○島村軍次君 先般私から今度の
協同組合の性格について、
生産態勢の
確立の問題をお尋ねしたのでありますが、その御
答辯は極めて抽象的であつたと思うのでありまして、
生産増強の裏附になるべき
對策について重ねてお尋ねを申上げて見たいと思います。例を擧げますと澤山あると思うのでありまするが、少くとも私は供出の徹底を圖り、食糧増産の強化をして參りますのには、
農業資材中なかんずく農具の問題が一番必要だと思うのであります。ところが、農具用の鐵材につきましては
昭和十五年の割當が三萬一千五百トンに對して、戰時中漸次減退をいたしまして、二十年には終戰の關係もありましたが、一萬二千四百トンになり、昨年は特殊物件の放出がありましたために、約三分の二の二萬トンを
確保されたようでありまするが、二十二年におきましては、現在の計畫は僅かに八千トンにしか過ぎない。而してそれもなかなか割當はありましてしも、實際の品物がない、こういうことになりまして、
農業協同組合が自主的に今後の増産を扱
つて行くというような點に對しては、
政府の施策がびつこになり、それが非常に深くあると思うのであります。内容を檢討して見ますると、勿論今日の
資材の不足の場合でありますから、
農業の
生産増強にのみこれを向けるということは困難であろうと承知いたすのであります。併し
農村における農具の製作が、戰後におきまして相當擴大せられたとは申しまするものの、實際の
資材の面に至
つては、全く
只今申上げたような數字を以てしても非常に貧弱を覺えざるを得ないのであります。而もこの取扱をや
つておりまする安本とか、或いは商工省等の關係におきましては、
農村の實態が取扱者に十分了解できない、
農業省の力が足りない。平野農林
大臣は到る處に行
つて、この食糧増産の點と、そうして供出の強化を圖ると共に、裏附については相當強き御
意見をお持ちにな
つておるようでありますが、事實がそれに伴わない。これは今の數字を以てしてもこれを斷ずることができると思うのであります。こういう面に對しましては、將來
農林省としてはどういうお
考えにな
つておりますか、或いは又本年度においての
農業生産資材確保に對する積極的な御所見如何、これについて御
意見を承わ
つて見たいと思います。
それから
農村金融の問題につきましては、先般私は數項に亙
つて御質疑を申上げたのでありますが、終戰後における
農村が混亂の中において尚且つ安泰になし得たということは、私は
從來の
農村金融に對する
農業會の力が非常にあつたということを確かに認めざるを得ないと思うのであります。今度の
協同組合に變りましても、この金融問題は非常に重要なる問題でありまして、これを若し下手に取扱いますというと、
農村は破滅の傾向になることも當然と
考えざるを得ないというような趣向にあることを誠に遺憾といたすのであります。それは
農村が
特殊事情にあることは當然でありまするが、この金融問題については、都會集中或いは金融の統制に熱心なる餘り大藏當局及び
農林省内におきましても、私は必ずしも
農村金融に對する
意見が一致しないということを耳にいたすのであります。もつと
農村の信用、金融問題に對しては國民全體が強い關心を持ち、且つこれを育成して行くという積極的な部面が必要であると思うのであります。萬一この際
協同組合の設立と共に、この
農村の金融部面が混亂を來すということになりますというと、増産の上には勿論のこと、國家全體の上にも非常に影響を齎らすことは勿論であります。又それがやがて非常なこの
農業の發達に、將來の我が國の
農村の發達に非常な惡影響を齎らすということを特に銘記しなければならんと思うのでありますが、尚今日の情勢から申しますると
農村の内部におきましては、すでに資金が枯渇いたしまして、そうしてこの醫療費等には貸出がどんどん殖えて行くというのが現状であることは、幾多の實例があると思うのであります。これは何を
意味しておるかと申しますると、やはり
農村の金融逼迫の情勢にあることを
意味するのでありまして、恐慌の一部面だと
考えていいと思うのであります。こういう問題に對しては更にこの金融全體に對する而も大藏當局の御出席を願
つて、この
農村金融に對するもつと認識を深くして頂きたいと希望いたすのであります。私はこの際
農村金融に對する大藏當局の出席を要望いたすのであります。御出席後において金融問題に對するお話を大藏當局にも申上げたいと思うのであります。
委員長の方でさようにお計らいを願いたいと思います。それから項を分
つて、數が多いですから
一つお許しを願いまして、細かい問題にも入
つてお尋ねをいたしたいと思います。
第一は、本法施行期日の豫定如何。第二は、
農業會の存續が八ヶ月とな
つておりますが、この解散は行政的措置を講じてやるのであるかどうか。第三は、
農業會が現に行な
つておりまする行政上の事務、即ち農産物の供出督勵、或いは指導、或いは報奨物資の
配給、
生産の
調査指導、こういうふうな國家行政の部面を擔當しておる事項が少くないと思うのでありますが、今後においてはこれに對して
政府の現在ある機構を以てしては頗るこの
實施の徹底が困難だと思いますが、それに對する
對策如何。第四は、現に
農業會では系統的に事務をや
つておるのでありますが、この
協同組合法の施行と共に、すでに直ちに解散を豫定しておるところもあるし、又事業を停止しておるところもあると思うのでありますが、これらに對していかなる措置を取られんとするお
考えてありますか。第五には、
農業會の資産、負債を
協同組合が解散後において讓渡を受けるという
説明を承わりましたが、
農業協同組合が自由な立場において設立する場合において、
農業協同組合の設立ができないところに對してそれらの施設の讓渡をいかに措置するか。第六には、市街地等における現在の
農業會の金融部面を總括的に取扱
つておるものに對して、これを
政府としては市街地信用
組合の設立をやらせるか、即ち産業
組合法によらせるか、或いは準
組合員として利用せしむるか、これらに對する
政府の所見如何。第七には、先般も申上げましたのでありまするが、現在系統
農業會の職員は約五十萬に垂々といたしておると思います。而した來たる三十日にはこの從業員
組合の全國的な會合を行いまして、完全雇傭に關する決議をし、當局に
陳情するということを新聞紙上でも拜見をいたし、且つそういうことを承わるのでありますが、究極するところ全部のものを
協同組合に吸收することが困難であると思うのでありますが、これに對して
政府はどういうお
考えをお持ちにな
つておるか、尚特に指導部面につきまして、技術員の數は約三萬以上を算すると思います。これらに對する措置如何。それから次に、連合軍の司令部から一昨年十月であつたと思いますが、
農地改革についての覺書の中に適正な
農村長期及び短期信用の
普及確保云々のことがあつたと思います。これに對してどういう措置を講ぜんとするか、これは
農村の金融の問題と合せて重要な問題でありますので、
政府の御所見を承わりたいと思います。尚系統
農業金融機關でありまする農林中央金庫に對しましては、この
協同組合法の
制定と同時に提案されて、その
對策が講ぜられるべきだと思うのでありますが、併し何らの御
説明もなく、この措置をいかにされるか、以上數項に亙
つてお尋ねを申上げたいと思います。