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委員長(
赤木正雄君)
ちよつと私伺いますが、今
内務大臣は豫想以上の
水位があ
つたと、こうおつしやいますけれども、實際豫想以上の
水位に違いありません。併し私は決してこれは豫想以上ということは言えない、
當然こういう
水位が來る筈なんです。何ら不思議はないのです。それが
内務大臣は先程申しましたが、
洪水の因子をもう少し深く突込んでお
考えになれば、そういうことは私はなかろうと思います。申すまでもなく一度山崩れが出て、例の山津波が來れば、そのためにどれ程
水位が上るか分りません。
昭和九年の石川の手取川の
水害における山津波のごときは丁度手取川の
水害では八十メートルまで
水位が
上つております。山の中腹まで
上つております。そこで山津波を防いだところが、何らそういう形跡はないのです。そういう人爲的な
施設をすれば豫想以上の
水位というのは、私は決してこれは認めることはできない。
利根川の
治水に對しても、私は非常に疑問を持
つておるのであります。果してそこまで
内務當局は本當の
治水を
考えておられますか、或いは本當の
治水と
言つては語弊があるかも知れませんが、むしろ
下流に重點を置いておるのは、いわゆる
治水の原則に反しておりはせんか、こういうことを私は疑わざるを得ない。單りこれは
利根川のみならず
内務大臣の御郷里の十八年の
島根縣の
水害でもそういう
事實は各所に起
つております。こういうことがありますから、私は人爲的のものじやない、殆んど不可抗力だと言うことは許されない。今日の技術を以てするならば、これくらいの
水害は未然に防ぎ得たと思う。成る程戰爭中の森林の
濫伐、これは確かに害があります。でも森林はある
程度伐るのは止むを得ない、森林を伐
つてもその
水害のない
施設は幾らもある。その設備を
内務當局も大藏當局も餘りに
考えられなか
つた。伐るべきものは伐り、森林の
濫伐のみならず、鑛山の濫掘も、これも非常に害しております。又森林の
濫伐に對して不完全な林道も非常に
水害の原因をなしております。そういうふうに、ただ
一つ森林の
濫伐とおつしやいましたが、それ以外に非常に缺陷があ
つたということを特にお
考えを願いたいと思います。
それからもう
一つ私痛切に感ずるのは、この前の信濃川の大河津の分水が決壞しました時に、その當時は出張所長竝びに
工事監督者、設計者、全部責任を取
つて辭めたのであります。私は今度の
水害に對してその責任を取りなさいとは決して申しません。とにかくそれ程技術官は責任を取
つて辭めた。私はこの間の休み中に
ちよつと最上川の
水害の
状況を見ました。ところが十九年の
水害で、例の直轄
河川でや
つたところが決壞してしま
つた。今度の
水害に對してはどうかと申しますると、この四月、五月の雪水で殆んど雪が突き當り突きあたり
堤防の半分まで決壞しております。それを殆んどそのまま手を付けないで放置しておる。それが今度の
水害に大變影響して、實に專門の者から見ると誠に危險千萬な状態にな
つております。それは今
復舊工事をや
つておりますが、誠に遲々たるもので、昔の
治水技術官の
考え方から見ると、なんだか兒戯に類するようなやり方で、實に遺憾に思
つた。これは時勢の結果そう
なつたのかも知れませんが、もう少し技術官といふものが責任を取
つて、本當に
國家を守るのだ、そういう精神を特に御振興下さるように私は切望して置きます。
尚先程石川議員の質問がありましたこの
利根川の
治水問題に對しては、十三年
以來の大問題であります。丁度豫定の
個所まで
仕事をしていて、それ以上は
豫算の
關係でできなか
つた、こういうお答えがありましたが、尚これに對しては事業費と、それから
人件費がどういうふうに分配されたとか、これに對しても非常にこの委員としては疑問があるのであります。併しそういうことはここには私はとやかく申しません。今の直轄
工事に對して、もう一度檢討なさる必要がありはせんか、こういう
考えが切にするのであります。
それから今日
内務大臣に本
會議で、
災害防除に對して千
萬圓を五千
萬圓に増加して、先ずこれからの
災害に對して
施設する、これは御尤もと思います。けれども今度の
東北地方の
水害を見ましても、
關東の
水害は私は見ませんけれども、その結果を見るならば、
東北の例にしましても、姑息なものでは駄目です。やはり
上流の
砂防、中流の
河川、本法の
河川、この三つのもので
工事をばりばりやりませんと、姑息なものでは駄目です。何ら
水害に對してや
つたつてそう效果はないということを特にお
考えにな
つて、今後の
治水の
根本問題に對して、特にお
考えを願いたいと私は思うのであります。