○石川準吉君
農林金融を
中心にしまして二、三お尋ね申上げたいと思います。この
信用事業につきましては申すまでもなく、預ける
方面に対しても非常なる安心感を與えなければなりませんし、又
資金の
融通を受けるものに対しても非常に
信用を持
つていなければならんと思うのであります。從いまして今回
農業協同組合の行いまするところの
信用事業につきましても、この両
方面の安心感というものが
確立されておらなければ、本当の運営ができない、かように考えるのであります。殊に
農業協同組合に與えまする
信用事業は、零細なるところの農民の
資金を集中いたしまして、これを有効な
農業事業の推進に使おうというのが
根本でありますからして、若しも
組合当事者が運用を誤りまして、例えば大切なるところの
資金を回收不能な
方面に貸付けたり、或いは全然
農業方面と
関係のないところに貸付けたり、社債券を買
つたりするというようなことがありますれば、結局その農村におきまする
信用を壊す。これがただ一村の
信用失墜に止まらないで、やがてそれが全般の経済に及ぼすという結果になろうと思います。
協同組合は自由主義によ
つて立てられておるのでありますが、これは非常に結構なことでありますけれども、併しながら若しも
信用事業のような外の経済
方面に非常に大なる影響を及ぼすものにつきましては、或
程度の制限というものはどうしても加えなければならんとこう思うのであります。
一般の銀行におきましても、株式会社法によ
つて運営されておりますが、併しながら別に銀行法という実体法があるのであります。又信託
事業においても同様であります。
從來の
農業経営におきましても、
産業組合法或いは
農業法におきましても、この
農業信用に関する或
程度の実体法があ
つたわけであります。而してそれに対して
資金運用の制限、例えば拂戻準備金の問題であるとか、或いは貸付の最高限度の問題であるとか、或いは余裕金の運用の問題であるとかいうような、非常に細かい点になりまするが、かような点につきましても或る
程度の制限があ
つたわけであります。然るに今回の
協同組合等におきましては、組織が主でありまして、かような制限が殆んどない。果してこれで以て農村の
將來の
金融が円滑につくかどうかという点につきましては、非常に危惧を持
つておるのであります。これらに対しまして今直ぐというわけには行かないでしようが、できるだけ最近の機会におきまして、さような
農林金融の
將來の円滑化を図るために、何らかの実態的な制限を加えることができるかどうか、或いは別に單行法で以て何らかの統制をとるような御用意があるかどうか。その点を一点お伺いしたいと思うのであります。
それから、それに関連いたしまして、若し
政府におきまして監督或いは取締をやることが非常に、仮にむずかしいといたしまするならば、どうしてもこれは自治監査的な
方面をおやりにならなければならんと思うのであります。現在
農業團体監査連合会というものが、皆さん御
承知の通りあるのでありますが、これは
政府の補助
團体でもあり、又各
農業会を会員といたしまするところの
團体であります。ところが現状におきまして、この監査連合会は今の
経費或いは今の組織を以てするならば、十年に一遍くらいしか單位
組合の監査ができないというような非常に貧弱な存在になるわけであります。併しながら先程申上げたように、今後の農村
金融の円滑化を図るためには、
政府の施策と相共に、かような自治監査というようなものを十分や
つて行かなければならない。そういうような
意味合からいたしまして、自治監査に対しまして、連合会に対しまして現在の補助金を更に増額しますと同時に、この陣容を変え、又組織をも変えて非常に鞏固なる
一つの
團体といたしまして、少くも二年に一遍とかいうような監査をやれるような組織とする必要があると思いますが、これらに対する御意見はどうでありましよう。
それから第三番の点につきましては、先程
農業会から
農業協同組合に移り変わる際におきましてのいろいろな施策につきましては、
大藏大臣の御答弁がありましたのでよくわかりましたが、ところが現在の
農林金融の中核をなしておりますものは、何とい
つても
農林中央金庫だと思います。ところがこの軸でありますところの
農林中央金庫の
將來性というものがはつきりわか
つておらん。從いましてデマでありますけれども、
中央金庫は解体するのだ。從
つて農林金融も駄目になるというようなデマさえ
地方に飛んでおるということを聞いておるのでありまするからして、今後の移り変りを堅実に持
つて行くためには、やはりその軸をなしておりますところの
中央金庫の在り方というものにつきましても、はつきりした
政府の態度を示して頂きたい。かように考えるのであります。
それから序にお伺いするのでありますが、それはまあお願いでもありますけれども、先程島村委員からちよつと触れたと思いますが、
從來農村に対しまして、
政府から出しました補助金というものは数十億に上る多額なものであ
つたと思います。併しながら最近の
國家財政の
見地からいたしまして、段段補助金制度というものは少くな
つて行く
傾向にあるのは御
承知の通りであります。併しながら
日本の農村の経営を本当に振興するためには、相当な多額の金が要るのでありまして、若しも補助金が少くなるとすれば、この
農林金融というものがその補助金の代理をなして、そうして農村の必要な金というものは、
農林中央金庫に集中されましたところのものが全國的にあてがわれ、又縣においては縣、村においては村というような、その範囲内においていわゆる農村の
資金というものがこれに代らなければならんと思うのであります。併しながらそうなりますと、そこには相当な危險性を伴うというような
意味合からいたしまして、やはりこれに対しましては、或
程度の
國家の保証というような制度が今後
確立されなければならん。本当に補助金も駄目である。それから
金融も非常に不円滑であるということになると、農村の振興は期して待つことができない。かような
意味合からいたしまして、補助金の少くな
つたのを補い、
農林金融に対しまして
國家が何らかの
バツクをなして頂く。いわゆる保証の制度を立てるということも考えなければならんと考えるのでありますが、これらの点に対しましてどういうような御見解を持
つておられるか伺いたいと思います。