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1947-08-18 第1回国会 参議院 本会議 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十二年八月十八日(月曜日)    午前十時十一分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第二十二号   昭和二十二年八月十八日    午前十時開議  第一 自由討議     ━━━━━━━━━━━━━   一、所見開陳範囲   住宅問題について当局より住宅問題の現状並対策につき説明を聴取し、これに対し批判と意見を述べる   二、発言者の数 十二人    緑風会四人、社会党、自由党、民主党各二人、無所属懇談会、共産党各一人   三、発言の時間    発言の総時間 三時間    一人の発言時間 十五分間     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 松本治一郎

    ○副議長松本治一郎君) 諸般の報告は御異議がなければ朗読を省略いたします。      —————・—————
  3. 松本治一郎

    ○副議長松本治一郎君) これより本日の会議を開きます。日程第一、自由討議、本日の自由討議は本院規則第百四十七條に依るものとし、所見開陳範囲を「住宅問題について」といたしまして、先づ戰災復興院総裁から住宅問題の現状並びに対策について説明を求めます。阿部戰災復興院総裁。    〔政府委員阿部美樹志君登壇拍手
  4. 阿部美樹志

    政府委員阿部美樹志君) 戰災のために焼失いたしました住宅を急速に復興いたしまして、民生の安定を図るべきことは、政府の義務であり、焦眉の急を要する重要國策一つであります。終戰後満二ヶ年の今日、尚住むに家なく、まだ壕舎の非衛生的な極貧の生活に悩む罹災國民の数は数百万人を算しております。さて現在の住宅不足数は、過般の「経済実相報告書」において報告されております通り、約四百五十万戸と推定されております。右に対しまして終戰後住宅建設戸数約五十二万九千戸、差引きまして不足戸数は大体四百万戸となります。然るに他方におきまして毎年火災、風水害等による滅失戸数約五万戸であり、自然腐朽による滅失約五万戸、この外に毎年人口増加基ずく世帯自然増加は少くとも十万戸、これらの合計約二十万戸は恒常的需要数でありますから、この二十万戸を年々加えまして建設して行かなければならないのであります。これが復興計画を十ヶ年目標としますれば、毎年平均六十万戸、二十ヶ年の目標ならば平均四十万戸を建設して行く必要があるのであります。これに対しまして終戰後建設されました住宅戸数は、本年五月末日までの一ヶ年九ヶ月余の期間におきまして約五十三万戸、内訳を申しますれば、專用住宅四十一万四千戸、併用住宅十一万六千戸であります。從つて一ヶ年約三十万戸の割合であり、これから恒常的需要増加分二十万戸を差引きますると、戰災等による住宅復興は四十ヶ年を要する計算で、誠に惨澹の一語に盡きると思います。更に又庶民住宅として最も重要性を持つ貸家戸数につきましては、終戰後経済情勢から一般民間企業による建設は殆んど期待することができなかつたので、結局貸家建設戸教は、國庫補助によりまして地方公共團体住宅営團その他の公益團体等が二十年度、二十一年度建設いたしました約七万戸と推定されるのであります。尚貨家供給につきましては、右の七万戸の新規建設の外に、同じく國庫補助によりまして、公共團体などが罹災ビル、兵舎、遊休寄宿舎などを補修いたしまして、共用住宅に轉用いたしたものが約六万戸ありますので、合計約十三万戸の貨家が今日まで供給されたのであります。建築費の騰貴に件いまして、從來のような個人建設一般庶民階級にとつてますます困難となつて参りましたので、今後は貸家建設率を更に増加せしめる必要を痛感しておるのであります。  以上は今日までの建設状況でありますが、本年度における年間建設可能戸数は、物資需給計画によりますと約二十六万戸、正確に申しますと二十五万七千六百七十五戸でありまして、この数は前に述べました二十ヶ年計画復興する場合の年間平均戸数四十万戸に対して、六五%程度に止まるわけになります。かように物資需給計画から見た建設可能戸数は、極めて制限されたものでありますため、これが直ちに緊要な方面の需要を充足できますよう、政府におきましては臨時建設等制限規則の適正な施行によりまして、不急不用部門建築を抑制し、且つ資材正常ルートによる配給確保を図るべく努力いたしておる次第であります。  本年度建設計画は、以上の状況から特に現下最も緊急を要する部門住宅建設重点を置くことといたしまして、第一には石炭、肥料、食糧等生産と直結する重要産業労務者住宅及び開拓者住宅建設、第二に勤労階級を対象とする貸家等供給を優先せしめ、その残り一般個人建築に充てた次第であります。その内訳は次の通りであります。重要産業労務者用の中、炭鉱労務者住宅四万戸、開拓者用住宅四万五千二百六十戸、硫化鉱山労務者用住宅二千戸、肥料工場労務者用住宅二千五百七戸、合計八万九千七百六十七戸。第二は庶民向き貸家住宅遊休建物轉用及び余裕住宅の改造、これが五万二千百十五戸、年賦分譲住宅が三万七千四百九十三戸。第三といたしまして一般住宅用七万八千三百戸、これを綜合いたしまして二十五万七千六百七十五戸となります。右の中、庶民向き賃貸住宅などの建設につきましては、これを公共事業といたしまして実施し、建設費半額補助して、これが供給促進いたすことになつております。  以上の計画は一應年間計画でありますが、現実には各四半期ごと資材需給状況によつて左右されますので、その状況如何によつて実施資材関係相当の制約を受ける場合も予想されるのであります。かように資材の割当は極めて窮屈でありますが、併し割当通りの現物を確保するということは輸送その他の事情によつて、今日までもしばしば困難を感じて來たのでありますので、これを打開するために、本年度は特に庶民住宅建設用資材につきましては、七億円の予算を以て政府が直接主要建築資材を購入して、公共團体などの事業体配分することにいたしたのであります。  次に建設資金につきましては、現在の金融情勢上これ又非常に困難な事情にあるのでありますが、公共團体建設する庶民住宅につきましては、國庫補助公共事業である貸家建設ため七億七千万円、年賦分譲住宅建設用一億九千二百万円、合計九億六千二百万円の起債を認められ、又公共團体以外の建設にかかる庶民住宅資金といたしましては、産業資金第一四半期一億円、内復興金融金庫六千万円の融資の枠が決定いたしておるのであります。併しながら公共團体の場合は起債を認められましても、從來のように預金部資金に依存できなくなつため、実際の借入には非常な困難を感じております。又公共團体以外の民間企業におきましては、住宅資金がその性質上長期貸付を必要といたしますため一般金融機関からの借入は期待できません。結局復興金融金庫に依存せざるを得ないのでありますが、重要産業部門需要増ために、復金資金の融通も第二四半期以降多くを期待できない状況にあります。金融の点は住宅計画的建設についての大きな隘路となつておるのであります。  以上現在の住宅建設実情概略を述べたのでありますが、これを要するに今日までの実情を以ていたしましては、率直に申しまして、現在の深刻な住宅難を克服するためには余りにも微弱でありまして、從いまして住宅の急速な復興を図りますためには、次に述べるような措置を講ずる必要があると考えておる次第であります。  第一といたしましては、資材住宅部門に対する配分増加であります。現在程度配分を以ていたしましては、先に述べました通り二十六万戸程度建設がせいぜいでありまして、この数は毎年の滅失自然増加などの恒常的需要を充足する程度に過ぎないのでありますから、どうしても物資需給計画における住宅部門への配当を増大しなければ、急速な復興は困難であります。資材配当量増加することは、一つに懸つて資材生産増加に期待するわけでありますが、この内木材につきましては、御承知のごとく國内産の絶対量に限度がありますために、今後多少の住宅部門への配当増を見るといたしましても、おのずからそこに限度がありますので、大量の住宅建築ためには、主要資材を國内の木材のみに依存することはできないのであります。これがために今後はどうしても木材の輸入を図るか、又は木材以外の構造建築物割合を増大せしめる必要があると感じておるのであります。殊に木造以外の耐火構造建築物割合を増大せしめることは、都市不燃化ためにも今後是非共その実現に努力して行かねばならないのでありますから、基礎資材たる石炭、鉄鋼、セメント生産の増強と、これが住宅部門への配当を今後事情の許す限り増大せしめて行くことが切に要望されるわけであります。  第二は、住宅復興金庫設置であります。建築費の昂騰に件いまして、勤労階級自己の資力で住宅建設するということは、現在殆んど不可能であります。從いましてこれに対しては長期低利資金を貨付けて、年賦で償還できる途を開くか、又は貸家建設促進する必要があるのであります。併しながら前にも一言申述べました通り一般金融機関から長期資金借入れることは、今日の情勢におきましては殆んど期待できない状態でありまして、どうしても國家の裏附のある公共的な金融機関に依存せざるを得ないのでありますが、預金部又は復興金融金庫からの融資現状も、前に述べましたように極めて困難なる現況であります。從いまして勤労階級ために、貨家又は長期年賦分譲住宅建設計画的に促進いたしますためには、住宅復興金庫というような、営利機関でない長期金融目的とする住宅金融専門機関設置が特に要望せられる次第であります。もとよりこの機関運営に当りましては、毎年度予算範囲内におきまして融資額を定めるとか、民間資金の吸収のため特別な措置を講ずるとかいうような方法で、極力通貨の増発を防止する方法を特に考慮する必要があると思いますから、当初から多額の融資は望み得ないかも知れませんが、少くとも融資の面から來る庶民住宅建設の障害を排除し得るものと考えるのであります。  第三は、庶民住宅に対する財政援助であります。貸家長期年賦分譲住宅等建設に必要な長期資金が、前項に述べましたような公的機関によつて確保せられたといたしましても、今日のような経済が不安定で、將來の見通しが困難である時期におきましては、將來の景氣の変動から來る住宅経営の破綻と、これに件う資金回収難を恐れる結果、民間企業においては勿諭、公共團体においてすら庶民住宅供給には極めて難色があるのであります。從いまして今後当分は、庶民住宅供給に対して相当高率財政補助をするか、又は國家自身全額負担と責任において、勤労者ためアパートメントその他の庶民住宅建設して行く必要があると思います。  第四は、住宅敷地確保の問題であります。自己土地又は借地権を持つておる個人がみずから建設する場合は一應別といたしまして、貸家その他の庶民住宅建設して行く場合は、経営の関係からどうしても一箇所二千坪乃至三千坪程度の一團地を取得する必要があるのでありますが、從來の例に徹しましても、これらの土地権利関係相当錯綜し、焼跡その他の空地は相当あるにも拘らず、これを普通の手段で取得することは極めて困難であつたのであります。これにつきましては速かに適切なる法的措置を講ずる必要がありますので、敷地緊急獲得ため必要な法などについて目下準備中であります。尚根本的な問題といたましては、宅地全般についての利用合理化と農地との調整の問題を解決しなければならん段階に参つておると思います。  以上住宅復興促進ため採るべき方策について、考えておるところの概略を申述べたのでありますが、住宅復興は、結局経済復興なくしてはその本格的な促進を期待し得ない実情にありますから、当面緊急の問題といたしましては、新規建設と並行して、既存建物の合理的な活用実施して行きます必要があることは申すまでもありません。これがために、先きに住宅緊急措置令を制定しまして、罹災建物遊休建物等の使用、余裕住宅開放についての強権発動をなし得る法的措置を講じたのであります。右の法的措置と並行いたしまして、予算措置として、遊休建物等の借上費補修費及び余裕住宅改造費については、國庫から半額補助をいたして、その促進を図つておる次第であります。即ち第一の遊休建物等住宅轉用につきましては、厚生省関係収容所等に轉用したものは別といたしまして、公共團体などで國庫補助を受けて住宅化したものは、過去二年間において約六万戸となつております。これも当初におきましては建物程度が比較的良好であつたのでありますが、最近は轉用しようとするものは、相当程度に手を加える必要があり、又移築するといたしましても極めて手数のかかるようになつたのであります。要するに轉用に予想以上の費用を要する結果となつておるのが現状であります。然るに一方公共團体などでこれを住宅化して経営管理いたします場合、應急施設である関係上、採算を或る程度度外視して行かねばならん事情もあり、地方財政の点からも期待通り進捗しないという実情であります。從つて遊休建物利用促進するためには、やはり國家相当程度の負担を以てしなければ十分な効果は挙げ得ないと考えます。  次に余裕住宅開放は、本年四月末における余裕住宅届出件数約三万四千三百戸、貸付を勧奨したもの一万二千六百戸、成立いたしたもの一万八百戸となつておりまして、率直に言つて、その結果は必ずしも満足すべきものではありません。これは我が國の家屋構造上、数世帯の同居が困難な事情もありますが、やはり今日のような特殊な生活條件の下においては、相互間の微妙な生活感情の問題があり、同居から來る精神的苦痛から逃れるために、狭くてもよいから別個に家を求めたいというのが偽わらない心情ではないかと考えております。從いまして、これが実施に当つては細心の配慮が必要であると共に、本当の意味の遊休住宅、大邸宅、又は開放を免がれるため偽装住宅について、開放の実を挙げ得るように格段の努力を拂いたいと存じております。  以上を以ちまして、私は現在の住宅不足戸数終戰後建築戸数復興方針と、基本的年間建築戸数、本年度建説計画、現在における住宅建設実情建設隘路とその対策既存建物活用余裕住宅開放などにつきまして申述べましたが、最後に罹災大都市不燃化問題と耐火住宅建設について一言申上げたいと存じます。我が國は御承知のように從來火災國の模範と称されております。大正十二年の関東地方大震火災と、今回の戰爭による二百数十万戸の焼失とは、実に数千億円に上る大損害を國民に與えましたことは、今更申上げるまでもありません。今年六月までの上半期中においてさえ、すでに二万二千余戸の家屋を焼失いたしました。今年四月一ヶ月間に一万六百十七戸を全焼し、五百十五戸を半焼させております。これは皆國民家屋木造建築に依存しておる結果でありまして、資材資金の浪費は、誠に慨嘆の外はありません。本年度住宅建設に対する木材配当量千百万石を以ていたしましては、二十六万戸の建設が精々であり、この程度数量では、その年々の滅失自然増加恆久的需要を充足し得るに過ぎませんから、どうしても今後の物資需給計画においては、住宅部門への配分を急速にこれを増大する必要あることは、すでに申上げた通りであります。復興十年計画基ずく年間六十万戸の建設に対しまして、木材二千五百万石、二十年計画では、住宅四十万戸に対しまして一千七百万石の木材を必要といたします。併し現下國内木材事情では、右いずれも配当不可能な数量であると存じます。先ず精々千四五百万石が最大限度と考えられますから、木造住宅は三十三乃至三十五万戸の建設最高限度とする次第であります。從いまして、復興二十年計画による年間四十万戸建設に関してさえ、残りの五、六万戸はどうしても木材以外の建築資材に依存せざるを得ない実情にあるのであります。現在の資材公定價におきまして、木造コンクリート造住宅との建設費の差は、二割乃至三割に過ぎませんから、耐用年数防災効果などを仔細に考慮いたしますれば、むしろ木造よりもコンクリート造の方が有利となるわけであります。特に大都市におきましては、防災は勿論、敷地利用民生の安定などを考慮いたしまして、これが実行を急務と考えております。五大都市罹災戸数は約百四十万戸でありますが、その四分の一即ち二割五分程度耐火構造とすれば、三十五万戸であります。これを十ヶ年計画とすれば、毎年の建設戸数平均三万五千戸で、一戸、平均十坪のアパートメントといたしますれば、これに要するセメント石炭量は次の通りであります。即ちコンクリート住宅一万戸の建設に対し、所要セメント十万トン、このセメント焼成用石炭は三万七千トンに過ぎません。本年度石炭生産予定数量三千万トンに対しては、僅かに八百分の一に当る微量であります。又三十五万戸十ヶ年に要するセメント総量は三百五十万トンで、これは我が國戰爭以前に年々製造しておりましたセメント量の半ヶ年分に相当いたします。  次にこの耐火造アパート都市のいかなる地域にいかなる型式で実施するがいいかを一應考えて見たいと思います。現今大都市において建築構成要件は、先ず以て防災能率、衛生及び美観を重点として、立体的に進むべきことは申すまでもありません。この要件に適う住宅コンクリート造アパートメントでありまして、今年度予算におきまして、当初五千戸分を前議会の協賛を得ておりますが、セメント不足ため未だ着手の運びに至つておりません。併しセメント配分を得次第、その幾分かでも建設すべきよう準備中であります。これら共同住宅敷地につきましては、でき得るだけ都心に近い地域を選定したい考えであります。近頃は御承知通り交通の混雑がその極に達しておりまして、一般勤労者は朝夕往復のために概ね二時間余りを要するのが、大都市において通例であります。このために体力は勿論、精神的疲労と消耗とは非常なもので、一般社会活動力能率とを減退せしめておることと、蓋し莫大であろうと存じます。これが対策として、大都市都心部から交涌時間三十分内外の地域におきまして右建築敷地を求め、ここに前述のアパートメント耐火住宅相当大量に建設いたしたいと存じます。この目的上から、一箇所に二千坪乃至三千坪程度の一團地を取得する必要があることは、すでに先刻申述べました次第であります。從いまして、これら敷地に好適な土地使用権などを迅速に強力に設定し得る法的措置に必要な準備を目下進めておる次第であります。  以上簡單ながら現下住宅問題の現況対策の大要を申上げた次第であります。何と申しましても住宅問題の解決は、國の持つ財政力経済力に制約されますので、敗戰後の我が國にとり誠に茨の道でありますが、事情の許す限りにおきまして極力適当なる方策を実行して参りたい覚悟でありますので、何とぞ各位の御鞭撻をお願いいたしたい次第でございます。(拍手
  5. 松本治一郎

    ○副議長松本治一郎君) これより自由討議に入ります。その前に一言申上げます。本日の会議時間は三時間でありまして、各発言者発言時間は十五分間であります。発言者は時間を巖守して貰いたいのであります。これより発言を許します。    〔各派の指名者発言者指名の許可を求む〕
  6. 松本治一郎

    ○副議長松本治一郎君) 小林勝馬君。
  7. 小林勝馬

    小林勝馬君 民主党高橋啓君を指名いたします。
  8. 松本治一郎

    ○副議長松本治一郎君) 高橋啓君の発言をを許します。    〔高橋啓登壇拍手
  9. 高橋啓

    高橋啓君 只今政府住宅問題に対する所見を述べられたのでありますが、住宅政府が言われた通り全く民生安定のために欠くべからざるものでありまして、あつさりとここで事務的な言葉で話されるには余りに深刻であるのであります。我々は一日働いて、そうしてあの交通地獄の中を家に帰つた。ところが外の人と寄合世帯ために、家の中ではそれぞれ家内や或いは家を守る者がいろいろな紛爭を起して、帰ればすぐ住宅に関する泣き事を聞くというようなことでは、我々はこの生産再建も、或いは静かに日本を再建するための力も出て参らないのであります。この住宅の問題に対する政府所見は我々と全く同じでありまして、ただその対策において、私は政府がいかに我々から見まするときに、まるで捨鉢ではないか、殆んど手が出ないといつたように受取り得られるのであります。只今皆さんと共に聴いたのでありますが、全くそのような感じをいたしまして、手が出ないのだ。あとの住宅のない幾百万の人たちの住いをどうするのだということについては、一言半句も申されておらないことを遺憾とするのであります。大体住宅には、土地資材、資産というもがなければならない。これは政府が先ず心配せなければならないが、政府の及ばざるところは一般庶民人たちがこれに協力しなければならないのでありまして、この住宅を建てさせるためには、建てたい、住宅を建てようとする意欲を喚び起すような制度が必要であろうと思うのであります。若し今日のごとく、住宅を建てようとすれば、小さい住宅を建てるためにいろいろな複雑な手続を要する。いろいろな書類を作らなければいけない。その中に段々資材或いはその他の資金が間に合わなくなるといつたようなことでは、建てようと思つてもそこに意欲が生じないのであります。私は戰災直後青森参つたのでありますが、青森では先ず各戸に約二十石の木材平均に配付したのであります。その基礎資材基ずいてどんどんいろいろ創意工夫をこれに加えまして、あの青森戰災復旧が一番早かつたというのも、この政府当局或いは縣当局の処置が適切な点を衝いたからであると私は思うのでありまして、私は今日このように遅々として復興が進まないのは、一つ法律攻めにしたがために、復興促進するため作つた法律却つて復興を邪魔する結果になつておるのではないかと思うのであります。殊に臨時建築等制限規則は、これに盛られた精神は我々は肯けるのであります。或いは不要建築、或いはいろいろな闇建築が盛んに行われておるから、これに重要な資材が流れて行くのを抑えるためにこのような規則が設けられたのであろうと思うのでありますが、その運営は極めて冷酷でありまして、全く我々が住宅を造ろうとしても手も足も出ないのであります。この手続を、全くこの法律の立法の精神がどこにあるかということをはつきり掴んで、この目的はどこにあるかということをしつかり掴まえまして、若しその運営において、これを取扱う管理官廳が本当にこれを運営したならば、もつともつと今日復興のパーセンテージが上つてつたと思うのでありまして、私はこの規則運営について、一段とこれを管理する末端官吏が考えて貰いたいと思うのであります。  これに関しまして、基礎資材である。木材配給の問題であります。臨時物資需給調整法に基ずきまして、指定生産資材木材が入つたのであります。その他の資材は三十、五十の工場によつて生産されたものを、簡單需給関係の数字を調和させることができるのであります。然るに木材は、御承知通り二十万から三十万の生産者によつて生産場所生産状況、あらゆろ関係が複雑な状況において生産されるのであります。先ず生産確保しなければ、配給計画ができる筈がないのであります。而して今日の木材取扱の方式を見ますと、一般住宅を造るため補修材が要る。ところが〇・五石だけ、この〇・五石の木材を得るために、十里、二十里、その調整官の券の発行所に参らなければなりません。そうしてその得たる木材は、自分らが担いで持つて來ることができない。馬車か或いは車、併し馬車には半端な荷物であります。これに運賃を加えますと、二百円か三百円の木材が、五百円、一千円になつておるということをお知りにならないのではないかと思うのであります。又この木材を枠を以て配給するのでありますが、この木材というものは何石というので建築ができるのでなくして、その建築材の中にはいろいろな用途が含まれておるのであります。今日本材を優先して配給する対象といたしましては、賠償物資梱包用材、或いは進駐軍の宿舎、兵舎用材、こういうものがありますが、これは特別な規格を持つておるのでありまして、これのみを以て木材生産しておりますと極めて片輪になるのであります。そこでこれと一般住宅建築木材とを加えて、山にある中にこれを選別して適当に資材を廻したならば、より効果的に木材資材活用されるのであります。然るにただ帳面の上で数字を弄ぶだけで、こつちに百石あるから、こちらに三十石やればよいといつたような扱い方では、実際林力の少ない、山荒れ果てて今日大きな水害の原因となつたる、早魃の原因となつたる、このような林力の少ない場合に、この木材資材活用政府は全く考えておらないということは私は非常に遺憾に思う次第でありまして、私はこの際先ず基礎資材であるところの木材配分を最も適正にやるためには、今日の指定生産資材から木材を撤回いたしまして、そうして生産配給との調和を完全にいたしまして、先ずこの木材によつて建設の第一歩を図らなければならないと考えておるのであります。  次に既成建物活用でありますが、ただ坪数によつてつた……我々の家庭生活というものは、そのように坪数によつて家庭生活をするのでなくして、一つの設計があります。そのようなことをおく考えまして。我々はただこれだけの坪数が余つておるから、これだけの人間を収容できるといつたような考えでこれを遂行いたしましても、これは満足な結果を得られないのでありまして、これは生活実情をよく見まして。これによつて運営して貰いたいと思うのであります。  尚最後に私は申上げたいのは、いろいろな法規或いは規定を設けまして復興促進せんとするのでありますが、それについてはこれに関係する官吏、善良な管理者の條件としては、法規をそのまま厳格に適用すれば足るんだという考えを一擲いたしまして、法規の因つてつた本來の目的或いはその精神を、本当にその目的ために弾力ある運営をしようとする考え方にならない内は、幾千幾百の法規を設けても、却つて復興の邪魔になるのではないかと私は思うのであります。(拍手)その意味におきまして政府の今日発表した施策方針は、我々は肯ける箇所が非常に多いのでありますが、その運営においてこれが実現し得るよう切に政府に希望する次第であります。(拍手)    〔各派の指名者発言者指名の許可を求む〕
  10. 松本治一郎

    ○副議長松本治一郎君) 矢野酉雄君。
  11. 矢野酉雄

    ○矢野酉雄君 緑風会は小杉イ子君を指名いたします。
  12. 松本治一郎

    ○副議長松本治一郎君) 小杉イ子君に発言を許します。    〔小杉イ子君登壇拍手
  13. 小杉イ子

    ○小杉イ子君 私は非常時、混乱時期において、いつまでも死んだ兒の年を数えるような、又悲憤を思い出すようなことを言う時間は、救急処置を語る時間に当てるとか、又は直接工作に取かかる時間に当てた方がいいと思うて來ました。聴き苦しいかも知れませんが、関東大震災の時には、明日綺麗な着物を送るよりも、着のみ着のままで飛び出した人たちだから、古くともよい、今木綿のねまきを送る方がいいと思つて、家族、看護婦総動員でテント等に包んだ大きい四個を作りまして、そうして金四百五十円は朝日新聞社に託しましたが、衣類は運送上ちと早過ぎたくらいでありました。そのくらいでありました。その流儀で終戰直後、まだ婦人参政権の附與されませんとき、先ず先立つものは家だ、同居、居候は、誠に辛い。たとえ三疊敷でも氣を落着けさすことだと思い、田舎の人たちに一銭でも人の物は取つてはならないが、焼跡の柱、鉄管、トタン、無意識に踏み割つているところの瓦等を拾い集めて置くことだと申しました。そして假小屋急造方法を話して、そうして神戸に帰りました。ところが皆がもうその話は時代遅れだ、およしなさい、縣と市がよい家を建てて、ちやんと見本も出ておりますとのことで、それを聞いて私は大いに喜んで、ほつといたしました。その後成る程次々にできます。活動寫眞館ができる、所によつては飲食店が軒を並べている、住宅は抽籤とのこと、ところが抽籤にはそれぞれ係の人に金が大分要るとのこと、数軒合わせて申込んでも順番はなかなか來ないのであります。でき上つた家でも空いておる家があるのであります。そうして懸の資材がいつの間にかどこかに姿を隠したという始末が新聞に出たのであります。或る人は高級料理屋で一万数千円を支拂つて資材、材木の運送がやつとできたと申しました。これが闇値で賣らないでどうしますか。今日までの取締りは皆浅く廣いのであります。根源を取締り得ない間は、又政府建築法異例を設けなければ、家を造ることは到底できません。余程の援助者があるか、余程のえげつない人間とならねば、権利金幾万円、一坪貸代百数十円という今日、到底引引揚者たちに建てられる筈はないのであります。その建てられん人、毎日立退きを迫られておる人、そうして帰つて來る百万の人たちに、少しでも参考になればと思いまして、二年前の話を繰返してお話して見ますと、勿論資材があればこんな話は不要であります。一番に考えることは、全部立退きの時期を考えねばなりませんこと、又諸所を仮想いたしました中の、一番わかりやすい土地について申上げますならば、その地を貸すか賣れるかもわからないものではありますが、そこは天下の景勝舞子駅から約五分、西から東へ這う高からず低からずの山の麓、試験はして見ませんが、オゾンを含んだ空氣、多は五度くらい高く、夏はそれだけ涼しかろうと思われる、近くに水源地あり、出水あり、市場あり、又運搬便の大道もあります。場所によつては遙かに淡路島の浮出がまるで盆栽のように見えます。ただ雨降り時に水を受け取る溝を掘るだけで、整地も樂な地質、池面であります。大風に吹き倒される程の風速は受けまいと思う地勢であります。私はそこの下の田圃、畑に喰い入らんために奥行き短く、長さは続く限り延ばして、隣と悶著の起らんような台所、便所、物置を考案して、長い長い長屋を建てたならどうかと思つたことがあります。建て方につきましては、大工は少数で、申込者一軒から一人奉仕者を出すことにしまして、柱は山の持主に願つて、製材費用のかからん太さの松を間引く程度で分けて貰うこと、又板垣代代用に莚を利用すること、板の間には疊と敷蒲團の代用として藁蒲團を、屋根は平木、防水紙も大分持ちますが、入手不可能でありますなら茅葺か藁葺、臺灣などでは竹の柱の家もあります。又神戸一流どころでは今でも莚を敷いておる家もございます。ただ疊一枚が今は五六百円いたします。その莚類は田舎の青年たちに夜業で奉仕販賣の意味で製作して貰うことであります。若し青年たちに莚も縄もできなければ私が教えてやつてもいいと申して來たのであります。そうして虫のつかん四時青々としておる蔦を三面に植えます。その強い幹で家は締まり、少々の雨漏りを防ぎ、平木防水紙などを吹き飛ばされる心配もありません。又至つて風流でございます。又冬は火鉢も炬燵も要らん程の日光を受けますし、夏の庇の板代りには、おいしい苦瓜、糸瓜、南瓜、胡瓜、などを並べて植えます。少し脱線いたしすが、そこに鈴虫の二三匹でも放ちますなら、初秋の月夜などには、今まで身に滲みた苦労はすつかり忘れてしまうことと思います。  次に仮屋の利用者の負担といたしましては、その人に相当の援助をいたしました以外は家賃をとることである。それは自尊心を失わせん意味からであります。又生活豊かとなつた人は無條件で立退き、次の困る人と入れ替えることであります。建築法規は、防火、水害、山崩れ、隣との距離、すべて町の美観、すべてが國民の保護でありますから、これを守ることは勿論でございますが、併しながら非常時におきましては、防火用のセメントなどが今手に入る筈もなし、山崩れ、水害もなく、火事の時には逃げやすく、肥料の溜まる暇もないというような土地でありましたならば、今日の建築法規を緩和して貰つて、そうして救急処置として樂に立てられる方法を採つて貰いたいと希望しておるのでございます。    〔各派の指名者発言者指名の許可を求む〕
  14. 松本治一郎

    ○副議長松本治一郎君) 左藤義詮君。
  15. 左藤義詮

    ○左藤義詮君 日本自由党は柴田政次君を指名いたします。
  16. 松本治一郎

    ○副議長松本治一郎君) 柴田政次君の発言を許します。    〔柴田政次君登壇拍手
  17. 柴田政次

    ○柴田政次君 住宅難のことにつきまて、先ほどからいろいろ討議が行われております。私ども今更申上げるまでもありませんが、殊に大都市、中都市、その他焦土化されたる各所におきましては、住宅難は一層の困難を來たしておるのであります。人生の最大要点たる衣食住の三点であります。なかんずく住宅におきましては、終戰前より幾百万の人たちが各地に疎開せられ、終戰二ヶ年を経る今日におきましても、住宅難ために疎開地にそのまま住んでおらなければならんというようなことは沢山あるのでございます。中にそのため二重にも三重にも生活費を支拂わねばならん誠に悲惨なものもあることと信じておるのでございます。全くこうした人たちの不幸察するに余りあると私は考えておるものでございます。只今復興院の統計のお話がありまして、終戰以來、即ち本年の五月までの全國の進行状況は、お話のあつた通り四十二万八千余戸となつております。その他併用が十一万九千五百六十余戸ということのお話でございました。これらを綜合して見ますと、昭和二十年九月から本年の五月まで一年九ケ月を経ておりますのに、一ヶ年の平均を見ますと僅かに三十七万戸しかできていないということになる勘定でございます。現在の不足数四百万余戸と仮定いたしますと、この後先程のお話の通り十年、二十年、幾らかかつてこれが完成するかということは、見通しが実際付かないのでございます。戰災戸数の二百四十六万余戸ということになつておりますが、全國の平均が二七%できた。併しながら東京の一四%、大阪の一二%である。これら大都市における進行の状態が誠に遅々として振わないことは、甚だ遺憾に堪えざるものであります。又本年二月八日建築統制許可申請施行によりまして、來年六月までに約四十二万戸の申請があつたのでございます。この中、佐賀縣、愛知縣を除きまして、これらを加えますと少くても五十万戸近くの申請があつたものと私は確信を持つ者でございます。この五十万戸に対して許可いたしましたのが僅かに八万三千戸であるという話でございます。約六分の一しか当りません。建築の許可申請につきまして非常に不備の点、その手数は容易でない、青寫眞を添えろ、設計図を添えろ、仕様書を添えろ、僅か十五坪内外さえも甚だしきに至つては二三千円の金を出さなければできない。誠に遺憾であると私は信じておるのでございます。そうしていよいよ許可いたしますのには、早くても三ヶ月、遅いのは五ヶ月も、六ヶ月もかかる。しまいには許可にはならない。こういうような馬鹿な話はあるまいと私は信じておるのでございます。(拍手)かような制度はどうしても廃して貰いたい。建築許可は極めて寛容な仕事にして頂きまして、現在復興院の仕事はこういう民間の許可などというものには干渉せんで、ただ進駐軍の先程高橋君の申されたことく用材とか、或いは官廳の復興事業、こういうものにのみ没頭してやつて頂いた方が一番私はよいと思います。一般民間の住宅建築は申告制度に改め、或いは坪数の制限を加えたり、その他いろいろの條件もありますが、先ず以て自由建設に任せることが一番私は最大の急務であることを信じておるのであります。(拍手)  次に資材におきまして木材セメント、釘、ガラス等全く不足しておるいうことは承知しておるのでございます。先程もありましたが、木材は制度が悪い。それで現在はこの使用制限ために実際過剰になつておる。これは将來は別として、現在のこの急場を救うために、是非共これを重要資材の部分から除外いたしまして、林野局の方の今までの仕事に移した方がよかろう。そうして公共團体をして、即ち日本林業会とか、或いは都道府縣の林業会、その他の取扱者、又は林業組合を政府が監督して、これらに任せるということが一番合法的ということを私は痛感しておるのでございます。現在のような需要者、販賣業者が生産地に対して認証を貰つたり、再ぴ需要地に又行つて証明書がなければ、移入も自由にできない。誠にこの機構が複雑多岐に亘りまして、容易でないことと考えておるのでございます。これが改善を図ることは最も急務なるをことと痛感しておるのでございます。木材需要者に対しましては、極めて簡單に着手できるよう処理をすることが、住宅建設意欲を高めることは一目瞭然たるものがあります。又金のある人にはできるだけ早く復興促進を図り、そうしてこれを漿励して建築をさせる。又これは土地柄によつて違います。都会地も田舎もこの足りない住宅は同じことでございますが、田舎は金が足りなくても、なくても、木材でもあれば何とかかんとか建築はできるのでございます。これも現在の機構によりましては到底できないのであります。若し材木でもありますれば、焼け釘でも集めて、又針金を切つて使用します。又ガラスがなければ紙を貼つて障子を作り、疊がなければ菰敷いても、筵敷いても、先ず自分の一家としてできるだけみずからを犠牲に供しましてそれに住んで凌ぐことができるということになるのでございます。敢えて都会地の立派なところにそういうものを作るのじやない。私は各都道府縣においてこうしたことを痛感されておるのでございます。私一例を申上げますと、炭鉱労務者住宅について思い出しましたが、常磐炭鉱の茨城炭鉱の中の中郷炭鉱の所長に、私はこの三月頃か、二月の下旬でございましたか、炭鉱住宅問題について伺つて非常に寒心に堪えない事がある。この住宅が不足のために我々は収容ができない。現在収容しなければならない者も数多いのである。それが収容できなければ出炭に大影響を來たす。それで炭鉱の労務者には復員者、戰災者その他独身者がかなり多いのでございます。これらの青壮年らは、妻を迎えるために一家を引受ける條件として働くという者はかなり多いのでございます。それで、これが若し実施できなかつた場合には、彼らが思想上に甚だ悪い影響を與え、不良の徒輩に交わつて、炭鉱を逃げ出す者、或いは彼らは純精なる婦女子に暴行を加えまじき行動もある。誠に由々しき問題で、社会問題として容易でないという言葉を聞いておるのでございます。かく考えますときに、大都市たる東京その他の地におきましてこの状態を思いますときに、誠に想像に余りあるものがあります。東京都の戰災地の掘立小屋の焼トタンによる建物、又近縣における農村の物置小屋、或いは馬小屋、その他が戰災者、疎開者によつて利用されております。又六疊か八疊の間借をしておる者、これらはいずれも混雑を極めて住んでおります。甚だしきに至つては家族が数多で、折重つてやすまなければやすまれぬというような状態を聞いておるのでございます。これらを考えますれば、炭鉱の青年たちばかりではないと思います。かくして悩んででおる男女は幾百万あるかを知らないものでありまするが、必ず相当にあることでありましよう。又これらは当事者ばかりでなく、親、兄弟、姉妹に至るまで同じ苦労をしておることと信じます。又海外引揚者或いは追々引揚げる同胞に対しても、長い間國家の犠牲として氣の毒な人たちを慰める途はいろいろの施設もありますが、先ず以て住宅を與えることが最重要であることと思いまして、我々國民の眞に義務でなければならんと信ずるのでございます。(拍手)今日の官僚統制はすべてにおいて國民の期待に反するものが沢山あるのでございます。統制はできるだけ撤廃することは、議員各位におきましても賛成の方が多いことと信じております。(「多くはない」と呼ぶ者あり)一例を申上げますならば、林野局が都内に僅かの木材を販賣しておりますが、これらの木材は変色し腐蝕しておるものも多数ありということを聞いております。又販売数が少量であるがために、需要者は余り少いために、材料に不足だからといつて薪にしてしまつたという例が沢山あるのでございます。
  18. 松本治一郎

    ○副議長松本治一郎君) 時間です。
  19. 柴田政次

    ○柴田政次君 ちよつと一分待つて下さい。私最後に申上げたいことは、やはり衣食足りて礼節を守るということを考えておるのでございます。住宅建設は一日も緩やかにすることはできないのでございます。どうぞ國会におきましても、政府におきましても、亦民間におきましても、眞劍にその方策を立て、哀れなる人を助け合う氣持で邁進しなければならんと信じておるのであります。以上で私の自由討議を終わりたいと思います。    〔各派の指名者発言者の許可を求む〕
  20. 松本治一郎

    ○副議長松本治一郎君) 岩崎正三郎君。
  21. 岩崎正三郎

    ○岩崎正三郎君 社会党は中平常太郎君を指名いたします。
  22. 松本治一郎

    ○副議長松本治一郎君) 中平常太郎君の発言を許します。    〔中平常太郎君登壇拍手
  23. 中平常太郎

    ○中平常太郎君 只今復興院の御説明によりますというと、本年の建築予定は先ず二十七万戸と押えておられるようであります。これの基礎といたしまして、現在残つておる建築をなさねばならん住宅の不足が四百万戸になつておりますので、なかなか十年、二十年には追つつかないというようなお考えでございましたので、私は少なからず失望しておるのでございます。元來この二十七万戸と押えておるところから考えて見ますと、これは全く財政のやりくりに、本当に復興員がその使命を果すべく十分な予算を取つておられない証拠であると思うのであります。苟くも日本の経済は追加を入れまして二千億でありましよう。その中でこの議政壇上におきまして大切な住宅問題を議するに当りまして、十億とか七億というものをお土産らしくお話になることは、全く私はその計画が極めて小さく、又現在の國民の最も熱望しておることに対してお應えになつていないものと私は思うのであります。(拍手)(「その通り」と呼ぶ者あり)私はせめて我が家と名の附く所に入つて寝たい。何百万という國民が親子夫婦互いに一家をなしておりたい。その氣持は無理でありましようか。生産の増強は私は決して物資のみではない、生産の増強の根本原因は精神にあると思うのでございます。(拍手)「(「その通り」と呼ぶ者あり)一日の疲れを休める我が家と名のつく所に帰り得ないところの、あらゆる労働者階級のその精神上の悩み、それができないと政府がいうなれば、できないのではなくして、即ち無能を私は表明しておるものと思うのであります。(拍手)私は現在の政府を無能というのではない。(笑声)(「いや無能だよ」と呼ぶ者あり)三代に亘る内閣のその無能の処置を、今日に至つて後拭きをしなければならないことになつておるのであります。(拍手)だからこの内閣を引受けた以上は、現代の内閣は必ずやこれを完成すべく特別なる処置をとるの責任があるのであります。(「今の説明じや駄目だよ。熱意なんかありはせんよ」「それはそうだ」と呼ぶ者あり)生産の増強に対しまして、何人もこの住宅問題を割合閑却いたしておりますように思います。彼の戰災の直後におきましては、何百万となく縁故を頼つてなだれ込み、部屋といわず、廊下といわず、同胞愛の一念で一應は片附いて來ました。併しこれは全く一時的であつて、全く眞にこれは一時的な同胞愛であります。早晩何らかの方法を立てて、無理に入り込んだ所はどうしても出なければならん。せつぱ詰つておるのでございます。そのところに外地へ引揚者が次々に帰還せられるのであるから、その窮状は実に困苦、誠に言語に絶するものがあるのでございまして、夫婦親子散り散りばらばらになつて、寝る所を異にしておる。初めは親切であつたが、いつまでも人間の家庭はそうは行かない。親子でも喧嘩をする仲であるから、どうしても他人が入り込んで來て、襖一つで暮しにくい。一日も早く出てくれという要求が出る。果ては感情のもつれで、朝晩顔を合せながらものも言わない。涙を呑んで忍んでおる家庭が何程あるか知れないのでございます。まだ忍び得る者はよいといたしましても、忍び得ないで夜中焦土に起ちつくして、前途に迷うて彷徨しておるところの國民の多数あることを我々は忘れてはならないのでございます。この苦痛は発して暴力となり、又ギヤングと変じ、思想は惡化し、殊に青少年に及ぼす影響というものは、御承知通り全く惡化の一途を辿つております。これ即ち主として食生活住宅生活の満たされざる結果でございまして、これが即ち又生産不振の、物のできぬ一大原因となつておるのでございます。(拍手)私は二千億の予算を持つておるこの日本の政府が、何故に住宅政策にその一割、或いは百億、この程度のものを投じないか。今四百万戸といいまするが、十ヶ年、十五ヶ年のことを考えまするというと、今後いたんで來るころの見込の数が、今までの四百万戸を除いて置いても、尚且つ三百五十六万五千戸必要になつて來るのであります。災害を復旧しなければならん見込のものが又三十万戸殖えましよう。又人口の増加によるところの必要量が、今後十五ヶ年において二百二十三万戸を要するというております。又戰時中極めて粗雑な小屋を建てておるために、これを建て替えるという必要が起きて來る。この要求のために二百万戸の改築を十五ヶ年の間に予想しなければならない。して見れば、現在の四百万戸とそういうものを加えると、一千二百万戸と相成りまして、十五ヶ年の間にこれを完成するといたしましても、九十六万戸ずつ建てて行かなければならないのでございます。ただ彌縫策として、現在の不足のみに対する割当だけでは、決してこれは償い得られるものではありません。根本の対策は、十五ヶ年の対策をするなれば、一ヶ年九十六万戸ずつ建てて行きましても十五ヶ年経たなければならない。百億の金を要しましよう。私は現在やつておられるところの状態について一言いたして見たいと思いますが、臨時建築制限令、或いは又住宅緊急措置令等によりまして、余裕住宅開放問題がとり上げられまして、これが段々調べられた結果、二十四の都市におきましては、余裕の住宅が四万三千戸ある。疊の数が六十六万疊あると申します。併しながらこれが現在どの程度実行されておりますかといいますと、約二〇%ぐらいしか実際においては利用されていないそうでございます。これは大なる隘路がありましよう。例えて見れば、借地借家の問題、又家を分けて貸す場合、これが将來抜き差しならんことになつて、出て行けというても出て行かないようなことになつてはいかない。やめてくれというてもやめることができないようになつてはいかないという心配のために、地主も家主もこれを承諾しないのであります。これはそういう方面に十分に安心の行くよう、家主の方にも相当安心の行くよう、これは何かの法規の改正をしてやつて行かないといかんと思うのであります。現在、厚生省が緊急援護施設として千五百施設を全國に持つておりまして、十九万人程貧困者を入れておりますが、これは誠に時宜に適した、よかつたものと思うております。又引揚、戰災者の方々に対しましては、簡易住宅既存建物利用によりまして二十二万五千人程入れておられます。又同胞援護会においても相当つておられます。引揚援護院におきましても、昨年は十七万人くらい収容しておられますが、そういうものを合計したところで、今の通り轉用部屋数を入れて六十六万戸の大体二七%となつておるのでございます。建築の大きなるものに参りますると、御承知通り映画館或いは又遊戯場、戰爭利得者、敗戰成金などの建築でありまして、建築の大部分は殆んど無許可でやつているというてよろしいのでありましよう。戰爭の犠牲者、引揚者、或いは中産階級者などの到底自分の力で建て得ないところの一般民に対しては、誠に寂蓼々たるものでございます。これは今日まで國民住宅の問題が、都市におきましては約八〇%までは借家であつたからして、この借家政策を以て生活しておつたところの階級がある。それが種々なる事情によりまして、今日借家を建てて貸して引合わないのであります。又政府の方針が、借家を建てる者に対する奨励の補助金も今までなかつた。法的にやる場合以外には、個人の借家建築に対しては誠に冷淡であつた。そういうことからいたしまして、遂に今日まで家が建たない。中産階級以下の者は自分で建てることができないのであるから、どうしても政府はこの際建てなければならない。然るに輿論調査研究所の研究発表によりますというと、この建たない原因の中で、四四%は経営者の不熱心と無能であるというております。資材資金の入手難は三二%、或いは建築業者の不協力というのが一二%、その他が一〇%となつておりまして、主として経営者の不熱心と無能を叫んでおります。経営者とは誰か。経営者というのは、公的において、政府を初め、それを末端の官吏、全体の官僚であります。これに指して経営者の不熱心と無能を挙げておるのであります。私はここで無能と叫ぶところの資格を持つておる。私は一例を簡単に申しますと、引揚者の憐れむべき家庭を今三十二家族私は収容しておる施設を持つておりますが、かれこれ六十万円で昨年建てましたが、それは昨年六月から始めて、十二月に開館式をやつております。坪が百七十坪で、室が二十八室あります。三十二家族今無料で収容いたしておりますが、これが僅かに六ヶ月でこの百七十坪の家が建つております。即ち朝に夕に、この家の建築につきましては、眞から我が身を賭して建築に私は着手いたしました。そのくらな熱があるならば、私は……私が建てておる家よりまだ前に公営住宅が到る処に建ちおるが、その家は、壁を塗つて置きながらあとをしないから、壁に雨風が当つて、又壁が落ちてしまつて元の黙阿彌になつている。襖がない、戸がないいつて、人が入らない中に又その家が風で倒れておる。それは何でありますか。即ち適当な手段を以て、現在公的性質を持つているところのその借家或いは補助家屋を、眞に我がものとして、本当にその家の経営をやらないからであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)(拍手)これは上は政府当局として、又縣市町村の官吏として、皆不熱心であつて、建てかけてはその家が又元の黙阿彌になる。雨風に荒らされていても、その前を通りながら、見て黙つて、直そうとしないのであります。(拍手)いかに不熱心かは、私は想像に余りあるものがあると思うのであります。この際時間がありませんから長くは申しませんが、大体住宅は、私は生涯増強の唯一のなすべき施設であると存じますので、この住宅政策の一元化と叫びたい。例えて見れば内閣直属といたしまして、この復興院にもありますけれども、釘、セメント、鉄材のごときものは商工省に行き、木材は農林省に行き、金は大蔵に行き、労務は労働省に行き、救助は厚生省に行く。あちらの認印がない、こちらのサインがないというて、一つ建築に何箇所もお参りしなければならない。これが官僚の最も甚だしいところの繁文褥礼であります。私は率直に叫ぶが、第一期の建築段階といたしましては、先づ労働者側の住宅政策、基礎産業となつているところの生産住宅に向つて万全の努力を拂うべきであると思うのであります。(「片山君に言え」と呼ぶ者あり)今言うんだ。建築すべきものにつきましては、押し込み主義を排して、どこまでも住宅生活に潤いのある生活をしなければならないと思うのであります。時間であるからもう申しません。どうか私はこの議場において、政府がこの三代に亘るところの暗夜無能のそのまま引継いでおる社会党は、これを実現して、…飽くまでも引継いで取つた以上は、飽くまでも責任を持つてつてくれたまえ。私はこの点に対して十分に註文をしておきます。そうして二千億の予算の中に、少なくとも百億や百五十億は取つてくれたまえ。五億や八億の金を以てかれこれ言わんようにしてくれたまえ。(拍手)    〔各派の指名者発言者指名の許可を求む〕
  24. 松本治一郎

    ○副議長松本治一郎君) 矢野酉雄君
  25. 矢野酉雄

    ○矢野酉雄君 緑風会は田村文吉君を指名します。
  26. 松本治一郎

    ○副議長松本治一郎君) 田村文吉君に発言を許します。    〔田村文吉君登壇拍手
  27. 田村文吉

    ○田村文吉君 先程來政府委員の御説明によりますと、戰災、疎開による喪失家屋及び引揚者の需要戸数を合せますと、合計三百三十二万戸が早急に補給を要することになつておるのであります。この外に戰時中からの自然供給不足数が百八万戸も当然補充せねばならないというのであります。この戰時中の自然供給不足の百八万戸は、仮にいわゆる耐乏生活を更に暫らく継続する意味において辛抱せらるべしといたしましても、戰災者と引揚者のための三百三十二万戸だけは、一日も早く建ててやらねばならぬ絶対的必要に迫られておるのであります。(拍手)然らばこれに対して今日まで幾ばくの家が建てられたか申しますと、終戰第三年を迎えた八月の今日までに凡そ七十万戸が復興せられたのでありまして、先きに申上げた絶対必要量三百三十二万戸の漸く二割強、これを床面積にいたしまして、精々一割程度復興せられたに過ぎないのであります。そこで三百三十万戸から七十万戸を差引いた残りの二百六十万戸、その包容推定人員一千三百万人の我ら同胞は未だに安住の家を持たないで、浮草のように僅かの親戚知人を頼り、或いは窓一つない焼トタンの蒲鉾小屋の中で、或いは又壁仕切もない一時的の収容所の中で、当てもなく、希望もなく、毎日の生活苦と闘いつつ悲惨な生活を続けておるのであります。誠にこの頃のような焼付くような暑さの中で、風通しのない焼トタンの下で、或いは病人を抱えている人々のことを考えますとき、又嚴冬の頃、屋根から、節孔から吹雪の吹込む中に、火一つなく、親子数人重なり合つて僅かに暖をとりながら身の行末を語り合つている人たちの姿が幻に浮かんで來ますとき、私は眞に堪え難き感がいたすのであります。(拍手)この悲惨な事実を正視するのかしないのか、政府は今年度を加えた三ヶ年間合計十一億円の國庫補助金を以ちまして、十二万二千戸の建設を助成し、又助成せんとしつつあるに止まるのであります。今年度歳出予算は來るべき追加予算を加えまして千八百億円以上に上るものと思われます。然るに今年度住宅予算が八億円にも満たざる数字を考え合せますとき、民生安定の根幹をなす住宅問題がいかに軽視せられているかが分るのであります。私は不幸なる一千三百万同胞の果てしなき暗黒な放浪生活を顧みまするとき、甚だしき不満と憤りを感ぜざるを得ないのであります。(拍手)私は戰災後今年四月まで長岡市長の職にありまして、親しく戰災地の惨状を体驗するの機会を得ました。長岡市は戸数約一万三千の仲、その八割一万一千戸が焼かれたのであります。その中、昨年未までに約五千戸が復興せられ、今年末までには約八千戸が復興せられる見込でありますが、その九割までが全く自力による建設でありまして、戰災者はそれこそ全く生爪を剥がす思いで、全財産を蕩盡せるは勿諭、できる限りの借金をして、随分無理な建設を急ぎつつあるのであります。(「政府よく聴け」と呼ぶ者あり)それは何故かと申しますと、豪雪と寒さとから自分の生活を守る必要に迫られるからであります。從つて住宅に対する執着は、到底暖國の人々の想像も及ばないのであります。私は一昨年の一冬、恩賜の眞綿を持参いたしまして、不幸な戰災者を見舞つたことがあります。焼木に焼トタン、屋根は藁葺き、入口の筵を捲つて眞つ暗な部屋に入つて見ますと、十二三ぐらいの子供を頭に四人の子供は、配給の蒲團を炬燵にかけましてもぐり込んで、汚れた顔から目だけ光らしております。狭い部屋の一隅には、故陸軍兵長某と記された遺骨がささやかな壇に祀られております。年の頃四十五六の婦人は先に主人を失いまして、未亡人であつたのであります。壇に祀られた遺骨の人はその家の次男であつたのであります。私は慰問の言葉を述べたあとで、これから大雪になると、こんな家では危ないかも知れないから、市営の合宿寮へ引越してはどうかと切に勧めたのでありましたが、彼女は静かに首を振つて、遺骨を抱いて合宿寮へ行く氣持になりません。それに、ここにおりますれば顔見知りの近所の方が使い走りにも頼んでくれますので、働いてくれている娘の手助けにもなるのであります。その内には長男が満州から帰つて來るのを楽しみに、このままここで待つておることにいたしますという返事であつたのであります。これはほんの一例でありまするが、これに類似したような事柄は全國津々浦々に数限りなくあることと思います。それ程、人は、日本人は、家に執着を持つておるのであります。狭かろうが、粗末であろうが、自分たちの自由に足を伸ばすことのできる安住の家が欲しいのであります。衣食住の三つが人間活動の根源であることは今更申すまでもありません。而して食糧の問題につきましては、終戰以來朝野を挙げてこれが解決に苦労し、連合國からも多大の好意的援助も頂いておるのであります。衣服の問題につきましては、幸いに國民の習慣として各戸各人が若干の貯蔵を持つておりますことが、破局を緩和しておるのであります。然るに住宅建設は、その金額が大きいことや土地の問題やらで、自力の解決は困難であるに拘わらず、尚且つ戰爭という國家の行為で受けた災難であるのに拘わらず、政府として在來施策らしい施策は殆んどとられていないのであります。果してこれでよろしいのでありましようか。私は敢えて申します。住宅問題は食糧問題と共に、國家の政策、國家の財政において、すべてを超越して最も優先的に取扱わるべきものであると固く信ずる者であります。(拍手)先程復興院の総裁は、経済復興が成つて初めて家の復興が成ると仰せられました。とんだ認識の違いであります。文化、教育の向上も、労働省の新設も結構、失業保険やその他の社会政策も結構でありまするが、これらは少なくも國民に最低の衣食住を保障してから初めて出発すべきものであると信ずるのであります。(「そうだそうだ」と呼ぶ者あり)然るに今年度千八百億円の予算の内、住宅政策のために僅か十億に足りない金でこれを賄おうというがごときは、全く本末を顛倒したものであると言わねばなりません。(拍手)世の中には声なき多数者の声あることを忘れてはなりません。(拍手)これらの何ら組織を持たぬその声なき人々は、或いは心ならずも闇屋と罵しられ、或いは意氣地なしと侮られつつも、黙々として自己の運命に忍從して、静かに政治を見守つておるのであります。私はこの点に関し尚政府にに申上げて見たいこともあるのでありまするが、これは他日の機会に譲ることにいたしまして、住宅復興の実行案につきまして、同僚諸君の御批判を仰ぎたいのであります。  それは先きに申上げましたどうしても急いで建設しなくてはならん二百六十万戸を、今年度を含めた五ケ年間実施するために、毎年平均五十二万戸ずつを新たに建設することであります。而してこれが資金は一年約三百七十億を要するのでありまするが、その半額國庫負担とし、その半額住宅組合又は貸家組合等に特別融資をしてこれを建設せしめ、或いは年賦償還なり、或いは永久賃貸をするのであります。政府或いは諸君の仲には、この計画に対して資金の厖大を非難されるかも知れませんが、先刻も申上げましたように、すべてに優先してこれを断行するの勇氣さえあるならば、総予算の一割程度に過ぎないこの額は決して過大とは申されないのであります。政府が近く提案せんとする非戰災家屋に対する課税のごときも、識者は夙に惡税と称するところでありますが、これが戰災者家屋復興使用されることともなりますれば、初めて道徳的の意義が立つかと存ぜられるのであります。(拍手)次に資材の面におきまして一番問題となるのは木材でありまするが、これは一ヶ年約二千五百万石見当でありまして、現在生産額の三分の一にも足らない数字であります。驚くべき数字でもないのみならず、日本有史以來初めて遭遇し、今後は絶対にあり得ない災害であることを考えますれば、山林の若干の過伐となるのもこれ又止むを得ないと存ずるのであります。幸いにこの中の一部でも外材の輸入に仰ぐことを得ますならば、問題は一層容易となるのであります。(拍手)  私の考えの大綱を申上げた次第でございまするが、要するに住宅復興は眞に重大な問題であります。いつまでも六疊の部屋に親子五人が寝起きするようなことや、引続き壕生活に近い生活を続け、擦れた唐紙一万を隔てて数家族が同居するようなことは、一日も早く是正してやらなければならないのであります。然るに今年度政府予定による一般住宅建設は僅かに十六万戸に過ぎないのであります。而もこれは政府が建ててくれるのではないのでありまして、これ以上建ててはいけないという数字なのであります。そのために柱一本買うにも、やれ切符だ、輸送証明だと、一々面倒な手続きを要するようになつておるのであります。而もこの揚句は國民の渇望する家の百分の五も建たないようなことでは、眞に血も涙もない政策と申さねばなりません。(拍手)これでは結局経済復興も國の再建もただ遅くなるばかりであると信ずるのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)どうぞ皆様の御賢察を頂くことをお願いいたしまして私の討議を終ります。(拍手)    〔各派の指名者発言者指名の許可を求む〕
  28. 松本治一郎

    ○副議長松本治一郎君) 佐々木良作君
  29. 佐々木良作

    ○佐々木良作君 無所属懇談会、兼岩傳一君を指名いたします。
  30. 松本治一郎

    ○副議長松本治一郎君) 兼岩傳一君に発言を許します。    〔兼岩傳一君登壇拍手
  31. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 全國の建築、土木、都市復興の技術者團体を代表する職能代表議員として、私は主として科学技術の開放という立場からこの問題をとり上げて見たいのであります。これを私は五つの角度から檢討いたします。そして各派議員諸君の科学的な御批判を仰ぎたいと考えるのであります。  第一の角度は、住宅問題は何年で解決するかという問題であります。阿部復興院総裁の報告によりますと、政府は大体二十ヶ年間でこれから片附ける。從つて四十万戸家を建てるんだと、ところが今年はその六割五分で辛抱してくれろと、ちよつと聞きますと、これは十年ぐらい延びて三十年くらいで片附くような錯覚を起しますが、これは非常な間違いでありまして、泣いても笑つても毎年二十万戸ずつは火事、風、その外で消えてしまいますので、これは実に六十六年かからなければ解決しないということを阿部総裁は語つておるのであります。恐らくここにおられる同僚議員諸君並びに傍聴の方々も、生きて解決を見ることはできないということになるのであります。(拍手)この解決は私の結論に譲ります。  第二の角度は、住宅は誰が作るかという問題であります。今十坪の家を作るには八万円かかります。これは戰爭成金か新円成金でなければ住宅難に悩む二千万國民には、勤労國民には手が届きません。これを貸家として家賃を計算して見ますと、六百四十二円貰わないと引き合わないのであります。六百四十二円の家賃はなかなか出せないのであります。だから金儲けに抜け目のない企業家もちよつと家を建てる氣にならんのであります。(「そうだ、そうだ」と呼ぶ者あり)暑さのために少し頭が変になつた企業家があつて、金借りに行つたとしたしましよう。復興金融金庫に参りまして、どうぞ貸して下さいと言いますと、資金貸出の順位は第十三番目になつております。(笑声)残る住宅は誰が作るかという問題は、ここにおいてこの戰爭責任をみずから解決するという國家が解決しなければならんのであります。(拍手)然るに國家は僅か七億七千万円、八億円にも足りない、國家予算の〇・三%にも足りない千分の三にも足りないものでお茶を濁しております。この問題の解決も結論に譲ります。  第三番目に、政府は果して幣原、吉田、片山内閣、引続くこの三代の二年間の期間において、まじめに住宅調査を一度でもしたかという問題、(「そうだ、そうだ」と呼ぶ者あり)結論を申上げます。一度もしておらん。(「その通り」と呼ぶ者あり)私は只今幾十万の、或いは幾百万の人が住宅難に悩むというような言葉を、総裁、その他同僚議員から聴いておりますので、今阿部総裁にメモを送りまして、現在地下壕或いは仮小屋等に何人住んでおるのか、昨年の末の厚生省方面の資料で、私は六十二万人と記憶しておるが、最近の最も新らしい数字を報告願いたいと言いましたところ、昨年三月に九万戸、五人平均として四十五万人になりますが、その後の統計がないという返事を今得たのであります。(笑声)幾十万の人が地下壕や掘立小屋その他で悩んでおるのであります。從つて戰災、海外引揚、その他で悩んでおりますその実態調査、そういうものがなくして科学的な住宅政策が立つと考えることは、全くできないのであります。(笑声)而も近く行われます國勢調査には丁寧にも住宅の應急調査だけは除外しておるのでございます。(笑声)かくのごときが現在の復興院の、官僚的の復興院の住宅政策の最も端的な欠点を見せた事実であります。(笑声)(「その通り」と呼ぶ者あり)もう一つ、然らば政府建築一般に対して研究しておるか、やつておる。いくら使つておるか、六十万円使つておる、一年に……。その中、住宅問題に幾らか使つておるか、諸君六万円、これは十二ヶ月でですから、月に五千円づつ使つておる。(笑声)これが実例であります。これが政府住宅問題に対する幣原、吉田内閣の住宅問題に対する誠意の表われであります。(笑声、拍手)  次に第四番目の計画はうまくでき、うまく実行されておるか、この点を私は技術的に檢討したい、そうして私の技術的の提案を申上げたい。政府は一人当り一坪半乃至二坪半、これを根拠にしております。これは疊数で言いますと一疊半乃至二疊です。浪花節の、起きて半疊、寝て一疊、寄せて一疊半という、これが吉田、幣原内閣のやつて参りました住宅問題解決の基礎数字であります。我々科学技術者は戰前の建築学会の科学的の根拠から、一人のために四坪、四疊要る。だから余程これを切り詰めても、どうしても三疊、三坪は要るのであります。併しいろいろの困難のためこれを應急的に今直ちにそういうことが言えんとしたならば、技術的にいかなる対策をこれに対して講ずべきでありましようか、(「数字が違いはしないか」と呼ぶ者あり)疊一疊を敷く家を作るのに建坪一坪要るのであります。私は第一の対策として集團住宅化という提唱がいたしたいのであります。二百戸乃至五百戸のマツチ箱のようなのを計画的に配置いたしましてその二百戸乃至五百戸の家のためには必ず子供の保育所を建てる、共同炊事所を作る、配給所を作る、共同炊事場を作る、集会所を作る。できれば学校も考える。これは予算を例えば七億費用をかけるときに八億、一割乃至二割奮発すればでき、而も二百戸乃至五百戸の家にマツチ箱のような憐れな家庭に來客があつた場合、家中皆が働かなければならん場合、あらゆる朝から晩までに便利するのであります。殊に家庭の婦人がこれによつて大きな利益を受けるのであります。(拍手)家庭婦人解放の第一歩はこの集團化住宅を造るということ、これはドイツのヒツトラーが出ます以前のあのドイツ社会党の内閣の時に研究し、実行し非常に良い成績を上げたのであります。(拍手)ブルノー・タウト、日本へ参りましたあの建築家のブルノー・タウトは、この大家であります。併しながらこの政府一つもこういうことを考えていないのであります。その次に建築生産技術を進歩させる、技術を進歩させるということは具体的にはどういうことか、これはやはり型を決めて、東北ではこの型とこの型とこの型、九州ではこの型とこの型とこの型というように一つの型を一定し、柱の寸法、すべての寸法を規格化して、そうしてそれを組立住宅にして、二三日もあればすぐ家が建つんだ、組立てられるんだというような。現代の科学技術はそういうことはもう十分にでき、アメリカではコンクリートの建物さえ組立て式になつておる。日本のマッチ箱のようなものは、これはもはや科学技術的に問題はないのであります。政府並びに経済的な問題に対して本当に断行力があるかないかというそれだけが残つておるだけであります。  それからもう一つ住宅配分計画的にやれというのであります。今籤引いて家を決めております。(笑声)もう非科学もここまで來ると笑い種で、籤引いて家を決める。これはやはり戰災者、引揚者、それから生涯、復興に役立つ勤労者、而も職場に近い場所、職場との関連性において、もつと科学的な基礎においてこれが配分をやる、こういうことを考えてもらわなければならないと思います。(「そうだ」と呼ぶ者あり)  第五に、行政機構の問題でありますが、現在戰災復興院は事務官僚の盥廻し的独裁によつて禍いされております。だから鉄筋コンクリートの権威阿部工学博士がいかに御奮闘になつても、現在の官僚的なあの形では私は解決できんと思います。(拍手)それからもつといい例は、東京都の、皆さんの帝都の、家に悩む二百万の東京都の建設局長が終戰後この二年間に、やはり特権事務官僚で四人目、現在の局長で四人目であります。そういうことで私は解決できるということは非常に困難だというふうに考えます。  そこで私は三つの結論に移ります。住宅難は何故從來解決しなかつたかという第一の問題であります。私はこれは家に悩む市民はやはり食糧難に最も多く悩んだ人、食糧難のために圧倒されて、そのために立ち上れなかつたということが一つ、その当然の結果として家に悩む市民大衆闘爭組織ができていなかつたということ、現にそれが活溌に動いていないということが第二。第三は非常に重要だと思いますが、閣内において住宅建設に挺身する一人の大臣もいなかつたということ、私共の技術者の先輩の阿部さん、昔から判食大臣ということがありますが、阿部さんは判食大臣でさえないのであります。いつ解決するか、結論の第二、いつ解決するか、私の見通しを申上げたいのであります。私は住宅難に悩む人は二千万と推定いたしますが、二千万人の住宅に悩む眞の代表者が大蔵大臣と商工大臣と建設大臣と、この三つぐらいには、言葉だけの代表者でなく、本当の代表者が座つて、大臣と次官の一人ずつくらいは、家庭婦人出身の人が來た時が、ほぼこの解決が軌道に乘つたものと判定して差支えないと考えております。(拍手)片山内閣は然らば解決の一歩を踏み出すであろうかどうかというこの試金石、この試金石は議会に提出されております建設院のあれで、この一二週間で片山内閣の性格ははつきりすると思います。今政府は内務省解体に伴つて、先程申上げました官僚的な非常にまずい組織の戰災復興院と、それから大風水害、その他荒れ果てた國土を復興すべき内務省の國土局を、そのまま一緒にして建設院という、相も変らず建設院という程度のものでお茶を濁そうということになつております。これは私は片山内閣の誠意を語る重要なバロメーターと感じます。併しながら私はこれこそ実は片山内閣に課せられた試金石ではなく、我我國会議員に課せられた試金石だと私は考えます。(拍手)主権は我々に在るのであります。國民にあるのであります。從つて國民の代表である我々は、この中途半端な無氣力は無誠意な建設院の提案を徹底的に吟味し、科学技術的に批判して、そうして綜合的な本当に民主的な強力な建設省を実現する。こういうことをこの國会ができるか否かということが、私は試金石であろうと考えております。(拍手住宅に悩む二千万、地下壕、掘立小屋に悩む五十幾万の、或いは四十何万の人たち國民の目は、來たるこれからの十日間の國会の動きを非常に注視しているのであろうということを、先輩同僚各派議員に訴えまして、私の討議を終ることにいたします。(拍手
  32. 松本治一郎

    ○副議長松本治一郎君) これにて休憩いたします。午後は一時より再開いたします。    午後零時五分休憩      —————・—————    午後一時十五分開議
  33. 松本治一郎

    ○副議長松本治一郎君) これより午後の会議を開きます。この際お諮りいたします。淺井一郎君より病氣のため十日間請暇の申出がございました。これを許可いたすことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  34. 松本治一郎

    ○副議長松本治一郎君) 御異議ないと認めます。      —————・—————
  35. 松本治一郎

    ○副議長松本治一郎君) これより休憩前に引続いて自由討議をいたします。    〔各派の指名者発言者指名の許可を求む〕
  36. 松本治一郎

    ○副議長松本治一郎君) 矢野酉雄君。
  37. 矢野酉雄

    ○矢野酉雄君 緑風会は北條秀一君を指名いたします。
  38. 松本治一郎

    ○副議長松本治一郎君) 北條秀一君に発言を許します。    〔北條秀一君登壇拍手
  39. 北條秀一

    ○北條秀一君 私は全國六百五十万の引揚者の代表として、その立場から住宅問題を取上げて行きたいと考えるのであります。最も住宅の問題で悩んでおるのは、誰よりも我々と同じ運命にある引揚者、復員者であります。私共は何はさて措いても、家が、住宅が欲しいのであります。住宅と行かずとも住む所が欲しいのであります。雨の降らない家が欲しいのであります。疊がなくても雨の降らない家を私共は欲するのであります。その我々が最も欲して止まないところの住宅に対して、政府は何と考えておるか、先程阿部総裁が縷々述べられた所であります。その説明によりますと、今後我々が完全に住む所を得るためには、四十年の長い日子が掛かるのであります。兼岩君の計算によりますと実に六十六年の長い月日が経たなければ、私共は家に住むことができないという状態に置かれておるのであります。こうした哀れな我我が、何が故にこの状態に放置されておるのか、決してそれは我々引揚者、復員者の責任でなしに、実に國の、國家の責任によつてこうした惨禍が捲き起されたのであります。從つてその惨禍は当然に國家がその力において負担すべきであり、解決すべきであることは言うまでもないところであります。昨日の片山総理大臣の経済危機突破の道に関しまする談話を拝見いたしますと、今日これから半年一年が日本の將來にとつて重大なるところの決定をするものであるということであります。正にその通りであります。私共日本に還りまして、我々の生活を安定するために、過去一年数ケ月の間住宅を求めて、住居を求めて政府に迫つて來たのでありまするが、未だ住居は解決されておりません。而も日本の將來がここ半年乃至一年の間に重大なるところの決定を見ようという際に、我々が最も欲して止まないところの住宅の問題は実に六十六年の先でなければ解決されない。私共の前途に対するところの希望は全く見失われざるを得ないのであります。政府が我々に與えましたところの数々の政策は先程述べられた通りであります。更にこの政府の政策に対しまして、兼岩議員或いは田村議員、中平議員等議員等がが克明に批判をいたしましたので、私はそれらの部分はすべて省略したいと考えます。ただ前論者によりまして、批判されました中に抜けました点があると考えますので、その二つの点を政府に要求したいと考えます。  第一は、家を建てるのは誠に結構でありますが、家と職場というものを常に結び付けて考えなければならんということであります。常磐炭田にに働くところの労務者の住宅を東京の郊外に建てたところで、これは全く役に立たないところであります。東京で働くところの我々引揚者の住宅を、遠く久里濱の近辺に設備したところで、それは何にもならないのであります。須らく生産施設と密接にくつついて、即ち我々が住み、仕事をし、十分に生活し得るだけの條件の下に家を建てなければ、家を建てたということにはならないのであります。  第二の点は、先程説明が、あつたのでありまするが、余裕住宅の問題であります。成る程余裕住宅開放が若干行われためでありますが、決して我々が納得し得る状態にはならないのであります。私は昭和二十年終戰直後奉天におりまして、各地から避難して参りました素裸な同胞の救済に当りました。そうして零下二十五度のあの奉天の嚴冬を越すために、我々はどういう施設をしたか、即ち当時十六万五千人の居留民が奉天におりましたが、ここに七万四千人の無一物の同胞たちが避難して参つたのであります。その避難して來た同胞たちを我我はどこに住まわせるか、当時敗戰後の混乱に乘じまして、我々自身が自分の住宅に追われておつたような状態であります。そこで我々の住む所は全く安定を得なかつたのであります。その際に更に七万四千人の家なき同胞、一物もない同胞を引受けることは容易なことではありません。そこで我々が考えましたのは、全居留民の住宅の疊数を調査いたしまして、その結果これを十六万五千人と七万四千人、即ち二十四万の人口に割つて見まして、一人大体一・四疊の疊数が割当てられたのであります。そこでこの調査の結果に基ずぎまして、我々は奉天に居留しました同胞の完全な賛成の下に住宅の人民管理をしたのであります。こうして我我は恙がなく昭和二十年の冬を越したのであります。昨年の八月十八日、丁度今日でありますが、私は博多に上陸いたしました。爾来東京の眞中に八疊の間に住んでおります。多いときには十一人、現在も尚五人の引揚者を引受けまして、生活しておるのであります。私の部屋は幸いにして雨は漏りません。併しながら他の條件は疊は破れ、窓は破れておる始末であります。併し私はこれによつて恨むとかいうことなしに、本当の疊の上に寝られることを感謝しておるのでありまするが、東京の眞中に三十万人の引揚者、復員者がおりますが、その中の僅かに二割が疊の上に寝ておるのでありまして、後の八割の二十四万人に近い人たちはあばら屋だとか、学校でありますとか、倉庫でありますとか、コンクリートの上に寝ておるという状態であります。こういう状態であります。こういう状態では我々がいかに生産意欲を向上しようとしても、それは断じて生産意欲は向上し得ないのであります。この点について政府は食糧よりも何よりも我々家なき者にとつては、先ず家が必要であるということは私を徹底的に認識する必要があるということを要求したいのであります。政府は今回発表しましたところの経済実相報告書、或いは経済危機突破対策その他すべてを見ましても、住宅という問題については余り触れていないようであります。殆んど触れていません。何故か、それは住宅に苦しみを持たない人たちであるが故に、こうした結果になるであろうと私は考えます。(拍手)願わくは全國に恐らく千七百万人に及ぶ住宅のない人たちが、職よりも何よりも先ず家庭を欲しい、住む所を欲しいといつておる。この民衆の声に應えてお坐なりな住宅政策を断乎としてこの際改めて、住宅建設に邁進されんことを切に希望するのであります。  更に私は次に申したいことは、政府でなしに、先程兼岩議員も申されましたが、我々國会はこうした國の現状に対して、何をなすべきかということであります。時間がありませんので、簡単に項目だけ申します。國会こそ眞に國の最高機関としてその権威を以て、最も大いなるところの住宅問題に我々は最善の努力を盡さなければならんと考えるのであります。然らばそのために何をするのか、私は次の四つを申述べたいのであります。  第一は、戦争犠牲を均分化せよということであります。いかに戦争の犠牲というものが國民の間には不均等に分担せしめられておるか、特にこの問題は住宅において最も顕著なる例であります。道一つ隔てて片つ方には堂々たる邸宅がある、こちらには、戦災によつて焼かれた人たち壕舎の中に、或いはトタン張りの屋根の中に、月を眺めながら親子揃つて寝ておるというふうな状態であります。こうした甚だしい戦争の犠牲の不均等が、今日日本の道義の廃頽の根本であると私は信ずるのであります。さればこそ我々は今こそ民主主義日本の建設ために、民主主義革命を完成するために、この戦争犠牲の公平なるところの負担という大問題について、我々國会は明確なる方針を決定すべき時であると信ずるのであります。(拍手)  第二は、具体的の問題に入ります。遊休宅地の収用法を設けなければならんということであります。これも先程政府説明にありましたが、現在資材がある、金がある、併しながら土地借地権、地上権がない。このためにいかに住宅が建たなくて困つておるか、このことは皆さん御承知のことであると考えるのであります。從つて我々國会は須らくこれらの遊休の地上権というものを現下住宅難を緩和するために、須らくこれを活用するという手段を講じなければならんことは、当然であります。  第三、これは田村議員が言われたところであります。私は田村議員の意見に賛成であります。即ち非戦災家屋税を設けろ……併しながらただ非戦災家屋税を設けただけではこれは意味ないので、これらを須らく戦災家屋復興にこの財源を活用せよという問題であります。(拍手)  更に第四の問題は、建設省の新設せよということであります。これも兼岩議員が詳細に述べましたので、私は詳しく述べることを省略したいのであります。即ち國土の復興都市復興、これに我々は全力を挙げなくちやならんことは言うまでもありません。そのために既往ごときセクショナリズムの官僚機構では到底住宅復興ができないことは、既往一年九ヶ月の実績が明らかに物語つておるのであります。さればこそ、今こそ我々國会はこれらの建設部門を統合して、そうして眞に國の復興ために必要なるところの建設省を、今こそ作るべき時であると私は固く信ずるのであります。昨日の経済危機突破の道の中に、片山総理は、我々は貧しく飢えておるとき、すべては暗黒に、又呪わしく見える、直ぐ他人を責めて怒りやすくなる。併し不信と呪いと責任のなすり合いからは、明るい未来が生まれて来ないと言われておるのであります。家もなく食もなき引揚者、復員者は、決して飢えておりましても、すべてを呪うということなしに、我々こそ眞に國を造り直そうという眞実と希望に燃えて、我々はその日の生活をしているのであります。(拍手)更に又責任のなすり合いということがありますが、その責任のなすり合いは既往一年九ヶ月の政府が、そうして又今日の政府が最も責任のなすり合いをしておるのではなかということを、私は強く反問したいのであります。(拍手)以上引揚者の代表として住宅問題を論じた私の話を終わります。(拍手)    〔各派の指名者発言者指名の許可を求む〕
  40. 松本治一郎

    ○副議長松本治一郎君) 左藤義詮君。
  41. 左藤義詮

    ○左藤義詮君 自由党は石坂豊一君を指名いたします。
  42. 松本治一郎

    ○副議長松本治一郎君) 石坂豊一君の発言を許します。    〔石坂豊一君登壇拍手
  43. 石坂豊一

    ○石坂豊一君 只今論議されておりまする住宅問題は実に深刻なる社会問題であります。すでに政府説明により、同僚各位が入れ代り立ち代り所見を開陳せられたので、これに対して私共全然賛意を表する次第でありますが、一言私は本論に入る前に、深刻な社会問題でありながら、我々はただ政府を責めてばかりいてはいかんので、反省しなければならんと考えます。議会みずからもこの問題を國会開会以来三ヶ月余に亘つて棚上げをしておりました。これは食糧危機対策その他のために取り紛れて、遂に今日に至つたことでありまするが、併し家なく罹災者二千万の方々から見るというと、國会は一体我我に同情がないのであるか、どうしてこの問題に関心を拂わないのであるかという怨嗟の声を放つてもいたし方ないと考えます。併し今日遅しと雖もこの問題を取り上げまして、午前より午後に亘つて論議を畫すということは、誠に私は感謝に堪えない次第であります。  次に私は政府当局に対して申し上げたいことは、私の極く畏敬するところの芦田均君は、先に厚生大臣に就任せられました。その時に私は就任早々私も或る公職に就いておつた関係上会見をいたしまして、いろいろ意見を取り交わしましたが、同君は劈頭第一に、私の今日の考えは、どうして家なき罹災者をして越冬せしめるかということが、私の胸一ぱいであるということを言われました。私はさすがは芦田君である、厚生大臣として最も要点を把握しておられることを喜んだのであります。又片山君は、これ又先年私共と同じ政治上の行動を取つておられたことがございます。同君は本年三月「民衆の幸福」という著述を公にせられた。これを読んで見ますと、全面に亘つて國民の幸福を念願しておられるところの熱意に燃えておるのである。私はこれに対して大いに同君に敬意を表しておる。而して本日の新聞紙上に発表せられたるところの國民の心得に対しましても、同君の誠意のあるところを窺うことができるのである。併しながらこの差迫れる不足せる住宅問題に関して、同君は実際の上においてこの議場にも姿も見せず、ただ復興院総裁の一官僚にこれを委託して足れりとしておられるがごとき感があることは頗る遺憾であります。(拍手)片山君は総理である。芦田君は副総理でありますので、両君轡を並べて行政府を督励しておられる今日の場合において、かくのごとき重大なる問題を等閑視せられるということは、実に奇怪千万と言わなければなりません。(拍手)  さて私は今日この壇に立ちましたが、貴重なる時間を割愛して頂いて恐縮に存じますけれども、立たなければならん境遇にありましたるためにここに立つたのであります。先刻緑風会の田村君は、長岡市長としての体験を物語られましたが、私も昭和二十年八月一日より二日にかけて、富山市長の職を奉じまして、同じく田村君の長岡と同じ時間において空襲に遭いまして、市役所前の防空壕において僅かに一命を支え得たのであります。私の直前におるところの二人が直撃彈によつて即死しました。その時に私は不思議にも私だけ助かつた以上はこの罹災民のために一身を抛とうと決心をしたのであります。而して爾來私は政治家となるような考えを棄てておつたのであるますけれども、昨年十二月、戰爭前からの市長は一時身を引かなければならんというお触れによつて、十二月四日職を退いたのでありまして、はからずも参議院に來たつて皆様と國事を談ずるようになつたのでありますが、それにしましても、私はこの深刻なる住宅問題は第一に取上げて頂かなければ氣が済まないのであります。かるが故に、誠に皆様度々同じ議論をお聽きになつて、うるさいことでございはしようけれども、漸次御清聽を汚す次第であります。  私は政府当局にお願いしたいことは、いや、お願いするのではない、求めるものは、戰災復興に対して全國画一的に扱つておられることであられることであります。これは誠に誤れるも甚だしいものである。先程もお話がありましたるがごとく、五大都市、即ち東京、横濱、名古屋、大阪、神戸等のごとき五大都市においては、復興が至つて遅々としておるのであります。何故そうかと申しますと、かくのごとき都市におきましては、土著の人よりは借家住いの勤労者が大多数を占めているのでありまするから、いかに家屋を建てたい念願がありましてもできないのであります。又自力更正の力のある人は、恒久的建物を要求せられておりまするがために、なかなか手を染めることができないのであります。かるが故に、全國の今の建築復興の状態は二カ年の間に四十三万戸でありまして、これを全國百十九の戰災都市平均して見まするというと、百戸に対し一九・一戸の復興であるのに、この五大都市は、横濱が一九・三戸、これだけが上廻りしておるだけで、あとの東京は一二・五戸、名古屋は一三戸、神戸は一一・五戸、大阪も一二・五戸というようなわけで、全部全國の復興の下の方におるのであります。非常に遅々としておるのであります。これに反して全國の中小都市に至りますると、一万戸以上燒けた中小都市におきましては、非常な復興振りを見ておるのでありまして、宇都宮といい、又長岡といい、又富山市といい、その他の都市におきましては、よく行つておるところは六〇・八戸惡い所でも三九・四戸となつておるのであります。その一万戸未満の都市にいたりますると、もつと成績がよいのでありまして、沼津のごときは八〇戸以上になつております。約八〇%復興いたしておるのであります。極く惡いところでも四二戸の復興を見ておるのであります。これは即ち土著の人が多くして、自力復興の可能性を持つておるからであります。かような関係でありまするから、自力復興の可能な都市と、その然らざる都市とを振り分けて、これに対処するところの建築方法を指導しなければならんのであります。その次はあまりにも中央集権的にいたしまして、自力復興をいたさんとする者に対しては非常なる制限を加え、又賃貸のアパート等を建築せんとする者に対しましても、先程復興院総裁が言われましたが、半額國庫補助をいたして、七億七千七百万円ばかりを投じておると仰せられるが、これらの半額國庫補助というものは名ばかりでありまして、実際は復興院の査定による補助でありまするから、本來使つたところの金の何分にしか当たらないのであります。こういうようなやり方では、貸長屋も十分に普及することができないし、自力復興する者も亦頭を押えられておるという恪好になつておりまするから、かくのごとき方法は全然振り捨てて、所要数の家屋については、自力復興のもの、又借家のもの、これらを悉く地方別に希望を取つて、その希望数の建物を各府縣、各市に割当てて、知事なり、市長の全責任においてせしむるということの方法を採つた方がよろしいと私は考えるのであります。(拍手)いわゆる中央政府においては督励の位置に立つてみずからその現業主義を採らないのであります。目下の政府のやり方は、非常な制限を加えておるがために、復興院が出店を各地に設けておられます。戰災復興院出張所、これでまだ足りないで、最近農林省資材調整事務所というものが又進出して來ました。この農林省資材調整事務所なるものは、非常な制限を加えまして、殆んど手も足も出ないのであります。故に我々の要求するところは、速やかにかくのごとき出店を撤廃して、地方の自治に任せるという方針にして頂きたいのであります。これは又新憲法のいわゆる民主主義によつて完全なる地方自治になつた今日において、官治行政をどこまでも固守しておるという官僚主義に我々は絶対に服従ができないのでありまして、これを打破するのは実に皆様と共にわが國会の大なる責務と考えるのであります。(「ヒヤヒヤ」と呼ぶ者あり)かようにいたしましてこの家屋復興に対してましては、政府といわず、地方自治体といわず、また國會といわず、悉く手を取り携えまして、速やかに復興を図ることでなかつたならば、わが同胞の二千万以上の人は路頭に迷うのであります。浮浪の民を二千万以上擁して、何の復興がございましようか。いかに石炭増産を叫びましても、これの帰するところは住宅問題が先決問題となつております。又貿易復活の今日におきましても、中小工業の生産がなかつたならば見返り品の輸出はできないのであります。中小工業社に家屋を與えずして何によつて生産をいたしますか。又我々は民主主義憲法によつて教育の機会均等を叫ばれまして、既に六・三制の義務教育を実施しております。併しながら兒童生徒を野放しにして、どうして教育の実際が挙がるのでありますか。(拍手)彼を思い、これを思いますると、いわゆる産業の上にも、経済の上にも、又教育の上にも、思想の上にも、家屋を與えるということが何よりも先決問題となつております。どうか内閣諸公はこの点に留意せられまして、一段とこの不足家屋の挽回に全力を注いで頂きたいのであります。從つて先刻來國家の支出金を二百億若しくは三百億に増すという御意見のごときは、全然私共は賛成するところであります。今遠來の外人を接待するがために止むを得ざる施設ではございますが、五つか六つのホテルを修繕するに五億円の金を使う追加予算が出んとしつつあるのであります。我々二千万同胞が家なき窮乏生活に苦しんでおるこの場合において、二百億や三百億の金を惜しんでは相成らんのであります。更に又この中央におきましての厚生省のごときは、地方における一浴場の回復につきましても厚生省の許可を要することにいたしております。厚生省のみならず、これは又戰災復興という場合になりますと、復興院の出張所の手を経なければならんということになつておりますので、私の住んでおるところの富山市のごときは、六月以來提出しておるところの浴場の許可がまだ下つておらんという状態になつておりますから、この点は特に当局に反省を願いたいのであります。而して最もこの資材を獲得する一つ方法は、今日まで戰時中長い間抛擲されておりましたところの各府縣の道路橋梁、この復興を速やかにいたしまして、資材生産地より消費地に取寄せることの便宜を図らなければなりません。(「時間が過ぎましたよ」と呼ぶ者あり)又陸上におきましては鉄道の運行、海上においては海運につきましても、家屋復興資材に対しては優先的に認めてこの取扱をなすということが、最も必要と考えます。さらに又金融の問題におきましても、今日は家屋建築に対して先程どなたか仰せられましたとおり第十三位において、なかなか融通して呉れないのであります。これらも眞先に優先的に金融することにいたしまして、一日も早く、仮住宅でも宜しい、一軒の住家でもよろしい、今日住家に悩んでおる者のため住宅を與えるということが喫緊の要務であると確信いたすのであります。私は今日四百万戸の家が足らんというところの半面を時々調べて見ておりまするに、この頃は暖かい時でありますから野外に寝ても差支えないのでありまするけれども、堤防の上に一組、二組の丸太を持つて來て蚊遣り線香で以て間に合わせている人を見ております。又三疊の間に四人の方々が、机を持つて來て二つ並べて、上に寝る者と下に子供がもぐつているというような、非常にみじめな生活をしておるということを見ております。かようなことでは決して我が國の健全なる復興はできるものでないと考えます。何と申しましても家屋復興については最も我々は注意を拂いまして、政府当局を鞭撻して、ここ暫くの間に住宅不足を一掃することが最も緊要なりと信ずるものであります。時間がございませんから、これを以て私の討論の挨拶といたします。    〔各派の指名者発言者指名の許可を求む〕
  44. 松本治一郎

    ○副議長松本治一郎君) 岩崎正三郎君。
  45. 岩崎正三郎

    ○岩崎正三郎君 社会党は原口忠次郎君を指名いたします。
  46. 松本治一郎

    ○副議長松本治一郎君) 原口忠次郎君の発言を許します。    〔原口忠次郎君登壇拍手
  47. 原口忠次郎

    ○原口忠次郎君 住宅問題に関しましては、去る七月政府の発表いたしました経済実相報告書によりますると僅かに二十数行を費やしたのみでありまして、現実の把握はもちろん、將來の見通しも困難であります。今日戰災復興院総裁の御説明を拜廳いたしましても、前途甚だ心細いものを感ずるのでございます。第一次欧州大戰後、敗戰各國は勿論、戰勝國すら住宅復興には二十数ヶ年を要したのであります。従いまして日本の住宅問題は今後國民を悩まし続けることおそらく二十ヶ年、三十ヶ年、あるいは下手をいたしますると五十ヶ年も続くのではないかということを虞れられる重大問題でございます。大雜把に二十ヶ年後を考えて見ますと、先程総裁の御説明通りに、現在の不足分は四百万戸、風水害、火災自然腐朽等による滅失が二百万戸、人口の自然増加による不足が二百万戸合計八百万戸でありまして、これは最小限度の見積りであります。この不足を今後二十ヶ年間に満たすためには、毎年三十三万三千戸即ち毎月二万八千戸を新設しなければなりません。即ち今後二十ヶ年で國民の最低生活に必要な住宅を得るためには、毎月三万三千余戸、三十ヶ年で整備するためには、毎月二万八千余戸の新築を必要とするのであります。かくのごとく概観いたしますと、毎月五千余戸即ち年約六万戸を多く新築するか或いは少なく新築するかが、今後日本の再建に二十ヶ年を要するかという重大なる鍵を與えるのであります。復興院の発表によりますと、二十年度は五ヶ月間で十四万四千戸、月産二万八千八百戸、二十一年度は二十三万七千戸で月産一万九千八百戸、本年度一月より五月まで十四万七千戸、月産二万九千戸となつております。よつて復興院の政策は、二十年度及び二十二年度は三十ヶ年であり、昨年度は実に四十数ヶ年を要する計画であつた推論ができるのであります。私はここで強く申上げます。本年一月より五月までの出來高より更に毎月五千戸を増し、即ち月産三万三千戸、年産四十万戸を目標として、せめて今後二十ヶ年内に國民の最低生活に必要な住宅整備を完遂して貰いたいことであります。これができ上がつたといたしましてもね國民は十坪内外の住宅平均六人乃至七人家族が生活を続けて行かなければならないのであります。  そこで私は増築の手段といたしまして、二三の私見を開陳いたします。先程戰災復興院総裁のお話の通り資金獲得のため住宅金庫を設定して、各都市には住宅会社の設立を希望するものであります。一戸仮に五万円といたしますと、八百万戸では四千億円、又七万円としますと五千六百億円の厖大なる資金が必要であります。又大都会の借家人は市民総数の八一%でありまして、今日の物價高では個人貸家新築は絶対に認めません。又勤労者自身の住宅新築も到底望み薄いのでありますから、是非共、國または公共團体補助する会社の設立を要望するものであります。  二番目に資材資金の獲得に、復興院は今少し積極的に自主性を発揮して貰いたいのであります。復興院は資金資材割当てられた数字にのみ拘泥して、その枠内でのみ踊つておるように思われるのであります。先程各議員からお話がございましたように、内閣の閣議においても住宅の必要性を堂々と力説いたしまして、諸般の國政と睨み合せ得るように、総裁には國務大臣の地位を與えられんことをこの際特に政府へ要望するものであります。昨年十二月の紀州並びに四國地方の大震災には進駐軍の軍用材の拂下を断行せられまして、國民はみな感謝いたしておるのでありますが、復興院は進んで住宅資材の輸入を懇願して貰いたいのであります。又釘や鉄材については復興院自身で生産するぐらいの積極性が望ましいのであります。第三番目に、代用資材の研究施工に強力に勇敢に推進せられたいのであります。資金が不足し、資材がないから家が建たないというのは十分わかりますが、木材の代用品はないか。セメント代用に火山灰や漆喰はどの程度利用できるか。コンクリート・ブロツクの代用としてセメント・アス・ブロツクはできないのか。木筋や竹筋コンクリートはどうか。これらの諸問題こそ今復興院が中心となり、科学者、技術者を総動員して創意工夫を凝らし、範を民間に垂れ、少い資材で一戸でも多くの住宅を作るべきであると思うのであります。第四番目に、闇建築は絶対に排撃すべきものでありますが、ただ取締にのみ嚴重に走つて、民間の住宅建築の指導啓発がおろそかになりつつある傾向は残念と思われるのであります。民間には手持資材がまだ相当にあることを認識して頂きたいのであります。又必要な都市よりも、田舎に新築や増築が目立つておることを注意して貰いたいのであります。第五番目に、一旦許可した建築は必ず資材裏附けをして貰いたいのでありまして、ただ切符のみの配給に終らせることなく、親心を以て善導して貰いたいのであります。第六番目に、各官廳、公共團体及び各会社において、勤労者住宅や合宿所設定のため既存建物の買漁りすることを絶対に禁止して、是非共新築するように指導して貰いたいのであります。既存住宅の買漁りは徒らに闇値の暴騰にこそ役立ちますが、國内の家庭の絶対量の増加には何の役にも立たないのであります。而もこの金額は恐らく年額数千万円に上るものと思われます。第七番目に、木材建築の代わりにできるだけ多くの防火建築、特にアパート式の勤労者住宅建設を望みます。大都会の通勤列車や電車の殺人的混雑の緩和策の一手助けともなり、國民の保健衛生、道徳的見地からも、是非共実現して頂きたいのであります。第八番目に、五大都市内には未だに燒残りコンクリート造りや煉瓦造りのもの、或いは遊休建物相当に残存しております。これらを國又は公共團体若しくは前述の住宅会社等により、アパートに模様替えするよう指導して貰いたいのであります。最後に現在の借家人の保護に徹底的に裏附けできるように、借地借家法の改正を司法委員会に特にお願いいたします。現在の借家人でも、知らない間に家が賣られて、そうして路頭に迷つておるという状態が非常に多いのであります。以上甚だ簡單でありますが、要するには住宅問題こそ今後何十ヶ年間國民に深刻に附き纏う重要な問題でありますので、当局は慎重に善処されんことを希望いたす次第であります。    〔各派の指名者発言者指名の許可を求む〕
  48. 松本治一郎

    ○副議長松本治一郎君) 中西功君。
  49. 中西功

    ○中西功君 共産党は中野重治君を指名いたします。
  50. 松本治一郎

    ○副議長松本治一郎君) 中野重治君の発言を許します。    〔中野重治君登壇拍手
  51. 中野重治

    ○中野重治君 たくさんの人が話をしましたから、私は簡單にします。第一、我我がはつきりさせなければならんことは、今日制府の係が報告しましたが、あの報告は非常に信用することができない。何故かといえば、数字はいろ選挙げてあるけれども、住宅問題をどういうふうに造つて行くかということについての見通しが少しも語られていない。これが語られなければ数字が挙げられても何もならない。それから今まで政府がやつて來たことが、やるべかりしこととどういう喰い違いが付いて來たか。それについてどういう責任を責任者としてとる積りであるか。それに全然触れていない、無責任な感じの上に立つております。これは今までに政府が発表した例の経済白書、鉄道白書、それから國会の初めに総理大臣が演説した施政方針、それから今日の新聞に出た総理大臣の感想文、ああいうものと同様、全く我々がそれを基礎にして我々の住宅問題その他の大事な問題を前に進めて行くことができない。そういう性確を根本的に持つておることを我々は先ずはつきりさせなければならない。私はこれについては詳しくは申しませんが、それは今までしやべつた人の内容によつて十分に言い盡くされておると思います。大体さつきの報告によれば茨の道だということを言つておりますが、六十六年かかつて茨の道を行こうというのですから、これは話にならない。  それで第一に問題になることは差当たりの問題、これが非常に問題になると思います。緊急の問題、家のない人にどうして家を與えるか。帰つて來たり燒けたりして、住む所のない人をどうして住まわせるかという緊急の問題があると思います。第二にそれと並んで、永久といえば大げさですが、長いことかかつて將來に向かつてこの仕事をどうやつて行くかという、永久的、半永久的の仕事があります。この二つのものは別々ではなくて結びついておる。これを結び合せたものとして我々が実行して行かなければならんと思いますが、この差当たりの住むに家のない人に住む所を與えるということについては、すでにこのことの自主的な解決のために部分的に行われておる方式を大きく組織して行くことが大事だと思います。遊休住宅とか余裕住宅の調査というようなことを今までやつて來たけれども、すでに他の人が言つたように、あれは届出制度ですから、誰も届出ない。余裕のある住宅に役人を買収して、いろいろな看板を掲げてやつて來たような連中は、余裕のある住宅を決してみずから届出ない。どこに余裕があるか。どこに余裕のある住宅があるということは、余裕のある人間には分らなくて、余裕のない人間にははつきり分るものですから、そういう人々を大々的に包含し、労働組合その他と連繁を保ち、更にそれに住宅問題に関する専門の技術家を包含したところの住宅開放委員会というようなものを作つて、その力で余裕のある住宅を発見して行かなければならない。これは我々は今隠匿物資とか何とかいうことを言つておりますが、住宅に関しては隠匿住宅というふうなことを言つておりませんけれども、これは根本的には同じレールに乗せて考えなければならない。(拍手)我々は今何とか親分というような者が細君でない女を連れてどつかへ潜り歩いておりまするが、こういうことを考えて見れば、すぐ分ると思います。外食券もなしに、轉出証明もなしに、細君でない婦人を連れて大親分が渡り歩いておる。これは飯のない所は渡り歩いていないだろう。飯のあるところを渡り歩いておるに違いないが、そういうところは他の物資もあり、又部屋もある。あれば必ず燒トタンの下ばかりを潜つて歩いておるのではないに違いない。それですから、住宅の余裕はこれは摘発しなければならん。そうして下から管理されなければならん。或いは他のいわゆる遊休物資とか隠匿物資とかいうものは、どこかでベルを押すと、役人がぽんぽん判子を捺して、これは合法的ということになつておるが、こういう方式で合法化されたもの全部を隠匿されたものとして、大きくしてからごつそり掴む。こういう方式の上に住宅問題も乗せていく、そのためにはどうしても民主的な住宅開放委員会をはつきり作つてこの活動を全國的に起して行く。これは戰災者も引揚者もこの中にどしどし入つて來て、飯の食えん者には飯のありかをよく分るようにし、住む所がない者には住む所を探してやるという方式を組織化して行くということが、緊急問題になると思います。これをどうしてもやらなければならん。(拍手)  それから次には專門家の兼岩君が詳しい説明をされまして、私共も非常に啓発されましたが、あの中で住宅の集合化、共同化と言いますか、共同住宅を造つて行く方式を実現して行く。このことに私は根本的に賛成するものであります。それで、今までたとえば住宅営團なんかが造つて來た住宅で、一番小さいのは六坪五合というようなことになつておるが、その三分の一以上を台所や便所が占める。こういう家を幾ら造つたところで、こういうものを沢山造れば造る程、乏しい資材を無駄遣いすることになります。それですから、こういう住宅営團とか何とかいうふうなところの役人とか何とかが、今年は六坪五合の家を何百軒造りましたと数字を挙げて報告した場合には、それはそういうような小さいこま切れを沢山造つたということは、貴重な資材を非常に無駄遣いしたという報告として一面受け取らなければならん。(拍手)それで、これはどうしても集団化の方向に進まなければならんこう思います。  それから住宅問題に関係して、これもすでに多くの人が話をしましたが、炭鉱その他重要産業の労働者の住宅問題があります。これは一つは、こういう所ではいわゆる高級社員の社宅と労働者の住んでおる所との隔たりが非常におおきい。平なんかに行きますと、鉱夫は蒲鉾小屋の中に住んでおるが、高級社員はそうじやない。あれを約めて行くということが問題になりますが、大体今まで労働者を住わして行く住いは、或いは逃亡を防ぐというようなことを一つの大きな眼目に使われて來ておるというところに非常に問題があります。これは紡績産業なんかでも同様で、紡績女工を寄宿舎に閉じこめて金網なんかを張つておくから、濱松の火事のときには燒け死んでしまつた。これは随分前のことで、戰爭前でありますが、それですから、そういう所ではどうしても労働者の住宅を、その産業が重要であればある程近代化する必要がある。科学化する必要がある。そうして集合的にして行く必要がある。併しながらこの仕事を十分やつて行くためには、労働者の住宅経営あるいは企画というものを炭鉱資本家の力に任しておくことはできない。これは非常に大きいものですから、どうしてもそういう重要産業の國営、人民管理の方向に副うものとしてこの問題も扱つて行かなければならん。  それから次には土地の問題があります。一部分他の人が触れましたが、端的に言うと、農村では農地改革が行われておりますけれども、市街地の土地改革は進んでいない。それで土地は投機の対象となつておるばかりであつて、実際これをどう有用に使うかということになれば、いろいろな反対物にぶつかる。例えば公共團体がそこで働く人々のため住宅を造ろうと思つても、土地がない。燒野原は一面にあるけれども、土地はない。こういうことになつております。これを解決しなければならない。それですから、適当な方式によつて戰災土地の人民的な國家管理をやる必要がある。これをどうしてもやらなければならん。それからいろいろな現在行われておる燒けた小学校の建直しとか‥‥これは直接住宅ではありませんが、住宅関係ありますから申し上げますが、燒けた小学校の改築とか、それから警察の建物とか、そういうものが沢山ありますが、こういうものが、住宅建築と並べて日本では特殊な請負業者の力のままに動かされておるという、こういう現状にあります。それですから、例えばさつき長岡の人が話をしましたが、長岡なんかでは映画館はできておりますが、中学、商業学校、工業学校の中二つ燒けて、それは現に建つてない。前橋では、小学校を建てる総ての仕事が鹿島組に取られて委任せられておる。そうして前橋市に金がないものだから、金まで鹿島組が市に前貸しをしておる。こういう関係になつておる。それですから現に今日の新聞にもあるように、上野署では警察官のための寮を造るために寄附を前当てておる。それからこの間委員会で問題になつたように、労働基準局が田舎にできる場合に、土地の業者に寄附を強要するというようなことが暴露されておる。こういうことは前橋市の小学校問題に関して、或いは教育の問題に関して、何々組に市が從属するということになる。或いは上野署の寮に泊まつておる警察官、或いは地方にできる労働基準局が、その土地の金持、顔役、寄附を出した人、業者に買収されるということになる。それで、こういうふうな大きな建設企業事業の方式そのものが改められなければならない。それで、これは日本では住宅に関しては、ブローカーをいかにして排除するかという問題、それからさつきやはりこれはどなたか言われておりましたが、住宅を大量生産する方式を実現する。これが必要なのですが、その施工を機械化しなければならない。それからそのためには建築に関する労働者の組織がなさらなければならん。從來これが非常にばらばらで、古い、何と言いますか、人入れ稼業見たいなものに繋がるものとしてやられて來たために、いろいろな矛盾が出て収拾が付かないものになつておりますが、これをやるためには、どうしても大きな建築産業を國有にする。他の重要産業と同様に國有にする。或いは何らかその方向における正しい有効な手を打つ。こういうことがどうしても必要になつて來ます。それについては住宅その他の建築に必要な資材、鉄、コンクリート、木材、こういう資材及びこれに必要な金融を、人民が自分の手に握らなければならん。予算が足りないからいけないとか、それから大臣でなくて総裁であるからうまく行かないのであつて、大臣になれば予算を取つて來るというようなことをいう方があつて、必ずしも不賛成ではありませんけれども、予算そのものを人民が握るのでなければ、大臣そのものを動かすのではなければ、何にもならない。自由党の方が、どなたでしたか、自由党の方が二人か三人か話した中の最初の方ですが、金のある人にはどしどし建てさせたらいいじやないか、それは統制々々といつてつて惡くしておる、と言われたが、それは尤もで、それは統制が悪いのであつて、惡い統制が現実に行われていたからであつて、そういうものは実際を見れば、そういう惡い統制の下でも、困つておる人の家が建たなくて、映画館は建つておる。ただ統制が惡いから統制を廃止するということでは、ますます建つべき家が建たなくなる。だから統制そのものを人民的に改めて行くということを是非やる必要がある、こう思います。こういうことが我々の考えであります。    〔各派の指名者発言者指名の許可を求む〕
  52. 松本治一郎

    ○副議長松本治一郎君) 北條秀一君。
  53. 北條秀一

    ○北條秀一君 緑風会は堀越儀郎君を指名いたします。
  54. 松本治一郎

    ○副議長松本治一郎君) 堀越儀郎君の発言を許します。    〔堀越儀郎君登壇拍手
  55. 堀越儀郎

    ○堀越儀郎君 私は先程の復興院総裁の御説明を伺つていたのでありまするが、その後各議員の方がいろいろ意見を述べられたと同じように、現在の予算ではとても足りないということを考えるのであります。併しながら予算が殖えても、それに伴う資材復興院で準備できるかどうか、これをはつきり私は復興院総裁にお伺いしたいのであります。從前の例から申しますると、切符は出ても資材がない、物が現実にないという空手形が多かつたのであります。その現状をはつきり把握して復興院総裁がどこまでも力を以て、どこまでも自分の勇気を以て、資材を集める、準備をするという本当の覚悟があるかどうか。この態度について復興院総裁なり、根本的には政府の意向をも私は質したいのであります。何故こう申しまするか、若し政府の閣内に意見の相違があつたときには、これは國民の信頼が薄れて政策の実行ができないのであります。先般の新聞の記事を見ますると、農林大臣が出先において新聞記者團との会見において、重要なる食糧政策問題に答えられたその記事の中に、あれは安本の案だよ、官僚の机上計画で何ができるか、と放言しておられるのであります。勿論政府の政策とは安本で決めるのかも分らないけども、一旦決まつたその案が閣議において取上げられたならば、閣内一致してその実現に邁進しなければならないじやないか、この閣内の不統一ということが國民の信頼を薄らげるのであります。現に世間では現内閣を何と言つておるか、見かけ倒しの「あんみつ」内閣だと言つておる。その意味は見たところはうまそうだが、中身は水臭い寄合世帶だろうという意味であります。私たちはたとえ「あんみつ」内閣であろうと、水臭い寄合世帶であろうと、現内閣を絶対に支持したいという考えを持つておりまするが、閣内の意見の割れるということに対しては、これは嚴に戒心を要するということと思うのであります。而もこの重大なる住宅建築において阿部総裁は遠慮がちに言われたが、生産財である木材住宅に振り向けられるものは極く僅少だと聞くのであります。凡そ生産の二割だと聞きます。而もセメントに至つてはその半分だと聞くのであります。この乏しい資材をどうして活用して行くか、これは阿部総裁の大いなる力量に俟つのでありまするが、更に政府が一旦決まつた方策に対してはあくまで意見を統一して、閣内の意見を統一して、國民の信頼を薄らげないよう邁進すべきことを私は希望して止まないのであります。この根本態度を先ず阿部総裁に申し上げて、二三具体的な問題に私は入つていきたいと思います。  第一には、政府住宅建築に無盡組織を許可する意思があるかないか、從前平時においては住宅の普及に無盡組織というものが非常に効果があつたことは、皆様御存知の筈であります。勿論抽籖に洩れた者には、相当の有利な利息を拂うことによつて、その人たちの不満を防がなければなりませんが、この喫緊の場合においてかれこれと論議するより、当面の重要なる本問題を解決するために、個人、私人は勿論、公共團体にもこの無盡組織を許す意思があるかないか、私は許せと申上げるのであります。  その次には仮に私が名目いたしまして、縁故材の採用、最近政府は縁故米の制度を採用いたしましたが、これは恐らく不成功に終わつたろうと思うのであります。何故かと申しますると、この縁故米制度というものは人情の機微を察しておらない。たとえ農家は余剰米があつても、世間の食糧不足の際自分が持つておる、余計持つておるということを示したくないのは人情であります。又手軽に闇に流し得る機会もあり、貰う方といたしましても、大体闇の値段が分かつておるのに公定で貰うこともできない。結局は金か物で相当なものを返さなければならんとすると、何を好んでわざわざ遠くから縁故米を求むるか、こういう人情の機微を察しないこの縁故米制度は失敗だと思う。私の申しまするのは、この縁故材という言葉は当たらないかもしれませんよ。けれども私の趣旨は、例えば、山林を持つおる人、これを宗教團体で申しまするならば、本山と末寺の関係、本山の持つておる木材を統制の枠を暖め、それによつて末寺の建築をさせる。同じ様なことが、これは庶民住宅或いは六・三制の学校建築にも應用できるのであります。縁故材という言葉が当たらなければ、諸君の適当なお言葉を拝借したいのでありまするが、趣旨は統制の枠を暖めて、勿論闇に流れんよう十分に用途を持定して嚴重に監督をして、立木のままでこれを取引をさす、この制度を採用するならば相当建築ができ得るんじやないか、或いは山林のみならず、先程の議員の方が言われたように、民間にはまだ相当の手持品がある筈であります。世耕事件ならずとも民間にはまだ相当の手持品があるのを、これを適当に使用する、利用する途を考えるのが私の申上げる縁故材の制度の採用であります。  その次は、大邸宅、遊休建物等利用でありまするが、これは先程述べられましたから省くことといたしまして、住宅建築資金を獲得するための宝籖はいかがか、これは余り多くの期待はできないとお考えになるかもわからないのでありまするが、すでに六・三制の学校建築解決のためにも、この制度を採用しようとせられ、先程の阿部総裁の説明を伺つても、庶民住宅貸家のこの建築ために、僅かに七億七千万円の補助をされるだけであり、地方起債が十一億円といわれ、その説明に、金融の梗塞ということを眞つ先に取上げておられるのでありまするが、金融の梗塞とは何か、世間に新円がないというのか、この新円をいかに吸収するか、これはインフレを防ぐ一助となり、この住宅解決のために重要な一つ方法となりはしないかと考えるのであります。  それから最後に、人は軽んじておりまするが、消極の面から考えまして最も我々の立場から重要と思われますることは、防火の点であります。先程も申されましたように、毎年五万戸が火災、風水害のためになくなるという、現に一月から六月までに二万六千戸が燒けたという、新築を急いでも、この火災ために非常なる損をしておるのであります。毎月平均新築をする割合から比べて一割三分のものが火災によつてなくなつておるのであります。東京都では、一月、二月においては新築するよりも、もつと多い数の家が火災によつてなくなつたと当局は調査に表わしておるのです。この防火という点、この点に対して折角阿部総裁が苦心をして建てられた家が、一方において崩されつつあるというこの策に対して、このことに対して、これは政府のみならず國民全般が十分なり戒心をしなければ、先程のお話のように、四十年経たなければ復興しない。更に專門的の研究では六十年といわれる。この年限を縮めようということは予算に頼る以外に、毎月一割三分ずつ新築の家を減らすこの火災ということに対して、國民全部が十分なる戒心を加えなければならん。(拍手)消極の面ではありますが、人が軽んじておることであります。これは我々國民として十分なる戒心を加えなければならないものであるということを申上げまして、私の住宅問題を終ろうとするのであります。(拍手
  56. 松本治一郎

    ○副議長松本治一郎君) これにて自由討議を終ります。次会の議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。本日はこれにて散会いたします。(拍手)    午後二時二十八分散会