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小林英三君 私は昨日の
委員会におきまして、この
國管案の骨子ともいうべき問題につきまして、
国工大臣にお伺いいたしたいのであります。どうも私の
考えておりまするような明快な御
答弁が得られなか
つた、それは
商工大臣が
原案の
提案の理由の中におきまして、
はつきりと申しておられまするように、
増産の
推進力と申すべきところの
経営者及び
從業者の
生産意欲というものを増大するということが絶対に必要である、それが私は
國管案が実際に
提案された根本であると思うのであります。そうしてこの
國管案というものが
増産を
目的として
考えられたものであります以上は、私も勿論これらの
事業者でありまするとか、或いは
労働者でありまするとか、これらの
生産意欲を増大せしめることが最も必要でありまするということについては、同感なんであります。恐らくこの
法案に対しましては、このことが山であろうというようにまで私は
考えておるのであります。私は
只今も
田村委員が
ちよつとこの問題に触られたようでありますが、私はこの問題につきまして昨日お尋ねいたしまして、本日も又これを繰返してお尋ねいたすということにつきましては、十分この点について私
自身といたしましても納得いたさなければ、この
法案に対する
審議というものも、心が迷うわけであります。甚だしつこいようでありまするが、今一度
大臣にお伺いいたしたいと思います。それはこの
経営者及び
從業者の
生産意欲を増大するということが絶対に必要でありまするらか、
炭鉱の
國家管理はこのような実際の必要を満足させるために緊急の処置として
考えられたのでありまするが、併しこの
炭鉱國管案に対しましては、第一番に全國の
炭鉱業者が口を揃えて絶対に
反対をいたしておる、今
大臣が
貝島炭鉱云々という
お話がありましたけれども、恐らく全國の三百になんなんとするところの
炭鉱業者は、全部がこれに対し大
反対である、今まで
政府のこういう施設でありますとか、或いは
法律というものが立案されたときに、いろいろの
意味の
反対がある場合もありましよう。併しながら今度の
國家管理案に対しましては、殆ど全國津々浦々の
炭鉱業者というものが、鉦や太鼓を叩いて
反対しておる、これが今日の状態であります。こういう
法律を布かれたのでは、我々は
増産ができないと言
つています。
増産ができないばかりでなしに、むしろ減産になるということを
はつきりと言
つておるのであります。そうして私は單に
炭鉱業者がこういう悲痛な叫びを上げておるのでありまするが、これらの
炭鉱業者の
現場の
担当者、やまの
現場の
担当者、いわゆる
炭鉱につきましては実際家の專門家が、長らく
炭鉱を
経営し、
炭鉱の
事情を知り盡しておりますところの
現場の
担当者の三千三百三十人の
諸君が、口を揃えてこの
法案の通過をしないようにということを、殆ど昔で申しますならば、あの
佐倉宗五郎が直訴したような
態度を以ちまして、今日これらの
國管案に対して
反対の
態度をと
つておる。それでは一方の
労働者はどうであろうか。
只今川上委員の御
質問に対しまして
大臣から御
答弁がありましたが、昨日の
炭鉱労働者の
大会においては、遺憾ながらこれで不満足であるが、とにかく協力するということに
なつたというような
ちよつと
お話を聞いたのであります。私は今日まで、先般の十月十六日
公聽会におきましての
労働者側の四人の
態度を
考え、又つい二、三日前までのラジオの放送によりまするというと、こういうふうなものでは絶対に責任は持てない。今度の
修正案に対しては絶対に
反対であるというような行動をと
つておりましたところの
炭鉱労働者の各位が、昨日どういう風の変りか、とにかくこれを呑むということに
なつたということを聞いのであります。私は昨日の
炭鉱労働者の
大会におきまする
決議は別問題といたしまして、眞に全國の
労働側の立場に立
つておる人がどういう
考えを持
つておるかということも檢討しなくちやならん。それには私は、九月の十四日におきまして、
輿論調査といたしましては全國に
相当権威のある
社團法人の
輿論調査所が
輿論調査をいたしております。それは全國の四百五十二
炭鉱につきまして、この四百五十二
炭鉱の
從業員四十万、この四十万の四百五十二
炭鉱の中で、全國を地区的に二十三
炭鉱を選んで、その二十三
炭鉱の
從業員は、四十万人の中で約十万二千八百六十四人であります。この十万二千八百六十四人、二十三
炭鉱につきまして、今度の
國家管理法案をどう
考えるかというような
調査をいたしたのであります。この選択の基準といたしましては、全國の
出炭量において
大手筋対
組合炭鉱の
比率が八対二とな
つておるのでありまするが、この二十三
炭鉱の取上げました
組合の性格というものは、全炭が約三〇%、三割、総
同盟関係が二〇%、その他中立の
炭鉱がこの二十三
炭鉱の中で五割、こういうような
比率を持ちましたる全國の二十三
炭鉱のつきまして、
國管案に対する
輿論の
調査を九月十四日にいたしたのであります。でその結果どういうことにな
つておるかというのでありまするが、これによりますると、
國管、
國営というものに、
國有、民有を含めて
國営というものに対する
賛成者が二九・九%、それから
民営というものに対する
賛成者が三六・八%。
調査に関して無関心又は無理解であ
つた者が三三%でありまして、要するに今度の
炭鉱國管というものをどう見ておるかということに対しまする回答といたしましては、
民営がいい。いわゆる
國家管理に
反対であると言
つておる者が三六・八%、約三割七分、
反対であるというのが二九%、約三割であ
つたのであります。而も甚だ興味がありますることは、これらの二十三
炭鉱の十万二千八百六十四人の
輿論調査を取りましたのが、どの
政党に共鳴しておるかということも併せて
調査を取
つたのであります。ところがこの
國管に大部分が
反対でございました。或いは
反対する率の多か
つた労働者の十万何千人の中で、
社会党を支持する者が実に四六・八%、約四十七割に相当しております。その他の者の
政党は沢山ありまするが、要するに
社会党を支持する者が断然他を押してお
つた。そういうような
社会党を支持する
炭鉱の
労働者から取りました
輿論調査というものが
國家管理に
反対であるということが多か
つた、非常に多か
つたというような結果にな
つておるのであります。
これは
社團法人の
輿論調査所が取
つたものでありまして、非常に自慢をしております、劃期的の大規模の
調査の結果、こういうことに達したのであります。それから読賣
新聞の八月の第十回の紙上討論によりまして、読賣
新聞は
炭鉱の
國管によ
つて増産ができるかできないか、
生産が可能であるか否かということにつきまして、紙上討論におきまして
輿論の
調査をいたしております。これによりますというと、鉱業の関係者について言いますと、増炭可能なり、
炭鉱國管によ
つて増炭は可能なりというのが僅かに七・四%であります。増炭はできないというのが鉱業関係者におきまして、その倍であります一四・八%。更に一般人について見ますというと、
炭鉱國管によ
つては増炭はできるというのが二四%、絶対にできないというのが五三・七%。つまり一般人におきましては、やはりこれによ
つて増炭ができるというのが半分しかない。増炭ができないというのがその倍でありまして、この
炭鉱業者と一般人の合計を取
つて見ますと、増炭ができるというのが三一・五%、約三割でありまして、増炭ができないというのが六八・五%で、約七割である。いわゆる増炭ができないという方が
炭鉱業者と一般人を合わせまして約七〇%にな
つておるのでありまして、
炭鉱業者自身によりまして、読賣
新聞の紙上討論におきましても、同じ
炭鉱業者でも、できないということの意思を表明した者が倍に相成
つておるのであります。私は今
大臣から、
川上委員の御
質問に対しまして御
答弁がありましたところによりますると、成る程昨日の
炭鉱労働者の
大会におきましては、二、三日前までは絶対
反対してお
つた者が、政治的であるか何か知りませんが、とにかく一應その
大会においては、これで満足をしてやるということを言
つたそうでありますけれども、こういうような全國的に各地区に極めて公平なる
輿論調査をいたしましても、
炭鉱業者の、
炭鉱に
自分が專門にかか
つておる
労働者自身が、この
國家管理という問題に対しまして
反対を唱えておる数が、パーセンテージが多いということは、これはこの
國管案に対してよほど我々が
考えなくちやならん問題だろうと
考えております。そこで私は先日
商工大臣に伺いましたことは、全國の事業家が口を揃えてこれに
反対し、又全國の
現場担当者が
陳情書などを我々に出して、是非これを國会においては否決して貰いたい。こういうものを通したのでは我々は絶対に
石炭増産ができないということの意思を表明いたしておる。一方
労働者におきましても正確なる比較的大規模の世論
調査をいたしましても、
炭鉱の労ど者
自身がこの点に対しては増炭ができないというように見ているように私は
考えております。私は昨日この問題に対しまして私の昨日申しました
労働者側の
態度と、今日申しました
労働者側の
態度は、昨日私はラジオの放送によりまして、全
炭鉱の代表者が
反対しておるということを申上げたのでありますが、その状況だけは多少の変化がありましたけれども、こういうような
意味におきまして私は労資ともに全國的に
反対者が多い。殊に事業家におきましては全部が全部
反対しておるというような立場に立
つておるのです。これにつきまして私は昨日
事業者と
生産者とそうして
労働者との間のいわゆる
生産意欲の高揚、
生産意欲を増大するということについては必要でありまするが、この問題に対してこういうような
反対がある。
反対があるということになると
増産できないのではないか。この点に対してどういうお
考えを
商工大臣は持
つておられるかということを申上げましたところが、
商工大臣は、國家の最高機関である國会がこれをよい、
國家管理よろしいとい
つて決めた以上は、これを事業家にいたしましても
労働者にいたしましても、
自分の立場を捨ててそうして國家の要請に從
つて増産に邁進すべきであるというような
意味に私は拝聽いたしました。そこで私は昨日田村議員でありままたかの御
質問もありましたが、私も折返しそれでは私は不満足であるから、そういうことであれば、若しこれが國会において……まだ
参議院は
審議中でありますが、國会において若し万が一
國管案が否定されたら、これもやはり國家の最高機関でありまするところの國会が、事実において万が一否決という運命に
なつた場合におきましては、事業家も、又
労働者も
自分の今までの立場を捨てて、これが國家の要請であるということでありまするならば、國家の要請に從うべきであるということになる。そういたしますと、結局そういうような御返答だけでは私どもは肯けないのでありまして、そういうことになりますとそれでは國家の最高機関が決めたことであるから闇をやるなと言
つても、闇はどんどん行なわれておる。貯蓄をしろと言
つたつて國家が要求するだけの貯蓄はいたしておりません。私が聽かんとするところはそうではない。こういうような情勢にな
つて、
生産のいわゆる勤労意欲というものが向上されていないような状態にあるように何故
増産ができるかどうかということを私は昨日聽くつもりであ
つたのでありますが、私はその
質問に対しまして、
大臣は絶対に
増産ができるということだけを言われたように
考えておりますので、どうかこの点は殊に重大なる問題でありますので、この
國管案のわれわれの
審議につきましては、私どもの納得の行く上におきましては、相当重大な問題でございまするので、どうか
はつきりとこの点について
大臣の御所見を伺いたいと思います。