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1947-07-11 第1回国会 参議院 本会議 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十二年七月十一日(金曜日)    午前十時三十一分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第十四号   昭和二十二年七月十一日    午前十時開議  第一 自由討議     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 諸般の報告は御異議がなければ朗読をいたします。      ——————————
  3. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) これより本日の会議を開きます。お諮りいたすことがございます。  本日大隅憲二君より病氣につき運輸交通委員辞任の申出がございました。許可することに御異議はございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 御異議ないと認めます。つきましてはその補欠として玉屋喜章君を運輸交通委員に指名いたします。     —————————————
  5. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 本日中川以良君より理由を附して、在外同胞引揚問題に関する特別委員辞任申出でがございました。許可する事に御異議はございませんか。   (「異議なし」と呼ぶ者あり)
  6. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 御異議ないと認めます。つきましてはその補欠として楠見義男君を指名いたします。      ——————————
  7. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 次にお諮りして決定したいことがございます。過般鉱工業委員会より、増産問題につき調査承認要求がございましたので、議長調査することの承認を與えましたが、これに伴いまして炭鉱実地調査のため委員派遣したいとの申出でがございました。議員派遣する場合は議院議決を要することになつております。北海道方面中川以良君、十日間、九州方面濱田寅藏君、大畠農夫雄君、大屋晋三君、橋上保君、深川榮左ェ門君、十三日間、常盤方面稻垣平太郎君、堀末治君六日間の各日程を以て、以上八名の議院派遣することに御異議はございませんか。   (「異議なし」と呼ぶ者あり)
  8. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 御異議ないと認めます。よつて議員派遣の件は決定いたしました。      ——————————
  9. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 次に御諮りいたしたいことがございます。  本院規則第百七十九條の規定により、議長衆議院議長協議いたしまして、両院協議会規程常任委員会合審査会規程、及び両院法規委員会規程成案を得ました。三案共印刷して議席に配付してございます。  両院協議会規程    両院協議会規程  第一條 甲議院において、両院協議会を求めるときは、その件名及び理由を記し文書以つてこれを乙議院に通知しなければならない。  第二條 協議会初会日時は、両議院議長協議してこれを定め、その後の会議日時は、協議会がこれを定める。  第三條 協議会は、両院協議室においてこれを開く。  第四條 協議会議長は、協議会議事を整理し、秩序を保持する。  第五條 両議院協議委員は、各副議長一人を選定する。議長事故があるときは、副議長が、議長職務を行う。  第六條 議長及び副議長に共に事故があるときは、その院の委員の中から、仮議長を選出して、議長職務を行わせる。  第七條 協議会議長討論に加わろうとするときは、その院の副議長をして議長席に著かせなければならない。  第八條 協議会議事は、両議院議決が異つた事項及び当然影響をうける事項範囲を超えてはならない。  第九條 協議委員は、協議会において同一事件について、何回でも発言することができる。  第十條 協議会において、成案を得たときは、各議院協議委員議長は、各々文書以つてこれをその議院報告しなければならない。  第十一條 協議会は、協議会議録二部を作り、両議院協議委員議長がこれに署名して、各議院に夫々一部を保存する。  第十二條 協議会議録には、出席者氏名議事表決の数、成案その他重要な事項を記載しなければならない。  第十三條 協議会において、懲罰事項があるときは、協議会議長は、これをその委員の属する議院議長報告して、処分を求めなければならない。  第十四條 協議会事務は、各議院参事がこれを整理する。   —————————————————————————  常任委員合同審査会規定    常任委員会合同審査会規定  第一條 甲議院常任委員会において、乙議院常任委員会合同審査会を開くことを決議したときは、甲議院常任委員長審査又は調査すべき件名及び理由を示して、乙議院常任委員長合同審査会を開くことを求めなければならない。  乙議院常任委員会においてこれに同意したときは、その委員長から甲議院常任委員長にその旨を通知する。  第二條 他の法律の定めるところにより、合同審査会の議を経なければならないものについては、両議院議長協議して、合同審査会開会を両議院常任委員長に求めることができる。  第三條 合同審査会は、両議院常任委員長協議に基いて、両議院常任委員又は各議院常任委員会で選定された委員が合同してこれを開く。  前項委員を選定する場合には、各議院常任委員長又理事は必ず合同審査会委員にならなければならない。  第四條 合同審査会会長は、各議院常任委員長又理事協議してこれに当る。  第五條 合同審査会初会日時及び場所は、両議院常任委員長協議してこれを定め、その後の会議日時及び場所合同審査会がこれを定める。  第六條 合同審査会は、その会長の属する議院議長を経由して、議案発議者国務大臣及び政府委員出席を求めることができる。  第七條 合同審査会委員は、議題について自由に質疑し、及び意見を述べることができる。  第八條 合同審査会は、その審査又は調査する事件について、表決をする場合は、各議院常任委員の各々半数以上が出席していなければならない。  第九條 合同審査会は、その会長の属する議院議長を経由して、審査又は調査のため証人の出頭を求めることができる。  第十條 証人発言は、その証言を求められた範囲を超えてはならない。  証人発言前項範囲を超え又は証人に不穏当な言動があつたときは、会長はその発言を禁止し又は退場を命ずることができる。  第十一條 合同審査会は、その会長の属する議院議長を経由して、審査又は調査のため、内閣官公署その他に対し、必要な報告又は記録提出を求めることができる。  第十二條 合同審査会は、議案審査のために公聴会を開くことができる。  第十三條 合同審査会において、公聴会を開こうとするときは、予め両議院議長証人を得た後、その決議をしなければならない。  第十四條 合同審査会において、公聴会を開くに決したときは、会長からその旨を両議院議長報告すると共に、その日時及び公聴会において意見を聴こうとする案件を公示する。  第十五條 合同審査会に付された重要な案件について、公聴会を開くことを希望する者、又は合同審査会公聴会出席して、意見を述べようとする者は、予め文書を以てその理由及び案件に対する賛否を合同審査会に申し出なければならない。  第十六條 公聴会において、その意見を聴こうとする利害関係者及び学識経験者等(これを公述人という。)は、予め申し出た者及びその他の者の中から合同審査会がこれを定めてその旨を本人に通知する。  予め申し出た者の中に賛成者及び反対者があるときは、その両方から公述人を選ばなければならない。  第十七條 公述人発言しようとするときは、会長許可を受けなければならない。  第十八條 公述人発言は、その意見を聴こうとする事件範囲を超えてはならない。  公述人発言がその範囲を超え、又は公述人に不穏当な言動があつたときは、会長はその発言を禁止し又は退場を命ずることができる。  第十九條 公述人は、合同審査会の同意を得た場合には代理人をして意見を述べさせ又は文書意見を提示することができる。  第二十條 合同審査会を終つたときは、各議院常任委員長又理事から審査経過及び結果を委員会報告しなければならない。但し委員会は、文書報告を求めることができる。  第二十一條 合同審査会会議録二部を作り、両議院常任委員長(又はその代理者)がこれに署名して、各議院に夫々一部を保存する。  第二十二條 合同審査会会議録には、出席者氏名表決の数、公聴会証人委員派遣報告又は記録提出要求、その他重要な事項を記載しなければならない。  第二十三條 合同審査会会議録は、これを印刷して両議院議員に配布する。但し、秘密会議記録中特に秘密を要するものと合同審査会決議した部分については、この限りではない。  第二十四條 合同審査会において懲罰事項があるときは、会長は、これをその委員の属する議院議長報告して処分を求めなければならない。  第二十五條 合同審査会事務は、各議院参事がこれを掌理する。  ——————————————————————————  両院法規委員会規定    両院法規委員会規定  第一條 両院法規委員会委員長の互選は、無記名投票でこれを行い、投票の最多数を得た者を当選人と定める。但し、投票によらないで動議その他の方法で委員長を選任することができる。  第二條 両院法規委員会は、いずれかの議院から選挙された委員がすべて改選されたときは、新にその委員長を互選しなければならない。  第三條 両院法規委員会委員長辞任は、委員会がこれを決する。  第四條 両院法規委員会委員は、正当の理由がなければその任を辞することができない。  委員がその任を辞そうとするときは、理由を附し委員長を経由してその属する議院許可を得なければならない。但し、閉会中は、議長がこれを許可することができる。  第五條 両院法規委員会委員が欠けたときは、その委員の属する議院は、その補欠選挙を行わなければならない。  第六條 両院法規委員会に数人の理事を置き、その委員がこれを互選する。  委員長事故があるときは、理事委員長職務を行う。  第七條 両院法規委員会日時は、委員長がこれを定める。  いずれかの議院から選挙された委員過半数以上が連名で要求したときは、委員長は、委員会を開かなければならない。  第八條 両院法規委員会は、各議院会議中でもこれを開くことができる。  第九條 両院法規委員会は、各議院から選挙された委員の各々半数以上の出席がなければ、議事を開き議決することができない。  第十條 両院法規委員会勧告案議決するには、出席委員の三分の二以上の多数によることを要する。  その他の議事については、出席委員過半数でこれを決し、可否同数のときは、委員長の決するところによる。  第十一條 両院法規委員会委員長は、委員会議事を整理し、秩序を保持する。  第十二條 両院法規委員会委員長又はその代理人は、各議院会議又は委員会において意見を述べることができる。  第十三條 各議院議長及び委員長は、両院法規委員会出席して意見を述べることができる。  第十四條 両院法規委員会は、委員会出席して意見を述べようとする議員があるときは、その意見を聴くことができる。  第十五條 両院法規委員会は、国務大臣及び政府委員出席要求することができる。  第十六條 両院法規委員会は、内閣官公署その他に対し、必要な報告又は記録提出を求めることができる。  第十七條 両院法規委員会が、両議院及び内閣に対して勧告しようとするときには、その決議を要する。  第十八條 両院法規委員会が、新立法の提案に関して両議院勧告するときは、勧告要旨及びその理由文書で両議院議長提出しなければならない。  第十九條 両院法規委員会が、法律及び政令に関して内閣勧告するときは、勧告要旨及びその理由内閣提出しなければならない。  前項の場合には、委員長からその旨を両議院議長に通知する。  第二十條 両院法規委員会が、国会関係法規改正について、両議院勧告するときは、勧告要旨及びその理由を附し、案を具えて、文書でこれを両議院議長提出しなければならない。  第二十一條 両院法規委員会は、その勧告した事項の処理の経過について、内閣に対し報告書提出を求めることができる。  第二十二條 両院法規委員会は、両議院議院の外、傍聴を許さない。  第二十三條 両院法規委員会会議録二部を作り出席者氏名表決の数のその他重要な事項を記載しなければならない。  第二十四條 両院法規委員会会議録には、委員長及び理事がこれに署名し、各議院に夫々一部を保存する。  第二十五條 両院法規委員会会議録は、これを印刷して両議院議員に配付する。但し、祕密会議記録中特に祕密を要するものと委員会決議した部分については、この限りでない。  第二十六條 両院法規委員会において、懲罰事犯があるときは、委員長はこれをその委員の属する議院議長報告して、処分を求めなければならない。  第二十七條 両院法規委員会事務は、各議院参事がこれを掌理する。     ━━━━━━━━━━━━━
  10. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) これらの三案、即ち両院議長協議案賛成諸君起立を請います。   (起立者多数)
  11. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 過半数と認めます。よつてこれらの三案は可決せられました。      ——————————
  12. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 報告をいたさせます。   (内田参事朗読)昨十日委員会から左の報告書提出した。昭和二十二年法律第六十三号下級裁判所設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案可決報告書     ━━━━━━━━━━━━━
  13. 北條秀一

    北條秀一君 只今報告せられました昭和二十二年法律第六十三号下級裁判所設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案をこの際議事日程に追加して、本案の審議を進められんことの動議提出いたします。
  14. 天田勝正

    天田勝正君 只今北條君の動議賛成いたします。
  15. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 法條君の動議に御異議ございませんか。   (「異議なし」と呼ぶ者あり)
  16. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 御異議ないものと認めます。よつて動議の如く決しました。      ——————————
  17. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 昭和二十二年法律第六十三号下級裁判所設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。先ず委員長より委員会経過及び結果の報告を求めます。司法委員長伊藤修君。(拍手)    〔伊藤修登壇
  18. 伊藤修

    伊藤修君 只今御上程になりました法案に対しまして、その理由及び内容説明並びに委員会経過及び結果についてご報告申上げます。  第一回の國会開会以來既に五十余日を経過いたしまして、その間法律案といたしましては、上下両院を通じまして、この法律案が先ずトップを切つた次第でありまして、我々委員会といたしましては、この意義あるところ法律案に対しまして、極く熱心に極めて愼重審議これが衝に当つた次第であります。  先ず最初に本案に対するところ提案理由につきまして一言簡單に申上げておきたいと存じます。御承知通り憲法附属の法典たるところ裁判所法二條二項によりまして、下級裁判所設立、廃止及びその管轄区域は、別に法律でこれを定めると、こう規定されてあるのであります。即ち異動性のあるところ事項特別法規にこれを委ねた次第であります。故に九十二議会におきましては、この裁判所法の命ずるところによりまして、昭和二十二年法律第六十三号といたしまして、上下両院にこれが提案らせれ、而してこれが可決決定をした次第であるのであります。  然るに当時早々の折からといたしまして、又御承知通り下級裁判所設定基本人権擁護ということに至大なるところの關係を有するものでありますから、これを愼重に定めなければならん、かような意味と、及び下級裁判所が新たに多く設置せられることを予想せられまして、かような理由からいたしまして、その法律の第三條によりまして、又改めまして、簡易裁判所設立及びその管轄区域に関しましては、これを政令によりまして定めるということにいたしました。即ち政令にその設立を委任した次第であるのであります。故に政令といたしましてその後昭和二十二年政令第三十七号を以ちまして、この簡易裁判所設立並びにこれが管轄区域に関する條章を定めました次第であるのであります。もともと我々の人権擁護すべきところ裁判所管轄は、國民に至大なるところ関係を有する次第でありますから、政令を以てこれを定めるということは、誠に憲法の制定するところの本旨にも反するという次第であります。故にこれは法律を以て定めなければならぬのであります。從つて法律附則第二項によりましてこのことを明らかにいたした次第であります。この第二項におきましては、この政令は第一回國会開会の後六十日を経過するときはその効力を失うということを定めまして、以て本來の法律制定にこれを戻すということを規定した次第であるのであります。然るにその六十日というのは本月の十八日を以て満了する次第でありまして、若し然かるときは日本簡易裁判所管轄権はなくなりまして、すべての裁判所は廃止らせれるような結果に立至るのでありますから、ここに急遽この政令に代わるべきところ法律を制定するの必要に迫られた次第でありまして、本案が上程せられたところの所以であるのであります。  次に法律案に対するところ内容につきまして少しく御説明を申上げて置きたいと存じます。この改正法律案の第一條は、これはさきの六十三号の法律案におきまして、高等裁判所及び地方裁判所を第一表、第二表としてその設立を定めておつたのであります。その下へ簡易裁判所設立という文字を加えまして、即ち第三表といたしまして新たに簡易裁判所設立規定した次第であります。  第二條は、これは改正前の法律によりますというと、別表第三表となつておるのでありますけれども、これを第四表に繰り下げまして、そうして高等裁判所地方裁判所及び簡易裁判所と、ここに整理をいたしまして、第二條を起した次第であるのであります。  第三條は從來法律第六十三号におきましては定めてない事項でありますが、第三條を新たに設けまして、行政区画変更せられた場合におきましては、これは新たなる行政区画裁判所管轄区域も亦これに伴つて変更されるという原則を定めまして、例外といたしまして新らしく行政区画が設定せられたる場合、或いは管轄区域が一郡というようなものが、他の郡に併合せられたというような場合におきましては、例外といたしましてこれを從來管轄区域に定め置くと、こういうことを定めましたのであります。而してその末項におきましては、一市町村内の町若しくは字というものは、只今申上げました事柄の例外原則によつて、これを同一に取扱うと規定した次第であるのであります。  第四條はこれは只今占領軍によりまして、占領軍行政が行われたところ島清或いは小さな島、そういうものが講和條約の締結の結果といたしまして、再び日本にその一部が日本行政区画の一部に返還せられる場合を予期いたしまして、若しそういうような場合におきましては改めて法律改正をするという煩を避けまして、この第四條によりましてさようの場合におきましては高等裁判所最高裁判所においてその管轄区域を取敢えず定める。而してその後において法律改正を行うとこういうことを定めたのでありまして、勿論この法律が施行せられるところの即ち本月十九日以前におきまして、管轄区域行政区画変更によりまして、管轄区域異動があるかも分りませんから、さような場合もこの四條に含む次第であるのであります。附則は御覧の通りの次第でありまして多く説明を要しないと存じます。  かような次第でありまして、委員会におきましては、各委員の熱心なるところの御質疑の結果、及び政府委員の御答弁説明によりまして、只今私が申上げましたところ事項につきまして詳細なるところの結果を得た次第であります。尚、一委員からいたしまして御質疑のありましたことは、旧法時代におけるところの、いわゆる裁判所構成法時代におけるところ裁判所の数と、及び簡易裁判所の即ち本法によるところ裁判所の数とは、何程の相違があるかということの御質疑がありました。旧法時代におきましては区裁判所は二百八十三ヶ所であつたのでありますが、この法律によりまして五百五十七ヶ所と増設せられた次第であります。又一委員から、この法律施行におきまして、さき政令とどれだけの相違があるか、こういう御質疑がありましたが、政府委員答弁によりますと、新らしく設置せられたところ簡易裁判所甲府地方裁判所管内におけるところ大月簡易裁判所及び大阪地方裁判所管内におけるところの吹田、茨木簡易裁判所、この二ヶ所であるのであります。移動せられたものといたしましては青森地方裁判所管内におるところ田名部簡易裁判所大湊に移動せられまして、大湊簡易裁判所なつた次第であります。  尚管轄区域変更に当りましては、この別表の第三表、第四表によりまして六ヶ所の変更があつた次第であります。これが從來政令本法改正案との相違点であるという御説明がありました。又この別表によりますと、各地区において管轄区域が不適当なるものがあるのではないか、例えば廣島及び埼玉縣のごとき場合におきましては如何、こういうような御質疑がありましたが、これに対しましては、政府といたしましては各地方におけるところ裁判所、檢事局、或いは弁護士会地方行政官廳に対しましてこの調査方を指示いたしまして、その答申の結果これが定まつた次第でありますから、今日の場合といたしましては適当であると信じますが、尚不適当な場所がありといたしますれば、將來において十分これは注意いたして、法律改正の挙に出たいということを言明せられた次第であります。(拍手委員会といたしまして具さにこの別表調査いたしますれば、多々そういうところが見出されるものでありますが、これは他日機会を得まして根本的に國民の輿論に副うように、國民人権擁護の完成を期する上におきましても改めて戴きたいと思うのであります。今日の場合といたしましては、政府の御答弁を信頼いたしまして本案に対しまして、委員会としては是認いたした次第であるのであります。かような結果からいたしまして、討論委員会としては入りましたが、委員会の一委員から、動議提出されまして、討論終結決定を見たのでありまして、討論を省略いたしまして、直ちに採決に入つた次第であります。採決は本法案重要性に鑑がみまして、記名投票を以てこれを行いましたところ委員全員賛成がありまして、即ち原案を可とするという御意見全員一致を以て決定した次第でありますが、さような次第でありまして、委員会におきましては原案を可決すべきものと決定した次第であります。以上御報告申上げます。(拍手
  19. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 別に御発言もなければ、これより本案採決をいたします。委員長報告可決報告でございます。本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を請います。    〔総員起立
  20. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつて本案全会一致を以て可決せられました。(拍手)      ——————————    〔議長退席、副議長着席
  21. 松本治一郎

    ○副議長松本治一郎君) 日程第一、自由討議、本日の自由討議は本院規則第百四十六條によるものとし、討論の問題は「供出完了後の主食自由処分を認める可否について」といたします。会議時間は一時間三十分、各発言者発言時間は十分でございます。発言者は制限の時間を遵守せられんこと望みます。これより発言を許します。中野重治君。
  22. 中野重治

    中野重治君 板野勝次君を指名します。    〔板野勝次登壇拍手
  23. 板野勝次

    板野勝次君 「供出完了後の主食自由処分認むることの可否」が第二回目の自由討議の主題に選ばれたということには、二つの背景があると思うのでございます。第九十議会におきまして、社会党を代表いたしまして平野君が声を励ましまして、「食糧危機突破対策要綱並びに食糧非常時宣言」を一箇の抽象的作文として嘲笑いたしまして、新麦、じやが芋等の供出に対します報奬物資を八月であるとか七月であるとかというふうに廻りくどいことを言わないで、今日これを農村に持つて行きまして、米作地帯に残存しておりますところの米と誰が何と言いましても取敢えず交換いたしまして、食糧を持つて來て、米櫃に二週間、三週間、多きは四十日も一粒の米もないころの消費者に向つて配給する手段こそ、今日の急務でありませんかと詰め寄つたのでありますが、その人にして農相となつてみますと、遅配欠配も亦止むを得ないとして、現米穀年度中に全國平均二十八日、約一ヶ月の遅配を認めざるを得なかつたところに、今や食糧危機が重大なる段階に達して來たという事情がその一つと、この事情の半面に、九十議会の平野君にして小包米政策を採用したところに、現在尚余剰米があるということが確認されたことがその一つであると思うのであります。即ち遅配欠配という深刻なる悲劇、この悲劇と同時に余剰があるという矛盾した珍現象が一方にあるということは、政府の政策が今日まで労働者、耕作農民、一般勤労大衆の生活を眞劍に考えてはいなかつたという証拠であると存ずるのでございます。(拍手)而も先般西尾國務相はその口から、今日の民族の危機を突破するためには勤労大衆にこの上の犠牲さえも強要しなければならんことを要求しておる事実に照らしましても、勤労大衆の生活の安定の問題に対する眞劍な考えがないということを示しておるものと存ずるのでございます。そこで政府の政策が貧困であり、からつぽの胃袋へ以て参りまして、米を送り込んで参ることを怠つておるということの事実は、この一方には國民は胃袋の中に米はだんだんとなくなつて來ておる。それに政府が米を送り込んで参りますところの熱意、努力がないということは、既に万人が認めておるところでありまして、この認めておる事実の中にこそ本議場に本問題が提出されるに至つたのであろうと存ずるのでございます。(拍手)その事実こそは全議員のひとしく認めておらるるところと存ずるのであります。(「ノーノー」と呼ぶ者あり)そこで今日供出完了後の余剰食糧を採り上げて討論の題目とすることは、明かに今日までの供出の割当が依然として天振りであり、割当の不公正であることを確認するものであります。我が党は供出完了後において一部上層農家の間に余剰米があるという不合理な現象につきまして、先づその責任を政府に追及せざるを得ないのでございます。生産費の半分にも足りないお米の値段で、一方肥料や農機具等の農村必需物資が配給されないで、闇で買入れなければならないという現状では、農家経済は到底成り立たないのでありますから、そのために闇をやらざるを得なかつたのでありますし、そのためにこそ供出もうまく行かなかつたのであります。又割当が上に軽く下に重いところの不公平でありまたたために、一部の富める上層の農家は、供出完了後におきましても余剰米が残る結果となつておるのが現状でございます。それ故に無條件に自由に処分するという問題は勿論のこと、小包米制度も一部の富める農家と金持のためになるのみでありまして、本当にからつぽで飢餓寸前の胃袋に米粒を供給することにならないところのかような意見には、断乎反対せざるを得ないのであります。少し討議題目の余談になりますが、小包米制度のごときは政府みずから食糧管理法を破るものでありまして、食糧管理法並びに食糧緊急措置令違反の犠牲者を即時無罪釈放してから、政府は食糧危機突破策を農民に訴うべきであつたと思うのであります。食糧危機突破は、生産費を償う適正な價格で買上げまして、民主的供出制度を確立いたしますならば、供出は完全に出來ないのでありますし、余剰米はもとより、農家が欣然として保有米を割きまして都市に送るような、真に農民を信頼し農民に信頼されるところの政治を行なうのが第一であると存ずるのでございます。今日自由処分可否を論じますことは、あたかも耳を掩うて鈴を盗むの類でありまして、速やかに抜本塞源的な食糧緊急対策の確立こそ目下の急務であると存ずるのでございます。(拍手)  我が党は既に確信ある食糧緊急非常対策を持つておるのでありますが、議題外に亘りますので、これに論及することのできないことを遺憾に存じます。併しとにかく本年度は、政府のやり方がどうあれ、余剰米が現実に残つておるというのでありますから、特に二十一年度産米並びに当面の危機突破の立場から、應急の措置といたしまして、農民の納得するところの庭先自由販賣價格を認めたいと思うのでございます。併しながら價格のみは自由取引といたしましても、その買入れは、自由にやろうというような、一部の富める人のみに満足できるような方法ではなくして、政府又は政府の指定した者がこれを買上げまして、尚その買上げの價格は、地域その他の事情によつて値段も違つて参りますから、その高低の差があつても構わないと思うのでございます。そうして買入れましたところの食糧はマル公値段といたしまして、これをどういうところに配給するかといいますれば、その配給区域は官僚式な從來のような方式、お役所式ではなくして、民主的にこれを調査決定いたしまして、而も配給区域はできるだけ運送の労力がかからないように特に配慮する必要があると思うのでございます。かくしてこそ直面する遅配欠配で胃袋がからつぽになつておる人々に食糧を、当面、只今即刻、九十議会で平野君が言つたごときそれとは幾らか違いますが、そのごとき処置を即刻只今採ることができる。からつぽの胃袋を充すことができると信ずるのでございます。政府は即刻かような非常措置を講ずべきであると信ずるのでございます。(「降壇」と呼ぶ者あり)以上申述べまして、我が党は條件附自由処分には反対であるが、農民のよく納得する價格による、正式ルートに乗せた配給の方法を主張するものでございます。(拍手
  24. 松本治一郎

    ○副議長松本治一郎君) 小林英三君。
  25. 小林英三

    ○小林英三君 西山龜七君を指名いたします。    〔西山龜七君登壇
  26. 西山龜七

    ○西山龜七君 私は供出完遂後の食糧はこれを自由に処分さすべきであつて、この制度こそ食糧問題解決の鍵であるという意見であります。何が故に自由に販賣すべきであるか、又何が故にこの制度が必要であるかという理由並びに結果等につきまして、その要点のみを述べてみたいと思います。  第一に、この制度を設くることによりまして、農村の経済を確立させ、農民の増産意欲を昂揚さすことになります。第二は、人間の本性である自由を認めることとなるので、生きた食糧政策が行われ、更に農村の好まざる統制の強化は、農民の増産意欲を阻害するので、この制度によりましてその弊害を除去することとなるのであります。第三は、供出割当制度の不合理による食糧の偏在は食糧問題解決の癌でありますが、この制度によりまして、初めてその不合理を是正し、円滑に、偏在せる食糧の流通が可能となるのであります。第四は、複雑せる経済の情勢下にありまして、供出完了後の食糧まで政府が一定の價格を以て買上げることは、生きた経済に、死んだ経済價格を以て農村に強いる結果となりますので、この制度によりまして、幾分でも農村経済を緩和することになるのであります。(拍手)第五は、供出の割当の合理化をいかに叫んでも、農家には精農があり、惰農あり、耕作に上手下手があります。尚耕作地にもそれぞれ違つた特異性があります。更に天候相手の農作物においてをや。これら複雑せる諸條件を伴う割当供出を適正化することは、神でない限り、人間ではできない。(拍手)この制度によつて大いにその不合理を緩和ができるのであります。第六は、統制と闇と物交の因果関係は、なかなか絶滅することは困難であります。いかに政府が闇の撲滅に懸命の努力を沸いましても、不可能であることを可能ならしむることはできないのであります。この制度によりまして闇は減少するのであります。第七は、現在の基準配給量では決して國民の食生活は安定いたしません。この制度によりまして初めて最小限度の食生活が可能になるのであります。第八は、供出完了せる残りものを供出して貰うがために、少い物資を農家にのみ多く報奬として與えますことは、一般國民に対して公平なる政策とは言えないのであります。第九は、この制度の実施によりまして、農家は供出残量を天下晴れて処分ができることになりまして、消費者階級は闇買いの苦難より救われまして、一定の量を配給を受けることができるのであります。最後に農家は自家消費を規正することになるのであります。この制度によりまして、農家自身は昔のごとく耐乏生活に甘んじまして、残りの食糧を成るべく多く放出することになりまして、(「その通りだ」と呼ぶ者あり)需給が円滑になるのであります。以上のごとき数々の効果がありまして、供出完了後における食糧の自由処分は食糧問題解決の基礎であると強調する次第であります。尤もこの自由販賣になる食糧は、食糧営團又はその他の機関を通じまして、公正適性に配給いたします制度を設け、一部の者が多く買占めのできないように、尚病人、産婦等に特別に配給する等、その制度を改善することは当然であります。  尚私はこの際一言付け加えて申上げたいと思います。現在の供出制度は、耕作物を対象といたしまして、農家に一定の保有量を持たして残量を供出さす制度で、一定の食糧確保が目的であつて、増産を目的としておらない政策であると思います。故に私はこれを改正いたしまして、供出制度はあらゆる耕地に責任を持たして、租税のごとくいたしまして供出を軽くし、これによつて一定の数量を政府が確保して、耕地に自由耕作を認め、供出残量は自由処分といたしますならば、増産は必至であります。これが食糧問題を解決する鍵であると私は確信する者であります。以上を以ちまして私の意見といたします。(拍手
  27. 松本治一郎

    ○副議長松本治一郎君) 岩崎正三郎君。
  28. 岩崎正三郎

    ○岩崎正三郎君 岡田宗司君を指名いたします。    〔岡田宗司君登壇拍手
  29. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 私は供出後における米麦を自由処分することを不可とする者でございます。只今西山君が十に亘るいろいろな理由をお挙げになりまして、供出後の主食自由処分をお許しになることを求めておらるるのでありますけれども、かくのごとき論拠になります最大のものは、現在の供出制度が不満である、これに欠陥のあるということにあるように拜聴いたしたのでございます。成るほど今日の供出制度はうまく行つておらん、種々欠陥がある。この点はいろいろ指摘されておることでございますけれども、そうかといいまして、今日若しこの供出後におけるところ自由処分が許されるということのなりましたならば、主食に関するところの配給制度というものは、根本的に覆えらざるを得ないと思うのであります。從いまして私は今西山君のいわれましたような理由からいたしまして、この自由処分が行われることは、角を矯めて牛を殺すことになるかと思うのでございます。で、自由処分が行われるということは、結局自由賣買が認められるということにならなければならないのでございまして、その結果米が出廻りまして実際に食糧危機が緩和されるということは、私共には考えられないのであります。若しそうなつて参りまして米が出廻るといたしまして、消費者が公然と米を買つてたらふく食える、こういうことが起るといたしますならば、これは極く少数の金のある人でございまして、決して全体の國民がこれによつて腹をふくらすことができないのであります。(拍手)この点につきまして西山君はなんらお触れになつておらないのでございます。又自由処分、自由販賣ということになりますというと、これは当然買占めをやる人間が現われて参るのでございます。賣る方が自由に賣れるということでございますならば、他面買う方も自由ということになつて参ります。從つて消費者が農民から買う外に、商人が公然と米を買うことになるわけでございまして、そうなつて参りますと一般消費者よりも金も持つておりますし、又商賣の上手な商人の方が遥かに上手に大胆に米を買い集めることができるのであります。既に今日米の闇ブローカーが職業的に買出部隊を編成いたしまして、農村に繰り出して米の買い集めをやつておる。それを大都市に持つて参りまして料理屋や消費者に賣り付けて巨利を博していたことは皆さんも御存じのことであります。自由販賣が公然と許されることになりますと、このブローカーによる米の買占め、更に賣惜みが行われまして、闇値はぐんぐんと釣り上げられることになる。こうなつて参りますと一方自由ということになりまして、せり賣も行われるようになりましようし、(「違うよ」と呼ぶ者あり)正米取引から清算取引まで行われ、米が又投機の対象となるのであろうことは火を睹るよりも明らかなことであります。國民が食糧危機に機当面して、食うや食わずの境におる時に、米を投機の対象として、これによつて巨利を博する者が出て來ることを許すことは、社会正義の上から申しまして断じて許すことはできないのであります。(拍手)(「反対」「頭悪いぞ」と呼ぶ者あり)又かような投機によりまして一升二百円にも三百円にもなつた米を國民の中の誰が買うことができるのでありましよう。(拍手)これは安賃金や安月給取で買える者はありません。収入のない失業者や半失業者ではありません。恐らくインフレによつて利得をしておるいわゆる新興階級なのであります。(拍手國民の多数が遅配、欠配に悩んでおります時に、少数が金にあかせて米を貪り食うということは、これも許されることではないのであります。今我々の直面する経済危機、これを切り抜けるためには皆が挙つて耐乏生活をしなければならないのでありまして、これが公然と崩れることになりますならば、重大な社会不安の勃発の動因となるのであります。大正七年に米騒動の起つた時には今ほどひどい食糧危機には当面していたのではありません。而も米が自由に賣買され、買占めが行なわれましたところからああいう事態が起つたことを我々は想起しなければならんのであります。供出後に自由販賣にするといたしますならば、米が出廻つて來るから、米の値は自然に落著くというのが自由販賣論者の論拠の一つであります。併しこれは値が高くなつたら、後からどんどん品物が生産され、供給される場合のことでありまして、供給数量の底が知れておる。而も需要の大きい場合は、そういうことにはならないのであります。却つて値段はだんだん高くなるばかりであると考えられるのであります。供出後の自由販賣を許すことによりまして、それなら農民は利益を得られるのでありましようか、西山氏は全体の農民が利益を得られるようにおつしやつておりますけれども、自家の飯米と供出の分量とを差引きまして、尚沢山販賣できるだけの米を持つた者は一部富農でございます。多くの農民諸君は自家保有米と供出で一ぱいであります。尚今日におきましては、農村におきまして還元米の配給を受けなければならん農家が幾多あるのでございます。こういう人達は却つて米が自由に処分されるようになりますというと、端境期に近くなりましてだんだん高い米を農村において買わなければならんという不合理な現象が生じて参るのであります。(拍手)これも結局一部の富農に利益をもたらすだけで、全般の農民にとつてなんら利益にはならないのであります。(拍手)  今主食の統制が、供出後自由販賣を許すことによつて乱されるということになりましたならば、他の物品に及ぼす影響も又深甚なるものがあるのであります。今日東京におきましてマル公を破ることを黙認することによりまして野菜は出廻つて來ておりますが、同時にせり賣が公然と行われて、野菜價格は暴騰をしておるのであります。而もそのあおりを喰いまして、折角起動に乗つて参りました魚の統制販賣も、これ又崩れようといておる現状である。若し米の自由販賣が行われるといたしますならば、その影響はそれ以上に大きなものがあろうと私共には考えられる。(「心配するな」と呼ぶ者あり)供出を促進するどころでありません。むしろこれによりまして供出制度は崩れまして供出を拒否する、或いは供出をさぼる者がますます出て來るように助長されるということは、火を睹るより明らかなのであります。(拍手)(「そうだ」、「生産意欲はどうした」と呼ぶ者あり)米の自由販賣は自由党諸君によつて主張されておるところであります。併しながら自由党が中心になつてつておられました吉田内閣においてこれが行なわれなかつたのはなにか。今日の情勢におきまして連合國から多くの食糧を受けておる今日におきまして、かくのごときことが現実の政治として行われないということを意味しておるものと私は信ずるのであります。(拍手)今日自由販賣を論ずる諸君は実に現実の政治を知らざる者といわざるを得ないのであります。(拍手)私はその意味におきまして自由党の諸君によつて唱えられておるところ自由処分に対しまして反対いたす者であります。(拍手
  30. 松本治一郎

    ○副議長松本治一郎君) 東浦庄治君。
  31. 東浦庄治

    ○東浦庄治君 松井道夫君を指名いたします。
  32. 松本治一郎

    ○副議長松本治一郎君) 松井道夫君の発言許可いたします。    〔松井道夫君登壇拍手
  33. 松井道夫

    ○松井道夫君 只今岡田君から詳細に亘りまして今日の問題の反対論がございました。由來この問題を論じますには三十分や一時間じや不可能であります。時間の制限があるのでございますからして、要点と思われる点を二三指摘して見たいと思うのでございます。  申すまでもなく私は供出後の自由販賣に賛成する者であります。(拍手)私は自由党ではございませんから、決して党派的の多少の感情といつたようなものを差挟むことなく、素直にお聽取り願いたいと思うのであります。  私は供出後の自由販賣、これは單に主食のみなに限らず、生鮮の食料、或いはその他の諸物資にも適用できる。物資によりましては例外もございますが、原則として取上げてもいい制度である存じておるのであります。  元來統制は自然の経済原則に反しまして或る目的の到達を企図いたすのでありますが、これは食糧品についていいますと、結局先ほど自由党の方がいわれたように、生産意欲を阻害いたす結果と相成る。從つて生産量を減らす結果と相成るのであります。この統制に一面自由の面を附與することによりまして生産意欲を阻害せず、從つて生産を増大いたいつつ統制の目的を達することができるのであります。(拍手)この社会状態におきまして自由のみで行くということはできないことは明白であります。併し自由がいけないからといつて、ぴんからきりまで統制を貫こうといたすところに行過ぎがあるのであります。統制に自由の面を附與するということを考えて戴かなければならないのであります。(「社会党よく聞け」と呼ぶ者あり)敗戦後における主食の状況を観察いたしまするに、生産の絶対量は遥かに消費に足らず、國民を賄うに足らず、連合國から相当莫大な数量の主食を輸入さして戴いておるのであります。我々はこの際におきましてなにに重点を置いて考えなければならないか、勿論絶対量が不足なんでございますから、乏しい物に統制を加えまして、その價格、配給の面の上におきまして統制を加えますことは、これは必須でございますが、併しながら重点は生産それ自体を増大いたすというところになければならないのであります。(拍手)(「そうだそうだ」と呼ぶ者あり)その観点に立ちますれば先ほどいいました生産意欲を振起し、生産絶対量を増大いたしますところの施策が講ぜられなければうそであります。決して統制を廃止しろとは私はいつておるのでないことは皆さんの勿論御承知通り、統制を統制として貫く。要するに割当をやりまして、その割当は生産の諸條件を考えまして無理ない割当をいたすのであります。農民はいかに耐乏生活を絶叫いたされましても、その生産物によりまして、汗と泥にまみれまして勤労の結果得ましたところの、その生産物によりまして農業の再生産に備えなければなりません。又人間の人間性から出ております生活欲求、生命の欲求も或る程度満たさなければならないのであります。割当を無理のない程度にいたしまして、勤労の結果によりまして農民が得ました余剰物は、その農民の自由処分に委せることこそ、正しい人間性に立脚いたしましたる現実の政治であるのであります。(拍手)(「そうだそうだ」と呼ぶ者あり)この結果によりまして初めて生産意欲を振起し、生産を増大する。割当の完遂を促進しまして、出廻りを多くすることができるのであります。諸君、流通面に出廻らない生産物は、こけは画いた餅と同じであります。産地で腐りますお芋は、消費者に取りましては無と同じでございます。このことを十分にお考え戴きたい。勿論只今社会党の岡田君から述べられました種々の弊害は、これは考えて見なければなりません。自由党の諸君におかれても、決してそれを野放図に自由にすると言うておらなつた。(「そうだよ」と呼ぶ者あり)食糧営團々ということを言われたのをお聞き落としあつたのじやないかと存ずるのであります。私は岡田君の所論は、要するに供出後の自由販賣に反対します岡田君の所論は、現実の状態に余りに目を取られており過ぎるのであります。私は終戦後直ちにこの制度を実施いたしましたならば、今日この状態に立ち至らなかつたであろうということを確信するのであります。この間、生鮮食料品につきまして、我が平野力三大臣は、(笑声)供出後の自由販賣を研究されておるというように御答弁に相成つたのであります。私は実に年來の主張が採り上げられておる。練達であられるところの平野さんに採り上げられておるということを知りまして欣快に堪えなかつたのであります。これはできるだけ早くその方針を開明いたしまして、できるだけ早く今の割当をやりまして、そうして農民に一生懸命になつてつて貰い、生産を増大するより外に手がないのであります。岡田さんは只今現下の状態に目を蔽われておられる。この食糧政策の失敗後、直ちにこの制度を実施いたしまするならば、これは振子が左へ行つたものを又右の方へぐつと持つて行くようなもので、そこにどうしても無理がある。失敗後の今日只今やりますならば、どうしても或る程度の規正を加えなければならんことは、これは当然であります。私は元來、これを実施しなければならないのである。できるだけ早く実施しなければならんものであるということを皆様に訴えたいのでありまして、平野さんに御考慮願いたいと存ずるのであります。只今直ちにこれを実施するとしますならば、先程自由党の諸君が言われましたように食料営團の介入を認めることも考えられます。又公共市場を作りまして、そこで賣買させるということも考えられます。或いは指定の業者をして集荷販賣に当らせる。特定の店舗において販賣に当らせる。或いは生活協同組合を活用いたしまして、これに集荷配給せしめるといつたような種々の方策が考えられるのでありまして、この際直ちに野放図に自由にしてそれでよろしいと私は主張しているのではありません。原則として、理論として、それが正しいのであるということを主張するのであります。成るほど英國あたりでは非常に配給制度がうまく行つておるということでございますが、これは経済の客観的状態と、又國民の知識水準、思想傾向というものがそれに伴つているのでありますから初めてできるのであります。今日漸く石炭の公営とかなんとか喧々囂々と言われておるような状態におきましても、日本におきましてはやはり供出後の自由販賣が本当であると申上げます。ソビエットでもこれと似かよつた制度が採られてあるということを聞いております。それによつて増産の結果を挙げておるということを聞いておるのであります。時間が参りましたからこれで失礼いたします。(拍手
  34. 松本治一郎

    ○副議長松本治一郎君) 千田正君。
  35. 千田正

    ○千田正君 國井淳一君を指名いたします。
  36. 松本治一郎

    ○副議長松本治一郎君) 國井淳一君の発言を許します。   (國井淳一君登壇拍手
  37. 國井淳一

    ○國井淳一君 本日の討議におきまして、主要食糧の供出以外の自由販賣を認めるかどうかという問題が提起されましたわけでありますが、多分これは今回政府のとつた縁故米、小包米に対する批判も含んでおると私は考えております。(「ヒヤヒヤ」と呼ぶ者あり)又その根本には、農家に現在賣るための余分の米麦がまだ残つているという馬鹿々々しい前提に立つておるわけでございます。(拍手)左様な議論が成り立つわけであります。併し私の承知する限りにおきましては、農家には主食は全然ないといつて差支えないと存じます。今回の一一〇%供出によりまして、自家用米まで出してしまつた農家が大部分というのが現状でございます。然るに現在尚幾分の主食に自由販賣が行われておりまして、ここに自由販賣が問題となつたわけでありますが、この主食の取引は農民にとつては、後で申しますが、肉を削り骨を殺ぐ思いをいたしまして、自家食糧を割いて出している現状なのであります。しかし私は闇取引であるところの正規のルートに乗らないこの自由販賣につきましては、それがたとえ小包米にいたしましても、他の一見合法的に見える方法によりましても、全然反対しなければなりません。その理由は至極簡單でございます。これは社会党の岡田君が申されました通りでございます。金持と閑人と農家の縁故者だけが十分に食えまして、他の多くの人々は餓死線上を彷徨しているという結果になる次第でございます。而も農民に取りまして、次の供出には重大な悪影響を及ぼす結果を見ることは明らかでございます。勿論申上げるまでもなく國家的要請といたしましては、この七、八、九月の重大な危機をどうしても突破するためには、あらゆる緊急の手段を取らなければならない事態に直面している次第でございます。この農民の飯米を削つてでも、この際救國のために一握りの食糧でも供出して貰わなければならないと存ずるのであります。併しこの苦しい供出を続けるのでありますから、自由販賣はできないという私の考えでありますから、農民自身の言い分もこの際よく聞いてやる考えを持たなければならないと考えるのであります。実際農民は何と申しておるのでありましようか。御承知通り昨年の米價は石五百五十円でございました。農民は昨年の生産された基準については千二百円を要求いたしたのでございます。これは昨年七八月の生産費及び物價指数を基準といたしましたのでありますが、その後の農家の必需資材の値上りから推して考えますと、今年二月頃は二千五十五円十銭を要求しておつた次第でございます。特に北海道におきましては先般農民大会を開きまして、二千八百七十円九十六銭を要求しておるのでございます。この要求は、公定價格から見ますならば、一見非常に高い要求をしておると皆さんお考えになるかも知れません。併しこれは再生産を可能ならしめるための絶対的な要求でありまして、この大きな差額は、生産費を割き、生活を創り、農機具は破損するに委せて黙從して來た金額なんでございます。かような價格を以てしましては、生産意欲を高めることはどうしてもできる筈がございません。それからもつと重大なことは供出の問題でありますが、供出について考えて見ましても、現在までの政府のやり方は、一方的な数字を掲げて、而もサーベルを閃めかしたり、竹槍を提げたり、村中を暴れ廻つております。それも農民に再生産に必要なだけの金額を支拂うならばいざ知らないことでありますが、前申上げましたような金額を以て供出を迫りましたのでは、農民はただ貢物を搾り取られるだけだという考えを持つようになつて、幾らでも隠そう隠そうという考えを持つのは、これは当然でございます。全くこういうことによりまして供出意欲を失つております。供出の対象となる以外の作物に急いで轉換しようとする結果を生じております。御承知のように、水田の作付反別が年々減少しつつあるというような、誠に悲しむべき現象を來たしておる次第でございます。これによつて全く困りますのは消費者の皆さんだけでございます。これは農民の意向を無視ております独善的官僚が全責務を負わなければならないのであろうと私は考えております。  それから生産資材のことでありまするが、生産資材について申上げますならば、農民は生産物を一〇〇%近く、一一〇%近く供出したしておるのです。然るにこの生産に最も必要な資材は各農機具を通して見ましても二〇%に至らない状態で、二〇%に至らない状態で一一〇%を出しておるんです。ちよつと例を挙げますと、籾摺機は九%、鋤は二十六%、万石は八%という量でございます。それから農薬は硫安ニコチン百五十トンに対して三トン、肥料は二十二年の一—七肥は実に四万五千トンの不足を來たしております。この不足分は、例えば鋤のごとき、二百四十五円の公定に対しまして七百円、八百円という高價を以て買つておるのであります。(「本論をやれ」と呼ぶ者あり)さて、かようなわけでありますが、國家の危急を救うためには、農家の自家食糧の一升でも二升でも割いてこの七八月の危機を乗切らなければならないのでございます。このためには供出制度をできるだけ自主的なものに改めるとか、米價を他の物價の均衡の取れるような價格に上げるとか、是正しなければならないと思う。この決意を政府は素直に披瀝して戴きたいと思う。更に農民の渇望しておる生産資材も一日も早く取總めまして、生産者の團体の努力によりまして、農村に一日も早く流すようにして貰う。さような方法を採れば農民の諸團体もこれに呼應しまして…(「本旨を話せ」「議長注意しろ」「やれやれ」と呼び、その他発言する者多し)二升でも三升でも救急のために供出をさせる運動を展開さしたいと思う。かように、右のような方法を以ていたしましたならば、自由販賣のような、闇取引的なものを絶滅いたしまして、正規の方法を以て供出して余りあるという方法を採れると思う。私はかような意味におきまして、この條件附によりまして、自由販賣は絶対に反対でございます。(拍手
  38. 松本治一郎

    ○副議長松本治一郎君) 東浦庄治君。
  39. 東浦庄治

    ○東浦庄治君 三好始君を指名いたします。
  40. 松本治一郎

    ○副議長松本治一郎君) 三好始君の発言を許します。    〔三好始君登壇拍手
  41. 三好始

    ○三好始君 供出完了主食の自由販賣を是認することは、食糧事情特に供出制度の現状から考えて、私はこれを否定いたしたいのであります。これは從來の政策を支持する立場からの議論でないことは、私の論旨が展開されるにつれておのずから明らかになると存じます。私が自由販賣を否定する第一の理由は、これは生産者間の公平に反するということであります。供出制度が科学的に検討され、公平な割当制度が確立されておれば問題はおのずから別でありますが、これができていない現状においては、農家の余剰米は農民の勤惰を示す尺度ではあり得ないのであります。現行供出制度の下においては、耕作面積が廣く、立地条件に恵まれて、多毛作が可能であり、地方の高い土地を耕作しておる農民は、期せずして供出完了後に余剰を生じ、経営規模の小さい農民は特に單作地帯におきましては、供出後の余剰は容易に期待できない状態にあるのであります。凡その各農家の供出量を決定すべき要因として五つのものが考えられます。その一つは耕作面積であります。第二は地方であります。第三は以上の両者に立地條件を加えて決定される一年間の生産総量であります。第四に個々の作物の収穫量であります。第五に家族構成、從つて必需保有量がこれであります。ところ從來の少くとも末端の供出割当におきましては、その五つの要因の中に、第一の耕作面積が殆んど支配的な割当基準になつていた。いわゆる反別割に近いものであつたことは周知の事実であります。凡そ科学的な供出割当とは縁の遠い不合理な方法であつたと言わねばならないのであります。かかる不合理な供出制度は、当然に各農家の余剰食糧に不公平なでこぼこを招來せざるを得なかつたのであります。勤惰とは殆ど関係なく、供出を完納するために他から買つてこれを補なわねばならない農家があつたり、地方において供出後尚何俵も横流しできる農家があるのは、現行供出制度の下においては何も不思議な現象ではないのであります。かくのごとき供出制度の根本問題を解決せずして供出完了後の自由販賣を認めることは、生産者間の公平に反することと著しいものがあると信ずるのであります。(拍手)  供出完了後の自由販賣を否定する第二の根拠は、供出そのものに悪影響を及ぼす虞れが多分にあるということであります。從來においても供出を軽減するために作付面積或いは収穫量の過小報告が行なわれる傾向にあつたことは、一般の常識でありますが、自由販賣の公認はかかる傾向を激化せざるを得ないと考えられるのであります。(拍手)  第三の理由は消費者間の分配の公平に反することであります。自由販賣の主食が公然と而も活發に取引される結果、價格の騰貴と食糧の偏在は避けられない現実となつて現われて参ります。これは有産者のみ公然と飽食する結果となり、乏しき分つゆえんでないことは極めて明瞭であります。(拍手)殊に配給量が生活必需量を相去ることの遠い状態の下では絶対に不可であります。ところ從來不合理な供出制度、從つて農家余剰食糧の不公平なでこぼこをその儘にして置いて、主食の取引を禁止していましたから、供出價格の不合理と相俟つて闇食糧として横流しせざるを得ない状態にあるのであります。かくして國民の大多数は、闇食糧に依存して配給の不足を補つているのであります。かかる状態を素直に認め、併せて農家の増産意欲を昂めるために、供出完了後の自由販賣を認むべしとの議論が行われるわけでありますが、縁故米制度はその部分的な実施と見られるのであります。  併しながら國民の大多数が、闇食糧に依存しておるという不明朗な事實を解決し、生産者の増産意欲を昂めるための途、簡單に供出完了後の主食の自由販賣を認めることではありません。かくのごとき簡單な論理は、政策の貧困を示す以外の何ものでもないのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)問題の根本的且つ最終的な解決は、かかる安易な方法の中にあるのではなくして、供出制度の根本的改正を一日も早く断行することにあります。(拍手供出完了後の主食の自由販賣を是認すべきか、或いはこれを特別價格で政府が買上げて一般配給に操入れるべきかなどは、その次の問題であり、合理的な供出制度の確立を持つて初めて論じ得る問題なのであります。(拍手ところが供出制度を創始以來数年を經過し、食糧問題が再建途上の最大問題となつておる今日、供出制度の合理化は未だ確立されておらず、將來に残された問題であります。正に過去における政治の貧困を示して余りあるものと言わねばなりません。私は片山内閣がこの点に関し過去の轍を踏まないことを希望すると共に、本院において供出制度の根本問題について活發な討議の行われる機会が速やかに実現することを期待いたしたいのであります。(拍手供出完了後の自由販賣を先に採り上げることは実は本末転顛倒であり、(拍手)かかる問題を採り上げた方々は、恐らく農業政策については素人の方が多かつたのではないかと思うのであります。(拍手)(「農林大臣になつてくれ」と呼ぶ者あり)供出制度を根本的に解決することは食糧緊急対策中の最大の問題であります。而も供出制度は單に生産された食糧の公平な分配の問題に止まるものではなくして、増産に鋭敏な関係を持つていることは申上げるまでもないことであります。ところが経済緊急対策の中には新しい供出制度について具体的に述べられておらず、その抽象的な文字から受ける印象は未だ不完全だとの感が強いのであります。  以上私は今日の自由討議の問題に対する所見を申述べると共に、合理的な供出制度の速やかな確立こそ重要であることを提言いたしまして、発言を終りたいと思います。(拍手
  42. 松本治一郎

    ○副議長松本治一郎君) 木檜三四郎君。
  43. 木檜三四郎

    ○木檜三四郎君 鈴木順一君を御指名致します。
  44. 松本治一郎

    ○副議長松本治一郎君) 鈴木順一君の発言を許します。    〔鈴木順一君登壇拍手
  45. 鈴木順一

    ○鈴木順一君 私は現下の食糧事情からいたしまして、供出後の食糧の自由販賣に対して非とする者であります。本日の自由討議に課題の定められましたることは、丁度宿題を出された生徒のごときものであつて、眞の自由討議にならないと思うのであります。自由討議と申しますのは、勿論所属政党の方針、政策を逸脱せざる範囲において、何人も制肘も受けず、個人の自由意見を発表討議すべきものであると思います。本日の課題の本論に入る前に少々申述べさせて戴きます。最近の首相の施政方針演説に対する質問や、その後の答弁において、又世上食糧問題をめぐり盛んに縦論横議されておるが、二言目には全農民があたかも食糧の隠匿をなし又横流しをしておるかのごとき言葉を聞くことでありますが、これは極く一部の農民を除いた大部分の農民に取りましては、その炎熱の時に大小麦の取入れから田植えと、人手の不足の時におきまして働き疲れておる農民に取り、消費者側から見た歪められた見解は誠に迷惑千万であると思うのであります。又農民は大小農機具、労力、肥料、すべて欠乏の時に、不平もなく、輸入食糧の少しでも減ずるように努力し、消費者になるべく不自由をかけまいと努力することが、平和民主日本建設の吾人の務めと確信しておるのであります。この精神を損なわんようにしたいと存ずるのであります。  先日來この職場で平野農林大臣の答弁及び説明は、懇切を極め、好評を博しておりますが、農相の一言一句が生産者にも消費者にも極めて身近く、生活にすぐ響くのであります。一語により食糧の闇値の数十円も上がることなどないよう愼重を期せられたいと思うのであります。  さて食糧の生産にも供出に当つても、その地方々々により特別なる努力と協力の拂われております故、供出完了後の食糧の問題については、農林大臣の専売特許の縁故米制度の外に、政府の方針を妨げざる程度において、七大都市以外の遅配欠配を含む土地においても、全國一律一体でなく、府縣知事の意見を加味した方法で善処せねばならないと思うのであります。(「もつと顔を上げて」と呼ぶ者あり)群馬縣のごとく全國一の供出成績の縣及びその他優秀縣には、(「ラジオ放送のようだ」と呼ぶ者あり)特別なる措置を講じてもよいと思うのであります。それは供出に対する報奬的措置であり、一面努力に対する誇りでもあります。これは個人の場合も同様の考え方と処置が必要であります。今次知事公選により(「本論々々」と呼ぶ者あり)地方自治体の民主的強化を図るとは称しながら、種々雑多の本省の出店を地方に設け、地方民のすべての手續を繁雑にし、逆に知事の権限を抹消せんとしているごとき奇現象を來たしておるのは、民主國會の出現により官僚に対する攻勢の強くなりつつあるを、矛先をかわす意味で反轉したものと解せられるのであります。今年度の供出にも重大なる影響ある問題であります。闇、横流しは國民は嚴罰に処せられるが、遅配欠配の責を負う者がないのでは、國民こそ迷惑千万であります。絶対量の…(「本論々同」と呼ぶ者あり)足らざるときは、平常の施策でなく特別なる処置が講ぜられるべきであり、それは前言のごとく政府の方針を妨げざる範囲において、各都道府縣の供出成績や種々の事情を考察し、而も農民の生産と供出の意欲を盛んにし、誇りを高揚する方法においてなさるべきであると思います。七月十日の朝日新聞紙上に…(「頭を上げてやれ」「下ばかり向いてなんだい」と呼ぶ者あり)群馬、福島、新潟の三縣は合法的で而も農林省の方新を妨げるものでないにも拘わらず、縁故米制度や食糧管理法施行細則第二十三條の勝手な適用は遺憾であると言つており、認めぬ方針と言つておるのでありますが、かような三縣の特別なる処置こそ臨機の処置と思うのであります。(「原稿を見るな、原稿を…」「自由討議だぞ」と呼ぶ者あり)即ち供出完了後は、無秩序の自由販賣は特定の者の買占めとなり、國民一般大衆は迷惑いたしますが、大消費地に対する縁故米制度と同様に、技術的な困難は伴なうが、農民の意志も多いに取入れての上に、群馬、福島、新潟の採つた処置のごとく、贈與米制度又は救護米制度のごとく供出者の意思をよく考え、時期を失せぬよう迅速なる処置により、正式のルートに乗せ、供出値段との間に大幅の二重價格制を設け、その價格差は國家が補償すべきものであると思うのであります。供出残りが多少ありましても、外國より食糧を仰いでおります現在におきましては、生産者が闇、横流しをするというようなことは、食糧道徳上よりして不可とするものであります。(「異議なし」と呼ぶ者あり)以上で終ります。(拍手
  46. 松本治一郎

    ○副議長松本治一郎君) 平野農林大臣より発言を求められておりますので、これを許します。    〔國務大臣平野力三君登壇
  47. 平野力三

    ○國務大臣(平野力三君) 只今七名の方々より種々なる観点から非常に参考になる意見を拜聴いたしましたることは、誠に結構なことであると考えております。この際農林大臣といたしまして一言申上げた方がその立場上当然であると考えまして、発言許可を得た次第であります。もとより非常に重大な問題でありまして、且つ農林当局といたしましても、現在この問題に関しまして研究の途上にあるのでありますからして、決定的なる意見として開陳いたすことは多少困難でありますが、目下我々が考えておりますことを要約いたしまして一言所見を申上げたいと思います。供出完了後の農家に対して自由販賣を認めることの利益なる点と、弊害になる点と、その結論と、三点に分けて申上げたいと思います。  第一に利益となりまする点は、生産意欲を農民に増大させる。それから早く資格を得るためにに供出を促進する。この二つは大体利益の点と見られるのであります。  弊害となります第一点は、消費者間における公平なる配給の原則を破るという点、これはその弊害の大なるものと見なければなりません。弊害の第三としては、供出を完了いたさない者が供出を完了した者の名を借りて自由販賣をする虞れがあるのでありまして、(拍手)この点は弊害の第二と認めなければなりません。弊害の第三といたしましては、実収高及び作付反別などを農家が隠す傾向を助長することになりますので、(拍手)この点又弊害の第三と見なければなりません。  そこで結論といたしましては、現在の供出制度において、農家が生産を増大すればするほど供出割当が多くなつて來るということを農家自身が心配をいたしております点については、どうしても改めなければなりませんので、そこでこの利害得失を勘案いたしまし結果を綜合しますと、供出完了をいたしました農家が更に供出する分については、政府自身が相当高價なる値段を以て買上げるか、或いはこれに対して相当の報奬制度を設けるということを考えますることが妥当であると考えるのであります。(拍手政府といたしましてはこの秋の供出に関しましては、供出制度の根本改革をしたしますることを言明いたしておりますので、私といたしましては今月一杯に大体の成案を得まして、國會即ち衆議院、参議院の各位に対しましてその成案を御相談し、以て供出制度に対する所の根本改革を行ない、今年の私からの農家の供出米に関しましては新しい制度を確立したいと思います。從いまして今日議題となりました供出完了後の農家に関する自由販賣の点につきましては、重大なる課題といたしまして愼重に検討を加えたいと思います。以上簡單に私の所見を申上げます。
  48. 松本治一郎

    ○副議長松本治一郎君) これにて本日の自由討議を終ります。これにて本日の議事日程は終了いたしました。次会の議事日程決定次度広報を以て御通知いたします。本日はこれにて散会いたします。    午後零時八分散会