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1947-08-18 第1回国会 参議院 文教委員会第二小委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    付託事件勤勞青年教育定時制高等學校設置  に關する請願(第十二號)   ————————————— 昭和二十二年八月十三日(水曜日) 文教委員長において、左の通り小委員 を選定した。            藤井 新一君            左藤 義詮君            安達 良助君            木内キヤウ君            岩本 月洲君            柏木 庫治君            鈴木 憲一君            中川 以良君   ————————————— 昭和二十二年八月十八日(月曜日)    午後三時二十一分開會   —————————————   本日の會議に付した事件勤勞青年教育定時制高等學校設置  に關する請願(第十二號)   —————————————   (柏木庫治假委員長となる)
  2. 柏木庫治

    假委員長柏木庫治君) 只今から小委員會を開催いたします。それでは鈴木さん、「勤勞青年教育定時制高等學校設置に關する請願」について、主なところを一つお話して頂きたいと思います。
  3. 鈴木憲一

    鈴木憲一君 文教委員會でも簡單に説明をしたのですが、まあ端的に言いますれば、定時制高等學校を早急にここに日本に國内に實現をして頂いて、それに對してその定時制高等學校就學する者は勤勞青年であるという立場をとる高等學校でありまするから、定時制高等學校を早急に實現をさして頂いて、それに幾分早く今就學の方途を見付け得ないところの勤勞青年に、年に、教學の明るい面を開いてやりたいということが、この定時制學校高等學校設置請願の趣旨なんであります。これは御承知の通り、戰前にありました青年學校、及びその以前の實業補習學校というようなものとは實態が異なりますが、就學して行く者は概ね過去においてそういうところに就學しておつた者が、今度はこの定時制高等學校に、就學して行くという立場の学校でありますから、非常に我が國といたしましても、實際上の面から見て一刻も猶豫の置けないような立場學校だと思われますので、成るべく來年度からこれを實施して頂くように、各員方の御盡力をお願いしたいと思う次第なのであります。
  4. 柏木庫治

    假委員長柏木庫治君) それから學校義務制ですか。自由ですか。
  5. 鈴木憲一

    鈴木憲一君 希望するところは勿論義務制なんです。とにかく我が國における勤勞大衆青年一般青年の殆どは六三制の六三の三で終りまするから、それ以後丁度盛んな青年期に入りました者が、高等學校に向うものは極く少數でして、殆んど八割以上の者がこの定時制高等學校にできれば向うということになるのでありますから、これはできるだけ國家としても義務制を斷行して頂かにやいけないというふうに考えておるわけであります。
  6. 柏木庫治

    假委員長柏木庫治君) そうすると、希望というと、豫算面その他設備の關係上、來年それはむずかしいとすれば、又ほかの案がありますか。
  7. 鈴木憲一

    鈴木憲一君 これは高等學校とか大學とかというようなものを一時弱めておいても、この定時制高等學校を開いて、勤勞青年教育をやらんけりやならんというふうに考えられますし、殊にこの日本實情から見て、道義の面から見ましても、實力、或いは産業、或いは地方文化というような面から、あらゆる面から見て、青年教育というものを、ほかの教育を措いても取上げなけりやならんというふうに考えられますので、根本的な問題ですから、これはもう一年も延ばされちや困る、こう思うわけなんです。但しそれを義務制にする面におきましては、直ちに三年間義務制とか四年間義務制とかいうことでなしに、一年ずつ漸次義務制を開いて行くというような、暫定措置は、これは國政財政上から考え得ると思うのであります。
  8. 藤井新一

    藤井新一君 鈴木さんに伺いますがね、年限はこれは何年というようなことについての何か案はないですか。
  9. 鈴木憲一

    鈴木憲一君 それはですね、いろいろこれについては重要性があるので。大分考えられてはおりまするが、我々が考えておりまするものは大體修業年限は三ケ年……。
  10. 藤井新一

    藤井新一君 現在の六三三制によれば、六三は義務教育である。三の高等學校義務になつていないのだが、この勤勞青年教育のためには鈴木君は義務教育にするという意向であるが、そこにちよつと大きな考えるべき點があると思うのですが、若しか鈴木さんのように義務教育にして行くというならば、三の高等學校全部も義務教育にしなければいかん。なぜならば、そうなると全國の青年は、全部勤勞青年學校の方に行かなきやならんように思う。ある條件をのけたものは、これはどうしても義務教育ということは退けてこの立案でなければ私は不徹底だと思う。鈴木さんは如何ですか。
  11. 鈴木憲一

    鈴木憲一君 普通の高等學校ですね。あれを義務制にしないで、この勤勞青年教育だけ義務制にするということは工合が惡いというのですか。
  12. 藤井新一

    藤井新一君 そうです。
  13. 鈴木憲一

    鈴木憲一君 どういうわけですか。今少しこの……。
  14. 藤井新一

    藤井新一君 あなたに聞きたいのですよ。どういうわけで義務教育にしなければならんのか、貧乏なるが故にですか。
  15. 鈴木憲一

    鈴木憲一君 それは勿論新らしい憲法教育機會均等を大いに與えられたでしよう。與えられたけれども、今までにおいて、今後も心配されるものは、物のある人が教育を受けられるということはこれはもういつの時代にもできるのですが、一般勤勞大衆教育を受け得る機會均等の原理をそのまま實行して行こうとするには、少くとも義務制というものを強くやつて行かなければいけない。
  16. 藤井新一

    藤井新一君 理想としては鈴木さんの言うのは誠によいが、六三の教育制度にしても、わずか三十一億二千萬圓しかないという現状なのです。況んやこれに至つては全國で何百億かの金がかかります。それを支出すれば宜いが、現在ではやはり義務教育でない方がやはり宜いという結論になります。將來はこれは確かにあなたの言うように憲法精神によつて教育を受けられない人に教育を與えてやるということは、これは教育の均衡のために宜いです。ですけれども現在においては到底不可能なものであつて、不可能なことを我々は議したつて、到底内閣は許さないと思うのです。ですから義務教育ということは非常にここで考えざるを得ない問題だと考えます。
  17. 鈴木憲一

    鈴木憲一君 藤井さんの仰しやるように義務教育にすると莫大な費用がかかるというふうにお考えになりますが、義務教育費用國庫負擔にするか、或いは地方支辨にするか、或いは自己支辨にするかという問題によつて、それは大いに違うのじやないかと思うのであります。とにかく私はこれを義務と、まあ拘束するという意味でなしに、我が國民に與えられたる輝ける義務だというふうな立場で、國家青年教育機會の均等を與えてやるべきだと思う。そういう立場から逆に義務を履行して貰いたいというふうに考えるのであります。
  18. 藤井新一

    藤井新一君 理想としては誠にいいが、時局としてはふさわしくないと私は考えるが故に、假にこの法律を通しても、通らないものを、今も委員長の言うように二つ途があると思う。通らないものを議決してぴしやんこになるよりも、むしろ通るものを以てあなたの言う道を通した方が私はよいと思う。
  19. 鈴木憲一

    鈴木憲一君 例えば自由にこういう途だけ、定時制高等學校を開くということだけにして置いて、あとは自由にして置きますと、丁度この時期の青年というものは就學に持つて行くことが非常に困難じやないか、殊にここに問題になりますのは、工場勞働青年というような者の教育が非常に等閑に付される。而もここが我が國の今後の思想建設のために非常な大きな線をなすものじやないかということが考えられますので、豫算の面は一應とにかくとしまして、でき得れば、曾ての補習學校などの例を引いては誠に情けないことになるけれども、日本實情からして、高等學校とは言うものの、やはり地方々々その町村の現在ある小學校及び青年學校中等學校あたりの一部或いは或る寺院とかそういうものを利用して、そうしてとにかく青年教育が村々町々で始められるということが非常に大事なのじやないかと思うのです。
  20. 藤井新一

    藤井新一君 鈴木委員の仰しやるように、誠にそうだが、義務教育は六・三制度を施行したために、餘程そこに緩和されて來たと私は考えます。だからあとここにもう一つ上に三年を課するということは、今必要でないように私は思います。鈴木委員の言うように大體十三四歳の子供であるのですが、今度は六三でも大體その兒童は教育を受け終るのですから、この際こういう特例を設けてまで義務教育を課して行くことは大いに考究すべき問題であつてどうしても我々がこれを、立案して通して行こうという意味においては、先ず豫算、そういうものを取除いて行つた方が我々の使命が達成せられると私は考えます。
  21. 鈴木憲一

    鈴木憲一君 これはそういう意味を含んだ請願書でありまして、そういう請願はとにかく我々は精神においては贊成である。であるからこの精神の下に政府適當措置を國の財政及び日本將來に向つて考えた上適當實施をせよということに結論として行くと思いますので、我々があらゆる規定を決めるのでなくて、請願の目的が適當なりと思う立場から採用するかしないかという立場を採りまするので、義務制如何ということは、この請願書者たちは、それを希望しておりまするが、そういう面に行きましては、政府及び行政官廳が、我々の希望を果して容れ得る時期、財政機會というようなものをよく考慮の上實施するのではないかと考えられまするので、先生が仰しやる面も十分考慮できるのではないかと私は考えております。
  22. 柏木庫治

    假委員長柏木庫治君) しかし私は藤井説の方ですがね。それは今鈴木さんが仰しやつた請願者のそれが希望だから、又精神においても宜しい。だからここで一應たとえて言えば受入れてですね。これをどういうふうにやるかということは、政府のその筋の者がやられるのだから、こちらは精神を受入れたらというような意味でありますけれども。文教委員會で受入れたものは、行政面實際實行させるという私は建前を採りたいと思います上から、請願者はこういう希望であるけれども、教務制にすることは、今の國情に容れられない。だから學校は作らせる。だけれども入學すると否とは自由であるが、要は國民生活運動の一部としてですね。その青年にこれを及ぼして、或るべく一人も漏なく入れようというふうに勸誘はするが教務制という點においては、私は藤井説を採りたいと思うのであります。
  23. 鈴木憲一

    鈴木憲一君 藤井さん及び柏木さんの御意見はよく分かるのでございます。よく分るけれども是非我々文教委員が、教務制でなくつても宜しいのだというような立場で輕く通してしまいたくない。少しでも教務制實施するように努力しようというような立場で、ここを送り出して、そうして立法されて來た場合は、それを詳しく審議してやりたい。こういうふうな途を採りたいと考えます。勿論この教務は困難であるということはよく了承しておりますので、藤井委員の仰しやるように、端的に言つてしまえばそうなるのですけれども、まあ文教委員教務制でなくつてもよいのだということを言つたからといつて、輕く小さくされては困るというのが私の心配の種であります。だからできますれば教務制を大いに考慮せよという強い立場で押出して行きたいという希望を持つております。
  24. 藤井新一

    藤井新一君 委員長鈴木兩君立案の草案を御依頼申上げますから、然るべく作つて、そうして文教委員會に提出して頂きたいと思います。
  25. 木内キヤウ

    木内キヤウ君 今事實は、困難なことは、これは事實だと思いますが、教育面立場から、勤勞青年殊に自由資産を持たない者に、教務制をするという途を開いてやらないと、雇傭關係やなにかで、なかなか勉強の機會を失するのが事實じやないでしようか。ですから或いはやはり事實には通らないにしても、鈴木説のようにそこの考慮を挾んで置きたいと思いますね。
  26. 鈴木憲一

    鈴木憲一君 それでなければ、まあ打明けて言えば二年後には義務制にするぞ、或いは翌年から義務制にするのだというような掛け聲だけでもよいから發足をさせたい。全然自由に學校だけは作らせる。後はまあおのおのの日本のそういう面の精神運動者達が大いに勸誘して日本教育將來を考えてやつて行くというような立場でなしに、やはり金錢に惠まれない者も國家教育が受けられるのだということを……僕は寧ろ大學や高等學校、こういつたようなものは義務制でなくても、今後の日本の行き方からして、これらはずつと國家が負擔すべきものは輕くしてやつて勤勞青年に重點を置いてこちらに財力を傾けるというふうにしてやらないと、非常に將來日本教育の大きな心配がここにあるのじやないかと思う。
  27. 柏木庫治

    假委員長柏木庫治君) よく分りました。それでは今日はこれにて散會いたします。    午後三時四十二分散會  出席者は左の通り。    假委員長    柏木 庫治君    委員      藤井 新一君            木内キヤウ君            鈴木 憲一