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1947-09-27 第1回国会 参議院 農林委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    付託事件農地調整法改正に関する陳情(第  一号) ○物價是正及び肥料作業衣ゴム底  足袋配給に関する陳情(第十号) ○農業保險法改正に関する陳情(第  十三号) ○農業復興運動に関する陳情(第十四  号) ○水利組合費賦課に関する陳情(第二  十二号) ○食料品配給公團法案内閣送付) ○油糧配給公團法案内閣送付) ○農業会農業技術者給與國庫補助に  関する陳情(第四十六号) ○農業会農業技術者給與國庫補助に  関する陳情(第五十一号) ○農業会農業技術者給與國庫補助に  関する陳情(第五十九号) ○農業会農業技術者給與國庫補助に  関する陳情(第六十一号) ○薪炭生産あい路打開に関する陳情  (第六十二号) ○茶業振興に関する陳情(第六十三  号) ○農業用電力料金の引下げ及び換地処  分経費全額國庫助成等に関する陳  情(第六十七号) ○東北及び新潟地方特殊事情に立脚  せる食糧供出対策改善に関する陳情  (第六十八号) ○農林省所管治山治水事業の一部移  管反対に関する陳情(第七十号) ○農地委員会経費全額國庫負担と  することに関する陳情(第七十三  号) ○林道飯田赤石線開設に関する請願  (第十七号) ○主食需給計画根本的改革に関する  陳情(第七十四号) ○養蚕協同組合法制定に関する陳情  (第七十六号) ○農業会農業技術者給與國庫補助に  関する陳情(第七十七号) ○農業会農業技術者給與國庫負担  とすることに関する陳情(第八十  号) ○農業会農業技術者給與國庫補助に  関する陳情(第八十四号) ○愛知縣豊川沿岸農業水利事業経費を  國庫負担とすることに関する陳情  (第八十九号) ○農業会農業技術者給與國庫補助に  関する陳情(第九十一号) ○農業会農業技術者給與國庫補助に  関する陳情(第九十七号) ○農作物の「栄養週期栽培法」の普及  実施に関する陳情(第百二号) ○農業会農業技術者給與國庫補助に  関する陳情(第百五号) ○農業会農業技術者給與國庫補助に  関する陳情(第百九号) ○蚕繭の増産に関する陳情(第百十五  号) ○養蚕協同組合法制定に関する陳情  (第百十六号) ○農業会農業技術者給與國庫補助に  関する陳情(第百十九号) ○飼料配給公團法案内閣送付) ○農業協同組合法案内閣送付) ○農業協同組合法制定に伴う農業團  体の整備等に関する法律案(内閣送  付) ○函館営林局管轄区域変更に関する  請願(第五十四号) ○薬用人参試驗場設置に関する請願  (第六十六号) ○米價改訂に関する陳情(第百二十八  号) ○民有林野制度確立に関する陳情  (第百三十号) ○養蚕協同組合法制定に関する陳情  (第百三十一号) ○農作物の「栄養週期栽培法」の普及  実施に関する陳情(第百三十三号) ○開拓者資金融通に関する陳情(第百  三十八号) ○米穀供出に対する報奬制度廃止並  びに肥料配給に関する陳情(第百  四十九号) ○農業会農業技術者給與國庫補助に  関する陳情(第百五十号) ○遅配主食價格に関する陳情(第百  五十二号) ○岩手縣下の三農業用水改良事業を國  営とすることに関する請願(第八十  八号) ○福島縣安達郡大山村内の開墾事業を  中止することに関する請願(第九十  五号) ○北海道てん菜糖業保護政策確立に  関する請願(第百二号) ○薪炭價格に関する陳情(第百六十  二号) ○農業会農業技術者給與國庫補助に  関する陳情(第百六十三号) ○食料品配給公團法に関する陳情(第  百七十六号) ○農業会農業技術者給與國庫補助に  関する陳情(第百八十七号) ○農作物の「栄養週期栽培法」の普及  実施に関する陳情(第百八十八号) ○農作物の「栄養週期栽培法」の普及  実施に関する陳情(第百九十二号) ○市営競馬の施行に関する陳情(第二  百二号) ○北海道開拓事業に関する陳情(第二  百七号) ○岩手山ろく國営開発事業に関する陳  情(第二百九号) ○農作物の「栄養週期栽培法」の普及  実施に関する陳情(第二百十三号) ○農業会農業技術者給與國庫補助に  関する陳情(第二百二十号) ○未墾地開拓事業に関する陳情(第  二百二十二号) ○群馬縣古馬牧村外三ヶ村のかん漑川  水路に関する請願(第百二十一号) ○蒜山演習地返還並びに開拓計画変  更に関する請願(第百三十五号) ○食糧配給確保に関する陳情(第二百  二十六号) ○林業振興対策に関する陳情(第二百  二十七号) ○農業会農業技術者給與國庫補助に  関する陳情(第二百二十八号) ○農業会農業技術者給與國庫補助に  関する陳情(第二百三十一号) ○水利組合法改正及び水利事業費國  庫補助に関する陳情(第二百三十二  号) ○農作物の「栄養週期栽培法」の普及  実施に関する陳情(第二百三十五  号) ○米麦需給計画根本方針に関する陳  情(第二百三十六号) ○農業保險法制定に関する陳情(第二  百四十四号) ○農業会農業技術者給與國庫補助に  関する陳情(第二百四十五号) ○岩手山ろく國営開発事業に関する陳  情(第二百四十八号) ○薪炭需給調節特別会計法改正する  法律案内閣送付) ○未利用地耕作利用臨時措置法案(内  閣送付) ○青果物の統制撤廃に関する請願(第  百七十六号) ○開拓対策に関する請願(第百七十七  号) ○旧軍馬補充部十勝支部用地内山林拂  下げに関する請願(第百八十三号) ○十勝種馬育成用地解放に関する請願  (第百八十五号) ○昭和二十二年度産米價格並びに供出  に関する陳情(第二百六十二号) ○農作物の「栄養週期栽培法」の普及  実施に関する陳情(第二百六十七  号) ○農業会農業技術者給與國庫補助に  関する陳情(第二百六十八号) ○農作物の「栄養週期栽培法」の普及  実施に関する陳情(第二百七十一  号) ○自作農創設特別措置法及び同法附属  法規の一部を改正することに関する  陳情(第二百八十号) ○勤労大衆食糧危機突破対策に関す  る陳情(第二百八十二号) ○日本競馬会に関する陳情(第二百八  十三号) ○農村指導農場開設に関する陳情(第  二百九十四号) ○昭和二十二年度産米價格並びに供出  に関する陳情(第二百九十五号) ○農作物の「栄養週期栽培法」の普及  実施に関する陳情(第二百九十九  号) ○農業会農業技術者給與國庫補助に  関する陳情(第三百号) ○農地開発営團の行う農地開発事業を  政府において引き継いだ場合の措置  に関する法律案内閣提出) ○臨時農業生産調査法案内閣送付) ○重要肥料統制法等を廃止する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○小阪部川貯水池改良事業國営とす  ることに関する請願(第二百七号) ○旭川合同用水工事促進等に関する請  願(第二百九号) ○農地改革促進に関する請願(第二百  十三号) ○東京都内食糧配給に関する陳情  (第三百七号) ○農業会農業技術者給與國庫補助に  関する陳情(第三百十三号) ○種卵及びひなの價格撤廃並びに養鶏  用飼料増配に関する陳情(第三百十  八号) ○農業会農業技術者給與國庫補助に  関する陳情(第三百十九号)   ————————————— 昭和二十二年九月二十七日(土曜日)    午後一時四十二分開会   —————————————   本日の会議に付した事件水害対策に関する件 ○臨時農業生産調整法案   —————————————
  2. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) これより委員会を開会いたします。本日は先回に引続きまして臨時農業生産調整法案について質疑を継続いたしたいと思います。尚お断りいたして置きますが、農林大臣供出関係で西日本の地方長官との会同をやつておられまして、本日は出席困難なそうであります。從いましてこの法案については相当重要な御質疑もあろうかと思いますが、大臣に対する御質疑は留保して頂きまして、政府委員として農政局長がお見えになつておりますから、農政局長に対する質疑を本日はやつて頂きたいと思います。
  3. 板野勝次

    板野勝次君 昨日厚生農林大臣質問がありますので出席をお願いして置いたのです。ところが、大臣は差支えがあるというので、両方の政務次官がお見えになるのですか。
  4. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 見えることになつておりますから、見えましたら質疑中でもやつて頂きます。ちよつと板野さんに申しますが、厚生省政務次官はお見えになつておりますが、農林政務次官はお見えになりません。
  5. 板野勝次

    板野勝次君 今度の水害罹災民対策につきまして質問いたしたいと存ずるのであります。應急の諸物資、これはララ物資等は勿論無償配給されているのですが、それ以外の應急の諸物資がどういうふうに配給され、罹災民満足を買つておるかどうかという点が一つ。  それから今度の災害の性質からしましても、國家相当責任がある問題ですから、緊急必要なる、例えば最低限度の衣料、その他医薬等については國家無償配給するのが当然でと考えるのですが、そういうふうな措置について、厚生政務次官から状態を御報告願い、且つ御意見を承わりたいと存じるのであります。責任がある回答を一つお願いいたします。
  6. 金光義邦

    政府委員金光義邦君) 只今お質しの点につきまして、厚生省としましては罹災府縣の要請を待たず、一應の見込数量農林商工当局に要請いたしまして、その準備を願い、縣の要求に應じて逐次放出を願つて、すでに相当のものが放出されております。尚罹災民満足を買つておるかどうかということにつきましては、或る程度まで満足を得ておるものと考えております。  次に應急救助物資有償にするか、或いは無償にするかというお質しにつきましては、御承知のように罹災者に対する配給物資有償を原則といたしておりますが、生活困窮者には生活保護法の適用をいたす建前になつております。但し今回の風水害につきましては、特別な場合でございまして、代金を取れん程秩序の混乱しておる期間、即ち災害直後の極く短期間の間におきましては、配給ルートも乱れておりますし、又貧富の区別もできないわけでございますので、最低生活を保障するというような限度におきまして、食糧等無償で給與いたしております。この代金都道府縣の負担でございますが、これに対しましては國庫補助をするつもりでございます。尚極めて事務的な考えではございますが、これに対しまして四億三千万円程度のものを國庫補助として出したいつもりでおります。この無償で給與いたしまする期間を大体七日から九日ぐらいと見ておりますが、東京埼玉のごときは浸水期間が長い関係例外を認めたい、かように考えております。尚被服、日用品等失つて、その日の生活にも困るというような人に対しては、これらのものを配給いたしました場合には最少限度において無償いたしたいと考えております。
  7. 板野勝次

    板野勝次君 只今の説明で大体分つたのですけれども、食糧問題については農林政務次官に伺いたいと存じておりましたら、丁度厚生政務次官から話がありましたのでありますが、食糧が大体混乱しておる期間無償配給されておる期間も七日から九日で、東京埼玉等例外だということですが、まだ我々の聞いたところでは、東京の一部でも、二十三日からパン一個に対して二円すつ取つてつた。こういうふうな報告がありまするし、尚食糧が七日から九日の程度では、到底この災害遭つた罹災民としてその負担に堪え得ないので相当期間食糧等無償配給し、そうして現に徴收しておるものについては、それを返還するというふうな処置をとつて貰いたいと思います。そうでないと或る所では食糧に対して代金を取つておる、或る所では無償でやつておるというのでは罹災者に対する非常な不公平になるかと思う。殊にそういふ相当期間食糧無償配給するということになりますれば、新聞、ラジオ等罹災民によく徹底するように、適切に救助物資が行き渡りませんと、或る部分には行つたが、或る部分は全く貰えなかつたということになる、そういうことのないように十分徹底さして頂きたい、こういうふうに考えます。
  8. 金光義邦

    政府委員金光義邦君) 二十三日からパン一個について二円ずつ取つておるという仰せでございますが、この点につきましてはよく調べましてから又お答えいたしたいと思います。  尚七日から九日ぐらいの間は無償で食物を配給するというのでは期間が短いではないかという仰せでございます。至極御尤もに存じます。これにつきましては、災害状態が一應回復いたしましてから、余裕のある方には有償配給をいたし、又生活の困窮しておられる方に対しましては、生活保護法を適用して適当の措置を講じたいと考えております。  尚ラジオその他による宣傳について御注意がありましたが、これは適切な措置を講じます。
  9. 板野勝次

    板野勝次君 重ねて質問いたしたいのですが、生活保護法による方法と申しましても、こういう場合に適切な処置はなかなか構じにくいので、全体として罹災者生活内容を一々檢討しておるというようなときでもないので、是非とも二十日若しくは三十日間は無償で、不安のないような方法をとることが今度の災害政府責任処置としても当然だと思うので、そういう最低限度物資生活救助法を適用するとかしないとかいうふうな面倒な処置をとらずに、國家負担に当然なすべきだと思うので、そういうふうな処置をこの際とつて罹災民に対する政府責任感を明らかにするのが当然だと思います。その点に対する見解を更に重ねてお伺いいたします。
  10. 金光義邦

    政府委員金光義邦君) 只今お話につきましては、大体無償で食品を給與する期間の認定を七日乃至は九日というように一應取定めたようなわけでございます。尚先程も申上げましたように、東京或いは埼玉のように長く浸水しておるような所におきましては、実情に即して例外を認めたい、かように考えております。
  11. 板野勝次

    板野勝次君 それでは、若し例えば七日若しくは七日後にそういう浸水地域で金を取つておるという事実があつたならば、それは勿論その徴した人に返還するという処置をおとりになるでしようか、その点を伺つて見たいと思います。
  12. 金光義邦

    政府委員金光義邦君) 金を後で返すというようなことにつきましては、只今のところ考えておりません。
  13. 板野勝次

    板野勝次君 それでは不満足でございますけれども巳むを得ないと思います。
  14. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 板野さんにお伺いいたしますが、食糧の問題について厚生政務次官からお答えになりましたが、農林政務次官を此処へお呼びいたしますか。
  15. 板野勝次

    板野勝次君 併し同様な考えなら尋ねても仕方がないと思います。別な考えなら……。
  16. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 一應來られることになつております。
  17. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 第二條に「肥料その他の資材命令で定めるもの」と書いてありますが、この命令で定むるところの資材はどういうふうな資材であるか、又その資材は一時に定められるのであるか、必要に應じて次々に定められるのであるか、それをお伺いしたいと思うのであります。  次は第三條に「命令で定める農産物」と書いてあるのでありまするが、この命令で定むるところの農産物というものはどういうふうなものであるか。  第四條に「都道縣知事は……命令で定める農産物以外の農産物」ということが書いてありますが、この点は知事が必要と認めたならば、いかなるものであつてもその農産物はいいのであるかどうか。又「実施に関し必要な事項」と書いてありますが、実施に関し必要な事項とはどういうふうなことであるか。  それから農林大臣農業計画を定める際において、都道縣知事意見を聞くということになつておるのでありますが、これはいつ聞かれるのであるか。農業計画公表するというのでありますが、公表方法はどうやつてやるのであるか。  第九條の「重要な農産物」というのは、これは本法第三條によつて農林大臣命令で定めた農産物と、第四條第二項によつて知事が定めたものであるかどうか。  それから第十條の第一項に「病虫害予防又は害虫駆除」と書いてあるのでありますが、予防病虫害共にやる、駆除害虫だけやつて病害駆除はやる必要がないのであるか。尚同條第三項の催告の方法はどうであるか。発信主義によつていいのであるか。その日に手紙を出したならば、その手紙が著いても著かなくても、当り前のときには著いたものとみなすという方法で催告していいのであるかどうであるか。それから第四項の異議の申立てに理由があるかないかということを知事自身で決定したならば、農業調整委員会意見を聽かなくても差支えないのであるかどうか。  それから第十二條会長でありますが、「会長は、市町村長を以てこれに充てる。」と書いてあるのであります。然るに農業調整委員会決議惡いようなことであつたならば、決議又は処分が惡いのであつたならば、知事は独断で処分することができるということになつておるのであります。自分が市町村長であるし、市町村農業調整委員会長として決定したことが惡いからといつて市長村長自身がこれを決定するということであつたならば、市町村長自身会長でない方がいいのではないか。一方の方に決定し、それを否定するところの者が同一人であつたら面白くない結果を來たすのではないか。それから同じく十二條の、選挙するについては代理人を以て選挙を行わせて差支えないのであるかどうか。  第十三條の第一項の「命令で定める面積」というものはどのくらいの面積であるか、以上お尋ね申上げます。
  18. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) ちよつと政府委員からの御答弁の前に、政務次官見えましたので、水害の問題で板野さんから緊急質問がございますから……。
  19. 板野勝次

    板野勝次君 水害應急対策について政務次官にお伺いしたいのですが、その一つは先程厚生政務次官食糧の問題を伺つたのですけれども、私の満足の行くような解答がなかつたのですが、今度の災害相当廣範囲に亙つており、罹災者相当の数に上つておりまするし、こういう災害の際に、当然罹災者に対しては或る一定期間無償食糧が供給されるのが当然だと思うのですが、これに対する今までとつて來られた農林省状態を説明願いたいと思います。  それから第二番目には、災害地に対する農業用生産資材に対してどの程度準備ができておるかという点。  第三番目には、流失したところの種子等も再生産上当然無償で交付さるべきものだと思うのですが、その点に対する政務次官見解をお伺いしたいと存じます。
  20. 井上良次

    政府委員井上良次君) 今回の水害に対しまする應急処置といたしまして、第一番は食糧の問題でございますが、一番ひどい被害を受けました地域、即ち家が流失したとか、或いは又全部侵水をしたというこの二つの家屋の家族に対しましては、これは当然縣の申告に基きまして、差当り必要なる食糧を、厚生省とも連絡を取りまして應分の食糧無償で補給することは当然であります。ただ然らばいつま無償でこれを補給するかということになりますと、一定限度がありますので、これは例えば減水をいたしまして当然復旧の見通しがつきました場合は、新らしく又考えなければならんと考えておりますが、一時の應急処置としては当然無償で以て救済しなければならんと考えております。又そういう処置をとつております。それから一時侵水及び流出しなくても、侵水すると予想されて避難をしました者に対しましても、集團避難をしておるものにつきましては、乾パンその他一時應急食糧配給いたしまして、当座の食糧の補給を無償でいたしております。  それからその次に今度の流出田畑に対する種子の問題、それから農家の再生産に必要なる資材の問題などにつきましては、それぞれ関係当局におきまして調整をとりまして、縣の被害田畑或いは被害農家の実体に即しまして当然補わなければなりませんから、その必要なものだけを被害を受けていない各地方から至急に集めまして、十分手当を加える準備を進めておりますから御了承頂きたいと思います。
  21. 板野勝次

    板野勝次君 政務次官のこの食糧に対するお考えは誠に結構なのですが、或る程度期間が非常に不明瞭なのと、それから私の調査したところによりますると、例えばパン等も一個二円で罹災民に買取らせておるという地方もあるので、それでは無償の所と有償の所があつて、非常に偏頗な処置のように思われるので、政務次官無償適當期間供給する御意志をラジオ若しくは新聞紙等ではつきりと示されて、無償であるということを明示して頂きたい、と同時に、有償で貰つておるというような罹災民に対しては、返還処置をとつて貰う、こういうことをやつて頂きたいと思うのですが、その見解をお伺いしたいと思います。
  22. 井上良次

    政府委員井上良次君) この水害による被害民の救済は、主として厚生省所管においてやつておるのでありまして、今御指摘のようなことが仮にあるといたしますし、これは以ての外でありまして、ただああいう非常事態が生じますと、被害者でない者がただで物が貰えるということで、被害者を裝つてやる人がある関係上、そういう取扱いをする地域がなきにしもあらずと思いますが、これは次第に事態が落ち着くに從いまして、当然又拂戻しその他の方法も講じられると考えるのであります。又仮にその方法が講ぜられん場合は、當然厚生省とよく連絡をとりまして、実際は被害地にそういう不公平なことがあつては大変でありますから、お説のように処置をしたいと考えております。
  23. 板野勝次

    板野勝次君 重ねて恐縮ですが、先程の厚生政務次官お話井上政務次官お話では大分喰い違いがあるのでして、私は井上政務次官の良心的な答弁に対して敬意を表する者であります、どうかその意思で厚生省とよく連絡をとられまして、両省の間に遺憾のないようにして頂いて、罹災者に対する満足救助方法を速かに講じて頂きたいことを要望しております。
  24. 山添利作

    政府委員山添利作君) 第一番目のお尋ねは第二條にあります「肥料その他の資材命令で定めるもの」、その「命令で定めるもの」とは何かということであります。これは生産計画の中に織り込みまして割當をいたしますのは統制肥料だけであります。その他の農具農業藥剤等はこの計画からは外します。と申しますのは、技術的に困難性があるからであります。併しながら農具等におきましても、肥料と同じような趣旨で大体地域を單位として同じ精神で配給をして参りたい、こう考えております。  それから第三條の命令で定める農産物は、命令事項只今配付したかと思いまするが、この米、大麦、小麦、裸麦、甘藷、馬鈴薯、結局米麦と芋であります。  それから第四條の、地方長官農業計画を定めますところの農産物は何でもよろしいかということでありまするが、この法律の目的とするのは重要な農産物であるわけであります。從つて重要なる農産物であると認められる限り特別の限定はいたしておりません。併しその農産物がこの法律の規定によつて取扱うのに相当かどうかということは、又重要なる農産物法律趣旨に照して判断を要することであります。  それから「実施に関し必要な事項を定め」とございますのは、割当をなすべき期限、いつまでに末端まで下して貰いたい、まあこういうような事柄、或いはこの計画最低である、或いはこの計画を本として或る程度アローアンスを認めるとかいうような点であります。  それから農林大臣都道縣知事に、第三條の関係農業計画指示をいたしますにつきまして、都道縣知事意見を聽きますのは、指示をする前に聽くわけです。即ちよ地方長官と打合せまして、適当な計画を作成して、指示農林大臣がいわゆる天下りのみでやらない、併し意見を聽くわけでありますから、必ずしも意見がとことんまで合致しなければならん、こういうわけではございません。  それから公表方法でありまするが、都道縣知事公表をいたします場合には、これは縣の公報或いは新聞等適当な方法を採つてよろしいわけです。それから市町村公表をいたします場合は、これは現にそういうことを通牒を以ちまして、この割当の結果等につきましての公表をいたしますように指示をしておるのでありますが、立看板、立看板というとおかしいのですが……掲示場を作つて、それに貼り出す、こういうことを勧めており、又この法律につきましても、まあ大体そういうやり方をいたしたいと考えておるのです。  それから第九條の「重要な農産物」は法律の第一條に書いてある「重要な農産物」でありまして、結局この法律によつて割当をする等の重要農作物というようにお考えを願えばよろしいと思うのです。  それから第十條の「催告しなければならない」、催告の方法如何でありまするが、固よりこれは発信主義をとるか到達主義をとるこという点でありまするが、大体こういう場合の例といたしましては、発信主義をとる。これはその方が明確でありまして、到達主義であるということになりますると、これはいろいろ爭いの起る因であろうと思います。  地方長官指示に從うべきことを命ずる場合に、都道府縣農業生産調整委員会意見を聽くや否やということにつきましては、意見を聽く必要はありません。と申しまするのは、第十條の関係におきましても、先ず以て市町村農業調整委員会からこれこれの人がどうしても指示に從わない、全体の利益に反するからよろしく頼む、こういう趣旨でございますので、当事者の意見を聽いて地方長官が適当と認める、又必要と認めれば指示をするという規定でございます。  それから十二條に「会長は、市町村長を以てこれに充てる。」とあり、又都道府縣の農業調整委員会知事会長になることになつておる、そうして農業調整委員会決議をしないとか、或いは法令に反するところの決議をするというような場合に、都道縣知事又は市町村長がいわば原案執行権を持つておるのでありまするから、そういう場合にそういう権限を持つと同時に会の会長を兼ねるのはおかしいではないかという御疑問でありまするが、成る程理窟からいえばそういうこともいえると思います。併しながら何と申しましても、この生産割当、供出割当に関する事柄の責任者は、この委員会の議決を経て行うのでありますけれども、都道縣知事であり又市町村長であるわけでありまして、その関係におきまして、全体のこのシステムの運用上から、都道府縣の知事又は市町村長がこれらの農業調整委員会会長を兼ねることが実際の運用として必要でもあり、適当でもあると考えております。  それから選挙についての代理を認めるや否やについては、代理は認めない。選挙に関する規定を設けます場合に代理は認めんということの方が適当と考えております。  それから第十三條の面積につきましては、名命事項の中に書いてありますように、北海道は三段歩、内地におきましては一段歩、この関係は必ずしも生産割当を受ける人、乃至は供出する人と嚴格に一致はしないと思いまするが、農地委員等の選挙もこの標準をとつておりますので、同樣の歩調で以てすることにいたしておるのであります。  大体お答えいたします。
  25. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 いま一つ御尋ねいたします。重要なる農産物ということは、農林大臣命令で定めた農産物だけであつて地方長官農林大臣の許しを得て定めたところの農産物は入つていないのであるかどうか。  それからいま一つは第十條の第一項の第三行目に「病虫害予防又は害虫駆除」と書いてあります。予防の場合においては病虫害を書き、駆除の場合においては害虫だけでいいのであるか。病害虫駆除が必要ないのであるかというようなことをお伺いしたいと思います。
  26. 山添利作

    政府委員山添利作君) お答えを落しまして恐縮であります。第三條の命令で定める農産物と、それから第四條第二項にありますところの命令の定める農産物は同じものであります。從つて都道縣知事命令で定める農産物以外の農産物について指示をするという場合に、先程申しました米、麦、芋の外に雑穀等について生産割当並びに供出割当、若しくは供出割当だけを指示するということを考えております。  それから第十條の、ちよつとむずかしい御質問で、普通の場合でありますると、病害虫駆除予防と、まあ続けて我々は普通言つておるところであります。ところが、結局駆除について病が抜けておるのはどういうわけかというお尋ねでありますが、この虫という方は普通駆除であり、病氣の方はこれは黴菌によるものと然らざる場合とあるわけでありまして、バクテリヤによるところの病氣も多々ございましようが、又それによらないところの冷害の青枯病とか何とかいうものが、これはよく私も存じませんのでありまするが、そういうものによらないような病氣もあるわけであります。そこで要するに予防するということについては病氣の方でも虫の方でも入る。又予防という以上次の年度にその事柄が発生しないような措置をとつて置くということも固より含めてよろしいと思うのであります。現実に起つておるところの害虫駆除ということについては生き物の虫を駆除する。こういうわけでありまして、おのずから病氣と虫の生態が違うというところに、この字の使い分けがあるというわけであります。
  27. 羽生三七

    ○羽生三七君 昨日あらましについて承つたのでありますが、尚又重ねて承りたいと思います。細かいことは後に譲りたいと思いますが、昨日も申上げたことでありますけれども、供出の割当ということは分りますが、この生産計画を立てて、作付からその他の細かいことまでどうしても指示しなければ、日本の農業生産の実を挙げることができないかどうか、この点に対するお考えを承りたいと思います。その細かい作付や個々のことは農民自身の自主性に委して、日本全体でこれだけの食糧が要るのだ。例えば何縣では幾らということを決めて、その計画に基く必要な生産は、もう一切農民の手に委ねて、若し米に代つて沢山他の物が作れるという場合におきましては、代替の比率というものを予め示せば足りることでありまして、このような生産計画を悉く実行しなければ、どうしても所期の目的が達せられないとお考えになつておるのかどうか、この点を私はよく承りたいと思つております。  それから昨日北村、岡村両委員からお話がありましたが、昨日の大臣答弁によりますと、この農業計画を裏付けるものは、政府の予定しておる農業再生産に必要な肥料、その他の裏付物資を予定しておるわけでありますけれども、若しそれが農民には生産計画を実行させ、又必要な供出を要請した場合において、その裏付けとなるべきものが、どうしても実行できなかつたという場合には、一体その責任は誰が負うのであるか。農民は昨日両委員からお話があつたように罰則の規定により処罰されます。併しこれが裏付けとなるべき再生産資材配給を担当する政府当局において、それが実行できなかつた場合の措置というものが何らここに示されておらないのでありますが、これについてはどういうふうに考えておるか。この二点であります。  細かいことは後に讓りますが、要するに細かい生産計画まで一々農民に指し示さなくとも、農民の自主性に委して、細かな割当だけをやる。後の生産については個々の農家の自主的な農業計画、或いは市町村、縣でもよろしうございます、自主的な農業計画に委せる、そういう意思があるかどうか承りたい。
  28. 山添利作

    政府委員山添利作君) 生産責任制の一番徹底した形として、農民諸君の要望される点として、今お述べになりましたような意見もしばしば聞いております。余り細かいことを云わずに幾ら出して呉れと言えば、請け合つた以上は一つやるからと、こう言う。これは農民の立場からいたしまして、氣持のいいやり方であらうと思うのであります。併しこういう生産割当から、それと不可分の問題としての供出割当、こういうことにいたしました理由は、第一に供出割当と申しましても、幾ら引受けて呉れないかと言うときには、固よりその基礎とする、その背景とする生産見込、或いは生産計画というものが当然あるわけであります。從つて生産計画という形をはつきりしませんことには、供出数量ということも又はつきりしない。國としまして供出数量を決めます場合に、現在の状況では幾らあつたらそれで足るというわけのものでもございません。全体の農業生産考えて、その内主要食糧に重点を置いて、この程度は必ず作つて貰いたい。又それが日本の土地利用全体の農業生産の力の置き方として、適当な主要食糧生産計画を立てて、そこで初めて又供出数量を決める、こういう関係になつております。從つて今の供出制度を徹底して……というと言葉が過ぎるのでありますけれども、できるだけ合理的なものにして行こうという場合におきましては、当然この生産計画というものを土台に置いての供出でなければならんと思うのであります。同時に又この供出の基礎であるところの生産に見合う肥料の供給計画というようなものにつきましても、肥料の供出と結び付ける、と申しましても事前の供出に結び付けるわけでありますが、やはりこれは生産計画というものに結び付かなければ肥料の適正なる配給はできないわけであります。米一石に対して肥料幾ら、併し各府縣の施肥慣行等によりまして、肥料の需要量もおのずから違つておる。そこで同じ一石でありましてもそこに差が出て來るわけであります。又生産数量がありましても、家族の人口によりましてその供出量も違つて來る。そういう点、從つて実際の配給生産計画というのに対應するのでなければ、供出数量だけでは適正を期し難い。それからもう一つの点といたしましては、御承知のように生産の割当並びに供出の事前割当をいたしますけれども、その事前に定められた供出数量は、災害等の場合には減らして行くわけでありまして、その減らす場合に幾ら減らすかということは、やはり生産計画の基礎がありませんと明確にできないわけであります。結局そういう生産計画の基礎がありませんと、事前割当が今の坪割当と同じような結果になる虞れも多分にあるわけであります。かれこれそういうふうにできるだけ合理的に、計画的にやつて行きたいということと、又実際上の運用に見ましても、そのことを供出を中心にして考えて見ましても、生産割当というところから結び付いて行く、そういうところから基礎ずけて行くというのでなければうまく行かない。こう、いう理由であります。  それから肥料等が農業計画に予定しました通りの数量が配給できない。若しくはその時期が甚だしく遅れた場合の責任でありまするが、これにつきましては、政治的並びに行政的責任を負うという以外に、別段罰則であるとかというようなものはございませんわけであります。これは農業の生産計画を遂行するという場合に、個人々々にとつて見まして、異議の申立というような制度も途は拓いてございます。固より私は面積等についてそういう場合があろうとは余り考えておらないのでありまするが、ともかく農家の自主的な計画がありますれば、そういうものをも斟酌して、市町村農業調整委員会で最も妥当な、納得の行く計画を定めて、農家に実行をして貰う。その事柄は必ずなし得るところの計画であるわけであります。肥料等の生産につきましても、固より安定本部で立てますところの綜合計画の中の、まあ資材などというものは、結局電力とか石炭とかの配当が中心になるわけでありますが、そういう中で組立てられた全般の生産計画の中での肥料生産、これを忠実に実行いたしますことは、安定本部並びに行政各部の責任であります。このことについて農民諸君に対する公約を裏切る、期待を裏切るということがないようにいたさなければならんのでありますから、場合によつて非常な湯水が起つて肥料が予定通りにできんと、冬の渇水、從つて電力が足りないということはあり得るわけであります。そういう不可抗力な問題からであれば、第一計画惡いじやないかという点になるかも知れませんけれども、ともかく政府といたしましては、こういう制度をとります以上、全力を盡し、又他のものに優先をして、約束された物資資材の供給は責任を以てやる、それについては政治的、行政的責任はある、こういうことであります。
  29. 羽生三七

    ○羽生三七君 重ねて申上げますが、昨日の私の質問に対して農林大臣は飽くまでこの生産調整法は頭にあるごとく、臨時という字のついたごとく應急的な処置である。こういうようにお話になつたのであります。そこで私は、而もこの法律の末尾には、この期限を予め昭和二十四年と規定してあるわけでありますが、苟くも農業生産計画と名がつく場合におきましては、日本の將來を考えます場合には、工業等の関係考えなければならんし、世界の食糧事情等も考えなければならん。ところが恐らく應急的なここ一年や二年の処置として、臨時的な法案であるという場合におきましては、少くとも作付は二回しか行われんわけであります。僅か二回かそこら作付が行われる間、而もその政策が末端まで十分浸透せず、而ももう一つ困ることは、これを明示する期間が一体作付等の明示であります。これが都道縣知事が必要と認める場合は、作付につきましては予め二ケ月の予定期間が置かれておりますが、万一これがその他のものにつきまして早急に計画が立てられて、農家がこれに應する暇がない。少くとも農業に多少経驗のある者は承知しておるのでありますけれども、苗の準備から或いは種子準備から相当用意というものが要るのであります。ところが、それが非常に早急なために何ら準備が整わないでまごまごしておる間に二年ぐらい済んでしまうのであります。こういうことを考えますと、應急的な処置が果してこういう細かいことをやつた方が成績が挙がるのか、或いは大まかな骨子だけを決めて、あとは農家の自主的な計画に任せる方が成績が挙がるのか。これは私は頗る疑問がある。  ただお願いして置きたいのは、私は何でもかんでもよく世間で言われておるような自主性という言葉に絡みまして、一方的の主張だけを申上げるわけではないのであります。飽くまでも日本の食糧事情の並々ならんこの困難性、而も世界の食糧事情がここ一年や二年にすぐ解決されるとは思われない極めて困難なる段階にあるのでありますから、我々が日本の食糧事情を考える以上万全の対策を立てなければならない根本理念において私はいささか欠けるところがないかと信じておるのであります。そういうことを前提として法案考えましても、尚且つこの法案によつて果して所期の目的を十分に達せられるや否やということにつきまして私は相当疑問を持つておるのであります。これは根本理念のことを幾ら論議しても同じことでありますけれども、私は可なりこのことについては疑問がありますので、重ねての質問でありますので、御答弁の点はどちらでもよろしうございますが、極めて私はこれは重大なる関心を持つておるということだけを表明して置きます。
  30. 山添利作

    政府委員山添利作君) この法案の形は固より臨時立法でありますけれども、私は又あなたのお述べになりましたのと同じ予想を持つておりまして、一年や二年で廃めるものならば同じ説であります。
  31. 岡村文四郎

    ○岡村文四郎君 農林大臣がお見えになるのを待つてつた見えませんので申上げます。昨日の農林大臣お話では、この法律とまるで違うような御答弁で非常に不愉快であります。今日はそこで事務屋の大將がおいでになつておりますので、お尋ねしようと思います。大臣は天下りではない、下からの盛り上りだ、こう書いてあるが、まるで天下りだ。それから適地適作と言うが、まるで言うことと全然違うので、全然話にならんですが、一体この法律というものを……何もこういう法律を出さなくてもなんぼでもできるじやないか、こう聞いて見ても、どうもしつかりした返答もない、そこで私は羽生さんのお話のように、適地適作が農業の鉄則でなければならんことは承知しておる。そこで水田だけはこれは米を作るより方法がない。水田は米を作るに決まつておる。そこで畑作においては適地適作を鉄則にしなければ日本の農業は成立たんということになりやしないかと思います。そこで行きますと、非常に無理があつて、適地適作を無視した方法を採れば市町村で困りはしないか、そこでいろいろ心配をして見まして、どうしてもこれはできない点がありやしないか。そこで市町村では非常に困る。例えば調整委員会が会議を開いて決めてそれを公表する。その期間は何ケ月か分りませんが、それを七里も八里もの山奥の所に公表をして、疎い百姓が見て、初めてこれはいかんと氣が付いたのでは遅い。そうするとこれは從わんということになる。これはどうも又相ならんことになるので、こういう百姓を縛つて叩くような法律を決めなくても、なんぼでも方法はある。そこで徳川時代からよく言われるように、百姓は生かさず殺さずというようなことが依然通じておる。誠に情ない。そこでできる方法は、私は昨日大臣に反別をしつかり握らなければならんと言つたところ、いや反別を握ることも困難だ。麦がああだとか、こうだとかいうことを言われておつたが、反別を握つておらんということが間違いなんで、一ケ月前に小川友三氏が総理大臣意見を出した。その質問は、日本の耕作反別に隠れるものがありやしないか、こういう質問に対して片山総理大臣の名で、二割の隠れるところがある。こういう答弁書を出しておる。それから見ても二割は大きいです。例えば米が六千万石あつたとすると千二三百万石隠れるところがある。そこで、何ぼ作れと言つて示して置けば、それでどうしても作らなければならんことに決まつておるなら、こういうことをしないでも必ずできると思う。ところが大臣の肚を聞くと進駐軍のサゼツションによるので、こういうことにならんと工合が惡いというふうにお答えになつておる。そこで本当の事務屋の局長が本当にそう思つておるのか。できるという自信もあり、これでなければ外に方法はないという肚をもつておるのかどうかお聞きしたいと思います。
  32. 山添利作

    政府委員山添利作君) これは進駐軍の方からのサゼツションに基いてやつておるというわけのものではありません。無論こういうような方法について何か可能であるかどうかということは向うから書面が來たことがあります。併しこれを必要ありと認めて立案をいたしたのは日本側でありまして、向うとは関係がないのであります。そこで何故こういうふうにやらなければならんか。あなたが今お話になりましたように、これは正直に申しますと、誰が考えても、昨年の麦が百四十万町歩の作付であつたり、米が府縣の報告によれば二百七十七万町歩であるというようなことは、実は考えていない。やはりそこに二割かどうか知りませんけれども、相当の統計に上つていないものがあるわけであります。そこで統計調査局の下に作況報告の組織を作りまして、統計をきつちりと抑えるわけでありますけれども、その抑えるといえましても、結局はこういう制度によりまして、予めお前のところの作付面積は幾らにして貰いたい、その結果によるところの責任供出は幾らだというふうにして置かなければ、やはり根本的には直らないわけでありまして、統計を掴めばいいと言う、その通りであるといたしましても掴む方法としてはこの事前割当制度、生産割当制度というのがともかく一番正確というとおかしいのでありまするが、とにかく少くとも或る程度の底を抑えるということになるわけであります。ここに二年ばかり年々作付面績が統計上減つておる。それをここで枠を入れて、そうしてこれを一挙に統計を正確にするということも或いは期待が大き過ぎるかも知れませんが、とにかくこれを確実なるものに近すけて行く、こういう考えを持つておるわけであります。例えば麦の割当、これはこの法律によらずして、この法律の施行のための事前の準備というようなことで府縣と打合せておりますが、これにいたしましても、この春の作付以前、供出の割当面積になつた、基礎になりました数字よりも殖えておる。これはそういうことが一つの重要な効果でありまして、こういうことをやりませんければ、來年の春になつて見れば、恐らく又今年報告された面積よりも、まず殖えることは非常に期待がむずかしいだろう。こういうような関係が遺憾ながら今の実際の状況になつておるわけであります。この法律は全体の農業、生産の能率を挙げつつ、その中で主食を重点的に取上げて行くというわけでありまして、大臣お話になりましたように適地適作の精神を持つておるわけであります。即ち米や麦や芋だけを作ればいい。戰爭中のように麦を……。農林統計によりますと、一番多いときには百七十万町歩もやつておりました。そういう場合には、種子は蒔いたけれども種子も穫れるかどうか分らんというような所、即ち甚だしい濕地帶、或いは雪が降つてつてしまうというような、労して効なき所まで進む。そういう点はやはり是正をいたしまして合理的なものにして行く。もとよりこれは主食が重点でありまするから、その方に重荷が懸ることは勿論であり、個々の農家から見ますれば、或る程度無理だという負担の感じを起すということは、これは今の事情上止むを得ない。その程度まではやつて貰うことが必要であると思いまするが、併し狙いといたしましては、全体的な農業生産の能率を挙げて行くということの方向に導いて行きたいという思想を持つておるのであります。言い換えますと、供出を中心といたしまして、これをいかに合理的なものにするかということと同時に、將來に対する方向として、農業生産全体を能率のいいものに導いて行きたい。場合によつては或る地帶では麦が減りましても、飼料作物を作る。自給肥料の作物に或る部分は変えるということも考えて行きたい、こういうようなつもりでやつておるわけであります。
  33. 岡村文四郎

    ○岡村文四郎君 私の質問をしたのは、GHQの指示を受けてやつたということを考えておるわけでありません。よく政府は、例えば縁故米もやつて見た、小包米もやつてみた、それでも足らないといつたように何でもやつてみて、國でも万全を盡して、それでも出ないといつたようなことを聞いている。大変計画しているようだが、それはこういうこともやつておるというように見えて仕樣がない。それで法律を拵えて、我々がこうして議論をして審議をしても、これは軽く見たら駄目なのです。実際に重く見て慎重に審議しなきやならんと思うのに、適地適作主義というようなことはこれのどこにも書いてない。そこで非常に困ることが出て來るのです。例えば内地では仕方がないのですが、北海道に行きますと沖積土の所からは麦が取れます。ところが、それ以外の所では殆ど麦は取れない。ところが例えば村に三千町歩の耕地があつて、沖積土が千町歩しかない、その他の地域が二千町歩、それに一方よりも重い麦の割当をすれば出ないことになる。そうすると麦を作る者は算盤が立たん。そこでそういう所では麦を作つて処置ないから、私はそういう所には麦を作らん方がいいというのが適地適作の主義なんです。それを無理をやればおかしなことになる。適地適作を鉄則にして、やるべきことを書いて貰つてあると、ちやんと物をいえますが、書いてなければ、何を言つても、とても話なんかにならんと思います。答弁されることが法律に触れておらんことが非常に多いのです。それは非常に困ることだが、大臣が法は運用によるとおつしやる、それはそれに違いない。違いないが、局長さんもそれじやいけない。ところが、大臣はいつもおらんのて話にならんと思います。そこで農林大臣が運用するのじやない。我々が運用するのだから、運用するということの建前では法は作れない。そこでよく審議せられないうちには、行政聽が全部作つてやるのなら結構だけれども、立場が違つた者が法の運用をよろしくやると言つても、やる方は違いますからそれではいかん。いかんから今からよく審議して置かなければならない。ところが、これを読んで、法の運用よろしきを得ればというような、そういうことを言つても話にならん。法の運用よろしきを得なくても当然やつて行けるようなことに考えて貰わんと困ると思うのです。私は百姓だから尚そう言いたいのだか知れませんが、これからみて法に出てないことを御答弁になつても仕樣がないので、もう少し法にあることを的確に、天降りでないということを下からずつとやるように、それから適地適作が鉄則主義というのなら、鉄則主義ということを書いて貰いたい。そしてもう少し本文と答弁が合せなければ承服できない。こういうことだけはよく御注意願わなければいかんと思います。
  34. 山添利作

    政府委員山添利作君) そういうことの考慮のために農業調整委員会もございまするし、又特に都道縣知事意見を聞く、固よりこれは合致しなくてもいいわけでありまするけれども、実際問題としてはこれは意見が一致しなけりや行われないものであります。今事実それは府縣の方では実に強い主張をされる。從つて府縣の知事さんとの協議によつてでき上る計画は、岡村委員のお述べきなりましたような目的に完全に合致するものであると私は思います。
  35. 羽生三七

    ○羽生三七君 ちよつと細かい問題に入りますが、昨日私の質問に対して大臣が答えられたことは、問題は米作と他の果樹、野菜等の收益上有利なる作物との、反收でなしに、金銭收入上における特をどうみるかという場合の大臣答弁には、それは價格問題で解決するという簡單なお答えでありました。私はこれに対して重ねて申上げましたけれども、これは私余程大きな問的であると思います。詰り供出のときは大して問題になりません。併し今度いよいよこの法案が通つて、作付面積まで決定されることになりますと、收益上非常な有利な作物を作る人と、それから米作なら米作專門の人との間に、それなら俺は外の作物に轉換さして貰いたい。こういう要求が起りまして、單作地帶にはそういうことは余りないと思いますけれども、多毛作地帶におきましては相当大きな問題になると思います。恐らく村長や知事が非常に困ることになると思います。これらの点も十分何らかの対策を立てて置きませんというと、実際この法案実施する上に非常に私は大きな障害になると思つております。詰り重ねて申上げますが、收穫の差ではないのであります。現金收入上における差の問題でありますが……
  36. 山添利作

    政府委員山添利作君) 非常にむつかしい問題でありまして、この法律実施いたします前提といたしましては、主要食糧價格について適正な期する、又生産に必要なる資材を、十分とは参りませんでも國力の許す限り供給するということが固より前提になつておるわけであります。併じながら主要食糧の価格問題はおのずからそこに消費價格関係におきまして限度がある。どうしても他の比較的重要でないと申しまするか、農産物との間に價格上不利益があるということは免れ難い。それを補います制度が今の報償物資でありまして、結局値段は惠まれないけれども、物の裏附けがある。これは今のインフレの状況では、結局公定價格が安くても、その公定價格で物が買えるということになれば、それで妥當な價格ということになる。そういうような関係、労銀でいいます実質賃金、米價でいえば実質米價そのものを適正ならしめると共に、その実質價値を、今の報償という観念がいいかどうか知りませんが、裏附けをやつて行く必要があると思つております。併しそれだけではやはりいけないのでありまして、他の一般の價格のバランスにつきましても、農産物間のバランスにつきましても、能う限り、又実情がこれを許す限り公定と均衡を保ちますると同時に、こういう制度をやつて行きますると、お述べになりましたように、やはり外の物も或る程度、こういう嚴格なものでなくても、今の野菜の指定生産地における供出のようなものについて、今よりも一層強くやる。今のことは自然といいまするか、関聯して起つて来る問題で、それは予期はいたしておるわけであります。
  37. 竹中七郎

    ○竹中七郎君 本法案につきしまして、農民の方々が非常に恐慌を來しておるというような状態を見られるのは、こういう点にあるのじやないかと私は思うのでございます。從來の供出割当てされましたものに対しまする作附割当というものを現在よりも殖やしてやろう、生産を増強するためにこの法案ができたということになりますと、非常に過重なる負担になる、かように考えるのでありますが、主要食糧を経済上において非常にいい方面を轉作する、こういうものを防止するためにこの法案を出されたのか、或いは大いにもつとどんどんと沢山の供出をやつてやろうという積極的のためにお出しになつたのかという点に対しまして、どういうお考えがあるかということを伺いたいと思います。  若しこの法案が通りました際におきまして出しますならば、政府がお考えになつた通りの供出割当になりまして、生産が出て來る。そういたしますと、肥料もこれに対してどれだけ配給するということがはつきり分つて参るのでございます。そうするときにおきまして、今までは或いは早期割当だとか、或いは追加割当だというような問題が起つて参るのでありますが、早期の割当というものは起つて來るが、追加割当というものはこれからは起らない。肥料は追加割当に加配をやるというようなことはなくして、肥料は或る程度決まつておるものでありますので、農家の方では追加割当のときに肥料をやるので、この肥料政府がストックしておつて、そうして農家を何といいますか、たぶらかすというのか、誠に上手に供出を少しづづ出させる、こういうような点に関しましては、非常に正直な農家におきましては嫌な感じを持つておるのであります。こういう点に対しまして、はつきりした肥料生産というものができて参りましたならば、そういうふうにおやりになるかどうかという点もお伺いしたいのであります。  次に、これが農業会関係におきまして、或いは指導部或いは供出委員というような関係の者がこの調整委員になり、市町村長がその調整委員会会長になる、こういうような民主的になつて來た。こういうふうに考えましてよいのでありますかどうか。農業指導員という者は町村の調整委員会のその主体となりまして、そしてこの供出或いは作付けなどの一つの部門を担当する者でありますかどうかということもお伺いしたいと思います。  それからこの條文の方につきましてちよつとお伺いしたい。第十二條におきまして、「市町村長は、第三項の規定により選挙される委員の外、その委員の定数の四分の一を限り、委員を選任することができる。」というのは、耕作農家の外の人を指すのでありますかどうか。  それからもう一つ、第十八條の「特別の事情のある市町村には、命令の定めるところにより、市町村農業調整委員会を置かないことができる。」、この特別の事情による市町村というのはどういうものか。これだけをお伺いします。
  38. 山添利作

    政府委員山添利作君) この法案に対して農家の人たちがいかなる受入れ方をするだろうかという心持、これは今の平野農林大臣が就任をされまして間もなく六月の二十一日に、地方長官から推薦されました二十五府縣の農家の代表が集まられまして、供出制度の改善についての意見の交換をされたのであります。そのときには満場一致でこのいわゆる事前割当、或いは責任供出制という決議をされたのであります。そこで眞面目な農家にとりましてはやはりこの制度を望んでおる。現在の制度でありますると、余計できればできる程その縣によつて皆供出に吸い上げられてしまう。この制度によりますれば、義務も負う代りにその義務に一定の限界が附けられて、それ以上になれば、その処分は生産者の自由意思によつて特別の値段等を附けて政府に買つて貰う、こういうことになつておりまして、眞面目な人についてはこれはいい制度である、かように考えておるのであります。  それから肥料を報奬物資等に使うか否かという問題につきましては、この法律の建前上、当然肥料は事前の生産計画に対應する所要量を配給するわけであります。報奬的には使用いたしません。但しこの秋の米につきましては、超過供出について肥料を若干配給いたします。一俵二貫目、超過供出についてちよつとこういう色を着けるというようなことは状況によりまして、或いは今後も継続するかも分りません。原則論といたしましては報奬ということは廃止されるのであります。但し供出をしない人は、これは貰えないぞという意味の消極的な意味におけるリンク、これは当然あるわけであります。  それから農業会が今供出等につきまして骨を折つておるわけであります。これは法律食糧管理法の表向きから申しますれば、市町村長責任であります。併し実態上は、市町村は何にもしていないので、農業会にお任せしておるというのが実情でありまするけれども、これは今回の農業協同組合法制定に伴いまして、名実共に市町村長責任になり、而してこの公選されたところの委員が民主的に、生産にしろ、供出にしろ、割当の量も分つて來る、こういうことになります。農業会乃至農業会に代つて設立されます協同組合は、この公の事務であるところの農業計画の割当事務に干與をいたしません。尚農業会におりますところの技術員、市町村に三名乃至四名おられると思いますが、この二名ばかりの人は市町村の職員に移管され、そうしてこの農業調整委員会の職員として生産の割当、資材配給というような事務に掌鞅して貰うということになつております。委員会を置かない特別の事情にある市町村と申しますれば、どこかの島みたいな所で、殆ど交通のない所であります。つまり委員会を置くほどのこともないという特別の島であるとか或いは山間部を指すのであります。
  39. 竹中七郎

    ○竹中七郎君 今の第一の問題の縣下に割当てましたのは、供出によりまして作付割当をせられるかどうかということであります。これより多くなるというと、非常な恐慌を起すわけで、大体今までのものは分つておるのでありますが、これに大体準じたもので、この生産割当をせられるような方途を講ぜられるのかどうかということをもう一度お伺いいたします。
  40. 山添利作

    政府委員山添利作君) この割当につきましては、面積とそれから生産数量、生産数量といいますのは、言い換えて見れば供出数量になるわけでありますが、この二つの問題であります。この面積につきましては、他の方は田全部を成るべく掴まえるようにして行きたい、と申しましても、一挙に、まあ今回の割当の基礎になつておりますのは二百九十万町歩でありますが、これについて疑問があるという実情で、これを一挙に元のように、最高の時分には三百二十万町歩という、そんなところに行くわけのものではありませんが、これは確実に或るものについては把握ができる限度において、それに基礎を置くという方針であります。麦等につきましては今年の……といいまするか、我々が知事さんと相談いたしましたのは、大体昭和十五年くらいの数字でありまして、これは百四十万町歩よりは一割ばかり多くなつておりまするけれども、戰爭中のごとき又数字ではない、この点に限り今の状況といたしましては適当じやないが、大体まあ百六十万町歩ぐらい麦を実際にやつた方がよいのじやないかと今思つております。
  41. 北村一男

    ○北村一男君 只今農政局長が竹中委員の質問に対して、農民はこの法案に対してどういうふうに考えておるだろうか、こういうことの御説明に当りまして、農林大臣就任早々篤農家を全國から集めて、責任供出量と早期割当といふことはどうであろうということをお問いになつたところが、満場一致賛成した。この責任供出量と早期割当という二点に限りますれば、私は反対する者はそう多くないと考えるものであります。併しながらこれは先刻羽生、岡村両委員がお説きになつたように、作付であるとか、その他煩瑣なことが附くから農村が嫌うのです。こういうものが出てからの農村のことをお聞きになつて御判断になつておるのかどうか、私はその点は甚だ疑わしいと思うのであります。現にこれは所を挙げて申上げますが、新潟縣の古志郡北谷村、これは雪が多いときは一丈、少いときでも六尺くらい降る、こういう所へ麦の作付十一町歩を言うて來ておる。その面積だけを言うて來て、生産量とか供出量はいずれ後で言うて來る、こういうふうなことを言つて來ておるのであります。すでに地方においては、まだ審議中のこの法案があたかも成立したかのように心得て、さような無理な割当をする……よそは知りませんが、御承知の通り新潟縣におきましては、麦は百日雪の中に置けばとけてしまう、こういうような所に只今申したような無理な命令が來ておる。百姓は非常に当惑しておる。私はこういう規定を置くことによつて只今申上げたような事態が起きないかということを心配しておるのに、まだ法案の決まらん今日もうそういうことが起きておるのであります。これが農村の生産意欲を非常に阻害する。今政府はこの法案が決まらんのに、そういうことをするということを地方縣知事命令されておるのでありますか、どうですか。先ずその点から伺つて、私は質問を継続したいと思います。
  42. 山添利作

    政府委員山添利作君) 來年の麦の供出につきましても、この法律の定めておるところの精神によつてやりたいという考えを持つておるわけであります。固よりこれは國会においてこの法律が可決をされるという希望に基いての話であります。その場合に先ず供出量というものは、この法案が成立いたしますれば、供出の割当ができるわけでありまするが、その基礎になるところの、即ち一連の農業計画の基礎になりまする生産面積につきましては、この法律が國会の審議を経て成立するであろう期間を待つてつたのでは到底間に合わない。そこで事前の、事前と申しますのは、予めの措置といたしまして、この法律が可決されるであろうという前堤と申しまするか、予想の下に蒔付けに間に合うように、麦の割当、生産作付面積についての協議をいたしたのでありまして、八月の二十一日からでありまするが、それぞれの府縣の打合せという意味で会議を催し、而して面積の割当をして、その面積に基いて、今度はこの法律が通りました後に、この法律に基いての麦の事前割当、この場合には來年の米にも復活して貰う予定であります。そういう準備的な意味合を以ちまして、來年の麦の供出についてもこの法律におけると同じ方式を用いるという意味において、その作付面積につきましてもこの法律に準じて措置をいたしておるわけであります。法律の通る通らないという意味ではございません。行政上の措置としてやつておるのであります。
  43. 北村一男

    ○北村一男君 関連してちよつと……。その措置をお講じになるときには、勿論岡村委員の言われる適地適作ということは御考慮に入れられたものと考えまするが、その点はどうでありますか。我々の所の例を申しますと、私はその適地適作をするという、いわゆる鉄則が一向取入れてない、こういうふうに考えますが、その点はいかがでございますか。
  44. 山添利作

    政府委員山添利作君) 固より東北地方或いは北陸地方についての事情は相当考慮をいたしておるわけでございまして、そういう事情がありますが故に、從來も面積は麦の作付は少なかつた、又今回の地方長官の人と打合せました割当におきましても、そういうような事情は考慮しておるわけであります。全体的の観察からいたしますれば、今のように適地適作と申しますか、或る程度の無理は、これは現在の状況としてやつて貰わなければなりません。併し甚だしく無理にならんという程度にやつておるのであります。併し具体的な場合といたしましては、果して適地適作であるかというような、少くとも割当を受ける農家から見て、疑問のあるような点は全然ないとは断言はできない、そういうことも或いはあり得るかと思います。併し要は、私が申しまするように、ともかく主食の生産を確保いたしまするのが重要な時期においては、農家の立場から見て、可なり無理だという程度のところまでやつて貰うことは、これはお願いをしなければならん。併し甚だしく無理である、或いはまるでやつても効能はないのだというような所に麦作を強要するという考えはないし、又さようなふうにはやつていないと思つております。
  45. 北村一男

    ○北村一男君 只今の例でありますが、申落しましたが、その村は勿論今精々二三町歩しか作つておらんという所に、十一町歩の割当が來たわけでありますが、私の憂えるところは、官廳というものは一遍数字を決めますと、なかなか……これには訂正をするというようなことを書いてありますけれども、我々の今までの経驗から申しますと、一遍お決めになつた数字はなかなか動かさんというのが事実であります。若しもそういうことで貫きますと、そういうことはないとおつしやるでありましようが、私は從來の経驗からいうて、ないということは保証できんという想定の下に申上げるのでありますか、そういうことを貫かれまして、面積に違反したために、三年以下でございましたか、ここに罰則がございますが、お前は懲役であるというようなことになつて、毎年々々懲役に行つて手不足になる、毎年それを繰返して一生……これは何か期限がありますから、一生ということは敢えて申しませんが、そういうふうにして生産ができないから縛るというようなことを継続されるというようなことになりますと、ここに農民の非常な反感が起きる、かように私は憂慮しておるものでありますが、そういう場合はどういうふうにお考えでございますか、又官廳においても虚心坦懐に農民のいうことをお聞きになるかどうか、なるとはおつしやるでしようが、眞にお聞きになりますかどうか、そこをちよつと承つて置きたい。私は今晩実は帰りますので、それを答えなければならんので、はつきりして頂きたい。懇切にお教え願いたい。
  46. 山添利作

    政府委員山添利作君) 罰則の適用につきましては愼重な考慮をいたしておるわけでありまして、無暗に振廻すつもりはございません。で、これは直接に罰則は行かないのです。その農業調整委員会の方で、あれは言うことをきかんから、一つ知事さんに命令に從うような指示をしてくれというときに、知事の方から指示があります。そのときに罰則がかかる。そこで今の米の供出についての、ここにおられる委員長が苦労されたいわゆる強権発動、あれと同じ思想で、いきなり罰則というよりも、それは惡質の人に罰則といいますが、この委員会の申請によつて知事指示命令を出すということによつて罰則の発動があるわけであります。それから言うことをきくかきかんかという問題につきましては、面積の点については、我々が知事さんと打合せました今年の面積については、これは無理のないところの面積だと考えておりますので、これを農林省の方から修正を……農林省の方からと申しますとおかしいのでありますが、私の方の態度としては、縣全体として面積を修正するという考え方は持つておりません。併しそういうようなことでとても駄目だということでありますれば、これは誤りで、少くとも今年是正ができなければ來年は是正をする、ともかくこういうふうに一挙に立派な計画を、完璧を期し難いという部分もございましようから、それは次の年に更に完璧を期したいという進み方をして行きたいと思います。
  47. 島村軍次

    ○島村軍次君 本案の施行に対する予算の総額とその内訳について、特に計算の基礎について、本省内においてどういう予算を、或いは府縣においてどういう予算を、市町村はどうなるか、こういうことについての説明を頂きたいと思います。  尚市長村の調整委員会の構成の問題につきまして、これは勿論会長が町村長でありますが、一体その組織は中間的存在とみなしていいかどうかということであります。即ち市町村の職員と同一な取扱いを受けるものかどうか。又例えば今度の農業協同組合の設立ができまして、協同組合の職員が委員会の兼務をする。逆にいえば委員会で専任を置かれた場合に、それについて農業協同組合の職員が兼務するというようなことは考え得ると思うのでありますが、法制の、法律的な考え方は、丁度國会における常任委員会等の職員と同じような考えで取扱つていいかどうか。この点を伺つて見たいと思います。  それから市町村に対する予算の基礎が分りますれば当然でありますが、市町村委員会に対する経費は、府縣を通じて補助の形になりますか、或いは委員会費用として補助の形式でなくして、委員会へ交付されますか、その点を承りたいと思います。  それから附則の施行期日でありますが、これは極めて重要な問題になつておると思うのであります。例えば只今北村委員からお話になつたように、事前に麦の作付について、道府縣知事と御協議になつておりますが、それが市町村の末端まで移つておる。そこでこの期日の政令で定めるというのは、法律公布と同時にやられる予定であるかどうか。  それから尚その次に、地区の農業調整委員会が成立に至るまでは命令で定める委員会がこれを処理するとありますが、本日お配りになりました命令事項案の中には、私が見落しか知れませんが、ないように思いますが、その点を一つお聞きしたいと思います。  それからこれはどこまでも臨時立法であるようでありますが、大凡今後農業生産の増強を図り、且つ農村に対する責任供出の制度が……二十四年の三月までには今の情勢がそう変化することはないと予想されておりますが、そういう場合に対する措置はどうなりますか。今後この法律が期限が切れましたときには、但書はありましても、その後の措置はどう考えておりますか。それを一應承りたい。
  48. 山添利作

    政府委員山添利作君) 御質問になりましたのと順序がばらばらでありますが、御答え申上げます。  施行期日は成るべく早くいたしますけれども、公布と同時にというわけには参りません。從つて麦の蒔付け、即ち今の生産面積の割当ということについては、この法令によるところの正式な割当ではないので、飽くまで行政措置であります。この法律によりますのは事前割当の供出数量、それからがこの法律に移るわけであります。  それから命令で定める委員会は、現在の食糧調整委員を暫くこの法律によるところの農業調整委員会に代えて、その任務を遂行して貰う。而して農業調整委員会は、來年の三月、即ち本年度の供出の一應完了いたしましたときに、改めてこの法律によるところのもので選挙をするこういうつもりであります。  それから農業調整委員会におきます職員の身分でありますが、これは町村の吏員であります。この委員会の半ばは農業生産の障害排除等に関する統制権、即ち國家事務を扱うところの國家機関の性格を持つておりまするが、同時に又これは市町村に設置されるところの市町村の機関でもありますという考え方をいたしておるのであります。從つてこの費用は市町村から支出になると、又その機関としても市町村の機関であり、職員は市町村の吏員たる身分を持つその職員が、農業の協同組合に兼務をしてよろしいか、或いは逆に農業の協同組合の職員が委員会の職員の兼務をしてよろしいかという問題につきましては、事柄の性質上、身分は協同組合の職員がこの委員会の職員を兼務するのではなくて、やはり独立の職員、委員会の職員としての身分を持つ、必要があればその人が協同組合の事務を一部分を手助けをするというような意味において、兼務をするという関係ならば敢えて差支えないというように思います。  予算の点でありまするが、これは一年間を通じた予算の方が分りが早いですから、六ケ月にしないで……。
  49. 島村軍次

    ○島村軍次君 御説明を求めんでも刷つてつて頂いてもいいと思います。    〔「そうして頂きたい」と呼ぶ者あり〕
  50. 山添利作

    政府委員山添利作君) それでは印刷物を配布いたします。
  51. 河井彌八

    ○河井彌八君 それに関聯して……。印刷物の数字入りのやはり相当詳しいものを議員に印刷して分けて頂きたい。  それから参考書類として配布せられた中に、農作物の作付面積というのがあります。これも一体來年度の計画もどういうふうになつているかということを、例えばここにある稻、麦、燕麦類というものを、やはり今後の少くとも次に來るところの年度の生産計画面積というものが、どうなつておるかをやはり数字で以て示して頂きたいと思います。
  52. 島村軍次

    ○島村軍次君 ちよつと今のに關聯して、只今の予算の方はそれで結構だと思いますが、市町村に置かれる職員といいますか、二人の予定だということでありますが、この配当というようなものは、國でお考えになる予定でありますか。或いは府縣にお委せになる予定でありますか。
  53. 山添利作

    政府委員山添利作君) 詳しく申しますと、全市町村のうち二割の市町村については一名、八割の市町村については二人というのが予算の基礎になつております。そうしてどの市町村にどうするかということは府縣に委せます。
  54. 岡村文四郎

    ○岡村文四郎君 大臣が各府縣の篤農家を集めて御質問になつて、非常にこれはいいことだといつて喜んでおられたというような話であります。これは尤もそうなんでして、我々が昨日も述べて來たことは、段別も何もないことだから、それを数字だけ作付前に言つて呉れ、そうすると、それに基いて作付けするということを言つて來たが、一向何もしないでこれまで來た、それで政府は作付がふらふら変る、何にも当てにならないということを言つておられるが、一体どうして日本の耕地の実測をしないか。日本の農地はこれだけやつてこれだけ取れるということを政府がなさつておればいいと思います。それが分らないから、いや麦が入つた、米が入つた……。やるべきことをやらないで置いて、百姓を当てにしてやつておるものだからそういう結果になつた。それを急速に始めて、本当に日本の我々の食う食糧を作る耕地が一体何ぼあるだろう、それを此処はこれだけ作つて、こつちはこれだけ作れとも何も言わないで、これだけ出せ、それをちつともおやりになる計画もないし、やろうとしないから、だからふらふらしておつて基礎もない。日本の本当に大事な食糧の基礎たる耕地の耕地面積の調査をする意図があるかないかということをお聞きしたいと思います。
  55. 山添利作

    政府委員山添利作君) 地租改正時分にできました今の耕地の面積をまだそのまま使つておる、由來六十年以上も経過しておる。こういう状況でありまして、何と申しましても絶対的な耕地面積を把握いたしますことが根本であります。併しこれをどうやるかということにつきましては、相当のやはり年数も掛かり、又莫大なる経費を要するわけであります。併し全体を測量するとか、何とか、そういうむつかしいことでなくても、一筆調査というようなもの、又正確な耕地図、これを作ることにつきましては、現に或る町村にはできておりまするし、或る町村にはできていない。そこでできていない所には是非やりたいというので、統計調査局を中心にして、來年度の事業としてこれは考えております。結局予算の問題ということになります。
  56. 河井彌八

    ○河井彌八君 最後に一つ……。この案を拜見いたしましても、本当に日本の食糧が十分な生産ができて、國民が安心した生活ができるかどうかという根本の安心が私はまだできない、こういうふうに考えられるのであります。つきましては、どうぞこの次の機会に、大臣からいかなる食糧の増産計画を持つておるかということを一つはつきりとお示しを願いたいのであります。私の考えでは実はこの間の経済実相報告書等によりましても、昨年は八十六万一千トン放出せられたので、それでとにかく助かつておるということであります。それから今年はこの九月十月の端境期の危急を救うために六十万トンの放出を得て、総計百六十万トン、その外にまだ若干放出せられたのでありまするが、それでとにかく凌いで來ておる、こういうことでありますが、昨年の輸入の八十六万トンについて見ましても、政府の説明書によれば、大体それだけの代金は外國に拂つてないじやないかというふうに思われるのです。然らばこの百六十万トンの輸入を見て、この点からこれはどうしても放出を許可されなければならん、これは実に有難いことでありましたが、併しその代金がどうして拂われるかというふうなことなども考えますると、生産計画がこれまでのようにだらしなく続いておるならば、どうしてこれで生きて行くかということを考えなければならんのであります。言い換えれば、明年はどうするか、明後年はどうして我々は賄つて行くかということ、いつまでも外國にこれを依存しなければならんというようなお考えは、これはどうしても捨てなければならんときに今來ておるのであります。でありまするから、願わくば、私は大臣から來年度はどうやつて行けるのだ、そうすれば自給政策が立つのだという考え方から、はつきりした政策をお示しを願いたいのであります。  私の考えでは、例えば昨年度八十六万トンと申しますれば、米に換算しまして五百七八十万石であります。そのくらいな増産ができれば間に合うことならば何でもないと思うのであります。それから百六十万トンの放出が今年入つたといたしますれば、千百万石か二百万石の不足であります。それだけを内地で作るということは私は政策の轉換によつて必ずできるものであると確信するのであります。これができなければ我々國会議員としてここに席を列して國家のことを議するに足りないものだと思います。政府の方もやはりその方策に從つて自給できることを決意して実行せらるべきだと思う。いつまでも外國に頼つておるというようなことであつては到底國は救われない、かように思うのであります。どうかそういう意味において、一つ大臣からはつきりと、いかなる方策を以てどういうふうにして來年度から自給自足できるのだということを一つ言明して頂きたいと思います。私供も及ばずながら意見を持つておりまするから、私もその場合において述べさして頂きたいと思うのです。局長は特にその任に当つておる中心のお方でありまするから、よく大臣お話下さいまして次回にかような点についてはつきりした説明を與えられることを、局長を通して大臣にお願いいたして置きます。どうぞそれだけお願いします。
  57. 木下源吾

    ○木下源吾君 これは米價、値段と資材ということが非常に重要なので、これがいわゆる適正な米價ができることと資材が円滑に農民の手に入る、こういう面からこの法案と関聯して少しお聞きしたいのであります。この生産及び供出を確保するという、成る程供出は確保できるでありましようが、一体生産がこの法律の下で確保できるのかどうか。実際私は生産を確保されるためには農民の農業に要るいろいろな資材生活物資というようなものが円滑にそうして適正な價格で手に入らなければならん、こう考えるのであります。それに対する方策がこの法案では見当らないのであります。他で何かそれをやるというならば、どういう方法でやるのかということを一つお尋ねしたいのであります。  それからもう一つは、米價でございますが、これは大臣からも聞いておりますし、又大体において分つておるような氣もするが、どうも不合理な点があるように思われます。かくのごとき米價は決して農民が喜んで供出する條件を備えておらない。これは大臣農林当局もそうお考えになつておることだと私は考えるのであります。そこで何とかしてこの不合理な米價を、もつと合理的に決定するということに、これは当局に御盡力をして貰わなければならん。元來今度の賃金、物價の体系でも、成る程物價が六十五倍、賃金が三十倍そこそこだ。この賃金はどうして一体そういうように率が低いのかといえば、総理大臣が言つておるように、能率がその当時よりも低いのだというようなことが言われておるのです。そんな米價の割合において、米價が四十八倍、そうして逆に資材が六十五倍、そこのところはどうも不合理だ。そうして一方賃金の面においては抜目なく質を十分に計算に入れておりますが、農民の側のときには、農業用資材の質の低下ということに対しては更に留意しておられん。鎌であろうが、鍬であろうが、質的に低下しておるという面には、一つも考慮を拂つておらん。こういうことの不合理を教え來ればもう果しがない。大正九年農業経済のどん底で米價の非常に不利な時期の基準であつたり、数え來ればこれはもうきりがない。よつて來る原因は、農村が歴史的な封建制の下において虐げられ、資本主義の重圧の下に苦しめられて、半ば打ちのめされておる階級である。故にこそ、そういうような生産價格の低いものでも買手に相場を附けられて、そうして自分の品物を手離さなければならんというような地位にある。それが一切を原因しておるのであります。併しながら昭和九年、十年当時の農民が、この大きな戰爭を経て、当局考えておるように農民の知識の水準、文化の水準がまだその当時のように低いところに低迷しておるかどうか、私はそうではないと考えるのであります。この際農民の水準が向上しておるにも拘わらず尚且つ供出の度にこういうような方法を採らなければならんというならば、もつと率直に農民は大切である、農民はその業は崇高である、にも拘わらず他の者よりも大きな犠牲を負担して貰わなければならないということを、政府が率直に具体的に何らかの面でこれを現わさなければならんのじやないか、こういうように思うのです。そういう点に対しては非常に用意が足らないじやないか、こういうように思うのですが、恐らくこの面の法律を見ても、尚供出という文字を使つておることは私は甚だ今日では不適当だと考える。ですから農林当局は正に農民の役所であり、農民の味方でなければならないのであるからして、この委員会も農民の立場からのいろいろの質問、その要請に應えるために強く工業或いは商業方面に対してバランスのとれるだけ努力を拂つて貰わなければならんし、それをやるだけの決意があるかどうかということを先ず私はお聞きしたいのであります。そういうことは甚だ抽象的でありますが、全般の個々の問題については同僚各位からいろいろ御質問があるので、一つ大局的にそういうような決意を持つておやりになるかどうか、むしろ大臣に対する質問で、大臣に聽こうと思つたのですが、機会を失しておつたために局長にお伺いするのです。  更に一点、北海道の米價を、形の上ではどうあろうとも、実質的に何とか、一口にいえば高く支拂つて買上げるという方法考えておられないか、こういうことです。実際北海道の場合は、生産のために春早くから、又面積を沢山耕やすために保有米も沢山要ります。又面積が廣いために畜力を沢山使う。水田の所では馬糧がないために、その米を何とかしなければ馬糧が手に入らん。いろいろの特殊な事情で、あの寒い所で米を穫るまでの苦心というものは本当に並々ならんものがあり、今日と誰も余分な苦しみをしておるのであります。北海道の特殊性をいえば、北海道だけはそれは到底そういうことは容れられない。一言の下に刎ねつけられるのだけれども、この法案を見ましても、何かの委員を選挙するものは、内地では一反歩、北海道は三反歩、僅かにそういうようなものを拾い出すということは何でありまするけれども、とにもかくにも北海道の特殊性というものは実際にもあり、又認めておるのでございます。これは何らかの方法で、北海道の農民を一つ工夫して頂かなければならん。尚併しながら、北海道はこれを堪え忍んで政府の意図するところに從がおうという反面においては、多大の犠牲を拂つておらなければならないのであるということを一つ御認識を願いたいと思います。  北海道の農民は我々の先祖が行つて以來、それは米を食つて開墾した者や麦を食つて開墾した者はございません。今日欠配が続いておるといわれますけれども、我々の子供の時代においては、米も麦も食わんで育つたのであります。だから辛抱せい、犠牲を拂えといえば、それは前途に光明さえあればどの位でも拂います。併しながら、それが当然かのごとき、そういうことは私は非常に苛酷ではないかと考えるのであります。ですからこの点について、やはり農林当局においては、是非一つ北海道のことについて特殊性を考えて頂きたい、かように考えるのであります。
  58. 山添利作

    政府委員山添利作君) 只今農林当局の御鞭撻を頂きましたが、この農業生産調整法の方式を実施いたしますにつきましては、前提として食糧農産物の米麦等の價格の適正を期し、又その生産確保に必要なる資材は、國力の許す範囲の最大限においてこれを供給するということが前提になつておるわけでございます。かような條件に対して政府が努力することなく、農民にのみ責任をかけるということは正しくないわけであります。こういう制度を実行いたしますにつきましては、政府といたしまして御指摘になりました價格資材という問題について、責任は勿論從來もございまするけれども、一層加重されたということを痛感いたしておるのであります。  米の價格につきましては、これは最もむずかしい問題であり、農林大臣は絶えず苦労をされるのであります。特に現大臣はこの價格問題につきましては、強い意見を持つておられます。この実現について努力をされておりますが、我々農林省におります者といたしましても、これらの点には固より十分に努力をいたすことは勿論であります。事務的に今の價格の問題を考えて見ますると、これは申すまでもなく、例のバリティー計算という方式でやつております。これが若しすべてのものが公定價格でのみ取引されるということを仮定をいたしますれば、そういう仮定の條件におきましては、バリティー計算は農産物にとつて十分であり過ぎることになるべき筈であります。然るに実際はそうじやない。そこで賃金等を考えます場合に、配給のものの外に、実際栄養補給のためのもの、それは闇で行く、そういうことが考慮される。米の場合におきましては、その点は考慮をされていない。况んや先程御指摘になりました農機具等の質の低下というようなことは考慮されていないのであります。昔五年使えた農具が、今は二年であるというようなことが見込まれていない、そういうことが見込まれていないから、丸々米の方は割損かといえば、それは今の工業製品は僅かに三割前後の生産である。米は戰前に近い生産であるという事情の下においてバリティー計算を採つております関係から、そこは米の方についても相当程度埋合せをされておるという関係になつておると思います。いずれにいたしましても、このバリティー計算ということを根幹にして、その内容の改善を図つて行くということは、どうしても必要だと考えております。併しながらこれは御承知のようにむずかしい問題であります。農林当局の立場といたしましては断えずこの事柄に努力し、又こういう制度を施行するについては一層の努力をいたしますという考えでおるわけであります。  それから資材の点につきましては、先ず以て手取早い増産といたしましては、科学肥料を増産することにつきましては、來年の米は段当り硫安、窒素肥料五貫目は配給できる見込みであります。これを割ることはございませんと考えます。この科学肥料等については著々増産を図つて参りたい。問題は農具の点に相当あるのであります。戰が済みましてから後に、軍用等のために持つておりました資材、或いは軍用であつた資材の用途轉換というようなことから、一時鋼材等も出廻りまして生産も殖えたことがございます。そのために又非常に品質不良な農具が沢山出た。ところが、そういう資材も一巡使い果して、今年になりまして物資需給計画に基きます配当が非常に少い。本來からいえば鋼材にして年貫三万トンぐらいを要する。又戰の終り頃でも一万五千トンぐらいは使つてつたのが、今年は僅かに六千トン、この鋼材が非常に少いということが癌になつておりまするが、これも石炭増産等と関聯して鉄鋼の方も、非常に貧弱でありますけれども、幾らか上向くという状況でありますので、農具に関する問題は資材が重点でありますからこの方面には十分の努力をいたしたい。  又その取引と申しまするか、配給関係につきましては、一般の物資と同様私的独占の撤廃に件いまして、切符制度によるところの割当制度になつたわけであります。これにつきましては消費者たる農家の方が協同組合等を通じ、その團結の力によつて需要者と声を反映せしめ、そこに相当の活動と迫力を持つというような動き方を希望をいたしております。政府といたしましてのメーカーに対する監督、配給業者に対する監督、これはもう十分いたすつもりでありますけれども、何と申しましても大勢のことで、手の届かない、目の届かないところも多々あります。農民諸君の團結によるところの且つ自主的な活動と相俟つて、この方面の改善に努めて参りたいという考えを持つております。  それから北海道の農物産の價格について、特別な價格を認める必要があるという意見につきましては、しばしば北海道の方からその意見を伺つております。私も合理性があると思います。併しながら價格制度をとる以上、成る程地域的価格ということも考えられないことはありません。精密にやればそういうことになるわけでありますけれども、実行上そういうわけには行かない。そこで北海道に限りませんけれども、北海道その他單作地帶において、特別生産費が余計掛かるという事情については、できるだけそれを埋合せるところの措置をとりたい。一例を申しますれば農業保險——東北、北海道は冷害で非常にそういう損失が多いわけでありまするが、冷害を農業保險の対象に取り込む。又それに関するところの保險料は國が持つ。殊にこれは消費者に轉嫁になるわけでありますけれども、そういう措置、これはすでにこの國会に法案を提案して実現することになつております。その外にも、例えば御指摘になりましたような、特別にその地方だけで米を生産しようとすれば掛かるというような費用は、到底全國平均的に一本の米價を以てカバーし切れないのでありまして、財政事情等が許すならば、そういう生産費の掛かる特別のものについては補助考えるという考え方を以て努力はいたしております。
  59. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 本日はこれで散会いたします。    午後四時七分散会   出席者は左の通り。    委員長            楠見 義男君    理事            木下 源吾君            高橋  啓君    委員            太田 敏兄君            羽生 三七君            北村 一男君            柴田 政次君            西山 龜七君            岩木 哲夫君            木檜三四郎君            小杉 繁安君            竹中 七郎君            石川 準吉君            宇都宮 登君            岡村文四郎君            河井 彌八君            島村 軍次君            藤野 繁雄君            松村眞一郎君            板野 勝次君   政府委員    厚生省政務次官 金光 義邦君    農林省政務次官 井上 良次君    農林事務官    (農政局長)  山添 利作君