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説明員(
小倉武一君) 第十條の御
説明を大
體申上げます。先ず第一項でございますが、一項は簡単に申上げますと、
農業資産を持
つておる被相
續人の
財産の相
續人の相
續分は、普通の場合の半分であるということを言
つておるのであります。
民法の千四條とありますのは、これは同順位の相
續人が二人以上ある場合は、その相
續分は均分であるという
意味のことを書いておるのであります。それから
民法の
應急措置に関する
法律の第
八條におきましては、
配偶者の相
續分を決めておるのであります。これは誰と一緒に相
續人になるかということによ
つて相續分が違
つております。このいずれの場合におきましても、本法によりますれば普通の相
續分の半分であるということになるのであります。
第二項は丁度その裏側になりまして、
農業資産の相
續人は普通の相
續分の半分のほかに、相
續財産の二分の一の相
續分を受けるということにいたしておるのであります。
従つて農業資産の相
續人は、全體の二分の一の相
續分を受けるほかに、一般の
民法の
規定による相
續分の半分の相
續分を受けるということになるのであります。
それで例えて申しまするというと、被相
續人たる父が亡くなりまして、子供が二人あるという場合を簡単な場合として假定いたしますというと、五割、五割の相
續分を受けるわけでありますけれども、第一項によりましてその半分、即ち二割五分
づつの相續分を受けるのであります。第二項によりまして
農業資産相續人は、残りの半分、即ち五割の相
續分を受けるということになりまして、
農業資産の相
續人は七割五分、そうでない相
續人は第一項だけの相
續分、即ち二割五分になるのであります。
第三項はこれは
民法の千六條におきましては、相
續分というものが今申上げました
ように千四條と新しい
法律の第
八條によ
つて決まるわけでありますが、
民法千六條におきまして、相
續人が
遺言で以て相
續分を
指定する。或いは第三者に
指定を任すことができるという
規定を置いているのであります。
従つて法律で決ま
つております相
續分を變更するという餘地を認めておるのであります。その
規定をその
儘特例法にも採用いたしおるのであります。
従つて第三項によりまして、一
應第一項、第二項で相
續分を決めておりますけれども、その相
續分を非相
續人の
意思によ
つて變えることができるということになるのであります。「この場合において」というふうに
民法の
規定を讀み替えておりますのは、これは
民法によりますところの相
續分の二分の一、即ち十條の一項の相
續分のほかに、この二項による
特別相續分につきましても、
遺言によ
つて變えることができる。
従つて二分の一を變えまして、或いは多くし、或いは少なくするということもできるということになるのであります。
次は第四項に移ります。第四項はこれだけではお分かりにくいかとも思いますけれども、
民法の相續に関するこの四項に列挙したる
法律と合わせてお讀み頂くというとお分かりになるのでありますけれども、蛇足的に簡単に御
説明いたしますというと、第一は
民法の千七條との
関係であります。
民法の千七條によりますというと、
共同相續人が被相
續人から遺贈を受ける。或いは贈與を受けたというふうな場合に、その受けた部分だけを相
續分から差引くということを言
つておるのであります。これは相
續分というものを成るべく公正にするという
意味の
規定だろうと思いますけれども、さ
ような場合に
民法にありますところの相
續分から差引くというのを、この法規によりまする二分の一の普通の相
續分、それから
特別相續分と、
両方に引掛けて讀む。
両方から差引くということを
意味しておるのであります。それから
民法の千三十九條との
関係でございますが、これは相
續人が相續を
放棄した場合に、その
放棄した人の相
續分が
如何様になるかということを
規定しております。その場合には地の相
續人にその相
續分の割合に應じて行くという
意味のことが書いてあるのでありますが、その場合の他の相
續人の相
續分というのを
如何様に讀むかということを注意的に書いておるのでありまして、この場合には、
特別相續分を除くということにいたしております。
特別相續分を除きますわけは、
特別相續分を除きませないと相續を
放棄した人の相
續分が公平に相
續人同士に分けられないというわけであります。
特別相續分を入れますと、
特別相續分の分だけ餘計に
農業資産の相
續人に分けられるということになるから、左様にいたさないという
趣旨であります。以上で第十條の
説明を終わります。