○玉置吉之丞君
只今までの
質問なり應答を伺
つておりますと、これがやはり
増産になるかならんかということが私共の一番狙い所でありますし、又皆さんもそうであろうと思うのでありますが、
経営者の側において全面的に
反対をしておるということは、これは公知の事実であ
つて、すでに我々の手許にいろいろな
陳情が來ておることに徴しても明らかであろうと思うのであります。又一面
労働者の方の側の
公聽会その他の場所における話等を総合いたしますと、これも亦肚の底からこういうものに
賛成をしておらん。或いは見方によれば、ないよりましかも知れんというような
考え方をしておるような話合もあり、又先刻小林君から御指摘に
なつたように、この間の
公聽会の
労働者側のお話は、要するに
炭鉱全部を対象にせんけすれば、これは意義をなさん、又この
生産協議会というものが
一つの
決議機関であ
つて、それが権威のあるものでなければ、我々としては認めないというよふな議論をしておりました。そうすると、
政府が考えておるように
経営者は固より喜ばない。又
只今細川君からもいろいろ、これは細川君は又別の
立場においての御議論もありましようが、
労働者の
労働意欲を高めるようなものは織り込まれていないじやないか、こういう
質問に対して
大臣は、それはもう一〇〇%は行かんが、三〇でも五〇でも、それだけ満足させられるようなことを申しておりますけれども私はこの
國管案がそういうところに狙いをつけて、果してこれが
増産になるかどうかということに、多大の疑問を持つのであります。
一体
生産の面において、
生産を増強するというこの
目的を達成するためには、
経営者側も
労働者側も渾然一体とな
つて、この重要なる
石炭の
増産をせんければならんという
意欲を増すためには、こういうような政治の機構の一部をいじるとか、政治の改革をするということだけではいかないことは固よりでありますが、
大臣は度々
経営者と
労働者と
政府とが三位一体とな
つてこの
増産に邁進する、こういうことを高調されておりますけれども、私共は戰爭中によく軍官民が一体とな
つて云々ということを聞いて、軍部の人が我々の工場に出て來ていろいろな話をし、又素人考から工場の中へ入
つて管理に等しいような指導をした。その結果は今私が喋々申上げるまでもなく、各業界においてその面に当
つた者が非常に迷惑し、而してその結果が
増産どころでなくて、非常な減産を來しておるという事実は、これは私はここで時間を要しますから申上げませんけれども、そういう事態に考えて、淡い夢を見るような、
政府の力というものはどういうようにお考になるか知れませんけれども、私は内閣というものが迭ると
政府の要路の
大臣が迭り、そうすると前にや
つたことが又
変つて來るというような点で、一貫して、あなたが考えておるような熱意のある
商工大臣ばかりならばいいが、
石炭の問題に対して熱意を持
つても
考え方が違うというような人が出て來て、そこに又その人の考の盛り込まれたような指導原理を以て
政府が
石炭の
炭鉱に対して、いろいろなことを干渉するということは、却て
増産を阻むというような結果になりやしないか。現に官業である鉄道なり逓信省の仕事その他等の点を考えてみますと、
國家の管理に移すということが先ずこれは國営の前提でもありませんが、そういう
國家管理に移すというようなことによ
つて、
労働者が非常に自分の地位が高められ、又親船に乘
つたような、なんだかこういう氣樂な氣持になるような
考え方をして來はしないかという憂いを持
つておるものでありますが、こういう点に対して、もう少し
増産ということの面から考えて、こういう案を、
経営者も喜ばない、
労働者も喜ばないというようなものを持
つて行
つて、
政府がそれをいろいろ
資材その他資金の面を積極的に世話をする。そういうことによ
つて増産ができるということの
説明も聽きましたけれども、私は今
政府が七月からずつと十月までに手を打
つたから
増産ができておる。こういうことを堀君の
質問に対してお答にな
つたのでありますが、これを事実に徴しますと、資金に面にいたしましても、今日の貨幣價値から申して僅か二千万円か三千万円の金を借入れるために、九州の端なり
北海道の端から
炭鉱経営者が上京して來て、我我のお世話をしておる
石炭協力会等にも、いろいろな協力を求めて來ておりますが、私は今日のこの貨幣價値において三千万円や五千万円の資金を、
石炭増産に必要な資金を借りるため、東京へ業者が上
つて來るような、そういうようなやり方で以て果して
政府は積極的に
炭鉱の業者に対して
石炭の
増産に向
つて資金の面の世話をしておるというようなことは言われないと思うのであります。これらのことはよろしく
日本銀行の
北海道の支店もあり、又附近に商工局の出張所もできておるのでありますから、そこらで以てそういうことを賄
つてやるという手を先に打つことが私は
増産であると思うのであります。殊に炭價の問題を決めるに当りましても、それをどのくらい、重要な
産業の本をなす
石炭の價格を決めるその機関にしても、当業者なり又その各界各
方面の権威者を集めて
委員会でもつく
つて、
石炭の値段を直ちに決めて行
つて上げ下げをみて行
つてやる。こういうような價格の面に対しても後決めをするというようなことをした結果が、減産を來たしておるという最大の原因をなしておる
一つの事実に徴しても、
政府は打つべき手を打つということでなければならん。例えば九州において十五万キロの電力が
炭鉱の面において要るということに対して、十三万キロしか電力が出ない。もう二万キロ出るなにかの手を打てば、十分
増産できる。同じ商工局の管理下におけるこの
炭鉱の電力がもう二万キロ増すということにおいて
増産ができるというこの問題に対して、電力をもう二万キロ増す手を打てば打てるということを私は聽いておる。それに対しても幾度か
会議を開いて今にこれが
決定できないというような、こういう生ぬるい手を一方に打
つてお
つて、ただ
國管案によ
つてこういうやり方をすれば
増産ができるというようなことは、私は少し腑に落ちないのでありますが、そういうことに対して、もう少し深く穿
つた、
一つこういうことによ
つて増産ができるのであるという得心の行ける
大臣の御
説明を伺
つてみたいと思います。