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説明員(
田辺勝正君) この前に、いろいろ御
質問がありましたのでありますが、その中で
物納関係の方と、それから
買收した
農地についての、いろいろの
負担関係についての二つの御
質問があつたと思いますが、その中で
物納の方の
農地関係になりますというと、それは
大藏省の方の
関係の方から御
説明願つた方がよくないかと存じます。それで
農地の方の
買收についての
負担関係のことでございますが、これは御
承知の通り、例の
農地の
買收を
農地委員会が決定いたしまして、そうして縣の
農地委員会の承認を得て参りますというと、
買收令書を出しますが、その
買收令書の中に、
所有権移轉の日が書いてあるので、その日附によ
つて所有権が
國家の
所有に移るのでありますが、それが直ちに民法の登記を変えて、本当に
名義人と取
つて替えるというのではないのでありますが、その間にいろいろの例の
整理関係でありますとか、いろいろ
負担が
地主に掛かるということを、一体これをどうすればいいか。これは一体國が
負担すべきか、或いは
小作人に
負担さしてくれて、
地主の方で
負担するというのは無理ではないかというような御
質問がこの前にあつたと思うのでありますが、それにつきまして、この
取扱については
農局の第二〇四二号というので
農林省の
農政局長から
都道縣府知事、
農地事務局長宛にこの
取扱についての
方針を示しております。その題名は「
買收農地等の
小作料及び
公租公課の負擔区分について」という題で出しておりますが、その中で一号から六号まで規定してありますが、その一番終の六というところに、こういうことが書いてあります。「
小作地の
修繕費、
用排水費の負擔については、從來の慣行が
全額地主負擔であ
つても、それは
小作料の値上りという形で実質的に
小作人が負擔していたのである。
農地改革によ
つて小作料が金納化され、
且引上げを停止している現状において、
地主の負擔力に限界があるのは当然である。
從つてこの
措置としては
小作料の値上げは行わずに
農地調整法第九條ノ七の規定によ
つて準用する第九條ノ四の
小作料の
附滯條件の
改定事業として、
市町村農地委員会が
地主、
小作人双方で合理的に分擔すべき
基準を定めるよう指導されたい。そこでこの中の例の
修繕費、それから
用排水費というものを、これは
小作人に当てて
負担さしていいということにしてあるのでありますが、それにつきましては、この中に
農地整理、それの範囲につきましては、
小作地の
修繕費、それから
用排水費とありますために、
水利組合費、
北海道の
土功組合費、それが
耕地整理組合費というものもこの中に包含するものであるという
通牒を
農地局長名議で最近出しまして、そうしてこの間仰しやられた
水利費も、この中に含ませるようにいたしたいと思います。結局その費用は、
負担の
名義は先程申上げましたように、実際の
名義人はこれは
地主、
所有者にな
つているわけでありますが、事実上こういうことをやらせるのでありますから、これは
耕地整理組合と十分に協議をして、そうして
小作人が実質的にこれを
負担するように
措置をするようにという
通牒を出すつもりであります。
それからその後の方にこの間も御
質問がありましたように、
市町村農地委員会が
地主、
小作人双方で合理的に分担すべき
基準を定めると書いてあるが、その
基準の内容が分らんではないかということでありましたが、これにつきましては同じに
昭和二十年度の実際に
地主が
負担せられてお
つた額を超過しておる今日の額、その額は全部
小作人に
負担せしめても
差支ない、こういう
通牒を出しまして、この間も申上げました
地主の
負担の軽減によ
つて、事実上はこの
買收の日の実際において
所有権がこつちへ移
つてしまつたような
関係においての
負担区分をここで決めるということにおきまして、
地主の方に無理な
負担をかけないということにしたいと存じております。
それからこの前にいろいろ御
質問がありましたが、その中で
農地証券についての
担保力を持たしてくれなければ困るではないか。こういう御
質問がこの前にあつたのでありますが、これにつきましてはこれは
昭和二十一年の十一月八日に
大藏省理財局長の
通牒が出ております。これが
大藏省の
理財局長から
日本銀行の総裁に宛てた
通牒でありますが、それを読んで見まするというと、「
農地証券の
発行に関しては、
聯合軍最高司令部より該
証券は五年間
日本銀行の
発券準備に充当してはならない旨の交付があつたので、本
証券の
発行開始後五箇年間は本
証券の
買取又はこれを
担保とする貸出は行はないこととし、各
金融機関に対しても此の旨予め通報し置かれ度く
右命により
通牒する。尚已むを得ない事由により
処分を必要とする向に対しては、
政府買上の
制度を設くることとし、その
取扱機関は
買上資金限度の
関係も有り、
勧業銀行に特定することとしたから念のため申添える。」こういうのが出ておりまして、結局これによりまして、例のインフレの
関係から、こういうことに
なつたのだと思いますが、
日本銀行で、この
証券は五年間というものに対しては、原則としてはこれを
買取をしない。
担保にして金を貸さないということにな
つておりまするので、地方銀行においては、自由でありまするけれども、
日本銀行がそうであれば、実質上において
担保に供することはむずかしいと考えるのであります。併しながらここに特別の事由ある場合においての
処分を必要とする場合においては云々という規定がありまするので、これにつきましては
地主の方で非常にお困りになるような、いろいろな場合を特定いたしまして、將來適当に或程度これに
金融をし得るような方法を考えたいと存ずる次第であります。それからこれは
物納農地の場合であつたかどうかと思いますが、例の
農地を
買收したが、その間において登記ができない。その間において、その
農地を今度は
地主の方で困るからこれを抵当に供して貰うようにはならないかというふうな御
質問もあつたように思いますが、これは例の
法律の中に、例の
担保の一件がある場合におきましては、
買收した
土地につきましては、例の供託をすることに現在な
つておりますが、併しながらこの
買收した後において、その人から
買收して、
担保についての個々の供託はしないことにな
つておりますから、これによ
つて事実上金を貸せというても、こういうことを知
つている金貸しから金を借りということは、事実上これはできないのじやないかと思います。
それからもう一つは、この間どなたでありましたか、例の
証券を出している場合に、これは年賦拂というものにな
つているが、この上に一時資金で以て、現金で以て返す金が多いじやないか。それにつきましては、
政府は一体どういうふうにその現金を使うのであるかというような御
質問もあつたようでありますが、これは大体特別会計にな
つておりますのと、五箇年間は先程申しましたように、これを拂戻さない。買上げないということにな
つておりまするので、これは例の預金といたしまして、
日本銀行の預金といたしまして、その現金は預けて、將來
地主の方でお困りになる。
証券の値下りをするとか何とかいう場合、お困りになる場合に、これを
買收する資金に大部分当てたい。こう考えております。
それからそれに関聯いたしまして、現金支拂でありますが、これは先程言つた
証券自体ではありませんが、大体從來この
農地法ができた当時、第一回の
買收におきましては、四千円までは例の現金でお支拂いすると、それから千円未滿の端数につきましては、これは現金でお拂いするということにな
つておりましたから、これは第一回の分、四千円の分と千円以下の分とは、
日本銀行とこれは話がつきましたから、これは直ぐお拂いするように、極く最近においてお拂いをするようになろうと思います。それから第二回からは、これは千円未滿のものだけに
なつたのでありますが、これもそれに準じてお拂いをしたいと思
つておるような次第であります。それから
物納農地におきましての例の
所有権が移らない間におけるところの
負担関係云々ということがありをす。これは
大藏省の方で、一つ財産税法の
関係があるので、あれば改めないとまだできないと思いますが、その方……