○原虎一君
只今議題となりました
請願第四百五号の積雪寒冷地越冬手当即時支給並びに
越冬衣具特別配給に関する
請願、
〔
議長退席、副
議長着席〕
請願第四百六十五号の
雪害地手当支給に関する
請願、
請願第四百二十一号、
請願第四百五十五号、
請願第四百八十三号の
税務職員の
待遇改善に関する
請願、
請願第五百十九号の
日傭労働者に対する
特令制定に関する
請願、
請願第五百二十三号の京都府綴喜郡の
地域給支給に関する
請願、
請願第五百九十六号の池田市及び豊中市の
地域給を
特地とすることに関する
請願、並びに
陳情第四百四十五号の
労働者教育充実に関する
陳情、
陳情第五百三十号、別府市の
勤務地手当地域給を
特地に引上げることに関する
陳情、
陳情第六百六号の
税務職員の
待遇改善に関する
陳情につきまして、労働
委員会における
審議の
経過並びに結果について
報告をいたします。これらの
請願、
陳情の中、
請願第五百九十六号と
陳情第六百六号とは当
委員会におきまして、その他の
請願、
陳情は特に
小委員会を設けまして、いずれも愼重に
審議をいたしました次第であります。
先ずこれらの
請願及び
陳情を大別いたしますと、労働者の給與等に関する問題と、労働者の
教育に関する問題との二問題であります。労働者の給與等の問題を更に細別いたしますと、
税務職員の
待遇改善問題、官公廳職員の
地域給の引上げ問題、寒冷地に対する特別給與等の問題、
日傭労働者の給與等の四問題になるのであります。労働
委員会は十一月十三日より
委員会を三回、
小委員会を三回開催いたしまして、政府よりは労働省政務次官、労政局長、基準局長、職業安定局長、大藏省主税局長、給與局長、
運輸省陸運管理局長が出席いたしまして、熱心なる説明及び
答弁があ
つたのであります。
これから右の
請願及び
陳情の
審議の
経過の概要を、先程申述べました
順序に從
つて申上げたいと思います。
先ず労働者の給與
関係でございますが、その中で最も大きな部門を占めておりますのが
税務職員の
待遇改善の問題であります。これは
請願第四百二十一号、
請願第四百五十五号、
請願第四百八十三号、それから
陳情第六百六号でございます。これらの
請願、
陳情はすべて同一
趣旨のものでありますから、ここに一括して御説明を申上げます。
税務職員は、御承知のごとく健全財政の要件たる租税歳入確保のために、種々危險や困難なる條件の下に執務しておるのでありまするが、本
請願又は
陳情の
趣旨の骨子とな
つておりまするところは、現在
税務職員の給與が他の官吏に比較しまして二三級低位にあるということであります。更に現在の給與においては、税務の完全なる遂行の
見地からしまして、その組織並びに税務官吏の質、量においても、非常に不満な点が多いので、税務機構の拡充を至急に果されたいとの
請願並びに
陳情であります。そうして税務官吏の最低生活が確保せられるために特別の措置がなされますならば、
税務職員は租税歳入の確保のためには、幾多の困難を克服して、公僕たる責任を十分に果し得るであろうと主張しているのであります。これに関しまして
政府委員より説明を聽取いたしましたところ、目下
税務職員の
待遇改善については適切なる措置が講ぜられているようでありまするが、執務上諸般の困難に直面する
税務職員の
待遇を改善することは、現下の急務であると考えまして、本
請願並びに
陳情の
趣旨を妥当と認め、
採決の結果、
全会一致を以て本
会議において
採決せらるべきものと決定いたしました。又
全会一致を以て
内閣において迅速に措置するを適当と認めまして、
内閣に送付すべきものと決定いたしました次第であります。
次に労働者の
地域給引上の問題でありまするが、これは
請願第五百二十三号、京都府綴喜郡の
地域給支給に関する
請願、
請願第五百九十六号、池田市及び豊中市の
地域給を
特地とすることに関する
請願、今
一つは、
陳情第五百三十号、別府市の
勤務地手当地域給を
特地に引上げることに関する
陳情、この三件であります。以上の三件共それぞれ現在官公廳職員に行われておりまするところの
地域給の中で、京都府綴喜郡池田市及び豊中市並びに別府市は、極めて高
物價地帶でありますので、現在の
地域給の額を更にそれぞれ適当な所まで引上げて貰いたいという
趣旨のものであります。即ち京都府綴喜郡は、京都市、大阪市、奈良市の物資の補給源でありまして、諸
物價の指数は大阪市に比べまして約一・二倍の現状でありますから、
地域給の恩典に浴し得るよう取計られたいとの
趣旨であります、又池田市、豊中市の両市は、地理的
関係から農産物の生産入荷は僅少でありまして、その殆んど全部が大阪市経由の物資に依存している実情でありますから、
物價はいよいよ騰貴の一途を辿
つておりまして、両市の官公廳職員の生活は他の衛星都市より誠に困難であり、すでに堺市、布施市等の
地域給が
特地と認定されているに反して、両市が未だに甲地のまま残されていることは不合理でありますから、大阪市と同等に
特地に引上げられたいとの
趣旨であります。又別府市は純然たる消費都市でありまして、多数の非生産的商人等の消費者や、土地業者の強引なる購買力等によりまして、生活必需物資の特異的なる高騰は正に日本一ともいうべきであるにも拘わらず、
現行官廳職員の給與制度が乙地として放置されているので、非常に生活の脅威にさらされている。先般福岡市が甲地から
特地に引上げられたが、当市は福岡市よりも高
物價にあ
つて、京浜、阪神にも比肩している現状でありますから、是非とも
勤務地手当地域給を
特地へ編入されたいとの
趣旨であります。これにつきましては大藏省の
政府委員より、現在の研究課程に関する詳細なる説明を聽取したのでありますが、現在の
地域給が果して全地域に亘りまして適当でありますかどうかということは、相当に疑問でありまして、目下種々研究是正中とのことでありました。從いまして、これらの
請願及び
陳情の
趣旨は大体において妥当であると認めました。ただ政府は全般的にこの問題を取上げ、各地の経済実相と生活実態をよく考慮しまして、
地域給に対しては最も適正な給與が決定されまするように、
現行の
地域給について檢討是正すべく、近く行う新給與制の
実施に当
つては愼重に善処し、速かに解決を図るべきである。以上の
趣旨によ
つて、
内閣に申達する必要があると決定されたのであります。
次に、寒冷地の特別給與並びに必需物資の特配の
請願について説明を申上げます。これは
請願第四百五号積雪寒冷地越冬手当即時支給並びに
越冬衣具特別配給に関する
請願と、
請願第四百六十五号
雪害地手当支給に関する
請願と、この二件であります。前者の
請願は北信地方五縣、後者の
請願は新潟縣下いずれも特殊の地勢と気候のために、冬期四ヶ月間丈余の積雪下に生活するための特別の費用及び必要物資の支給方について、官公廳職員より政府に要請したものであります。これはすでに世間においても盛んに論議の対象とな
つておりますことで、
諸君も十分に御承知のことと存じますが、北海道或いは東北、北陸地方におきましては、特に寒冷甚だしく、冬期の生活のために特別な給與が支給されなければ生活の維持ができ難い。殊に今日のインフレ下におきまして、官公廳職員の家庭には越冬
施設のために貯藏する余裕は全くないのでありまして、政府に対して即時善処方を要望して参
つたのであります。特に前者の
請願におきましては、寒冷地用の防寒具又は繊維類、履物等の特別配給について、強く要望しているのであります。
現下の経済事情を勘案いたしまして、この二件の
請願は、極めて迅速に取上げ、急速に解決を図るべき問題であると考えまして、その
趣旨の大体を妥当と認め、政府において適当に且つ迅速にこれが実現さるべきものとの
意見の
一致を見て、
内閣に送付すべきものと決定いたしました次第であります。
次に
請願第五百十九号
日傭労働者に対する
特令制定に関する
請願について説明いたします。この
請願の
趣旨の大要は、
日傭労働者が一般常傭労働者に比較して多くの差別
待遇をされておる。即ち失業保險の適用より除外され、或いは労務用特配物資の差別を受けておる。政府はこれらの撤廃を行う特令を
制定されたいというのであります。この問題につきましても、労働省の
政府委員より、詳細なる説明を聽取いたしましたが、この
請願の
内容とな
つておる事柄につきましては、すでに
現行法規によりましても、その運用上十分に処置し得る点も多々あるようであります。併し現下の実情は、
関係法律の
実施後日尚浅く、十分にその実績を挙げていない点もありますので、やはり今後の行政の迅速化、適切化を図るために、
内閣に送付いたしまして、政府の善処方を要望するのが妥当であるということに決定せられたのであります。
最後に、
陳情第四百四十五号
労働者教育の充実に関する
陳情を説明いたします。この問題は、福岡縣の縣会
議長から
陳情せられておるものであります。福岡縣は大いなる生産縣であり、労働者の数も非常に多いにも拘わらず、
労働者教育の
経費と
施設が極めて僅少であ
つて、最も重要であるべき
労働者教育のために万全を期することができないので、早急に
労働者教育の
施設につきまして、政府において善処されたいとの要望であります。これにつきましては、基本的な労働者の
教育はいかなる構想を持ち、誰がやるべきかというような点が明らかにせられなければなりません。つきましては、労働省から土井政務次官に出席を求めまして、現在労働省の方針を具さに伺
つたのであります。そうして労働者の
教育は飽くまでも労働者が自主的に自分でやるべきものである。併しそれにつきましては、現在の労働者の諸般の
教育をする
施設なるものが、どの縣においても極めて貧弱である。こういうものについては政府においても何らかの措置を講じたいという旨の
答弁があ
つたのであります。労働者の
教育は一日も早く充実されなければならない現下の重要問題であります故に、今後は政府においても特に新らしい構想の下に、而も自主的にして民主的な労働組合の発達のために、善処すべきものであるという
趣旨によ
つて、この
陳情も妥当なものと認め、これを
内閣に送付することが適当と決定した次第であります。
以上を以ちまして、当
委員会におきまする
請願及び
陳情に関する
審議の状況の
報告を終ります。(
拍手)