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1947-09-22 第1回国会 参議院 司法・農林連合委員会農業資産相続特例法案に関する小委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    付託事件農業資産相續特例法案内閣提出)   ————————————— 昭和二十二年九月二十二日(月曜日)    午後二時二十二分開會   —————————————   本日の會議に付した事件農業資産相續特例法案   —————————————
  2. 松村眞一郎

    委員長松村眞一郎君) それでは農業資産相續特例法案の小委員會開會いたします。政府委員局長に御出席を求めまして説明を伺いたいと思うのでありますが、局長は今衆議院の方の委員會へ出席して説明しておられるそうでありますから、便宜農林省農政局農政課長小倉武一君と司法事務官上田明信君との説明を聽くことにいたしていかがでありましようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 松村眞一郎

    委員長松村眞一郎君) それでは説明員として御質問に對しまして両君お御説明を煩わすことにいたします。それでは大體の御質問はやはり一應願いましよう。大體に亙る御質問を願いまして、それから逐條に移りましよう。概括しましての全般に亙つた質疑がございますれば御質問頂きたいと存じます。
  4. 松井道夫

    松井道夫君 前囘の委員會のときに私から均分相續を破るような立法はどういうものかという趣旨質問をしたのでありますが、それに關聯して均分相續原則農業經営ということと両立するような制度方法の資料をいただきたいということを申上げて置いたのであります。それで頂戴いたしておらなかつたのですが、その後頂戴しました「家畜に關する立法例」という冊子を拝見いたしました。その中で「露西亜社會主義聯邦ソヴイエト共和國土地法抄」というのが載つております。これは非常に参考になるのじやないか、その中の第五章に「農家」というのがあつて、括弧して勤労的農業經営とありますが、その中の第六十五條が「農家トハ共同シテ農業営ム者家庭的、勤労的團體謂フ」ということになつております。それでここに數人兄弟が主たる労力を提供して農業を営んでおる家がある。偶々そこのお父さんが亡なられて、農業資産所有権であられるお父さん亡なられて、數人子供達がこれを相續するという場合に、これを何も均分相續原則を破りまして、二分の一の特別相續人というものをその數人子供の一人に賦與する必要もないのでありまして、引續いて現状のままにおいてその農業經営して行けば、それで何ら差支えない。ただ法律上の所有關係というものが違つて来るだけでありまして、農業資産というものをそのまま形を崩さず、分割ということをしないで、そのままやつて行けば何ら支障がないように考えられるのであります。  次に、今のソヴイエト共和國土地法抄の第五章の中の第二節、そこに「勤労的農業經営農家)ノ分割トハ該農家全員共同利用下ニアル農地及財産別々ニ利用セシメル農家ノ各員間ニ分配スルコトヲイフ」。假に只今例に申しましたような家庭におきまして、三人の子供があつて土地が三段ございます。牛や馬というものも相当數あつて農業規模も多少豊かである。さような家庭のことを考えて見まするとその後労力のいろいろな變化等で、これを兄弟三人に分けたらどうか、一町ずつ分けまして、そしてその他の農業用動産家畜等も分ける。その際におきまして、日本におきましては家事審判所というものが今度できまして、その分割方法について争いがあるときには家事審判所で適当に処理して貰うというような配慮を用いれば、それで解決できるじやないかと存ずるのでありまして、それでその同じ法律の第五章第三節に、經営細分化對策というのがあります。この細分化が餘り進み過ぎますと、農業經営自體を阻害するということで、ソヴイエトにおきましてはこの場合は國家機關に申出でまして、争いがある場合に申出でまして、そうしてその場合に經営が餘り小さくなり過ぎるということならば、その分割を許さないということで解決して行けるようであります。でありまするから、日本におきましても分割した方がいいか悪いかということが兄弟間に争いになります場合には、今の農業經営關係分割した方がいいかどうかということが争いになります場合には、これを家事審判所に申出でまして、いろいろ研究して頂きまして、そうしてこれが農家經営上よろしくないということだつたら、その裁定に服しまして、やはりこれを分割しないでやつて行くというようにやつて行きますと、すべて非常に圓滑でありまして、何ら差支がないように存ずるのであります。その上前囘申しましたように、こういつた均分相續ということになつて参りますと、例えば農家を初め或る農業財産によりまして生計を立てておるような家では、被相續人が相当綿密な遺言を遺すことが多いのでございます。又それを相續いたしまする相續人の側といたしましても、只今私が申述べましたような方法法律で規定しておる程度で、結構話合いでうまくやつて行けるのではないか、さよう存ぜられるのでありまして、そういう参考となるべき制度があるに拘わらず、強いて均分相續原則を破りまして、特別相續人というものを認めまして、憲法精神に反するではないかといつたような疑いをまで冒して立案された理由を更に伺いたいのであります。
  5. 小倉武一

    説明員小倉武一君) 先ず相續によりまする分割というのを一應認めた上で、家族間で共同して經営をやつて行くということにすれば、財産としては分割しても農業經営としては一體として共同でやつて行けるのではないかという御趣旨の點でございまするが、共有というような形で以て經営を維持して行くということは、これはなかなか長い間の問題としては困難であろうかと存じまするので、そういう方法による對策ということも我々一應考えたのでありますけれども、法律關係むづかしくなるという點と、長くそういうことにして置くと、例えば孫の代になるというようなことも考えますというと、非常に困難であるというように考えられますので、そういう方法は取らなかつたのであります。それから又實際そういうさような共同をいたしておつて、必要があれば、又農業經営が許されれば家事審判所あたりで審判いたしまして、必要な範圍或いは許す範圍に分配する方法もあるではないかというお話でありますが、その點につきましては、この度のこの特例法案はただ相續という原因に基ずきまして法律上当然に分割することができる、それによつて分割するということを避けまするのでありまして、農業經営分割してもよろしいというような場合には、これは父親遺言でありますとか、或いは又相續してから、兄弟同士相談をしまして分けるということは、これは必ずしもこの法案でも禁じておりませんし、むしろ農地調整法の問題にもなりまして、農地調整法許可を受け、そうして又農地委員會がそれに又意見を述べるというようなことになりまして、農地調整上の問題として、事實上の土地或いは經営を分けて行くということは必ずしも否定はしないつもりでありまして、場合によりましてはできるというふうに考えるのであります。尤もその點につきましては、只今行われておりまする農地改革によりまして、雇傭労働に依つておりますとか、雇傭労働に主として依つておりますとか、或いは分割してやつた方がむしろ生産力が挙がる。逆に申しますというと、農地解放によつて經営面積が小さくなるというと、生産量が劣るというような場合以外は、大體自作につきましても三町歩を超ゆるものは買上げるといふことになつておりますので、農地改革後に存續する經営というものは、そう無暗に大きなものは残らないということになりますので、實際問題として今後日本農業將来ということを考えますというと、分けてもよろしいという場合は段々と減つて来るというふうに考えられますけれども、併し農地調整法法律上の問題としては、農地分割ということも、必ずしも原則的に禁止をしておるということになつておらないのでありまして、許可を受けて必要なる範圍、又農地問題が餘りにも零細化して、農民の生活なり、或いは農業生産というものに重大な支障が生じないという場合が生じますれば、合法的に許可をして行くという建前になつておるのであります。さようなふうでありますからして、現在の日本農業經営という面から見ますというと、大體七割程度以上も一町歩未満土地を耕作しておるというような現状になつておりまして、相續ということだけでなく、直ぐ分割するということは止めたい。但しそういたしまして、均分相續を一人相續にいたしますというと、農業を相續した者が他の相續人に對して相續分應ずるだけの補償をしなければならんというようなことになるわけでありますけれども、その補償を文字通り相續法によつてやりますというと、それだけの負擔が一體農業經営を相續した者ができるかどうか非常に危ぶまれるのであります。そこで若しさような十分な補償をいたしますというと、實際問題として農業經営を相續した者が小作人と同じような立場になる。地主に小作料を払う代りに、兄弟に對して相續分補償をして行くというようなことになりますので、小作人事實上同じような立場になりまして、現在の農地改革をやつております趣旨にも、大掛りに自作農の創設をやつております趣旨にも、非常に悖るということにもなりますので、憲法の認める……恐らく今度の民法によりましても、相續財産の半分は被相續人が他に自由に処分してもいいということは、現行民法もさようでありますけれども、さようになつておりますので、さような程度だけは法律農業資産を相續した者に特別の相續分として與えるということにいたしましても、必ずしも新らしい民法趣旨、或いは憲法趣旨に反しないだろうというふうに考えるのであります。のみならず又かようにして農家の生活と農業生産の意思を図るということが、これは農業という面から考えましてさようなことが又同時に公益に合するという點でありますから、さような點からいたしまして、農業に關する財産についてかような特例を設けるということも、新らしい憲法趣旨に必ずしも反しないというふうに實は考えておるのであります。
  6. 松井道夫

    松井道夫君 大體今の御答弁は前囘の委員會の時の御答弁趣旨と一致するようでありますが、どうもそれだけの理由では弱いように感ずるのでありまして、それでまあいろいろお尋ねしておるわけなのでありまして、先程申しましたように、兄弟三人なら三人で事實労力を提供して事實上の經営をやつておる。お父さんが亡くなつたという場合に、強いてこの法律によりまして農業資産の歸属すべき者を選定するというのは、むしろ平地波瀾を起すのじやないかと存ずるのであります。從前通經営を續けておれば別に何ら問題がないに拘わらず、この法律によりまして遺産の分割によつて農業資産の歸属すべき者を選定するということになつておりまして、その一人を選定いたしますれば、それが農業經営の主體にならざるを得ないという形になつておりまして、而もこれが特別相續人というものが……若し從前通り仲好くやつて行けば問題も一應表面化さないですんでしまうが、こういう権利が自分にあるということになりますと、つい我侭も出るわけでございまして、後の二人をば今の農業經営から追い出してしまうというようなことにもならんとは限らんと存ずるのであります。強いて今のような農業資産の歸属すべき者というのを選定するというのは、そのものに特に特別相續人というものを認めるということについては、どうも圓滑さを缺く何ものかがありはせんか、むしろ私が先程申しましたように、農業資産分割してはならない、相續によつて分割いたしてはならないという原則を設けまして、分割する場合にはそれが農業經営差支えない場合であつて、そういうように家事裁判所によつて認められた場合に分割ができる、といつた工合にしておけば差支えないと存ずるのであります。これは孫子の代になつたらどうかというお話でありますが、尚ここにありますが、成る程この所有關係は更に権利の上では細分されるのでありますが、これは農業經営の必要上から、そういう場合には僅かな相續分になつてしまうのでありますから、それは金で買つてもよいし、又東京に就職口があれば、都會行つても、農業經営を止めてもよい。農業經営を止めた場合にどうするかということは、これはそのように工夫すれば差支えないように存ずるのであります。それはこの原案のようなのも一つの行き方には相違ないと思いまするが、併しながら私の言うような方法でも行けるのではないか、さように考えるのでありますが、只今申したような方法ではどうしてもいけないのだというような根拠があるかどうか、その點御意見を伺いたいと思います。
  7. 小倉武一

    説明員小倉武一君) 今のお話は大體さつきお話したことを繰返すようになりますか分りませんけれども、例としてお挙げになりました父親の下で子供たち兄弟一緒共同して經営しておつたという場合に、父親の死んだ場合に財産を一應分割して、その上で互いに共同してやつて行くということを認める必要はないじやないかという御意見でありまして、その場合に分割を禁止するというようなことにすれば、逆に兄弟同士争いが起るというような弊害も考えられるというような、まあそれも私共もあろうか思いますが、併し他を考えて見ますと当然家事審判所に行きまして分割して貰えるということになりますと、それでもやはりその方面から、やはり父親が全體の所有権を持つてつたからして、兄弟同士が別に文句はなく、父親の下で協力しておつたというような關係がありましても、場合によつて分割ができるのだということになりますと、やはりそこで必ずしも父親の死なない前と同じような兄弟同士協力を期待するということは、むしろできないのではないかという心配があるように思われます。そこでむしろ兄弟同士相談をいたしまして、誰が一體主として農業資産を譲り受けるかということを相談しまして、その決めた結果の人が相談するということにいたしましても、格別平地波瀾を起すというようなことはなかろうかと存するのであります。その場合におきましても後の二人は、一人が相續しましても、他の二人も資産の他の半分につきましても、普通の相續権がある筈でありますからして、昔の民法家督相續とは違いまして、とにかく財産権に對して、父親財産を相續いたしますので、やはり協力しようとすれば若干の分は相續できるということにもなりますし、又兄貴が大部分を一人で相續するということになつた結果どうも工合が悪い、そうして又兄弟愛があれば相續してから一部の財産は尚弟に譲つてやる、或いは兄にも譲つてやるということもできますので、お話のようなさような心配差支えないのではないかというように考えておるのであります。
  8. 松井道夫

    松井道夫君 ちよつと私が言い方が悪かつたかと思いますが、多少私の趣旨を誤解しておられるように思えるのでありますが、私の挙げました例によりますると、要するに親父さんが亡くなる、そうしますと從来親父さん一個の所有権といふことになつてつたのが、今度は兄弟三人の所有に属する、ところがそれは相續法によりまして共有の形になつておるのであります。相續法によりますれば、更にそれを分割することができるわけなのでありますが、私の申上げるのは原則として農業資産相續特例法と同じに分割を禁止する、原則として分割することはできないということにいたす。勿論法律が必要なのであります。そうして従来のように經営を續けて行く。ただ農業經営差支えがないという場合には、当事者の一人から分割して貰いたいという要求がある場合には、その要求家事審判所の方へ持出して、いろいろ農業經営上の利害や協力關係意見動産分配等考えまして、農業資産工合を、勘案いたしまして、そうして分割いたしたらよいという意見ならそれに従つて分割を認める。さような意味なのであります。でありまするから、只今説明員の方でおつしやつたような意味合と多少意味違つて參るので、私はこの法律の相續特例法趣旨は頗るよいと思うのであります。要するに農業經営というものを、均分相續という關係から何とかして擁護いたしたいという趣旨は、これは識者が誰しも心配しておることで結構なのでありますが、ただこれを擁護するという立場から均分相續という原則を破り、直ちに特別相續人を作りまして、そうしてやつて行くことにやや實情とかけ離れた場合ができるのではないか、平地波瀾を起すような場合が起るのではないか、特に憲法關係上その點を申上げておるのでありまして、私の申上げるように単に農業資産分割というものを原則として禁じて、例外的の場合にこれを家事審判所の關與によつて認めるということで、必要にして十分なのではないかという點であります。その點につきまして立案者は勿論この立案の通りなのが一番よい方法だと考えておられるのでございましようが、私の只今申上げましたような方法でも差支がないと考えられるか、或いはどうしてもいけないという根拠があるのか、その御意見を伺いたいと先程申したのであります。
  9. 小倉武一

    説明員小倉武一君) まあ御趣旨は我々の意見とそう大した違いがないので、それでは絶對困るということを申上げるのではないのでありますが、ただ我々が立案の途上多少そういうことも考えたのでありますが、そのときに難點となつた點を御參考までに申上げます。一つ均分相續ということになつておるのを分割しないで共同でやつて行くということになりますと、どうしてもそこに共有關係が續くわけであります。そうしますとそのことに特別の何か意味が出て来るように考えられるのであります。これは經済的に何か共同で以て財産共有して經営していくというような何か特殊の意味を持つて考えられると誤解を生ずる點がありますのと、それからもう一點は、均分相續で当然分割するものが共有になるわけであります。ところが共有は、分割しますと親父が死んだ時に遡つて分割することになるという關係になつておりますので、ずつと後になりまして分割するということになりますと非常に第三者の権利關係影響を及ぼすということもありますし、それから尚二代三代となつた分割をするということになりますと、権利關係が非常に不明になるということも心配されましたので、一應共有になる、共有のまま而も經営を實施して行くという建前は取らないことにいたしたのであります。
  10. 松村眞一郎

    委員長松村眞一郎君) 全般的の問題について、どうぞお尋ね願います。
  11. 阿竹齋次郎

    ○阿竹齋次郎君 ちよつと尋ねますが、現在の日本農業實情からいたしまして、今度出されたこの法律で、將来相当長い期間押して行くことが必要であると思つていらつしやるか、但し現段階の我が國における農業實情に照して、やや暫定的なものにこの法律考えていらつしやるかということについてお伺いいたしたいと思います。
  12. 小倉武一

    説明員小倉武一君) その點は非常にむつかしい問題でありますが、まあどちらかと言えば、差当り應急的と申しますと語弊がありますが、今度の農業經営というものは、農地改革なり、或いは日本將来の産業の動向ということにも關係いたしますので、根本的な對策ということでなくして、むしろ應急的言つた方がいいのじやないかというように考えます。
  13. 阿竹齋次郎

    ○阿竹齋次郎君 それじや將来農業實情に変化を来す、これはもう当然のことである。然らば政府はこの今後変つて来る實情に對して、どういう對策をこれから行なつ行こうと考えていらつしやるのでありますか、自然に放つて置くつもりか、但しは理想に近付けるべく方策を講ぜられようと考えていらつしやるか、理想に近付けるべく方策考えていらつしやるなら、それを具體的にお聽かせを願いたい。
  14. 小倉武一

    説明員小倉武一君) 私からそういう重要な大きな問題についてお答えするのはいかがかと思いますけれども、この法案との關係においてお答えいたしますと、差当りのこの法案の目的は、農地改革が現在進行しておりますが、あれと全然逆になるようなあれの効果を削減するようなことが行われては困るというのでもつて、こういう特別法案の御審議をお願いしておるわけでありますからして、御質問の問題はむしろ農地改革後に来るべき農業經営をどうすべきか、或いは農地改革を今後どういうふうに推進すべきかという問題になりますので、これは大臣一つ、この次ぎ御質疑のあつた時に御答弁をされるように、私の方から御連絡いたします。
  15. 阿竹齋次郎

    ○阿竹齋次郎君 こうやつて政府が出てござる。あなたが出てござつた以上は、大臣でなくてもよいと思います。人によつて答弁が変ると困るのでありまして、今あなたに聽いておつても、あとで又大臣答弁が変るのでは、非常に困るのであります。そうではなかつたならば開議を續けて行くことができない。あなたの言われることと、大臣の言われることとは一緒でなければ困る。一々変るようでは今後會議を進行することができない。あなたが出てござる以上、あなたから答弁して貰わんと會議を進めることができない。
  16. 松村眞一郎

    委員長松村眞一郎君) いかがですか、阿竹君に御相談申上げますが、やはり問題は重大事項でございますから、大臣なり、政務次官なり、少くとも局長かに述べて貰つた方がよくはないかと思いますが、説明員ですから、説明員としてはやはり幾らかそういう點は差控えたいというお気持ちのように思うのですが、留保して置きましよう。今日まだ揃つておりませんから適当な時期に……。
  17. 阿竹齋次郎

    ○阿竹齋次郎君 委員長のお計らいによつて……。
  18. 松村眞一郎

    委員長松村眞一郎君) それでは適当に政府答弁を求めることにいたします。
  19. 松井道夫

    松井道夫君 この法案立案されるにつきましては、いろいろ御苦心があつたように伺つたのでございますが、その過程におきまして、これ又參考の小冊子として頂戴したのでありますが、農業資産相續特例法案に對する世論調査というものを實施しておられるのであります。非常に詳細に亙つて質問なども非常に適切でありまして、拝見いたしまして非常に教えられるところもあり、又立案当局の御苦心に對しては敬意を表する次第であります。併しながらこの現われて出ておりまする結果につきまして、相当疑問があるのじやないかと存ずるのであります。第一にまだ農村それ自體が新らしい憲法精神について十分の浸透性を持つておらないということであります。又これが恐らくここにいろいろ書いてございまする記述から判断しまして、相当唐突にお調べになつたのではないか、余りゆつくりした考えを纏める期間をお與えになることができなかつたのじやないかと存ずるのであります。尚私はこの問題はこの表に出て来ておりまする次男以下乃至は女子、而も相当突つ込んで考えまして、將来自分達日本を何とかして再建してやつて行くのだといつた見通しの下にそういつた人達が考えた結果というものが一番大切なんじやないかと私は存ずるのでありますが、一番影響のあるのがこれは長男は勿論でありまするが、併し數が多いのは何と言いましても次男以下であり、女子である。この次男以下と女子の數が甚だ少いのは、これは急にこの試みを實施された關係で、これは止むを得なかつたと存ずるのであります。でありまするから私の考えといたしましては、この結果は非常に貴重なものでありまするが、併しながらこれによつて教えられますことは、相当の條件を附して見なければならんと存じておるのであります。その條件と申しますのは、先程指摘いたしました三つのこと、即ち新憲法精神がまだ農村に餘り浸透しておらない。調査は相当唐突に行われた。それから次男以下女子意見、而もよく考えた結果の意見というものが現われておらない。一口に言いますれば、相当從前の封建的の農村組織から培われましたところの封建的な、新憲法精神に餘り即しないところの考え方が多分に影響いたしまして、この結果が現われて来たのじやないかと私存ずるのであります。その意味におきまして、直ちにこの結果に、そのまま、正しき輿論として從つて行くことは聊か躊躇しなければならないのじやないか、さよう存ずる者であります。勿論そういうことを考えておる人か多いのであるからして應急的に先ずこういうことになるのだということになれば、先程阿竹委員からの適切な御質問がありましたが、そういう意味ならば理解できるのでございまするが、只今申しましたこの世論調査に關する御意見一つ伺いたいと存じます。
  20. 小倉武一

    説明員小倉武一君) 只今御指摘になりましたこの世論調査に對する御意見は御尤もでございまして、私共もさような缺點があろうかと存じております。問題の性質が非常にむずかしいということでございますが、殊にこの内容につきましてどうこうということになりますと、非常にむずかしい法律論にもなりますので、問題が非常にむずかしということもあると思いますが、御指摘のような事情もむしろございまして、結果を表面的に直ぐ農村實情なり、或いは農民の輿論を反映するということを考えることは、非常に危険だろうと思います。それから又調査範圍が非常に少かつた。經費の關係もございまして、或いは時間的の餘裕も餘りありませなんだ結果、沢山の村或いは人について、殊に二、三男というような者をむしろ對象にして多く調査するというようなこともなかなか困難であつたというふうな實情からいたしまして、これを以て一般の輿論にすることは勿論差し控えなければならんといふように今考えております。ただ一應我々折角調査したものですから、一應の御参考ということでお配りした次第であります。
  21. 石川準吉

    ○石川準吉君 現在の一町歩未満土地經営者が七割以上もあるような現在の日本農家におきましては、法律上いろいろな問題があるかも知れませんが、本法のような趣旨の下に立法されることが、私は事實上非常に必要だと思つております。併しながらその反面におきましては、今農村におきまするいろいろな歸還者であるとか、或いは都市工場が閉鎖されたときに農家に歸つておる次男坊であるというような、いわゆる農業資産相續者外の農村のいろいろの青年男女というものが相当沢山農村に包含されておると思いますが、これらの者に對する今後の就業の指導或いは何と言いますか、これらに對する仕事の斡旋とか、いわゆる農村としてこれらの者を包含して行くのか、それとも農村以外にこれらの者を捌いて行くような方針を國家で取るのか、それが本法の提出と共に極めて重要な一つの問題だと思ふのですが、これらに對する御当局の御意見はどうなつておりますか。
  22. 小倉武一

    説明員小倉武一君) その點は本状と關係しましても非常に重要な問題でありまして、私共の考えといたしましては、やはり一方都市における平和産業の復興というようなことと合せまして、農村におきましても、農村工業振興でありますとか、或いは又開拓政策を十分實効をあげるようにいたしまして、農村の側においても吸収を努めると共に、又都會におきましても日本に許される限りの産業を成るたけ早く復興して、人員を吸収するというような行き方でなければならないと思います。
  23. 石川準吉

    ○石川準吉君 何か具體的な政策が進んでおりますか、農村工業なら農村工業につきまして……。
  24. 小倉武一

    説明員小倉武一君) まだこの人口を吸収して、要するに農村人口に過剰人口があると言われておりますけれども、そういう問題の解消になるという程度に大規模な農村工業の計畫と言いますものは、遺憾ながら進捗しておりません。
  25. 松井道夫

    松井道夫君 一點司法省の方に確かめて置きたいのですが、この法律立案された当時は、恐らく民法の例の應急措置に關する法律は出ておらなかつた時代に立案されたのだと存じますが、新らしい今の民法の應急措置に關する法律によりまして、相續關係が非常に從前と比べましては複雑になつた。見方によつては複雑になつた。さようなことが言えるのでありますが、この特例法案、本法によりまして、各相續の場合にいずれも農業資産を歸屬すべき者というものを選定いたしまして、すべて法律に規定する通りのやり方で、財産を分類して行くということは非常に煩瑣であり、又複雑なことではないかと存ずるのでありますが、今の司法当局におかれても、その感を同じくせられるや否や、その點を伺いたいのであります。
  26. 上田明信

    説明員(上田明信君) この法案は純法律的見地から考えますと、今度の民法共有状態を常に現出するというのが普通になつて来るのでありますが、法律關係共有状態にあるということは、法律關係がますます複雑になる第一歩になるわけであります。農業資産相續特例法は、そういう農業開拓と睨み合わしてできておる。法律の観點から見れば、簡易化、殊に所有権の歸屬の問題ですが、それを簡易化することは結局取引の安全にもなるという意味において、この法案が必要であるというふうに考えております。
  27. 松井道夫

    松井道夫君 そうすると司法当局の御意見としては、これは却つて権利關係がその時々ではつきりして、却つて簡明化になるのだ、そいういうような御意見であるように伺つたのであります。併しながら私はそれとは反對の感じを持つておるのでありまして、先程申上げましたように今まで一個の家に屬し、家といつて法律上の家が廢止せられた場合でありますが、家庭意味只今は残つておるのでありますが、一個の家に屬して、その家族相協力して農業に從事しておる、その場合にその財産所有者がなくなる。私の考えからすれば引續いて同じ状態でこれを經営して行けば、農業の點からいつても、又その他の一般民事關係においても頗る圓滑ではないかと存ずるのでありますが、その際に特にその中の一人を選び出して農業資産の歸屬すべき者とし、それに特別の相續分を與える、他の物をこの残りの二分の一又何分の一といつたようなものの相續分を與えまして、そうしてその所有關係をぎりぎりに決めて行く、そういうことは却つて先程申しましたいろいろな相續關係の紛争を刺激いたしまして、又その農業資産を自分の名義といたしたものが、他の家族を排斥するといつたような状況を惹起しまして、むしろ相續關係圓滑に始末するという點から言いますと面白くない。複雑なところがあるのではないかと存じます。重ねて御意見をお伺いいたします。
  28. 上田明信

    説明員(上田明信君) 仰せのこともございますし、その點も考慮いたしたのでございますが、何分相續は代々行われて、その所有關係が一體誰に屬するか分らないような状態が時々生ずるということが共有状態に置いておくとそういう場合が生じて来るのであります。それは今度は均分相續、いわゆる分割相續の結果、その被相續人が死にますと、相續人日本國中何處におるか分らない、そういう状態のまま一匹の牛の所有権がそういう者に屬する。それが二代、三代重なつて行きますと、その牛を處分しなければならない場合が起つて来てもどうにもならない。それが共有である時に單独でどうにもならないというような、非常に不便なことになるのではないか。その點が非常に悩みの種になつたわけであります。共有状態と共にこれは經済政策面から見まして物が共有であるということは、經済政策上面白くない、從来そういうふうに大體考えられておつたようなわけでありますので、成るべく單独所有にして、法律關係としてはその方が望ましい。こういうように考えます。
  29. 松井道夫

    松井道夫君 これがその農家次男ならば、次男が高等教育を受けまして、例えば中央で役人勤めをしておるというような場合には、農業經営にこれはタツチしない人でありまして、又農業經営をするという見込みもない人でありますから、こういう人に對しましては、今の財産の處置で、適切な取扱いをいたすということにすれば、それで解決を見ると存じますのであります。それから共通有状態が、これは頗るよくないのだというのでございまするが、これは聊か事情が違うのじやないかと思つておるので、農業資産というものは農村に定著いたしまして、そこに農業經営の單位となるものを形造つておるものでありまして、それに續きまして農業經営の實際に当つておる者が家族なのであります。又これはロシアの法律がそうでありますが、前の日本の家につきましても、これは家というものは一つの法人であるといつたような法理上の議論もありましたので、元来が戸主の個人の財産というよりもむしろ家の財産、家に屬する財産、すべての人がそれについてその擁護を受けるところの財産である。さように以前は解しておつた法律学者などもあるのでありまして、これが株券でありますとか、或いは外の商品でございますとか、そういうものになりますると、只今説明のようなことがぴつたりと当嵌まるのでありますが、土地を中心といたしまして、而も分割を禁止して共同經営に当つておるといつたような農業資産は、おつしやるような例にはぴつたり当嵌らないのじやないかと存ずるのであります。これは議論になりますからこれ以上は續けませんが、ただ只今の御説明が、これは農業資産以外の資産を各人に帰屬せしめる。この所有關係をはつきりさせる。農業資産それ自體も特別の所有者を作つて農業施設に沿うものを作つて財産關係をすべて分割してはつきりしてしまうのが、本案を立案した一つの利益である。さような趣旨を承わつたのであります。私の申しておるのは、要するにその過程を經ますことが實情に即さぬようなことに相成るのじやないか、又非常にむづかしい法律技術を用いまして、その後に出て參りまするが、更に農業資産が相續分を超えたらどうなるか、まあその他非常にむずかしい技術を必要といたします。又均分のところに債権がございますと、債権に又三分の幾つですか、違つた續分が入つて来るといつたようなことで、又その余分のものを均分するとか何とかいろいろなことができて、非常に複雑な結果になりはしないか。そういう複雑な煩雑な法律ではないかというようなことを主としてお尋ねして、これについての御意見伺つたのであります。
  30. 上田明信

    説明員(上田明信君) 仰せのごとくそういう意味のおける相續分をどうするかという意味においては、法律は複雑になつたのであります。元来民法均分相續の結果相当今までよりも複雑になつて、その上にこれが特別の扱いをするのでありますから、そういう意味におきましては複雑になつたのでありますが、ただ本法案が、私が先程簡單になると申しましたのは、一體その物の所有者が誰かということの分らない状態を成るべく避けるのには一人でやる方がいい。そういう意味で申上げたのであります。後でおつしやいましたように、相續分の計算關係が非常にややこしくなるということは、仰せの通りでありますが、一人にするということで參り、特別の相續分考えるという前提の下では、こういうふうに非常に技術的に複雑になるのも、現在の状態では止むを得ないのではないかと、こういうふうに考えます。
  31. 松井道夫

    松井道夫君 そうしますと、要するに、その複雑さにからんでいろんな紛争が起つて来るということが生じませんか、その複雑さと紛争のことも私は申したわけでありますが、その點を……。
  32. 上田明信

    説明員(上田明信君) その紛争の問題でありますが、紛争の問題は根本的に考えますと、民法共同相續の分割自體が、今までの相續と根本的に變つたものでありますから、一應紛争の範囲がこれのまあ結果とも言い得ると考えております。
  33. 阿竹齋次郎

    ○阿竹齋次郎君 この法律の眼目は、第三條の二人以上に分割させないというところだろうと思うのであります。政府の今の答弁によりますと、日本現在の農業状態においては、暫定的たらざるを得ない、こういうわけであります。然らば第三條という人員限定をないようにすることを理想だと思つていらつしやるのであるか、一應お尋ねいたします。
  34. 山添利作

    政府委員(山添利作君) 人員限定をなくする場合におきましては、結局委員長もそう言う意見を持つておいでになるようでありますが、或る共同的な經営形態、これはそのものに實際從事する者がやる場合と、持分として共同してやる場合と、二つ考え得るわけであります。持分として共有するということは望ましいことではないのです。それは何故かと申しますると、極く分り易く申しますれば、そういう状況を續けて行けば、一つの小さい農業經営體を操つて、實に多くの人が持分を持つておる。これは煩に堪えないとか、又そういう事柄は、現實に農業に從事するものの農業經営の能率を上げて行こう、その發展を図つて行こうという熱意を阻害するものでありまして、結局一人に所屬すると共に、その所有關係も亦一人に屬するということがよろしいと、こう思つておるのであります。然らば現實に農業經営に從事する者が一人でなくて、大勢の場合を考えて見たらどうか、この場合におきましても、前に私が申上げたのでありまするが、現在の日本農業經営の規模は、平均内地におきましても九段歩ばかりになつております。又大きいものでも、今度の農地調整法農地改革法で原則的に全國平均三町歩で切るということになつております。これは土地と人との關係から来た日本農業の零細農業と言われるその特殊性から来るのであります。こういう小さい規模の上に共同經営、多くの人が集つた共同經営ということは考えにくいのでありまして、小さい台の上に大勢の人が乗ろうといたしましてもこれは無理であります。ただ現在の段階におきましては單なる理想若しくは可能性の豫測に止まるのでありまするけれども、假に開發地等におきまして、畑作が主でありまするが、こういう場合に非常に大きな一團地としての開拓地、或いは畑作經営共同してやつて行こう。トラクターを使おうとか、或いはその他の作業におきましても機械化して能率の上つたものにして行こうそうして家畜を取入れたり、或いは農村工業と申しまするとか、いろいろな加工業等を取入れた經営をやつて行こう、こういうことは試みていいことである。併し必ずしもそれが成功する見通しがはつきりしておるわけではない。こういう状況になつておるわけであります。從つて現在の状況を基礎にして申しますれば、多人数が共同してやる場合が理想であるとも言えないし、普通であるとも言えない。やはり自作農主義、自己土地の上に自分が耕やす、こういう自作農主義が根幹でありまして、ただ可能性として今の機械化された集團化された經営體が考え得る。こういうふうに思つておるのであります。
  35. 阿竹齋次郎

    ○阿竹齋次郎君 今の御説明を聽きますというと、實際の農業者ではなくして人の持分でやることは共同化が困難であるということでありますね人の持分のものをやることには共同經営はむずかしいという御説明ですな。
  36. 山添利作

    政府委員(山添利作君) 持分だけを共有と言いますか、非常に大勢の人が持分を持つてつて、現實にその農業經営に從事する人は或る個人竝びにその家族である、かような形態は望ましくないということであります。
  37. 阿竹齋次郎

    ○阿竹齋次郎君 それは日本農業の大部分にはありませんで、或る一部分ではないでしようか。私は大部分のことを申上げましてお尋ねしておるのでありますが、私共の考では現在の日本農業というものは人の労力が主體になつておるから、共同經営が困難であらうと思つております。日本農業がもつと機械化するにおいては共同經営が適当であるかも知れないと考えておりまするが故に、日本農業が從来の形のように自主的ならざるを得ないという點から、この法律が出たものと思つております。そこの私は御当局の御精神を伺いたいと思います。
  38. 山添利作

    政府委員(山添利作君) 現在の程度で機械化を想定いたして見ましても、大體トラクターを入れたりなんかしてやりますれば、先ず十町歩くらいの經営単位が要すると思うのでありまして、さような場合になりますれば、これは共同經営という形を当然考えることになると思います。併しながらこれらのことはまだ研究の段階、又可能性があるという段階でありまして、一般的の問題としてそういうふうになるということもできませんし、又なるであろうと今考えておるわけでもないわけであります。併しそういうことが今申しますように開拓地等を基礎にして試みて行く、こういうことは有益なことである。そういうことは農林省といたしましても、機械化の委員會を設置していろいろやつておりまするが、併し当面の段階といたしましては研究の段階であり、又共同するといいましても、独立せる自作農が或る農作業の一部を共同するというような部面的な共同の範囲でありまして、全面的な共同經営ということは今後の問題であり、又今後のいろいろな條件影響されて行くべき問題だ、こういう意味であります。
  39. 松井道夫

    松井道夫君 丁度政府委員がお見えになつておりますから、繰返すような形になりますけれども、お尋ねして見たいと思います。只今竹委員質問でも触れたわけなんでありますが、要するに前囘私が委員會に述べたと同じことをお聴きするわけなのであります。更に繰返すわけでありますが、農業經営というものを立ち行かせるようにするには、それは勿論均分相続という觀點に立つて、慣例によりましてのことでございまするが、それには要するに農業資産の相続において、その分割を禁ずればそれでよろしいのではないか、それが第一でございます。  それから第二として、農業經営差支えがない限り、例えば家事審判所許可を得て分割することができるというようにしても差支ないのでございましようか、要するにそういうことであります。それから只今竹委員質問に對するお答の中に、共有という關係が面白くない、かような御意見でございまするが、私の考からすれば、農業經営という面から申しまして、農業資産共有であつてもちつとも差支ないと思う。ただ理想から言えば農業經営に從事している人たちの共有であることが望ましいということが言えるのであります。假に都會でいろいろ仕事をしておる人たちがその共有者であつたといたしましても、差支ないとは存じますけれども、併しそういう人たちからは金でありますとか、その他何らかの方法でこれは適当に解決して、ぬけてもらつた方が望ましいということでありまするけれども、いずれにいたしましても、農業資産分割原則として禁止するということと、農業經営差支ない限り、家事審判所なら家事審判所許可を得て分割することができるのだということで、少しも差支えないと存ずるのであります。これは共同經営云々の言葉もありまするが、勿論一戸の農家の作業にいたしましても、三人の兄弟共同資産を持ち、經営共同經営をいたすという単純な意味で申しておるのであります。機械化の場合に一部落で共同經営するというところまで、今の状態は行つておりませんけれども、併しながらその三人なら三人の兄弟が、各々農業の作業を一部担当をいたしまして、共同的にやつて行く。それが多角經営を可能ならしめるゆえんであり、又将来そういつた機械化農業といつたものをも可能ならしめるゆえんであり、又更に農村工業化といつたようなことで、農産物の加工その他農村に適当な工業を盛んにいたしまして、その人工をそこに配分して行くということも可能ならしめるゆえんかとも存ずるのであります。いずれにいたしましても、農業資産の元が共有關係であることは、少くも農業經営の面から言つて差支えないと存ずるのであります。その辺の御意見を伺いたいと思ひます。
  40. 山添利作

    政府委員(山添利作君) 物としての農業資産分割を禁止して、而して特別相続分等を認めない場合は、資産財産意味における共有になる、その場合におきましても只今松井委員もお延べになりましたように、現實に農業經営に從事する人たちの共有關係と、然らざる者との共有關係があるわけで、然らざる者との共有關係は私は望ましくないと今申したのでありますが、これは法律的制といたしまして非常に大勢の人の間に相続が度々行われるということは、こういうことは面白くないことは申すまでもありませんが、そういう場合を除いて考えましても、結局そういう農業に從事しない人に對する利益配当、利潤配当を行なつて行くという關係になるわけでありまして、固よりその場合に農業經営に從事する人は適正なる労働賃金に相当する分を受ける。その餘りを以て充当する、言い換えて見ますれば、人たるに値するところの通常の生活をして、而して残りのものを利益配分をする、こういう關係になるのです。それだけを聞きますれば一向差支えないのではないかというふうにも、形式……形式というと失礼でありますが、理論としては差支えないと思いまするけれども、然らばその場合に實際問題としてそういうことができるかどうかといいますれば、これは苟しくも共有を認めて、利益を或る程度配当するということになりますれば、やはりきつちりと計算して且つ相当程度うまく利益を配分するというのでなければ意味がないわけであります。或る程度の利益配当ということが期待ができるということでなければ、折角の共有を認めた趣旨、他の農業に從事せざる人に對する共有意味はないと思います。さようなことは實際に實行の場合を想像して見ますると非常に困難でありまして、これはまあ日本の零細農業では、いわゆる過小農業の理論で、自分の身を食つて働くという、そういうことがいつまでもいいとは思いません。いわゆる労働強化ということばかりを進めるということが無論いいとは言えませんけれども、何と申しましても自作形態、自分の働いた成果が自分にそのまま歸するという自作農の形態が、やはり現在の細分せられておる耕地の上において、若干の機械や家畜を伴つた農業經営を営んで行くのには一番いい形態でありまして、これをトラクターを取入れるというような高度な經営形態というふうな考えと、同じような考え方をするのは實際の場合に適しないと思うのであります。又數人の人が現實に共同して經営に当るという場合におきましても、今の家の内外の、土地を基礎にする限りにおきましては、これは労働力の餘剰を来すばかりでありまして、日本農家といたしましては、何が適正規模かということは、いろいろ議論がありまするが、數年前の調査等を基礎にして、一應当時考えました場合におきましても、大體内地今一町以下でありまするが、一町七段ぐらいは欲しいんじやなか、又農家に聞いて見ますれば、家畜や何かを入れたりするには、どうしても二町ぐらいの土地がないと家畜労働も發揮ができないということでありまして、もつと土地が欲しいけれども人口との關係土地が得られないというのが、これは日本の國土の制約から来ておるまあ枠をなしておるわけでありまして、從つてそういう小さい經営を基礎にしての多角經営を行うにいたしましても、或る家族の經営、或る家族の労働を以つて足るのでありまして、數家族を合したところの労働では過剰であります。從つて數家族合したところの労働をうまく利用し、活用して行くというためには、これは十町歩以上或いは數十町歩というような大きな面積を基礎にしての問題である。その場合は又非常に高度化されたところの、機械が入つた農業經営である、これは今後の試むべき又研究すべき問題であつて、現實の事態を律するのに、さような經営形態、あるであろうところの經営形態というものを以て律するわけには行かない、こういうことを申上げておるのです。で、農村工業等の問題にいたしましても、實は共同經営することによつて、そこに労力の餘裕ができ、又そのことが加工方面に向けられると、こういうことでなく、現實の農村にもすでに人はある。今の經営形態で餘剰労力はある、又土地を得られない人も農村にある、これらの人の労力を十分に活用して、農産物の加工のみならず、進んで原料を得てこれを製品にして他に売る。大きく言えば日本における労働力を商品として、これを海外の市場に出す。廣い世界貿易の中で、まあ日本の人が食つて行くというのは、これからそういう以外に途はないと思いますが、そういう意味における農村工業というものは、今後に發展すべきでありまして、そのことは現在でも必要であるわけで、又共同經営によつてそういうことが促進されるであろうということは、必ずしも農村工業發達の條件ではないと、かように思つておるのです。
  41. 松井道夫

    松井道夫君 私も今農村におきまして、或いは將来農村に現われて參りまするその人口が過小な農業經営、過小な土地を土臺といたしまするところの農業經営に全部吸収されるであろうとは、これは勿論夢だに判断することはできないのでありまして、ただ、今いろいろ述べられましたが、そういつた過剰の人口を皆次男坊、三男坊として、農業資産關係ないものにしてしまうという必要はないのではないかと考えるのでございます。そうして今これは均分相續すれば、相当利益の分配とかいう煩瑣なことが残る、かようなお話でございまするけれども、これも勿論そういうことは考えられますけれども、それは零細になりました場合には、これは利益配当というようなことも、只今言われるように、殆んど僅かなものと相成りまするが、そういうものは要するに金ですつかり補償して、これは整理をしてしまつていいわけなのであります。そういうものは要するに農業から離れた人口、要するに農村から脱落して行つたところの人口なんでありまして、それは家事審判所その他で適切な補償で買上げ……買上げといいまするか、それを解消することができることにいたす。その外の資産は全部均分ということに相成るのであります。農業資産に關する持分は今のような正当な補償によつて解決されるわけであります。正当な補償、これは憲法にもございまするけれども、現に農村土地改革に現われておりまする補償は、これは正当な補償という概念に入るべきものでありまするけれども、實は現在から言いますと、正当の補償どころじやないのでありまして、これは何とか變えなければいかん問題である。日本土地の代價のみならず、例えば金納小作料の額にいたしましても、一部では何とかしなければならんという声が挙つておることは御存じの通りでありまするが、いずれにいたしましても、その時の客觀情勢を勘案しまして、家事審判所において適当な補償で整理することができる、要するにこれは農村から離れました人口でありますが、農村に住んで、苟くもその土地から上りまするところの財物と直接間接に關係のありまするいろいろな仕事に從事しておりまする人を、別に農業資産から裸にして置く必要はないのだ、殊にその当初におきまして一人の人を決めまして、そうして外の人を皆冷飯食いにしてしまう。これは非常にその時に選定された人が、外に残つた二男、三男、四男の人々よりも適当でない人であるかも知れない。これを共同にして置きますれば、共有にして置きますれば、自らその辺の調節はつくのでございますが、そうでないといたしますると、要するに今まで親父の下で平等な形でやつてつた者が、急に外の者は農業労働者のような形になる。すべての場合が、そうだというわけじやありません。仲の良い兄弟であればそういうことはないわけなんでありますけれども、その場合を考えましたら共有にしておいた方が工合がいい。或いは先程も言いましたけれども、現在の封建的な思想の非常に強く残つておりまするところの農村におきまして、何らの反省を加えずに進むということでありましたら、これは別なのでありまするけれども、我々の努力によりまして新憲法均分相續の意義というものをよく徹底させることができましたらなば、やはり政府考えるような心配は餘りないじやないか、農業資産分割の禁止ということと、それから分割する場合でありましたら家事審判所の審判による、許可による、その他農業を離れた人たちに対しては、いずれも争いがあれば家事審判所行つて貰うといつたようにしまして、亡くなつた被相續人、相續人の良識と、それから家事審判所の親切な配慮というものに信頼いたしまして進みましたならば、遺産の分割禁止ということがあれば、それですべて圓滑に、ただ今この法律がなくても、政府委員お話からいえば圓満に解決して行くらしいということでありまして、良識でやつて行けるんじやないか、憲法原則を破つて、そういう法律を作つて、そこで農業資産が多い、或いはどうだ、いろいろ危険がありますが、そういうむつかしいことをしなくてもよさそうに思うのでありますが、重ねて御答弁を願います。それから附加えまして、私のような考え方が、政府委員の見解から言つて、どうしても工合が悪いと言つたような根拠がございましたらお示し願いたいと思います。
  42. 山添利作

    政府委員(山添利作君) 突き進めて申しますると、結局日本ではこれから失業人口が多くなる。現在の人口が、明治の初年に比べますると、約倍近くなつておる。而して農家一戸当り、農家の戸數も当時から見て殆んど變りなく、やはり五百五十万、經営段別も一町歩までで、人口が倍になつて、それだけの者がどこへ行つたか、ここに日本の国が工業化された、そういうことで、農村次男三男はともかくどこかへ職を求めたということ、そういうことが行われない徳川時代はちよつと我々が口にするのに工合の悪は次第であつた。然らばこれからの日本において次男三男の問題をどうするか、これは非常に深刻な問題であります。これはこの法律にも關係がございまするけれども、この法律を超越いたしまして、廣い視野を以て考えなければならん所の大問題だと思います。その事柄は併しどういうところで救われるであろうか、これは私が別に意見を述べたところで大して重きをなしませんから、申述べることを差し控えたいと思いまするが、そういう問題について農村自體としては、農村工業並びに開拓等の事柄に重點を置く。然し問題は結局農村工業を含めた意味における廣意味の国業の回復又發展ということなくしては、都市においても、農村においても、人口と食糧の問題は片が附かないわけであります。然らば非常にそういういい見通しであるわけではない時期に、農業資産の相續特例法のごときを出せば、結局次男三男を土地から排除すをことになり、若しその人が農村に残つておる場合には、可成り惨めなと申しますか、愉快でない境遇に置かれることになるではないであろうか。こういう御意見のようであります。この點につきましては、私共といたしましても、日本がそういう運命に置かれておると、又方方でそれに類するような人が澤山でるであろうということには痛心をいたしておるのであります。併し問題の取上げ方といたしましては、あくまでも楽觀するというわけではありませんけれども、物事を合理的に進めるという方向に行くべきでありまして、日本農業を健全に維持し發達せしめる、日本農業が維持され發達されるということは、又日本の國民經済全般、その他の重要部門である工業又商業も発展するゆえんであり、両々相俟つて、又世界經済の中に農業自身が行くわけでありませんが、國民經済として伸びるというわけでありまして、そいういう積極的に物事を能率をよくするという建前において、今の大きな問題の解決というよりも、解決に資する方向に持つて行くことがいいのである、かように考えておるのであります。その意味から申しますれば、農業部面におきましても、人が余つておるならば、皆細分して、或いは細分しないでも、共同經營という形におきまして食い繋いで置いたらよいのじやないかというよりも、農業農業として進めるだけのやはり地盤を確保して行く、その事柄が又國民經済全般として人口と職業との問題を解決すべき方向に合致している。こういう考えを以ていたしているのでありまして、農業事情は繰返して申すまでもなくよく御存じの通り、この小さい農業經營の中に數家族を包容すると言いましても、これは永續きする問題ではありません。日本で相当大きな家族を維持しておつた地方におきましても、現在ではそれが殆どなくなるか、例えば飛騨のなんとか部落或いは茨木県のある地方にあるごとき大きな家族制度というようなものは崩壊しているのであります。新しい憲法精神等が浸潤すればする程やはり大きな家族ということは考えるに困難であり、それとは逆の方向に向つて行くと思うのであります。從つて一面から見ますれば、人を土地から離すという議論がありましようけれども、全體としての日本農業現状、又國民經済の中における農業の進み方といたしましては、この法律の狙つている方向が正しいと、かように考えておるのであります。ただ問題は相当大きな農業を營む、その場合に十分にやつていけるというようなケースがなきにしもあらず、その場合までをこの法律でもつて抑えるということはいかがであろうか。ゆとりを持たせる方が適当であるという御意見でありますが、この御意見は甚だ御尤ものように思うのでありますが、この法律全體の構成は家産法とは趣きを異にいたしまして、例えば兄弟が獨立する、今までの言葉で申しますれば、分家をするというような場合における資産の贈與等で一町歩なら一町歩分けてやるというようなことは何ら制限をいたしているわけではございません。家庭的な、社会的な状況に基ずいて農業資産が分化した經營になるということは予想もいたしておるのであります。これはこの法律とは關係のない、それは社会的資産としてそのままに認める。ただ相續が起るという事柄によつて現に成立しているところの農業經營が機械的に分割されるということを防ぐのでありまして、且つそれは物として分割されることを防ぐだけでは先程申ましたような理由で足りないので、そこに特別相續分というものを認めたのであります。これを共同して保有するということを認めれば、この法律考えておりますことを損なうということが一點と、又假に善意に考えましても、共同というものは今の日本の状態を基礎に考えるときに、これは永續性をもつたものではない、法律上認めるのに適切ではない、こういう見解になつてゐるのであります。
  43. 北村一男

    ○北村一男君 ちよつと遅れて参りましてなんでありますが……只今政府委員の御説明で大體物ばかりでなく、人が何人も共同農業資産を相續するということが實情に適せんという御説明は、私自分で農耕しておりまするからよく分ります。大體民主主義がいかに進んでも、人間が神様にならんければ欲といふものがありますから、農業共同經營するなんといふことは、なかなか困難なことではないか、いかに兄弟でありましても……。その點は私は大體農政局長お話は分るのでありますが、それに關聯しましてこの法律とは少しく離れますが、大體農村におきまして今度農地改革による……先程松井委員も觸れられましたが、土地の代價といふものが、今日の物價に照し合せて見て適正であるかどうか、私は不当に安いと思ふ。それからそれに關聯しての金納による小作料も、これは私は不当に安いと思います。そこでこの法律考えて行く上において關聯のないようでありますが、實は大きな關聯を持つのでありますから、この土地を開放する場合の價格というものを修正されるお企てがあるか、或いは小作料を適正に増額なさる御計畫があるかどうか、そういうことについてちよつと承わりたいと思います。
  44. 山添利作

    政府委員(山添利作君) 現在の農地の公定價格並びに石七十五圓をもつて換算いたします金納小作料が、現在の物價情勢から見て、極端に均衡を失しておるではないか、ひいてはその事柄は憲法にいうところの正当なる保障という點に違反するのではないかという意味の御質問でございます。これは現在の農地の價格が決められましたのは御承知のように昭和二十年、当時の米價は百五十圓、現在はその十倍ぐらいになつております。小作料も当時大體百五十圓に改定せられます前の米價、その場合の地主米價が五十五圓であります。それを殖やして七十五圓というものを換算の基準にいたしたのであります。これが正当なる價格であるかどうかということにつきましては、固より私は現在の物價の構成方式、又農地改革の遂行途上におきまして、これを變える意思は持つておりませんし、又深く考えて見れば、これが不正当だとは言えないと思つておるのであります。現在の地價を決める場合に二十年当時の小作者の収益價格から出しました地價、又当時の小作料は公定の實施で四分でありますが、これを以て還元する價格との間では、小作料から還元いたしましたところの地價の方が高い。ところが自作農創設という目的並びに適当なる農業經營を維持せしめるという意味から言えば、この小作料は収益價格を基礎とするところの地價によるべきであります。さればと言つて、今の利廻りから還元した地價をそこまで下げるというのも、土地所有者にとつて不利益でありまするので、その間の埋合せとして御承知の報奬金という制度を採用し、土地の價格は小作者の収益價格を基礎とした代價による。而して土地所有者の利廻りから計算した地價との差額は報奬金で埋合せる、こういう趣旨で作られた土地價格であります。從つてこの價格が当時において妥当なものであるということはこれは申すまでもございません。然らば事情が變つて現在においてその当時の地價を維持しておるということが妥当であるかどうかという點でございまするが、それから成る程一般の物價は變りましたけれども、本来あの時に決めました公定價格で農地改革における政府の買収價格とするということは、すでに決定されておる事柄であります。これをその時々の他の物價が上るに從つて土地價格を改定して行くということは、實行上不可能ばかりでなく、又土地を買う人から見ましても、又買われる人から見ましても、非常な不均衡、凹凸を生ずることになりまして公正でもないのであります。尚又現在の物價は申すまでもなく、自然の需給關係が反映した物價關係ではないのであります。すべての公定價格の制度、その公定價格はどこに基礎を置くかと申せば、これは生産費に基礎を置いているのであります。そこでその当時決められたところの地價、その後別に土地の生産費と言いまするか、維持乃至は改良ということに特別の費用を費やしたならともかく、原則論としては何らそこに費用が掛かつておるわけのものでもない。生産費の増加がないところに地價の値上げ、物價の値上げというものを考える必要はないわけであります。これはすべてのものについて精密なる計算はされておらんと思いますが、仮にここに肥料の價格というものを持つて来ると、その肥料の價格は原價計算をいたします場合に、設備の價格或いは償却というようなものは、古いものは古い帳簿價格というものがやはり基礎になる。無論新しく修繕を要しまする部分の修繕費等は高くなりますけれども、古い部分に對する償却というものは、やはり古い部分のそれで、償却と言うおかしいのでありますが、そういうものに対して認めるところのフアクター或いはアイデアというものは、古いものを基礎にする。こういうことであります。原價が上らなければ價格としては上げない。こういう觀點に立つておるのであります。從つてそういう意味から申して、土地の價格を上げる。又現在の公定價格の制度において上げる理由もない。併しながら小作料を七十五圓のベースによりましたけれども、その後非常に水利費が高くなつておる。これを地主負擔にするということでありますれば、おのずから七十五圓の枠を解かなくては賄い切れないという問題が起ります。そこで特別に事情が變つて水利費とか或いは土地改良費等が掛かり、又現實に掛かるのでありますが、その時は又現に耕作する人の方に適当に移して行くと、こういう方法を採つておる即ち小作料そのものは變えないけれども、從来地主の負擔であつたものについて、その負擔が非常に殖える場合には、殖える部分については、これを現實の耕作者が支払う。こういう形において調整をして行くという方針を取つておるのであります。
  45. 阿竹齋次郎

    ○阿竹齋次郎君 度々の質問で済みません。重ねてお尋ねするまでもありませんが、立法者と雖も、第三條は理想として將来はない方がいいと考えておられるものと承知をしております。果して然らば、第三條を無くする方途をお尋ねいたしたいのでありますが、時間の都合上、簡単に御説明を願います。
  46. 山添利作

    政府委員(山添利作君) 第三條を無くすることが理想であるとは考えていないのであります。成る程農業經營の形態というものは將来に變る可能性はある。又合理的な形態に發展せしむべく、いろいろ試験研究をするということは当然でありまするけれども、然らば根本的にこの農業經營形態が、日本の全部とは言わないまでも、多くの場合當篏るがごとき變化が近き將来にあるというようなことは又考えられないのであります。從つて三條を無くするのが理想であるというようなことも考えておらないのであります。
  47. 阿竹齋次郎

    ○阿竹齋次郎君 只今の御説明によりますと、ここからは意見の相違になるのでありますから、質問範圍を出でざる程度にいたしまして、本日はこれで打切ります。
  48. 松村眞一郎

    委員長松村眞一郎君) 本日はこの程度に止めましていかがでありますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  49. 松村眞一郎

    委員長松村眞一郎君) それでは本日はこの程度に止めることにいたします。明日は午後一時から開會いたします。    午後四時十八分散會  出席者は左の通り。    委員長     松村眞一郎君    委員            松井 道夫君            阿竹齋次郎君            北村 一男君            石川 準吉君            藤野 繁雄君   政府委員    農林事務官    (農政局長)  山添 利作君   説明員    農林事務官    (農政局農政課    長)      小倉 武一君    司法事務官    (民事局勤務) 上田 明信君