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政府委員(
井上良次君)
大臣が早くから参りまして、當面しております
食糧危機に對して皆様方の御協力をお願いし、且つ
政府の考えております
對策についてのいろいろの方針をお話を申上げまして、何かと御協力御鞭撻を仰ぎたいということで、
大臣みずからも考えており、我々亦これに参畫しておる者も考えてお
つたのでありますが、何分にも當面せる遅配
對策のために追いまくられております
關係上、今日まで本
委員會に御相談を申上げる
機會がございませんので、甚だ申譯がない次第でございます。特に七月から十月に至る大端境期に對しまして、全く皆様方の御協力を得ませんと、この端境期は切り抜けられませんし、又現に當面しておる遅配
對策に對しましては非常な御理解を得ませんと、なかなかこの事態も克服ができません現状にございますので、大體のあらましを御
説明いたしまして御了解を得たいと思うのであります。御存じの
通り片山内閣ができましてから、第一次に取上げたものが經済
緊急對策であります。この經済
緊急對策の第一に取上げました問題は、當面せる
食糧危機
對策であります。この
食糧危機突破の
對策といたしまして、安本を中心に
關係各省において
決めました
對策が第一次、第二次
對策としてすでに閣議
決定で發表された案でございます。この
對策は、何故にそういう
對策を立てなければならんことにな
つておるかという問題でございますが、これは本年七月一日に即ち片山内閣ができまして、實際これから、時局を擔當し、又現實の
食糧對策を樹てるに當りまして、これから十月までのこの年度の
食糧對策と、十一月から新しい年度への切替の場合に對する我々の態度、この
二つの問題を考える時に、當面する七月から十月の間に實際どうなるかというこの見通しの上に立
つて非常
對策を立てざるを得ない現状に
なつたということであります。それは七月一日現在で
政府の手持米が百四十六萬五千石の手持米でございます。これの外に本年穫れますところの麥、馬鈴薯、それからこの秋の早場米、早堀甘薯、これを加えまして全體で以て八百六十一萬八千石、この七月から十月に至る四ヶ月間の
需要總量は千六百五十二萬石、この千六百五十二萬石の
需要量に對しまして、今申します
通り國内の總ざらいをいたしましても、ここで大きな赤字が出て參ります。そこでこの赤字をどうするかということで、實際これから十月までの大きな端境期を控えてのこの大赤字、我々が昨年十一月、時の
政府と二合五勺を
配給基準量にする二十二米穀年度の米穀の自給推算を立てました時には、大體米及び雑穀で三千萬石餘り、麥、馬鈴薯は平年作、
外國食糧は大體二百萬トンという推算の下に立てたのでありますが、ところが米はその當時一一〇%と供出するという案が一〇六%の頭打ちの
状態で以て、その以上はもう進まない。このために百五十萬石といふ米がこげついて供出未納の
状態にある。それから麥、馬鈴薯が氣候不順の
關係で以て平年作二千三百萬石ぐらい穫れる麥が、本年は千五百五十萬石しか収穫ができなかつた。このためにざつとここに五、六百萬石の赤字が飛び出して來た。その上に我々が當てにいたしました二百萬トンという
外國食糧の輸入が、ヨーロツパにおける
食糧の
生産の非常に惡い
状態、それからアメリカにおける陸上輸送、海上輸送の
關係、我が國の貿易のバランスの
關係等が惡
影響いたしまして、豫想いたしました二百萬トンの約三割減の輸入しか見ることができ得ない
状態に
なつたということが原因をいたしまして、逐にこの七月から十月までの四ケ月間において約二百三十四萬石の赤字を出さざるを得ないことにな
つたのであります。今少し詳しく正確な数字を申上げますと、最前申しました
通り七月一日現在の繰越米百四十六萬五千石、それからそれに麥が四百十萬五千石、馬鈴薯が七十六萬二千石、本年穫れます早場米が百二十九萬八千石、早堀り甘藷が九十八萬九千石、これの合計八百六十一萬八千石、その上に七月から十月に至る
外國食糧輸入見込豫定量五百五十五萬二千石、合計千四百十八萬石、これが七月から十月迄の
供給量であります。そこで
需要量は、最前申しました
通り、千六百五十二萬石、差引
不足二百三十四萬石というのが七月から十月に生れて來ますところの赤字であります。更に六月末までの赤字が百五萬石程ありますので、合計いたしますと赤字は三百四十萬石近くになります。そこで大體二
通りに分けまして、
一つは八月から十月に至る四ヶ月間においていかに馬鈴薯の供出を百パーセントに進行さすか、同時に
外國食糧輸入を
圓滑に進めるか、それから麥、早場米、早堀り甘藷を豫定
通り進めるかということによりまして、今申したような数字が
確實に越るのでございますから、それが豫定
通りなりませんと、この遅配の数字は更に大きなく
つて參りますから、それを
確實にやるために必要な措置を講じなければならない。
そこでその
一つといたしまして、七月から十月の間における
對策として立てましたのが第一次の
緊急對策、この赤字約二百三十四萬石をどう一體埋めるかということと、この遅配を擴大しない
對策をどう講ずるかという
二つの考え方において第一次の
緊急對策は立てられておりまして、第一次
緊急對策の重點になりますものは、
一つは往來の
主食中心の物の考え方から、綜合的な榮養を
確保することによりまして
國民の最低カロリーを保障する、こういう建前に
一つやろうじやないか、即ち
主食を中心にして、
生鮮食料品或いは加工水産物、
調味料、こういうものを
増配することによ
つて、
主食の
不足分を補うて最低カロリーを
確保する絶對的な必要量を抑えて行こう、こういう考え方をこの際採用しようじやないかというのであります。
その次は、今度の
緊急對策は、大體大
消費地中心主義に考える。何と申しましても、遅配はどんどん擴大して參りますけれども、その遅配は擴大すると雖も、東京と
生産縣における小都市とは同じ
食糧不足においても違うのでありますから、やはり大
消費地を中心に
緊急對策を考える。
第三番目は、經済
復興を圓らなければなりません
關係上、勤勞者の食生活を
確保するという建前を貫く、
從つて勞務加配は基準量を切らずに
配給する。こういう三つの建前が今度の
緊急對策を貫いております考え方であるのであります。
そこで第一の考え方として申して置かなければならん問題は、
一つはこの二百三十四萬石を全國に平均いたしますと、大體一六%の遅配の平均化をいたす、
生産縣と
消費府縣との遅配のでこぼこを直す必要が起りましたので、そこで計量的に大體全國一六%の基準において切るというやり方を採
つたのであります。そういたして置きまして、最前申します
通り、完全に二合五勺の
配給を二十五日なら二十五日續けるに必要なる基礎的な
配給を
確保する
對策を考える。それは當面の問題は麥、馬鈴薯の供出を完全に行
つて貰う、それに必要なる肥料とか或いは報奬
物資とかいうようなものを裏付けいたしまして、十分百パーセント完納できる
對策を考える。同時に製粉、精麥、輸送等の能率が惡いということではうまく行きませんから、そういう面における
對策を十分考える。これは東京、神戸、それから横濱等に輸送
緊急對策本部を作りまして、
外國食糧の陸揚げ輸送等についての
圓滑なる綜合
對策の本部を作りましてやりたい。又これが、あとで
説明をいたしますが、更に絶對起
つて參ります月五日乃至四日の計量遅配に對しまして、これはなんといいますか、生漁
食料品、或いは
調味料、水産物の加工品で
増配をして、大
消費地の者には多少最低必要量をカロリー的に補給するということでカバーをしようといたしますけれども、何としても
主食が四日、五日
配給されないということは耐えられんことでありますから、
政府はここに新しい手を打ちましで、第一は縁故米制度を採用する。第二は救援米制度を採用いたしまして、この起
つて參ります四日乃至五日の遅配をこれによ
つて穴埋めをする。最後は今問題にな
つております麥、馬鈴薯が百パーセント供出された後の超過供出によりまして、これを相當高い
價格で買上げることによ
つてこの穴埋めをやる。それで尚且足らん場合は、秋の早堀り甘藷を一部これに充當いたしまして、この四日乃至五日分遅配の一部を充當いたしたい。こういうつもりで考えておるのでありますが、その
對策の
一つとして縁故米制度を考え、救援米制度を考えております。この縁故米又は救援米は、これは全く計量的に起ります遅配の穴埋めに使うのでありまして、これは普通の遅配に使う譯ではありません。計量的にはちやんと國内産の麥、馬鈴薯、
外國食糧によ
つて、月の内二十五日乃至二十六日の
配給は
確保する計量にな
つておりますから、ただそれが遅れておりますのは、製粉、輸送等の
關係で遅れておるのでありまして、完全にそれを
配給する手を打ちたい。そののちに起りますところの四日乃至五日の遅配に對しまして、縁故米なり救援米なり百パーセント供出後の麥、馬鈴薯によ
つて埋めたい。こういう考え方であります。更にそれ以外の手といたしましては、最前申しました生漁
食料品の
増配をいたしまして、或いは加工水産物を
増配することにする。又
味噌、
醤油、
罐詰、類等の
増配によりまして、
主食の
不足分をそれらに補
つて行こうというのが、大體第一次
緊急對策の主なるものでございます。