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政府委員(遠藤武勝君) 未復員の軍人、軍属の給與の
問題は大体三つに分れるのでございますが、
一つは未復員中の給料の
問題と、それから生きて帰
つて参ります者に対しましては、上陸地において帰郷する旅費を支給する
問題と、それから遺骨とな
つて帰
つて参ります人々に対しましては、その遺族に対して遺骨処理に関する給與をするという
問題と、大体三つに分れると思うのであります。その内今度の追加予算に計上しております給與改善の内容は、初めの
在外中の給料に関する
問題でありまして、上陸地からの帰郷旅費並びに遺骨処理のために遺族にお渡しする給與というものは大体現在のままでや
つて行くのであります。これは現在法制局で予算の法律案の審議中でありまして、近くその審議が終りましたら、議会に提案になると思いますが、大体予算に盛
つております骨子を申上げますと、
在外中の軍人、軍属に対します給料は、現在はこういう方法でや
つておるのであります。即ち戰爭中から軍人、軍属としてのそれぞれの階級に應じまして、その給與の規則に基いてや
つておりましたそのままの規則を今日まで続行して來ておるのであります。その内
家族を持
つておる者につきましては、御
承知のように内地では一般の官公吏の給與が
物價の騰勢等に関連しまして、
物價手当でありますとか、
家族手当の増額でありますとか、その外臨時増給とい
つたような全く臨時的な、附加的な増加給與がされたのでありますが、これを大体に
外地におります者の内、扶養
家族を持
つておる者に対しまして、大体このシステムが適用されまして、本俸は從來のままの給與でございますけれども、その附加給與が逐次なされて來ておるのであります。併しその附加給與がなされておりますのは、
在外者中、軍人でいいますと下士官以上でございまして、兵に対しましては給與がないのでございます。つまり昔のままの本俸だけなんであります。扶養
家族を持
つておりましても昔のままの本俸だけなんであります。それは軍人でも下士官以上は、一般官吏と大体同じ給與方法の
取扱いをして参
つたのでございますが、兵は官吏でない
取扱いをして來ておるのであります。從いまして先程申上げました扶養
家族に対しまする附加給與は、官吏に対して実行されました
関係上、兵には適用にならずに來ましたために、兵中扶養
家族を持
つておるものも取残されまして、何らの周囲の
状況の変化に應ずる給與の変化はなく今日に來ておるのであります。この
状態というものは、申上げるまでもなく非常に不合理でございますので、実は終戰後大体復員の見透しというものが或る
程度計画が立つような時期になりました昨年の初め頃から、この
問題の改正に着手して参
つたのでございますけれども、いろいろな
関係から非常に延びまして、今年の大体春くらいになりまして先ず改正の成案を得たわけでございます。その改正の内容は、この現況に対しまして、本俸は從來の階級差に應ずる本俸を全部廃めまして、一率百円にしたのであります。全部百円、それから扶養
家族を持
つておる者に対しまするいろいろな附加給與は全部廃めまして、
家族手当一本にいたしまして、
家族一名に対して百五十円という給與にしたのであります。でございますから
家族二名を持
つておる者は、百五十円の二倍の三百円と、本俸百円というものが月の受領すべき
金額になるわけでございます。これは階級差なく、全部に本則的に決めたのであります。ところが從來の規則によ
つて受領しておる者が、この新らしい制度を施行します場合におきまして、その
金額に比べて見ます場合におきまして、從來貰
つた方が高いということがあるのでございます。それは
家族の数によ
つて違いますけれども、大体において下士官、伍長以上
家族教の少いときには從來のままの方が多いのであります。といいますのは、
家族手当が百五十円というので、從來よりは
金額が多いのであります。
家族数が殖えると
金額が殖えて参りますので違
つて参りますけれども、
家族一名というような場合には、伍長以上の者は現在
貰つておる方が多いのでございます。そこでそういうものにつきましては、理屈はいろいろあろうと思いますけれども、給與の取扱の建前からは、現在すでに支給しておる給與額というものを減すということは適当でない、こう思いまして、新たな方法による給與額より以上、從來
貰つてお
つた者があ
つたとすれば、從來の額をそのまま支給するということになるのであります。建前は前言いいましたように一率主義でございますけれども、現状に應じまして、從來の額を減少させないという趣旨で決めておるのであります。尤もその中独身者、つまり扶養
家族を持たない者、独身者ばかりではございませんが、要するに扶養
家族を持たない者につきましては、これは全部百円でございます。でございますから從來五百円
貰つてお
つた、例えば將官でございましても、扶養
家族のない者は上下の区別なく一律に百円ということになります。それが大体現在の給與の改正の骨子であります。
それからどういうような方法で支給するかという
問題になりますと、支給方法としましては、つまり帰
つて來た時分にやるのか、毎月留守宅にやるのかという
問題であります。独身者に対しましては、帰
つたときにやります。それから扶養
家族を持
つておる者に対しましては、留守宅のその扶養を受くる者に
家族手当をやるのであります。つまり兵で申しますと一月
家族手当が百五十円でございますから、二名
家族があるとしますと三百円になりますが、三百円と本俸が百円あるわけでありますけれども、留守宅渡しはその三百円だけを留守宅渡しにいたします。そうして本法の百円は帰
つたときに渡す、こういう方法を採るのであります。ただ從來の留守宅渡しがこれ以上あ
つた者に対しては、從來の額をやる。さつきのことと大体同じでありますが、それ以上をやるということになるのであります。それを支給しますのは、留守宅渡しをしますが、毎月実は支給するのがいいと思いますけれども、これに担当します人間の手の
関係もございますし、又送ります経費の
問題も実はあるのであります。経費と申しますと、非常に小さいようでございますけれども、最近の郵便料、それから用紙類その他を
考えますと、沢山の数になりますと可なりの
金額になります。為替、書留料を加えますと可なりの
金額になるのであります。人員の手の
問題、そうい
つた経費の
問題等をも
考え合せまして、大体三月に纒めて送るという方法を採るつもりであります。現在、といいましても今年の七月からこの方法を実行するという案で予算を組んでおりますが、七月の初め現在で、留守宅渡しをしてお
つた件数は約十万でございましたが、この新制度を採りますと大体四十万前後になるだろうという見込をつけております。これは現在具体的に
調査をしておりますが、まだはつきりした結論が出ませんが、要するに
計画から申しますと、十万が四十万になるのであります。つまり留守宅渡しの件数は四十万になるということであります。その他の帰郷旅費並びに遺族にお渡しする
金額というものも、帰郷旅費は三百円、遺族に渡しますのは五百八十円でありますが、これを改正しなくて、手を着けなくていい
状態では決してないと思うのでございますけれども、いろいろな
関係上今回はその給料、給與額の
引上げということで、改正の
問題としてはそこまでやらないでおるわけでございます。