呉れ、断行して呉れという要望はあるようでありますが、これは偏つた要望でありまして、八千万の国民の大部分はえらいことだと溜息をついておるのが実情じやないかと思います。文部大臣の将来の見透しをお伺いしたいと思います。
  85. 森戸辰男

    国務大臣(森戸辰男君) お答えいたします。只今の御質疑で、新しい教育の刷新が、ことに六・三制が地方にも大きな負担になつておるということは誠にその通りであります。そうして地方も国も共に財政的に余裕があるのではありませんから、これが生活の上にも相当響いておるということも事実であります。けれども新しい日本が立直るのには、私は新しい次代を育てて行かなければならんのであつて、この窮乏の間にも、新しい日本を作るということを怠つてはならない。ことに日本が将来世界に尊ばれ、愛せられる国になるのには、どうしても苦しい中にも、次代を育てて行く教育制度を完備しなければならんと考えておりまするし、実は財政的の事情においては非常に苦しいということはよく存じておりまするけれども、而も尚私は地方の人々も、亦苦しい中にもそれをやつて行かなければならんという決意を持つておられるように受けたまわつておるのであります。(「同感」と呼ぶ者あり)私共年次計画といたしまして、この六・三制が苦しい中にも、而も最小限度を保ちながら実行できるものと確信いたしておりまして、そういう方向に実は最善の力を示して行きたいと存じておるのであります。勿論これは楽なことではないのでありまして、日本を建てるのには、教育のみならず、総て無理があるのであります。私は次の時代を作るために、相當日本の人が無理をしても、それは十年の後、二十年の後には、必ず悔いないと考えておる次第であります。私といたしましては、この六・三制が、実は中止されたり、延期されることでなく、この間にも日本の経済事情を無視してではなく、これと均衡を保ちながら貫徹されることを臨んでおりまするし、現政府もそういう方針をとつておるのであります。
  86. 河野正夫

    ○河野正夫君 只今の御質問は、昨日の石坂委員の質問と全く同工異曲であると思うのであります。昨日は非常に寥々とした諸君の御出席でありましたけれども、こういうふうにして後から後から同じ問題を繰返し聴かれておるということについては、もう少し議事進行について御考慮を願いたいと思うのであります。段々と質疑が重なりますれば、おのずからそこに重複したものもありましようから、それが筋道が違い、いろいろな点から重複のように見えても、そうでない場合は、勿論差支ありませんけれども、欠席しておつたりなんぞして、他の議員の方の質疑を御存知ないということがあるとすると……、あるというのではありませんけれども、議事がだらだらして余計……私は参議院らしい緻密な審議ということを理想とするのでありますが、そうでない点が出て来やせんかと思います。委員長の御注意を希望いたします。
  87. 西川昌夫

    ○西川昌夫君 先ほど申上げました通り、理想としては結構でありまするが、内容を伴わない、殆ど校舎もなし、教科書もなし、鉛筆もないといつたような、ただ形だけの、看板だけの新制中学をやつて何の甲斐がある、実質をともなつた六・三制を我々は要望するのであります。それを実質を伴つた教育をしようとするには、金がない。国家自身も破産の状況であり、国民自身も敗戦の結果そういつたものに堪え切れない。現状がそういう教育の空白なんでありまして、生徒を時々集めたということが文化国家の基礎になる。十年先にも悔いない……。悔いないということは、理想としては勿論我々は文相の意見に一〇〇%同感でありまするが、内容を伴わないことを強行しても何にもならんと存ずるのであります。これだけ申上げておきます。
  88. 森戸辰男

    ○國務大臣(森戸辰男君) 只今お話でございますけれども、殆ど校舎もなく、教科書もなく、或いは先生もなく、こういう空虚な新制度を始めてもこれはいかんではないかということでございますが、実はこれは非常な言い過ぎでありまして、校舎も相当ありまするし、先生方もありまするし、教科書も少しは足らないところもありまするが、相当に今では殆ど行つておると存ずるのであります。でありまするから、実は不十分なところもありますけれども、それを忍びながらやつて行かなければならん。ただ理想がよいというのではなく、この六・三制度は単に理想の問題ではなく、窮乏の中にこれをやつて行くか、やつて行かんかの問題でありまして、我々は単なる理想を追うのではなく、この窮乏の間に最小限度を守りながらやつて行くということが問題になつておるのであります。
  89. 石坂豊一

    石坂豊一君 ちよつと今の点に関連して……、只今の御答弁でありますが、実は先刻、私地方から陳情に参りました八人の人に接して見ますと、異口同音に六・三制の問題を訴えて参りました。それはどういうことを申すかと申しますと、我々は学校舎も教員給も全部国庫でやつて貰えると思うからこの六・三制を謳歌するのである。然るにこの頃文部省から言うて来るところによると、建築費は国庫で補助するというが、半額を補助するというけれども、その補助の金額は建築費一坪について三千円、ところ実際は八千円もかかる。文部省は六千円と見て半額の参千円と言うけれども、この頃は八銭円でも、殆どバラックのようなもので瓦も上らんようなものしかできん。一学級について二十五坪要る。それを最小限二十坪のものを建てても二百四十万円かかる。半額貰つても百二十万円、況や八千円かかるのであるからして町村の方の負担というものは大したことになる。で若しそれだけ国庫が出して呉れんということならば止めて貰いたい。こう申すのであります。非常な問題なんです。文部大臣は高いところにおつて存じないかもしれないが、地方に行くと、いく今言う通り全く国家に寄りかかるつもりでやつておる。それは今西川さんが申されたように、又私が昨日言うた通り、国家が破産しておる。そのものに何ぼ訴えてもやれるものではありません。又そういうところに金を出しておつたら他の仕事をどうしますか、それだからこれは今文部大臣は校舎があるとおつしやるけれども、ありません。それは義務教育六年の校舎はございましよう。その以上に更に高等小学校二年を持つておるものはそれだけのものは又ございましようけれども、中学校の六・三制そのものを収容する校舎はないのであります。来年からちよいとした町村でも、百名からの生徒を入れなければならん。非常な苦痛を訴えておる。そうして皆の申すには、誠に困り果てたものだ。今年の教育は成つておらん。全く人の子を毒する中途半端なものを作つて出しておるのであるから、こういうことならむしろ高等小学校にして、そして内容を十分充実して、力のある生徒を出して貰いたい。異口同音にそう訴えておる。ことさら政府を攻撃するために言うのでもなければ、文部省に楯つくために言うのでもない。本当に地方にそういう実情が溢れておりますから、困り切つておる。文部省においてこの六・三制の問題を教員も校舎も全部抱えこむ勇気があれば、それは強制せられることもよかろうけれども、そうでもなければ余程これはお考えなつた方がよかろうと思う。そこで私は一つの名案を申上げたい。それは戰災の復興地の学校、ないとこは全部建ててやる。そうでないところは全部向うに建てさせる。その代りに、これはちよつと空証文のようなことでありますけれども、国家が保障して国に力が著いたときには買戻してやるから、それでやれ、こうなれば国家が補償して呉れるのであるから、それは当然汗膏を流してでも、皆それは忍んで行きましよう。その二段構えでなければ実際できません。そういう中途半端な半額補助と言つておるが、実際にはわずかに三割程の補助しかやらんというようなことになりますと、非常に自治体が困ることは明瞭であります。昨日も文部大臣は、結構な制度だからやつて呉れ、やつて呉れと言うと言われるけれども、それは校舎も設備も教員の給料も、全部文部省にお預けするつもりで言う。自分の方で支払するのなら、皆悉くこれに応ずるものは私はあるまいと思います。私は戦災によつて全部焼け落ちたところの市長をしておりましたので、これは確かに校舎はありません。野天でやるより外はない。児童の下足場を改造したり、職員の玄関口を直したり、そういう所でごまかしな教育をやつておる。それは実際です。そういうようなことでありますから。これは文部省はもう少し考えられたらよい。序に申し上げるのは、これは訴えたいのだが、六・三制のことにさように力を入れられるお手元はどうですか。文部省の直轄学校で焼けたところは、皆それつ切りで放つてるではありませんか、東京高等の如きは代々幡にあつたのが、どこか三鷹というところに行つておる。大変な交通費を使つて停車場から一里もある。バスに乗ると五円も取られる。そういうところに行つておる。父兄は非常に困つておる。そこへ行く生徒はどうかというと、風が吹けば教科書もノートも吹つ飛んでしまう。雨が降ればざんざと漏る。天気がよければ埃が立つて来る。始末に終えんところで授業を受けておる。故にちよつと困ると、野天に出てスポーツばかりやつておる。そういうことを文部省はご存知でありましようか。自分の手前の方はそれつ切り放つておいて、高等教育だから勝手にやれという思召かもしれんが、一つも設備もできておらん。学校の子供は一生懸命になつて、あそこへ行け、ここへ行けと奔走して、三鷹に校舎を借りて入れておる。これは棄ておけんことであります。月を経るに従つて大学に入らなければならん。そういう生徒は殆ど学校らしいところでない所で教えを受けておる。これは昨日も申しました通り、学校教育は学校がなくてはできるものではない。どこでもやれる。やらねばならんと言うてみても、雨も降れば雪も降る。そういうところで教育ができると思召せば非常な間違いであります。もう一度お考え直しを願いたい。是非これを強行せらるるならば、学校舎のないところは、国で全額負担する。殊に戦災都市に限つては国で建ててやる。焼けておらんところは、統合するなり地方に負担させる。併しそれは国家に力が付き次第その跡始末をしてやる。二段構えでなさるのがよいかと考えます。これについて大臣の所見を伺つておきます。
  90. 森戸辰男

    国務大臣(森戸辰男君) 石坂さんからのいろいろな御注意ありがたく拝聴いたしました。尚私の承つておるところでは、富山県では組合立の中学校で非常に成績がよい。で私にも是非見に来て呉れという所があります。私も暇があつたら行こうと思つておるのでありますが、今お聞きのところは丁度悪いところだけがあなたのところに御報告申上げたのでありまして、私は全般的な意見ではないじやないかと存じております。(「同感」と呼ぶ者あり)それからいろいろ六・三制、今日の学校が子供を毒するものであるというようなお話でありましたが、私は今日青少年の不良状態が問題になつておるのですが、あれがあれだけに止まつておるのは六・三制が行われておることによるのである。勿論今日の教育は、教育のみならず、工場その他においても実は十分とは申されません。併しこの間に私共地方庁も、父兄たちも、先生たちも、子供たちも一生懸命にやつて見て頂いていると思うのであります。そうしてそれが不十分でありますけれども、段々と新しい日本の次代が育つて行くのでありまして、決してこれが却つて若い人の子を毒するものであり、内容のない教育であるとは存じておりません。むしろ石坂さんのように有力な方が積極的にお働き下すつて、富山県のようにいい発足をするところの教育を充実して下さるような線に御協力頂くようなことにお願いいたしたいと存ずる次第であります。
  91. 石坂豊一

    石坂豊一君 私も昨日申上げた通り、教育の機会均等を希望し、又国民教育の程度を高めることには少しも異存がない。併しながら今日地方自治体も非常に経費多端でありまして、殊に資材の乏しい時代において中学校の校舎を各村に置くということは容易でない。それで止むを得ずいろいろ工面をしてやつております。中に校舎の余分があつたところなどは、それはやつておるかも知れません。又そういうところし決してこれを拒絶しておるわけではないのであります。併し何としても国の補助がなかつたならば、やることはできないということは皆異口同音に訴えておる。これは私ばかりでもない。先頃召集された地方長官会議にもそういう話があつたろうと思います。私も又訴えますのは、富山市の如く戦災にあつて焼けてしまつておるところでは、小学校の校舎すら漸く二部教授にしてやつておるようなわけで、これ以上六・三制の学校の設備ができないことは、私は足元でよく分つております。熱意を持つておることは、皆何人も持つております。何も文部大臣が言われるようにこれは厭だというのではないのであります。ただ学校教育は後者がなくてはできるものでないということを申上げるのであります。その点をよく誤解がないように聴いて頂きたい。私はやらんでもいいというのではない。やるならば校舎を建てるようにしてやらなければならない。それはなかなか容易なことではない。それからないところは設備をしてやる。こういうことに願いたい。  それから最後に文部大臣に申上げ置きたいことは、師範教育の中で、青年師範学校が別になつておる。それで青年学校というのは、これは戦時体制のときにむしろ鍛錬ということに重きを置いて、工場その他において働いておる余裕あるところの時間を以て、不定時に出て来て鍛錬をさせた。むしろ軍事教育を強いたくらいであります。それが今日残つて軍隊の教練を止めて修養することになつておるのでありますが、主として農村において農事教育を施すということになつております。これが今普通の師範学校が専門程度なりましたならば、一つに統一してよさそうに我々は思う。それが両立になりまして、青年学校というのはどういうふうになるのか、いろいろ疑惑を抱いておる者もございますので、この点に関する大臣の御方針を伺つて置きたいと思います。
  92. 森戸辰男

    国務大臣(森戸辰男君) 青年師範学校に対する御質問であります。青年師範学校というのは、青年学校の先生、これはいわゆる鍛錬、軍事教練の先生ではなく、職業的な勤労を指導する先生を養成する学校であります。で青年学校の高等学校ができますると、来年から廃止されることになりますので、従つて従来の青年学校の教師を養成するための青年師範学校というのは、存在の基礎がなくなることになるのであります。併し同時に中学校、並びに高等学校には職業の教育が行なわれなければなりませんし、又高等学校の中、勤労青年を対象とする定時制の高等学校というものが目論まれておりまして、発足から力を十分に入れたいと思いまするが、経済的の制約の下に完全には行きませんけれども、この勤労青年を対象とする定時制の高等学校におきましては、殊に農村において職業的な指導をするところの先生が必要であることは変わりないのであります。そこでこれらの新制中学校及び新制高等学校の職業教育、並びに定時制高等学校における職業を指導する教師というものが必要であるわけであります。教員養成の機関につきましては、只今考究中でありまして、まだ具体的な形を申上げることはできませんけれども、この養成機関の中、今申上げましたような意味の職業的な方面を掌るところの、教師を養成する機関の必要であることも動かせないのでありまして、一般の師範のいわゆる学芸的な、教育とは違つた形のものが必要とされるのでありまして、新しい教員養成の機関の中に、かような事情が考慮されるであろうということが考えられるのであります。
  93. 櫻内辰郎

    ○委員長(櫻内辰郎君) 安本長官に対する御質疑を願いたいと存じます。西郷吉之助君。
  94. 西郷吉之助

    ○西郷吉之助君 本委員会で本日午前中に闇撲滅に関します質問がありまして、安本長官からいろいろお答えを頂いたのでありますが、私はそれに関連いたしまして、実はインフレ助長の折柄、今朝ほどのお話は物に対する闇撲滅のお話であつたのでありますが、今日はその資金面におきまして、闇資金と今日云われて、これがために或いは産業資金の封鎖で貸出したものが、一割とか一割五分の手数料を払つて、そうして闇金融によつて産業資金が一部賄われておるという今日の状況なのでありまするので、この際そういうふうな闇資金を撲滅する上からも、又その結果インフレ防止の点から申しましても、是非この際産業資金の貸出につきましては、今日産業資金の貸出順位表というものは細かく分れておりまして、多分重点産業である石炭とか、肥料とか、そういうふうなものは大部分新円で貸出がされておると思いますが、甲乙丙に分れておる順位の中で、甲の二以下は大部分が封鎖で貸出しされておる結果、今日の経済の実情から云つて、どうしても封鎖では物が買えない。従つて闇金融というふうなものに頼らなくちやならん。又どうしてもインフレ阻止の上からは産業を向上しなくてはならんので、産業資金の放出ということになりますと、現状のままで、単に甲の一という部分だけを新円で出しておる現状におきましては、益々闇資金が活動の範囲を増大するというふうなことになつて、誠に憂うべき状態にあると私は考えますので、この際是非この段階におきまして、もう遅過ぎはしないのでありますから、甲の二以下におきましても産業の中に、多数の重要な部面が含まれておりますので、この際政府当局におきましては、この甲の二以下におきましても、急速に甲の一の順位と同様に産業資金の貸出に対しましては、十分その総額を検討すると共に、その貸出に際しましては甲の一順位並みに新円で全額出しまして、重大なる生産に当る者が闇金融というふうなものに頼らないで済むというふうにして頂きたいと私は考えますので、この順位表を拝見しましても、非常に細かく分れておりまして、今日どうしても甲の二以下のものにおきましても、甲の一同等の待遇を頂いて然るべきものが多数あると私は考えるのであります。この委員会におきまして、午前中、安本長官から闇撲滅に対するいろいろの御所見を伺いましたが、是非ともそれに加えまするに、この闇金融の撲滅という点におきましても、安本において十分お考え願いまして、甲の二以下につきまして、急速に新円で生産資金が出るようにして頂きたいと、かように私は考えますが、この点につきまして、和田国務大臣の御所見を承りたいと、さように考える次第であります。
  95. 和田博雄

    国務大臣和田博雄君) お答えいたします。御尤もな御意見でありまして、闇金融の問題も、やはり産業面にとりましては大きな影響を持つておりますので、我々の方といたしましては、只今のところ、何と言つても重要な甲の一について自由支払い、新円支払いということでやつておるのであります。お話の点御尤もな点もありまするし、又我々の方としても、その点は非常に重要と考えましたので、甲の二については、これはもう近く全額新円支払いにしようと思つております。それから乙以下のものは、これはどうも事情をもう少し見まして、漸次御趣旨のような方向に持つて行こうと、こう思つておりますが、甲の二だけについては、これは一両日中に新円支払にしたいと、こういうような考えであります。
  96. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 現内閣におきましては、健全財政の方針を堅持して行くと言われております。又今度の追加予算におきましても、健全財政の方針はそこに現わしておるのでありまするが、併しこの点は実は大蔵大臣にお伺いしたいと思つたのですが、收支の均衡が、バランスがとれているから健全財政であるとは言えないことは言うまでもないことでありまして、均衡がとれるということは、健全財政の一つの要件であります。健全財政の要件としては、第一に均衡がとれるということ、第二には、それは国民生活の安定に役立つということ、第三には、国民経済上から再生産を助成する、そういう三点が揃つたとき、初めて健全財政と言われると思うのであります。  従つてこの中安本長官にお伺いしたいのは、この健全財政の条件の、第二の国民生活の安定の面につきまして、千八百円ベースの問題についてお伺いして見たいと思うのであります。  先ず最初にお伺いしたいことは、千八百円ベースで実際勤労大衆が生活して行けるとお考えであるか、お考えでないかという点について、一つ御所見をお伺いしたいのであります。
  97. 和田博雄

    国務大臣和田博雄君) 私は、千八百円ベースは、お話のように、千五百五十カロリー平均をベースにして立てたものでありますので、配給その他の物を十分に確保できまするならば、日本の今の国力から言いまして、これは私は生活はできると思うのであります。
  98. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 併し千八百円ベースで生活できるためには、安本長官もおつしやるように、その前提があるのでありまして、配給というものがきちんとできなければ生活できないしいうお話なんであります。そうしますと、千八百円では実際問題として生活できないということだと思うのであります。現実において、総理庁統計局の消費者価格調査、これを見ましても、大体これは全勤労者の生計費ではないのでありますけれども、平均して一ケ月六千円程度の支出になつておるのであります。この程度の支出をしなければ、常識としても生活できないということは分り切つておると思うのです。いわゆる千八百円ベースでは、四、二人では二千九百二十円であるのであります。そういう実際の調査を見ましても、大體六千円見当になつておるのであります。それであるのに千八百円ベースで生活できると、そうおつしやるのはどういう根拠でありますか。お伺いしたいと思うのであります。
  99. 和田博雄

    国務大臣和田博雄君) それは私非常におかしいと思うので、消費者価格の調査は、お話のように闇商人も入つていれば、いろいろな階級が入つておる。第一に、六千円か何千円か存じませんが、一体それでの物質的な内容はどうであるかということをやはり御検討になる必要が、私はあるのだろうと思う。食糧について言いますれば、二十一年度の上半期と二十二年度の下半期を比べて見れば、余程改善されておるのでありまして、配給だけの食糧消費量数を見ましても、二十一年度は千九十五カロリーしかなかつた。ところが二十二年度は千三百九というように改善されておるのであります。そこでそれは千八百円ベースでの、あの四、二人で二千九百二十円で食えるか食えないかということは、一体どういう生活水準であるかということであると思うのであります。これはどれだけ出しても、食えるか食えないかというところの問題というものは、常に附き纏うものだと思うのであります。そこで千八百円というものが持つておる意味は、インフレーションの研究家である木村さんに対しては釈迦に説法であると思いますが、どういう水準であるかということもやはりお考えつて、その方面からの御検討もお願いしたいと、かように私は考えております。
  100. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 只今総理庁統計局の消費者価格調査は、闇商人その他を含んでおる。そういうようなお話でありましたが、それでは、大蔵省において調査されました官庁給与官庁の職員の生活費八月分は、六千円を超えておるものであります。八月以前については、これは給与のでこぼこ、又支給がいろいろに分れておりましたから、正確に把握できませんが、大体八月においてはバランスがとれておると言われておりますが、それにおきましても大体六千円くらい、これはまあ常識であろうと思うのであります。この点については、追求しても、これは結局水掛論になると思うのです。併しながらそれは今、千八百円ベースはどういう内容で生活するかという点に懸かつておるとおつしやいましたが、成る程それは確かにそうであります。ところが、賃金水準が高いか低いかということを決める観点に大体私は三つあると思う。その一つは、その賃金で生活できるかできないか、いわゆる生活資金の観点、もう一つは社会的観点であつて、これは自分よりも外の人が豊かな生活をしておるかどうか、社会生活のアンバランスの問題であります。それから第三は、能率資金であります。この三つの観点から、資金水準が高いか低いかということが決まるのでありますが、それで、現在のように国民の生活水準が最低の生活水準にあるときに、どうしてもそれは生活資金に陥り易い。生活資金にならざるを得ない。ところが今度の千八百円ベース、この根拠は、これは能率賃金を主にした決め方であると思うのであります。それは六十五倍に公定価格を引き上げて、そうして実は千六百円を据え置き、二百円上つたというのは、六十五倍に物価を上げた跳ね返りに過ぎない。そうしてその根拠は、能率資金の考え方であります。それは、公定価格に対して能率賃金が高過ぎる。そういう観点から公定価格を大体二倍近く上げてバランスをとつたというのが、この賃金の決め方であると思うのであります。こういうように国民生活、殊に勤労者の生活が最低にある場合に、能率賃金のみから資金を見ることはできないのでありまして、やはり生活賃金というものも十分に考慮しなければ、生産も上りませんし、国民生活も安定しない、安定しないというのは、本当に乏しいながらもみんなが耐乏生活をしておれば、社会的賃金の観点から、苦しくてもそれは辛抱するのでありますが、現状においては、片方に非常に贅沢をする者があるかと思えば、片方においては非常に苦しい生活をしておる。賃金問題を見る場合に、この社会的観点もやはり忘れてはいけないのだろうと思います。この千八百円ベースは、その社会的な生活のアンバランスという点と、もう一つ能率賃金というものに重きをおき過ぎてる。そういう点について生活賃金の考をもつと加味しなければいけない。そういう意味において、この千八百円ベースは再検討をどうしても要すると私は思うのであります。この点について安本長官の御所見を承りたいと思います。
  101. 和田博雄

    国務大臣和田博雄君) 我々は今度の賃金問題を考えまする場合に、やはり名目賃金ということでなくして、社会的な実質賃金というものを一応念頭において、賃金問題をむしろそつちの方で解決して行きたい。こういう観点に立ちました。それはどういうことかといいますと、結局生活に必要な物資は、今の政府で握れる限りのものを正規のルートへ乗せる。そうしてそれを配給して行く。こういう限りにおいては、これは生活に関しては、各人に恐らく平等であろうということが言えると思うのであります。その観点を実は貫いてきたわけであります。併しそれは流通秩序その他の観点におきまして、十分な、一〇〇%の効果を挙げたとは私は申しません。併しその努力は我々として続けて来たつもりでありまして、そういう観点で只今のあなたの仰いました一つの生活という点においては、我々は策を施したいと思うのであります。ただ社会的な観点といいますものは、この社会各階層における不平等というものにつきましては、これは私は今の日本におきましては、所得の階層というものが戦争前の階層よりも余程変わつたと思うのであります。所得構成というものが、実際は掴みにくいのが、今のこれはもう経済を御存じの方なら大抵是認して頂けると思うのでありますが、掴みにくい問題があるのであります。併しそうだからといつて、社会的にそういう一つのアン・ジャスティスというようなものについて目をつぶつておるのではなくて、これは闇の撲滅、税の方でいえば闇利得者の捕捉ということで立ち向つて行こう。こういう考え方で進んで来ておるのであつて、それをやはり今後とも突き進めて行こう。こう思うのであります。  能率賃金の点は、これはお話のようにただ人間の労働力を経済的に考えることはできないのであつて能率によつて、やはりそこにペイされる場合が違つて来るという考え方はどうしても入れなければならんと思うのであります。ただ日本の現状からいえば、今のように生産が非常に低下しておる。国民生活の水準が非常に低下しておるときに、一つだけの観点からは物事が片付かない状態にあると思うのであります。殊に賃金制度に対しましても、これは今の日本の一つのキャピタリズムの社会でありながら、賃金制度自体というものは、私は本当に確立されていないと思います。家族手当であるとか、いろいろの手当であるとか、みんなただ食べるための賃金制度に近いような形になつてつて、本来ならば賃金システムとしては、それは私はあらゆる面において、そこにはまだまだ不合理な点があることは、これは認めざるを得ない。それをどういうように実際直して行くかということになるとすれば、一面からいうと、日本の経済そのものが安定して行く度合によつて、これは変つて来ざるを得ないと思うのであります。その意味では、官吏給与制度といつても合理的ではございのせん。これらについてはやはり民間その他のものとの間の何をやはり考えて行く。結局その給与制度自体の改善ということは、我々としても行つて行きたい。こう考えておる次第であります。
  102. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 只今説明は一応了承いたしましたが、実質賃金を確保するという点については、我々も全く同感でございますし、そういう点に我々も協力して行きたいと思つておりますが、併しながら実際問題として、実質賃金が確保できないという場合には、やはりこれは考慮しなければならんと思うのであります。  それから次に能率賃金と生活賃金の問題です。これは私も一概に生活賃金のみで貫けとか、そういう無茶なことを私は述べておるのではないのでありまして、千八百円ベースを採用する場合、物価賃金を同時に決定をやりましたが、それは従来の生活賃金にウエートをおき過ぎたのを能率賃金にこれを切り替えておる。併しその切り替え方が能率賃金の方が多くなり過ぎておる。こういうことは、六十五倍の公定価格の引上げは高過ぎた。従つて千八百ベースを或程度まで引上げても物価影響しない。そういう或マージンがある。そういう意味に考えるわけであります。結局それは能率賃金を加味し、生活賃金も加味して、そうして勤労者の生活を安定せしめると共に、企業の方においても採算がとれて生産が増強されるということが一番望ましいのでありますが、この千八百円ベースにおいては、勤労者の生活は、企業能率賃金とのバランスにおいて低過ぎておる。そういうふうに我々は考えるのであります。従つて物価秩序を堅持するということについては、そうして実質賃金を確保するということについては、全面的に賛成でありますが、その物価秩序を崩さないで、どの程度に千八百円ベースを改訂し得るか、私は改訂し得るマージンがあると思うのであります。この点に関しまして和田長官の御意見を承りたいと思うのであります。
  103. 和田博雄

    国務大臣和田博雄君) 改訂されました物価体系が、内部的に体系そのものが崩されずに、内部の不均衡を調整して行くというこの操作は、私は残つていると思います。私はこの体系が固定的なものと考えておりません。勿論物価体系そのものを、今朝川上さんが御指摘になりましたように、やることの中には、やはりそこに或不合理なものがあり得るものだと思います。原価主義によつて厳密にやつた点について、やはり操業度とか、いろいろなもので一応今の操業度の標準的なものを用いましたが、これがやはり今能率を上げて行けば、その面から実質賃金というものが上つて来るということは当然あるわけであります。いわゆる私企業の上においては、そういう事柄で一応私は企業の生産力を上げることが、物価体系自体を壊さずにやつて行けるというゆとりはあろうかと思います。そういう方向が、むしろ実質賃金を上げる場合は、本当に望ましい結果が出るということはいえると思うのであります。併しながら今の場合は必ずしもそうじやない場合が多いものでありますから、企業は赤字を覚悟して、そうして資材の値上りとかいろいろなものを払つてしまうということが、企業自体で以て自分で自分の身体を食つておるというような形で実質賃金を上げておるというような面が相当あろうかと思います。そういうところは監査をやつて見ないとわからないと思うのであります。そういう点については、今後はやはりそういう方向にやつて行つて、そこで物価体系そのものを崩さずに、その内部において実質賃金増加して行く。つまりそれは生産の能率増進と結び付いて来るということの方向の方に私は指導して行きたい。こう思うのであります。ただ官公吏の場合はそういうことは実はできません。そこでこれはどうしても給与制度そのものについて、やはり民間との間のバランスがとれるようにやつて行きたいということであつて、財源の問題とすぐ結び付いて来ると思います。或いはその場合においては、相当のやはり企業合理化と同じようない意味の行政整理も行なわれようか、こういうふうに思うのであります。いろいろなことを考えないと実際の政策としてはできないと、こういうふうに思うのであります。そういう形で体系自体を維持しながら、企業そのもの合理化ということを、仮に生産力を上げて行くという方向で、これはあなたの仰しやるような賃金を、生活の面、社会的な面と能率の面というものを調和さして行くということがやはり大きな一つ方法だと考えております。
  104. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 大体お考え方は分りましたが、只今能率が上がれば賃金が上つて行つても構わないというお話でありますが、それは当然であろうと思うのであります。併しながらその能率の問題は一応別にしましても、千八百円ベースを決めた時の決め方から見まして、六十五倍は少し甘過ぎたのではないか。これは一般によく言われておることと思いますが、公定価格の方が闇よりも高いというような事例をよく聴くのであります。これは全般的な現象ではないかも知れませんが、併し六十五倍に決めた時の賃金を据え置いて、公定価格の二倍乃至三倍上げた結果として、大体その根拠として伝えられることは、事実であるかどうか知りませんけれども、昨年の九月において、能率賃金は戦前の三十一倍、公定価格は十七倍であつた。従つてその公定価格を二倍乃至三倍に上げることによつて能率賃金とのバランスがとれる。そういうような観点から能率賃金と公定価格のバランスを取るという見地から賃金を据え置いて、公定価格を二倍乃至三倍上げた。これは正確な計算ではないと思いますが、そういう計算から若しかしげたとするならば、公定価格は上げ過ぎておる。これは機械的な見方かも知れませんが、こういう計算から行けば、私は少なくとも三割程度賃金水準の改訂を行つても、公定価格を引上げなくても、そうして企業も赤字を出さないで、その代り十分な利益がないと思うのでありますが、採算がとれて行き得るのではないか。そういうように私はこれは自分の計算でありますから、正確がどうか知りませんが、そういうふうに考えておりますが、この店については大体三割程度賃金引上げを行つてもも大体二千円程度ベースを引上げても、公定価格を引き上げないで、即ち流通秩序を乱さないで、物価水準を乱さないで引上げ得ると、そういうふうに考えられるのであります。この点は如何でございましようか。
  105. 和田博雄

    国務大臣和田博雄君) その点はそうではありません。やはり原価主義でやつておりますから、公定を決めます時には、各企業の操業度、或いは生産量その他のものを考えてやつておりますので、三割とか、それだけ甘いというわけでなく、甘いということはございません。厳密な計算をやつて、而も利潤というものは殆ど認めておりません。この場合には特別な重要産業について、而も操業度のようものについてだけ多少の利潤を認めておるというだけでございますので、やはりあの価格の下において能率を上げ生産量を高めることによつて、初めてそこにゆとりが出て来る。それを或いは別個に、むしろ物価の値下げの方に使うか、或いは企業の生産の改善の方に使うか、或いは労賃、実質賃金の支払の方に充てるか、これは企業内部の遣り繰りでありまして、三割でも物価体系を壊さんというようなわけには参らんのであります。ただこの公定の決めた後で闇が無論そういつたふうに安かつたものでございます。そういうものは公定価格そのものを下げて行く、こういうことで行きたいのでありまして、あなたの仰しやるように、全般的に賃金水準を上げることによつて物価体系は崩れないか……、これはそうは簡単には行かないと思います。
  106. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 民間賃金については、この引上げの場合、物価に対する跳ね返りという点は十分考えなければならんと思いますが、官公庁給与の引上げと物価との関連について、これは官公庁給与の引上げと民間給与の引上げの場合はおのずから違うと思うのであります。官公庁の場合、いわゆる財源が、インフレ時に確保せられ、税によつて確保せられるならば、一応これは物価に直接影響ない、そういうふうに見てよいのではないかと思うのでありますが、この点は如何でございましようか。
  107. 和田博雄

    国務大臣和田博雄君) それはお話の通り財源がございまして、インフレ的な要素がそこになければ、これはお話のようになると思います。結局そういう立派な財源があつて、財源があつて補填できるかということになろうかと思います。若しそれがないとすると、こりは又不換紙幣を出すだけのことで、財政的なインフレを増大するだけであります。その点は私はそう思います。
  108. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 その点は十分財源があると思います。若し十分な財源がある場合は、官公庁給与について、財源をお加えになる意思があるか。その点伺いたい。
  109. 和田博雄

    国務大臣和田博雄君) これは私はしばしば申上げておりますように、今の官公庁給与制度は、合理的なものとは思いませんが、この点に関する改善は、これはやつて行きたいと思うのであります。ただお話のような場合に当然物価体系そのものを堅持する。それからお話の財源の問題というものが具体的なものがあれば研究したいと考えております。これは今度の当然公務員給与法と関連して研究したいと思います。
  110. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 最後に一点お伺いいたしたいのですが、賃金の問題について、インフレ下の賃金対策というものが政府においては十分にできていないために、常に賃金引上の問題としていろいろな紛争が絶えないだろうと思います。從つて政府におきましては、これは単に賃金ばかりではないと思うのであります。いわゆる安定価値計算見たような考え方で、そういうものを物価を二割なり、三割なり騰貴した場合に、物価騰貴に比例して賃金も騰つて行く。或いは又銀行預金なんかについても一応適用できると思いますが余りに物価が騰つた場合に、その騰貴率に対して、安定価値計算によつてこれを補正して、修正して行く。そういうことが必要であろうと思うのでありますが、そうすれば非常に無用な紛争も少なくなりましようし、又預金のような場合についても集まるようになるのではないかと思うのです。ただ安定価値計算の場合、その基準を何処に求めるか、その尺度を何処に求めるかが常に大きな問題になるのであります。幸に最近司令部において、非常に権威あるものと認められておる総理庁に消費者価格調査ができておるのでありますから、ああいうものを一つ基準にしまして、政府においてあらゆる債権債務に対して、そういう基準を設け、そうしてスライドして行くようなシステムをとられて行く御意志はないか。これがインフレ下におけるそういう無用な紛争を避ける一つの手段となるのではないかと思うのでありますが、この点についてはそういうお考があるか、又何か研究しておられるかどうかお伺いしたいと思うのであります。
  111. 和田博雄

    国務大臣和田博雄君) 安定価値計算をそのままとる考えはございません。これは理論的な今日は議論は止めますが、いろいろな問題がありますから、皆さん御承知だろうと思いますから…今これを政策としてとる考えは毛頭ございません。
  112. 中西功

    ○中西功君 先程安本長官官庁給与の問題の発言非常に重大だと思います。木村さんが言われたように、官公庁の職員の賃金給与を上げるということ、それ自身は若し財源があれば、これはインフレを促進せずに済むわけでありますし、或いはこれも又安本長官が、午前中言われましたように、実際物価体系の中で、その中のでこぼこを調整するという意味でも、これは物価だけの問題でなくして、賃金物価との間の不均衡がある筈だ、それを匡正する必要があろうが、一般国民は、現にもう平均二千四百円ということは、もうはつきり言われておるところである。官公庁民間との間にでこぼこがあるわけです。それで今日非常に重大なことを承つたのです。官公庁給与に関しては別途考慮する。そうして財源さえあれば考えるというふうなお話があつたわけですが、これは非常に結構なことと思つておる。それでこれは直接現在行われておるところの中労委のあの裁定問題に関連があると思うのです。そこでちよつとお聴きして置きたいことは、この中労委裁定に対して、政府並びに安本長官は非常にこの裁定を尊重されると思うのですが、尊重されるかどうか、その点を非常に抽象的な言葉ですが、一つ返事をして置いて貰いたいのです。
  113. 和田博雄

    国務大臣和田博雄君) お答えいたします。これは中労委の方もまだ決定に至りませんし、不明確になつておりますので、勿論中労委という一つの機関の裁定でありますから、政府としても尊重はいたします。併し中労委裁定はまだ分りませんから、どんな結果が出るか分りませんが、それをそのまま呑むというわけには、これは恐らく参らない場合も出て来ようかと思うのであります。政府として尊重はするが、やはり政府の独自の立場から、その面から中労委裁定については、いろいろと検討は私はやはり加えることになろうとこう思います。
  114. 櫻内辰郎

    ○委員長(櫻内辰郎君) 本日はこの程度に止め、明日は午前十時から開会いたします。これにて散会いたします。    午後四時三十二分散会  出席者は左の通り。    委員長     櫻内 辰郎君    理事            木村禧八郎君            西川 昌夫君            西郷吉之助君            村上 義一君            中西  功君    委員            大野 幸一君            岡田 宗司君            カニエ邦彦君            木下 源吾君            波多野 鼎君            村尾 重雄君            石坂 豊一君            小串 清一君            左藤 義詮君            深水 六郎君            伊東 隆治君            大島 定吉君            木内 四郎君            小畑 哲夫君            佐々木鹿藏君            田口政五郎君            飯田精太郎君            江熊 哲翁君            岡部  常君            岡本 愛祐君            奥 むめお君            川上 嘉市君            河野 正夫君            島村 軍次君            高田  寛君            服部 教一君            河田 恒雄君            川上  嘉君            藤田 芳雄君            鈴木 順一君   國務大臣    文 部 大 臣 森戸 辰男君    國 務 大 臣 和田 博雄君   政府委員    大藏政務次官  小坂善太郎君    大藏事務官    (主計局次長) 河野 一之君    大藏事務官    (主税局長)  前尾繁三郎君