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説明員(
安孫子藤吉君) それでは先程の
資料に基きまして、
供給確保対策の
考え方を一應御
説明申上げたいと存じます。
第一に、何と申しましても、
製炭者に対しましては、
食糧の
加配が重要な問題でございまするので、この
主食加配を、
食糧の
窮迫期におきまして
木炭一俵
当り一合二勺に下げておつたのでありますが、これを一俵
当り一合七勺ということに復元をして、これを十月から
実施して、特に又
生産縣に対しましては、
現物の
特定指示を行いまして確実な
現物化を図りたいということで大体各
方面と話も付いておるのでございまして、早速実行に移りたいと思つております。これは相当
木炭供給確保について大きな
役割を演ずると思います。尚又塩、酒、煙草、
繊維製品、
地下足袋等を
供出にリンクいたしまして
報奬物資として放出する予定でございます。これらも
関係方面と具体的に大体話しの付いているものでございます。次に
生産者價格と
消費者價格との問題でございますが、到るところで
薪炭の
供出についてのやかましい議論に
なつております。全國の
プール計算をやつております建前から申しまするならば、この
差額はどうしても避くべからざるものでございまするが、特に
薪炭のように
輸送費に相当かかる物については、この
値開きが非常に目についてはきますが、これを理窟の上で押し通して参りまするならば、誰しも一應納得の行けるものだと存じております。併しながらこの
値開きが非常に大きいということで
供出が阻碍されておりますことも事実でありまするので、なんとかこの点について
方策を立てたいとかように存じまして、
生産縣に対しましては、希望するところは
縣内各段階地域別の
政府買上をして、その
差額を縮減したいと、かように思つております。これは別途
資料がございますので、その際に小し詳しく申し上げたいと存じます。
その次には
國有林の
官行薪炭並びに
立木処分による
製薪炭の
増産と
消費都市向の
輸送増強についてであります。
薪炭生産につきましては
民炭が大きな
役割を占めるのでありますけれども本年の
緊急状態を救いますためには、
國有林において造つております
薪炭、及び
國有林から
立木処分によつて出て参りまする
薪炭、こういうものを極力
消費都市向に増送することによりまして
國有林の使命も果たし、又
都市におきまする
燃料の
危機を救いたいということで、この
方向を探つて努力して参りたいと存じておる次第であります。
その次は
只今御
審議を願つておりまする
法案に
関係いたすことでありまして、これは現在屡々聞き、又特に強い要求が出ておるのでありまするが、
支拂の惡いという点でございます。これは要するに
資金繰りが非常に窮屈でありまするために、どうしても
支拂が遅れ勝ちであるということが
供出に非常に大きな惡い
影響を與えておりますので、御
審議を願いまして、
特別会計法の
改正によりまして、この問題を
解決いたしたいというように存じておる次第でございます。次になんと申しましても、
輸送その他の
関係からいたしまして、
薪炭のみに頼ることもいろいろとむつかしい点がございますので、
加工炭の
増産を図りまして、主としてこれを
消費都市へ集中しようと、かように
考えておる次第でございます。
尚又
薪炭の
輸送力と
滯貨の一掃というようなことについて、
運輸当局と折衝いたしまして、
緊急措置を講じたいと、かように存じておるわけであります。現在の
滯貨の
状況は
概要七に掲上して置きましたが、
木炭におきまして十三万一千トン、
普通薪におきまして二百一万二千石ということに相成つております。尚又こうした施策に併行いたしまして、
横流れの防止とその取締の強化はどうしてもやつて参らなければならんとかように存じております。以上が大体
供給の
確保対策の
概要でございます。
五六枚めくつて頂きますと、
薪炭生産者價格、
消費者價格較差縮減案という
資料がございます。
これは先程申上げましたように、この
生産者價格と
消費者價格との
差額縮減が
只今可能であろうと
考えられるのでありまして、この
方向で進めたいと思つておる
内容でございます。この
價格差は、なんと申しましても
根本的に
解決いたしまするとすれば、
價格差補給金を出す以外に
根本的に
解決策はないと存じます。然らば
只今この
薪炭につきまして
價格差補給金を出し得る
状況かどうかと申しますと、これは先ず殆んど不可能に近い程困難な問題であろうと存じます。又別の
方法といたしましては、
生産地におきまする
値開きを避けるために、
産地におきまして差を減らして、そのマイナスになる分を
消費都市における
消費者にかぶせて行くということが
一つ考えられるのでございます。そういたしますと、
産地におきましては、例えば十円の
價格差を縮めたといたしましても、数量の
関係からいたしまして、大
都市における
消費者にこれをかぶせる場合には、これが三十円とか四十円、五十円とかいう大きい
数字をかぶせて参らなければならんと存じます。そういたしますと、
只今の物價体系の
基準に
なつておりまする
根本に大分問題が触れて参りまするので、急速な
解決はなかなか困難であろうという
考えを持つております。ここに半年ぐらいの時間的余裕を持つてやりまするならば格別でございますが、今目の前の
薪炭の
危機に対應するためには、そうした
方向では
解決もむづかしかろうと存じまして、大体窮余の策といたしましてかような案を作つておるのでございます。御承知だと思いまするが、この
資料によりまして一應御
説明を申上げますと、
木炭におきましては
生産者の
價格が五十三円で、
政府の賣渡しが七十八円二十銭でございます。その
差額が二十五円二十銭でございます。消費
價格は八十三円七十銭、この
價格差が五円五十銭、
價格差の合計が三十円七十銭でございます。
薪炭は
生産者價格が六円五十銭、
政府賣渡
價格が十三円七十銭、この
差額が七円二十錢、
消費者價格が十五円七十銭で、
差額が二円でございまして、
差額の合計が九円二十銭
木炭におきまして、
生産者價格五十三円について三十円の
差額、薪については六円五十銭のものについて九円二十銭の
差額、こういう実状なのであります。この
差額は一体なんであるかとこう申しますと、二に掲げて置きましたような縣内の
輸送代行
経費及び中継
輸送及び船賃、鉄道賃、それから赤字償却、赤字の償却と申しまするのは、昨年に特別報奬金を出したのでありますが、それのことであります。それから
増産及び特別搬出費その他ということで、この
差額が出ておるのであります。これをパーセントで取つて見ますと、縣内
輸送代行
経費が大体
木炭につきましては五三・二パーセント、薪につきましては七二・九パーセントという大きな割合を占めておるのであります。
それで次に三でありますが、縣内
輸送代行費は、山元集荷地点で
政府が買上げまして、これを最寄り駅、港頭、又は
消費地へ運ぶまでの
輸送経費であります。これが大きな割合を占めておりまするので、
政府の買上げ地点を最寄駅、港頭又は大
消費地の着渡しなどにいたしますれば、この買入れの
價格は、現在の
生産者價格に
輸送経費を加算いたしますと、この差が縮まつて参るのであります、それで先程申上げましたような各種の
方策も
考えて見たのでありまするが、
差当りはこれでやるより外ないということで、この案を
考えたのであります。大体この場合には、
政府の買上げ地点を、鉄道駅又は港頭、或いは縣内の大
消費地域で殆ど他町村から移入を仰ぐものについては、トラツク又は馬車つきの地点、若干他町村からの移入を仰ぐ地域についてはトラツク又は馬車つき地点、自給自足以上の町村については、その指定集荷場所という四段階に
價格を決めたいかように存じておるわけであります。