○大山安君 大體島津さんから申されたところの豫定のコースによ
つて調査した結果を
簡單に申上げます。大體とにかく日柄も少ないものでありますから、實際に收穫
關係につきましても、
被害關係につきましても、どうという自信を持
つては言えませんが、大體の
被害報告を
只今申上げたというようなわけであります。
被害現場の状況は、
只今島津さんが申されたのにやや等しくありますけれども、私として
調査の結果確實性のあるところを
報告したいと思うのであります。
それにつきましては、第一に
宮城縣に參りまして、いろいろ圖面や何かのつまり參考
資料を得た結果現場を
調査しようと思いまして、縣廳にまいりました。而して知事の意見も聞きました。殊に
土木局長の意見をお尋ねいたしました。今囘の
水害は何が
原因して
洪水に遭
つたものであるかということを尋ねました。ところが雨が澤山降
つて、そうして氾濫したというような
程度でありました。それにつきまして、どうも縣の責任者として餘り
簡單だと思いましたから、これについては
宮城縣として、排水の不完全であ
つたか、或いは
治水關係の施工していないためであ
つたかということを尋ねましたところが、そういう
關係はありません。自然の川筋でありまして、記憶はありませんですが、何々川から流れて來たものが氾濫したものであるというような
簡單な挨拶でありました。而して今後の對策も大體聽くことにいたしまして
將來この
宮城縣につきましては、排水
工事、つまり
河川を以て排水口に當て、更に水源の
治水關係を基礎として解決づける方が有效ではないか。ところが
土木局長は、そんな必要はありません。こういうような斷言でありました。然らばどういう方法で、今後の對策をするかと尋ねましたところが、これは適宜適辯で、私はもう、よいと思
つてや
つたところ、國民があまり喜びもしないからもう餘り關心しないというような御意見でありました。これはと思いまして、その後大體の要領を得て、その結果
調査に當ろうと思いまして、新聞社に行きまして聽きましたところが、新聞社は、
濫伐の結果の
洪水であ
つたというような
簡單なことを聽きまして、そうして現地に參りました。で各
方面を
調査して參りましたが、殆ど
河川に沿うたところの村落が
被害にかか
つておる。これはいうまでもありません。殊に山地とか、山何とかいう村は、殆ど全村
被害にかかりました。でこの
水害の
原因につきましては、今日まで勿論
濫伐もありますが、この周圍の鑛山の麓に、自然
治水耕地というような芝生地のような原野があ
つたという事實であります。それらを食糧
關係で
増産々々という結果において、
開拓されて、もう鑛山から直接耕地面とな
つたわけであります。それらのために自然の
治水關係が破壞されて、現在では
治水という工作は、自然の工作にも人工にもしておらない。その結果急激に、つまり耕地を荒らしたこういうような結果に見受けられました。そうしてこの第一、
宮城縣は
只今申上げました
通り、つまり
地方廳とこの
河川工事に實際に無關心である。でこれらは餘所に話が外れるようでありますが、これは參考ですから申します。これらは非常に縣内の農村としての、常に
被害を受けている
河川沿いの村落と、何等
被害を受けていないところの村落とは、自然に政治
關係といいますか。非常に意見の相違がある。その結果中央におるところの
土木局長が、
河川については無關心であ
つた。
從つて今囘の
災害を招くような事情に立ち至
つたというような感じもしたのであります。それらは常につまり
被害にかからざる地帶は、何ら關知するところがないから、そういう縣の方針としても、それに力を入れるというところなく、又その言うところ
河川に力を入れるというところのない者が縣の、つまり
地方の勢力を奪
つているという結果、今日
河川を見まするに、殆ど
山林か川か分らん。川の中に家があり、或いは二十年立の松山があり、十年二十年以下の
山林に等しい地帶が殆であるようなわけでありました。もう殆ど自然のままに、昔のままにして置く。それらが
水害の
原因と私は見て來ました。そうしてこの
河川を改良する場合におかれましては、耕地面積においてやや
工事の負擔ができるというほどの、
河川敷地が現在あると
承知しました。
被害の
報告の中にも
河川内に一面に……八十
町歩という只で作
つているというような土地も
被害地には入
つております。然るような
状態で現在までは大體
被害の
原因その他については、いま島津さんの言われたような結果でありますが、
將來につきましては、どうしても
治水及び排水の
工事を、これは
國家的觀念よりいたさねはならんというような意見を以て
宮城縣に對する
調査をして參りました。
それから
岩手縣でありますが、この
岩手縣はこれはどうも自然
水害にかかるような、いづれも山と山の間に耕地面積がありまして、私共が見ますれば、その場當りに
堤防でも築いて
被害を免れるより外に方法がないかというように考えました。大體
調査の結果は私としてはそういうようなところで
調査を終
つて來ました。