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政府委員(
小笠原光壽君) それでは第二章の第一節を御説明申上げます。第二章の第一節の第十四條、
郵便禁制品に關する
規定でございますが、これは
現行郵便法におきましては、
郵便法の二十三條に禁制品の種類は命令の定めるところによるという
ように、命令に
委任せられておるのでございますが、
郵便禁制品は一面におきまして、抑々
郵便として
利用できないもので、そのものに關しては
郵便を
利用できない
範圍でございますので、
國民の權利に重要な關係がありますと同時に、この
郵便禁制品の
規定に違反した場合には、刑事上の責任を負わなければならない關係もございますので、
郵便禁制品の
内容を
法律に
具體的に
規定することにいたしたのでございます。即ち第一號、二號、三號はそれは何れも危險性のある物でございまして、第一號は「爆發性、發火性その他の危險性のある物。」第二號は「毒藥、劇藥、毒物及び劇物。」第三號は「生きた病源體及び生きた病源體を含有し、又は生きた病源體が附著していると認められる物」でございます。第二號と第三號につきましては、特定のものが差出しますものだけを除外いたして、一般の
利用上
支障のない
ようにいたしておるのでございます。第四號は、「法令に基き移動又は頒布を禁止された物。」これも亦當然
郵便業務におきましても差出しを禁止すべきであると考えまして、これを明定いたしたのでございます。即ち例えば食糧
管理法でありますとか、或いは臨時物資需給調整法でありますとか、或いは專賣法であるとか、そういつた
ような法令によ
つて移動又は頒布を禁止されておるものを、その
範圍において
郵便禁製品となすという
趣旨でございます。
第十
五條は、
只今の
郵便禁制品はこの
規定に違反して差出した場合においては、差出人はこの新
法案の第八十
一條の
規定によりまして、今の
郵便禁制品の「
規定の違反があつたときは、その違反
行爲をした者を五千圓以下の罰金又は科料に處し、その
郵便物として差し出した物を沒收する。」という罰則の適用を受けるものでございます。その
程度までは達しないものでも、
郵便業務の
管理上差出しを禁止する必要のあるものもございますので、それは省令によ
つて遞信大臣が決めることができることにいたしたのが、この十
五條の
規定であります。即ち「
郵便の
業務に從事する者又は他の
郵便物に對する傷害又は損害を避けるため必要があると認めるときは、省令で物を指定して、その物を
郵便物として差し出すことを禁止することができる。」ということにいたしたいのでございます。たとえば味噌でありますとか、醤油でありますとか、油であるとか、そういつた
ようなものは他の
郵便物に損害を與える虞れもありますので、所要に應じて差出しの禁止を省令で
規定すべきことにいたしたのでございます。
第十六條は、
郵便物の種類、即ち
郵便物は通常
郵便物と小包
郵便物とに大別いたしまして、更にその通常
郵便物は第一種及至第五種の五種類に分けたのでございますが、大體におきましてこの
内容は後で出て參りますが、
現行と大差ないのでございます。
第十
七條は、
郵便物として
取扱うものの容積及び重量の制限でありますが、これも大體
現行と同様でございます。ただ多少違
つておりますところは、通常
郵便物の第一種のものにつきましては、
現行におきましては省令でこの容積重量の
規定を設けておるのでございのすが、
現行規定では第一種
郵便物については重量の制限はないのでございます。併しながら新しい
法案におきましては、これを小包の場合と同樣に、四キログラムに重量の制限を置いたのであります。その外、容積の長さを
現行は四十センチとありますのを四十五センチに少し増大したのでありまして、その他は
現行通りでございます。第二項はいわゆる特別小包に關する
規定でありまして、一般には小包の大きさ
竝びに重量はこの第一項に書いてある
程度のものでありまして、重さも四キロまでしか認めないのでありますけれども、
遞信大臣は、
取扱上
支障がないと認めるときは、必要な
取扱條件を定めて、容積において一般の小包の二倍、重量において二十キログラムを超えないものを小包として
取扱うことができることにいたしたのであります。
第十
八條は、
郵便物の包裝の仕方及び宛名等の記載方に關する
規定でございますが、これは非常に細かいことになりますので、この
郵便物の包裝の仕方及び宛名、その他
郵便物の
取扱上必要な
事項の記載方を、
遞信大臣が省令で定める根據を、この
法律に明示したのでございます。この
内容は大體におきまして、
現行の包裝に關する
條件を新しい
郵便法に基く省令において同樣に
規定いたしたいと考えておりますが、特に新しい問題として私共が考えておりますのは、將來
郵便物の宛名には配達局名を書いて頂くことにいたしたいと考えておるのであります。勿論實際に書いて頂きます場合には、それぞれ必要な準備をいたした上でさ
ようなことにいたしたいと考えておるのでありますが、
郵便物の宛名に配達局名を書いて頂くことにしますれば、
郵便の區分が非常に明瞭になりますので、いわゆる誤區分という
ような事故の發生を防遏することができ、
從つて郵便物の速度
竝びに正確さを向上することができますので、それによ
つて一般
利用者の方に與える利益も非常に大きいと考えます。將來さ
ような方向に持
つて行きたい。か
ように考えておるのでございますが、その根據になります
規定も要するにこの十
八條の
規定になるわけでございます。
十九條は、通貨及び貴重品の差出方に關する
規定でありますが、通貨
竝びに貴重品の差出しにつきましては、それぞれ書留若しくは保險扱を
利用して頂くことにいたしたいと思うのでありまして、これによりまして、これらの貴重品の亡失等の事故をできるだけ防遏いたしまして、
郵便事業の信用を確保することに資したい。か
ように考えておる次第でございます。第二十條の「無料
郵便」に關する
規定は
現行郵便法の第二十
八條に照應するものでございますが、今日では無料
郵便の差出しは新
法案の一號、二號に書いてあります
ように、
遞信官署から差出すものと、
遞信官署の依頼によ
つて遞信官署に宛てて差し出すものとの二種の他に、一般の公衆から、或いは事故の
調査のために、或いは申告等のために他の官署に宛てて出されますものも亦
損害賠償又は
料金の還付の請求をなすために
遞信官署に宛てて差し出しますものも、無料
郵便が認められておるのでございますが、これらのものは特別のサービスを要するわけでございますからして、その
料金を負擔して頂くことは申すまでもないばかりではなしに、
郵便事業の財政状況から考えましても、今日の財政状況の下におきまして、無料
郵便物はできるだけこれを少なくすることも
一つの消極的な對策でもございますし、一部の人に無料
郵便を認めることは、その
經費は結局全部の
利用者が負擔するということになるわけでございますので、これは削ることにいたしまして、ここに書いてあります
ように、
遞信官署がら出すもの、
遞信官署の依頼によるものだけを無料
郵便として認めることにいたしたのであります。第二項は、これは無料
郵便物につきまして、特殊の
取扱をする場合の
規定でございます。無料
郵便物といたしましては、この第二十條の
規定の他に、選擧無料
郵便の如く別の
法律によ
つて規定されるものもあるわけでございますが、それはそれぞれの特別の
法律によることにいたした次第でございます。