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説明員(友永信夫君)
簡單に御
説明申上げますが、一社にすればなぜ
電力の増産に
關係するかということでございまするが、
現状を申上げますと、現在
電源の方を擔當するのは發送電が全國を一社としてや
つております。それから配電部門は全國を九地區に分けて、九配電會社がそれぞれ獨占的に掌握しておるわけであります。これは技術的にい
つても、發電配電間の技術的に、直結しておるものを分けておる點において矛盾があるのであります。このことは現在の
状況において、分りやすくいうならば、例えば九州のように非常に
電力制限がひどくな
つておる、それを需要家は配電會社の方に對して、こんな状態では困るじやないか、解決しろという、そうすると、配電會社の方は、これは日發の
電源が足らんからだという、その間に責任の轉嫁の工合が段階的にあ
つて、これはどこが責任を負うか分らないような状態にある、これは經營部においても端的にいえば出て來るわけであります。それから技術面の無理がそこに出て來るわけであります。だから全國地區は
一つにならなければならないということは、
日本の
電氣技術の發達が全國を
一つのネツトワークと申しますか、送電線を通じ配電網を通じて
一つの直結した枠の中に入
つておる、それで
電氣は全國を
一つの單位として流れておる、だからそれを經營上分斷するということは今まで發達して來ておる技術に逆行することである。それでこれが現在一社でないがためにどういう支障があるか、これは技術的にはその點があるわけでありますが、例えば
電氣の運營の擔當者である現在の事業者の
努力はどこに集中されておるか、それを申上げますならば、現在十社の首腦者はお互いに全
國民から上
つて來た
動力收入、
電力收入を如何に十社にうまく分けるかということに大半の
努力が集中されておる、もう
一つは現在どこにでも起
つておる對
勞働組合問題と、勞働不安定に對する問題、要するに
電氣事業内部に對する
經營者の關心というものはそこへ全部集中されておりまして、
電氣は
國民のものであるという
觀點に對する
努力は拂う暇がない、そういう機構上の矛盾があるわけであります。それで現在この十社がどういうふうにして利益を分けておるか、なぜ
經營者その間の利益の分取りに
努力をせざるを得ないかということになりますと、十社は各需要家から
電氣料金が入
つて參りますが、これは地域的に需要密度とか、需要の種類、そういうものによ
つて收入が違う。それを一應均等の、獨占事業でありますから、これは例えば俺の地域は儲かるからとい
つて、そこの會社が獨占すべきものでなくて、これは全
電氣事業の收入は
國民の監視の下に公平に分配さるべきものであ
つて、この地域は儲かるから、その儲かつた會社のものだという考えで行くべきものじやない。それでありますから、全國から入
つて來た金を九つの配電會社が、それから一發送電會社がどういうふうに分けるかといいますと、要するに發送電が卸す
電氣の料金の高さを操作することによ
つて、利益の均分を圖
つて行く、そういうことにな
つておるわけであります。いわゆるプール計算でありますが、これが、十社が分れておるために、プール計算といいながら、それが非常に不明朗なわけであります。不明朗であればこそ、各社相互間において經營の秘密性を楯を取
つて、豫算プールをやり、決算プールをやるとい
つて、プールの秘密性を守りいいような
資料を作り、お互いに利益を隱匿し合う、そうして肚の讀み合いをする矛盾があるわけであります。その矛盾に乘じて
官僚があらゆる
電氣事業の
資料を握り、經理檢査權を握
つておる、だからその實力を以ち、それから權限を以て發送電の料金を適當に裁定して行く、だから事業者は
官僚に頭が上らん。だから
戰時中を通じて
官僚が權力を楯に取り、いろんな細かい面において、或いは人事面において
官僚の介入があつた。これは總て
官僚が介入し、不當な
官僚的統制をして執行したのもこの機構上の矛盾があつたからであります。これを現在の
電氣事業の技術の發達段階、それから
電氣事業が完全な獨占事業であるということ、すでに獨占禁止法の中においても
電氣事業がとくに除外されたことは、これは普通の企業を以て律すべきでない、これは外の公共的監視の下に置かれるものであるから、普通の企業と同一視すべきものでないという建前上、特にあれは除外されてあるんだろうと思います。その趣旨として現在の企業形態のままであ
つては、完全にそれに副い得ていない。先程申上げましたように事業者相互間の經理の秘密性があ
つて、なぜこれが
國民の中に公開されるような經理にな
つていないか。でありますからこれをそういう相互間の利害對立を操作するような餘裕がないように、
一つのものにして、そうしてその經理を公開することによ
つて、始めて
國民の
電氣事業になる、そうして
經營者の利益も内側の代りに外に向う、こういう
ところに確信を以ちまして、一社にするということを
根本としたわけであります。併しながらこれを一社にするならば、全國的な獨占會社になるんじやないか、而もそれは絶對に許されないのでありまして、そのために我々は
社會大衆に
基盤を置く監督機關を設けて、それを不可分のものとして實施しなければならん。そういう
觀點で以てこの案が立てられておるわけであります。そうしてこれは
電氣事業社會化法というのは、これは假稱でありまして、或いは
電氣事業民主化でも結構であります。この
プリントの方は、今まで
我我が研究して、今到達した段階の案の骨子であります。こちらの差上げてあります二十六頁に一應やはり
電氣事業社會化法の骨子案というのがありますが、これは以前の案でありまして、その後の
檢討の結果、修正されておる點がありますから、こちらの方が
中心になるものとお考え願いたいのでございます。こちらでちよつと違
つておりまする
ところは、この
一つに
なつた
電氣事業を運營する最高の
指導機關、大衆に
基盤を置いた民主的な委員の構成を以てできておる
基盤、そこで
電氣事業に關する最高計畫、重要事項を決定するそうしてその決定は
政府を抱束するという案がこれであつたのでありますが、それにつきましては我々は更に
檢討を加えた結果、そういうことをやると、國家の中にもう
一つの小さい國家を作るような、二重政權を豫想せざる限りできない、例えば物動計畫の一環としか
電氣事業は扱われない。最高の計畫を決定しても、これが物動となればそれは動きがつかんじやないか、だからその決定は
政府を拘束するとという構想を變えて、最高計畫、重要事項は國家が決定するが、その決定手續において、民主的な
國民の參與によ
つて最高の諮問機關、或いは建議機關、或いは審議機關、そういうふうな性格を持つた
委員會にすべきだという案にこれがな
つているのであります。御質問の點はそれであります。