○
伊東隆治君 先ず最初に
片山首相に対しまして
質問いたしたいのでありますが、
首相が不幸にいたしまして出席できない
事情にありますことは、誠に遺憾に存ずる次第であります。併しこの点に関しましては、
西尾官房長官、
國務大臣より御
説明を願いたいと思うのであります。と申しますのは、
高度民主主義体制の意義について特に伺いたいからであります。先般
片山首相の
施政方針演説の中におきまして最も
首相が力を盡しました点は、
高度民主主義体制の
確立についてであります。而してこの
高度民主主義体制の
説明をするに当りまして、
片山首相は
かく述べておられます。
西洋文明は
キリスト教文明、
ギリシア文明、及び
近代科学の
集積である。而して自分がここに高調するところの
高度民主主義なるものは、この
集積に
基ずくものであると切言せられてあるのであります。これを言いかえますならば、
片山首相が
政治、
経済、
社会各
方面に滲透せんとするところのこのイデオロギーは、
西洋文明のみを
基礎として、ここに
宣傳、強化しようとするやに承わるのであります。これがために
自由党の一松君、又共産党の細川君が先般來この点にも
一言触れられたのには私も同感であるのであります。近衞、
東條内閣が
東洋思想のみを根柢といたしまして、新体制なるものを打ち立てましてやりました結果が今日の
過誤を來たしておる。行過ぎたる
思想、
主義、
行動というものが常に國を誤ま
つたり、又は
過誤に陥ることは我々既に経験しておるわけであるのであります。恐らくはこの
片山内閣は、そういう行過ぎたる
主義の下に
政策を立て、実行するのだとは思わないのでありますが、と申しますのは四派の
協定政策があり、又少くとも我が
民主党はこれに強力に参加し、
芦田総裁以下これに参画いたしておるのでありまして、
片山内閣そのものが今後の
政策について行過ぎたる
政策を行うものだとは、私信ずるものではありませんけれども、
施政方針等の基調を流れる
思想といたしまして、
高度民主主義体制をここに打ち立てられまする
片山首相の
政治理念、哲学、フイロソフイーに対しましては、
一言これを明確にして戴かないことには、私共
民主党におきましても、強力に心から協力することができないような氣がいたす次第であります。この点に関しまして
首相がおられないのは誠に遺憾でありますが、
西尾國務大臣より詳細明確に御
答弁を願いたいと思うのであります。又
施政方針を述べられる
前提といたしまして述べられておりまするもう
一つの点は、
暴力政治を廃止する。
暴力による
政治行動を廃止するということを強調しておる点であります。私はこの
演説を拜聽いたしまして、何が故に
片山首相は殊更に今日
暴力政治を廃止することを強調せられるのであるか。
暴力政治なるものがここに芽生えておるのか。或いは又或る程度進んでおるのであるか。この点を非常に我々は不可思議に
思つたのであります。成るほど二年前我々が
敗戰の経験をいたしましたときに、
國民は
虚脱的状態にありました。各
方面におきまして、或いは
暴力政治がここに横行するのではないかという
懸念を抱いたことは事実であります。併しその後の経過を知
つておる我々は、何もここに
暴力による
政治行動が行われんとしておるということは
感じないのであります。この
施政方針の冒頭におきまして、この点を又強調せられる
ゆえんはいかなる次第でありますか。この点についてお伺いいたしたいと思うのであります。
次に
片山首相の
施政方針に関する
演説、並びに
和田長官の
経済緊急対策に関しまする御
演説を聽きまして、私共のひとしく
感じますことは、これらの
政策の中になんらの
焦点がないということであります。
政策の羅列であり、列挙であり、なんらの
焦点がない。毒が
全身に廻
つておる。この
全身に
廻つた毒にいかなる妙薬を盛ればこの毒が消えるのであるか。いかなる所を切断すればこの命を救えるのであるかという
焦点も示していないのは、誠に遺憾に思うのであります。手も切らなければならない。足も切らなければならない。耳も切り落さなければこの人は助からないというような
説明の仕方でありまして、我々
國民は、いかにしてこの
難局を
政府は打開せんとする自信を以て進まれるのであるかにつきまして、甚だ危惧の念に襲われておるのであります。過去四日の間、私共は熱心にここに集まりまして、熱心に
國務大臣諸公の御
答弁を拜聽いたしたのでありますが、誠に一二の
大臣の
例外的説明を除きまして、大体において私共失望せ
ざるを得なか
つた。これは私一人の
感じではなくて、
議員我々
一同の
感じであ
つたように感ずるのであります。
然らばこの私の
意見を
簡單に申述べさして戴きますならば、今日の
情勢を救うのには、私はただ
國際問題との
関連において解決するのでなければ、到底その
目的は達成しないと信ずるのであります。國内には打つべき手は既に打ち盡しております。又打たんとしておるのでありまして、
國内的には全く行詰
つておるのであります。どうしてもこの
難局を打開するのには、外部から差伸べられたる手により、注射により、手術によ
つてこれを切開するのでなければ、
普通一般のいわゆる
行政作文、
作文行政を以てしては到底この
難局は打開できないと思うのであります。
外國貿易が近附いたということを
政府も申しております。又
片山首相の
演説におきましても、
講和條約の締結の一日も早くあらんことを望んで、
経済界の回復を望んでおらるるのでありますが、この
國際問題と、最も今日
我我の緊急な問題としておる所のこの
食糧輸入の問題とに関して、なんら
具体的計画を示されなか
つたということは、誠に遺憾に思うのであります。私たち先般
平野農林大臣より、審さに現在の
食糧事情の逼迫しておる
事情を拜聽いたしました。その熱心なる御
説明に対しましては、我々
一同誠に感銘いたした次第でありますが、先般の二合五勺の
配給が
三つもの大きな假定の上にできてお
つたということを、寡聞なる私は今更のご
とく承知するに至りまして、全く
唖然たら
ざるを得なか
つたのであります。
かくのごとき
三つの大きな
前提を、而も
輸入食糧によるか、
供出量が一〇四%昨年度に比してあるとか、色々そういうその実現に極めて困難を来たすべき事項を大
前提といたしまして、あの二合五勺の
配給を打ち立てられ、一時我々を糠喜びさせたということは、誠に私共
唖然たら
ざるを得ない。これは恐らく……本日
和田國務大臣が出席しておられんのは、誠に又……いや失礼いたしました。(笑声)
和田國務大臣が
農林大臣時代にこの二合五勺の
配給問題は御
決定にな
つたように記憶いたしておるのであります。その
和田農林大臣が今日あの重大なる
安本長官として、今日の
経済難局を打開せんとせらるる最も重要なる職責に就いておらるるに至りましては、私はここに何も
國務大臣に対して
異議があるのではありませんが、深甚なる反省をして戴きたいと思うのである。(
拍手)この二合五勺の
配給は
かくのごとき実に砂上の楼閣のごとき
基礎に立
つた制度でありましたが、恐らく今度の
経済緊急対策なるものも
かくのごときものではありはしないかというような、私共非常なる
懸念を抱くのであります。この点について明確に
和田長官がお示し下さるならば、私共誠に欣幸に存ずる次第でございます。ついでに
食糧問題に関しましても
平野農相は、
外國貿易との
関係においてこれこれの
輸出をやり、これこれの
計画の下にこれこれの
輸入は、
米國からの
救援食糧としてではなくて、我々の賣
つたお金で、
我我の汗水を流した
お金で買い得るのだという
計画を何故我々に立てて戴けなか
つたか。
中野農相の結論は、要するに二十八日の欠配が七月以降十月に亘
つて行われる。二十八日も飯も
食糧も攝らずに人間が生きていけるわけはない。この困難な
食糧情勢打開のためには、芋を以てこれを救援するのであるというのが要するに
農林当局の唯一の
解決案のように
伺つたのでありまして、誠に心細い次第であります。少し横道にそれましたが、要するに
施政方針なるものは
焦点がなく、実に羅列的であるということは誠に遺憾とするところでありまして、私は只今申しましたような理由によりまして、どうしても今日の
難局を打開するのには
國際問題との
関連において問題を解決するのでなければ、到底困難であるということをここに再び強調いたしたいのであります。そこで最近
石炭及び鉄を
中心とする
傾斜生産、
傾斜生産の
言葉が熟して参
つたようでありますからして、私はここに
政府に対しまして
國際問題と
関連する
政策を
重点とする
傾斜政策を行な
つて戴きたい。この
傾斜政策以外に今日の
情勢を救済する途はここにないということを切言する
ゆえんであります。
とに
かく我々の
日本人は、
日本國は海に阻まれまして、
國際的訓練において欠けるところがあるのは無理のないことではありますが、いかにも
國際問題ということはよその問題のご
とく、我々の
生活とは別に離れた
一つの問題のご
とくに思われて來ておりますことは、今後の新
日本建設に最も大きな障碍を來たすことと思うのであります。殊に
連合軍に対しまして或る種のお願い、
陳情をすることは誠に怖いもののご
とく感じている。
かくのごときことは、我々が将
來連合軍の各員と兄弟分にな
つて対等の立場に立
つてこの
國際文化の進展に協力することを阻むことになりまして、私共は戦争をしたときには敵意を以て当
つたのでありますが、ここに
降伏をいたしました以上、我々は
連合軍にいかなる処置をとられるに当りましても、決して文句を言うのではないのでありますが、我々
日本が
最小限度に生きんとする要求に対しましては、これを
連合國側にお願いするのに決して躊躇してはならないと思うのであります。曾て私共が
皇室に関することを申しますというと、
事苟くも皇室に関することだということで我々の口は封じられた。今日我々が
連合軍に対して色々な注文を申したいとなりますと、
事苟くも連合軍に関することであるし、又
無条件降伏をしたのであるから、ここに黙
つて、いかなることをされようとも黙
つているべきだということを申すのであります。黙
つて義務に服し、営々とその
義務の履行に盡すことは勿論でありますが、今後我々が
世界の一員として協力するに当りましては、
連合軍と密接なる連絡をとり、積極的にこれに協力して、
日本が今後いかにして生くべきかについて話を十分遂げるべきであると私は信ずるのであります。この
意味におきまして
政府当局におきましては、なにとぞこの
國際問題につきましてはこれを別個の問題のご
とくに取扱わずに、これを國内問題の重要なる一部分として、この点に問題の
重点を置いて
連合國の
指導協力を要請して、今日の
難局打開にお努めあらんことを切に希望する次第であります。
次に
貿易再開を前にいたしまして、二三の具体的問題につきまして
質問をいたしたいと存ずるのであります。
貿易を開始いたしまするに当りましては色々の
準備が必要だと思います。
國内的の
準備と
國際的の
準備が必要だと思うのであります。
國内的の
準備といたしましては先ず
輸出産業を整備しなければなりますまい。曾ては
繊維品が我が
國輸出の
大宗でありましたけれども、今日においては
繊維品は
輸出の
大宗とはなり得ないことは御
承知の
通りでありますし、又
雑貨が将來
輸出の
大宗をなすものとしますれば、その
雑貨のそれぞれについてその
準備段階を
政府は
研究し、又
産業の整理をすべきだと思うのでありますし、又
輸出の
品物の柄につきましても、いずれの
方面を対象としたる
商品の柄を選ぶべきかにつきましても十分の
研究を必要とすべきものだと思うのであります。この
商品の柄について
一言意見を申しますならば、八月十五日よりいよいよ
民間貿易が始まりますならば、先ず我々は
東洋諸國に物を売
つて、その
お金で値の高い
アメリカのいろいろの
食糧品を主とする
品物を買うことにならうかと思いますが、これら
東洋の諸國は
米國に対しては
輸入超過の國であります。
支拂勘定にな
つておる國であります。
従つてドル爲替の手形が少ない。
ドル爲替の少ない國に対して我々が
品物を
輸出しますれば、高い
ドル爲替を買うて
輸入に充てなければならない不便があるのでありますが、
アメリカに対して
受取勘定にな
つております。たとへば南米のごとき
方面に我々が
品物を
輸出しますならば、
ドル爲替の多分の持ち合せがあり、
ドル爲替を手に入れるのに決して支障は來たさないようなわけでありまして、
輸出をするに当りましても、いかなる
方面に
輸出をした方が今後の
輸入を容易ならしめるかについて
重点をおいて考慮すべきだと思います。曾ての我が國の
貿易は
輸出一方でありまして、
輸入のごときものは全く放任されてお
つたのでありますが、今度の
外國貿易は、いかなるものを
輸入すべきかについて
第一義に考えて
輸出をするという、主客顛倒した
貿易だと思いますので、
輸入をするのに対しまして便宜なる
方面に
輸出して、これが支拂を円滑にしなければならんと思うような次第でありまして、
かくのごときいろいろの
國内的整備をすべき点に関しまして、
商工大臣はいかなる施策をしておらるるかにつきましてお尋ねいたしたいのであります。
次に
國際的に
準備をすべき点に関しましても一、二に止まらないのでありまして、例えば
爲替の水準を
決定すべき問題、又通貨及び金融に関する有名なるブレトン・ウッドの
協定機構に入らなければ、
貿易の
輸出入勘定の円滑な運営はできないということやら、又
國際商業会議所のメンバーになることにより受けるべき諸種の利益やら、又進んでは
外交の
輸入問題につきましても、これらの問題をとり上げましても、国際的にいろいろ
準備を進め、これらの
機構に入るべき
國内体制を整えて行かなければならんと思うような次第でありますが、これらに対しまして
政府当局はいかなる
準備をいたしておりますか。この点に関しましてお伺いいたしたいのであります。
次に
平和條約に
関連します一、二の問題につきまして御
質問いたしたいのであります。
平和條約の
前提條件といたしましては、
日本が非
軍事化することと
民主化せらるることが
前提條件であることは、ここに申すまでもありません。
日本が実際に非
軍事化せられ、又
民主化されたという信用が
連合國側になき限り、
平和條約はいくら我々が要求しても必ずこれを達成し得ないのであります。その
意味におきまして非
軍事化、
民主化につきましては、
終戰以來我が
政府が鋭意これに努めておらるることは、私共
國民誠に感謝しておる次第でありまして、今度の
内閣におきましては、特に
平和條約が間近に迫
つておりまする
関係からして、特にこの二点に関しましては力を注いでおることは、私共
承知して誠に意を強うしておる次第でありまするが、この
基礎的準備の外に、
政府はなんらか外に
準備を進めておられるのでありましようか、この点に関しましてお伺いいたしたいのであります。私といたしましては別段これに対する
意見はないのでありまするが、お伺いいたしたいのであります。
いずれの
平和條約におきましても取扱はれる二つの大きな問題は、
賠償に関する問題と、
領土に関する問題であります。
賠償に関するに問題しましては、
終戦以來新聞紙上においていろいろの責任ある地位にある
人々の談話、
談片を
新聞紙上において散見するのでありますが、これを
生産賠償にした方がいいとか、
施設賠償にした方がむしろ永続的に監視せられなくていいとか、いろいろの議論が
新聞において散見しますが、私はここに
生産賠償を主張するとか、
施設賠償をお願いするようにいたしたいとか、そういうようなことを申すのではありません。
唯賠償の
実施に当りまして、いろいろの問題と衝突が來ないかという点についてお伺いいたしたいのであります。御
承知の
通り、三割取立てがここに近く
実施せられることは御
承知の
通りであります。この三割
賠償の
実施に当りましても、これが
解体、
梱包、
輸送等に関しましては、実は莫大な費用と労力が残るのでありまして、特に
輸送の点において私共は非常な
懸念を持つ。
石炭、鉄を
中心としてのいわゆる
傾斜生産なるものが、この
賠償の
実施に当
つて或いは齟齬を來たしはしないか、先程
和田國務大臣に対しまして
一言申上げました
通り、今度の
緊急経済対策もこの
賠償物件の
解体、
梱包、
輸送ということと十分結び付けて、これとの調整を
図つてお立てにな
つたのであるか、これが又二合五勺の
配給のごときものであるといたしましならば、誠に私共は、
國民一同は非常なる又迷惑を來たすと思うのであります。この点に関しましてお伺いいたしたいのであります。
次に
領土に関する問題でありますが、
領土に関する問題に関しましては、この
議場におきましても一、二回
質問があ
つたのでありますが、これに対しまして
芦田外務大臣より明確なる御
答弁がありましたので、私はここに繰り返して述べる気持はないのでありますけれども、特にこの問題に関しまして、また国民の一部に
十分納得の行かない点がありはしないかという
懸念を持ちますが故に、ここに
一言質問と申しますか、左程強い
質問ではありませんが、
芦田外相のもう一度この点に関しまするお
言葉を我々は要求するのであります。
芦田外務大臣と
外人新聞記者團との会見におきまして、千島及び南西諸島問題が取上げられましたときに、私共
國民は非常なる感謝を持
つてあの記事を読んだのであります。然るにいかがいたしたことか、
國民の一部には、その反響につきまして、諸
外國の一部におきまして或るニユースがキヤーリーせられて参
つたことに対しまして、あれは時期を得なか
つたことであるとか、ああいうことをい
つては
却つてよろしくなか
つたとか、或いは進んで
領土的野心を
表明したものだとかいうに至りましては、私共誠に驚か
ざるを得ない。
領土的野心とは、他人の
領土を侵略することを考えることは
野心でありましようが、何千年と我が國に平穏無事に
不可分的関係において属しておりましたこれら大事な諸島を、できますことならば
平和会議において我々
日本に有利に
決定して戴きたいものだという
表明を、
外務大臣がなさることについて、なんの
異議を差挾むべき筋があるのでありましようか、私は
國民的意思の表現といたしまして、この
議場におきまして
芦田外務大臣のあの
表明に関しましては、
國民の殆んどすべては感謝しておるのである。(
拍手)ということを強くここに申し述べたいと思うのであります。もとよりこの
領土の
決定に関しましては、
ポツダム宣言の十一條に明確に規定してあるのでありまして、これが
決定は一に
連合國側の
意思によるものでありまして、
連合國側がいかなる
目的にこれらの
島嶼を使用せらるるとも、私共はこれに対してなんらの
異議を申すのではありませんけれども、これらの
島嶼の
人々と、
住民と、
日本本土の
住民との間の
文化的関係、
経済的
関係なるものは、從前同様に又は從前以上に、密接にこれを継続せしめるような
政策を取
つて戴きましたならば、幸甚の至りだと存じておるような次第であります。この点に関しまして
芦田外相が今一度この問題に言及して戴くことを希望するものであります。
時間がだんだん差迫りますので、十分述べることはできませんが、次に
外交の
民主化について
一言いたしたいことは、今日は
外交の
民主化を高調すべき時期は既に去
つておるのでありまして、即ち
秘密外交打倒、
民主外交確立というがごときことは既に時期を過ぎておるのでありまして、いかにすれば
外交の
民主化ができるか、いかにすれば
外交事務を担当しておる外務省と
國民との間に血のつながりを持ち得る組織を作り得るか、又いかにすれば
國民全体が
國際知識を十分取り、又
國際問題の
研究に便宜を得て
國際情勢に明るくなるかという点について問題があるのみだと思うのであります。これらの諸点に関しまして、
民主主義に徹底したる我が
芦田外務大臣の
方針を聽きたいのであります。
尚
一言ここに、國内問題ではありますが、実に我が
日本の
國運に関する重要なる問題について、
簡單に
一言お伺いいたしたい点は、
海運に関する点であります。先般
船主協会の会長である
自由党の
板谷順助氏からの
陳情書も私共受取りましたのでありますが、この
海運の
復興ということにつきましては、私共
日本國民の最も関心を持
つておるところでありまして、我が國は海で囲まれておるだけに、この
海運の
復興の如何が
日本経済の成否に関する重大なる問題であるのであります。又今後
日本が
民主化せらるるにつきましても、この
海運の
復興が
第一義だと思うのであります。と申しますのは、
鉄道が國内の陸路の
動脈であるがご
とくに、船が我々
世界の
動脈であ
つて、この船が十分に使えなければ、
彼我の
文化の
交流、
彼我の物資の
交流というものは円滑を欠くこと
朗瞭であるのであります。近い例が、いかにタクシーがあろうと、又有力なる友がいつでも車を貸してくれるにしましても、自家用にはかなわない。我々が
隣邦友邦からいかに船をチャーターいたしましても、我々自身が或る程度の船を持
つていなければ、決して我が
日本の
経済は
復興しないと思うのであります。曾て
鉄道省に
観光局が設けられまして、
外人の誘致を志しまして著手したことは御
承知の
通りでありますが、その後の成績を見ますると、特に
財政経済方面を見ますると、
外人の落す金はホテルでなく、
土産物シヨツプでなく、実に船であ
つたのであります。今後私共は
輸出において、いろいろの点において故障がある。
外國からの
食糧の
輸入、原料の
輸入に当りましては、いろいろの
方面にその財源を求めなければならんのでありますが、特にこの
海運、
船舶業からのいわゆる
貿易外收入を十分考慮するのでなければ、我々の
食糧問題も確保せられないと信ずる次第でもあります。先程申しました
日本の
民主化につきましても、
國際化につきましても、
海運が第一だと思うのでありますからして、この
海運の
復興につきましては、來るべき
平和会議又現在におきましても
連合國側と積極的に協力いたしまして、
日本の
民主化のために深甚なる考慮を拂われんことを希望する次第であります。私の
質問はこれを以て終ります。(
拍手)
〔
國務大臣西尾末廣君
登壇〕