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1947-08-26 第1回国会 参議院 本会議 第27号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十二年八月二十六日(火曜日) 午前十時二十四分
開議
議事日程
第二十六号
昭和
二十二年八月二十六日 午前十時
開議
第一
労働省設置法案
(
内閣提出
、
衆議院送付
)(
委員長報告
) 第二
農地種苗法案
(
内閣提出
)(
委員長報告
) ━━━━━━━━━━━━━
松平恒雄
1
○
議長
(
松平恒雄
君)
諸般
の
報告
は御異議がなければ朗読を省略いたします。
—————
・
—————
松平恒雄
2
○
議長
(
松平恒雄
君) これより本日の
会議
を開きます。
日程
第一、
労働省設置法案
(
内閣提出
、
衆議院送付
)を
議題
といたします。先ず
委員長
の
報告
を求めます。
決算委員長下條康麿
君。 〔
下條康麿
君
登壇
、
拍手
〕
下條康麿
3
○
下條康麿
君
只今議題
となりました
労働省設置法案
につきまして、
委員会
における
審議
の
経過
を御
報告
いたしたいと存じます。この
法案
は
行政機構
を
所管
する
決算委員会
に付託せられましたが、
労働行政
の実質にも
関係
がありますので、
参議院規則
第三十六條によりまして
労働委員会
との
連合委員会
を開きまして、十分その
方面
からの御
意見
をも
伺つたの
であります。去る八月六日に
政府
から
提案
の
理由
を伺いまして、爾後数回
委員会
を開きまして、八月二十一日に
委員会
を閉じたのでありますが、その間
政府
からは
米窪國務大臣
、
齋藤國務大臣
、
法制局長官等政府委員
からしばしば
答弁
、
説明
を
伺つたの
であります。 先ず第一にこの
法案
の
内容
を申上げます。
労働省設置
のことは十数年前からの
懸案
でありまして、すでに前
吉田内閣
におきましてもこれを認めてお
つたの
でありまして、現
片山内閣
に引継がれたような問題なのであります。この
法案
は、
労働者
の福祉を増進し、
職業
の
確保
を図りまして、これによ
つて経済
の興隆と
國民生活
の安定とに寄與せんことを
目的
といたしまして、
労働省
を設置せんとするものであります。この
労働省
の
所管事項
は、第一に、
労働組合
、
労働関係
の
調整等
、
労働者保護
に関する
事務
、それから第二は
職業
に関する
事務
、第三には
労働統計調査
その他
労働
に関する
諸般
の
事務
を管理することにな
つて
おります。
労働省
の
内部機構
を申しますると、
大臣官房
の外に、
厚生省
から
労政局
、
労働基準局
、
職業安定局
を移しまして、その外に新たに
婦人少年局
と
労働統計調査局
を設けまして、
都合五つ
の局ができることにな
つて
おります。尚その外に
産業安定研究所
と
船員労働連絡会議
が設けられることにな
つて
おります。
労働省設置
に伴い、
厚生省官制
の一部
改正
及び
労働基準法
の一部
改正
が附則中に
規定
されております。この
法案実施
のために要しまする
経費
の純
増加額
は、本
年度
八月以降の分が五千万円、平
年度
といたしまして五千六百万円、その外に今申した
厚生省
から移管されます
関係
の
経費
が、本
年度
八月以降の分が五億九千万円、平
年度
といたしまして九億五千万円でありまして、これに要する新規の
人員増加
は、本省が四百名、
地方
が八百名、計千二百名増員になる計画にな
つて
おります。そうしてこの
関係
の
予算
は、
昭和
二十二
年度
一般会計予算補正
(第一号)として、すでに
衆議院
を通過して、現に本院において
審議
中であります。以上が
本案内容
の大体の
説明
であります。 これから
法律案審議
の
経過
を概略申上げたいと存じます。第一に、内務省を廃止し、その他
行政整理
を氣構えている今日、特に一省を設けることはいかがかとの
質問
があ
つたの
であります。これに対しまして
政府
は、我が國の
経済
を再建し
國民生活
の安定を図ることは現下の急務でありまして、これがためには
労働者
の
精神
的、肉体的の
努力
の
最大発揮
を必要とするのである。然るに我が國の
現状
は、先きに
労働組合法
、
労働関係調整法
、
労働基準法等各般
の
労働立法
が行われまして、これに対應しまして
労働組合運動
は活溌に展開されつつあるのであります。併しながら
経済
の復興に対する
労働省
の積極的且つ自主的な協力の促進、或いは
労働関係
の健全なる
調整
、
労働者
の
生活権
の保障、
職業
の
確保
、強力な
失業対策
の
推進等
、問題は眼前に山積いたしておるのであります。これらの問題を積極的に取上げ、
施策
を強力に推進するというためには、
厚生省
の一角に置かれておる
部局
としてではなく、
労働関係事項
を一纏めにして抽き出して集中的に取扱う必要がある。このため特に一省を設けるのである。減らすべきものは減らすが、必要であるものはこれを設けるのであるという
政府
の
答弁
でありました。それから第二は、
労働省
の範囲についてでありまするが、即ち
労働行政一元化
の見地からいたしますと、
船員労働
も
労働省
に東合すべきではないかという
質問
があ
つたの
であります。
政府
は、
船員労働
というものは、
從來
の沿革とその
特殊性
からして
一般海事行政
と不可分の
関係
にあるから、
海運行政全般
を
所管
する運輸省の
所管
とすることが適当である。但しすべての
労働行政
を貫した理念で運営することが必要であるから、
労働省内
に
連絡会議
を設けて、その間の
連絡調整
に遺憾なきを期する旨の
答弁
があ
つたの
であります。第三は、現在
政府職員
の
給與
に関する
事項
は
大蔵省
の
給與局
で取扱
つて
おるのであります。併し
労働行政一元化
の趣意から申しますると、これを
労働省
に吸収してはどうかという
質問
があ
つたの
であります。
政府
からは、
労働省
は
労働行政一般
を総合的に
所管
する
中央官廳
でありまして、決して
雇傭主
とか被傭者とかいう
立場
からこれを行うものではない。然るに一方で
政府
は百八十万に達する
政府職員
に対して
雇傭主
の
立場
にあるので、その
給與
問題を処理するためには
國庫事務
を
所管
する
大蔵省
において取扱うことが適当であると考える旨の
答弁
があ
つたの
であります。第四に、
労働省
の
地方行政機構
に関しまして、都道
府縣
の
労働部
その他
労働行政主管部
と
労働省直轄
の
行政機関
とが並べ置かれてありまして、且つ第一線にある
機関
が現在のごとく分離いたしておりますることは、
行政
の
簡素化
に反し、
行政
の能率上も面白くない。又
國民
の不便も甚だしいから、これを一元的に統合して貰いたいとの強い要望があ
つたの
でありまするが、これに対しまして
政府
は善処する旨の
答弁
があ
つたの
であります。その他
労働省
の
組織権限
の面と、
労働行政
の
根本方針
、その運営の面につきまして、詳細且つ多岐に亙る
質疑
がありましたが、これらは
速記録
によ
つて
御
承知
を願いたいと存じます。
かく
て
質議
が終りまして
討論
に移りましたところ、第三條第二項に関しまして
修正
を加うべしとするの
動議
が出たのであります。
修正案
を朗読いたします。「第三條第二項を削る。第十
一條
に左の一項を加える。第四條乃至第九條の
規定
にかかわらず、必要があるときは、
政令
の定めるところにより、
省内
において
部局
の
所掌事務
の一部を変更することができる。」かような
修正案
が出たのであります。その
理由
とするところは、元
來新憲法
の下におきまして、
行政機構
の定め方につきましては、從前の旧
制度
とは趣きを異にいたしまして、
國民自身
がこれを決めるのである。即ち
國民
の
代表
である
國会
において、即ち
法律
によ
つて
これを決めるという
建前
にな
つて
いるのであります。
労働省設置法案
につきましてもこの
建前
を採
つて
おりまして、
法案
第
一條
に
労働省
を設置する
目的
を掲げ、第二條に
労働大臣
の
所管事項
を
規定
いたしております。第三條には
労働省
の
部局
を列記してあるのであります。この
部局
というものは
労働省内部
の
機構
とは申しながら、
労働大臣
の
権限
の
内容
が具体的に形の上に表現されたものでありまして、これは明白に
法律
によ
つて
決めねばならんものであります。施行細則的なものとは異なりまして、これは必ず
法律
によ
つて
決めねばならんものであります。
政府
の弁明によりましても、その
部局
の数を減らしたり或いはその
名称
を変更することは、
法律
で決めねばならんとしているのであります。然るに第三條第二項の
規定
あるがために、
部局
を殖やす場合だけは
政府
が勝手に決めることができるということは、かれこれ
権衝
を失することに相成るのであります。(
拍手
)明日に
法律
で決めたことは
政令
で変更することはできないのであります。(
拍手
)面も何かかようなことをする必要があるかということを聽いて見ますると、
政府
としては現在のところ、かように
部局
を設ける必要がない。殖やす必要がないということであります。仮に
國会休会
中で臨時必要があるということも考えられまするが、かような場合は、今日以後
國会
が相当長く開かれる
現状
でありますのと、又さような臨機の場合におきましては、現在の
部局
で賄い得ないことはないわけであります。
政令
でやるというような
考え方
は、戰時中に
法律
で定むべき
事項
をやたらに
勅令
に委任したと同じ
考え方
でありまして、(
拍手
)これは勿論新
憲法
の
精神
に違反するのであります。(
拍手
)
法律事項
は
法律
で決める。この筋を通さんとするのがこの
修正
の
根本理由
であります。(
拍手
)
政府
のこの点に関する
考え方
を聽いて見ますると、結局
政令
でや
つて
いいということは、
政府
の方にそれが便利であるということに帰着するのでありまして、
法理論
からいたしましても、実際の必要から申しましても、遂に
決算委員会
の各
委員
何人をも納得せしめ得なか
つたの
であります。(
拍手
)
右動議
の
討論
に入りまして、
緑風会
、社会党、民主党、自由党及び
無所属懇談会
の各派からおのおの
賛成意見
の
開陳
がありまして、
採決
の結果、
全会一致右修正
は可決せられたのであります。(
拍手
)次いで
修正個所
を除く
法案
全部を
採決
いたしましたところ、
全会一致
可決いたしまして、
かく
て
労働省設置法案
は
修正
議決されたのであります。
採決
を終りまして、その際
委員長
として次のごとき所感を申述べたのであります。即ち多年の
懸案
である
労働者
がここに発足の機会を得ましたことは、
労働者
の
勤労意欲
の
昂揚
を最も必要とする現段階におきまして、誠に慶祝に堪えないところであります。
從來
、
厚生省
というような余りはつきりせぬ
名称
の役所の中から、
労働省
というような立派な看板を掲げて名乗り出ましたことは、そこに時勢の推移を明白に物語るものでありまして、同時に、
労働大臣
たるべき人は勿論、その以下の
労働省職員
の責任極めて重大なることを認めるものであります。問題の第三條第二項の
修正
は、現われた文字から見ますると誠に
簡單
のようでありまするが、その含むところの
内容
は眞に重大なものがあります。(
拍手
)それは、
從來
の旧
憲法
の
官制大権
のごとき
思想
をさらりと捨てまして、すべては
國民
の
代表
たる
國会
におきましてこれを決定すべしとする
國会至上主義
、新
憲法
の
精神
に則る
國会至上主義
の実現であります。(
拍手
)我々
憲法
を最も合理的に
運用せん
とする考えを持つ者にとりまして、これは
重大原則
の確立であります。
労働者設置法案審議
の結果、かような
修正
がありまして、多少時日もかかつたように思いますが、これは
法律
を最も正しく、最も適切ならしめんとするために採りました必要な
措置
であると考えるのであります。(
拍手
)又
法案
が本議場におきまして
修正
可決せられた場合、
衆議院
においては最も賢明な
措置
を採られんことを切望するものであります。以上を以ちまして
決算委員会
の
審議状況
の御
報告
を終ります。(
拍手
)
松平恒雄
4
○
議長
(
松平恒雄
君) 別に御発言もなければ、これより
本案
の
採決
をいたします。
委員長
の
報告
は
修正議決報告
でございます。
本案
全部を問題に供します。
委員長報告
通り
修正
可決することに
賛成
の
諸君
の
起立
を願います。 〔
総員起立
〕
松平恒雄
5
○
議長
(
松平恒雄
君)
総員起立
と認めます。(
拍手
)よ
つて本案
は
全会一致
を以て
委員会
修正
通り可決せられました。
—————
・
—————
松平恒雄
6
○
議長
(
松平恒雄
君)
日程
第二、
農産種苗法案
(
内閣提出
)を
議題
といたします。先ず
委員長
の
報告
を求めます。農林
委員長
楠見
義男
君。 〔楠見
義男
君
登壇
、
拍手
〕
楠見義男
7
○楠見
義男
君
只今議題
となりました
農産種苗法案
につきまして、
委員会
における
審議
の
経過
並びに結果について御
報告
申上げます。
先づ法案
の
内容
及びその
趣旨
とするところについて申上げます。
政府
の
提案理由説明
によりますと、
種苗
の優良であるか、どうかということは、
農業生産
にと
つて
極めて重大なる影響を持つものであり、その
根本
である。而して
農家
は、例えば
蔬菜種苗
のごときものは、その必要とする
種苗
について平均七五%、種類によ
つて
は九五%、殆んど大部分のものをいわゆる
販賣種苗
に求めている
実情
であるが、近年
不良種苗
の
横行
が著しく、全く
発芽
もしないような不良なものもあ
つて
、不測の
損害
を被
むる
場合が少くない。
從つて
これらの弊害を除去し、
販賣種苗
の
品質向上
を
図つて
、
農業生産
に裨益し、且つ
栽培農家
の利益を擁護すると共に、
園藝種苗等
の
海外輸出
の振興にも役立たせる
趣旨
の下に、その
内容
として、第一には、
普通一般
に取引せられている
蔬菜種子
、果樹、苗木、その他
農林大臣
の指定する
種苗
を対象として、これらの
種苗
の
販賣業者
は何人でも
販賣
することは自由であるけれども、その
営業所ごと
に地元の
市町村長
に届出でさせますると共に、
種苗
を
販賣
する場合には、必ず
種苗
の
品種名
、
生産地
、
生産年月発芽率等
、
種苗
の
品質
の
表示
、即ち
保証票
を附けさせて、これに対して
種苗検査所
が随時抜取
検査
を行い、故意に不正な
表示
をしているものについては
表示
の変更を命じ、更に進んでは
販賣
の禁止をする等の
措置
をと
つて
、
需要者
に
損害
を及ぼすことのないようにすることが
一つ
。第二には、右に申述べましたような消極的の
取締的措置
を講ずると同時に、一面
積極面
の
措置
として、将來優秀な新
品種
、新
系統
の
種苗
の
育成
を助長推進するために、これらの優秀な
種苗
については
種苗審査委員会
の議に付して、
種苗名称登録制度
を新たに設け、これらの新
品種
、新
系統
の
育成者
の名誉を推賞すると同時に、その
販賣
についても一定期間特別の
保護
を與えることとしているのであります。
法案
の
内容
は以上の通りでございますが、
委員会
は前後三回に亙
つて
慎重審議
をいたしたのであります。何分
農産種苗
の問題は専門技術的なことが多く、又
委員
の中にもこの
方面
に造詣極めて深い
方々
や、
農業指導
上多年の実際
的経驗
を有しておられまする
方々
が多いために、多くの角度から極めて熱心に
質疑
を重ねられたのでありまするが、その多くは今申しますように専門的に亘ることが非常に多いのでございまして、
從つて
貴重な
質問
ではございましたけれども、これらはすべて
速記録
に譲ることをお許し願いまして、ここでは、先ず多くの
質疑
の中で全く対蹠的と考えられるようなものについてのみ御披露を申上げたいと存ずるのであります。
一つ
の
質問
は、この
法律
では
種苗対策
として不十分不徹底である、殊に
優良種苗
の普及については特に
努力
を必要とし、それには
ひとり政府
の力のみに頼ることなく、
外國
の
優良種苗
の
輸入
は勿論、
民間
の有力な
研究機関
の
活用等
も図る必要ありと思われるが、
政府
の所見如何というのでございました。これに対して
農林当局
は
政府
としても
從來
の
施策
の外に本
年度
から
園藝試驗場
を拡張し、一本場の外、東北、東海、九州の三支場の積極的な活動を期しており、その外全國七ヶ所の
農事改良
実驗所においても
蔬菜
の
品種改良
に努めることとしておる。
外國優良種苗
の
輸入
にも積極的に努めたい、又
民間研究所
の問題は、本
法案
における
登録制度
もその
助長奨励策
の一方法であるが、更に将
來予算的措置
についても考慮したいとのことでございました。次にこれと対蹠的の
質問
は、本來
種苗
の取引というものは対人
信用
的なものであり、それに任すべきであ
つて
、本
法案
によ
つて
は
種苗業者
に
制約
を加え、これを圧迫する結果にならんかという点であります。これに対し
政府
は、現在優秀な
信用
を重んずる
業者
は、みずから進んでその
販賣
には
保証票
を附けておるのが
実情
で、
從つて本法
はそれらの人々には新たなる負担をかけるよう点が少いと思う。問題は
不正種苗
の
横行
の弊をいかにして防ぐかという点にある。勿論余り細かい
制約
はよくないと考えておるし、
從つて販賣業者
を
免許制度
にしてはどうかというような
積極論
も一部にはあるけれども、
政府
としては
自由競爭
により、
信用
を基礎として
発達
させて行きたいと考えておるのであ
つて
、この意味においては消極的だと言われる
本法
が丁度頃合だと思うとの
答弁
がございました。
質疑終了
後
討論
に入りましたところ、
木檜委員
から、本
法案
のごとき
取締規定
を包合する
法律
は、悪質なる
業者
に対しては極めて厳格にやるべきことは勿論であるけれども、往々にしてその
運用
よろしきを得ざれば、善良なる
業者
を不当に圧迫し、
斯業
の健全なる
発達
を阻害する虞れがあるから、
運営上
本
法案
については特に留意を要するとの強い
希望的意見
の
開陳
がございました。又
山崎委員
よりは、本
法案
において長所とせられておる
種苗登録制度
のごときも、その
運営上官庁
及び
審査委員会等
の
独善的運用
に陥らざるよう特に留意すべしとの
意見
の
開陳
がございました。次いで
採決
に入りましたところ、
全会一致
を以て本
法案
は可決すべきものと決定いたした次第でございます。以上御
報告
申上げます。(
拍手
)
松平恒雄
8
○
議長
(
松平恒雄
君)
討論
の
通告
がございます。
木檜三四郎
君。(「必要なし」と呼ぶ者あり) 〔
木檜三四郎
君
登壇
、
拍手
〕
木檜三四郎
9
○
木檜三四郎
君
只今委員長
の御
報告
になりましたこの
種苗法案
については、私共は実はこの案は、新
憲法
の下においてはどうかという疑を持つくらいであります、そこで、これを通過させるためには、
希望條項
を
附帯
として申出て、それが満場の方の容るるところとな
つて
、
本案
に
賛成
をしたわけであります。その
希望條項
は、読み上げますが、「
悪質業者
を
取締
るは勿論なるも、
優良種苗家
に対しては、
登録
その他
煩雜
の手続きを簡素に処理するよう
政府
及び
審議会
を通じて徹底せしめ、以て
信用
ある
種苗者
のまじめなる
発達
を阻害せざるよう特に注意すること」、こういう
希望事項
を附したのであります。一体ならば、実はこういう案は、新
憲法治下
においては廃案をしたいくらいの
意見
を持
つて
お
つたの
でありますけれども、各
委員諸君
の御
意見
を伺いました結果、この
附帯希望
を附けて
賛成
をいたしたわけでありますから、そこで私はこの際本会において
農産種苗法案
を決定するに当
つて
は、
附帯希望
をつけて
賛成
いたしました
理由
を明らかにして、
國民大衆
の了解を求めて置くことが最も必要であると存じまして、極く
簡單
に一言申上げたいと思うのであります。 御
承知
のように
從來
農産種苗
については、
政府
の別段これという
施設
はなか
つたの
であります。いわゆる自然の
発達
で今日に來てお
つたの
であります。皆さん御
承知
のように、
政府
は
園藝試驗場
とか、或いは
國立
、或いは
府縣
の
農事試驗場
において
相当研究
もし、或いは
指導
もしてはござつた。併しながら別段
法律
を以て
規定
して束縛をしてはまいりません。ただ
政府
の
施設
の
試驗場
や何かで
農家
に範を示して、そうして
研究
に來る青年があれば、それを
指導
して來たというわけです。かような状態の下に置かれた
一般種苗業者
に対して、今回
法律
を以てこの
業務
に干渉し、且つ
種苗
に対しまして
登録
又は一々証票を附けて賣らなければならんという頗る
煩雜
の手数をかけるわけになるのであります、かようなことは、いわゆるまじめな
業者
の健全なる
発達
を阻害する虞れがありはしないかと私は思うのであります。況んや
民主主義
新
憲法
の下において、こういう新しい、
農家
に未だ曾てない干渉する
法律案
を拵えて、
種苗業者
の
業務
に官吏が干渉するということは、いかにも矛盾していはしないかとまで私は思うのであります。況んや
増産
の熱意を持つ
斯業者
の
自治思想
を阻止するものと存じまして、
本案賛成
には実は躊躇したくらいであります。然るに或る点においては、或いは惡質の
種苗者
があ
つて
、これを
取締
らなけれなならんと、こういうような点もあるのであります、即ち
本案
のごときが必要であるという
個所
もある。全國を通じまして
気候風土
が違
つて
おりまするから、
府縣
によ
つて
はかようなる
法案
が必要なりと申される方もあるのであります。かようなわけでありまするから、各
府縣
の
実情
が一様でありません故、今日日本の
建直し
には、いわゆる道徳の
昂揚
が大切であると同様に、
斯業者
がお互に
信用
を重んずるというまじめなる
農家
の美点を活かして、そうして
増産
に協力しなければならん時代であります。かようなわけでありまするから、
附帯希望
を以ちまして、万人の
認むる種苗業者
に対しましてはその
信用
に重きを置きまして、
斯業
の
発達
を阻害しないように
政府
並びに
審議会
においても特に注意をして、この法の
運用
に努めて貰いたいという
希望條項
を附けて
賛成
いたしたわけであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり、
拍手
)このことを附け加えて、
簡單
でありますが申上げて
本案
に
賛成
をいたすわけであります。
松平恒雄
10
○
議長
(
松平恒雄
君) これにて
討論
の
通告者
は終りました。
討論
は終局したものと認めます。これより
本案
の
採決
をいたします。
委員長
の
報告
は
可決報告
でございます。
本案
全部を問題に供します。
本案
に
賛成
の
諸君
の
起立
を願います。 〔
起立者
多数〕
松平恒雄
11
○
議長
(
松平恒雄
君) 過半数と認めます。よ
つて本案
は可決すられました。 これにて本日の
議事日程
は議了いたしました。
次会
の
議事日程
は決定次第公報を以て御通知いたします。本日はこれにて散会いたします。 午前十一時二分散会