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1947-09-23 第1回国会 参議院 財政及び金融委員会 第18号
公式Web版
会議録情報
0
付託事件
○
酒類配給公團法案
(
内閣提出
) ○
物價引下運動促進
に關する
陳情
(第 九號) ○
製鹽事業保持對策樹立
に關する
陳情
(第十九號) ○織物の
價格改訂
に關する
陳情
(第二 十八號) ○
少額貯金
及び
各種團體預金封鎖解除
に關する
陳情
(第五十二號) ○
インフレ防止
に關する
陳情
(第七十 一號) ○
大藏省預金部等
の
債權
の
條件變更等
に關する
法律案
(
内閣送付
) ○
會計檢査院法
の一部を改正する
法律
案(
内閣送付
) ○
電氣税復活
反對に關する
請願
(第四 十三號) ○低
物價政策上官營事業料金
の値上げ 反對に關する
陳情
(第百九十號) ○
連合軍兵舎竝びに宿舎建設用木材
前 受金の第二
封鎖解除
に關する
陳情
(第二百十一號) ○
賠償税
の新設に關する
請願
(第百十 八號) ○
中古衣類
の
公定價格
を廢止すること に關する
請願
(第百三十八號) ○
企業再建整備法
竝びにこれに伴う諸 施策に關する
請願
(第百四十號) ○
中古衣類
の
公定價格制度
を廢止する ことに關する
陳情
第二百三十三 號) ○
會計檢査人法制定
に關する
請願
(第 二百二號) ○
貿易資金特別會計法
の一部を改正す る
法律案
(
内閣送付
)
—————————————
昭和二十二年九月二十三日(火曜日) 午前十時四十二分
開會
—————————————
本日の會議に付した
事件
○
大藏省預金部等
の
債權
の
條件變更等
に關する
法律案
—————————————
黒田英雄
1
○
委員長
(
黒田英雄
君) それではこれより
開會
いたしたいと思います。 本日は
大藏省預金部等
の
債權
の
條件變更等
に關する
法律案
、これについて御
審議
を願いたいと思います。 先ず
政府委員
から前に一應の提案の御
説明
はあ
つたの
でありますが、
政府委員
から
法案
につきまして尚詳しい御
説明
を願いたいと思います。
小坂善太郎
2
○
政府委員
(
小坂善太郎
君) この
法案
は
衆議院
において、
衆議院
の
財政
及び
金融委員會
に諮
つたの
でありますが、これを可決して頂くに際しまして、字句の修正がございましたので、一應御
説明
申上げておきます。 それは第
一條
でございまして、第
一條
には御
承知
のように「
預金部資金
の
融通
を受けた者が、
災害
その他特殊の
事由
に因り、
元利金
の
支拂
が著しく困難と
なつ
たときは、
大藏大臣
は、
公共
の
利益
のため必要があると認める場合に限り、
預金部資金運用委員會
の
意見
を聽いて、その
融通條件
の
變更又
は
延滯元利金
の
支拂方法
の
變更
をすることができる。」こういうのでありまするが、それを「
大藏大臣
は
預金部資金運用委員會
の
意見
を聽いて、
公共
の
利益
のため必要があると認める場合に限り、その
融通條件
の
變更又
は
延帶元利金
の
支拂方法
の
變更
をすることができる。」というように、この文章を變えましたことであります。この點御報告申上げておきます。尚
逐條的
に
政府委員
より
一つ
御
説明
を願います。
愛知揆一
3
○
政府委員
(
愛知揆一君
) それでは議題にな
つて
おります
法律案
の
逐條的
な御
説明
を申上げます。 第
一條
につきましては、ここに書いてありまする
條文
は比較的簡單でございまして、さして詳細に御
説明
申上げる點も實はないようでございますが、字句的に申上げますると、第
一條
の「特殊の
事由
」という表現がございます。「特殊の
事由
に因り、」と申しますることは、
預金部資金
の
融通
を受けました者が、經濟の急激な變動だとか、その他全く豫測し得ないような
事由
によりまして、
元利金
の
支拂
が著しく困難に
なつ
た場合を言う
積り
でございます。 それから「
公共
の
利益
のため必要があると認める場合」と申しますのは、少くとも
相當
多數の方々のために
利益
であると認められる場合は、すべてこれに包含する
積り
でございます。例えて申しまするならば、
災害地
の
地方公共團體
やその他のものに對しましてすでに
融通
いたしました
預金部資金
の
償還條件
を緩和するということが、多數の
罹災者
の負擔を輕減するというような場合は、一例といたしまして、この中に入るものと
考え
るわけでございます。それから尚この
法律
の第三條によりまして、前
二條
の
規定
ということで、いろいろの
規定
が準用されることとなるわけでございまするが、準用されまする對象は、
預金部資金
のみでございませんで、
簡易生命保險
、
郵便年金
の
積立金
の
運用資産
といつたようなものが、同樣に第三條によりまして準用されますので、第
一條
と同樣の扱いになるわけでございます。
法案
の第
二條
につきましては、實はこの中にもございまするように、「
政令
の定めるところにより」という文句があるのでございまして、その
政令
で如何なることを決めるのかということが問題になるわけでございます。この
政令案
につきまして、一應用意をいたしたものを後刻御配布いたすつもりでございまするが、
只今ちよ
つとその印刷が間に合いませんので、その點誠に恐縮でございまするが。間に合いますれば、この會期中にもお配りいたしたいと
考え
ております。大體その
内容
にどういうことを
考え
ておるかと申しますることを、大體簡單に御
説明
いたしたいと思います。 この第
二條
で
規定
いたしておりますることは、要するに、
預金部
の
債權
の
免除
ということになるわけなのでございまするが、この第
二條
によりまする
免除
は、昨年の五月以來の問題にな
つて
おりまする
戰時補償
の打切の
關係
の
一連
の
措置
の
影響
を
預金部
として受けたものについての
關係
を
規定
せんとするものでございまするので、それによりまする諸般の
關係
者が、いろいろの
損失
を受けたり、或いは
特別經理會社
としてのいろいろの
處置
を受けたりいたしますること、それらによ
つて預金部
に對する
債務
が
支拂
ができない場合が生ずるのでありまして、それらの
關係
は、いろいろ最近に制定せられました所の、例えば
金融機關再建整備法
とか、或いは經理應急
措置法
とがいつたようなものによ
つて
、詳しく
規定
されておるわけでありまするし、或いは
特別和議法
によ
つて
規定
されるものもあるわけでございます。それらの結果
預金部
の生じて參りまする
影響
によりまして、
預金部
の
債權
を
免除
しよう、こういうことが、一口に申しまして、第
二條
の立法の
理由
にな
つて
おるわけでございます。 そもそも御
案内
のように、
預金部資金
の
融通
の
方法
には二つあるわけでありまして、
資金
の
借受者
に對して直接
貸付
けます場合と、それから第二の場合は、特殊の
金融機關
なり、或いは
地方公共團體
を經由いたしまして間接に
貸付
ける
方法
とございますわけであります。この第
二條
の
規定
は、その後者の場合の、
經由機關
を通しまして、
第三者
に
貸付
ける場合、その
第三者
である
貸付先
が例えば
特別經理會社
に
なつ
たとか、或いは
特別和議法
によ
つて和議
をした場合、或いはその
資産状態
が不良でありまするために、それに對して
貸付
けをいたしました
金融機關
において
評價損
を立てた場合に、これらにおきまして經由して
貸付
けた所の
經由機關
が、
債權
の全部なり、或いは一部なりの
済濟
を受けられないときには
預金部
がその
經由機關
を通して
貸付
けましたところの
債權
を
免除
してやろうということになるわけであります。こういつた場合に、從來のこういうような場合におきまして經由貸しの場合に、その間に立つた者の責に歸すべき
事由
によりまして、
預金部
に
損失
が及ぶというようなときには、
當然經由機關
にその責任が負わされることは
當然
でございますが、今囘のごとく、
戰時補償
の
特別處理
に伴いまする
一連
の
措置
によりまして、その
經由機關
が他の法令によりまして
損失
を生じた場合、それに
相當
するものは、
預金部
に對する
債務
を
免除
してやろうというのが
當然
のことだと思うわけでございます。 こういつた
考え
方によりまして、
政令案
として用意いたしておりますものの
内容
をかいつまんで申上げますならば、この
免除
をなし得る場合は、直接
貸付
をなした場合の
免除
と同様に、同じ
評價基準
によりまして
評價
をいたしまして、その
評價損
を生じた場合に限るということが
一つ
ございます。それから第二には、
免除
をなし得る
金額
は、先程申しました
第三者
となりました轉貸された先が、
企業再建整備法
その他の
法律
によりまして
債務
を免れた
金額
に限られるわけであります。 この二點が中心にな
つて政令
に
規定
をされる筈でございますが、その他第三といたしまして、その
免除
の申請は、一定の様式に基きます書面でこれをなす必要があるかと思います。更に第四には、
大藏大臣
は
免除
の場合はその
金額
なり時期なりを
融通先
に通知する必要がある。 第五には、
簡易生命保險及郵便年金特別會計法
の
運用
による
免除
についても、
預金部
と同様の
手續
をとり得るというようなことを
規定
するつもりでございます。例えば
法律案
の第三條に「
政令
で定める
委員會
」とございます。この點につきましては、
簡易生命保險
。
郵便年金事業
につきましては、
簡易生命保險及び郵便年金事業委員會
というようなことも、
手續
の問題としてその
政令
に
規定
せられることにな
つて
おるわけでございます。 又
施行期日
につきましても
政令
で
規定
することに相成
つて
おるのでございますが、
施行期日
は各條によりまして
施行期日
を異にする必要があります。その必要があります。その必要はやはり他の
法律
の
施行期日
との
關係
が主たる
理由
でございます。從いまして、この
法律案
の第
一條
の
規定
と、第三條の中で、第
一條
を準用する
規定
とは、本
法律案施行
の日からこれを
施行
する。それから第
二條
につきましては、既に前
議會
におきまして
預金部
の
損失處理
につきましての
法律
が通
つて
おりまして、これも亦
手續
の
關係
で
施行
していないのでございますが、その
施行
と同日に本法も
施行
するというようなことに相成るわけでございます。 大體以上が
逐條的
な御
説明
でございます。
黒田英雄
4
○
委員長
(
黒田英雄
君) 御
質問
がございますればお願いいたします。
西郷吉之助
5
○
西郷吉之助
君 聞き落しましたが、第三條に、
預金部資金運用委員會
は
政令
で定める
委員會
と讀み替えるものとするとありますが、現在
預金部資金
の
運用委員會
というのは、どういうふうな
構成
にな
つて
おりますか。
愛知揆一
6
○
政府委員
(
愛知揆一君
)
預金部資金運用委員會
は
官制
によ
つて
決ま
つて
おりまして、その
構成員
は、會長が
大藏大臣
にな
つて
おります。
委員
は
當然
の
委員
と
内閣
で任命する
委員
と、二通りございまして、
官制
上
當然
になりまする
委員
は
大藏政務次官
、
大藏次官
、
日本銀行總裁
、この三人が
當然
の
委員
となります。それから
内閣
で任命いたしまする者は、
關係各省
の
次官
、
會計檢査院次長
及び學識經驗ある者、こういう
範圍
で
内閣
で任命することにな
つて
おります。この
總數
を合せまして二十二名以内で
構成
されることにな
つて
おります。尚學識經驗ある者の任期は三年でございまして、その他臨時必要のある場合は
臨時委員
を置くことができることにな
つて
おります。 尚この際附加えて申上げたいと思いますのは、實は現在できておりまする
預金部資金運用委員會
の
現状
は、實は舊來の貴
衆兩院議員
の方が、大分長年
委員
にお入りにな
つて
おる譯でございまして、その中には既に御退任に
なつ
た方もありますが、
政府部
内の
委員會
の
構成
と、立法府との
關係
から申しまして、この
法律
を御
審議
になりまするこの時期を切つかけといたしまして、全體の構想を
考え
ておる譯でございます。要するにこの新事態に既應いたしました
委員會
の
構成
ということにいたしたいと思います。
黒田英雄
7
○
委員長
(
黒田英雄
君)
ちよ
つとお尋ねいたしますが、この
法律
によ
つて
大凡
免除
されるものは、どれくらいのお見込でありますか。
愛知揆一
8
○
政府委員
(
愛知揆一君
) その正確なる調査は、實は御
案内
の通りに
指定
時におきまするところの、例えば直接
融通先
の
債務
の全部なり一部にいたしましても、昨年の八月十一日を
指定
時といたしまして、その後
評價基準
の決まりましたのは、極めて最近のことでございますので、正確なる
數字はちよ
つと
只今
のところ判明いたしておりません。ただ御
質問
に直接のお答えになるかどうか分りませんが、前の
議會
で御
協贊
を得ました
大藏省預金部等損失特別處理法
というものがございまして、それによりまして
運用資産
の
評價損
を、大
體金融機關
について決まりました
評價基準
によ
つて
、現在計算中でございますが、それによりますると、
運用資産
の
評價損
は、大體五十三億二千
萬圓
ぐらいではなかろうかというように
考え
られるのであります。
黒田英雄
9
○
委員長
(
黒田英雄
君)
序で
に
預金部
の
現状
を御
説明願
つたら如何かと思います。
愛知揆一
10
○
政府委員
(
愛知揆一君
)
預金部
の状況でございますが、大體昭和二十二年詰り本年の六月末の
貸借對照表
の中の主に
貸方
と
借方
とを申上げたいと思います。 第一に
貸方
の部でございます。
郵便貯金
が四百五十二億五千
餘億萬圓
でございます。
郵便貯金切手收入金
の
預金
、要するに
郵便貯金
の
切手
の
收入
でございますが、これが四億二千九百
餘萬圓
、それから
貯蓄債券收入金預金
が十六億四千
餘萬圓
、
報國債券
の
收入金預金
が六億四千四百
餘萬圓
、
簡易生命保險及郵便年金預金
、これが五十億三千六百
餘萬圓
、
厚生保險預金
二十八億二千八百
餘萬圓
、それから細かいところは省略いたしまして、
積立金
二十二億六千七百
餘萬圓
、
收支
の差額が七億二千三百
萬圓
、
貸方
の合計六百十八億五千四百七十二萬六千圓、
借方
で申上げますると、
國債證券
が四百四千七億四千六百
餘萬圓
、一
般會計特別會計貸付金
が二十三億八千五百
餘萬圓
、
地方債證券
が十二億千九百
餘萬圓
、
地方公共團體等
の
貸付金
が四十一億千五四百
餘萬圓
、
特殊銀行等
の
債券
が二十九億三千四百
餘萬圓
、
特殊銀行等貸付金
が十四億八千七百
餘萬圓
、
特殊會社等
の
債券
は二十一億九千
餘萬圓
、
特殊會社等貸付金
が六億六千八百
餘萬圓
、
外國國債證券
が二億
餘萬圓
でございます。それから
國外關係
の
債券
が十四億
餘萬圓
、
國外關係
の
貸付金
が三億二千九百
餘萬圓
、現金が一億三千二百
餘萬圓
、計六百十八億五千四百七十二萬六千圓であります。
黒田英雄
11
○
委員長
(
黒田英雄
君) 計は幾らですか。
愛知揆一
12
○
政府委員
(
愛知揆一君
) 計は
貸方
と同じでして六百十八億五千四百七十二萬六千圓です。
星一
13
○星一君
政府
は
預金者
に對する親切ということをどう
考え
ておるか伺
つて
見たいと思います。
預金
を奬勵してそうして、大きな
希望
を以て
國家
の
健全財政
を作る上からということて
預金
を奬勵します。その
預金者
に對して親切ということを
政府
は
考え
ておるか。
預金者
は
預金
した金が有效に
産業
に、
國家
の
健全財政
に
働き
をして貰えれば
預金者
も滿足することだ。併し
預金
をしたが今度その
預金
が
預金
をした當時の
購買力
よりも何倍も少ないものにな
つて
しもう。そうしてその
預金
が
國家
の
復興
が何かにどういう
働き
をしたかということを
預金者
は疑
つて
おる。一
體預金者
に對する親切ということは
政府
はどこに
考え
ておるのか。
通貨
が膨脹し
購買力
が少なくな
つて
おる、仕方でないというので、しまいには窮してしもう。この
預金者
に對する親切はどこにあるのか、いわゆる
國民
に對する親切、その
預金
に對する親切を聽きたい。そうして見透しを聽きたいと私は思います。今の
預金者
が
預金
をした時の
希望
のように行けるように、これからその
預金
を
運營
して行けるかということを私は伺いたいと思います。
小坂善太郎
14
○
政府委員
(
小坂善太郎
君)
預金者
に對しての
政府
の
考え
を聽きたいという
お話
であるまするが、申上げるまでもなく我々は我々の蓄積した
資金
によ
つて一つ國家
の
産業資金
を賄
つて
行こうという方策を最近立てました。これは今までのように、
政府
の
財政資金
によ
つて
すべて依存してや
つて
行こうということは、
預金
を助長することにならぬというので結局終戰後二年經ちましたけれども、この際新しい
生活基準
を
一つ
立てよう。そうして新らしく國を再建するのだ。そんな
氣持
で
國民
が各各
自分
の金を出して、その金で以て
政府
が必要なる
産業
を興して行く。
國民
が國を動かして行く。そういう
氣持
でやろうじやありませんかということを申して、今
貯蓄奬勵運動
を展開しておるわけであります。こういう
運動
をいたしますからには、これにつきまして、
政府
としてその
預金
の
價値
を保全するということは、これは極力いたさなければならんことは
當然
であります。で、これはただその保全すると言
つて
見ましても、非常に廣汎なるこの
財政金融一連
の
政策
と
關係
いたしまするので、我々といたしましては、大きく
健全財政
、
健全金融
ということを堅持いたしまして、その足の上に立
つて
一つインフレーシヨン
を撲滅するのだ。そうして我々の
資金
が結局
インフレーシヨン
を撲滅して
行つて
、そこに
預金
の
價値
が保全されるのだ。そういう
考え
でおるわけであります。こういう問題は、局部的な
一つ
の
奇手妙手
というようなことを
考え
まするよりも、結局
國民
すべてが
自分
らの力で以てこの國を興して行くのだ。いわゆる
國家再建
のために汗と耐乏の
生活
をして、そうして國を再建するのだ。そういう
氣持
が十分に盛り上
つて
初めて
インフレーシヨン
の克服ができるのだ。平凡な途でありまするけれども、これが大道であるというように
考え
ておるわけであります。極力
預金者
に對して
通貨
の
信用
を失わしめないような、いろいろ
封鎖
であるとか登録であるとかいうようなものの
信用
を傷けないような
方法
を取るということを
考え
ております。更にこういうことは先きの問題ではありまするが、一應この
インフレ
が安定したような
状態
になりましたときに、いわゆるデフレーシヨンということも
考え
られる。そういう際におきまして、
預金
の
價値
は保護するというようなことに
考え
られるのじやないか。そういうようなことをすることによりまして、
預金
に對する星さんのおつしやる親切ということを
考え
得るのじやないか。こういうふうに思われます。勿論いろいろな
手續上
の、サーヴイスの上の親切というようなこともございまするが、その
根本
の方針は、
預金
をした方の
預金
の
價値
をできるだけ減ぜしめないようにするということが
根本
であるというように
考え
ております。
星一
15
○星一君
お話
はよくわかつたが、
事實
はどうして行くのだ。今のは
説明
であります。その
説明
を實現するのにはこういう
方法
で行くのだということを次に話して貰いたいと思う。今は
政府
は竦んでおる。
事業家
も竦み、勞働者も竦み、今三つが竦んでおるような
状態
であります。これは私は強力でなければ、ものは結局成功しない。その強力によ
つて日本
の
復興
もできるが、その強力なところはちつとも
政府
にありません。例えば、或る
金融界
の人曰く、
復興金融金庫
は、
インフレ
を作
つて
おる
根源地
だとまで言われる程であります。もうできてから間もなしに五百五十億の
資金
を出して、それで私はまだ
不足
を言わないことにしてくれと願つたが、すぐ
不足
を言うことになると思うのです。ようございますか。ほんに強力に、金も強力に使うということが、金の
運營
が一向
政府
にわか
つて
いない。そこで私は外のことは言わんが、
預金者
に對して親切をこういうふうにしてするのだという
具體策
を、私は示して欲しいと思う。それと
序で
に
日本勸業銀行
は
農業
の
總元締め
の
銀行
と
思つて
お
つたの
です。併し
終戰後農業
に對してどんな金が出たか。どんなことをしたか。私にはわかりません。その點
日本
の
農業界
にどういう
貢獻
をしたいと
思つて
あれが出たかわかりません。
富籖々々
で、そうして
人民
が曰く、
百姓
が曰く、
勸業銀行
は
農業銀行
から
富籖銀行
に
變つたの
か。こう言うておりまするから、私はこの際に、若し今日わからんければ直ぐ調べて教えて貰いたいと思う。
勸業銀行
は
冨籖
によ
つて
得たる金をどういうふうに
使つた
か。その使途を書いたものをこの
委員會
に提出して頂きたいと思います。どうぞ明らかに
預金
に對する親切な見透しを、我々
預金者
に對して、
百姓
に對して、すべてに對して安心しろということの言える見透しを教えて頂きたい。それも今日ではなくて、書いたもので宜しうございますが、それと今の
勸業銀行
の
冨籖
、この
冨籖
で集めた金を何に
使つた
かということを教えて欲しい。これを私は
參議院議員
の一人として要求します。
小坂善太郎
16
○
政府委員
(
小坂善太郎
君)
貯蓄
を奬勵いたします際に、その
貯蓄
がいかように使用されておるか。又言葉を換えますれば、いかにそれが
國家
の
産業振興
に
貢獻
しておるかということを明示いたしますることは御説のように非常に必要だということは
考え
ております。
勸業銀行
の問題に關しましても、これは御
承知
と存じまするが、最近
相當
に
事業金融
の方にも金を貸出しております。それらの
實績等
に關しまして御要求がございますから、
資料
を揃えまして御提出申上げるようにいたします。
星一
17
○星一君 その
預金
を何に
使つた
という明示だけでは駄目だ、これからの見透しを、現
大藏省
の
意見
でようございますから、それは先に
行つて
間違うか間違わんか、それはよいから、ちやんと親切に
預金者
に
説明
のできる見透しを示して頂きたい。こう思います。
小坂善太郎
18
○
政府委員
(
小坂善太郎
君)
承知
いたしました。御
承知
のように現在まあ百三十億
預金
が集まつたといたしますると、その中、第一
封鎖
からの引出しが二十億といたしますると、百十億で、その中更に十億圓というものが
株式等
の直接投資に充てられると思います。そういたしますと、百億圓というものが純
資金
の
増加額
になる。この中の半分である五十億というものは
一般産業
の
融資
に充てます。更にこの殘りました五十億の中の二割、十億圓というものを
一般産業
の
枠外融資
に充てる。その殘りの四十億の二十五億
圓程度
を
復興債券
、あとを
地方債
の
債券
という方に振り向けるように
考え
ておりますが、星さんの御指摘の點は、更にそれがどういう方の
産業
に多く向けられるのかという點について、というふうに解釋いたしまするが、そういうふうに解してようございますか……そのように解しまして、いずれ又
資料
を差上げたいと思います。
星一
19
○星一君 私はその使い途の先よりも、
預金
の
購買價値
が減らないということでいいのだ。外のことは餘り詮議しません。その
購買價値
が減らないで
預金者
に有效でなければならん。今見ておると、
預金者
の
價値
を減らすような
方法
を
政府
は取
つて
おるように
人民
は
考え
ます、私も
考え
ます。
預金者
の
預金
の
購買價値
を減らしておる。持
つて
お
つて
は無
價値
になるのではないかと心配するような
政策
を現在
政府
は取
つて
おるように
人民
は疑い出す。その疑を解くことのできるような材料まで進んで呉れればいいと思うのであります。だから第一
政府
の
臺所
をどうするか。
政府
の
臺所
に對する合理的の
處置
も一向できていないから、このままで行つたらば、間違いなしに
預金
の
購買價値
は減るに決ま
つて
おる。そこでどうして今の
預金
の
購買力
を、
預金
の
購買價値
を減らさずに行けるかという
財政
をどうして取
つて
行くかということを私は聞きたいのだ。我々
國民
は今
眞劍
ですよ。それはこの前のヨーロツパの大戰爭からの不
景氣
に
なつ
た時期と、アメリカが大不
景氣
になり、
失業者
の一千
萬人
も出した時期に、今、
日本
は接近しておるようだ。それで非常に
國民
が心配しておるから、その心配を我々は
説明
のできるようにして行きたいと思う。お願いしますよ。
西郷吉之助
20
○
西郷吉之助
君 第
一條
の
災害等
の場合に
融通條件
の
變更
ということは、これは大部分は
免除
でありますがどうか。又これと關連いたしましてこの枠に
ちよ
つと出ますが、今囘の
災害等
の場合には、
復興
のために、
復興金融金庫
から
中小工業資金等
も
相當
出ておるのじやないかと思いますが、未曾有の
災害
のために到底その
債務等
も完全に果せないじやないかと我々は
考え
るのであります。そういうような際に貸
先きが金融機關
でありまするから
免除
ということはどうかと思いますが、その
復興
のために積極的に
條件等
を緩和して
中小工業資金
を出す
考え
があるかということについて、御當局の
考え
を承りたいと思います。
愛知揆一
21
○
政府委員
(
愛知揆一君
) 第一のお尋ねでございますが、第
一條
の
關係
で
債務
の
免除
までは
考え
ておりません。それは例えば
融通條件
の
變更
とか、
延滯元利金
の
支拂方法
の
變更
をしても、尚
且元利金
の
支拂
が不能であるというような場合も或いはあるかと思いますけれども、その際は今豫想しておりますよりもより一層重大な事項でございますので、
預金部資金運用委員會
の議を經てというよりもう一層愼重な
手續
でやるべきものだと思います。つまりその際は今一度
法律案
で御
審議
を
願つて
、そうして
債務
の
免除
を
考え
るべきじやないかとかように
考え
ております。それから今囘の
災害等
につきましては、私共も一昨日現場を早速視察いたしましたわけでございます。
現状
は金融的な
措置
ということになりますと如何かと思うのでありますが、全般的に申しまして全く
現状
の捕捉が困難でございます。今後やや事態が沈靜するに伴いまして御指摘のような事情も逐次判明して來るのではなかろうかと
考え
ております。できるだけのことは
考え
たい。尚この
法律案
によりして處理し得るようなことがございますれば、第
一條
によりまして
相當
の考慮が拂い得ると思います。これはすべて改組後の
預金部資金運用委員會
の議を經ましてや
つて
參るわけであります。 それから先程御
質問
がございました第
二條
の
關係
の
免除
の推定が分らないかという
委員長
の
お話
がございました。これは
只今
手許にございますものは
地方公共團體
及び
金融機關
に對する轉貸額の推定でございますが、七億百
萬圓
ございます。その中、
免除
しなければならんかと見込まれますものが大體一億四千九百
萬圓
、七億百
萬圓
に對しまして一億四千九百萬程度は
免除
しなければならんかと
考え
ております。
黒田英雄
22
○
委員長
(
黒田英雄
君) 如何でしようか。御
質問
ございませんければ或いは今日はこの程度にいたして……それでは本日はこの程度にいたしまして、次囘は二十六日金曜日の午前十時といたします。若し本會議がありましたら或いは午後に變えるかも知れませんが、大體午前十時ということにいたします。それでは本日はこれにて散會いたします。 午前十一時二十分散會 出席者は左の通り。
委員長
黒田 英雄君 理事 伊藤 保平君
委員
下條 恭兵君 玉屋 喜章君 西川甚五郎君 松嶋 喜作君 山田 佐一君 木丙 四郎君 櫻内 辰郎君 深川タマヱ君 星 一君 赤澤 與仁君 小宮山常吉君
西郷吉之助
君 高橋龍太郎君
政府委員
大藏政務次官
小坂善太郎
君 大藏事務官 (
銀行
局長) 愛知 揆一君