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政府委員(赤木曉君)
只今上程になりました
裁判所法の一部を
改正する等の
法律案について提案
理由を御
説明申上げます。
改正憲法の下におきまする司法制度につきましては、曩に
裁判所法が制定されまして、
改正憲法の施行と同時に施行せられ、
從來の司法制度に画期的な変革が加えられましたことは、すでに御承知の
通りであります。而してこの新制度の下に本年八月四日最高
裁判所の
裁判官の任命を見たのでありまして、ここに
改正憲法によりまして、重要なる任務を負担される最高
裁判所が発足するに至りましたことは、御同慶に堪えない次第でございます。
政府におきましては、この最高
裁判所、及び引続いて近く
裁判官の任命を見まする高等
裁判所以下の各
裁判所の発足に当りまして、
裁判所がその神聖なる使命を遂行いたします上に遺憾なからしむるため、
裁判官その他の
裁判所職員に関する諸
法律を更に檢討いたしまして、ここに所要の
改正を加えることといたし、本法案を提出いたす次第であります。以下本法案につきましと大略を御
説明いたします。
第一点は、
裁判所調査官の身分に関する
裁判所法の
規定につきまして、
從來これをすべて二級といたしておりましたのを、今囘一定の員数を限り一級官ともなし得ると改めました。これにより
裁判所調査官に一層の適材を得る途を開きまして、特に最高
裁判所の機能の充実を図ろうといたすものであります。
第二点は、下級
裁判所の
裁判官の任命のため最高
裁判所がその指名をいたす期間の延長であります。
裁判所法施行法におきましては、
裁判所法施行後六ケ月以内、即ち、本年十一月二日までにその指名をいたすべきものと定めておるのでありますが、
裁判所法施行後、最高
裁判所の
裁判官の任命が、いろいろの事情から予想以上に遅れましたために、その指名の期間を本年十二月三十一日まで延長いたすものであります。
第三点は、
裁判所の職員の定員の
改正であります。この定員は、
裁判所職員の定員に関する
法律によ
つて定めておるのでありますが、その後私的独占の禁止、及び公正取引の確保に関する
法律の施行、並びに経済統制違反の取締り強化に伴う措置等によりまして、
裁判官その他の職員の増員を必要といたします外、最高
裁判所の事務局の機構を整備充実いたしますために必要な
裁判所事務官等の増員をいたすものでございます。
第四点は、簡易
裁判所の判事の報酬につきまして、
從來、「一般の二級の官吏の受ける俸給の額の範囲内」とな
つておりましたのを、「一級及び二級」と改めまして、一級になし得る余地を作りまして、その範囲を高く廣く拡張いたし、簡易
裁判所判事に一層の適材を得ようといたすものであります。
尚政府より提案いたしました法案といたしましては、
只今申上げました四つの点でございますが、衆議院の
委員会におきまして、修正案が提案されまして、第四條に、『
昭和二十二年
法律第六十五号の一部を次のように
改正する。第三條第二項中「及び二級」を削ずる。同條第四項中「一般の」の下に「一級及び」を加える。』、要約して申しますと、判事補は別といたしまして判事はすべて一級の待遇にする。
從來は、判事は一級若しくは二級ということにな
つておりましたのを、判事はすべて一級待遇にする、こういう修正案が提案されまして、衆議院の
委員会におきましては可決されております。附け加えて申上げて置きたいと思います。
以上極めて簡單ではございはすが、本法案の
説明を申上げました次第であります。何卒愼重御審議の上、速かに御可決あらんことをお願いいたします。