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政府委員(
奧野健一君) 後の問題からお答えいたしますと、例えば
道路の
管理者と、それからそれの
費用を
負担するのが、
公共團体であるというふうに違
つておる場合が、余り例はありませんが、多少あるのであります。そういう場合は一体、國を相手にしておるのか、或いは
費用負担者である
公共團体を相手にしておるのかというようなことについて、いろいろ疑問がありまして、
判例等もいろいろあるわけで、その点を明確に、訴訟でも起す場合に誰を相手にして請求していいのか、ということが不明確であ
つては困るというのが明らかにしたのであります。そこで、然らばその場合に國ということにしてもいいのでありますが、そういう
損害賠償というのも、結局
費用の
負担者である
公共團体が
負担すべきものでありますから、今度は國の方から更に
費用負担者である
公共團体に求償して行くというふうなことになるのでありますから、審ろ積極的に、直接的に、
費用負担者である
公共團体を相手にして請求をすればいいという
趣旨で、まあ
規定を設けたのでありますが、お説のように、寧ろこの場合に、國にも、
費用負担者である
公共團体にも、双方にどちらかへ請求ができるということに致しても、勿論結構であると考えます。一應これは、今まで
被告を誰にするかということについて、いろいろ不明確であ
つたがために、爭ひが起きてお
つたので、誰を
被告にすべきかという点を明確にした
趣旨に外ならないのであります。初めの方の「
故意又は
過失によ
つて違法に云々」という違法というものを削
つたらどうであろうかという点は、これはまあこれ以上は御議論になると考えますが、まあ
民法のように一應
不法行爲というふうな字が出でおりますれば、大体不法な場合というふうに普通考えられますが、ここに全然違法性というものを謳
つておりませんと、ややその点は、正当なことによ
つて迷惑を蒙る、例えば避病院なら、避病院に収容された、それがために、その間働けなか
つたから
損害があ
つたからというふうな、まあ適法な場合にまで
損害の請求ができるというふうに誤解されては困る、やはりこれは
公務員の
行爲の場合における
國家の
賠償だという
趣旨を、ここに違法ということに現したに過ぎないのでありまして、これは
一般的にこの
規定がなくても大体そういうふうになるんだということでありますれば、それは、これがなくてもそういうことになるということでありますれば、不必要な文字になるかとも考えますが、
一般的にこれは独
立法として、
民法から離れて……
民法の中へこれを
規定して行くということになれば、これはそういう字がなく
つても分るかと思いますが、これは
民法とは独立した
特別法にいたしましたので、やはり違法性のある場合に
適用があるんだということを、まあ注意的に明確にした次第であります。