○
政府委員(
伊原隆君) お
手許にございます
企業再建整備法等の一部を
改正する
法律案は、第何條を左のごとく改めるというふうに書いてございまして、非常にお分りにくくありまするので、
印刷をいたしましてお
手許へ差上げました
法律案の
要旨ということにつきまして、逐條的に御
説明申上げたいと思います。今囘の
法律の
改正は率直に申上げまして、何か
一つの
目的を持
つているということでございませんので、いろいろな改めなければならなくなりました點をごたごた組入れたものでありまするから、特別に特色というものが出ておらない。且技術的の點が多いのでありますが、先ず第一の
企業再建整備法の
改正の
項目別につきまして御
説明申上げたいと存じます。
これは
朗讀を省略いたしまして、極く
内容だけを申上げて參りますが、一にございますのは、これはこの
企業再建整備法ができました以後に、
賠償指定施設の
轉換使用をいたします場合には
許可が要るということに相成りましたので、
賠償指定施設の
轉換使用に關する
許可申請書と、それから
整備計畫の
認可申請書と同一の一通で兩方の
許可申請ができるようにするという極く
簡單な事務簡捷に關する問題であります。從いまして一通の
申請書で
許可がとれることになりますので、それに伴い
簡單な補正をいたしましたのが第一の點でございます。
第二の點は、これも技術的の點でございますが、
企業再建整備法に基く
整備計畫に對しましては、後で九番のところに行きまして申上げますような、
第三者を拘束いたしますような
法律效果が今度
規定せられましたために、現在の
整備計畫の
記載事項を
整備いたさなければならんという必要を生じまして、例えば
整備計畫の中に入
つております
事業計畫であるとか、
資金計畫であるとかいうふうなものは、これを
添付書類の方に落しまして、その他
整備計畫の
記載事項につきまして、
會社の稱號でありますとか、
資本金でありますとかいうふうな細かい點を補足をいたしたという點でございます。これ亦極めて技術的の問題でございます。
次の頁の第三の問題はこれも
商法等の
改正で、
法律技術的のことでございますが、例えば
特別經理會社が新
勘定の
資産の全部又は一部を
出資いたします場合には、
出資を受ける方の
會社は新
勘定の
債務を承繼しなければならないということに
なつているのでありまして、例えば或
會社が一億圓の
資産を第二
會社に讓渡して、それと一緒に三千
萬圓の
借金も第二
會社に讓渡したという場合におきましては、七千
萬圓というものを
商法の
規定における
現物出資という
觀念にいたしまして、後三千
萬圓の
債務と見合う分は無
償讓渡であるという
法律觀念に
なつておりますので、一億圓だけいろいろな
資産を移しまして、三千
萬圓債務を承繼いたしました場合には、七千
萬圓を
現物出資、後の
債務と見合う分は無
償讓渡であるという
法律觀念でありますので、それに基く
規定を置きましたわけであります。これは極めて
法律的のことであります。
第四番目と五番目は多少
實質的の意味があるのでありますが、
從來第四番目は
整備計畫
會社が
整備計畫をいたします際には、その
内容につきまして、
利害關係人から反
對意見の開陳がありました時には、特別の
管理人はその
意見を附けて出さなければいけない。それから第五にございますのは、
從來できました
整備計畫に對しまして
異議を
申立てることができますのは、
株主と
債權者だけに
なつておりましたのを
利害關係人に改めたという點でありますが、これはいずれも
從業員等が、
從來は
整備計畫を出します際に反
對意見をつけるというふうなこともできませんでしたが、その點を
意見を述べることができるようにし、且
整備計畫におきまして、これに對する
申立も、
從業員も
利害關係人としてできるというふうにいたしたものであります。
第六番目は、これも極く
簡單なことでございますが、
從來は
整備計畫の
認可に際しまして、
異議の
申立のあ
つた事項に關してのみ、且その
範圍においてのみ、
主務大臣が
變更して決定することができたのでありますが、今囘は
主務大臣が
職權を以て
變更又は
追加認可をすることができるようにいたし、且そういうふうな場合には、
異議の
申立の途を開いておるという點であります。
第七番目は、これも非常にごたごたしておりますが、極めて技術的のことでございまして、
整備計畫の
提出がない場合、その
整備計畫が不
認可になりました場合には、
主務大臣は、その
會社に對して期限を指定して、何時までに
整備計畫を出してくれということを何度でも繰り返して言える、そうしてどうしてもきかない場合には、
會社に對して
解散を命ずることができる。それから新
舊勘定の
合併の
申請につきましても、何度でも出してくれ。出さないような場合には、出してくれということを督促いたしまして、若しどうしても出さない場合には、
解散を命ずることができるというふうな
規定に統一をいたしましたわけであります。そうしてこれも技術的でありますが、新
舊勘定合併の時期も、いろいろまちまちに
なつておりましたのを
整理いたしまして、いずれも
認可を受れた日、又
解散を命ぜられた日に、新
舊勘定を
合併するというふいにいたしたわけであります。
それから第八番目でございますが、これは
整備計畫におきまして、例えば千
萬圓に賣れるというような
豫定で出しておきました
資産が、後で千五百
萬圓に賣れたというふうな場合におきましては、五百
萬圓だれは
豫定より高く賣れたわけでありまして、それは現在の
規定におきましては、
豫定より高く賣れましたような
利益金は、
假勘定として
整理をいたしておきまして、そうして先ずその
債權を切られた、詰り例えば
銀行からの
借金を
打切つた、三割
打切つたというような場合におきましては、その打切られた額に應じまして、
假勘定の中の
利益を
債權者に割り戻すことに
なつております。割り戻して尚餘りがありますと、それは、
會社の
利益として積立てて置くことに
なつてお
つたのでありますが、それを今囘は
債權者に戻して尚餘りがありば、
減資等によ
つて損失を受けました
株主に對しても割り戻しをするようにしたという點でございます。
第九番目は、これは
實質の
規定でございますが、九番と十番におきまして、例えば十番について申上げますと、
舊債權の
條件の
變更ということを
整備計畫に書いて出しますと、その
條件の
變更は
第三者をも、又
債權者をも拘束するということに
なつたわけであります。例えば一千
萬圓の七分の利子で借りてお
つたのを、
債務の
整理のたるに三分にするというような
整備計畫を出しますと、
債權者はそれが
認可になりますと、
債權者は拘束されるということになりましたわけであります。
第十一番目は、これも
實質的の
規定でございますが、非常にごたごた書いてありますけれども、要するに例えば一億圓の或
會社が三千
萬圓の財産を移しまして、三千
萬圓の
會社を、第二
會社を建てたといたします。そういうふうな場合には、一時一億圓の
會社が、三千
萬圓の
會社の全株を取得しておるわけであります。一人
株主に
なつておるわけでありますが、その第二
會社に
株式をうまく捌かせるために、親
會社の方の一億圓の
會社が三千
萬圓減資いたしまして、その
減資益で
株主に第二
會社の株を
割當てる。
つまり減資をして
株主に第二
會社の株を
割當ててしま
つて、第二
會社の
株式の急速な
圓滑な處分の途を開いたというのが
趣旨でございます。これは
解散する場合におきましても殘餘財産を株で分配する第二
會社の株で分配するというふうなこともできるようにいたしましたわけであります。
第十二番目は、これも
實質的の
規定でございますが、
御存じのように、
獨占禁止法の
規定によりまして、
會社というものは
株式を持てない。持
つておるものは賣ならければならないということに現在
なつておりますのですが、例えば非常に
内容の良い
會社の株を或他の
會社が持
つてお
つた。その
内容の良い
會社が今度の
經理基準等に基きまして増資をいたします場合には、普通ならば、皆
株主に
引受權が生じまして、
株主がその株を、取得することができるわけであります。然るに
株主の中に、
會社である
株主等がありますと、それは
獨占禁止法の
趣旨から
言つて、それが取得するのは望ましくないということでありまするので、それじや引受けさせないかというと、
含みのある
會社の株を引受けないということは、その
株主たる
會社に非常に
損失を及ぼすことになりまするので、
從つてそういうふうな場合には、
新株發行の際のプレミアムの
交付を
株主たる
會社は請求することができる。それから
新株を引受ける權利を他に讓渡して、そうして
含み利益の享受をさせる。こういうのが
趣旨でございます。
それから十三は、これは
簡單な
規定でございますが、要するに
工場財團等を設けます場合には、土地、建物以外に對するいろいろの機械は
一括表示をすることが一年間はできるということにいたしたものであります。
十四番も
簡單なものでありますが、
從來商法によりますと、役員の
選任、
解任、
清算人の
選任、
解任等はそれぞれ
株主總會、その他の
手續が要
つたのでありますが、
整備計畫に名前を書けば、それでいいということにいたしたのであります。
十五番は、これはずつと書いてありますのは、第二
會社の
設立の際に、
職員の
退職金をどういうふうに取扱うかということでございます。原則は、ここの十五の(一)にございますよいに、
整備計畫によりまして第二
會社を建てます場合には、そこに
引繼がれて、大部分の
職員が
引繼がれて參るわけでありまして、その
引繼がれて行きます場合には、
退職と見ない。
從つて、
退職金は出さない。つまり親
會社から第二
會社に移りました場合には
退職金は出さない。併しながら二番目にございますように、
從來の
在職期間は今後
退職いたします場合の
在職年數に繰入れて通算して考える。そうしてこの新
會社に
引繼がれました場合の
退職金の
財源といたしまして、
財源の一部といたしまして或程度(三)にございますように、
積立金等を第二
會社に持
つて行くということにいたしたわけであります。そしてその第二
會社に
退職金の
目當として持
つて行きました
積立金等は、
退職金の支拂の
目的以外には使えない。尚その
引繼ぎますにつきましては、税法上の
關係でそれは益金と見ない。こういうことが十五にあるわけであります。この
勞務對策と言いますか、第二
會社設立の際の
職員の
退職金の基準につきましては、閣議におきまして昨年も決定いたし、最近におきましても
勞務對策として今のような方法が
適當であるということを
安定本部、それから
勞働省等におきまして考えまして決定いたしました
内容をこの
法律に盛り込みましたわけであります。第十六はこれもつまらない
規定でございますが、
舊債權の履行としまして、
舊債權を
社債に振替えますような場合におきましては、御
承知のように
商法で
社債は
拂込資金の額を超えて
社債が出せないということに
なつておりますのを、その制限を考えないでよろしいということにいたした
規定でございます。
それから十七番はこれは非常につまらない
規定でございまして、百
萬圓以下の
會社、
評價益を出さないような
會社は、
法律上
整備計畫は出さないで、新
舊勘定を
合併していいということに
なつておりますが、そういうような
會社が
減資をいたします場合にも、
株主總會の決議は要らないということにいたしたのであります。
十八番は、この
整備計畫の
認可を受けました
特別經理株式會社は
整備計畫の
實施状況を定期的に
主務大臣に
報告をして貰うということにいたしました。
從來は
整備計
畫完了報告というものだけしかなか
つたのを時々實行
状況を
報告して頂くことにいたしたのであります。
十九番は、これはおのおのの
特別經理株式會社には、御
承知にような
特別管理人というのがこの
會社側から二人、
債權者側から二人出ておりますわけでありますが、それらの
特別管理人は
整備計畫の立案に至りますまでは、いろいろの
權限は持
つておるのでありますが、實行につきしましては、何も
權限がございませんのでしたのを、
舊債權者の
利益に
關係する
事項に關しましては、必要な物件を檢査いたしましたり、
報告を取ることができるようにいたしましたわけであります。そうして、
特別管理人の
整備計畫實行の際における
權限の強化をいたしたわけであります。
二十番は、これは
私的獨占の禁止及び
公正取引の確保に關するいわゆる
獨占禁止法の
規定におきまして、
公正取引委員會の
認可を受ける
事項がございますが、それらにつきましては、この
委員會の
意見を求めなければならん。それはまあ當然のごとでございますが、そういうような
規定を置いたわけでございます。これが
企業再建整備法の
改正でございます。
第二に
會社經理應急措置法の
改正というのがございます。これは又澤山書いてございますが、要するに
擔保權の効力に關する問題でございまして、非常にごたごたしておりますが、要するに
特別經理會社におきまして、新
舊勘定を分けまして、
從來の
資産を
生産に必要なものは新
勘定に移しまして、
生産に必要でないものを
舊勘定に殘しておいて、
特別經理會社というものに
整理をいたすのでありますが、
生産に必要なる
設備等を新
勘定に移しますと新勘上に移した瞬間に
從來擔保權がついておりました場合には、
擔保が消えてなくなるということにいたして現在はあるわけであります。そうして
整備計畫によりまして、その
整備がしつかりつきまして、もう一度新
舊勘定を
合併いたしますと、
擔保權が
復活をするということに
なつております。但し、二つの場合においては、一遍決めた
擔保權は
復活をしない。その
一つは新
勘定に
移つてから又新らしい
擔保が設定せられた場合、もう
一つは新
勘定に
移つた後に、第二
會社等にその
設備等を渡してしま
つたような場合においては、
擔保が
復活しない。併しながらその
復活しない代りに、
擔保權者の
債權額に相當する
金額を供託しなければならんということに
現行法が相成
つておるのであります。それを多少修正いたしましてと申しますのは、
債權者の
債權額に相當するだけの
金額を供託しなければならないという
規定は
實際上動きませんので、この
規定を
發めることに關連いたしまして、できるだけ
擔保權は、一應消えた
擔保權も
復活をする。例えば新
勘定に移した後に新しい
擔保權が設定されましても、新
舊勘定が
合併したときには、元の
擔保權を
復活する。併しその
復活の順位は新
舊勘定併合のときに
復活したものといたしまして、つまり第二順位に
なつて
復活をする。こういうことにいたしたわけであります。それから供託の
規定を取りましたので、その代り先取特權、他のものに先きだ
つて權利を行使し得る先取特權を作ることにいたしまして、保護をいたそう、こういうことであります。非常に技術的で分りにくいと思いますが、要するに新
勘定に設備を移しますと、今まで附いていた
擔保が消える。新
舊勘定を
合併いたしますと
復活いたしますが、
復活しない場合は二つ程ありましたのを、新
勘定に移しまして後に
擔保が設定されても
復活をするけれども、第二順位と
なつて
復活するというのが大體の考え方でございます。
それから第三の有價証券の處分の調整等に關する
法律の
改正でございますが、これは
御存じの通りに昨年の暮に御制定を願いました
法律でありまして、現在財閥解體の
關係で持株
會社整理委員會が持
つておる
株式とか、或いは財産税で入
つて參りました
株式、閉鎖機關の處理のために
整備をいたします
株式等が非常に多額に止りまするので、それらの
株式を順序なく滅茶々々に處理いたしますと、混亂が參りまするので、それらの
株式、有價證券の處分を調整いたしますためにできました
法律でありまして、この
法律の施行には、證券處理調整協議會というものができまして、現在當
つておるわけであります。その
規定を二つ
改正いたしまして、その第一點は先程申上げましたように、
獨占禁止法との
關係で
株主になることができないものに對しまして、増資
新株の
引受權を他に讓渡して
含み益を亭受させるということを
ちよつと申しましたが、その讓渡を證券處理調整協議會、これは證券の處理についての專門的機關でありますので、それに頼むことができるという
規定を
一つ作りましたのであります。第二は證券處理調整協議會では、
只今申しましたように株の民主的な配分をいたしておるのでありますが、それの處理に必要な場合には、その株を發行しておる
會社の經理業務の
内容等を審査することができるということを
法律的に
規定をいたしたわけでございます。
これで、
企業再建整備法等の一部を
改正する
法律案の
要旨は
只今申上げたような點でありますが、もう一點は、企業先建
整備法の一部を
改正する
法律案は、石炭國管法との
關係で
認可、
許可の
規定を調整いたしたというだけの法令でございます。甚だ技術的のことで、御
説明も不十分かと思いますが、これで一應
説明を終ります。