○
政府委員(
林敬三君)
只今の
大臣の御
説明によりまして
要旨は盡きておるのでございます。若干重複する点があるかと存じますが、逐條に亙りまして更に附加して御
説明を申上げたいと思います。
この
法案の第一條は、ここに書いてあります
通りでありまして、これは
内務省の
廃止に
伴つてできるものであるということ、それから主たる
目的といいますか、
最大の本当の
目的が、
地方財政の
自主化というものに資するためであるということ、それからこの
委員会は
内閣総理大臣の所管の下に存在するものであるということ、それからこれは臨時的なものである、これだけの
委員会の
性格、
趣旨、
目的というものを
簡單に表現したものでございます。
第
二條に參りまして、
國家の
公益と
地方公共團体の
自主権が調和するようにという字が入
つております。これは
地方公共團体の
財政の
自主化ということは一番大切なことであり、本
委員会成立の
目的ではあるけれども、これは
國家の内にあるところの
公共團体であるという
性格にも顧みて、
國家の
公益というものと
地方團体の
自主権というものが調和する形において、
地方財政の
自主化を
最大限度に図る、こういうものであるということを明らかにしたわけであります。そうして一号から五号に掲げておりますように、租税の
賦課徴收、借入れをいたしましたり、公債を発行いたしましたりすること、それから
予算のこと、それからそれの
運営経理のこと及び
決算のこと、それから
地方行政を遂行するために必要ないろいろの
資金計画でありますとか、
預金部の
資金の
配分計画でありますとか、そういうものの公平な分配に関する
事項、それから
地方公共團体の
政府に対する
財政報告に関する
事項、こういういわゆる
地方財政全部に関しますことについての研究をし、そうしてその
財政の
自主化の
確立を図るということを明らかにしたものであります。
第三條は証人を喚問いたしましたり、或いは
関係各
機関に対して記録を提出することを命ずることができるという
権能を書いたものであります。これは第
二條の仕事を遂行するに必要な
範囲と
限度において、こういうことができるということを明確にいたしました。
第四條は
委員の
構成であります。この
委員は次の五人から成り立つのでありますが、これはいずれも
内閣総理大臣の任命ということに最後の形は相成
つておるのであります。併しながらそれには
條件が附いておるわけではありまして、第一号におきましては、これは
國務大臣が一人、この
國務大臣は他の
行政事務を分担
管理しない
國務大臣ということに相成
つております。それから第二号はこれは
國会議員の中から
代表者として
両院議長が指名をしたもの、この方一人をこれを
総理大臣が任命するということにな
つております。それから第三号、第四号、第五号はそれぞれ知事、
市長、
町村長、それの
代表者として一人ずつ選ぶということにな
つております。
代表たるにふさわしく客観的にもそれが認められるという方をお選びして、
総理大臣が任命する、こういう形に相成
つております。
第五條はこの会の
委員会でありますが、これは
國務大臣たる
委員が当るということにな
つております。それから故障があるときは、
委員長の指名する
委員がその職を行うことに相成
つております。
第六條ではこの
会議の
執行方法を書いてあるのでありまして、
多数決主義、即ち三人以上の
同意を以てやる、單なる
多数決でなくて必ず三人以上が來てやらなければいけないということに相成
つております。それの
同意がなければならないということにな
つております。
それから第
七條でありますが、これは
手当のことを書いてあるのでありまして、「
一般官吏の
俸給の額よりも高く、
國務大臣の
俸給の額よりも低い額の
範囲内で、
内閣総理大臣の定める額の
手当を受けるものとする。」、最近の
委員会にはこういう例がよくある事例でございます。
一般官吏の
俸給というと一番高いところが
次官でありますが、
次官より高く、
大臣より低くなることと存じます。
高等裁判所の
檢事長あたりがそうでなかつたかと存じます。それから第
七條の第二項は、
國会議員の方で
委員になられる方については、その
差額を支給する。どちらか多ければ、
國会議員の額の方が多ければ支給せず、こちらの方が多ければその
差額だけを支給する、こういうところの
意味の
規定であります。
それから第八條には
事務局のことが書いてあるのでありまして、「
事務局には、政令の定めるところにより、必要な
職員を置く。但し
一級官及び
一級官の定員は、通じて十二人を超えてはならない。」、即ち昔の高等官と申しますか、そういう人は通じて十二人を超えてはならならないという限定がされております。
それから
附則に參りまして、「この
法律は、
公布の日の後三十日を経過した日からこれを
施行する。」ということにな
つております。御
審議を若し得まして、御
議決を得てこれが成立いたしましたならば、これを
公布いたします。そして
公布の日の後三十日を経過した日からこれを
施行することになるということになるわけでありまして、一方
内務省の廢止ということが十二月三十一日ということを予定されておりますので、この
法律は一月一日から
施行になるように御
議決を
願つて、
公布ができ得れば一番円滑に參るのではないかと期待しておるわけでございます。
それから
附則の第二項でございますが、これは「
公布の日から九十日以内」、そうすると十二月の初めに
公布になりますと、二月の末頃までに、或いは三月の極く初めの頃までに第
二條の
規定即ち
財政の
自主化を図るための
計画案を
法案にして
國会に提出をしなければならないということにな
つております。それで即ちこの
委員会ができまして、六十日の間に作業をいたしまして、
財政自主化の
法案を
提案しなければならないということに相成
つておるのであります。
それから第三項におきまして、併しながらそれが、
國会に出まして、それがいろいろの経過を辿り、直ぐせ成立する場合もありましようし、いろいろと御
審議を受けて、修正をされたり、紆余曲折する場合も予想されるわけであります。それから尚それによ
つては
追加補正をするような、又
計画も樹てなければならないことも予想されます。それからこれが成立いたしまして、それを実行するまでにはいろいろの準備が要る。或いは実行されてから、後においても、それがうまく実行されてレールに乗
つて完全に
地方財政の
自主化が行われるというに至るまでは、相当な
努力を要するということは十分予想されたところでありますので、
公布の日から一年間はこの
委員会は存在する。そして存在する間はいろいろその
実施についてうまく
行つてるかどうかということについての必要な
諸般の
調査を行い、又
調査の結果に基きまして第四項にありますように、
関係機関に対して勧告することができる。こういうお
目付役といいますか、実行を確保する責任を持つ。こういう
機関に相成るわけでありまして、一年間でそれが、終了するという見通しの下に一年間、そういうために
法案を
作つてそれを出して、そして足らざるところは又補
つて完全なる
施行を後附けして
行つて、これを確保して
実施に移して行く。これを一ケ年内にやるという予定の下にここの在続
期間を一ケ年ということにいたしておるわけであります。
それから第五項においては、
委員が全員任命されるまでの間に時間を要する場合を万一予想いたしまして、五名の中四人しか任命されていなければ四人で
会議ができる。三人しか任命されなければ三人でやる、こういうことを書いてあるわけであります。
それから末項におきましては、先程
大臣からも御
説明がありましたように、この
期間は
計画期間であります。本
來計画期間でありまして、そういう
地方財政の
自主化法案を策定し、それがうまく行くかどうかを一ケ年プレースし、又必要な勧告することを本來の任務とする
期間でありますが、
地方税その他の
法律によ
つて、
地方税法について
中央政府が持
つておりますいろいろの
権限が、現在存在しておる
内務大臣に所属しておるのであります。これが
内務省が十二月三十一日を以て
廃止になります。その後とこへ所属するかというと、これは臨時にこの
財政委員会の補佐によ
つて総理大臣の
権限に属する。こういう臨時的な
措置を書いてあるわけであります。この
意味は分ると存じますが、第
二條に基いて
財政自主化の
法律案ができた場合には、
自主化でありますから、
中央政府の持
つておる
地方財政に関する
権限というのは、極力これを縮小又は
廃止するのを以て理想とすると存じます。それでも若干のものは
央央政府に、
財政の
特殊性から或いは残るのではないかということも
考えられるのであります。その場合に、それをどの
機関に、どの省に属さしたらよいか、或いはどういう
機関を
作つてそこでやらしたらよいかということは、その
財政自主化法律案の
成立工合、それによ
つて残るところの残存の
権限、そういうものと睨み合せて、この
委員会が
地方財政の將來を慮
つて最も適当なるところに所属させるように
法律案を作案して、
國会にお諮りをして決めるべきである。かような
見地からいたしまして、その間はいずれにも属せしめず、その
産婆役であるところのこの
委員会が臨時附加的にそういう自主的な
権限を行な
つて行く。かような
趣旨からこの末項ができ上
つておるわけであります。
誠に
簡單でありますが、逐條的に概略の御
説明をいたした次第であります。