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委員長(
一松政二君) 私が
一つ質問いたしたいと存じます。
一体物の生産なり、或いは
貿易業なり、
商工業を促進する上において、
金融面の
働き力が厖大であるということは私から改めて申すまでもないことと思うのでありますが、それで
貿易を振興させる、或いは
貿易が
日本の
国家再建の基礎にならなければならんと称せられておるのでありまして、
貿易の
金融に対しましては、特別の御配慮をされておることと思いますけれども、すでに
貿易業者が
資金の窮屈、或いは
当局の怠慢を訴えてから月がもうすでに何ケ月、年久しいという言葉は使われませんが、少くとも月久しいことであろうと思うのであります。それで昨日
貿易資金特別会計法の一部を改正する
法律案の上程されました際に、九月、十月が約四十億ばかり足りない。而も
提出されておるのは十月にな
つてからであります。或いは九月中に十五日まで
休会でありましたから、正式の
休会ではありませんが、休んでおりましたので、出せなか
つたのかも知れませんが、私は九月、十月に足りないという分を、何故八月や七月にこれを以て出さないのでありまするのか。又十一月以降足りないと言えば、何故これを今日審議しないのでありますか。
経済というものは見透しが一番大事なのであります。これはもう私が常にいう
通りに、
政治は後からでもまだいい場合もあるのでありますけれども、
経済に関する限り、見透しが一番大事なんであります。何時いつかになれば
資金が足りないといえばそれに対する
準備を、間に合うように
準備をせなければならんのを、これを
政府が、而も今は
官廳貿易でや
つておりますのでありますから、
官廳がその
資金に対しては
民間でや
つておると同樣に予め手け打
つて、そうして
貿易業者に窮屈な目を感じさせないというくらいにして奬励しなければならん性質のものであるにも拘わらず、九月、十月において足りない分を、十月にな
つてから
提出するような
やり方では、私は
商工当局として
貿易に対して甚だ不熱心であると感ぜざるを得んのであります。口では或いは奬励している。あよゆる施策を講じていると申されましても、そう
業者から
不足を訴えられているに拘らず、これらが極く僅かの二ケ月足らぬ分を、しかも二ケ月足らぬ分もその半分をすぎてから後に漸くそれが法案にな
つて議会に出される。そうして又十一月からは足りない。こんなことでは
貿易の振興は私は思いもよらんと思うのであります。で昨日承れば、
貿易資金の大
部分を別の勘定によ
つてこれを処分されているような御
説明でありまして、これは
特別会計法の
精神を蹂躙していることと思うのであります。いわゆる
資金の横流しを
政府自らしているということであります。何故にこれを
食糧関係なら
食糧関係によ
つてこれを
はつきり始末をつけ、
貿易資金なら
貿易資金として行かないか
貿易資金というものが、私は損をせざる限り、これがなくなるわけはない。だから私共は
貿易資金が窮屈であるということならば、それは
貸付金の
囘收不能であるか、或いは余計に物を抱きすぎているか、採算上損失がない限り変化はないと思うのであります。昨日の
説明によれば、大
部分が空になく
なつたような
説明で甚だ驚いたのであります。今後若しこういうことが繰返えされるならば、これは
特別会計法という
精神に頗る悖るし、
貿易資金それ自体の
使用方法を
政府自ら蹂躙していることに相成るのでありまして、これは今後直ちに改めて頂きたい。それからそれでは今この九月、十月において約四十億も足りないというのを、何故八月中或いは我々から言えば七月中、遅くも八月中に何故これを
議会に
提出されなか
つたか。而も昨日の如きは
資料も何にも揃えておらず、
説明も数行で足りる
説明を以てこの
委員会に臨まれた態度に対して私は甚だ慊らないのであります。しかも
貿易について最も主力を注がなければならん
貿易廳におきまして、何故
かくの如きことを今日まで放置されてお
つたか。その理由を承りたいのであります。