○國務
大臣(水谷長三郎君)
参議院におかれまして、この
法案の
重要性に鑑みて事前
審査をして頂くということは、試に感謝に堪えない次第であります。
この
法案のあらましは、先だ
つて参議院の求めによりまして本
会議で述べた
通りでございます。ただあのときに、この組織法ともいうべき臨時石炭鉱業管理法の裏付けといたしまして、政府は炭業公團を
考えておつたのでございますが、いろいろの事情によりましてそれが実現の不可能になりまして、政府としては代案を
考えました。幸い、昨日の閣議で、その代案は決定したのでございますが、いろいろの事情でその発表は暫く延びますのですが、できるだけ早くこの代案は発表いたしまして、皆さんの御
審議の
参考に供したいと思います。
それでは、政府といたしましてその代案はどういうことを
考えているかということでありますが、大体のあら筋で商工省として
考えておるのは、第一番は新鉱の開発、第二番目に福利施設の問題、第三番目は資材と資材の調達斡旋の問題を
考えております。
第一の新鉱の開発におきましては、調査と建設と経営という三つの面があるのでございますが、その第一の調査の面におきましては、新鉱開発の調査を石炭廳において直ちに実施することにいたしたいと思います。第二の建設の面でございますが、これは原則として民間企業が実施すべきものでありまして、民間企業がみずから実施せんとするものは民間企業をして行わしめる、即ち原則は民間企業にや
つて頂きたい、このように
考えております。但し、開発を要するもので、民間企業がみずから実施することができないものは、取敢えず産業復興公團をして行わしめるという工合に
考えておる次第でございます。
それではこういう工合にして産業復興公團の建設いたしましたところの新鉱の経営は一体どうするのかということがその次の問題になるのでございますが、これは原則といたしまして民間企業に拂下げをし、又は貸付けて経営をして貰うという工合に
考えております。但し民間企業者が経営することを
希望せず、又は不適当とするものにつきましては政府において経営いたしたいと思います。このため將來特別会計というものを設定したい、このように
考えております。
更に第二の福利施設、これは單に福利施設じやなしに、地上のいろいろの施設も含むものであります。必要な地上の施設或いは福利施設で、炭鉱が建設することが困難なものは、産業復興公團をして建設せしむるという工合に
考えております。更にこの建設いたしましたそういう施設の経営は、これは炭鉱に拂下げるか又は貸付けて、炭鉱みずからがそれを運営するという工合にしたいと思
つております。
第三は資材の調達斡旋の問題でございますが、これは炭鉱向け資材及び労務者用品につきまして、その手に入れることを容易ならしむるために、石炭廳は炭鉱用機械の例に倣いまして、これ等の物資の生産及び配給の指導斡旋を行うという工合に
考えております。更に右の石炭廳の斡旋事業に應じまして、炭鉱業者は各自に自発的に協同購入の組織を設けることができるという工合にしたいと思
つております。
概略こういうように昨日閣議で決定したのでございますが、閣議決定、並にいろいろの
方面からの
承認を得ますれば、皆さん方の前にできるだけ早く出したい、このように
考えておる次第でございます。
更にもう
一つの問題、これもやはりこの度の
法案が増産のための
法案であるということは、これはいうまでもないのでございまして、これに対してマツカーサー元帥から片山総理に書簡が宛てられたことは、皆さんすでに御承知の
通りであろうと思います。政府におきましてはこの書簡の
重要性を認識いたしまして、片山総理を中心にいたしまして
関係閣僚が相寄りまして、目下石炭非常増産対策要綱というものを
考えております。これは殆ど結論に達しまして、その概略は大体
新聞で御承知かと思いますが、一番大きな一二の問題は、出炭能力を最高度に発揮せしむるために、坑内労働能力の充実、労働規律の確立、並に二十四時間制の完全実施ということが問題にな
つておるのでございます。いわゆる労働問題に関聯いたしまして、目下一番労働者の生産意欲を妨げておるところの問題に、勤労所得税の問題がございます。いわゆる勤労所得税の累進課税で、坑内夫が一生懸命に働きますると、或る相当の日数が税金のために働くというような結果になります。これは私も各地の炭坑に参りまして、いろいろ話を聽きますと、どこの炭坑におきましても例外なしに訴えられるところの問題でありまして、このいわゆる所得税については、いかなる特別の措置を講ずるかということが一番大きな問題の
一つになりまして、この点はまだ今のところ結論に達しておらないのでございますが大体もう一回閣議をやりますれば、この石炭非常増産対策要綱というものが本決まりになると思います。これが本決まりになりますと、マツカーサー元帥の書簡に対する政府の対策というものがはつきりいたしまするので、皆さん方の御
審議には非常に
参考になるのではないかと思いますので、これも前に申しました炭鉱公團の代案と共に、できるだけ早い
機会に皆さん方の前に発表できるようにしたい、このように
考えております。
大体先に申しました
法案に対しまして、その
法案審議に当られるに当
つての、いわゆる
前提問題というものは、この
一つの問題であろうと思いますが、この二つの問題は、前申しましたように、大体決ま
つておりますので、いろいろの
手続を済ましまして、
一つ今度の
委員会には、或いは間に合うか知れませんが、できるだけ早く出したい、このように
考えておる次第であります。さよう御了承願います。