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1947-10-13 第1回国会 参議院 本会議 第37号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十二年十月十三日(月曜日)    午前十時四十三分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第三十六号   昭和二十二年十月十三日    午前十時開議  第一 貿易組合法を廃止する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第二 貿易資金特別会計法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第三 北海道における家庭越冬用燃料價格に関する請願委員長報告)  第四 家庭暖房用燃料に関する陳情委員長報告)  第五 自由討議     —————————————  一、所見開陳範囲   税源とその徴税方法について  二、発言者の数及び発言時間   1 各派発言割当時間緑風会五十分、社会党、民主党、自由党各二十分、無所属懇談会共産党各十分。   2 各派右割当時間の範囲内において、発言者の数を決定すること。     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 諸般の報告は御異議がなければ朗読を省略いたします。      ——————————
  3. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) これより本日の会議を開きます。日程第一、貿易組合法を廃止する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。先ず委員長報告を求めます。商業委員長一松政二君。    〔一松政二登壇拍手
  4. 一松政二

    一松政二君 只今議題となりました貿易組合法を廃止する法律案につきまして、商業委員会における審議経過並びに結果につきまして御報告申上げます。貿易組合法は、昭和十二年八月、法律第七十四号として、從來輸出入組合法に代り制定せられたものでありまして、その立法の趣旨とするところは、貿易業者組合を結成させ、輸出入両部部門に亘りこれを組織化して、協同組合的機能よりも、むしろ貿易統制機能を整備強化せんとするにあつたのであります。ところが世の中は一変いたしまして、私的独占禁止法の制定せられました今日の状況において、貿易組合法の存在することは、その十八條にアウトサイダーに対する統制権、二十八條には統制業務のみを営む無出資組合設立、第十六條、三十五條には議決権の不平等、或いは二十二條、四十五條四十九條等におきまして強制設立強制加入等の規定が、それぞれ私的独占禁止公正取引確保に関する精神と相容れないこととなつたばかりでなく、貿易組合の大部分はすでに解散し、戦後僅かに残存していたものも解散或いは閉鎖機関に指定せられ、目下清算の過程にある現況でありまして、本法廃止後に、貿易公団運営業者創意工夫を活かし、貿易振興を図りたいと考えているというのであります。  以上は政府提案理由の大要でありまして、これによりまして御了解せられまする通り、本法案そのもの廃止法案であり、頗る簡單でありまするが、実質的には、我が國貿易政策の根幹に触れる問題でありまするから、商業委員会においては、八月二十二日以來予備審査会を開くこと二回、本審査に掛けること五回を重ねて、熱心に質疑応答をいたしたのであります。今その質疑につきまして、三四要約いたしまして御報告申上げたいと存じます。  先ず第一に、或る委員から、我が國今後の貿易根本方策とその見通しにつきまして政府の所信を質しましたところ日本貿易方針加工貿易方式を取るが、実際のところ、昨年も本年も相当の輸入超過であり、輸出入のバランスの取れる時期については、目下安本中心になつて種々考究しておるが、大体三ケ年ぐらいを要するのではないかというのが大ざつぱな見通しになつておるという政府答弁であつたのであります。尚又或る委員から、過般貿易基金が設定せられまして、片山総理は、五億ドルに上る資金が恰もすでに供與せられて、大旱に雲霓を望むがごとき心地がするということを言われたのであつたが、決定せられたものは、スキヤツプの中に約二億ドル前後の回轉基金が設定せられたに過ぎず、これを基本として今後個々の商品につき具体化せねばならぬものと思うが、政府はどういうふうにこれを考えているかという質問につきまして、八月二十二日商工大臣答弁によりますと、今の質問通りであつて、目下安本中心となつて、これに商工大藏両当局が参画して、具体的に詳細な計画を立て、日本経済再建最大限に役立たせたいという答弁であつたのでありまするが、更に先日の本審査におきましてこの点を貿易廳長官確めたるところ回轉基金基ずく具体的計画は、電力、石炭等の動力問題と絡み合つて、未だ決定に至らざるばかりでなく、今日まで具体化されたものは僅かに米綿の六千万ドルが一件となつておる。更に最近はドルとポンドとの交換が再び停止せられたり、或いは回轉基金運用につき、その他種々な原因があつて、なかなか思うようにならないことであるとの答弁があつたのであります。更に民間貿易再開後における九月末までに決定を見た金額は幾ばくであるか、或いはその換算率はどの程度になつておるかとの質問に対しましては、正式に決定せられましたものが九月末日を以て約百三十万ドル前後であり、手続中のものを合しまして約二百万ドル前後であるという答弁でありまして、而もその大部分交易営團從來手持ちしておつたものでありまして、新規の商品は頗る僅かだとの回答があつたのであります。尚為替換算率につきましては、私共の予想よりやや円が安くなつておるように思いますけれども、この具体的の発表は差控えさして頂きたいと存じます。更に貿易の各商品價格政策についてどういう処置をとらんとするか、又從來いろいろ悪評を受けておるところ粗製濫造を避けるためには、いかなる処置をとらんとするかとの質問に対しましては、政府は、今後文化国家として生きて行く上の貿易重要性ということから見ても、限られたる資材中より最大限に良心的な品物を作るため、檢査制度その他種々な点に関して嚴重な檢査を行い、粗悪品は一品も外國輸出されないように準備しておるということであります。尚價格の点につきまして、大体はマル公によるが、必ずしもマル公に拘泥せず、その輸出される物品の品質、荷造りその他にふさわしい價格を設定するというために、近く物價廳の中に輸出品價格審査委員会を作り、各商品種類ごとに数個の部会を設けて、これには本当に商品の知識と経験ある人を委員とし、輸出取引の決まつた商品ごとに一々早急に、即ち一両日中にでもどしどし價格を決めて行くという組織運用でやりたい、近く最後的に決定を見ることになつておるという答弁であつたのであります。尚資材の配給その他につきまして甚だ不円滑であり、敏速を欠き、急の間に合わない。それで業者生産意欲増強等のために、優秀品を作る工業に対しましては予め資材を與えて置くという方法は取れないものかという質問に対しまして、理想としてはそうしたいのであるが、現在輸出品といつても、大体規格の決まつた商品即ち綿糸布等については或る程度見込生産、即ち予め契約を俟たずに品物を作るということもできるが、いわゆる雑貨については、見込生産をして必ず売れるということの確信が得られないような現状であるが故に、実際問題といたしましては見込生産はできない。故に注文ない場合は資材を供給して品物を作らせるというところまでは行なつていないという答弁であつたのであります。尚資金の面につきまして、從來頗る窮屈で、これがために業者生産意欲を阻害したこと夥しいが、この点に対する改善策如何という問に対しまして、大藏大臣から、最近における預金増加の趨勢、政府支拂の進捗及びスタンプ手形の日銀再割引を確認したこと、又次に上程されまする貿易資金増額等方法によりまして、最近は大いに緩和されたが、今後も大いに努力するという答弁があつたのであります。以上の外、中小企業者の横の連絡をどうするか。或いは貿易公團貿易廳との二重機構があり、或いは手続きが非常に煩瑣である。その他東南アジアから食料輸入する点につき、或いはアジア大陸雑貨輸出する点につき、その他あらゆる方面から質疑応答を重ねているのでありまするけれども、詳細は速記録によりて御承知を願いたいと存ずる次第であります。  かくいたしまして、質疑を打切りまして、討論に入りましたるところ、別段の発言もありませんので、直ちに採決に移りましたところ、全員一致可決すべきものと決定いたしましたのであります。  以上を以て委員会報告を終る次第であります(拍手
  5. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を請います。    〔総員起立
  6. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつて本案全会一致を以て可決せられました。      ——————————
  7. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 日程第二、貿易資金特別会計法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  先ず委員長報告を求めます。財政及び金融委員長黒田英雄君。    〔黒田英雄登壇拍手
  8. 黒田英雄

    黒田英雄君 只今上程されました貿易資金特別会計法の一部を改正する法律案につきまして、委員会におきまする審議経過並びに結果について御報告をいたします。  本法律案は極めて簡単な法律案であるのでありまして、ニ條に規定してありまする借入金限度を、五十億円とありまするのを百億円にするというだけの法律であります。併しながら貿易資金につきましては、御承知通り連合國の厚意によりまする食糧或いは肥料その他の輸入、又先般開始されました民間貿易というような関係におきまして、貿易資金についてはいろいろ論議する点が多々あるのであります。從いまして委員会商業委員会と二回の連合会を開催いたしました。尚財政及び金融委員会を開きまして、或いは秘密会を開き、又その中で懇談会を開く等いたしまして、貿易現況並びに資金運営等につきまして、政府の説明を聴いたのであります。  法案の内容並びに提案理由について簡単に御報告をいたしまするが、法案は前申上げまする通り、第二條第二項の但書中「五十億円」を「百億円」と改めるというだけの改正であるのであります。これは御承知通り貿易資金につきましては、一般会計と区分して現在特別会計が設けられているのでありまするが、貿易物資等買入、又は賣拂いに要しまする資金といたしまして、この法律制定のときに、前にありました為替貿易調整特別会計を廃止して、そこにありました五千万円をこれに繰入れ、尚二十一年度の予算におきまして一般会計から九億五千万円を繰入れまして、自己資金として十億円を持つているのであります。それに本法の第二條第二項におきまして、大藏省預金部又は日本銀行から借入金をすることができるということになつているのでありまするが、その限度を五十億円と定めて、六十億円を以て貿易資金といたしておつたのであります。然るに本年の八月末現在におきましては、僅かに九億三千七百余万円を残すだけの状況に相成つているのであります。そうして、九月並びに十月の両月におきまして輸出貿易品買入れ等のために要しまする資金といたしまして、九十六億五千二百余万円を要し、又賣拂代金資金回収をされまするものが四十七億六千五百余万円であります。差引資金不足しまするものが約三十九億五千余万円と相成ることに推定されるのであります。從いまして、本会計資金といたしましては、尚資金増額又は資金運用に伴いまするところの損益の処理等につきまして、近く追加予算決定されますると同時に改正案を提出するといふ予定であつたそうでありまして、それまでの暫定的の措置といたしまして、ここに五十億円を増額するということに相成つておるのであります。從いまして、貿易資金特別会計法につきましては、尚論議すべき点は多々あつたのでありまするが、前申上げまする通り、更に法案が提出されるといふことでありまするから、それらの点はそのときに譲りまして、差当り只今資金の欠乏のために、この九月、十月におきまして支拂が遅れますれば業者が非常に迷惑をいたすのであります。差当り暫定的処置としてこの法案審議を進めようということになりまして、一応連合委員会もこの程度で止めて、委員会審議を進めたのであります。尚この不足を生じました理由といたしましては、輸入物資を國内におきまして生産價格で農林省に賣渡しているドル対円の為替を見ますると非常に安いのであります。そうして輸出品は大体その倍くらいなレートで似て円を拂う。又輸入食品等につきましての賣拂代金につきましても、末端から食糧管理局に参りまして、更に貿易廳へ還流をして参りまするのに、時間的のズレがあるのであります。又輸出品は、從來船が出れば代金を支拂つてつたそうでありますが、今日輸出の促進を図りまするために、大体荷造りができたらば支拂うというふうなことに相成つておるのであります。さような関係からいたしまして、資金におきましては非常な不足を來すのであります。尚その外に、貿易廳でやるべき筋合でないようなもの、即ち例を挙げますれば、食料品等につきまして、米麦その他の主食につきまして、貿易廳は、生産者価格消費者價格と二重の價格があります場合に、消費者價格を似てこれを食糧管理局に賣渡す。その一例を挙げますれば、鑵詰のごとき物につきましても、主食代用として配給されるものでありまするが、これは内地統制價格というものを無視しまして、米が持つておりますところのカロリーと比較いたしまして、米の値段に引き直しまして、賣渡すということで、非常に安い値段になるのであります。これなどは質問等によつて明らかにされたのでありまするが、ただその價格だけで勘定いたしましても五十億円くらいになるということであつたのであります。  左様なわけで、質疑応答に入つたのでありまするが、その中の二三を御紹介したいと思うのであります。只今例で申上げましたような状況であるのでありまするから、恰かも貿易廳補給金のごときものを負担しているような状況であつてかくのごとき状況であつては遂に資金回収はできないことに相成りはしないか。この会計独立会計として運用するというような方針は採れないかというふうなことであつたのでありまするが、政府は、本來の貿易といわゆる價格差補給金というものに相当するようなものについては、これを判然と区別して、一般会計から食糧管理特別会計に繰入れるようにしたいと思う。又輸出につきましても、輸出を促進して参りますために高く例外價格で似て買上げるというふうなことがあれは、これは一種のやはり補助金であるのでありまするから、これらのものについても考慮をいたしまして、貿易の特別の資金としては成るべく一般会計に迷惑を掛けないような独立的な会計として行きたいということであつたのであります。それから賣入れの公定価格が実際の生産費よりも相当高くなつているものがあるように思うが、これでは貿易にも、輸出にも差支を生じ、又又インフレーションを助長するのではないかというような御質問もあつたのでありますが、これらにつきましては、為替換算率を定めまする際に、円を若し不利にしなければ輸出ができないというふうなものについては、或いはその生産費を下げるとか、或いは企業整備合理化等によりまして生産費を下げることを努め、又原料品価格を定めることについても十分に再検討をしたいというふうな答弁であつたのであります。その他回轉資金等についても、或いはマル公の問題についても、いろいろ御質問があつたのでありますが、先程の商業委員長報告の中にもお述べになつたようでありまするから、これは省略いたししまして、速記録によりまして御覧を願うことをお許しを願いたいと思うのであります。  かく討論に入りまして、別に御発言もありませんで、直ちに採決に入りましたところ共産党の中西君が賛否を保留されました外、全員の一致でありまして、即ち多数決を以つて本案は可決すべきものと決議いたした次第であります。これを以つて私の報告を終ります(拍手
  9. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を請います。    〔起立者多数〕
  10. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。      ——————————
  11. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 日程第三、北海道における家庭越冬用燃料価格に関する請願日程第四、家庭暖房用燃料に関する陳情、これら二件を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。鉱工業委員長稻垣平太郎君。    〔稻垣平太郎登壇拍手
  13. 稻垣平太郎

    稻垣平太郎君 只今議題に相成りましたる請願書二百三十三号の北海道における家庭越冬用燃料価格に関する請願、並びに陳情百十四号の家庭暖房用燃料に関する陳情につきまして、鉱工業委員会におきまする審議経過並びに結果について御報告申上げます。  先ず陳情百十四号の家庭用暖房炭確保に関する陳情について申上げるのでありまするが、本陳情は、先ず第一に、北海道における家庭用暖房炭確保について、量的確保について、是非配慮を願いたいということ、並びに北海道における下期においての、輸送上の問題からいたしまして、できるだけ早い機会において、いわゆる夏場配炭を決行して貰いたいという陳情趣意でございます。北海道における暖房用燃料炭は、その立地的條件から申しまして正に不可欠のものでありますることは、北海道の人がよく食糧と共に、この暖房用燃料炭の必要を説かれることによつて明らるなのでありまするが、例年惹起されておりまするところ配炭不足というものは、北海道民に常に家庭的の不安を惹起し、又ひいては労務者稼働率を低下し、よつて似て道内におけるところ生産の減退を來しておるような現状であります。本年におきまするところ北海道民の希望は、大体百七十五万トンの配炭を考慮いたしておるのでありまするが、政府におきましては、本年の配炭計画といたしとして百五十万トンを予想いたしておるのであります。それに対しまして、本年上期の五ケ月間、八月末に至るまでの間の配炭が約二十五万トンであります。これは一面、この間に内地産業に急いで廻したということもありまするし、又一面におきまして、配船の積取の関係上、燃料炭に向けられるべきものを内地に振り向けたといつたような事情もあり、又北海道における生産割当が、大体において下期が尻上りになつておりまする関係上、この上期におけるところ配炭がかように僅少なのでありまするが、併しながら根本の問題は、北海道における生産が頗る不振であるということに基因いたしておるようであります。御承知のように、本年度三千万トンの石炭を必ず出すのだ、こういうことは、これはもう今いろいろ論議の的になつておるので、申すまでもないことでありまするが、九州地方におきましては、第二四半期におきまして、大体その生産割当量の一〇四%を出し手おる状態であります。西部地区いわゆる宇部地方におきましては、大体一〇八%程度を出しておるような状態であります。常磐におきましては、ほとんど生産割当率に近い数字を示しておりまするにも拘わらず、北海道におきましては、その生産量は、割当量を遙かに下廻つておるような状態であるのであります。暖房用燃料炭配炭につきましては、関係筋におきまして、北海道における出炭の完遂ということを條件とすべしという強い指示がありますに鑑みて、上期に僅かに二十五万トンしか配炭されていないということを考えまするというと、下期におきまして、果たして百五十万トンの配炭計画が遂行されるかどうかということは非常な疑問でありまして、殆んどが不可能に近いのではないかということが考えられるのであります。先程申上げましたように、北海道における越冬用暖房炭というものにつきましては、これは食糧と同様に大事なものでありますからして、その点だけでも、この陳情は取上げるべきものでありまするが、これに加えて、只今申上げましたように、北海道炭の出炭不振というものが、これが條件になつておりまする意味合におきまして、本陳情書は非常に重要なものなのであります。去る十月の七日の、今度我々のところ予備審査に廻付されておりまするところ臨石炭鉱業管理法案予備審議に際しまして、この北海道炭の出炭不振について、その原因商工大臣に質しましたのに対しまして、水谷商工大臣答弁といたしましては、その主たるところ原因労務者生産意欲の低下によるというような御答弁もあつたのであります、かかる問題はゆゆしき問題でありまして、本陳情書といたしましては、単に家庭用暖房炭の面のみならず、北海道におけるところ石炭生産不振という問題を取上げる必要があるかと存じまして、鉱工業委員会におきましては、この点について、政府において緊急の措置をすべきものということを考えまして、この陳情書を採択すべきものと決定いたした次第であります。  次に他の請願北海道における家庭越冬用燃料価格に関する件について御報告申上げます。この請願は、先ず第一に、北海道におけるところ越冬用燃料に関しては、最近における石炭なり或いは薪炭なりの大幅値上げによりまして、一冬一世帯当り燃料費というものが大体八千七百円についておるのである。これは到底消費大衆の負担に堪えないところである。よつて先ず石炭については、特別な、特殊の重要産業に対するところ特別價格に準じ、特別價格が貰つておるところ補償額程度のものを國庫より補償して貰いたい。次に薪炭については、政府買取價格消費者價格との間の幅を縮減して貰いたい。こういうところ請願趣意であります。越冬用燃料炭の重要さ、北海道における重要さということにつきましては、先程の陳情の場合に申上げましたような次第でありまするが、この價格を変更する或いは價格特別値段を付するといつたような問題は、現行の價格体系から見まして簡単にこれが是非を決めることはできないと存ずるのであります。併しながらこの重要なる家庭用燃料炭の問題、並びに今後日本経済再建におきまして北海道の資源が持つ重要さ、從つてこれに対する北海道における住民の定着性といつたようなものを勘案いたしまする場合に、簡単にこの問題は葬り去るわけにも行かないと存ずるのであります。のみならず、石炭につきましては全國画一的の價格体系を取つておるということが果たして是なりや非なりやというような問題につきましては、再考の余地があるのではないか、又薪炭につきましては、過日來参議院の二三の議員の方から、政府買取價格消費者價格との間の價格差を縮減したいというような御質問もありましたような点に鑑みまして、かれこれ勘案いたしまして本請願書は一応これを採択し、政府においてこれに対するところの善処を要望したいと、かように決定いたした次第であります。以上陳情並びに請願委員会における経過並びに結果を御報告申上げます。(拍手
  14. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。本請願及び陳情委員長報告通り採択し、内閣に送付することに賛成諸君起立を請います。    〔総員起立
  15. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつて請願及び陳情全会一致以つて採択し、内閣に送付することに決定いたしました。      ——————————
  16. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 日程第五、自由討議、本日の自由討議は本院規則第百四十七條によるものとし、所見開陳範囲を「税源とその徴税方法について」といたします。会議時間は二時間三十分でございます。各発言者はおのおのその発言時間を遵守せられんことを望みます。これより発言を許します。
  17. 千田正

    千田正君 無所属懇談会川上嘉君を指名いたします。
  18. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 川上嘉君の発言を許します。    〔川上嘉登壇拍手
  19. 川上嘉

    川上嘉君 二十二年度の通常予算一千一百四十五億の内六百八十七億は租税収入で賄い、尚追加予算は大体一千億程度予想され、この内約六百九億が租税収入で賄われる予定のようでありますが、この結果、通常及び追加予算を通じまして、本年度におきまして合計一千二百九十六億程度租税収入が見込まれておるのであります。然るにこの驚くべき莫大な租税収入を、持てる者は持てるなりに、持たない者は持たないなりに、いかに公平に適正に徴収すればよいのか、政府は旧態依然として税務行政に何らの根本的な対策を講じていないのであります。栗栖大藏大臣のいわゆる健全財政は単なる掛声であり、宣伝であつてはならないのであります。飽くまでも責任を持つて貰いたい。私は本年度の莫大な租税収入をいかなる税源に基ずいて、いかなる方法で徴収したら最もよいのか、ここに二つの案を提供したいと思います。  先ず第一案は、直ちに財産税を創設すること。第二案は、現行税法を十分に活用すること。先ず第一案でありまするが、第一次財産税は遺憾ながら不徹底に終つております。ただ租税の増収を計るという意味からだけではなく、インフレ対策から言うても直ちに第二次財産税を創設すべきであります。而してその税源は、新円、動産、貸借関係、第一次財産税指定期日以後取得した不動産などに重点置き、徴税方法は直ちに新円を再封鎖すること、同時に不動産、動産、貸借関係などの一齊調査を始めること、尚第一線税務署の体制をでき得る限り強化する対策といたしまして、一、連合軍関係の事務、土地謄本下附のごとき國民の日常生活と直接密接な関係のある事務を除いた以外の一切の事務を中止する。而して専ら財産税に総力を結集する。一、財務局におきましても連合軍関係の事務及び不可欠緊急な事務以外の一切の事務を中止して、人員を税務署に配置転換すること。一、待遇の徹底的改善、徴税費の大幅引上、財産税特別手当の支給。一、全国財務労働組合の意見を十分に採択すること。  第一案が最善の方法でありまするが、若しこれが実行できないとしましたならば、第二案でありまするが、原稿税法は未だ十分に活用し消化されていないのであります。現行の税法の下において当然に徴収すべきことになつていながら、人員の不足、徴税費の不足、待遇の劣悪といつたような原因によりまして、手が届かない税源があり、而もこれが莫大なものであります。即ち課税漏れになつている税源と、更に脱税をしている税源の二つであります。課税漏れになつている税源の大部分は闇屋であり、又脱税している税源の大部分はどぶろくの密造とか、或いは新円階級や悪質会社などで、帳簿の不備若しくは二重三重に不正の帳簿を備えて置いて、ごまかしたり、或いは脱税顧問を頼んで、巧みに脱税を企てておるのであります。こうした不正な事実が方々に頻々として起きていることを知りながらも、片端から徹底的に調査する余裕のないのが第一線の実情であります。而して基準調査のために、たまたま厳重な調査を受けて不正事実を掴えられた者だけは、悪運の盡きということになりますが、悪運強く不正を続けている連中が幾らでもまだいるわけであります。ここでこうした連中同士の間、或いはこうした連中と大衆との間に不均衡不公平がうまれて来るわけであります。然らばいかにしたらこうした闇屋とか、或いは大口利得者を捕捉することができるかが根本問題であります。こうした莫大な税源のあることを知りながらも、網で魚を取るように、一挙にこれを捕捉する方法がないのは誠に遺憾であります。而してここまで闇屋を横行させ、不正な大口利得者を温存してきたところの、これまでの政府の無能無策を真向から攻撃せざるを得ないのであります。労働組合は当初から万難を排して闇の撲滅を政府に進言し続けて来たのであります。大藏大臣は本会期の冒頭におきまして、税務行政の対策として税務署を増設すること、事務官を増員すること、税務職員の素質を向上することなどを言明いたしましたが、税務署の増設は廳舎を間借などをしたりいたしまして、漸く予定通り形だけは揃えましたが、事務官は現在予定員数の役二割八分程度しか採用になつていないとのこであります。尚ここで特に申上げなければならないことは、新しく採用された者は、二、三年後には漸く役に立つが、本年度の徴収事務には間に合いません。又高等税務講習所に入所した連中も、満二ヵ年後に卒業するので、本年度には間に合いません。従いまして大藏大臣は二ヵ年後の対策の一部分を実行に移しただけでありまして、当面の問題、追加予算、即ち本年度の租税の増収確保のためには、まだ何らの対策を講じていないのであります。新しい税法を作りさへすれば、第一線の職員は何らの故障もなく、機械のようにぐるぐる回転するものであるとの錯覚を持つているとしたならば、大藏大臣が幾ら健全財政を唱えても画に書いた餅であります。而して私は本年度の通常及び追加予算を賄う租税収入確保する上において、限られた期間内で公平適正を期する方法の緊急対策といたしまして、先ず一つ、税務署に特別調査班を新設して、闇屋並びに新円階級及び悪質会社などの徹底的調査に主力を注ぐこと、而して大口利得者の捕捉に対しては、報奨制度を設けること、一、緊急にして不可欠な事務以外は一時中止すること、一、税務職員は全官公職員の平均給よりも、現在二号俸乃至三号俸遅れているから、一齊に二号俸昇給を断行すること、一、徴税費を大幅に引上げること、更に一、職務の静謐に應じた特別手当を支給すること、更にもう一つ、全國財務労働組合の意見を十分に採択すること。  次に御参考までに、第一線の税務行政の実情につきまして更に一言申上げますが、全國に財務局が八ヶ所、税務署が四百五十ヶ所ありまして、職員は直接國税関係が一万七千三百人、間接國税関係が四千二百人、その他庶務関係と相成つております。尚追加予算を含めまして、本年度の大体の見込徴収税額は、職員一人平均六百三万円、而して徴税費は人件費、備品費、消耗品費その他一切の諸雑費を含めまして、徴収税額の僅かに一分二三厘程度であります。米國や英國におきましては、徴税費は徴収税額の五分以上とのことであります。税の種目は、昭和十一年頃は直接國税が七種目でありましたが、現在は直接國税が十七種目、間接國税が十種目でありますので、つまらん大衆課税的な新税を作るよりも、むしろ現行の税種目を整理した方が効果的であります。尚現在仕事の負担が非常に重く、財産税、戦時補償特別税の残務事務、増加所得税の残務整理、我が國初めての申告納税制度の採用、更に数種目の間接國税事務、更に折角調停はいたしましても滞納が非常に多く、次から次えと仕事が山積しておるのが第一線の実情であります。東京の有名な某大会社が、勤労所得税を約六ヶ月間も拂込まないので、税務署で調査しましたら、この税額約一千五百万円を会社の物資購入資金として使用していたそうであります。調査の余裕がありましたら、こんな会社が幾らでも出て來ることと思います。  以上第一案及び第二案について申上げましたが、ここで最も望ましいことは、國民の一人一人が民主的に納税思想を向上することであり、尚民間に健全にして、民主的な税務協力團体が自主的にでき上がることでありますが、併しこれは現段階におきましては、到底叶えられないことと思います。最近税務署の職員及び財務局の職員によつて組織されておりますところの全國財務労働組合中心となつて、全官公労組が大衆課税反対運動を続けておりますが、これは法律があるにも拘わらず、税務職員が大衆的税金を故意に徴収しないということではありません。限られた期間内で尻を叩かれながらも、その年度の見込税額を、徹夜を続けてでも必ず徴収するのが税務職員のこれまでの実情であります。そこでこの運動の目的は、税務の第一線に直接携わつている者の生きた体験を通じまして、大衆課税は不公平な悪税であるから、闇屋とか、新円階級、悪質会社のごとき大口利得者から増敢できるような法律を直ちに作れ、対策を直ちに講ぜよということを、政府及び國会に訴えることであり、且つ國民各位の民主的な納税思想の普及徹底を期せんとすることであります。  最後に、本年度の租税収入確保するために、以上申上げましたような緊急対策を速やかに講ずべきことを、政府及び国会に特に希望いたします。(拍手)    〔小林英三君発言者指名の許可を求む〕
  20. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 小林英三君。
  21. 小林英三

    ○小林英三君 自由党は山田佐一君を指名いたします。
  22. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 山田佐一君に発言を許します。    〔山田佐一君登壇拍手
  23. 山田佐一

    ○山田佐一君 私は只今議題となつておりまする税源とその徴税方法について、日頃抱いておりまする所見の一端を申述べて見たいと思います。  只今川上君から縷々と御演説がありました大体の趣意については私も同感であります。私は詳細に亘りまして、実際につきまして今少し申上げて見たいと思います。現在の我が國の税法は、余りにも多種多様であつて、又税率においても非常に高率であるために、これを納税する側から見ますると、日々の行動がすべて納税のために働いているような感じがいたしまして、正直に申告して、正直に納税しておりますれば、殆んど生きて行くことさえ困難な状態であります。ここに一つ卑近な例について申上げて見たいとと思います。所得税について一例を申上げますれば、月収五千円、年収六万円で、四人家族の家庭の税の負担を調べて見まするに、月額五千円の内、四百円の基礎控除と、扶養家族三人分の税金において、六十円これを控除いたしまして、分類所得税が月に一千三百二十円、一ヵ年に一万五千八百四十円、総合所得六万円の内、基礎控除四千八百円を差引きまして、五万五千二百円となり、この所得税は一万六千四百七十円となります。これに家屋税及び附加税、都市計画税等を凡そ見積もりまして一千円、尚都民税或いは府県税及び市町村附加税等、所によつて相違はありますが、約二千円を見積もりまして、総支出合計は三万五千三百十円となるのであります。かくして正味実収入は、一ケ年二万四千六百九十円となり、一ケ年二千五十七円五十銭、家族一人当り一ケ月五百十四円四十銭となるのであります。この計算は俸給生活者を起訴といたしましたが、配当所得者においても大差ないと思います。今日高物価の際これでは普通の生活も立てかねるのであります。年収六万円といえば相当高額所得者であつて、これ以上は国庫に収めても差支えないように見えまするが、実際の収入が一ケ月二千五十円ではさすがの高額所得者も、いわゆる竹の子生活をいたさねば生きて行けないというのが実情であります。一方眼を転じて路傍に靴磨きをしておる諸君の収入を見ますれば、一足五円、所要時間が三分間乃至五分間、一日六十足と見て日収三百円、月二十五日働いて七千五百円、一ヵ年九万円の収入が予定せられるのであります。又闇ブローカーと称する諸君は、手帳一冊で、一定の店舗も構えずして一ヶ月数万円を儲けておる諸君がたくさんおるのであります。これらの諸君は殆んど税金を納めておりません。従つてその生活の豪奢なことは世間周知の事実であります。ここに税負担の上に非常な不公平を生じまして、善良なる納税義務者もまざまざとその不均衡を見せつけられては、遂には良心的には咎められつつも、申告を偽り、脱税行為に出ずる者多数を見受けるのも又止むなき現状であります。よつて私はアダム・スミスの、見えざる手で納税者に甚だしき苦痛を與えずして、知らず知らずの内に納税のできる方法を講じなければならんと思います。(拍手)その一つとして、この際所得税の税率を思い切つて改正する必要があると思うのであります。政府の経済実相報告書にもある通り、物価は正に六十五倍になつておるのでありまするから、せめて現行所得税の基礎控除免税点の四千八百円を、五倍の二万五千円ぐらいに引上げる勇気が当局に望ましいのであります。よつて現在月収二千円の人は分類所得税が免除せられるのであります。又今日の経済実情より見まして、月収二千円以下の人より所得税を取るということは実情に副わない点が多々あると思います。一方に又國民も納税義務の重大なることを自覚いたしまして、みずから進んで正直にその実収入を申告して、本当に明朗なる心境の下に納税するように導かねばならんと思います。(拍手)この免税点を引上げることによつて国庫の減収が相当多額に見込まれるのでありまするが、これは現在の申告を基礎といたしました算定であります。國民の納税観念の自覚と、先刻川上君の言われたことく、多額なる脱税の申告があるのでありますから、この申告が正しくなれば、この申告基礎の数字が飛躍的に増大いたしまして、却つて減収にはならんと思うのであります。又今回の増加所得税のごときも、高率課税の上に見込決定でありまするから、所得決定額が非常に不公平となりまして、一方では財産没収にも近いほどの重税に苦しむ人もあれば、又、免れて恥なき人もあるのであります。一般に進んで納める程の誠意は認め難く、徴税の査定基準が見込決定でありまして不確実なることを知つているために、極力その所得を隠匿いたしまして、納税義務を免れんとして、各所に税務当局と紛争を起しつつある現状諸君承知通りでありまして、誠に遺憾なことであります。要するにかくのごとき高率課税をして強制的に取らんとすることが、却つて徴税を困難ならしめ、結論において国庫の収入を減ずる結果になると思うのであります。(拍手)  次に、税源について申上げます。大企業の重点産業は殆んど赤字に悩み、國民家計も亦赤字に苦しんでおる際、直接税によつて大なる税源を求めんとすることは不可能に近いことと思います。尚更に政府重要産業を国営国管に移さんとし、これら重要なる課税対象事業を国家に取上げんとしているのであります。税源の枯渇する亦当然といわなければなりません。(拍手)私はこの際赤字に悩む国有鉄道を民間に払下げ、又電力も元の民有民営に移し、國民各自の創意工夫によつて企業の合理的経営と、官僚の非能率より脱却して(「問題と違うよ」と呼ぶ者あり)自由競争により能率の増進を図り、(「ノーノー」「賛成」と呼ぶ者あり)これより生ずる利潤に課税する自由経済本来の姿に復帰するということが根本対策だと思うのであります。(拍手)財閥は解体せられました。私企業の独占は禁止せられ、財産税の徴収によつて持てる階層、資本家と称する段階は殆んど滅亡いたしました。(「ノーノー」と呼ぶ者あり)残る階層は経済の実権を握る官僚の一部と、これに携わる指導者と自認する階層のみであります。  戦争中軍人や官吏は利潤追求を論難し、利潤そのものを恰も罪悪視するような世論を作りあげたものでありまするが、これこそ生産や経済を軍事、政治よりも質的に低くみなすものでありまして、士農工商の理念に通ずる最も封建的な考え方と言わねばなりません。(拍手)基礎産業は国営国管になり、集散分配を司る商行為は配給公団の名により、小売又消費組合、或いは生活協同組合等に相成るとき、これら団体は悉く免税団体であります。誰が国税を負担するのでありますか。(拍手)僅かに経済混乱の嵐の中に孤軍奮闘する中小商工業者のみであります。これらの人の担税力にも限度があるのであります。よつてこの際、好むと好まざるとにに拘わらず、大衆課税という非難はありますが、消費税による外ないと思うのであります。(「絶対反対だ」と呼ぶ者あり)これは私は意見が相違すると思ひます。固よりその覚悟で申上げております。(笑声、拍手)よつて専売公金のうちの酒についてでありまするが、過日主税局長の説には、酒の密造が百五十万石乃至二百万石あるとのことでありました。(「時間が過ぎたぞ」と呼ぶ者あり)これらは現実に主食たる米を使用しておるのでありますから、あらゆる手段を講じてこれを取締まらなければなりません。若し放任して置いたならば、明年度は尚一層密造額も増加して、遂に停止するところを知らん情勢を來たすと思います。この意見については川上君も同感だと思います。この密造を取締ることによりまして、五十万石乃至百万石の原料米が出て來る。これは供出以外の米でありまして、農家には相当手持米があるということが立証できるわけであります。この米を自由販売價格か、或いは酒一升と米四升というような率を定めて、正規の醸造家に政府監督の下に買い取らせ、これを造石計画の中に入れて自由販売にし、一升四百円の酒造税を課するといたしますれば、これによる國庫の収入は八百億円となるのであります。固よりこれは割当供出後の米でありまするから、主食の配給計画には齟齬を來さないのであります。  次に、煙草について申上げます。今回政府は配給を男女合計して月五十本を減額して、自由販売にすることによつて、十一月以降年度末まで、即ち五ケ月間に百七十億円の増収を発表せられました。私はこの煙草についても、全國各農村に煙草の秘密耕作が相当数量あることを確信いたします。現在一ケ年の生産量が五百十億本とのことでありました。この一割密耕いたしておると見込まして、これをピース、コロナ級に製作することによつて二百億円の財源が捻出できるのであります。両者合計して実に一千億と相成るのであります。尚この外に酒や煙草の配給を止めて自由販売にすることによつて、相当多額の財源を捻出することも考えられるのでありまするが、これらは相当議論のあるところと思いますから計算外にいたしました。酒も煙草も固より嗜好品でありまして、明日の労働のための必需品とは言いながら、その必要程度において他の必需物資と比較して格段の差があると思います。又現在煙草も酒も闇相場は相当高価に売買されておりまするので、実際は左程國民に苦痛を與えずして、國家財源の重大なる責務を果すことができると思うのであります。又愛飲家諸君諸君が飲用することによつて、國家財政上貢献するところ多大なりと思えば、みずから慰めらるるものがあると思います。(拍手、笑声)  要するに終戦以来社会不安、國民道義の頽廃によるところと思いまするが、税そのものの実情は、直接税も間接税も共に実際の収入額よりも、或いは脱漏税額の方が遙に超過するのではないかと思われるような実情であります。これらは社会秩序の安定と、國民道義の昂揚に俟つこと多大なることは申すまでもありませんが、なんと申しましても直接局に当る税務当局の献身的努力によらねばなりません。ついては、現在のごとき薄給にて、その日の生活に脅威を感ずるようでは実績が挙がらんのも亦大いに考えさせられる点があると思います。(拍手)よつてこの際は、千五百カロリーとか千八百円ベースとか、けちなことを言わずに、(「賛成」と呼ぶ者あり)今日経済の実情よりの真生活安定のできる程度まで収税官吏の待遇を改善して、献身的に職務に忠実ならしめんとするものであります。(拍手)  次に、現在の諮問委員会の調査員でありまするが、これは戦時中の遺物でありまして、当局の勝手に任命したものでありまして、今日の民主主義から言いまして改革すべきものと思います。即ちこれを決議機関として、選任方法は広く当該税務所管内全部の納税義務者の公選によるとし、真の納税者の代表とせなけばれならんと思います。かくいたすことによつて、納税者の真の声を聴き、負担の公平を図り、官民一体となつて祖国再建のため喜んで納税義務を完遂できるような体勢に導かねばなりません。固より法は死物でありまして、運用は人にあるのであります。どこまでも当局にその人を得なければなりません。ここにおいて当局の責務の重大なることを自覚せられんことを望んで、私の所論を終ります。(拍手)    〔伊東隆治君発言者指名の許可を求む〕
  24. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 伊東隆治君。
  25. 伊東隆治

    ○伊東隆治君 民主党は星一郎君を指名いたします。
  26. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 星一郎君に発言を許します。    〔星一郎君登壇拍手
  27. 星一

    ○星一君 私は病気をして、未だ全く回復しておりませんので、話にくく、従つてお聴き取りにくくありましようが、御同情を賜わり、陳述を全うせしめて下さい。お願い申します。  現今の情勢に照して本問題の解決には、消極的方面からと積極的方面からの二方面から討議することが絶対的有効であると信じます。消極的方面からとは、健全財政に建直すために合理化を行うこと。第一に官吏の数を戦前のそれよりも二割増ぐらいのところに止め、その余の官吏を整理すること。即ち現在の官吏を約三分の一強ぐらいに縮小し、辞めた官吏には毎月失業手当、又求職手当を与え、その生活を保障し、残つた官吏の給料を増額し、午前八時より午後四時半まで執務し、努力の模範を國民に示すようにすることであり、(拍手)官吏が少くて済むことはデモクラシーの発達であります。積極的方面からは、運輸省、逓信省、大藏省を初め、各省関係の例の増額は、最高‥‥ここまで増しております。この上増せば窒息というおそれがある程でありますから、増額などを考えずに、新たなる大いなる歳入財源を見付けるより外には途がないと思います。  終戦後に起こつた自由民主の議論及び行動は行き過ぎ、復興建設を妨害し、当然なすべき合理化、能率化活動を行わしめず今日に及び、国家は大きなる赤字の生活を継続しておる次第であつて、どこまでその赤字と‥‥元来赤字と闇とは一体のものであります。いずれも國民の血を吸う悪魔と思います。この悪魔はいつまで続くでありましよう。昨年の暮紙幣発行は九百億台であつたのが、今日は千六百億に近く、年末には二千億になると言われております。これでは給料はいくら増しても官吏も國民も生活が立つて行きません。竹の子生活も、らつきよう生活も極度に達しました。貯蓄を政府が勧めても、貯金の、購買力がぐんぐん減つて行くので、貯蓄をする者が少いのであります。貯蓄では見込がないので、政府は勧業銀行を使うて富籤で金を集めるので、國民は勧業銀行は農民保護の銀行であつた筈なのに、いつ宗旨替えをして富籤専門屋になつたかということを國民が問うております。(拍手)富籤で集めた金で紙幣を焼捨てでもするなら話は分かるが、その金がすぐ官吏の給料となつて市場にばらまいて行かれるのではないかと國民は問うております。富籤で国家の財政を維持しようというような亡国的根性を持つてつては復興はできません。我々は必要以上の戦争をして負けました。それは破産と同じで、GHQは破産管財人として考えて見るがいいと思います。破産当時より使用人、官吏を三倍も多く持つておることは、管財人もいつまでもそのままにしておくわけはありません。早晩整理を要求して来るに違いはないのであります。一九三三年か四年かと思いますが、アメリカにニユーディールが行われたことは諸君承知通りであります。ニユーデイールの内容を説明する時間がありませんから、説明を省きますが、そのニユーデイールに学ぶべきではありませんか。産業復興のために、健全財政に立て直すために、貿易も再開されたから、それを盛んにするために、ここに失業手当、休職手当の法律を作り、資金を作り、官界も、事業界も、労働界も健康体に立て直すことに努むべきであることは議論の余地はない筈と思います。現在の歳入不足を補う財源を作るために、失業手当、休職手当支出の財源を新たに見つけることが何よりも大切と思います。新たに作る財源は、財源を作る人がそのために幾ら働いてもくたびれないという仕組で、又その財源を負担する國民も不平を言わず喜んで負担するという仕組でなければなりません。(拍手)その仕組が‥‥私は皆ここに書きましたこの印刷物を皆さんの机の上に差上げて説明をしたいと思つて、議事部に相談しましたらば、これは皆さんの机の上に差上げることはならんというので、皆さんの控室に差上げたのであります。アメリカの議会はこういうものを自由に差上げております。何故日本の議会はこれを差上げて悪いのか。私はその点が了解できません。どうぞ皆さん、これは皆さんに差上げてありますが、時間上十分説明できませんが、私がこれから話すことの足らないところはこの印刷物で補つて下さい。  私は新糖素の案を主張して来まして、そうして一時専売にしようとまで話ができましたが、中止になつたのでありましたが、この頃になつて漸く心ある人の注意を惹くことになつたものであります。私は新糖素というものを作つて財源を作りたいと思います。これは砂糖に代わる最良甘味剤であります。砂糖は皆さん御承知のごとくシュガーケーンと大根から作るビート、それから澱粉から作る葡萄糖の三つあることは御承知であります。この葡萄糖の甘さは砂糖よりも二割五分も低くありますが、併しながら栄養価値が高く、人間に葡萄糖の注射をすることによつても分かります。現在日本の葡萄糖の製造が十分でありませんから、その間はズルチン、サツカリンのような人口甘味をそれに加えて行こうというのであります。そうした葡萄糖を大いに盛んに造り、ついには葡萄糖ばかりにして行きたいと思います。日本は葡萄糖百万トンを必要とするのであります。そうして日本葡萄糖飴を売つて世界に誇る甘味の国にしたいと思います。その葡萄糖を造るのに必要なものは甘藷と馬鈴薯で十分であります。その甘藷、馬鈴薯がそのように百万トンも造ることの増産ができるかということでありますが、それは有名なる二千貫会というものがあります。これは皆様御承知かも知れませんが、これは一反歩から甘藷を二千貫採取することを目的とした会で、向うにおいでになる現参議院議員河井彌八さんが、日本食糧問題の解決案として過去長い間甘藷の栽培に努力され、最初は一千貫を作り、それに成功し、今は二千貫を作つておるが、すでに二千貫を突破しておる程の大成功を見ておるのでありますから、この河井君の二千貫会とタイアツプするならば増産は疑いありません。馬鈴薯も一千貫会ができました。それは北海道で永い間馬鈴薯の栽培に努力されておつた現参議院議員町村敬貴君であります。馬鈴薯一反歩からしてすでに一千貫を突破しております。北海道でも青森でもあります。この二千貫会、一千貫会と協力して、今甘藷の栽培は一反歩三百十貫であります。又馬鈴薯は二百六十貫でありますが、その上の増産をして葡萄糖と酒を造るという案であります。そういうようにして一反歩から百貫増産したときに、その増産の七割を葡萄糖に、三割を酒にという表を作りました。又二百貫の場合、三百貫の場合と計算しますと、これは皆様に差上げたものの裏の思考基材というので御覧を願いたいと思います。そうしてこの甘藷と馬鈴薯の合計したものを計算して行きますと、実に百貫増産で葡萄糖が十五万トン近くもできます。そのときにこの葡萄糖に甘味を加えた新糖素を一グラム一円で販売するとしますと、千四百七十九億円からになります。酒は約二百五十万石もできますので、一石一万円の税とすると、約二百五十億円の税源ができます。葡萄糖の方は原料を差引かなければなりませんから、今申した額の半分とするがよかろうと思います。それからに二百貫の時には一グラム一円を更に五十銭下げて、三百貫増産する時には一グラムで三十銭と下げて行く。順次下げて行く計算であります。その甘藷、馬鈴薯を処理する時に圧搾乾燥というのがあります。そうして搾つたこの汁から酒を造るのであります。その汁から造つた酒で百貫の時ですら二百数十万石もできるのでありますから、その搾つた汁からの酒に対して課税することにしたならば容易に得られると思います。そこでこれによつて大きな金額が得られるのでございますよ。千何百億という財源を得られるものでありますから、これを以て実にここに退職手当、休職手当をして、合理化に進むより外にはないと思います。本計画食糧の自給自足と一体化した案であります。最近二三日前の新聞で皆さん御覧だつたかも知れんが、アメリカの陸軍省のドレーバーという人の言うのには、腹が減つていわゆる空なストマツクの中では民主主義は繁昌せんとこう言うておりました。この案は食物の自給自足と一体化した案であります。最近帝大の南原総長は産業革命、人間革命ということを言うておりました。今まで芋を作つた人に供出ばかりさせておつたが、今度は芋を作つた人加工業の権利を与えるのでありますから、芋を作つた人は何ぼ働いてもくたびれないということになるのでありますから、そうした百万トンを目的として、大きなここに財源ができます。それにはやはり専売局にこの仕事を与えるがよかろうと思つております。時間の関係上十分できませんが、どうぞ皆さんこれを御覧下さつて真剣に考えて下さい。外の方法やなんかなど、そういう小さなことを考えていてはだめで、無から有を作るという勇気がなければ日本は復興はいたしません。そうして官吏を三分の一に減らすということは、これは事業界、労働界にその手本を示して行くのである。併し失業者に生活を保障することはアメリカのニユーデイールがやつたのでありますから、これを手本にして今私が言うこの事業を実行されんことを‥‥。私はこれより外にないと思う。皆さんにその気分になつて頂きたいと思います。河井さんは近く、今日か、明日ですね、ここに芋の二千貫会の実績を皆さんい示すことになろうと思いますから、これを見て、その実績を見て、下さつても、私の今申上げることは必ず成功すると皆さんいお酌み取りを願います。有難うございました。(拍手)      ——————————
  28. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) お諮りいたしたいことがございます。本日午後、皇室会議及び皇室経済会議議長、副部長共に出席いたしまするため、午後の議事に支障がございますから、この際仮議長の選挙を行いたいと存じます。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 御異議ないと認めます。
  30. 山下義信

    ○山下義信君 只今議題となりました仮議長の選挙につきましては、国会法第二十二條第二項によりまして、その選任を議長に一任するの動議を提出いたします。    〔「賛成」「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  31. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 只今の山下君の動議に賛成いたします。
  32. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 山下君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  33. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 御異議ないと認めます。つきましては、木檜三四郎君を仮議長に指名いたします。(拍手)これにて午後一時まで休憩をいたします。    午後零時十六分休憩      ——————————    午後一時十四分開議
  34. 木檜三四郎

    ○仮議長(木檜三四郎君) 午前の会議において、議長は本員を仮議長に御指名になられましたので、本席を汚します。甚だ不慣れでありまするから、皆様の御援助をお願いいたします。(拍手)これより会議を開きます。午前に引続いて自由討議を行います。    〔鈴木憲一君発言者指名の許可を求む〕
  35. 木檜三四郎

    ○仮議長(木檜三四郎君) 鈴木憲一君。
  36. 鈴木憲一

    ○鈴木憲一君 緑風会は玉置吉之丞君を指名いたします。(拍手
  37. 木檜三四郎

    ○仮議長(木檜三四郎君) 玉置吉之丞君に発言を許します。    〔玉置吉之丞君登壇拍手
  38. 玉置吉之丞

    ○玉置吉之丞君 私は税源の問題を論ずる前に、徴税方法につきまして二三の意見を申述べまして、各位の御批判を仰ぎたいと存ずるものであります。  過般大藏大臣が本議場におきまして、税務事務の強化を図るために、全国に亘つて六十七ヶ所の税務署並びにこれに要する収税官吏を二万四千人殖やすと、こういうことをお申述べになつておりますが、私は予算の内容を承知いたしませんけれども、この二万四千人の人員を増し、六十七ケ所の税務署を設置するということによつて、今日の金額といたして約十億円くらいの予算を要するものと思うのであります。私はかくのごときことをするよりも、むしろこの際に、民主的に下から盛り上がるところの税を取ること、又國民をして喜んで納税をせしむるの方法を採ることでなければならんと思うのであります。(拍手)その方法といたしまして、各財務局並びに税務署ごとにおきまして、すでに前年度において各業者が納税をいたしました納税金額が判明いたしておるのであります。これに基ずいて納税者をして得心の行くような納税をさすために、財政方針に基ずいて、例えば一税務署管内におる医者二十人おつて、前年度において百万円の納税をいたしておるとすれば、その医師会の役員なり幹事の者を税務署に呼ぶか、或いは税務署が出向いて、昨年度の医者仲間の本税務署管内における納税額は百万円であるが、本年はその三割増の百三十万円を課したいと思う。それを君らの方で適当に公平に按分して、一つ自治的に案を持つて貰えんか。こういう相談をしてやりましたならば、私は喜んでこのことを纏めて持つてつて参ることと思うのでのあります。又木材業者がその税務署管内に十五人おる。これに対して前年度において三百万円の税を取つてつたとすれば、これに対しても、又その三割増の三百九十万円を適当に君らの方で協議をして、いつ何日までに税務署え申告して欲しいという相談をしたならば、必らず纏まると思うのであります。現に私は和歌山県におきまして商工会議所のお世話をいたしておる者でありますが、常にこの納税の方面に対して税務署に協力をいたして、あらゆる面に業者と税務署の間に立つてこれらの纏めをいたして来ました事実に徴しましても、このことは行われると思うのであります。私は今日の世間の現状を見ますと、前刻山田さんからも御指摘に相成つたように、税金に追い倒されておるということが蔽うべからざる事実であると思うのであります。そこでこの税を納めなければならんということも、國民はよく承知いたしておる。併しながらこの税率の中に極めて不合理なものがあるということは、これ亦私共の経験した事実から考えられるのであります。例えば百万円の資本金の会社が十万円の利益を上げたときに税金を納めて残るところの金と、三十万円儲けて税金を差引いて会社に残るところの金とがやや等しいというような税率を課しておるのが、今日の営業所得税の現状であります。かくのごときことを行います上においては、現下の生産を増さんと欲すれば、資材は盡く公正なる道から入ないということも事実である。闇の物を買わなければならん。無理な手をして資材を獲得せんければならんのであります。而も人的の問題が、非常に労働組合の強化によつて起こつておる。このときに、何を苦しんで事業家が生産の意欲を盛り上がらしめて、生産の増強に努めるかということを私共は考えなければならんのであります。それよりも私は、例えば十万円の利益に対しては一定率の課税をする。それより以上の、十万円以上百万円まで儲けたものは、これを均一にその半額を納税しろ。それだけは取る。こうはつきりいたしたならば、そこに一つの希望を抱き、楽しみを持つて、この企業の経営者が生産の増強に力を盡すと思うのであります。こういうふうに明朗な、明確な、わかりやすい税率に改めなければならんと思うのであります。又勤労所得の上におきましても、今日の勤労者に課しておるところの税金がその当を得ないために、労働の意欲が上がらないという事実が各方面に起こつておるということは、すでに御承知の事実であります。最近石炭の国管問題を繞りまして、我々はあらゆる観点よりこのことの研究に没頭いたしております中に、すでに御承知のごとく、炭鉱において熟練せる坑内鉱夫が一万円の仕事をするよりも、八千円で止めおいた方が実収が多いということが事実の上に現れておる。又は衆議院の鉱工業委員会におきまして、社会党の岡田春夫君はこの点について詳細なる数字を挙げて指摘しておる。私はかような不合理な、生産の増強に支障あり、勤労意欲を昂める上に生涯のあるこの勤労所得税に対しては、私はこの際断じて改善せんければならんと思うのであります。又今日の勤労者に課しておける基礎控除であります。これは五百円と相成つておりますけれども、戦時中はこれは五十円であつた。然るに今日の諸物価に比べて果たしてこの五百円が妥当であるかどうかということは、常識を以て判断すれば火を見るより明らかなる事実であると私は思うのであります。私は勤労者に課しておる所得税のごときは、私の主義としてはこれは撤廃すべきものである。かような信念をもつものであります。(拍手)併しながら今日の我が国の国家財政現況に考えまして、これ亦止むを得ざるものと涙を呑んで承認いたすといたしましても、今日の基礎控除の額を、一躍これを私は絶対二千円に引上げる必要があると固く信ずるものであります。(拍手)すでにこのことにつきまして、前刻山田君からもご指摘相成つたように、一ヶ月五千円の所得を有する人、即ち一ケ年六万円の所得を持つ人が、各般の税金を差引いて、その実収が一ヶ月二千円になるかならんかというこの一つの問題を取上げましても、私は今日の我々國民生活の中において、僅かに五百円や何ぞの基礎控除というものは当を得ておらんと思うのであります。私はそこでこの勤労所得税の改正に対しては、二千円を基礎控除として、二千円を超過する一千円に対しては、一割の課税をする。二千円を超過して五千円までの者には二割五分なら二割五分を課税する。これ亦前に申上げました営業所得税に対する課税の方法のごとく、明確に、勤労者が働いて稼いだ金の中の何割かは必ずや今日の国家の財政に考えて納めなければならんという、強く朗らかなる納税思想を織込む上においても、亦働くときには必ずや税金が付いておるという観念を持たす上において、私はこの税は明確に一目瞭然とわかるような式にしなければならんと思うのであります。私は今日の国民所得というものは凡そ幾らあるか。我が国の統計の上において、これを明確に把握することはできないのであります。併しながら仮に今日の國民所得を五千億円といたしましたならば、その四割に近いものを、我々が政府の取上げるところの酒、煙草の税に等しいようなもの、その他の租税において負担せんければならん。即ち二千億円ぐらいの金は、我々はどうしても政府え納めなければならんところの義務を持つということを、大体の観念として考えておるものであります。併しながらこの税を取る方が当を得ない結果、今日どういうことが起こつておるか。ずるい人は計理士を雇い、税務署上がりを雇い込んで、あらゆることを研究して、合法的に又は非合法的に脱税をすることを企てておる。正直な者だけが、最前山田君の申しましたように、家も宅地も全部取上げられるというような目に遭つておるというのが今日の事実である。私はこの点からいたしまして、この税務機構において、即ち民主的に各税務署管内において、真に正しき民選による調査員を設けるという必要があると思うのであります。それらの人々と税務署の当局とが相協議いたして、そこに正しき民主的に立脚いたしたる税の基準を定めて、國民のおのおのをして不平不満を起こさせないように税金を取るということによつて、納税の意欲が昂揚して参ると思うのであります。私は税源を求むる前に先ず税制の整理をせんければならんという建前を持つているのであります。その理由といたしまして、今日はすでにいかなる点より考えましても、前刻星君が申した通り、税金はもう我々の鼻の下まで来ている。もう一つ行くと我我は窒息する。これが現下の実情である。何故にかくのごとき事態が起こつたか。戦争によつてあらゆる都市が焼かれた。それに伴つて物を失つた。敗戦の結果、税の対象の相成るところのものが消えてしまつた。そうして尚税の対象になるところのものが生産されないという今日においては、勢いそうならなければならぬ。これも、これ亦止むを得ぬ次第と思うのであります。  そこで私は税源をどこに求めるか。これは労働者が労働の意欲を高めるような、前申上げましたような勤労所得税に対する課税の方法を変えて、意欲を増して貰うということと、生産者が生産をすればそこに税をかけて、そのことによつて生産者が又企業の意欲を起し、経営に力を入れて物の生産を増すということによつてみずからそこに税源ができる。即ち税の源を先に養うということでなければならぬと思うのであります。然るに何ぞや、今の大藏当局の考え方は、税金を取るために人を殖やすことばかり考えておる。今どれだけ大藏省の管内に役人がおるか。我が国の警察官は今日九万七千五百人と聞いている。然るにこれに等しいだけの人間を大藏省が持つてつて、尚どんどん人を殖やして行つて、これによつて國民に苛斂誅求をするというのが今日の建前である。私はこの意味におきまして、國民の生産の力を養い、それを増やすためには、多少の赤字公債を発行いたしても、先ずこの場合は税源を養うということでなければならぬ。いかなる人が考えても、この税源というものを見出すことは極めて至難な問題であると私は思うのであります。私をして言わしむるならば、今日財産税を課し、又聞くところによりますと非戦災者の家屋に税をかけ、耕地にまで税を取る。即ち財産税の二重三重の課税をしても税源がないというこの行き詰まつた状況において、何が残つているか。私は各生産の向上に持つておるところの原動機、機械その他の設備ぐらいが、或いは見方によると税の対象物になるのでないか知らんと思いますけれども、生産の働きをするその根本の機械、原動力に税をかけるというような乱暴なこともできない。そうすると私は働きによつて生み出すところのものに税をかけるより外はない。その結果がどうなるか。今日は好むと好まざるとに拘わらず勢い大衆課税と相成つて参ります。私共はこの大衆課税には反対であります。反対と雖もいかんせん、酒、煙草の引上げ、あらゆる物品税、消費税、ことごとく大衆課税である。又近く興行の入場税を引上げるということについて各所に反対の宣伝ビラがかかげられておりますが、私はこれらは窮余の悪税であると思いますけれども、ただこの際にこの税の取り方については、文化の潤いを全国等しくするために、私は都会と田舎の、即ち都鄙においてこの入場料に差を設けるということを政府において考えられんことを望んでおるものであります。  私は最後に、今までに申上げました私の考え方の一つ一つに、若しも皆様が共鳴し得られる点ありとするならば、本国会の自由討議が言いつ放し、聞きつ放しに終らないように、これを各常任委員会に取上げて貰つて、そこで更に検討を加えて、国家の政治の上に、このことが施していい、これを実現していいという考えが付きましたならば、この実現方に国会の各位が一丸となつて努力するということに、この自由討議の意義があると思うのであります。どうかこの点につきましえは、私の申上げましたことに若し御賛成下さるような節ありとすれば、何とぞその実現に一段のお力を賜らんことを切にお願い申上げまして、私の討議を終ります。(拍手)    〔丹羽五郎君発言者指名の許可を求む〕
  39. 木檜三四郎

    ○仮議長(木檜三四郎君) 丹羽五郎君。
  40. 丹羽五郎

    ○丹羽五郎君 社会党は木村禧八郎君を指名いたします。
  41. 木檜三四郎

    ○仮議長(木檜三四郎君) 木村禧八郎君に発言を許します。    〔木村禧八郎君登壇拍手
  42. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 私は論点を三つに分けてこの問題を討議いたしたいと思うのであります。その第一点は租税問題の現段階における在り方であります。第二点は第一点と関連いたしまする税務機構と租税制度の問題であります。第三点は対策の問題であります。  そこで先ず第一点から所見を開陳いたしたいと思います。我々が今当面いたしておりまする悪質的はインフレーションを処理し、その発展を防止するためには、財政、通貨、金融、價格、賃金、流通機構、或いは生産面等々に対しまして、総合的に強力な思索を敢行しなければならないということは、言ふまでもないところでありますが、これらのいろいろの施策を行うに当りましては、おのずからその順序にあとさきがあり、その比重に違いがあることも、一般の認むるところであります。これらの諸政策のうち、その順序としても最も先に手を染め、又その比重として最も重きを置くべきは、そもそもインフレーションなるものが不換紙幣の膨張に基ずくものであるという必然の結果といたしまして、その不換紙幣の膨張に対して最も大きな関連を持つとおころの財政面であることは多言を要しないと思います。つまり財政面から不換紙幣を膨張させない健全方針を堅持するということが、インフレーション対策の根本を形成するのであります。健全財政方針とは言うまでもなく、原則として歳入を國民所得或いは財産の範囲内において賄い、新規購買力の造出によつて賄うことをしない。そういう財政方針であります。このことは単にインフレーション対策として必要であるばかりでなく、新憲法下の財政法の精紳でもあります。財政法第四條には「国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない。」と規定してあるのであります。「公債又は借入金以外の歳入」とは、いうまでもなく租税、課徴金、専売益金、国営事業収益等でありますが、その中で租税の占める割合が何といつても大きいのであります。そうなると租税というものは今後国家財政にとつて、ひいて我々の生活にとつて、これまでとは比較にならん程に、その意義は量においても質においても重大となつて来るのでありま刷るが、これまで久しい間インフレ財政政策が採られて来たために、國民は租税というものに対して大きな関心を示さなかつたようであります。併しこれからの租税及び租税政策の在り方というものは、今後における日本の政治経済上における民主化の発展の程度を測る有力な指標となる程に重要性を持つものであると信ずるものであります。  さて日本の政治経済の現段階における租税及び租税政策の持つところの意義を更に具体的に検討いたしますれば、二つの側面に分けることができると思います。第一の側面は、いうまでもないことでありますが、成るべく租税を多く取つて健全財政を堅持し、不換紙幣の膨張を防ぎ、インフレーションを抑止する。そういうことであります。第二の側面は、租税負担を所得、財産の高に応じて公正に負わしめ、戦争利得者を脱税せしめて大衆課税を重課するというような不公平をなくすことであります。このインフレーション抑止のための税源を豊富に、そして公正に獲得する基本的な前提條件は、所得や財産を的確に把握するということであります。これができなければ、幾ら税率を引上げても、又新税を設定いたしましても脱税が行われてしまつて、十分な税制を得ることができません。そうして財源は容易に掴み得るとろこの大衆課税に求められ易くなるのであります。ところがこれまでの政府、この中には少くとも今日までの現内閣をも含んでおりますが、これまでの政府は、所得財産を的確に把握するという努力をしなかつたというよりも、むしろいかにして所得、財産を的確に掴まないようにするかという方面に努力して来たために、厖大な額の脱税が行われ、そのために第一に、財源があるのにないといつてインフレ政策を採り、第二には、大衆への課税を必要以上に重くして来たのであります。例えば石橋前大蔵大臣当時、昭和二十二年度本予算千百四十五億円を編成するに当りまして、大藏省主税局は国民所得を三千八億円と抑えた。この中、勤労所得が千五百五十四億円、個人業種所得が千三百四十二億円と推定いたしまして、税をかけたのであります。ここで注目されなくてはならないことは、勤労所得の方が闇所得を含む個人業種所得の方よりも多く推定せられておるということなのであります。この結果として、直接税四百六十六億余円、これは全税収の五〇・五%であります。これに対して間接税即ち大衆税であるところの間接税が四百二十一億余円、全税収の四五・五%を課することになつたのであります。つまり勤労所得が闇所得より多いと見込まれたために、大衆課税たる間接税は昭和二十年度の二八・九%から二十二年度には四五・五%に増加されたのであります。ところがどうでありますか、同じ大藏省の理財局が、国民所得の調査方法としては比較的合理的な方法であるところの、いわゆる人的物的の方法によつて調べたところによりますると、昭和二十二年度の国民所得の推定は五千五百三十二億余円という数字が出て来たのであります。而もこの内訳を見ますると、勤労所得は千八百九十七億余円、個人業種所得は三千四百五十六億余円となつておるのであります。主税局の調べでは勤労所得の方が個人業種所得より多くなつていましたが、理財局の調べでは個人業種所得の方が勤労所得よりも二千百七十七億余円、即ち二倍半も多いのであります。これは我々の常識とほぼ一致するのであります。この結果として、勤労者が闇を含む個人業種所得者に比していかに不当の税をかけられているかということが分ると思うのであります。而も理財局調査は比較的正確であるとみなされているのでありますから、理財局調べの國民所得五千五百三十二億余円と主税局調べの三千八億余円との差額約二千五百億円という厖大な所得が脱税されているということになるのであります。尤もその後、主税局調べの国民所得推定額が余りに低いので増加所得税をかけることにはなりましたが、まだその大部分が脱税されていることは疑いないところであると思います。その脱税が大部分、いわゆる闇所得を含む個人業種所得であることを申すまでもないと思うのであります。こうして見て参りますと、財源はないのではない。大きな財源が脱税されているのであります。例えば終戦処理費について、この財政及び金融委員会におきましても、大藏当局においては二三割も余計な分を払つてつたということを認めているのであります。そういたしますと、昨年度の終戦処理費は三百九十億でありますから、その二三割といたしますれば、二割といたしても七十八億円、三割といたしますれば百十八億円というものが余計に支払われておつた。こういうような余計なものを支払つたならば、これから税を取ればそこに財源があるわけであります。又本年度は價格改訂の結果として、國民所得は約八千億円に達すると推定されております。この所得が的確に把握されたならば、私は財源はかなりあると思うのであります。ところがこの所得、財産が正確に把握されていないのであります。そのために勤労所得は不当に重税を課せられ、煙草、入場税等々の大衆税たる間接税が不当に重くなるのであると思うのであります。  そこで第二の論点に移りたいと思いますが、以上述べましたように所得財産等の財源が性格に掴まれなかつた原因は一体どこにあつたかという問題であります。第一の原因は所得や財産を性格に把握されては困るという人たちの利害を代表する政治勢力がこれまで政治を行つて来たため、政府にそもそも所得財産を正確に調べるという意思がなかつたことであると思います。(拍手)それであるからこそインフレ政策が採られたのであります。そうした勢力と連立を行つたり、政策協定を行つたりして来ておる今の政府にも、遺憾ながらその残滓が残つておることは否定できないと思うのであります。(拍手)第二の原因は税務機構の面にあると思います。年齢の若さ教養の低さ、待遇の薄さ、人員の不足等々、原因はどういうところにあるにせよ、今日税務署員の綱紀がいかに弛緩し、紊乱しておるかということはいろいろの機会によく耳にするところであります。税務機構の末端がこのような実情であつては、仮にいかに政府において所得、財産を正確に調べ、公正な税をかけようとする意思があつても、それはできないと思います。この点私は全財の諸君の奮起を望んで止まない次第であります。(拍手)第三の原因は、予算申告税制度にあると思います。このインフレ下において予算課税制度を採るということは当然の措置であると思います。併しながらこれを申告制度にしたことは、民主主義の発達のまだ低い我が国の現在におきましえ、脱税を奨励し、或いは二重の手間となる恐れがあるのであります。予算申告税制度は御承知通りアメリカにおいて一九四五年から実施して成績を収めており、個人の人格を尊重した最も民主的な租税制度であると信じて疑わないのでありますが、まだ封建的利己主義の残存が強い我が国の現状においてこれを実施いたしますと、自分で自分の所得を算定して、それに基ずいて税を自分で計算して、みずから税務署に納めるひとは少いのであります。どうしても申告する人は外部から所得が掴めてごまかしの聴かない人であり、まじめに働く勤労者である。或いは正直な商工業者であり、闇利得者は申告しないことになるのであります。例えば本年第二四半期におきましては、所得の申告額は予定額の一割六分、一六%であり、実際に納税した額はその一六%の二六%に過ぎないという実情であるとのことであります。これでは租税制度は全く破綻に瀕しておると言わざるを得ません。そこで政府は税が集まりませんから大藏省証券を発行して泳いでいるというような実情であります。これはインフレを促進さえる原因になります。これではいけないというので、大藏省では別に所得税査定委員会におきましえ税額を決めて、そうして納税通知書を出すことになつておるということであります。これでは二重手間であつて予算申告税制度を設けた意味を成さないと思うのであります。このような原因から税源であるところの所得財産が正確に掴み得ないといたしますならば、幾ら税率を引上げ、新税を起しましても、税の公正な負担によつて健全財政を堅持するということは言うべくして行われがたいと思うのであります。どうしても取り易い煙草の値上げ、その他の大衆課税たる間接税の増徴に傾き易いからでございます。  それでは所得、財産を正確に掴むにはどうしたらよいか。これが第三の、そして最後の論点でございます。先ず政府が所得、財産を正確に掴むという意思を本当に固めることが第一でありまして、すべての問題はそれからであります。それができましたならば、脱税防止法という単行法を制定して頂きまして、これによつて第一に厳罰を以て税務機構の刷新を行う。第二に予算申告税制度に改善を加え、その他納税者側の義務履行を厳正にし、第三に財産捕捉を可能ならしめるために、軽い財産税を課すると共に、所得の補足を正確ならしめるために、必要があれば個人の消費生活の内容についても調査し得る権限を税務官吏に与えるべきであると思うのであります。勿論いろいろな誘惑にかからぬよう、能率を上げるように、税務官吏の待遇を改善し、地位の向上を図ることも必要であると思います。このうようにして今よりも所得、財産を正しく掴むことができ、そうして戦時利得や闇利得の脱税が徹底的に防ぎ得ますならば、現行の税率の下でもかなりたくさんの増収ができ、そうしてインフレ防止に役立つと共に、勤労者の租税負担も不当に重くしないで済む筈であると信ずるものであります。これで私は終ります。(拍手)    〔鈴木憲一君発言者指名の許可を求む〕
  43. 木檜三四郎

    ○仮議長(木檜三四郎君) 鈴木憲一君。
  44. 鈴木憲一

    ○鈴木憲一君 緑風会は市來乙彦君を指名いたします。
  45. 木檜三四郎

    ○仮議長(木檜三四郎君) 市來乙彦君に発言を許します。    〔市來乙彦君登壇拍手
  46. 市來乙彦

    ○市來乙彦君 政府は未だに追加予算を提出いたしません。甚だ怠慢であります。新聞紙の報告するところによれば、追加予算の編成は苦心惨澹の模様であります。或いは煙草の値上げを考え、或いは煙草の過程配給全廃を考え、或いは戦災にかからなつた家屋等に対する課税を考え、いろいろに苦心されておる状況が明らかに見えております。戦災にかからなつた家屋の課税につきましては、曾て大藏省において悪税であるとして排斥されたものが今日の計画においては拾い上げられるという、極めてみじめな関係が想像されるのであります。又古くは大藏省の一部において誅求の思想があつたことがあります。然るところ、今回の計画にかかる煙草の値上げ、煙草の家庭配給の減少、これらは著しく大衆の生活に脅威を与えるものでありまして、正に誅求と認むべきものであります。これによつて考えますれば、政府において必要なる程度の新しい財源が発見されなかつたものと思う外はないのであります。私が御参考に供するまでのものでありませんけれども、ここに地上権に対する課税をなすべしという一説があります。それは地上権の價格は土地の所有者に比較いたしますれば、数倍、十数倍或いはそれ以上の価格を持つという場合が多いのであります。従つてこれに対する課税は誠に適当であつて相当の収入が得られるというのであります。殊にこれは地方税としては最も良好なる税法であります。国税としても実行すればできないことはないのであります。併しながら今日の情勢においては全国に亙て土地が荒廃しております、然るのみならず各般の営業がまだ復興されておりません。これがためにこの課税は今日直ちにこれを行うことは極めて無理であります。又競馬国営説を唱える者があります。国営競馬を実行いたしまして、各地に多数の競馬場を設ける、馬券を大幅に引上げて収入を殖やそう、これは相当の収益を得るものと思います。税ではありませんが国税を殖やすためには考慮を費やす値打があると考えます。これにつきましては十分の研究を必要とすると思います。これを要するに大藏省のあの緻密な頭脳を以てしても、亦優秀なる課税技倆を以ていたしましても、遂に新たな有力な財源を発見することができなかつたとすれば、今日の場合適当なる新らしい財源は税の上においても、その他の関係においても到底見られることはむずかしいであろうと考えなければなりません。但し社会の生活の上級、即ち豊富なる購買力を持つてつて、闇物資のいかなる高価なるものでも容易にこれを手に入れて、贅沢の生活を続けておりまする上級階級、その方面には相当の課税に耐える資力があると思います。尤もその資力は今日においては預金の形になつていることと想像いたします。更に新円稼ぎによつて新円の富を築きましたところの新円階級、この方面にも相当の資力があると見られるのであります。然らばそれに対していかなる処理をするが相当であるか、この点に論及いたしまする前に、一つの先決問題があります。大体において政府予算の編成に当つて、単に敢支の釣合いを決めるために区々たる財源を漁るのでありましたら、それは本末転倒でありまして、末節に拘泥するものであります。財政はすでに行詰つております。いわゆる大厦の顛れんとする一木を以て支え得るものでありません。よろしく大元に遡りまして、この財政の行詰りに対して相当の処理をせなければなりません。私は目前における追加予算の編成が非常に困難であることを考えまして、来年度の本予算を果して財政法の規定に従つてこの十二月中に提出されることができるかどうか、之を窃かに疑つて心配しているのであります。元来、通貨の増発、インフレーションの昂進、これは何を原因として存在するものであるか、取りも直さず政府が厖大なる予算を擁しておつて、これを節減しないで連続して使用するからであります。政府が主なる原因を作つてつて、その結果みずから又悩んでおるのであります。ひいて我々國民が生活上に非常に苦しむのはこれがためであります。これを救済するには、道理としてはむずかしいことはありません。源泉を清くすべきであります。即ち国費を緊縮すべきであります。国費の緊縮整理につきましては、先日私はこの壇上において意見を陳述いたしました。今日は、私の只今の話の前後の連絡を取りますために、その要領を極めて簡単に陳述いたしたいと思います。即ちあらゆる官庁に亙りまして人員を三割減じて経費を緊縮する。更に進んで物資の増産に対する障害を除く趣意を以て、又大衆の生活に対する脅威を除く趣意を以て、所得税、消費税の一部に減税を行う。鉄道運賃、郵便電信料、専売煙草の値下げを断行する。これを基準として一般の物価を低下させる。即ち高物価政策より低物価政策に轉換するのであります。その結果は、通貨の増発を喰い止めて、インフレーションの昂進を抑制する、物資の生産が増産の十分なる兆しを以て正当なるルートに上つて来る。住宅の建築が順調に進行する。大衆の生活が次第に安定して参ります。殊に輸出品価格が低減いたしまするために、将来に向つて輸出の進展が期待されるのであります。今日の情勢を以て推し移つて行きましても、半年や一年の間に、前途に楽観すべき曙光を認めることは到底できないことは、殆んど疑いがないのであります。最近、進駐軍の一員が警告を与えられました。それは政府の地方における出先の役所が無用のものがある、これを廃すべし、それに附加えて役人の数が多過ぎる、三割乃至四割の原因を行え。そういう警告であります。三割乃至四割の減員を行えということは、私はこれは政府の一般の役所に適用すべき真理であると考えます。この警告は、我が財政の弱点を突いているものでありまして、誠に尊ぶべき警告であると考えます。(拍手)この国費の緊縮整理を行つた結果を顧みまして、問題として起きました新円階級に対する新円の取扱いをいかにするか、これに関連して私は暫くこの演壇を拝借といたしまして、全国の新円階級に呼び掛けたいのであります。全国の新円階級の方々、あなた方は新円稼ぎによつて新円の富を得られた。それはインフレーションの波に乗つて闇相場を利用してできたものである。その行いは大衆の生活に脅威を与え、國の再建に妨害をなしたことである、これを厳正に批判すれば悪徳の行いである、あなた方は御承知でありましよう、それは因果慶報ということであります。善根を施せば善い報いがある、悪徳の行いがあれば苦しい結果が生じる。又全国の新円階級のあなた方は朝顔の花を御覧でありましよう、朝の朝露の間には極めて美しく咲き誇つておるのであります。それが晝となり、夜となれば忽ちに凋んでしまうのであります。インフレーションにも時の経過があります。只今は朝の時であります。いずれこれが晝になり、夜にもなるでありましよう。然らばその間に美しい朝顔の花にも譬うべきあなた方の新円の富はいかなる変化を生ずるのであろうか、何か極く不詳な故障が生ずるのではあるまいか、私はその点について新円階級の皆様の将来の運命について非常に心配を持つておるのであります。願くは、あなた方は今日よりして断然新円稼ぎを取止めて、その新円の富を貯蓄に振向けて頂きたい。それが大衆の生活に対し、又国の再建に対してあなた方が善根を捧げられる途である。私は誠意を以てこれを念願するのであります。  続いて私は新円に対する処置を申上げなければなりません。從來の経験によれば、新円を課税によつて吸収しまするということは、種々の事情のためにその結果が十分でないという経験があるのであります。若し幸いにして政府並びにその他の方面の勧告によりまして、更に警察力の取締りによりまして、新円の稼ぎがその形をなくいたしまして、その富がすべて貯蓄に代わりまするならば、誠に無事であつて結構であります。併しながら若し相変わらず新円階級が横行跋扈いたしまするならば、他の方法を取らねばなりません。それについて誠に私申しにくいのでありまするが止むを得ません。第三封鎖を行いまして、これによつて新円を吸収する外ないのであります。(拍手)第三封鎖の預金が一面において低物価政策、これによつて物資の増産の模様を見まして、これに対応するように漸次払下げればよろしいのであります。第三封鎖の設定について、それは通貨の信用を害するものであるという説も出るのであります。一応尤もであります。併しながら一面において国費の緊縮整理によつて、通貨の増発を食い止めた後でありますれば、格別の問題でないと考えます。以上が今日の課題に対する私の解答であります。私の研究がまだ未完成でありまするために、新たなる税源を探求することもまだできません。甚だ申しますることが不十分であつて恐縮の至りであります。悪しからず御了承をお願いいたします。(拍手)      ——————————
  47. 木檜三四郎

    ○仮議長(木檜三四郎君) この際新たに議席に着かれたる議員を御紹介いたします。議席第二百四番、地方選出議員、岩手県選出、川村松助君。    〔川村松助君起立拍手
  48. 木檜三四郎

    ○仮議長(木檜三四郎君) 議長は川村君を鉱工業委員に推薦いたします。(拍手)      ——————————    〔板野勝次君発言者指名の許可を求む〕
  49. 木檜三四郎

    ○仮議長(木檜三四郎君) 板野勝次君。
  50. 板野勝次

    ○板野勝次君 共産党は中西功君を指名いたします。
  51. 木檜三四郎

    ○仮議長(木檜三四郎君) 中西功君の発言を許します。    〔中西功君登壇拍手
  52. 中西功

    ○中西功君 先程來皆様の御討議を聴きまして非常に感じましたことは、この問題を燒つて二つの流れがはつきりあるということであります。一つの流れは、有る者から、即ち大闇屋、或いは新円利得者から取る。そうして千八百円、そうしたものを解決して、税務官吏の生活を保障して行く。そういう行き方と、今一つは、ますます大衆課税を強化して行くというふうな行き方であります。これがこの自由討議においてはつきりした点でありますが、こういうふうに見ますれば、この税源並びに徴税方法の問題も大きな政治問題であります。決して単なる技術では解決しない問題であると思います。この点について私がやはり大きく感じましたことは、この問題は一つはこのやうに大きな政治問題であつて、結局各党の政策、或いはやり方に依存しておる、その点が一つでありますが、同時にこの徴税或いは又新しい財源を発見するという問題の根本はどこにあるか、それは結局において税源の問題に帰着します。どういう税を取るかということが基本であります。それで若し不当な税を無理に取ろうとする、即ち大衆課税を取ろうとするならば、これは手間も掛りますし、いろいろの反対も出て来ます。故障が続出して来まして、これは結局取れないということになりますし、若し但し持てる者から、当然取るべき者から取る、そういう税金でありますれば、結局これは大口でありまして手数も楽である。そうして又確実に取れて行く。税務官吏においても正義感を持つてつて行くということになるのであります。決定的な問題は、このどの税を取るかということであります。私たち共産党はさつき木村さん、或いは川上さんからはつきり言われましたような、ああいうふうな大衆財産税をどしどし取つて行く、そういう態度を取つておりますが、この点について私は結局現在の徴税機構は全く崩壊に瀕しておると思います。危機なんです。何故こういう危機になつたかということを皆さんがよく考えて頂いても分ります。結局今までの悪税体系の結果なのであります。詳しい数字は申し上げません。それは木村さんも、皆さんの方が言われております。要するに現在徴税機構が完全に危機に瀕しておるということは、すべての悪税体系の結果であります。それならばこれをどうして救済するか。どうして克服するか。これはもう非常にはつきりしております。この悪税体系を改革して、そうした悪税でないもの、即ち現在においてははつきりと闇利得者や或いは新円利得者に対して重税を課して行く。こういう決意であり、こういう方向であります。これができ上るならば、もうこの問題は極めて簡単に解決できると思います。今まで政府がいかにこういう当然取るべき利得を取つていないか。これはもうすでに周知の事実でありまして、一千億を取るべき財産税が、いつの間にか三百数十億になつておる。その差の六百億はどこへ行つているか。或いは価格差益金におきましても同じようであります。以前百五十億円はあるといわれましたが、僅かにその一割以下しか取れていないし、今年度の予算におきましてもそれは十億しか見積もつてありません。ところがこういう價格差益金は到る処に不正な利得となつて充満しておるわけであります。一例を申しましても、この度繊維統制会が解散いたしますが、その繊維統制会の職員は二百人程であります。その二百人程に今一千万円以上の退職金をやろうとしております。こういう経費はどこから出ておるか。価格差益金を取つていない結果であります。長野県の繊維統制会におきましても千八百万円の金が余つてしまつてどうにもしようがない。それで県庁に寄付を申出た。ところが、県庁でもこれを取つていいのかどうか分らんので困つておる。こんな現状であります。こういうふうな例は沢山ありますが、この価格差益金にしましても、或いは又今やかましく言われております隠退蔵物資の問題にいたしましても、政府はこれからどれだけの税を見ておるかと申しますれば、僅かに十六億です。マル公で一千億もあると言われた物資があつちこつち流れて行つて、厖大なこれは貯蓄となつておる筈であります。これを僅かに十六億しか取らない。これでは実際に日本の徴税体系は立たないわけであります。そこで我々共産党といたしましては、新しい税体系としまして、いわば不正収益税というふうなものを設定したいと思つております。即ちそれは社会党が從來言われております第二次財産税とほぼ同じであります。川上さんが言われました財産税と精神は同じであります。何故不当収益税と申しますかといいますと、現在におきまして収益がある、或いは又かなり莫大な収益があるということは、実は皆不正なのであります。例えば政府自身が言つております。国家も赤字、企業も赤字、家庭も赤字なんであります。普通ならば大体黒字がある筈がないと政府自身が言つております。そうして又実際現在の統制機構の下においてまじめにこれを運用したら、黒字が出ないことは大体常識であります。それにも拘わらず若し莫大な黒字があつたといたしますれば、それはやはり不正であります。現在の大抵の会社には二つの帳簿がある。一つは赤字の帳簿、一つは黒字の帳簿であります。その赤字の帳簿が正当であるといたしますれば、黒字が不正なんであります。こういうような不正のものを結局全部取上げる。全部取る。こういうのが不正収益税の精紳でありますが、これは決して取りにくいのでなく、極めて取り易いのであります。即ちすでに帳簿が大抵の会社では立派に整つております。ただそれを本当に見る、それを檢査する気が政府にあれば、これは取れるのであります。私は一つの例、これは決してよい例ではありませんが、一つの例としていかに簡単に取れるかという例を申上げますと、現在七月十五日附で各会社の企業整備案が日銀総裁を経て政府に提出されております。それには昨年八月十日現在の新旧勘定分離期の棚下し資産を本年の六月一日現在の時価で評価されて、その評価益が出ておるわけでありますが、この数字ははつきりとその企業整備案に載つております。而もこれは六月一日の評価益でありますが、これを七月以降の三倍のマル公に直しましたならば、莫大な評価益が出て来ます。或る有名な電気器具会社一会社取つて見ましても、これは帳簿価額で八億五千万円あります。これを現在のマル公に直しましたら百億であります。こういうものが価格差益金から完全に逃れております。こういうところから若し十分な差益を取るならば、一千億を取るのは決して困難でありません。而もこれは帳簿が揃つております。而もその帳簿は政府にある。それ程たやすいことなのであります。でありますから、取ろうと思うならば、こうしたものは極めてたやすく、決してむずかしくないのであります。この度政府は特別の財産増加所得税をやめた。これは困難だからやめたと言つておりますが、決してこれは現実に困難でなくして、政府がやる腹がないからであります。とにかくこういう状態でありまして、若しこの財産税、或いは又不正所得税を取るという建前を取つて行きますれば、問題は簡単に解決いたします。そうでなくして、反対に今まで通り悪税を続けて行くということになりますれば、これはもう間もなく近い将来に徴税体系は完全に崩壊してしまうと思います。それはいろいろの点から、即ち現在甲種事業所得税がすでにもう相当の時期が経つておるのに一七%しかまだ決定していない。そのために物品税などの悪税に至りましては、その中の化粧品税は七〇%は脱税である。これはもう公然の事実であります。その他勤労所得税の悪質化、これはもう非常に甚だしいものでありまして、これに対しては勤労者が挙つて反対しております。或いは又今後政府はその所得税の増徴のために非常に努力しようとしているが、その場合でもそのやり方が極めて天降り的といいますか、インチキであります。例えば浅草の例を取つて見ますれば、浅草は増加所得税において二億円あつたのだから、この度は七倍の十四億円はあるだろうというような調子で被せて行くのであります。こういうような調子で、若し今後の政府が取れるものから取らずに、主として労働者や農民や中小商工業者の人に重税を課して行くならば、これはますます反抗が起つて来る。反抗が起つて来るばかりではなくして、外部からの反抗が起つて来るのではなくして、内部から崩壊いたします。これは各方面で悪税反対闘争をしておるということから見ても明らかであります。結局問題は、結論として申上げますれば、我々といたしましては、本当に財産税、或いは不正収益税、或いは新円課税をするかどうか。これが問題の結論である。私はそう思うのであります。これによつて私の討議を終らして頂きます。(拍手
  53. 木檜三四郎

    ○仮議長(木檜三四郎君) これにて本日の自由討議は終りました。次会の議事日程決定次第公報を以て御通知いたします。本日はこれにて散会いたします。    午後三時二十九分散会