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1947-10-04 第1回国会 参議院 国土計画委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    付託事件 ○戰災都市復興計画事業費補助金増  額に関する陳情(第三十六号) ○秋田縣米代川並びに阿仁川改修速成  に関する請願(第八号) ○全國主要道路の整備に関する陳情  (第六十九号) ○小名浜港修築に関する請願(第十八  号) ○廣島縣下砂防工事緊急実施に関す  る請願(第十九号) ○鈴鹿川改修の復活及び建設省設置  に関する陳情(第八十八号) ○長野縣茶臼山地辷り対策並びに岡田  川改修工事に関する請願(第三十  号) ○新潟長野縣下地辷り対策並びに  砂防工事実施に関する請願(第三十  一号) ○福岡縣英彦山一帶國立公園指定に  関する請願(第三十二号) ○正法寺川砂防工事続行に関する請願  (第三十五号) ○長谷川砂防工事に関する請願(第四  十号) ○イラスケ川砂防工事に関する請願  (第四十一号) ○千曲川及びさい川改修工事に関する  請願(第四十二号) ○郷川並びに城川の砂防工事に関する  請願(第四十四号) ○黒瀬川並び中川改修工事に関する  請願(第四十五号) ○賀茂川改修工事に関する請願(第四  十六号) ○常願寺川改修速成に関する請願(第  四十九号) ○上下水道普及國策の樹立とその監督  機構の統合に関する請願(第五十  号) ○最上川災害復旧工事促進に関する  請願(第五十一号) ○酒田港の災害復旧開港並びに海上保  安基地の設置に関する請願(第五十  二号) ○旭川改修工事促進に関する請願(第  五十三号) ○霞ケ浦北浦治水工事に関する請願  (第五十七号) ○廣島縣嚴島町の災害復旧工事に関す  る請願(第六十一号) ○最上川本支流改修工事に関する請  願(第六十三号) ○馬見ケ崎川砂防工事に関する請願  (第六十五号) ○砂防行政の一元化に関する請願(第  六十八号) ○砂防事業補助費増額に関する請願  (第六十九号) ○岩國港開港場指定に関する請願  (第七十号) ○岡山縣下砂防工事に関する請願  (第七十五号) ○呉市河川砂防工事施行に関する請  願(第七十七号) ○鳥取縣小田川、荒金川の砂防工事に  関する陳情(第百二十七号) ○徳島縣小松港改良工事に関する請  願(第八十号) ○徳島縣小松港開港に関する請願  (第八十一号) ○犀川流域砂防工事促進に関する請願  (第八十五号) ○吉井川下流改修工事費増額に関する  請願(第八十九号) ○岩手縣南地方水災害対策に関する  請願(第九十一号) ○表六甲山系治水事業促進に関する  請願(第九十六号) ○濱坂港湾修築に関する請願(第百  号) ○神崎川下流防災工事予算増額並び  に尼崎港改良計画実施促進する  ことに関する請願(第百一号) ○五十里えん堤の築設促進に関する陳  情(第百六十六号) ○鈴鹿川水系砂防工事促進に関する陳  情(第百七十七号) ○山陽國道改良促進に関する陳情(第  百八十五号) ○今次秋田縣下水害地区復旧速進に  関する陳情(第二百十号) ○肱川治水工事促進に関する請願(第  百十五号) ○大山國立公園地域拡張に関する請  願(第百二十号) ○旧老津飛行場誘道路下流地区一帶の  砂防工事に関する請願(第百二十三  号) ○瀬戸市附近砂防施設実施に関する請  願(第百二十四号) ○愛知縣下砂防事業費國庫補助金増  額に関する請願(第百二十五号) ○逢妻川上流砂防工事に関する請願  (第百二十六号) ○兵庫縣柴山改修工事に関する請願  (第百二十九号) ○藏王川砂防工事に関する請願(第百  三十号) ○大谷川砂防工事に関する請願(第百  三十一号) ○水無川砂防工事促進に関する請願  (第百三十四号) ○木曾川上流改修工事に関する請願  (第百三十六号) ○信濃川の堤防工事促進並び建設省  の設置に関する請願(第百四十九  号) ○鳥取縣下砂防工事に関する請願  (第百五十二号) ○江合、鳴瀬及び吉田三川改修工事に  関する陳情(第二百五十一号) ○清水港、甲府市間を國道とすること  に関する請願(第百五十七号) ○清水港修築に関する請願(第百五十  八号) ○新潟縣西頚城根知村、長野縣境の  地辷防止工事を急施することに関す  る請願(第百五十九号) ○下津港開港指定に関する請願(第百  六十二号) ○荒川改修工事に関する請願(第百六  十五号) ○高橋川外河川並びに二河口砂防工  事に関する請願(第百六十七号) ○村松沢その他河川砂防工事に関す  る請願(第百六十八号) ○利根川改修区域銚子河口まで延長  することに関する請願(第百九十一  号) ○千葉縣内砂防工事施行に関する請願  (第百九十二号) ○島根縣昭和十八年風水害復旧耕地  事業補助金増額に関する陳情(第二  百六十四号) ○宮谷川砂防工事費國庫補助に関する  陳情(第二百六十六号) ○呉市河川砂防工事施行に関する陳  情(第二百七十号) ○山陽國道改良促進に関する陳情(第  二百七十六号) ○千代川砂防工事に関する陳情(第二  百八十四号) ○馬見ケ崎川改修工事に関する陳情  (第二百八十八号) ○大森、正光両川砂防工事に関する  陳情(第二百九十六号) ○山口縣下道路改修工事に関する請  願(第百九十六号) ○縣道手謙南関線改修工事に関する請  願(第百九十八号) ○川治川砂防工事に関する請願(第二  百号) ○今次山形縣下水災害復旧費全額  國庫負担とすることに関する請願  (第二百四号) ○旭川改修工事に関する請願(第二百  八号) ○重信川改修工事に関する請願(第二  百十一号) ○蘆田川改修工事に関する請願(第二  百二十四号) ○天龍川堤防復旧工事施行に関する請  願(第二百二十七号) ○今次秋田縣下水害地区復旧に関す  る陳情(第三百二号) ○迫川改修工事に関する陳情(第三百  六号) ○荒川落堀改修工事に関する陳情(第  三百九号) ○愛知縣内海岸堤防改修に関する陳  情(第三百十号) ○阿武隈川その他の河川改修工事に関  する陳情(第三百十号) ○迫川改修工事に関する陳情(第三百  十七号) ○笠岡港修築に関する陳情(第三百三  十三号) ○利根川水系改修工事に関する陳情  (第三百三十四号) ○今次岩手縣下水害復旧策に関する  陳情(第三百四十七号) ○北利根並びに常陸川改修工事に関す  る陳情(第三百五十一号) ○今次秋田縣由利郡下川村の水害復旧  費全額國庫負但その他に関する陳情  (第三百五十四号) ○大分縣下河川砂防工事に関する請  願(第二百五十九号) ○野田川砂防工事施行に関する請願  (第二百六十一号) ○加古川中流改修工事に関する請願  (第二百六十三号)   ————————————— 昭和二十二年十月四日(土曜日)    午前十時三十八分開会   —————————————   本日の会議に付した事件水害対策に関する件   —————————————
  2. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) それではこれから委員会を開きます。昨日の決議によりまして片山総理安定本部長官に來て貰うことに段々手筈をしましたがちようど安定本部長官は御旅行中で、いらつしやいませんからして、安定本部長官がいらつしやらない以上は何だか十分意見を承ることができませんから、安定本部長官がお帰りなつたら昨日の問題に関する委員会を開きたいと思います。どうか御了承願います。固よりそのときに総理にも來て頂きますから、その点御了承を願います。  それから次にお諮りしたいことは、この間の自由討議の際にも、この水害利根川堤防に対する査問会を開いたらどうかという御意見もあつたくらいでありますから、若しも参議院査問会というようなことが起ればよし、それがないとするならば、この委員会としましても、今後の水害根本策を立つるのみならず、利根川決壊に対して、いろてろなことを言われておりますからして、それを根本的にどれが惡かつたとか、或いは内務省の手落ちであるとか、或いは都の手落ちであるとか、そういうことも今後のために十分調査する必要はないか、こう思つたのでありますが、これに対して皆さんの御意見を承りたいと思います。
  3. 石坂豊一

    石坂豊一君 只今の第二段の査問会云々の件については、これは後で意見を又開陳せられる方もございましようし、私は昨日の委員長GHQからの御報告に基きまして、委員全体が総理安本長官出席を要求するという決議になつておりますから、そこで委員長は、安本長官旅行でいない以上は総理大臣を呼んでも意味をなさんという御意見を交ぜての話でありますけれども、私共は安本長官はいない以上、我々は議会運営の重大なる根幹に触れておる問題であるから、是非とも一つ総理大臣出席を要求して、総理大臣のこれに対する所感を聽いた上で処理しないというと、如何にも議会運営というものは空廻りしておるということになりやせんかと憂慮するのでありますが、その点に対して皆さん一つお諮り下さいまして、安本長官一緒でなければならんということでなくて安本長官安本長官として、安本長官GHQの内部的の交渉がかように、進展して來ておるものとは考えますけれども、それにしても如何にも事柄が重大でありますから先ず以て総理がこれに対して如何なる考を持つておるか。これでいいのか。但しは又止むを得ないで、自分の力ではいかんというのか、或は又自分が知らん中に起つておるのか、それらの点について十分総理意見戰わして見なければいかんと私は考えます。総理は現に旅行も何もしていないのです。一つ総理出席を要求するという昨日の決議を私共はどこまでも飜さぬ考えでおります。どうかそのことを諸君にお諮りを願いたいと思います。
  4. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 今石坂さんから御意見がございましたが、これに対する御意見のある方は……
  5. 中井光次

    中井光次君 昨日のお話総理の御都合によつて時間を定めるということになつておりましたから、総理は出られるというのでしたら、今石坂さんのお話のあつたようにその時間にお開きになつて、そうして委員長は昨日の御体驗に基く事柄総理に篤と明瞭に叩き込んで、一應御意見を承ることがいいのじやないかと私はそう思つております。皆さんその積りで実は今日御参集になつたのだと思います。
  6. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) そのことにつきまして昨日大分総理出席の時間を折衝して見たのですが、今日はどうも時間の都合がつかないというお話があつたのです。それで止むを得ず総理は今日出られない。止むを得ぬものだと思つたのであります。随分折衝しました。委員部の方から……
  7. 大山安

    大山安君 只今石坂さんのは総理意見を先に聽くということがいいだろうというような意見に聽きましたが私としては安本長官と同時に御招請して御意見を尋ねた方がいいと思います。というのは、そういう私の持つておるような卑屈な考は持つていないでしようが、或いは一人々々という場合には或る趣旨について打合せられるというような疑を持つておるような訳でありますが、直接に同時に招請してそうしてお尋ねして見たいというような考を持つております。
  8. 石坂豊一

    石坂豊一君 私は安本長官総理と御一緒ということは、これは願つたりかなつたりで、これに越したことはありませんが、安本長官がいないから、総理も出て來ないでいい。これではいかん。これは先決問題としては、内閣の重要問題であり、又議会の非常に重要な問題であるから、内閣を代表する総理に來て貰つて、この問題の経過をよくお話になつて、そうしてこれに対して総理如何なる考を持つて処理しておるのか。それを聽くのが必要であるから、安本長官一緒に來て呉れれば、これ程いいことはありませんけれども、安本長官の來るまで、待つというような問題ではなかろうと思います。それは総理は、総理として出席を要求することは当然のことではないかとこう考えます。只今の御説に決して反対ではないけれども、安本長官が出ないときは、総理にも出席が要求できんということではいかんと、こう考えます。
  9. 中井光次

    中井光次君 今の委員長お話では総理は出る御都合がつかんということですね。
  10. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) それも折衝したのです。二時頃まで私は折衝したのであります。
  11. 高田寛

    高田寛君 安本長官は何時頃帰つて來るのですか。
  12. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 來週帰つて來る。総理來週月曜か、火曜なら都合がつくそうです。
  13. 高田寛

    高田寛君 今日は御都合がつかんというなら止むを得ませんが、來週安本長官帰つて來次第、二人揃えてこちらへ呼び、安本長官が遅れれば総理だけ來週月曜か、火曜かに呼ぶ……。
  14. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 如何でしようか、今御意見がありましたが、大体安本長官のお帰りも遅くないようですから、來週の月曜日か、火曜日くらいにお帰りになるならば、やはりお二人御出席の方が万事よかろうと思います。それでお帰りになり早々この問題を取計ろう。こういうことにしたら如何でしようか。
  15. 堀内到

    ○堀内到君 昨日決議されたことは、大体首相に出て貰うことであつて安本長官に出て貰うということは附加條件であつたと思います。
  16. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 昨日それがありましたのです。
  17. 島津忠彦

    島津忠彦君 昨日の委員会で決定したのは、総理が主であつて、今の御意意のように安本長官は、附けたりということのように承つてつたのであります。総理大臣の御都合が惡ければ、できるでけ早い機会に、御都合の宜しい時を待つて出席頂いて、若しその時安本長官が御都合よければ來て頂く。又御旅行中でお帰りがなければ、お帰りを待つていてもいいのですが、安本長官にこの委員会に來て頂くことは主でないのじやないかと思うのですが。
  18. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) それは最初には、安本長官を呼ぼうということを申しまして、それから段々皆さんの御意見があつて総理ということになつたのです。そういうことを考えても、安本長官を無視していたということはなかろうと思います。安本長官もこれに直接関係があるのですから、実際の眞相は、安本長官に來て貰わん以上分らんかと思います。その意味で、昨日の決議通り総理と、安本長官お出で願つた方がよくないでしようか。
  19. 岩崎正三郎

    岩崎正三郎君 それが理想でしよう。
  20. 石坂豊一

    石坂豊一君 それはお話通り安本長官総理と揃うて出る方が話がよく徹底しましようが、併しこれは單なる内輪相談ではないのでありまして、委員長みずからが……。
  21. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 速記を止めて
  22. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 速記を始めて先の調査の問題はどうしますか。
  23. 岩崎正三郎

    岩崎正三郎君 査問委員会と仰つしやいますが……。
  24. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) それはこの委員会から査問委員会を作ることはできません。もとよりそれは参議院の問題ですから……。けれどもこういう事態が起つた場合に、その直接の原因研究すると、これは事態がはつきりとする。又今後かかる場合のあつた際に非常に参考にもなりはせんかと、そういう意味査問委員会は決して惡いとは思いません。これは私は必要であると私個人は思いますが。それは別として若しも査問委員会というものがないならば、國土計画委員会としてもやはりそのことを調べて行く必要があるのじやないか、こういう問題を諮つておるのであります。
  25. 岩崎正三郎

    岩崎正三郎君 査問委員会参議院として作るならば我々はどうでもいいけれども、参議院が作らない場合にはこの委員会で作れという……。
  26. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) この査問委員会でなしに、調査小委員会を作る、そういう意味です。直接の原因調査であります。
  27. 岩崎正三郎

    岩崎正三郎君 どつちにしても、今の國土計画としてはもつと実質的調査を行う、今までの参議院視察というものは大体應急の視察だ多く、その根本視察が割合少いと思います。やはり参議院國土計画委員会としてもつと突つ込んだ治山治水を主体として調査する必要がある。それにからんでやはり今の査問委員会的なものを一緒にしたならば結構だと思います。
  28. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) ちよつと申上げますが、この水害原因としまして森林の濫伐とか、或いは砂防が不十分とか、或いは河川工事が十分でない、これはもうよくいわれることであります。今いわないでもよく御承知の通りであります。私がここに申しました調査というのは、あの利根川決壊、綾瀬川の決壊、この直接のその場所の決壊の問題の調査なんです。
  29. 大山安

    大山安君 この参議院派遣されるところの趣旨が、視察というものもありますし、調査というような言葉も使いますが、これは調査という観念の下にその現場行つてやられておるのですが、これはどちらが本当なんですか。それを明瞭にして置いて頂きたい。調査視察では違うかと思います。それで調査として派遣する場合には、調査資料はその土地の府縣準備させるか、或いは本委員会において調査準備資料をあてがうかということにして貰いたいと思うのであります。それというのは、この國土関係は、どうしても農林厚生というようなわけには行かず、農林のごときは、例えば水害地に行きましても、見ればそれでこれはどの程度被害であるということで、調査も済むかも知れない。厚生関係にしてもこれは机上的に大体出て來る。併しこの國土関係から調査をするというときには、実際に現在までの施工法調査しなくてはならん、又緊急対策上の、施工上のことについてのことも研究しなければならん、又將來においての研究もして來なければならんというように、極めて重大な派遣委員になるのでありまして、それを調査派遣するとしても、何らの資料も與えられない。私どもは縣廳行つてその資料を得んとする場合に、まだ二、三ケ所しか派遣されておりませんが、何らの材料がない。ただ見て來るばかりである。何も調査資料がない。図面準備してくれないか、或いは大体の資料を、或いは損害の状況とかその他の必要資料を頂きたいという場合にはいずれも準備していないのであります。これらは自分としては非常に遺憾と思いますし、又満足調査もできない。ただそれこそ大名旅行というような意味に当ることになるますから、十分に準備して、地方縣廳にそれだけの準備をさせてくれるか、或いは派遣当時にこちらで大体の図面その他の資料をあてがつて、そうして調査すべしというような、完全なるものにして頂きたいという希望を持つておるのであります。さもない限りには、到底満足調査はできないということを私は感銘して來ました。それを満足調査せんとする場合には、無理なことも言わなくてはならない。從つて地方廳などではあまり喜びを以て迎えてくれないというような実情に、実際にはなるのであります。だからこの点十分委員長は御思案して頂きたい。
  30. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) これは東北の水害に際して私がこの委員会で申した通りに、今までの例によりますと、交通が不自由であるとか、その他の関係で、水害直後に行つても、そう十分な調査は実際できるものではない、こういう氣がするのです。しかし災害の概念的の状況視察するには水害直後の方が水の出る恰好もよく分りますから結構でありますが、しかし根本的の原因調査ということは、なかなか水害直後に行きましてもお分りにならないというような、こういうような氣が日頃しております。そうして今お話水害直後にこちらから行く時に、十分な図面のようなものでも予め参議院として用意するようにと仰しやいますが、実際問題として、これはちよつと無理じやないでしようか。
  31. 大山安

    大山安君 しかしこの道路河川治水、排水ということは、実際に当つと、その場によつて研究するということは有效かと私は思います。例えば破堤した場合に、それを竣立した上において行つて見たときは、なんら眞理を得ることができないというような條件があろうと思います。しかし破堤の場合に、これはどういう欠点があつて破堤されたかというのが実際かと思います。その他旱上つたり、或いは水中にあるというような場合には、これは机上に過ぎないという今観念をもつております。眞の調査という場合には、水があつて、ここが調査でき得ないという場合は、一日、二日は仮りに滞在しても旱上がるのを待つて完全に調査するということが私の氣持であります。從つて十分な調査し得ないというような氣持はあり得ない。そういう氣持ではこの國家は、國土はどうなりましようかというような極めて深い考を私は持つて派遣されて行つた場合の氣持は、そういう氣持であります。それはできないという、現在実際に破れたところを実際に拵えたところででき得ないというようなことはあり得ないものと私は思います。机上より完全なものであるというような方針で私は調査にかかりますから、そのつもりで委員長みつしりして頂きたい。
  32. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) それは結構であります。ただ私が申しましたのは、私の誤解か、私の言葉の言い誤りかも知れませんが、調査現場において調査することはもとより必要であります。ただしかし與えられた期日に、今お話通りに一日、二日はよし延ばされても災害の各個所において調査を一一するのはなかなかそれこそ大変な日にちが要りまして、とてもこの委員会がそこへ行つてやるということは、それは事実不可能じやないかと思います。ただそれだけのことです。
  33. 大山安

    大山安君 しかしその程度まで研究もし、実際に骨を折るということでなければ意味をなさないじやありませんか。
  34. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) それは非常に要望する点でありますが、そうしておれば殆どこの委員会がもう一年中地方行つて、ここにおる日にちはないくらいになります。
  35. 大山安

    大山安君 それは止むを得ないでしよう。國家のためには二十人くらいの人は、これは完全な國土計画を図らんとする場合には、形式に過ぎないかと思いますが、委員長のような氣持では……。
  36. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 私はやはりここにおつて……。
  37. 原口忠次郎

    原口忠次郎君 私遅く参りまして申訳ないのですが、今の御議論の中心はどういうことなんですか。
  38. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) ちよつと速記を止めて下さい。    午前十一時六分速記中止    ——————————    午前十一時二十二分速記開始
  39. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 速記を始めて。では如何でしようか、原口さんのお話もありますが、現地の役所関係の人が水害原因を直接調査し得るような事実のできた時に、この委員会としてもそれとよく関係を持つて直接の原因研究調査する。そういうことに取計つて如何でしようか。
  40. 岩崎正三郎

    岩崎正三郎君 直接の原因ということですね。やはりこれも原因でしようけれども、やはり利根川がそこまで溢水する程の雨が降つたということばかりじやないということも原因があるだろうと思います。実は私は利根川の右岸の方ですが、こつち側の諸君に言わせると、利根川が切れたので助かつたというんです。だからそういうことを片方の諸君が逆なことを考える程、利根川治水工事に間違いがあるのじやないか。利根川のあそこが切れなかつたらこつちが切れたのじやないか。利根川のあそこが切れたから助かつた。とに角相当被害を被つておるのでありますが、ただそういうことも直接の……鉄橋とかそういうことばかりじやなく、もう一歩突込んだことを考えなければならないので、そこまで調査をして貰いたい。ただ目先のことではなくて、そういうことも引つくるめて、利根川のことを御研究なさるならば考えて貰いたいと思います。
  41. 赤木正雄

    委員会赤木正雄君) 今の岩崎さんの御提案は如何でしようか。
  42. 原口忠次郎

    原口忠次郎君 私は調査なさることは非常に結構だと思いますが、非常にむづかしい問題だと思います。災害が起きたからその原因調査する、こういうことはいろいろございます。いろいろあると思いますが、譬えて考えまして、それでは日本のみがこういうふうな災害を受けておるかということを飜つて考えますと、今年の七月にミシシッピー河古今未曾有の大水害を受けておる。外紙の傳えるところによりますと、あの被害は一億三千万ドルと言われております。アメリカのような國でそのくらいなとに角今日水害が起きておる。治水工事というものは、私はあらゆる災害を除き得るものだとの設計は何処の國でもできていないと思います。若しもそういうことをやるんだと、非常な莫大な費用がかかる。それはできんことはないと思いますが、尨大な費用がかかる。英國は今年の五月に非常なやはり大きな水害を豪つております。英國の人達はモナコに自分は行きたかつたけれども、やつとモナコに行かんで、ここでモナコの景色を見ることができたということを外紙は傳えておる。英國でもやはり非常に水害がある。水害のあることは、これはもう世界各國あるのでありますから、殊に日本のような地形では、私は水害を絶対に、どんな雨が來ても絶対に防止するということは非常に困難だと思います。それでありますけれども、我我としては水害をできるだけ小さく止める、少なくするということに努力しなければならん。こういう感じであります。それですから、例えば今岩崎さんが仰しやつた対岸が切れなければ片方がやられるというのは、何処か弱いところがやられるに決まつておる。これは何故かとうすと、利根川治水の工事は、結局どんな雨が來ても壊れないという保証は私は誰もしていないと思います。結局今までの雨分統計は、大体三十年乃至四十年の統計でやつております。アメリカの如きああいう國でも二百年くらいの雨量の統計で仕事をしておる。併し雨というものは二百年内に降つた雨が必ず最大の雨かというとそうでない。況んや日本の雨量の統計というものは、まだ四、五十年でありますから、こういう雨でやつておりますから、その前に降つたような雨が若し來ますと、私もこれは本当に破堤するのは当り前だ……というとちよつと語弊がありますけれども、そうでないかという感じすらするのであります。それでありますから、若し水害の本当の原因を御調査なさるという意味でなさるならば、私は希望しますことは、仕事をやつておる者の責任ということじやなくて、國の財政がどこまで許し得るかということをやはり考えて頂きたい。そういうふうな意味で、眞に日本の水害を救う途は、國費がどの点まで許し得るか、この災害防除に使う金は尨大でありますが、その以前に土木費用に……例えばこの大きな水害が出て來ましたのでありますが、こういうものを全然なくするためには、一應どのくらいの費用があつたらばできるかということをお考え願いたいと思います。これはとても國家が負担し切れないくらいの尨大な費用が要るのじやないか、そうしますと、そこは非常に妙なものになりますから、最少限度の費用で最少限度の被害に止めるという方法は、どういうふうにしたらいいか、こういうふうに私は進めて頂きたい。ただ被害をなくす……なくすということだけいつたなら、それは非常に結構なんですけれども、果して尨大な費用を國が負担し得るかどうか、これをまず以てお考え願いたい。こういう点もございますので、その調査ということは、どういうところに調査の重点をおかれるかということが私は非常に疑問だと思います。それですから、できるならば、成るたけもう少し期間を與えられて、そうして現地が相当に戰爭状態から……昨日私行つて現場を見ますと、全くの戰爭状態であります。本当に身命を賭して災害復旧に当つております。ああいうふうに当つておるところへ、責任を問うとか、調査をするとかいうようなことは今なさらんでもう少し時間をお藉しになつて、そうしてもう少し調査も本当に眞劍に係員の人達ができるようになつてから調査して頂いたらどうか、こういうふうに考えます。
  43. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 今原口さんの御意見通りに、調査し得る時期になつたら調査する、こういうふうにしてよろしうございましようか。
  44. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) それではそういうふうにいたします。それから一つお諮りしたいのですが、ちよつと速記を止めて。
  45. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 速記を始めてそれでは本日はこれにて散会いたします。    午前十一時三十二分散会  出席者は左の通り。    委員長     赤木 正雄君    理事            原口忠次郎君            島津 忠彦君    委員            岩崎正三郎君            島田 千壽君            堀内  到君            石坂 豊一君            中井 光次君            安部  定君            高田  寛君