○
政府委員(
村上好君) 前回に引続きまして、
貯金法の御説明をいたしたいと思います。
第十二條の最後の
定額郵便貯金の
條項から御説明することに相成つております。「
定額郵便貯金については、
割増金をくじびきにより附ける取扱をすることができる。
割増金を附ける取扱をする
定額郵便貯金(以下
割増金附定額郵便貯金という。)には、そのすえ
置期間中
利子を附けない。
郵便貯金切手には、
割増金をくじびきにより附ける。」実はこの
定額郵便貯金に
割増金を附けるという
制度は、全く新らしい
制度でございまして、從來章府の事業におきましては、
國民の
躰倖心を
狙つて貯蓄奬励をするという、こういう思想が
政府事業としては、全面的には取入れられていなか
つたのであります。それで最近この現下の
経済事情に照しまして、大量の
貯蓄奬励をするためには、こういう
制度を設けてやることが適当である、必ずしも不適当ではないという
建前を採りまして、こういう新
制度を作ることにいたしたのであります。これは御承知の通り、民間では
福徳定期預金その他それに類するものは、富くじ三角くじ等非常に沢山あるのでありますが、
政府におきましても、大体これに似た
制度を採用することに相成りました。それでここに挙げてありますものは、一般的に
政府は
定額郵便貯金については
割増金を附けることができるという抽象的な
規定をここに設けさしてもらうことにしております。具体的にはその時々によつて
條件等を異にして行くつもりであります。それで今回我々の企図しておりまするこの
実行計画を概略申上げますと、本年度は十二月と二月の二囘、これを発行いたしまして、二十五億乃至三十億の
浮動資金を吸收する計画でございます。
郵便貯金を
インフレ防遏に対する責任は相当重いのでありまして、我々も十分それを自覚いたしております。その意味におきまして年度内にこれを是非実現いたしたいと考えておるのであります。その今回の計画は、
預入金は差向は一口五百円、それから
据置期間は
差向き一年、その
期間の拂戻しは認めません。それから
利子は、
据置期間一年間は無
利子とする。
据置期間経過後は利率によ
つて利子を附ける。それから
くじ引は一回限りとして、一方本を一組とする。
割増金は
据置期間中の
利子に相当する額を割当てて空くじなしとし且つ大
部分物品で交付する。それからその
物品商品の種類を申しますと、一等は
ラジオ受信機、自轉車、二等は銘仙、三等は
サツカリン、四等は
絹ハンケチ、等外、これは現金十円という計画で進んでおります。これらの物資を
商工省当局と協議いたしまして、交渉いたしまして、これだけは確保いたしております。それで、これは実は
政府側といたしまして、希望であり且つお願いなのでありますが、この
貯金法案は十二月一日から実施いたしたいという考えを持つておるのであります。最早余すところ余日もない十二月一日という
施行期間は、誠に切迫した無理な期日に相成つておるというようにも見られるのですが、かような切迫いたしました事情はいろいろありますが、いろいろな事情で今日まで審議の時期に到達しなか
つたのであります。実はこれを実行いたしますのには、非常に長い
準備期間が要りますし、又その融資を吸收しますのは、年末とそれから年明けと二回やりたいのであります。年末が我々の狙いの時期であるのでございます。年末にやろうという計画は年度初頭から持つていたのでございますが、遂に今日までこの
法案の提出が延びたわけであります。準備はかような次第でずつと前からいたしておるのであります。十二月一日の施行いたされますれば、我々の準備は直ちにスタートができるように相成つております。尚現業第一戰の
実務者ともかねがね連緊を取つておりまして、
実務者の意見では、各地方を綜合いたしますると、この
割増金附きの
貯金は、予定は大抵大丈夫であるということを申しております。私共この
法案通過と共に非常な期待を掛けておる次第でございます。かような次第でございまして本当に無理な
施行期日をお願いいたしておるのであります。実は若しこの
貯金法の
全面改正が間に合わなかつたならば、單行法として提案する予定でございましたが、いろいろな
関係で
全面改正も間に合うらしくもあり、結局こういう状態に相成
つたのであります。どうぞ以上の事情を御理解下さいまして、よろしく本
法案の御審議をお願いいたしたいと存ずるのであります。
この十二條の最後の項の「
郵便貯金切手には、
割増金をくじびきにより附ける。」、これは昔の
彈丸切手と言われたものでございます。將來そういう名称は絶対に避けますが、あの
制度は残して置くつもりでございます。これはその額が割合に少いので、大量の融資の吸收には、必ずしもこれだけには期待できないような
関係にありますが、
制度は残して置きますが、全体の
関係はそういうことに
なつております。
その次には第十三條の
利子の計算、
利子の計算は大体
現行法令と
内容は同じであります。但し
定額貯金は、從前三ヶ月ごとに
利子を附けていたのでありますが、これを毎月附けるという
一般原則に合致せしめます。それからもう一つは、
現行法令によりますと、その月の終りに
貯金をして翌月の月始めに
貯金を下すという方法で、
利子稼ぎをする者を、防遏する
規定を設けていたのでありますが、新
法案におきましてはそういう細かい藝は避けまして、全体を
一般原則として
預入の月は拂うが、拂戻しの月は拂わないという
建前にいたしました。
次には第十四條、これはその
内容は
現行法令と少しも変りございません。第十五條、十六條、十七條、これも、
現行法令と
内容は少しも変りございません。
その次十八條であります。
通帳、
貯金証書及び
証券保管証の再交付、これも
内容は
現行法令と殆んど変りございませんが、ただ一つ再交付をする場合には
料金五十銭とあつたものを、これを一円に高めたという点が違うだけでございます。
それから十九條、二十條、これは
現行法令と
内容は少しも変りございません。
第二十一條、確認であります。これは多少違つております。
現行法令におきましては、
通帳の檢閲若しくは現在
高証明という方法を取つて、確認の方法を取つておるのでございますが、これをこの字句を確認ということにいたしただけでございます。その
効力等現行法令と変るところはないのであります。
第二十二條、
通帳等の提出、これは從來の用語では
通帳の檢閲のために提出させるということにいたしておりましたが、今回は提出という用語に
從つたのであります。
内容は変るところございません。
第二十三條、印章、これも
現行法令と
内容は変りございません。
第二十四條、
讓渡の
制限、これは多少変つております。変つておる点は、
現行法令におきましては
貯金通帳の
讓渡の可能な場合を三つ挙げてございます。一つは「
公共團体、社寺、学校又は営利を
目的トセサル法人若
ハ團体ニ讓渡ス場合」、第二には「
親族ニ讓渡ス場合」、第三番目に「遺言ニ依り
讓渡ス場合」、この三つの場合に
限つて貯金を
讓渡すことができるという
建前に
なつておりまするが、
新法におきましては、第一番目ノ
公共團体、社寺、学校又
ハ営利ヲ
目的トセサル法人若
ハ團体二
讓渡ス場合」、これを削除いたしました。
由來郵便貯金の
讓渡につきましては、成るべく
讓渡をさせない方がよろしいという
建前を取
つて來ておるのであります。その理由は、
讓渡を余り許すと
権利関係が複雜になる、賣買、質入れ、
担保等による不
正行爲等がございまして、これの取締も非常に大量なときにおいては困難である。又成るべく
國民貯蓄を奬励させるために
通帳は持たして置きたいというような理由からして、
讓渡に対しては消極的な
建前を取つておるのであります。それで親族に讓り渡す場合と遺言によ
つて讓り渡す場合は、民法上のいわゆる贈與に相成ります
関係上、これらの場合は残して置きまして、一般の
公共團体その他に
讓渡する場合は、現金を
貯金から引出して現金を提供すればよろしいので、そういう方法に讓つて貰うことにいたしました。
それから第二十五條、第二十六條、二ヶ條とも
現行法令と
内容は変りはございません。
第二十七條、免責、これは新らしく設けた
條項でございます。二十七條は「
逓信官署は、左の場合において
郵便貯金の拂もどし金の拂渡を延期したときは、これに因り生じた損害を賠償しない。一、拂い渡すべき
郵便局において現金に余裕のないとき。二、
預金者の提出すべき書類が不完全なとき。三、
不可抗力に因り拂い渡すことができないとき。」この三つの場合に
限つて免責とするということにいたしたいと思うのであります。それで二十七條を起しました理由は、新憲法十七條によりまして、公務員の
不法行爲に対しては國家はこれを賠償しなければいけないということに相成つております。
貯金法のごとき、一般の公衆との
関係における
私法行爲、これらに対しましては原則として
損害賠償をすべきものであるという
建前を取
つたのであります。それで一、二、三、共民法の
一般法に対する
例外規定ということに相成るのであります一は「拂い渡すべき
郵便局において現金に余裕のないごとき。」、
貯金は一種の
消費貸借の契約でございますが、金を預つて置いて期日が來て返す場合に、現金に余裕がないから待つて呉れということは、これはやはり
対抗条件にはならないので、それに対して
損害賠償をしなければならんというのが、
現行の民法の
規定でありますが、
郵便局におきましては、これを嚴格にやられますと、地方の
特定局のごときは、なかなかすべての場合に支拂に完全なような資金を常に準備しておりません。時々資金の不足が起きます。無いときには親局若しくは銀行から直ちに持
つて來てこれに充当するという
建前を取つておりまするから、さして不自由は掛けないと思うのでありますが、これによつて生じた損害は免責とする。二号の「
預金者の提出すべき書額が不完全なとき。」これは
預金者の
受領証等に捺す判こが
通帳の判こと不一致のような場合を考慮しております。これは
債権者の責に帰すべき事由によつて生じた事態でありますから、これは免責とする。三号の「
不可抗力に因り拂い渡すことができないとき。」、これは
金銭債務の場合は
不可抗力を以て対抗することはできないということに相成つております。
郵便貯金におきましては、この場合は免責にして貰うという理由を以ちましてここに掲げたのであります。これが二十七條の新らしく設けました
規定でございます。
第二十八條、
料金の還付、これは
現行法令と大体同じでありますが、
郵便貯金に関する既納の
料金は、過納又は誤納のものはその納付したときから、
現行法令では九十日を経過したときは請求することができないことと
なつておりますが、これを
一般私法に準じまして一年といたしたのであります。
次の第二十九條は
現行法令と
内容は変りございません。それから三十條も
現行法令と
内容は変るところはございません。三十條について一言附加えて御説明を申して置きたいと思いますのは、利用の
制限及び業務の停止の
規定であります。「
逓信大臣は、天災その他やむを得ない事由がある場合において、重要な業務の遂行を確保するため必要があるときは、
貯金原簿所管廳、
証券原簿所管廳又は
郵便局を指定し、且つ、
期間を定めて、
郵便貯金の利用を
制限し、又は業務の一部を停止することができる。」、これと同じものが
現行法令にございます。それで現在戰災の後を受けまして、
貯金の
利子記入とか
郵便貯金の
通常拂いとか、その他いろいろな事務が一時停止されておるのがございます。これは
貯金局その他の非常な厖大な戰災が復旧いたしません間は、どうしても再開すると
一般事務の重要なものに支障を與える危險がございますので、この復旧がもう少し進捗するまでは、或る種のものはやはり
制限をさせて置いて頂かなければならないような事情にあるのであります。それでこの
新法が通過いたしましても、
新法にあります
制度の全部が直ちに活動を開始するというわけには參らないと存じます。といいますのは、戰災の復旧が完全にまだ參つておりません。現在
通り新法ができ上りましても、或る種のものは
制限停止を余儀なくされると存じます。この点予め御了承を願いたいと存じます。
その次、三十一條であります。
非常取扱、これも
現行法令と
内容は変るところございません。
次には第三章、
通常郵便貯金、第三十二條は
預入金額の
最低制限、これは
金額の
最低制限、從來は一円のを五円に高めたのでございます。現在の
貨幣價値からいいますと十円ぐらいにしたらいいではないかという見方も相当ございますが、
学童貯金等の
関係もありますので、余り
最低額を高めるのもいかがかと存じまして一円を五円ということにいたしております。
第三十三條、
預入の証明、これも
現行法令と
内容同じでございます。
第三十四條、有
價証券の
預入、これは多少
現行法令と変つております。「左に掲げる有
價証券は、省令の定めるところにより、その
券面金額でこれを
通常貯に
預入することができる。」、一は、無記名の
地方債券証及びその利札で
支拂期の開始したもの、これは
支拂期が開始しておりますので、これを額面で以て
貯金に受入れる。その次には
持参人拂の
小切手、
持参人拂の
小切手で以て直ちに
郵便貯金に受入れることができる。この二つの場合に限定したのであります。前には
郵便切手それから
郵便貯金切手というものもこれを
預入することができるということにいたしておりましてが、
郵便切手は削除いたしました。それから
郵便貯金切手は
特別据置貯金の場合は、
郵便貯金切手を以て
預入することができるということが別のところにございますから、それは殘つておるわけであります。それから第二項、三項、これは
現行法令と同樣であります。最後の「第一項の
規定による
預入の係る
通常郵便貯金については、当
該有價証券が決済された後でなければ、
貯金の現在高がその有
價証券による
預入金額を下るような拂もどしをすることができない。」、非常に分りにくい言葉で書いてありす。
持参人拂の
小切手で
貯金をされた場合に
不渡りの場合があるのであります。一應は預金に入れますが、これが
手形交換所で
不渡りでないということがはつきりするまではそれを保留して置くという
條項でございます。併しこれは実質的には
現行の取扱いと変るところでございません。
その次には三十五條、三十六條、これは
現行法令と変りございません。
それから三十七條は拂もどし金の拂渡、これは現在の
建前は、
郵便貯金は
通常拂を以て原則とし、
即時拂を例外の形にしております。併しながら実際にはこの
通常拂というものは非常に利用が少くて、
即時拂という
制度が非常に全面的に実行されておりますので、今回は実情に合うように
即時拂を根幹といたしまして、通時拂はやや例外な方法にいたしたのであります。
それから三十八條、これは
現行法令と
内容殆んど同一であります。別に説明を要しないと思います。三十九條、拂もどし証書の再交付、これも
内容は
現行法令と変りございません。但し再交付は先程申上げましたように五十銭のやつを同じくここでも一円としました。それだけであります。それから第四十條、これも
現行法令に変るところございません。
次に第四章、
特別郵便貯金、第一節
すゑ置郵便貯金、これも
現行法令と変るところございません。四十二條、四十三條、四十四條、皆
現行法令と変るところございません。
次に第二節
積立郵便貯金、第四十五條、第四十六條、これも
現行法令と変るところございません。
第四十七條、これは
郵便貯金の
預入れの
金額であります。この
積立郵便貯金は前は二円以上五十円以下と
なつておりましたが、これを増額いたいまして二十円以上五百円以下、前は
円未満の端数を附けさせなか
つたのですが、今回は十
円未満の端数を附けることができないということにいたしました。
それから第四十八條、
預入金の
合併預入、これは新らしく設けた
條文であります。
積立貯金は
郵便局で毎月集金に
行つて一定額を
預入させる
制度であります。これを相手の公衆の都合によ
つて來月分、再
來月分も一緒に
貯金するという場合はそれを受付けるということにしたのであります。つまり予約を認める。
現行では予納をさせない
建前を取つております。
第四十九條、第五十條、五十一條、いずれも
現行法令と変りございません。
第三節
定額郵便貯金、第五十二條、これは
内容現行法令と変りございません。
第五十三條、第一項は
現行通りであります。それから第二項は「
割増金附定額郵便貯金の
すゑ置期間は、
預入の日から一年又は二年とする。」、これが新設されたわけであります。一年又は二年としたのは
割増金を附ける場合にそれの計算の基礎にもなりますので、そういうことにしたわけであります。
第五十四
條預入金額、これは現在五十円、百円、ずつと千円までに
なつております。今回は百円から段階を設けて最高三千円ということに増額いたしております。
第五十五條、拂もどし金の拂渡、それから第五十六條、これも
現行法令と
内容は変るところはありません。
第四節特別すえ
置郵便貯金、第五十七條、第五十八條、第五十九條、いずれも
現行法令と
内容は変るところはございません。
第六十
條郵便貯金切手の
券面金額、これは現在は一円及び二円にいたしております。これを五円、十円又は二十円と増額いたしております。
それから第六十一條、
郵便貯金を以てする
預入、
貯金切手の
溜つた場合にどれだけ
溜つたら本当の
貯金に入れられるかという
制限であります。現在はその切手を五枚以上ということにしておりますが、今回の
金額で二十円以上ということにいたしております。その他は
現行法令と変るところはございません。
他の二條、これも
現行法令と筋は変りません。
次は第五節すえ
置期間経過後の
特別郵便貯金、第六十三條、第六十四條共に
現行法令と
内容が変るところはございません。
第五章
保管証券、第六十
五條保管証券の種類、これも種類は
國債証券、
貯蓄債券、
報國債券の三種類で、
現行の
建前と変るところはございません。
第六十六條、これも
現行法令と同じであります。
それから六十七條、
料金であります。これは
現行法令と少し変つております。
現行法令におきましては規則で非常に細かく決めてございますが、これを今度その基本となるべきものを法定いたしております。
基本料金と
附加料金というものを
規定いたしまして、その範囲内において各段階において
料金を決めてこれを省令で出すということにいたしております。その他は
現行法と変りございません。
第六十八條これも
現行法令と変りございません。六十九條、七十條、これも
現行法令と同じであります。
以上を以て各
條文の説明を終りました。
最後に附則であります。「この
法律は、昭和二十二年十二月一日から、これを施行する。」、この間の事情は先刻御説明申上げまして希望を申上げた通りでございます。それからここに沢山いろいろ掲げてありますが、これは
経過規定でこの
内容を申上げますと、第三項「旧法は、
振替計算のためにする
預入金については、この
法律施行後でも、なおその効力を有する。」、これは
振替貯金というものが
從來郵便法の中にちよつ
ぴり姿を出していたが、今回は
振替貯金に関しては独立した
法律を作る予定であります。その
法律案は次の
通常議会に提案する予定でございますので、それが成立いたすまでは旧
貯金法を殺し切りに殺すわけには行かない、
振替貯金に関してはその間効力を持たせるということであります。
それからその次「この
法律に定のない種類の
郵便貯金又は……この
法律施行後でも、なお從前の例による。」、ここまでは
現行法通りであります。これを襲用するものであります。この中に盛られております
制度又は
金額でありますが、これは
金額に
制度を付けますと、それ以下の
金額等は
新法では律しようがありませんので、例えば
共同貯金、
規約貯金、券面二円の
貯金切手等のごときは
新法では律しようがありませんので、これは依然として從前の例によるというので旧法を襲用することに
なつております。
最後の項は、これはもう
新法を全面的に旧
貯金に対して適用するという
條文であります。これは
旧法時代にもその
制度があり、
新法も丁度同じ
制度が適用されるものは挙げて
新法の適用をさせるということであります。以上を以て
新法に盛られたものの
條文を説明いたしました。
最後に、
新法の
條文には全然削除されて姿を現わしていない旧法の
規定があります。それは
現行法の第十一條に「
郵便貯金ニ関シ無能力者ハ郵便官署ニ対
シテ爲シタル行
爲ハ能力者ノ爲シタルモノト看做ス」という
法律がございます。これは新
憲法下においてかような一方
的條文は適当でないという決定によりましてこれも削除いたしました。從いまして
無能力者のなした
郵便貯金、これは民法の
一般規定に從いまして取消すことができるということに相成ると思います。これは
銀行貯金におきましては、やはり
無能力者のなしたものは從來と雖も取消すことができる。その点においては
新法を
民法並みにしたということになるのであります。その他削除した
條文で特に申上げるものはございません。甚だ雜駁でございますが、以上を以て新
貯金法の説明の概略を終ります。