○
政府委員(
大野連治君)
只今の御
質問についてお答え申上げます。御
質問の内容が多岐に互
つておりまして、私だけでは御納得の行くように御
説明できない点もありますが、それらは
関係方面に連絡いたしまして、その
方面からお答えして頂くように取計らいたいと思います。
只今この
樺太、
シベリヤ方面からの
引揚げ者、これがこの冬に向いましていろいろ困難を嘗めるであろう、それに対してどういう
処置対策を持
つておるかという
お話でございました。第一の
問題は
住居の
問題でございます。誠に戻
つて参ります者の中、身寄りのある方はそれでも結構でありますけれども、
寄辺のない
方々は全く住むべき家という
問題については、深刻な悩みを感ぜられるのであります。最近帰
つて参ります者は、御
承知の
通り函館においては
樺太からの帰還する者、それから舞鶴におきましては
シベリヤから帰
つて参ります者をお迎えしておる次第でありますが、
シベリヤから戻
つて参ります者の大部分は
軍人でありまするから、まあこの
方面はそれでも大体帰るべき家を持
つておられるのでありますが、
樺太から帰られる方方の中には
寄辺のない方も
相当あります。又
寄辺はないこともないでありましようけれども、そこは到底数人の家族を引連れて頼
つて行くというわけにも行きかねるという氣の毒な方も沢山あるのであります。第一に
心配されるのはそういう方の落着くべき先であります。こういう
方々は誠にお氣の毒な
状況でありまして、どこでもいい、どこでも結構である、
自分たちの落着くべき
場所さへ探して呉れるならば、
場所は決してとやかく希望がましいことは言わないという誠に愼ましい考でおられます。何とかしてこういう
方々を收容する施設というものは講じなければならんものであります。大体この
住宅の
問題につきましては、
所管は
戰災復興院の
所管でございまして、
戰災復興院が
引揚げ者或いは戰災者その他
一般の
住宅不足に対処しまして、
計画は立てられておるのでありますけれども、
援護院といたしましては、とにかく多数の者を一時に
上陸港にお迎えする、そうして一
應上陸港における
應急收容所に收容するのでありまするけれども、次々に戻
つて参りますので、長く滯留されてしま
つた日にはそれこそもう手を上げる他はないのでありまするから、これは人事として手を束ねるというわけには参らんのであります。その中に特に
函館がこの
問題については非常に
心配であります。兵隊さんでありますれば先程も申しました
通り、それぞれ故郷に帰られるのでありますけれども、
樺太からの多数の
引揚げ同胞を迎える
函館におきましては、落着く先というものを
考えない場合には次々に滯留してしまいまして、どうしてももう收容しきれなくなるという
状況に立至るのであります。こういう次第でありまするので、
住宅問題は
復興院の
所管ということにはな
つておりまするけれども、特にこの多数の
一般邦人の
引揚げを迎えるこの北海道及び
東北方面につきましては、これは特別の
措置といたしまして、
関係当局にも
了解をつけて
援護院といたしまして
措置を講じておる次第であります。
本年は大体一億円の予算を以ちまして北海道及び東北六縣に分散いたしまして、大体元の軍の施設の貸下げを受けましてそこに適当な間仕切をつけ、台所、便所等の設備をつけまして、この落着く先のない、宛のない
方々の收容に充てておるのであります。大体一億円の予算を以ちまして、三万人
程度は收容できるのではないかと思うのであります。その他の
方々は何とか落着く先が、
寄辺というものが見出しうる方でありまするので、一應まあそこへ落着いて貰うという建前にしております。目下資材の割当等も特にこの國全般として苦しいようでありまするけれども、こうい
つた事情にありまするので私共のこの三万人だけの施設につきましては、全部資材の割当を受け、それを
現地に送
つております。逸早く施設にかか
つたところのものはすでに完成を見つつありまして、その目下着手しておるところもあるのでありまするけれども、この分だけは必らず年内に間に合うように、私共としては
努力もし又可能であると
考えておる次第であります。帰
つて参ります者の次の悩みは
寝具その他
炊事道具等の
問題であります。
樺太からの
引揚者の中最初に帰
つた者は、様子を聞いて見ますと、まだそれでも
相当荷物は持
つて帰られたようであります。あとにいく程
状況は惡くな
つて参
つております。最近帰
つて参
つております
方々などは、持物とては、全くもう初と比べて見ますと比較にならぬ程少いという氣の毒な
状況にあるのであります。
内地に落着きまして、先ず
寝具というものは、極めて必要欠くべからざるものであるのであります。去年は越冬用の施策といたしまして、
寝具七十万組、毛布百五十万枚を用意いたしまして、配布いたしたのであります。今年は去年の非常に手遅れの
状況に鑑みまして、この四月以來この
問題につきましては力を注いで参
つたのでありまして、大体本年度中に引揚見込みの
一般邦人は約十二万五千世帶というふうに計算いたしておりまして、この十二万五千世帶に対しまして、去年と同じ標準で
配給するよう手配をいたしております。この中去年と違いましたやり方は、去年は全部非常に手遅れにな
つてしまいまして、府懸を通じて
配給いたしたのでありますけれども、今年は
寝具だけは府縣を通じてやはり
配給するようにいたしておりまするけれども、毛布は幸いに
相当用意がございますので、
上陸地において支給し得るように手配をいたしておるのであります。
寝具は大体有償が原則でありまするけれども、
生活に困
つておる家族の
方々は、
生活保護法の適用を受けるとともに、これは無償で
配給が受けられるということにな
つておるのであります。
生活扶助を受けておらなくても、何しろ公定價格とい
つても
相当高いのでありますから、とても購入費が支出できないという氣の毒な方もあるのであります。これらにつきましては、非常に
問題はむずかしいのでありまするけれども、私共といたしましては、或る
程度までは何とか救わなければなりませんので、一時的に、これはまあ
関係当局との折衝の
問題でありますが、一時的にでも
生活保護法を適用することによ
つて、無償、或いは國から補助するという形でやりたいと思
つております。去年
程度のやり方は。今年も引続いてやりたいというふうに
考えております。尚毛布につきましては先程申上げました
通り、今年は
上陸港において支給するという建前をと
つておりますけれども、これは御
承知の
通りすべて無償
配給でありまするが、他に有償分として二十万枚手に入る見込みがつきましたので、これは府縣を通じて支給する、
配給するというように手配をさせております。
寝具に次で
鍋釜等の
炊事道具、それから肌着等の衣類というようなものが、やはり冬を迎えてどうしてもなくてはならぬものであります。去年は七十万世帶を目途といたしまして、應急家財特別
配給の名の下に、そうい
つたようなものをお配りしたのであります。今年は残る二十万世帶を目途といたしまして、予算はすでに一世帶分五百円、二十万世帶分一億円というものを頂いておりますので、これを以てやろうとしておる次第であります。私共最近この
問題についてちよつと
心配いたしましたのは、公定價格が非常に値上りになりまして、これで以
つて果して去年と同じようなことができるかどうかということが
心配でありましたが、各府縣に照会いたしましたところ、幸いなことには昨年の手遅れに鑑みまして、今年は非常に早くから現物の入手に努めまして、大体が公定價格の値上り前に手配が済んでおりまするので、この
問題も昨年と同
程度には間違なくできる見込であります。
燃料の
問題は非常にむずかしい
問題だろうと思います。
樺太からの
引揚者が、特に寒い東北、北海道に落着かれますので、こういう方の燃料の入手は非常に困難だろうと思います。唯この燃料の
問題につきましては、現在のところ、特別に
引揚者の方にのみ特別に厚くということには、ちよつと参り兼ねるのではないかと思いますが、
一般配給基準によ
つて配給せられる以外に、特別の手配をいたすということは参り兼ねるのではないかと思います。唯併し燃料費というものも嵩みますので、この
問題が厄介でありますが、
生活保護法の
所管当局と連絡いたしまして、殊に寒地における
生活保護の
問題につきましては、
相当燃料費が嵩むということを
考慮して、至急して貰うようにというように話をつけておるのであります。
それから、
生活保護法の適用を受ける者に対して、敏速に適用を受けられるように始末して貰いたいという御要望でございました。誠に
生活保護法の適用を受ける家族というものは、実際その日その日の
生活にもすぐに差支える
方々でありまするから、手遅れにな
つてしまいましては、非常に困るのであります。そこで実は引揚港の所在地におきまして、大体の
状況を尋ねまして、この
方々は收入その他の点からしても、迚も
生活保護法の適用を受けなくてはや
つて行けない方であるという見極めがつきますと、大体その引揚港にあります
援護局長の名前で、特にこの方は
生活保護法の適用を受くべき方と認められるから、早くや
つて貰いたいということを、落着く先の地元の町村長に宛てて手紙を持たしてやるというやり方にいたしたのであります。ところがこれは先頃御注意を受けまして、ちよつと意外だ
つたのでありますが、余りそのことが励行せられておらないという。
從つて生活保護法の適用を受けるのが遅れるという御注意がありました。早速通牒を発しまして、こういう御注意があ
つたから、間違いないようにということを通知をいたして置きました。最近は余程前とは改まりつつあると存ずる次第であります。
その外に文部省の
関係の
問題がございます。
学生の
轉入学の
問題と、
上陸地における國内
事情を知らせるという
問題でございます。これは私は実は詳しいことは分りませんので、文部省当局にお答えを願わなければならんわけであります。この
上陸地における國内の
状況を知らせるという
問題は、文部省から係官が各
上陸地に派遣されておりまして、実施せられつつあると存じております。詳しいことは文部省当局からお答え願うようにいたしたいと思います。
学生の
轉入学が非常に困難だということでございました。これも原則的には
援護院と文部省との話し合いで、
引揚者に対しては特に便宜を図るということの取極めはいたしておるのでありますが、個々の具体的な
問題になりますというと、或いは收容すべき教室が少いとか狭いとか何とかいうようなことで、そうい
つた困
つた問題が起
つておる地方もあるかも知れんと思うのであります。これらについても詳しいことは文部省当局からお答え願うべき筋であるとは思いますけれども、
只今御注意がありましたので後刻再び文部省の方とお打合せしたいと存じておる次第であります。