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1947-08-06 第1回国会 参議院 司法委員会 第9号
公式Web版
会議録情報
0
付託事件
○
國家賠償法案
(
内閣送付
) ○
刑法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣
送付
) ○
岐阜地方裁判所多治見支部
を設置す ることに関する請願(第十一号) ○
帶廣地方裁判所設置
に関する陳情 (第四十九号) ○
刑事訴訟法
を
改正
する等に関する陳 情(第六十号) ○民法の一部を
改正
する
法律案
(
内閣
送付
) ○
連合國占領軍
、その將兵又は
連合國
占領軍
に附属し、若しくは随伴する 者の財産の
收受及び所持
の禁止に関 する
法律案
(
内閣提出
) ○
昭和
二十一年
勅令
第三百十一号(昭 和二十一年
勅令
第五百四十二
号ポツ
ダム宣言
の受諾に伴い発する命令に 関する件に基く
連合國占領軍
の
占領
目的
に有害な
行爲
に対する
処罰等
に 関する
勅令
)の一部を
改正
する
法律
案(
内閣提出
) ○
罹災都市借地借家臨時処理法
の一部 を
改正
する
法律案
(
衆議院送付
) ○
皇族
の
身分
を離れた者及び
皇族
とな
つた者
の戸籍に関する
法律案
(
内閣
送付
)
—————————————
昭和
二十二年八月六日(水曜日) 午後一時五十六分開会
—————————————
本日の会議に付した
事件
○
刑法
の一部を
改正
する
法律案
—————————————
伊藤修
1
○委員長(
伊藤修
君) それでは
委員会
を開きます。本日は「
刑法
の一部を
改正
する
法律案
」に基きまして、各
條審議
に入りたいと存じますが、先ず
政府委員
のこれに対する御
説明
を一
應伺つて
から、質疑を継続いたしたいと思います。
國宗榮
2
○
政府委員
(
國宗榮
君) 「
刑法
の一部を
改正
する
法律案
」の全般的な概括的な
説明
は、
提案理由
で申上げて置きましたのでございますが、各條に亘りまして簡單に御
説明
を申上げます。 先ず第一に、目次の
改正
でありますが、これは一應
條文
の
整理
をしたに止るのであります。 第
一條
でありますが、『第
一條
第一項中「
帝國
内」を「
日本國
内」に、同條第二項中「
帝國外
」を「
日本國外
」に、「
帝國船舶
」を「
日本船舶
」に改める。』かようにいたしましたのは、新
憲法下
になりまして、「
帝國
」という文字を使わなくなりまして、
日本國
と相成りましたので、その字句を
整理
をいたしたのでございます。 第
二條
でありますが、『第
二條
中「
帝國外
」を「
日本國外
」に、同條第三号中「乃至第八十九條」を「、第八十
二條
、第八十七條及び第八十
八條
」に改め、同條第一号を次のように改める。一
削除
』、かように
改正
いたしましたが、「
帝國外
」を「
日本國外
」と改めましたのは、先程申上げた
理由
によ
つて
改めたのでありまして、「一
削除
」といたしましたのは、後に御
説明
申上げます「
皇室ニ對スル罪
」を
削除
いたしました
関係
で、これを
削除
いたしました。第三号を改めましたのも、これは「
外患ニ對スル罪
」に関しまして
改正
をいたしましたので、それに應じてかように改めたのであります。 次は第三條でありますが、『第三條第一項中「
帝國外
」を「
日本國外
」に、「
帝國臣民
」を「
日本國民
」に改め、同條第二項を削る。』かように「
帝國外
」
並び
に「
帝國臣民
」という
言葉
を改めましたのは、先程申上げたと同じ
理由
によるのでありまして、更にこの第二項を削る、第二項は「
帝國外ニ於テ帝國臣民ニ對シ前項
ノ
罪ヲ犯シタル外國人ニ付キ
亦同ジ」、かような
規定
に相成
つて
おります。これを
削除
いたしたわけでございます。その
趣旨
は、
從來外國人
が
日本
人に対しまして、その法益を侵害して罪を犯した場合には、それが
外國
で行われた場合におきましても、
日本刑法
を適用することに
なつ
ていたのでありますが、この
規定
は諸
外國
の
立法例
も
考え
てみまして、この種の
國外犯
については、これを
当該國
の
刑法
に讓りまして、
日本國刑法
の適用を除外するという
趣旨
で、かようにいたしたのであります。一つには
憲法
の
改正
によりまして、
戰争放棄並びに國際信義
、かような原則に基きましてこの
規定
は特別に我が國の特殊な
保護主義
を強く主張しておるというふうに見られましたので、この点を
削除
いたした次第でございます。 次は第四
條関係
でございますが、第四條は、これはやはり先程申上げました
通り
「
帝國外
」
並び
に「
帝國
ノ」という
言葉
を、「
日本國外
」或いは「
日本國
ノ」というふうに改めましたのであります。
理由
は前に申上げた
通り
でございます。 次は第
五條
でありますが、第
五條
は
現行刑法
には「
外國ニ於テ確定裁判
ヲ
受ケタル者ト雖モ
同
一行爲ニ付キ更ニ處罰スルコトヲ妨ケス
但
犯人既ニ外國ニ於テ言渡サレタル刑
ノ全部又ハ一部ノ
執行
ヲ
受ケタルトキハ刑
ノ
執行
ヲ減軽又
ハ免除スルコトヲ得
」、かように
規定
いたしてありまするが、この「
免除スルコトヲ得
」というのを「
免除ス
」というふうに
改正
いたしました。その
趣旨
は第三條第二項を
削除
いたしたと同じ
考え
に基きまして、
國際信義
の
立場
をここで明かにいたしたい、かように
考え
たのであります。
外國
において
刑事裁判
を受けた者に対して、
日本
で更に重ねて刑の
言渡
しをする場合において、
犯人
がすでに
外國
で刑の全部又は一部の
執行
を受けていたときには、必ず減軽又は
免除
しなければならない、こういうようにいたしまして、
外國
の
裁判
を尊重する
趣旨
を一層明らかにいたしたのでございます。 次は第二十條中に「前條」とあるのを「第十九條」と改めておりますが、これは実は
刑法
へ第十九條の二を加えましたときに、当時
整理
しなければならなかつたのでありますが、手違いによりましてそのままに
なつ
ておりましたので、第十九條を改めまして、今囘この
整理
をやるというに過ぎないのでございます。 次は第二十
五條
でありますが、二十
五條
は「
左ニ記載シタル者
二年以下ノ
懲役
又
ハ禁錮
ノ
言渡
ヲ
受ケタルトキハ情状ニ因リ裁判確定
ノ
日ヨリ
一年以上五年以下ノ
期間内其執行
ヲ猶
豫スルコトヲ得
」ということを第一項に掲げておりますが、これを「二年以内ノ
懲役
又
ハ禁錮
」を「三年以下ノ
懲役
若
クハ禁錮
又ハ五千円以下ノ
罰金
」に改めましたのでございまして、その
趣旨
はこれまで御質問にもありましたように刑の
執行猶予
の
範囲
を廣めまして、そうして刑罰の効果を、いわゆる刑事政策的な
目的
を廣く達成しようという
考え
から、かようにいたしたのでございます。而もこの
改正
は、これまで
罰金刑
に対しましては
執行猶予
の
制度
がございませんのでありましたが、これによりまして新しく五千円以下の
罰金
につきましても
執行猶予
が
言渡
されるというふうに改めたのでございます。 次は第二十六條でありますが、二十六條は
現行法
によりますと、「
左ニ記載シタル
場合
ニ於テハ刑
ノ
執行
猶豫ノ
言渡
ヲ
取消ス可シ
、一 猶豫ノ
期間内更ニ罪ヲ犯シ禁錮
以上ノ刑二
處セラレタルトキ
、二 猶豫ノ
言渡前ニ犯シタル他
ノ
罪ニ付キ禁錮
以上ノ
刑ニ處セラレタルトキ
、三 前條第二
號ニ記載シタル者
ヲ
除ク外
猶豫ノ
言渡前他
ノ
罪ニ付キ禁錮
以上ノ
刑ニ處セラレタルコト発覺シタルトキ
」とありますが、この一項に更に第二項といたしまして「猶豫ノ
期間内更ニ罪ヲ犯シ罪金ニ處セラレタルトキハ刑
ノ
執行
猶豫ノ
言渡
を
取消スコトヲ得
」というのを一項加えまして、これは
執行猶予
につきまして
罰金
につきましてもこれを認めまして、その結果、これとの均衡上、
罰金
に処せられた場合も、刑の
執行猶予
の
言渡
を取消すことができるというような
規定
を加えたのであります。これは必ずしも
罰金
に処せられた場合に取消さなければならないのじやないのでございまして、
罰金
に処せられた場合におきましても、
情状
によりましてこれを取消すことができると、かように改めたのでございます。 次は「第六章時效」とありますのを「第六章刑の
時效及ヒ刑
ノ
消滅
」に改めることにいたしました。これは章の一番終りに、第三十四條の二といたしまして「刑ノ
執行
ヲ
終リ
又
ハ其執行
ノ
免除
ヲ得タル
者罰金
以上ノ
刑ニ處セラルルコトナクシテ
十年ヲ
經過シタルトキハ刑
ノ
言渡ハ其
ノ
效力
ヲ
失フ
、刑ノ
免除
ノ
言渡
ヲ
受ケタル者共言渡
後
罰金
以上ノ
刑ニ處セラルルコトナクシテ
二年ヲ
經過シタルトキハ刑
ノ
免除
ノ
言渡ハ其效力
ヲ
失フ
」、いわゆる
前科抹消
の
規定
を設けることにいたしましたので、この章の標題も「刑ノ
時效及ヒ刑
ノ
消滅
」と、かように改めたのでありまして、三十四條の二は新しく
條文
を加えたのでございます。これはいわゆる
前科抹消
の
規定
を設けたのでありまして刑事政策的な
制度
の拡張という
趣旨
で設けたのでございます。この刑の
言渡
の
效力
を失うということにつきまして十年の
期間
を定めましたのは、前囘も申上げました
通り
に、刑の
執行
を終り又はその
免除
を得たる者が、
罰金
以上の刑に処せられることなくして十年を過したという継続的な事実によりまして、一率に
前科
の
抹消
をするという
趣旨
によりまして、
先づ愼重
を期しまして、十年という
期間
を設けたのでございます。更にこの刑の
免除
の
言渡
を受けた者につきましては、刑の
免除
は有罪の
言渡
でありますけれども、普通の
懲役
、
禁錮
、
罰金
に処せられた場合とは趣きを異にいたしまして、いわば無罪の
言渡
があ
つた者
と余り違はないような
法律
上の效果を持
つて
おりますので特にこの点に限りまして、その
期間
を二年といたしたのでありますが、これは
刑法仮案
でかように定めておりましたので、大体それによりまして、この二年の
期間
を定めたのでございます。 次は、第九章
併合罪
に中の第五十
五條
を
削除
いたしました。「
連續シタル數個
ノ
行爲ニテ同一
ノ
罪名ニ觸ルルトキハ
一
罪トシテ
之
ヲ處斷ス
」、この
規定
を全部
削除
いたしたのでございます。これを
削除
いたしました
趣旨
は、五十
五條
はいわゆる
連続犯
に関する
規定
でありまして、「
連續シタル數個
ノ
行爲ニシテ同一
ノ
罪名ニ觸ルル
」、こういう場合にこれを一括して一罪として
処断
することに
なつ
ておるのでありまして、一罪として
処断
するには、
科刑
上におきましては
併合罪
としての取扱いをしないということでございまして
手続
の面におきましては、その一部について起訴があれば、当然全部を公判に繋属し、又その一部について
有罪裁判
が確定すれば、その
確定力
が当然
連続犯
の全部に及ぶ、
從つて
その他の
部分
が後に発覚しても、改めて起訴処罪することができないということを意味しておるのでありまして、
從來
の
刑事手続
、特に
捜査
に相当の時間的余裕がありました
関係
上、これらの
連続犯
の殆ど全部につきまして、十分な
捜査
を遂げて、起訴して、
審判
を受けることが大体可能でありましたが、併しその場合におきましても、大審院の判例が、非常に
連続犯
の
範囲
を廣くいたしまして、次第にこれが拡張されるような傾向にもありましたので、時としてはそういうような場合におきましても、軽微な
犯罪
につきまして
確定裁判
があるために、重要な
犯罪
が改めて
処断
することができない、こういうような不都合を生じたことがあります。この場合には止むを得ない
処置
といたしまして、
刑事訟訴法
の四百八十六條によりまして、
被告人
に不
利益
な
再審
の
規定
に基きまして
再審
によ
つて
前の
裁判
を取消しましてそうして
裁判
を直す、かようなことによ
つて
救済して
參つたの
でございますが、今日の薪らたな
刑事手続
におきましては、
捜査
の
期間
ま非常に制限を受けておりまするし、又
憲法
上、
裁判
の
審判
も迅速にしなければならないということが要求されておりまする結果、これまでのようにゆつくりと、
犯罪
の全
罪情
を調べた上で、これを
処断
するということは到底困難に
なつ
て参りました。そこで
從來
のような
考え
の下に
連続犯
の
制度
が残されておるとしますれば、恐らく常に僅か一部のみが実際の
審判
の
対象
となりまして、大
部分
の余罪はその蔭に隠れてしま
つて
、
被告人
が本來受けなければならない刑より遙かに軽い刑で
責任
を免れるということになりまして、而もその点の著しい場合例えば極く軽微な窃盜罪によりまして
処断
を受けて、兇惡な強盜罪の
処断
を免かれるというような著しい場合を救済しようといたしましても、今日におきましては、
從來
のように刑訴の四百八十六條の
規定
を流用することが、
刑事訴訟法
の
應急措置法
におきましてできないことに
なつ
ておりますので、かようなことでは社会の正義の通念にも反しまするし、治安の維持にも惡影響を及ぼし、もともと
連続犯
の
対象
となるのは、
数行爲
でありまして、本來それぞれ独立して一罪を構成すべきものでありますから、これを立法上どの
程度処断
上の一罪とするかということを
考え
た結果そのことは一應便宜の問題ではないか、かように
考え
まして、今日の
治安維持
の
関係
、
処罰
に
社会正義
を顯現するというような観点からいたしまして、先ず第五十
五條
を
削除
いたしました方がいいのではないかということから、この五十
五條
を
削除
いたしたのであります。 次は五十
八條
でありますが、五十
八條
は、これは「
裁判確定
後
再犯者タルコトヲ発見シタトキハ
前條ノ
規定
ニ從ヒ加重ス可
キ刑
ヲ定ム、
懲役
ノ
執行
ヲ
終リタル
後又
ハ其執行
ノ
免除アリタル
後
發見セラレタル者ニ付テハ前項
ノ
規定
ヲ
適用セス
」、この
規定
を
削除
いたしました。これはいわゆる
累犯加重
の決定が、
憲法
の三十九條の精神に反する疑いがあるのではないかという点から、これを
削除
することにいたしたのでございます。 次は「第二編罪」の中の第一章の「
皇室ニ對スル罪
」でありますが、これを
削除
いたしました。即ち「第一章
皇室ニ對スル罪
」を「第一章
削除
」に改め、第七十三條乃至第七十六條を
削除
いたしました。この度の
刑法
の
改正
の中におきまして、最も重要なる点はこの「
皇室ニ對スル罪
」の
削除
であろうと
考え
るのであります。新
憲法
におきまして、天皇は
日本國
の
象徴
であらせられ、
日本國民統合
の
象徴
であらせられことは、明らかに
規定
しておるのでありまして、而もかような特別の
地位
を有せらるるのでありまして、
皇族
も又、これに從いまして
法律
上特殊の
身分
を有せらるるのでありまするけれども、他面これらの
地位
と矛盾しない
範囲
におきまして、
一般
の
國民
と平等な
個人
としての
立場
をも、以前も有せられ、今日も尚且つ有せられておるのでありまして、この
個人
という
立場
である限りにおきましては、法的に異
つた扱い
をするということは、新
憲法
の
趣旨
に合致しない、かように
考え
まして、この「
皇室ニ對ナル罪
」を
削除
いたしました次第でございます。固より
個人
の尊重又
個人
の平等、こういう
趣旨
を徹底せんとするものでありまするけれども、これにつきましては
日本國民
の傳統的な感情に異常な衝撃を與えるのではないかという点を非常に懸念いたしたのであります。併し
政府
といたしましては、これらの
罰條
の存廃が、直ちに我が
國民主化
の問題の一環といたしまして、
列國
の注視の的と
なつ
ておることを考慮いたしまして、挙げてこの章を
削除
することにいたしたのでございます。 次は第三章の「
外患ニ關スル罪
」を
改正
いたしました。これは第三章の「
外患ニ關スル罪
」は、
戰爭状態
の発生
並び
に
軍備
の
存在
を
前提
とする
規定
でありまして、今次
憲法
におきまして
戰爭放棄
を宣言いたしておるのでありまするから、この
條章
は当然に
改正
を加えなければならない、かように
考え
たのであります。ただ併し戰爭を放棄いたしましても、
外國
との
関係
におきまして
処罰
を要するものがございます。それを改めてこの度
規定
いたした次第でございます。即ち八十
一條
を
改正
いたしまして「
外國ニ通謀シテ日本國ニ對シ武力
ヲ
行使スルニ至ラシメタル者ハ死刑ニ處ス
」
外國
と通謀いたしまして、
日本
の國に対し
武力
を行使するに至らしめた者、
外國
が
日本
に対して
武力
を行使する、かような場合に、これを行使するに至らしめた者を
死刑
に処すと
規定
をしたのであります。「第八十
二條
日本國ニ對シ外國ヨリ
ノ
武力
ノ
行使アリタルトキ
之
ニ與シテ其軍務ニ服シ其他之ニ軍事
上ノ
利益
ヲ
與ヘタル者ハ死刑
又
ハ無期
若
クハ
二年以上ノ
懲役ニ處ス
」、これも
日本
に対しまして、
外國自体
が
武力
の行使をして参りましたとき、これに対してその軍務に服したり、或いは軍事上の
利益
を與えるという
行爲
がありました者は、
死刑
又は二年以上の
懲役
に処す、とこういう
規定
にいたしたのであります。 それから八十三條乃至八十六條は、いずれも
戰爭状態並
に
軍備
の
存在
を
前提
といたしまする
規定
でありまするので、これは
削除
いたしました。そうして八十
七條並
に八十
八條等
におきましては、この
削除等
によりまするところの
整理
をいたしまして、八十九條をも、只今申上げましたように、
軍備
の
存在並
に
戰爭状態
を
前提
といたしまする
規定
と解されまするので、これを
削除
いたしました。 次に第四章の「
國交ニ關スル罪
」でありまするが、これは第九十
條竝
に第九十
一條
を
削除
いたしたのであります。第九十條は「
帝國ニ滞在スル外國
ノ
君主
又
ハ大統領ニ對シ暴行
又
ハ脅迫
ヲ
加ヘタル者ハ
一年以上十年以下ノ
懲役ニ處ス
、
帝國ニ滞在スル外國
ノ
君主
又
ハ大統領ニ對シ侮辱
ヲ
加ヘタル者ハ
三年以下ノ
懲役ニ處ス
但
外國政府
ノ請求ヲ
待テ其罪ヲ論ス
」、かような
規定
でありまするが、勿論この
規定
を
削除
いたしましたのは、
皇室
に対しまする罪を
削除
いたしましたのに應じまして、この
規定
を
削除
いたしましたのでございまするけれども、併しながら、これによりまして
外國
の
君子
又は
外國
の
使節
に対しまする
國際法
上のいわゆる
不可侵権
、
國際法
上認められました権限を認めないという
趣旨
ではないのでございまして、これを
削除
いたしますると同時に、
一般
の
暴行脅迫
の刑を加重いたしまして、そうして
外國
の
君子並
に
外國
の
使節等
の
保護
に欠けるところないようにいたしたのであります。ただ併し、後にを
説明
申上げまするけれども、
侮辱
の
規定
を
削除
いたしておりますので、
外國
の
使節
に加えられました、或いは
外國
の
君子
、
大統領
に加えられました
侮辱
については、この九十條、九十
一條
ノ
規定
を
削除
することによりまして、
保護
を與えられないという結果に相成りまするけれども、
暴行並
に脅迫、或いは
名誉毀損等
の罪を重くいたしまして、これらの
君主並
に
使節
に対しまする
一般
的の
保護
においては欠けるところのないように顧慮いたしたのでございます。 次は第百
五條
であります。「
犯人藏匿及ヒ證憑湮滅
ノ罪」の中の第百
五條
、「
本章
ノ
罪ハ犯人
又
ハ逃走者
ノ
親族ニシテ犯人
又
ハ逃走者
ノ
利益
ノ
爲メニ犯シタルトキハ
之
ヲ罰セス
」、かような
規定
があるのでございます。この「
罰セス
」を改めまして「其刑ヲ
免除スルコトヲ得
」、かようにいたしたのでございます。かように
犯人
の
藏匿証憑
、湮滅に親族が関與した場合におきまして、
情状
によ
つて
これを
処罰
し得るということにいたしましたのは、
犯人
の捜索と正しい
裁判
のために
國民
の協力を得ようとする、こういう
趣旨
に基きまして
從來
「
罰セス
」と相成
つて
おりましたのを「其ノ刑ヲ
免除スルコトヲ得
」というふうにいたしたのでございます。 次は「第七章ノ二
安寧秩序ニ對スル罪
」、これを全部
削除
いたしました。百
五條
ノ二から百
五條
ノ四でありますが、この
規定
はいわゆる戰時色が相当濃厚であるという点、竝に
規定
の内容が相当漠然としておりまして、もう少し具体的な
規定
をする必要があろうという点、從いましてこれの
運用
によりましては、今日
憲法
で認められておりますところの言論の
自由等
に対しまして、
運用
の如何によりましては余り面白くない結果を生ずるという点から、この
規定
を一應全部
削除
することにいたしました。併しながらこの
規定
の中には尚
趣旨
から申しまして存置してよろしいものもあると
考え
られますので今後の
刑法
の
全面改正
の場合におきまして、これを再び考慮に入れまして、具体的に適当な
規定
がいたしたい、かように
考え
ておるのであります。 次は百三十
一條
であります。百三十
一條
は「住居ヲ
侵ス罪
」の中の一でありまして、「故
ナク皇居
、禁苑、離宮又
ハ行在所ニ侵入シタル者ハ
三月以上五年以下の
懲役ニ處ス
、
神宮
又
ハ皇陵ニ侵入シタル者
亦同シ」、これは
憲法
の
改正
によりまして、
神宮
、
皇陵等
につきましては
一般
の
規定
による方がいいではないかという点と、「
皇室ニ對スル罪
」を
削除
いたしましたので、第一項の
規定
をも
削除
いたしまして、
一般
の
規定
によらしめることといたしたのであります。 『百三十
二條
中「
本章
」を「第百三十條」に改める。』、これは百三十條を
削除
いたしましたので、
條文
の
整理
をいたしたのでございます。 次は「第二十二章猥褻、
姦淫及ヒ重婚
ノ罪」の中の第百七十四條でありますが、「公然猥褻ノ
行爲
ヲ
爲シタル者ハ科料ニ處ス
」、かような
規定
に
なつ
ておりまして、極く軽い刑がこの百七十四條に
規定
してありますが、この
科料
を「六月以下ノ
懲役
若
クハ
五百圓以下の
罰金
又
ハ拘留
若
クハ科料
」、かように刑を改めました。これまで非常に
科料
が軽いのでありまして、今日の世情に照しまして、かような
行爲
につきましては刑を改める必要があると
考え
まして重くいたしたのでございます。 次に百七十
五條
でありますか、百七十
五條
は「猥褻ノ
文書
、
圓畫其
ノ他ノ物ヲ頒布若
クハ販賣シ
又ハ公然之ヲ
陳列シタル者ハ
五百圓以下ノ
罰金
又
ハ科料ニ處ス
、
販賣
ノ
目的
ヲ
以テ
之
ヲ所持シタル者
亦同シ」、この「五百圓以下ノ
罰金
又ハ」を「二年以下ノ
懲役
又ハ五千圓以下ノ
罰金
若
クハ
」というふうに改めまして、刑を重くいたしました。この
趣旨
も百七十四條の
趣旨
と同樣であります。勿論
出版
の自由は認めなければなりませんのでありまするけれども、かような
文書
の
出版
は正しい
出版
ではないのでありまして、今日の時世に照しましてこの刑を重くする方が相当であろう、かように
考え
ましたので「五百圓以下ノ
罰金
」を「二年以下の
懲役
又は五千圓以下の
罰金
」、かように改めました。 次は百八十三條でありますが、これは
姦通
に関しまする
規定
でありまして
憲法
の十四條によりまして、夫婦の同権と男女の基本的平等が
規定
されましたので、
姦通
をいたしました場合、
男女兩方
を罰するか、或いはこれを罰しないかという
処置
をいたさなければならなくなりましたので、
政府
といたしましては、この
規定
を
削除
して、
男女同権
の
趣旨
を明らかにいたしたのでございます。 次は「
涜職
ノ罪」の第百九十三條であります。「
公務員其職権
ヲ
濫用シ人
ヲ
シテ義務ナキ事
ヲ
行ハシメ
又ハ行
フ可キ權利
ヲ
妨害シタルトキハ
六月以下ノ
懲役
又
ハ禁錮ニ處ス
」、これを「六月以下」を「二年以下」に改めました。更に百九十四條でありますが、これは「
裁判
、檢察、
警察
ノ
職務
ヲ
行ヒ
又ハ之
ヲ補助スル者其職權
ヲ
濫用シ人
ヲ
逮補又ハ監禁シタルトキハ
六月以上七年以下ノ
懲役
又
ハ禁錮ニ處ス
」、この「七年以下」とありますのを「十年以下」に改めました。更に第百九十
五條
の「
裁判檢察
、
警察
ノ
職務
ヲ
行ヒ
又ハ之
ヲ補助スル者其職務
ヲ
行フニ當
り
刑事被告人其他
ノ者に
對シ暴行
又
ハ凌虐
ノ
行爲
ヲ
爲シタルトキハ
三年以下ノ
懲役
又
ハ禁錮ニ處ス
、
法令ニ因リ拘禁セラレタル者
ヲ看守又
ハ護送スル者
被
拘禁者ニ對シ暴行
又
ハ凌虐
ノ
行爲
ヲ
爲シタルトキ
亦同シ」、この「三年以下ノ
懲役
又
ハ禁錮
」というのを「七年以下」に改めまして、
一般
にこの
涜職
の罪の中でいわゆるこの
職権濫用
と見られる、いわゆる
人権蹂躙
ともいわれるところのものにつきまして、特にこの刑を加重いたしまして、これらの者に対しまするところの
責任
をはつきりといたすことにいたしたのでございます。 次は第二十七章「
傷害
ノ罪」の中の二百
八條
の
暴行罪
の
規定
でありますが「
暴行
ヲ
加ヘタル者
、人ヲ
傷害スルニ至ラサルトキハ
一年以下ノ
懲役
若
クハ
五十圓以下ノ
罰金
又
ハ拘留
若
クハ科料ニ處ス
、前項ノ
罪ハ告訴
ヲ
待テ
之
ヲ論ス
」、この第一項中の「一年以下」を「二年以下に改め、更に、「五十圓以下」を「五百円以下」に改め、尚第二項を削りました。即ち
暴行罪
の刑を二年以下或いは五百円以下と重くいたしますと同時に、
親告罪
に
なつ
ておりまするこの
暴行罪
を、
親告罪
の
規定
を
削除
いたしまして、
告訴
をやらなくても、直ちに
暴行罪
として
処罰
し得るように改めたのでございます。その
趣旨
は今日の新らしい
憲法
の下におきまして、
暴力
は杏定されなければならないのでありまして、
暴力
を以て種々のことが行われますことは好ましくないと
考え
まして、これらのものは
告訴
に拘わらしめず、当然に
暴行
に対しましては
処罰
がし得る、而も刑を重くする、かような
趣旨
で改めたのでございます。 次は第二十八章の「
過失傷害
ノ罪」の中の第二百十
一條
でありまして、「業務上
必要ナル注意
ヲ怠
リ因テ人
ヲ
死傷ニ致シタル者ハ
三年以下ノ
禁錮
又ハ千圓以下ノ
罰金ニ處ス
」、この第二百十
一條
の次に、後段として、「
重大ナル過失ニ因リ人
ヲ
死傷ニ致シタル者
亦同シ」、かように附け加えました。この
趣旨
はやはり今日の新らしい
憲法
の下におきまして、人の生命、身体等に対しまする
保護
を十分に厚くする必要があると
考え
ましたので、かような
規定
を設けたのでございます。 次は第三十二章の「脅迫ノ罪」、二百二十
二條
でありますが、二百二十
二條
は「生命、身体、自由、名譽又ハ財産ニ對シ害ヲ加フ可キコトヲ
以テ
人ヲ脅迫シタル者ハ一年以下ノ
懲役
又は百圓以下ノ
罰金ニ處ス
、親族ノ生命、身體自由、名譽又ハ財産ニ對シ害ヲ加フ可キコトヲ
以テ
人ヲ脅迫シタル者亦同シ」、いわゆる脅迫罪の
規定
であります。この中の第一項中の「一年以下」を「二年以下」に改め「百圓以下」を「五百円以下」に改めました。この
趣旨
も新
憲法下
におきまして、
個人
の生命、身体、自由、名誉、これらのものに対しまする
保護
を十分に厚くし、同時に前に二百
八條
の所でちよつと申落しましたが「
國交ニ關スル罪
」の九十條、九十
一條
を
削除
いたしました
関係
で、
外國
の
君主並
びに
外國
の
使節等
に対する
保護
をも十分に厚くし得るという点を予測いたしまして、二百
八條
の刑を重くいたしますと同時に、この「脅迫ノ罪」につきましても、
個人
の生命、身体、自由、名誉等の
保護
を厚くすると同時に、
外國
の
君主
、
使節
の
保護
にも欠くるところがないように、この刑を重くいたした、次第でございます。 次は第三十三章「略取及ヒ誘拐ノ罪」の中の二百二十六條でありますが、この中の「
帝國外
」を「
日本國外
」に改めるというのは、字句の
整理
をいたしたのでございます。 その次は第三十四章「名譽ニ對スル罪」でございます。この中の二百三十條「公然事實ヲ摘示シ人ノ名譽ヲ毀損シタル者ハ其事實ノ有無ヲ問ハス一年以下ノ
懲役
若
クハ禁錮
又ハ五百圓以下ノ
罰金ニ處ス
、死者ノ名譽ヲ毀損シタル者ハ誣罔ニ出ツルニ非サレハ之
ヲ罰セス
」、この
規定
の中「一年以下」を「三年以下」に、「五百圓以下」を千円以下」に改めました。今日
個人
の自由が非常に叫ばれておりまする一面、正当なる言論でなくして、可なり人の名誉を毀損すべきような事実をむやみやたらに述べまして、今日の事態を紛糾させており、或いは社会の正しい民主化の方向に障碍を與えておるというような事象に鑑みまして、名誉に対しまするところの罪の罰を重くいたしましてこの点正しいところの
個人
の名誉を
保護
して行こうというふうに
考え
たのでございます。同時に先程申上げましたように「
國交ニ關スル罪
」の
規定
を
削除
いたしました
関係
上、それらの者に加えられまするところの名誉毀損の罰に対する
保護
を十分にいたす必要がありますので、「三年以下」
並び
に「千円以下」というふうに刑を重くいたしました。更に二百三十條の次に二百三十條の二を一項加えました。二百三十條の二は「前條第一項ノ
行爲
公共ノ利害ニ關スル事實ニ係リ其
目的
專ラ公益ヲ圓ルニ出テタルモノト認ムルトキハ事實ノ眞否ヲ判斷シ眞實ナルコトノ證明アリタルトキハ之
ヲ罰セス
、前項ノ
規定
ノ適用ニ付テハ未タ公訴ノ提起セラレサル人ノ
犯罪
行爲
ニ關スル事實ハ之ヲ公共ノ利害ニ關スル事實ト看做ス、前條第一項ノ
行爲
公務員又ハ公選ニ依ル公務員ノ候補者ニ關スル事實ニ係ルトキハ事實ノ眞否ヲ判斷シ眞實ナルコトノ證明アリタルトキハ之
ヲ罰セス
」、かような
規定
を此処に加えたのでございます。
個人
の名誉は当然に
保護
されなければならないのでありますけれども、併しながら眞に眞実を申しまして而もその眞実が公共の利害に関する事実でありまして、專ら公益のため、公益を図る
目的
に出でたというやうに認められるものであります場合には、これが眞実な言であるとしまするならば、
憲法
の保障いたしております言論の自由という点から
考え
ましても、これらのものは
処罰
しないというふうにいたしまして、正しい意味の言論はこれは罰しないけれども、そうでないものはこれは重く罰する、かような
趣旨
によりまして二百三十條の二を加えたのでございます。ただこの二百三十條の二の第三項の
規定
の「公務員又ハ公選ニ依ル公務員ノ候補者ニ關スル事實ニ係ルトキハ事實ノ眞否ヲ判斷シ眞實ナルコトノ證明アリタルトキハ之
ヲ罰セス
」、この
規定
は
一般
の場合と異りまして、公然事実を摘示しまして、人の名誉を毀損するという言動をいたしました者が、公共の利害に関する事実について專ら公益を図るに出でた、こういう制限を置きませんで、ただ公務員
並び
に公務員の候補者に関する事実につきまして、單にそれが眞実であればこれを罰しない、虚僞である場合にのみこれを罰する、いかなることを申しても、眞実であればこれを罰しない、かように廣い
規定
を設けたのでございます。これは特に公務員が公務員として、他人から非違を摘発されまして、その事実がありようなものは、公務員又は公務員の候補者になることは好ましくないという点から、單に事実の眞実であるか、或いは虚僞であるかによりまして
処罰
を異にするという
規定
にいたしましのでございます。 三十四章のうちの二百三十
一條
侮辱
罪の
規定
でありますが、「事實ヲ摘示セスト雖モ公然人ヲ
侮辱
シタル者
ハ拘留
又
ハ科料ニ處ス
」、この
規定
を
削除
いたしました。この
削除
いたしました
趣旨
は、今日の言論を尊重いたしまする
立場
から、たまたま怒りに乘じて発しましたような、軽微な、人を
侮辱
するような
言葉
につきましては、刑罰を以て臨まなくてもよいのではないか、かような
考え
からこれを
削除
いたしましたが、この点につきましては、尚考慮の余地があろうかと
考え
ているのでございます。特に九十條、九十
一條
を
削除
いたしました
関係
上、
外國
の
使節等
に対しまする單なる
侮辱
の
言葉
が、往々にして國交に関する問題を起すような場合も
考え
られまするので、これは
削除
いたしましたけれども、考慮を要するのではないかと
考え
ております。 更に次は二百三十
二條
でありますがこの名誉毀損罪は
告訴
を待
つて
論ずることに
なつ
ておりますが、
皇室
に対しまする罪を
削除
いたしましたので天皇
皇族
に対しまするところの不敬の
規定
をも当然に
削除
いたしました
関係
上天皇並に
皇族
に対しまするところの、
從來
不敬として
考え
られておりました名誉毀損の
範囲
に入るものは、これを名誉毀損の罪に上
つて
一樣にこれを
処断
することに相成りました。從いまして天皇、或いは
皇族
方が
告訴
をしなければ、
本章
の
規定
によりまして
処罰
をすることができないことに相成るのでありますが、天皇並に皇后、皇太后、太皇太后、皇嗣、かような方々がみずから
告訴
をなさるということはちよつと
考え
られないのでございまして、從いまして、この方々に限りまして特別な
規定
を設ける必要がありましたので「
告訴
ヲ爲スコトヲ得可キ者カ天皇、皇后、太皇太后、皇太后又は皇嗣ナルトキハ
内閣
總理大臣、
外國
ノ
君主
又ハ
大統領
ナルトキハ其國ノ代表者代リテ之ヲ行フ」というように
規定
を改めました。
外國
の
君主
又は
大統領
、これも九十條、九十
一條
を
削除
いたしましたので、元來、
外國政府
の請求を待
つて
論ずる罪に
なつ
ておりましたが、やはり
一般
の名誉毀損罪によ
つて
、
外國
の
君主
又は
大統領
に對しまするところの名誉に對する
保護
をいたさなければならないので、これにつきましても、
外國
の
君主
又は
大統領
から直接
告訴
を受けるということは非常に困難なことでございますので、その國の代表者が代
つて
これを行う、その國の代表者はその國を代表して、我が國に駐在しておられるところの外交
使節
、或いはその國から依頼を受けました他の外交
使節等
によりまして、これを行うことができるというふうにいたしたのでございます。 次は三十六章の「竊盜及ヒ強盜ノ罪」の中の二百四十四條「直系血族、配偶者及ヒ同居ノ親族又ハ家族ノ間ニ於テ第二百三十
五條
ノ罪及ヒ其未遂罪ヲ犯シタル者ハ其刑ヲ
免除
シ其他ノ親族又ハ家族ニ係ルトキハ
告訴
ヲ
待テ其罪ヲ論ス
、親族又ハ家族ニ非サル共犯ニ付テハ前項ノ例ヲ用ヒス」。それから二百五十七條「直係血族、配偶者、同居ノ親族又ハ家族及ヒ此等ノ者ノ配偶者間ニ於テ前條ノ罪ヲ犯シタル者ハ其刑ヲ
免除ス
、親族又ハ家族ニ非サル共犯ニ付テハ前項ノ例ヲ用ヒス」、親族相盜の場合と贓物に関しまするところの親族間の
犯罪
というものにつきましてかような
規定
があるのでありまするが、この中、家族といいますのは、民法の
改正
によりまして、この観念を認むる必要がなくなりますので、これを改めまして、家族という文字を削つたのでございます。 大体非常に雜駁な
説明
でございますけれども、以上が
改正
案の本文全部につきましての簡單な
説明
でございます。 附則につきまして簡單に申上げますと、この
法律
施行の期日は、政令で定める。第二十六條第二項の
改正
規定
は刑の
執行猶予
の
言渡
を受けた者がこの
法律
施行前に更に罪を犯した場合については、これを適用しない。第三十四條の二の
改正
規定
は、この
法律
施行前に刑の
言渡
又は
免除
を受けた者にもこれを適用する。二十六條の二項は「猶豫
期間
内更に罪ヲ犯シ
罰金
ニ
處セラレタルトキ
ハ刑ノ
執行
猶豫ノ
言渡
ヲ
取消スコトヲ得
」、この二項の「
改正
規定
は刑の
執行猶予
の
言渡
を受けた者がこの
法律
施行前に更に罪を犯した場合については、これを適用しない。」、これは当然の
規定
でありまして、
法律
の施行前に更に罪を犯した場合には、この
法律
施行後に発見いたしましても、この二十六條第二項の
規定
は適用しないとこういうことを言
つて
おるのであります。それから三十四條の二は
前科抹消
の
規定
でありますが、「この
法律
施行前に刑の
言渡
又は刑の
免除
の
言渡
を受けた者にもこれを適用する。」、これはこの
法律
の施行前に刑の
言渡
又は刑の
免除
の
言渡
を受けた者もやはりこの恩典に浴せしめることがよいということでかような
規定
を設けたわけであります。その次は、「この
法律
施行前の
行爲
については、
刑法
第五十
五條
、第二百
八條
第二項、第二百十
一條
後段、第二百四十四條及び第二百五十七條の
改正
規定
にかかわらず、なお從前の例による。」、これはその五十
五條
を
削除
をいたしますし、第二百
八條
の第二項は特別な
親告罪
に
なつ
ておりますのを削りましたし、二百十
一條
の後段には特に重大なる過失によ
つて
人を死傷した者について刑を重くしておりますし、二百四十四條と二百五十七條は家族につきましての
親告罪
に係らしておる
規定
でありますから、これを
法律
施行前の
行爲
につきましてここまで及ぼすことは不利な……
法律
の效果を特に遡及させることになりますので、
從來
の例によ
つて
、これを
処断
するということにいたしておる次第でございます。 簡單でありますが……。
伊藤修
3
○委員長(
伊藤修
君) ちよつとお諮りいたしますが、目次を初めといたしまして五十
八條
までに対しましては先般來、大体論の御質疑の中で相当論議が進められておりますが、之を各
一條
ずつや
つて
参りましようか。五十
八條
まで一括して質疑の
対象
にいたしましようか。いかがですか。
松井道夫
4
○松井道夫君 一括してやられた方がよいのじやないかと思います。といいますのは、大分法案も山積しておりますし、残りの國会の
期間
も少いので、成るべく審議を進めるという意味で、そういうことを希望いたします。
岡部常
5
○岡部常君 私はちよつと反対でございます。今までも審議の経過を見ますと、あつちこつち、余りにあと先に順序なく論議されて、纒まりがつきにくいようでありますから、少くとも章別か何かでおやりになる方が纒まりがよいのではないかと思います。
一條
々々でなくてもよいのですが、何か纒まりをつけて行きたいと思います。
伊藤修
6
○委員長(
伊藤修
君) 他に御意見はありませんですか。
齋武雄
7
○齋武雄君 私は委員長が言われたように総則は総則として、総則のみについて自由に質疑した方がよいと
考え
ます。総則のみに限定する、そういうように
考え
ます。結局五十
八條
まで……
松井道夫
8
○松井道夫君 総則は、御意見のように五十
八條
まで総則全部一括してやられるのが適当ではないかと思います。各條に
なつ
て來ますと、多少まだ問題もあります。又余りまだ質疑も行われておりませんので、これは今の岡部さんの御意見に從つた方が然るべきだと
考え
ます。
松村眞一郎
9
○松村眞一郎君 やはり大体は順序を追
つて
おやりに
なつ
たらどうかと思う。或いは章なり纒めて、各論を全部通じてということよりも、やはり各論の第二編になりますれば二編の中、委員長において適当にどこまでとお切りに
なつ
た方がよくはないですか。便宜上何章までというように……余り第二編の初めから、終いまでや
つて
おりますと、前に行つたりうしろに行つたりしますから、適当に区分しておやりに
なつ
たらいかがですか。
伊藤修
10
○委員長(
伊藤修
君) 各委員の方がいろいろな御意見もありますが、大体こういうことにいたしたいと思います。初めの目次から五十
八條
までを一括して、総則として議題に供しまして、この
範囲
において質疑を御継続願う、こうしたいと思いますが……
伊藤修
11
○委員長(
伊藤修
君) では、さようにいたします。どうぞ御質疑のある方は……
岡部常
12
○岡部常君 これは、前にお伺いした方が適当であつたかも知れませんが、今度の
改正
の中に、あ
つて
欲しいと思うことが、私は一つ抜けておるように感じますので、その点だけ申上げたいと思います。我が國における仮出獄の
制度
、これは今までの実績から見まして、相当の成果を挙げておると私は信ずる者であります。この運営よろしきを得ますならば、又而して
從來
の経過は相当よく運営されておると私は見るのでありますが、結局不定期刑を
刑法
の上には
一般
的に認めておらないに拘わらず、相当不定期刑に代るだけのよい效果を挙げておるように
考え
るのであります。今までの実績から見ましてこういう
改正
の際に何らかそれを
改正
せられる、或いは仮釈放の條件を寛大にするとか、仮出獄に関しまして受刑者を
保護
する
規定
というようなものを今囘の
改正
についてお
考え
になれなかつたかどうか、何らかそこに躊躇されることがございましたなら、それをお示し願いたいと思うのであります。
國宗榮
13
○
政府委員
(
國宗榮
君) この度の「
刑法
の一部を
改正
する
法律案
」におきましては、
日本國
憲法
の制定に伴いまして、当面必要なる最少限度に
改正
を止めるという建前をとりましたので、只今お尋ねのような仮出獄の問題につきましても一應考慮いたしたのでありますけれども、これは仮出獄その他
刑法
の、例えば宣告猶予というような
制度
いわゆる刑事政策的な根本的の問題につきましては、
刑法
の全面的な
改正
におきまして愼重に
考え
てこれを採り上げ、そうしてこの新らしい
憲法
の下におきまするところの刑事政策的な
規定
を明らかにいたしたい、かように
考え
ましたので、この
改正
案にはこれを採り上げなかつた次第でございます。
岡部常
14
○岡部常君 そういたしますと、將來は今例に挙げられました宣告猶予等と
並び
まして、假釈放、假出獄の
制度
というものに更に改善を加えるという御意思があるのでありますね。
國宗榮
15
○
政府委員
(
國宗榮
君) 假出獄
並び
に恩赦の
制度
、更に先程申上げました宣告猶予の
制度
、或いは
執行猶予
の
制度
というものの全般に亙りまして、勿論
刑法
の
改正
の際には考慮いたすつもりであります。
岡部常
16
○岡部常君 分りました。
齋武雄
17
○齋武雄君 第
五條
についてお伺いしたいのでありますが、第
五條
には「
外國ニ於テ確定裁判
ヲ
受ケタル者ト雖モ
同
一行爲ニ付キ更ニ處罰スルコトヲ妨ケス
」という
規定
がございまして「但
犯人既ニ外國ニ於テ言渡サレタル刑
ノ全部又ハ一部ノ
執行
ヲ
受ケタルトキハ刑
ノ
執行
ヲ減經又
ハ免除スルコトヲ得
」、この
規定
の但書を
改正
して、必ず
免除
する、こういう
規定
のようでありますが、その
改正
の
理由
として、只今当局から、
外國
の
裁判
を尊重する意味においてこういう
規定
にしたのだ、その刑の
執行
が終つた場合において、
外國
の
裁判
を尊重して必ず
免除
すべきだそういう意味において、この
改正
ができたのだと、こういうお話でありますが、然らば但書でなく、第三條の本文においてもそうでなければならないのではないか。本文においても「
外國ニ於テ確定裁判
ヲ
受ケタル者ト雖モ
同
一行爲ニ付キ更ニ處罰スルコトヲ妨ケス
」、第三條の本文は更にそういうことは
考え
ていない、
執行
の終了した場合と終了しない場合において相違した
外國
の
裁判
を尊重するという意味であれば、両方同一でなければならん、第一項の場合には更に
日本
においても
裁判
する、その場合において
執行
が二つになるのであるか、
外國
の
裁判
も
執行
することになり、又
日本
の
裁判
も
執行
することになるのであるかどうか、そういう点についてお伺いして置きたい。
國宗榮
18
○
政府委員
(
國宗榮
君) 第
五條
の本文は「
外國ニ於テ確定裁判
ヲ
受ケタル者ト雖モ
同
一行爲ニ付キ更ニ處罰スルコトヲ妨ケス
、但
犯人既ニ外國ニ於テ言渡サレタル刑
ノ全部又ハ一部ノ
執行
ヲ
受ケタルトキハ刑
ノ
執行
ヲ減經又
ハ免除スルコトヲ得
」、これを
免除
するといたしましたのは、
外國
におきまして
裁判
を受けまして、刑の全部又は一部の刑の
執行
を受けた場合におきましてはこれはもう我が國において
執行
しないこういう
趣旨
でありまして、本文におきまして
確定裁判
を経たる者で以て、尚且つ
裁判
の
執行
を受けない者があると
考え
られるのであります。元來
外國
の
裁判
を受けた者も、我が國の
法律
によ
つて
処罰
し得るというのが本文の
規定
でありまして、若し我が國の
裁判
で
処罰
して場合において、
外國
の
裁判
の
執行
をすでに受けた者は、その受けた限度において刑の
免除
をする、こういうふうにいたしたのであります。
從來
の
規定
によりますと、
外國
で
確定裁判
を受けまして、更に
外國
で
執行
を終えて参りました者も、
日本
の
裁判
所において
裁判
をして、刑を二重に
執行
することが可能であつたのであります。さようなことをしないという
趣旨
を明らかにしたのであります。
齋武雄
19
○齋武雄君 ちよつとそのことに関聯してでありますが、
外國
で確定判決を受けて、まだ
執行
をしないで
日本
に帰
つて
來た、その場合において、
日本
で判決をすることは妨げないのでありますが、そういう場合において、
日本
の判決と
外國
の確定判決が違つた場合において、
外國
から刑の
執行
の委託というか、嘱託というか、そういう場合にはどうなるのでありますか。
國宗榮
20
○
政府委員
(
國宗榮
君)
外國
の
裁判
の效果を
日本
の
裁判
所において
執行
するということは、特別な條約
関係
がなければできないことでありまして、
日本
におきましては
日本
の
裁判
の
執行
のみを扱う、その点については、
外國
からそういう要求がございましても、それは條約なり、その他において決められた場合に限られるわけでありますのでさようなものは、今日いわゆる
犯罪
人引渡條例というものがありましても、さようなものは條約としてはないのじやないかと思います。
齋武雄
21
○齋武雄君 そういう條約は、將來においてないというお
考え
の下に、こういうふうになされたのでしようか。若し刑の
執行
を委嘱するという條約があつた場合において、どういうふうになりますか。
國宗榮
22
○
政府委員
(
國宗榮
君) その点につきましては、
外國
の
立法例
においても、大体
外國
の
裁判
を尊重いたしておりますが、併し只今のような條約ができたというような場合におきましては、これは
外國
の
裁判
の刑と我が國の
裁判
の刑の種類とが違う場合があるのでありまして、その場合には、
外國
の
裁判
の
執行
を以て直ちに
日本
の
裁判
の
執行
ということは言い得ない場合があろうと
考え
るのであります。條約上さようなことが定められますれば、この
憲法
の
規定
にもございますが、條約を尊重しなければならん、何らかの方法によ
つて
、それらのものを
日本
において
執行
し得る法令を作らなければならないと
考え
ております。
齋武雄
23
○齋武雄君 これは前から質問しておるのでありますが、二十
五條
の
執行猶予
の
規定
の御
説明
には、第二十六條第二項の取消の場合において、
罰金
に処せられても刑の
執行
は取消すことができる、これは必ずするのでなく、できるのである「
取消スコトヲ得
」と
なつ
ておりますから、無論そうでありますが、それの御
説明
として、二十
五條
に
罰金刑
についても
執行猶予
を
言渡
すことができるのだ、それだから第二十六條の二項において
罰金
の
言渡
しを受けた場合においても取消ができるのだ、こういう均衡を得るためだというお話でありますが、然らば均衡を得るためならば、
罰金刑
に処せられた者は
罰金刑
の
執行猶予
を取消すことができるのだ、というようなお
考え
がなかつたかどうか、それは
裁判
官において適当にやるのであるから心配がない、必ず強行
規定
でないのであるから心配がないというお話もできるでありましようが、或いは
裁判
官の
考え
次第による自由斟酌でありまして、自由でありますから、若い判事の人が無闇にそれをやり得ないという保証ができないのであります。それでありますから私の
考え
としては、
罰金刑
の場合には
罰金
別の
執行猶予
は取消すことができると、こうちやんと区切りした方が却
つて
有利で、この
運用
がよくなるのぢやないか、こういうふうに
考え
ておるのでありますが、折角
執行猶予
の
規定
を決めましても、多数の統制法規があ
つて
、分らない
法律
があ
つて
、二十円、三十円の
罰金
にな
つた者
、
懲役
二年までの
執行猶予
を取消されるということは、どういうものかと
考え
るのであります。そういう点についてお
考え
に
なつ
たのでしようか。
國宗榮
24
○
政府委員
(
國宗榮
君) 御尤もな御質問と存じますが、元來
罰金
に処せられまして
執行
を猶予された者は、少くともそれと同等以上の罪を犯さないという期待の下に
執行猶予
をされておるのでありますから、再びこの罪を犯して
罰金
に処せられたような場合には、その
執行猶予
を取消すという途が開かれていなければならないのでありましてそこで
罰金
に処せられたことを取消す事由といたしたのでありますが、この点につきましては、只今の御
説明
の
通り
でありますけれども、併し
罰金
に処せられて
執行猶予
にな
つた者
が、その後再び
罰金
に処せられた場合に、その
執行猶予
を取消す必要があります以上この場合と比較いたしまして、
罰金
より重いところの
懲役
、
禁錮
に処せられて、
執行猶予
と
なつ
ておる者が、その後
罰金
に処せられた場合にこれを取消し得ないというようにいたしますのは
罰金
よりも犯状の重いところの罪によりましては、
執行猶予
に
なつ
ておる者が
罰金
に処せられるような
行爲
をその後いたしまして、これは
罰金
に処せられたというので取消にならないといたしますのは、どうも均衡を失するのではないか、さように
考え
た次第であります。ただ御心配になる点は、沢山の統制法令その他の取締法令によりまして
罰金刑
を定めております。極く軽微な
罰金
に処せられたために
執行猶予
を取消される、こういう虞れが多分にあるという点につきましては、これは私共といたしましては、その
罰金
に処せられる
行爲
につきまして十分な檢討を加えまして、
執行猶予
を取消してよいかどうかということについて、
裁判
所いおいて適切な判断を下すものと
考え
まして、かような
規定
にいたした次第であります。
宮城タマヨ
25
○宮城タマヨ君 第五十
八條
の第一章が
削除
されておりますけれども、これは「
皇室ニ對スル罪
」全部
削除
のようでございますが、これは余り極端から極端なように
考え
られるのでございますけれども、少くとも國のシンボルにあられる方と私共と全く同じということについては、何か虫の納まらないものがございます。それはいろいろの事情で或いは暫定的に
考え
てあるものでございましようか、それともそうでないのでございましようか、そこをちよつと承りたいのであります。これを全部
削除
されたために、先へ飛びますけれども、第二百三十
二條
に第一項を附加えられたというわけになるのでございましようか、ちよつと伺います。
伊藤修
26
○委員長(
伊藤修
君) 宮城さんに申上げますが、只今審議の
目的
は五十
八條
までに
なつ
ておりますので、「
皇室ニ對スル罪
」はこれが終
つて
から進みたいと思
つて
おります。そのときに御答弁を願うことにいたします。
整理
上そのいうことにいたします。
宮城タマヨ
27
○宮城タマヨ君 さようでございますか。
松井道夫
28
○松井道夫君 只今の二十
五條
、二十六條の
関係
でありますが、私はこの二十
五條
が
改正
されましたのは、新
憲法
の施行に伴いまして、より以上
國民
の基本的人権といつたものを尊重するのに適合する
裁判
ができ得るように、恩典の
範囲
を拡げた、さように解釈しておるのであります。ところが、この二十六條に持
つて
來まして、只今斎さんから御質問になりましたように、さような骨子と解しておりますに拘わらず今まで、
罰金
の刑をその後受けましても取消しされなかつた、
懲役
刑に対する
執行猶予
は、この今度の
改正
によ
つて
取消される可能性ができて來たということは私は奇異の感を抱かざるを得ないのであります。これが
罰金刑
の
執行猶予
を得まして、その後
罰金刑
をやりまして、取消されて
罰金刑
のみならず
懲役
刑にもなるのだ、
罰金刑
は怪しからんから
懲役
刑にするのだ、
罰金刑
の
執行猶予
は取消して
懲役
にやるのだというようなことでありますならば、これは今の
懲役
の
執行猶予
の場合に、
罰金刑
を受けた、それで
執行
を取消して
懲役
刑にやつたということが出て來ると思いますけれども、
罰金
と
懲役
刑というものは、これは全然性格を異にしておるものと私は
考え
ますので、片方で
罰金
に処せられたから、
罰金
の
執行猶予
は取消されるということと、
罰金
の刑を受けてから
罰金
の
執行猶予
も悪質の
懲役
刑の
執行猶予
も取消すところの可能性を與えなければならないということは出て來ないと思います。これが
罰金刑
と
懲役
刑というものが、この刑の性格として同じようなものでありますれば、或る程司法当局の
考え
ておられるようなことが出て來るでありましよう。軽い
罰金刑
の
執行猶予
も取消されたのであるから、
從つて
重い
懲役
刑の
執行猶予
も尚更取消されなければならんということが出て來るのでございますけれども、
懲役
刑と
罰金刑
とは性格が違
つて
おるのでございますから私はさうな結論は出て來ないと存ずるのであります。何かこの憲誇の
改正
に即應いたしまして、
懲役
刑の
執行猶予
を受けたる者に対し、その後
罰金刑
を犯したるが故に、
罰金刑
に処せられたるが故に、
執行猶予
を取消して
懲役
刑にやらなければならんといつた積極的な
理由
があるかどうかということを私はお尋ねしたいのであります。只今いろいろ御
説明
がありましたけれども、先程申上げたような
趣旨
に、
理由
として拜聽いたすのでありますが、私はそれは新
憲法
に即應する上におきまして必ずそうなくちやなくんというようなことを
考え
ません。而もそれだけ積極的の
理由
とは受取れないのであります。 それからもう一つお尋ねしたいのは五千円以下の
罰金
の場合に、
執行猶予
をして頂くことができるようになる、これは頗る結構なのでありますが、
罰金
というものは、これは低ければ低い程
執行猶予
をつけて頂いてもよい性質を持
つて
おるのであります。これが一万円、五万円となりますと、或いは資力が少いために家庭を破壞せられ、
社会
的の活動を全然封せられてしまうといつたような、或いは企業が潰れるといつたようなこともございましようから、これを
社会
的に見まして低いように附してある、財産状態その他を見て
執行猶予
を與えるということが適当だと存ずるのでございます。そういうことを見て参りますと、その罰が軽くて例えば五千円以下の
罰金
でなければ
執行猶予
が與えられないということは、何だか観念上矛盾するように
考え
るのであります。例えば罪が軽いからといいまして、二十円或いは五十円といつた
罰金
に
執行猶予
をつけるというようなことは私笑われるのぢやないかと思います。まあ五千円と
なつ
て参りますれば、これは成る程と感心するような
裁判
も沢山出て來るだらうと存じます。
懲役
刑とは性格が違うのでありますから、
懲役
ですと、二月三月といつたような短いものをやりますことは、これは短いから短いだけ、より以上不適当であるとも言えるのであります。
罰金
はそれと違いまして、軽い金額であればある程、
執行猶予
になることは却
つて
おかしいといつたようなことに
なつ
て参りますもので、それで私の伺いたいと思う点は、要するに
罰金
というものは、これは
法律
上
懲役
よりも軽い刑ということに
なつ
ておる、それで
懲役
刑で
執行猶予
が附けられるのでございまするから、それよりも軽い
罰金刑
は、金額を問わず
執行猶予
をつけることもできるとも
考え
られるのでありまして、五千円以上の多額の
罰金刑
に対し、
執行猶予
が附けられないという積極的な何か
理由
がおありなのか、その点をお尋ねしたいのであります。
國宗榮
29
○
政府委員
(
國宗榮
君) 第一についてまずお答えいたします。
罰金刑
と
懲役
禁錮
の刑でありますが、
罰金刑
が財産刑でありまして、
懲役
禁錮
刑が自由刑でありますことはお説の
通り
であります。併し
執行猶予
と申しまするのは、御承知の
通り
、猶予
期間
中は全く何らの
犯罪
を犯さないという期待を掛けておるのでございまして、その間に
罰金
に処せられますような
犯罪
を犯しましても実は好ましくないのでございます。そうして先程齋委員さんに御
説明
申上げました
通り
に、
罰金
に処せられて、
執行猶予
の
言渡
しを受けた場合に、更に
罰金
に処せられた場合、
執行猶予
が取消されるということに相成
つて
おりまする以上、それよりも重いところの
懲役
禁錮
に処せられまして、
執行猶予
と
なつ
た場合には、更に
罰金
に処せられた場合に、これが取消しの原因としないといたしますることは均衡を失するというふうに実は
考え
ておるのでありまして、何かこの点につきまして、
憲法
上、積極的に、そういうふうにしなければならない
理由
があるのかということに対しましては、その点につきましても何も
理由
はございません。ただかような
執行猶予
というものが、
期間
内に
犯罪
を犯さないという期待を掛けておる点と均衡の点につきまして、かように取消しの原因といたしたのであります。 それから第二点でございますが、成る程
罰金刑
は
懲役
禁錮
の刑より軽いということに
法律
上明らかに
なつ
ております。從いまして、
罰金刑
に五千円というような限界を設けることはどうかという御質問でございますが、而も
罰金刑
の金額の多額なほど
執行猶予
の意義があるのじやないかというようなお話でございましたが、
罰金刑
も
犯罪
の情況によりまして金額が多額に科せられ、或いは少額に科せられるというのでありまして、
執行猶予
にいたします場合には、やはりその
情状
によりまして、金額の少いものの方がまず犯状が軽いと見られるのでありまして、それらの者が
執行猶予
期間
中を何らの
犯罪
を犯さず過しました場合は、刑の
言渡
しの
效力
がなくなるのでございますから、
罰金
に処せられましたことによりまして、資格その他等に制限を受けております者が、全然その制限がなくなるという、こういう
法律
效果を伴
つて
参りますので、從いまして、この刑の建前といたしましては、五千円以下という点で限界を設けたがよかろうと、かように
考え
たわけでございます。併しながら、この
懲役
禁錮
が
罰金刑
よりは非常に重い刑に
なつ
ておる、それならば、
罰金刑
につきまして何らの制限を設けなければよいではないか、こういう御質問に対しましては、これは又
罰金刑
が財産刑でございますし、
懲役
禁錮
は自由刑でございますので、おのずからそこに刑といたしましての種類が違いますので、
懲役
禁錮
に設けましたような或る程度の制限というものを
罰金刑
にも置いたがいいのではないか、かような
考え
から五千円という程度にいたしました。
齋武雄
30
○齋武雄君 五十
八條
の
削除
についてお伺いいたしたい。五十
八條
は再犯の
規定
でありまして、五十七條と関聯しておるのであります。五十七條は「再犯ノ刑ハ其罪ニ付キ定メタル
懲役
ノ長期ノ二倍以下トス」とあり、五十七條は存置しておるのでありますが、五十
八條
は、
裁判確定
後に於て再犯者たることが分つた場合において、それを加重することに
なつ
ておるのでありますが、それを今囘
削除
したのであります。同じ再犯者であ
つて
、
裁判確定
後においては
削除
して罰しない、そうして五十七條が残
つて
おるのでありますが、これは五十
八條
を
削除
しても、五十七條の
規定
との均衡を失しないかどうか、或いは均衡は失するとしても、
憲法
上一事不再理の原則からして、第五十
八條
はどうしても
削除
する必要があるのだ、こういうお
考え
の下に
削除
せられたのであるか、その点をお伺いいたしたい。
國宗榮
31
○
政府委員
(
國宗榮
君) 五十
八條
を
削除
いたしましたのは、
憲法
の三十九條の
趣旨
によりまして、この
憲法
の第三十九條は、
刑事裁判
の
確定力
を強調しておりまして、特にこれを不
利益
に変更することを禁ずる精神に出たものである、かように
考え
ておりますのですが、この
刑法
の第五十
八條
は、すでに確定した裁伴を、後日
被告人
の
前科
が発見したという
理由
で、不
利益
に変更することを認める
規定
でありますのでこの
憲法
の第三十九條の
趣旨
に反しはしないか、かように
考え
ましたので、まず
削除
したのでございます。ところがこの五十六條、五十七條のいわゆる再犯累犯の箇條でございますが、これにつきましては、一旦
処罰
された
犯罪
行爲
を、いま一度この処刑の
対象
とするというのじやないのでございまして一定の
期間
内に一つの
裁判
をいたします場合に、その
犯罪
の
情状
といたしまして、これを
法律
的に取上げるという
規定
に過ぎない、かように
考え
ましたので、これは存置して置いてもよろしい、こう
考え
ましてこの
規定
を
削除
いたさなかつたのであります。で、成る程お説のように、五十
八條
を
削除
いたしました
関係
上、
裁判
の当時におきまして、累犯に
なつ
ておることが分らなかつたものとの
関係
におきましては、不均衡を生ずるということは言えるのだらうと思うのでございます。併しなから実際の
裁判
の
運用
におきましてはその点余りに差異がないのじやないかかように
考え
まして、この点はそのまま存置いたしましたような次第であります。
伊藤修
32
○委員長(
伊藤修
君) 外に御質疑ありませんですか。
松村眞一郎
33
○松村眞一郎君 今の五十
八條
の
規定
は
削除
し放しては疑義が生じないのですか。今の
刑事訴訟法
の三百七十
五條
にあります
手続
は、この
規定
を受けてできておるわけであります。ですからこの五十
八條
を受けて
刑事訴訟法
の
処罰
があるのでありますから、ただ削り放しでなくて、実際再犯というものが確定後に発見した場合はもう問わないのであるという
趣旨
であれば、明文を置く必要があるのではないのですか。むしろ削り放しにしないで、前條の
規定
を
適用
せずということにしないと、五十七條の
規定
を率直に読めば、これは一事不再理というのではない、ですから、新らしいことを発見した、新らしいことを発見したから、何とか
処罰
しなければならんという議論が起きやしませんが。これはむしろ
削除
は同じ性質になりますけれども第五十
八條
の第二項にはやはり「
前項
ノ
規定
ヲ
適用セス
」と書いてあります。むしろ削り放しにするということは、もう一遍再犯のことを何とかやらなければならんということに疑義を生じやしないか、ということの疑いを生じますか、それはいかがですか。
國宗榮
34
○
政府委員
(
國宗榮
君) この「再犯者タルコトヲ発見シタルトキ」、
裁判確定
したる後再犯者を発見したときと申しますのは、
裁判確定
の後に
処罰
を受けたことが分つたということでありまして、これを
削除
いたしましても、別に再犯者ということだけによりましては刑罰の
対象
にはならないのでございます。尚刑訴の三百七十
五條
との
関係
におきましては、この
刑法
の五十
八條
を
削除
いたしますれば、当然に刑訴の三百七十
五條
の
適用
がないのでありまして、この点についての差支はないものと
考え
ております。
伊藤修
35
○委員長(
伊藤修
君) 他に御質疑はありませんですか。……それでは五十
八條
までの質疑はこの程度にいたしまして、実はこの進行状態といたしましては、逐條について全部一
通り
質疑をいたしまして、その後は小
委員会
を作
つて
、小
委員会
に本案を付託して、小
委員会
において尚審議して頂く、こういう形式をとりたいと存じておりますから、小
委員会
に廻す前に十分御質疑を継続願いたいと考へます。本日はこの程度で質疑を終りまして、明日午後一時から五十九條以下を質疑を継続いたしたいと存じます。本日はこれにて散会いたしたいと思います。 午後三時三十六分散会 出席者は左の
通り
。 委員長 伊藤 修君 理事 鈴木 安孝君 松井 道夫君 委員 大野 幸一君 齋 武雄君 岡部 常君 小川 友三君 來馬 琢道君 松村眞一郎君 宮城タマヨ君 阿竹齋次郎君
政府委員
司法事務官 (刑事局長) 國宗 榮君