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1947-08-19 第1回国会 参議院 鉱工業委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    付託事件石炭生産確保に關する陳情(第二十  一號) ○自轉川の價格改訂に關する陳情(第  三十四號) ○石炭増産運動に關する陳情(第四十  四號) ○炭鑛國家管理反對に關する陳情(第  百七號) ○家庭暖房用燃料に關する陳情(第百  十四號) ○特許法等の一部を改正する法律案  (内閣送付) ○亞炭採堀中止に關する請願(第六十  七號) ○炭鑛國家管理に關する陳情(第百四  十四號)   ————————————— 昭和二十二年八月十九日(火曜日)    午前十時三十一分開會   —————————————   本日の會議に付した事件特許法等の一部を改正する法律案   —————————————
  2. 稻垣平太郎

    委員長稻垣平太郎君) それではこれから本日の委員會を開きます。御案内申上げて置きましたように、これから久保特許標準局長官の今囘の特許法等の一部を改正する法律案について御説明を伺うことにいたしたいと存じます。
  3. 久保敬二郎

    政府委員久保敬二郎君) それでは特許法等の一部を改正する法律案につきまして御説明申上げます。  現行法としての工業所有權法、即ち特許法實用新案法意匠法商標法の四つでありますが、これは大正十年に制定されまして、今日に至りますまで格別改正を加えられておらないのでありますが、最近におきます物價の趨勢と比較考慮いたしますと、現在の特許料登鉄料の額は餘りにも低廉に過ぎますので、發明奬勵ということを妨げない限度におきまして、適當に増徴する必要があると考えられるのであります。この外最近の經濟情勢に鑑みまして、これらの法律罰金の額を、他の法令におきまする處罰規定との均衡適當引上げる必要があると考えられるのであります。工業所有權法には、尚只今申上げました外に、去る九十議會におきまして成立いたしました新憲法との關係におきまして、戰爭放棄規定裁判制度改正規定等の諸點におきまして、改正を必要とする點もあると考えられるのでありますが、これらの點につきましては、目下愼重に考慮中でありまして、今後における諸般の情勢の動きをも勘案いたしまして、成るべく速かに適當改正をいたしたいと考えておる次第でございます。  次に今囘の改正の要點を申上げますと、第一は、最近の社會情勢に即應いたしまして、特許料登録料を、平均約五倍程度増徴することといたしました。第二は、他の法令中の處罰規定との均衡を圖りますために、罰金の額を五倍乃至十倍程度引上げました。この二つの點がこの法律案提出理由竝びに改正の要點でございます。  次にこの法律案の各條について御説明申上げたいと存じます。大體ここに小さい活版刷りのものがございますが、これではお分りにくいと存じまして、參照條文をお手許に差上げてございます。これはガリ版刷りのものでございますが、これを御覧下さいましてお聽き取り願いたいと存じます。  この改正法律案は、全部で四條から成立つておりますが、第一條は、特許法改正する條文でありまして、第二條實用新案法、第三條が意匠法、第四條が商標法改正する條文になつております。  先ず第一に特許法でございますが、參照條文に書いてございます第六十五條は、「特許權登録受クル者ハ特許證主ハ特許料トシテ第四十三條第一項ニ規定スル十五年ノ各年ニ付毎件左ノ金額納付スヘシ、」これで第一年から三年、第四年から五年、第六年から九年、第十年から十二年、第十三年から十五年というようなことを規定いたしまして、最初が十圓、最後が五十圓というような現行法になつておりまするものを、大體三倍から八倍に上げまして、最初の三年間を毎年十圓でありましたものを三十圓に、最終の三年間を五十圓でありましたものを四百圓に上げました次第であります。次の「特許權存續期間延長登録受クル者ハ其特許證主ハ特許料トシテ毎件左ノ金額納付スヘシ」とございまして、これは十五年の特許期限を經過いたしまして、更に三年乃至十年の延長される特許權についての特許料でございます。これを大體十倍程度に上げることにいたしまして、第一年から三年までが百圓でありますものを千圓、第四年から六年が百五十圓でありますものを千五百圓、第七年から十年までの二百圓を二千圓に上げた次第であります。尚更に參照條文の次の貢に移りまして、「追加特許權登録受クル者ハ其登録受クル特許料トシテ毎件一時二三十圓ヲ納付スヘシ」とありまするのを、これを百圓に値上げいたしたいたいと思うのであります。それからその次の「特許權存續期間延長ノ場合ニ於テ追加特許權アルトキハ其登録受クル特許料トシテ毎件一時ニ六十圓ヲ納付スヘシ」とありますのを、六百圓にいたした次第であります。  元來、現行法におきまする特許料登録料に關する規定は、大正十年に制定されましたままになつておりまするので、これを或る程度増額を行いまして、財政收入の増加を圖る必要があるのであります。料金引上げに關しましては、他の制度との均衡を考慮したことは勿論でありまするが、一方發明奬勵といつた見地から見まして、權利者保護ということをも考え合わせました結果、只今のような金額にいたした次第であります。  次に第百二十九條の規定でありますが、第百二十九條は、「左の各號ノ一ニ該當スル者ハ五年以下ノ徴役又ハ五千圓以下ノ罰金處ス」とありまして、「特許權侵害シタル者、」「特許權侵害スヘキ物ヲ輸入又ハ移入シタル者」というような、こういう特許權侵害に關する罰則でありますが、これを「五年以下ノ懲役又ハ五千圓以下ノ罰金ニ處ス」という、その罰金を十倍に上げまして、「五萬圓以下の罰金に處す」と、いうことにいたした次第であります。  それから第百三十條でございますが、これは「詐欺ノ行爲以テ特許受ケハ審決ハ判決受ケタル者」というような、前條と比べましてやや犯罪の輕いというものでありますが、これにつきましては、「三年以下ノ懲役又ハ三千圓以下ノ罰金ニ處ス」とありまするのを、「三年以下の懲役又は二萬圓以下の罰金に處す」ということにいたした次第であります。  尚これらの點におきまして、罰則に關して、罰金のみを引上げまして、過料は現在そのままといたしておるのでありますが、これは民事訴訟法におきます規定との關聯を考慮いたしておりますので、民事訴訟法改正の際に、これに即應して適當改正を加える考えであります。それから百三十三條でありますが、これは「特許局職員ハ其職ニリタル者ナク又ノ職務知得タル特許出願中ノ發明又ハ特許出願者事業上ノ秘密ヲ漏泄シハ竊用シタルトキハ一年以下ノ懲役又ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス」これは或いは「五千圓」となつておるかも知れませんが、間違いでございまして、「千圓以下ノ罰金ニ處ス」というのが現行法でございます。これを「一年以下ノ懲役又ハ五千圓以下ノ罰金ニ處ス」というように、罰金最高額を五千圓に上げる次第でございます、  次に本法改正法案の第二條でございますが、これは實用新案につきまして、前の特許法におきますると全く同樣の訂正を加えようというのでございます。實用新案法の第二十條は、「實用新案登録受クル者ハ登録證主ハ登録料トシテ毎件左ノ金額納付スヘシ」とございまして、第一年乃至第三年を七圓、四年乃至六年を十五圓、七年乃至十年を二十五圓といたしておりまするのを、七圓を二十圓に、十五圓を四十圓に、二十五圓を八十圓に値上げしようというのでございます。第二十七條は罰則でございますが、これは實用新案權利侵害という方に相當するものでございまして、これは「三年以下ノ懲役又ハ三千圓以下ノ罰金ニ處ス」とありまするのを、「三年以下ノ懲役又ハ三萬圓以下ノ罰金ニ處ス」という工合に、罰金最高價格引上げたものでございます。二十八條でありますが、これは「詐僞行爲以テ實用新案登録受ケ」るというように、前條に比べましてやや罪の輕いものでありまして、これに對しまして「一年以下ノ懲役又は千圓以下の罰金」とありまするのを「一年以下ノ懲役又ハ一萬圓以下ノ罰金ニ處ス」というようにいたしたいのであります。それから第三十一條に同じく「特許局職員ハ其職ニリタル者ナク其職務止知得タル實用新案登録出願中ノ考案又ハ實用新案登録出願者事業上ノ祕密ヲ漏泄シ」ということに對する罰則がございますが、これの「一年以下ノ懲役又ハ一千圓以下ノ罰金」とある罰金のところを、「五千圓以下ノ罰金ニ處ス」というところに上げようというのでございます。  實用新案法はそれで終りまして、次に意匠法の部分の改正でございますが、意匠法の第二十條に「意匠登録受クル者ハ登録證主ハ登録料トシテ毎件左ノ金額納付スヘシ」とありまして、第一年乃至三年は三圓第四年乃至十年につきまして五圓とありまするのを、これを三圓を二十圓に、五圓を四十圓に値上げしようというのでございます。それから「自己の登録意匠類似スル意匠登録受クル者ハ其登録受クル登録料トシテ毎件一時二三につきましては、大體外のものに比べまして大分大きな値上げになりますが、これは時勢の變化に伴いまして、以前は實用新案意匠というものは相當内容に懸隔のあつたものでありますが、最近では殆んど同一化したというような工合考えまするので、意匠は大體實用新案に近づけたように改正いたした次第でございます。意匠法の第二十六條でございますが、これは先程と同樣の罰則でありまして、意匠權利侵害というようなものに對しましては、「三年以下ノ懲役又ハ三千圓以下ノ罰金ニ處ス」とありまするのを、「三萬圓以下ノ罰金ニ處ス」といたしまして、罰金最高限度引上げたものでございます。次に第二十七條でありまして、これは詐僞行爲を以て登録を受くるというような場合に對する罰則でありますが、これは「一年以下ノ懲役又ハ千圓以下ノ罰金」とありまするのを、罰金の額を「一萬圓以下ノ罰金ニ處ス」と書き方を變えるのでございます。  次に第三十條でありますが、これは先程の特許法實用新案と全く同じく、特許局職員祕密漏泄というようなものに對する罰則でありますが、これは「一年以下ノ懲役又ハ千圓以下ノ罰金」とありますのを「五千圓以下ノ罰金ニ處ス」という工合にいたしたのであります。  本法の第四條は、商標法の一部を改正するものでございますが、その第二十條は、「商標登録受クル者ハ其登録受クル登録料トシテ毎件一時二三十圓ヲ納付スヘシ」とございますのを、これを「三百圓ヲ納付スヘシ」と十倍に上げた次第であります。それから「商標權存續期間更新登録受クル者ハ其登録受クル登録料トシテ毎件一時ニ五十圓ヲ納付スヘシ」とありまするのを、五百圓を納むべしということにした次第であります。又第三十二條團體標章登録を受くる者の登録料でありまするが、これは「百圓」とありまするのを千圓と十倍に値上げしようというのでございます。それからその團體標章權存續期間更新の場合に百五十圓を納むべしとありまするのを、一千五百圓を納むべしということにいたした次第であります。第三十四條、第三十五條は、同じく商標權侵害或いは詐僞行爲を以て商標登録を受くる者、というようなものに對する罰則でありまするが、三十四條の方は、「五千圓以下ノ罰金ニ處ス」とありますのを、「五萬圓以下ノ罰金ニ處ス」と十倍にいたしました。三十五條の方は、「三千圓以下ノ罰金ニ處ス」とありますのを、「二萬圓以下ノ罰金ニ處ス」ということにいたしまして、約七倍にしたわけでございます。  第四條までの御説明は大體これで終る次第でございますが、次に附則につきましてちよつと御説明を申上げたいのでございますが、本法附則に、「この法律施行前に既に納付し又は納付しなければならない期限を經過した特許料又は登録料については、なお從前の規定を適用する。」とございます。これは特許料をこの法律施行前に既に前以て納めておるというような者は、そのまま追徴をしないという規定でございます。現行法も、これが舊法から現行法に移ります際にも、この思想を採用いたしておりまするので、今囘も又この思想を承け繼ぎまして料金値上げになりましても、既に納めた者に對しては追徴を行わないという趣旨でこの附則を設けた次第でございます。  以上が本案の御説明の大體でございますが、何卒御審議の上御協贊あらんことをお願いいたす次第であります。
  4. 稻垣平太郎

    委員長稻垣平太郎君) 如何でございましようか、只今説明を聞きましたところによりまして、本日何か御質問がありますれば、御質問を續けて頂くか、或いは改めて御質問をいたすことにいたしますか。
  5. 荒井八郎

    荒井八郎君 この問題は、質問は今日して採決したらどうですか。
  6. 稻垣平太郎

    委員長稻垣平太郎君) 荒井さんの御意見のように、今日質問を行いますか、如何でございますか。
  7. 稻垣平太郎

    委員長稻垣平太郎君) それでは本日續けて質問を行うことにいたしまして、どなたか御質問がある方は……。
  8. 小林英三

    小林英三君 この特許料値上げとか、或いはこの違反者に對する罰金値上げということにつきましては、これは時勢上止むを得ないことと思いますが、ちよつと御質問申上げたいんですが、この特許法の第百三十三條、この職員に對する懲役又は罰金という、これはよほど重大な問題だろうと思うんですけれども、これが從來から一年以下の懲役千圓以下の罰金ということになつて、今までが餘りに輕いもんですから、それに對して五千圓程度にして、外の實用新案意匠登録も同じになつておりますが、これは同じ改正するならば、私共の考え方といたしましては、職員祕密を漏泄するとか、或いはそのものを他に漏らすというようなことは、これは發明者といたしても、又この發明ということに考えても非常に大きな問題になつて來ると思うんです。こういうことに對してはもつと重罪を課してもいいのではないかと思うんですがどうですか。
  9. 久保敬二郎

    政府委員久保敬二郎君) 實はこの罰則の額につきましては、大體司法省に一任いたしましたような恰好で、私共ももう少しこの罰金の額でも上るのか知らんと思つてつたのですが、大體司法省に聽きますと、これでいい。と申しますのは、他の刑法などと比べまして、醫師、産婆などのやはり職務違反というようなことの刑罰と比べましてこのくらいが適當であるというようなことをいつておるのでございますが、大體この官吏の涜職というようなことにつきまして、特に條文で、法律規定いたしておりまするものは、この特許法というようなものの外には餘りないように聞いておりますので、特許法に特にこういうことを規定しておるということだけによりましても、特許局職員が特にこういうことに對して愼重でなければならんということを示しておると考えますので、大體の實質的の刑につきましては、その外の一般刑法と同じというようようなところで適當ではないかと實は考えておるのであります。
  10. 小林英三

    小林英三君 私實は私自身も相當の特許權者でありまして、二百數十從來持つてつたんですが、今の侵害をしたような場合におきまして、例えば特許權者が、或いは實用新案意匠權者が告訴するというような場合に、殆どこの地方檢事局だとか今の檢察廳なんかが、全然知つた人が少ないので、殆どそれが該當して、實際にその特許權者權利保護するなんというようなことは從來ないので、徒らにこの檢事局、或いは裁判所で日限を要するだけであつて、その間いろいろの切拔けやもぐられたりしまして、本當に日本特許法といたしましては、權利者を擁護するというようなことが誠に少ないと思います。で私はこの特許法改正ということにつきまして、單なる罰金刑であるとか、或いは侵害刑であるとか、そういうようなものを改正するだけでなしに、本當の意味においてこの權利者發明を擁護するというようなことについてもつと他の改正があるんじやないかと思つて豫期しておつたのですが、例えばこの權利につきましても、特許に對してもつと明るい檢事を配置するとかいうようなことでないと、いつでもそれが駄目になり、それから今度やはり辯護士を頼みます場合でも、多くの辯護士特許に關する知識が少ないものですから、辯理士も併用して頼んで行つて、そうして辯護士が辯護するということになります。殆ど實際においてこういう保護する法文はありますけれども、實際問題で從來そういうことに拔かりがあつたと思います。そういう問題につきまして今後發明者保護するようにもつと掘下げた改正案がお考えになつておるでしようかどうですか。
  11. 久保敬二郎

    政府委員久保敬二郎君) 特許權保護ということにつきましては、私共全く御同感の次第でありまして、これがうまく保護できませんということは、司法處分圓滑に行かないというところにあるのじやないかと實は考えておるのであります。それにつきまして裁判官、檢察官というような方に、特許に關する知識を持つて頂きたいということを私共熱望いたしておりまして、司法省とも相談いたしまして、ときどき裁判所の方が特許局職員となつて實際實務をとつて頂きまして、二年くらい經ちましたら又向うへ歸つて頂くというようなことを計畫いたしておりまして、今まで數人行つたわけでございますが、到底それだけではまだ全國の多數の裁判官に比較しまして問題になりませんので、更にこの點につきまして詳細なる知識を持つて頂くような工合裁判所の方になつて頂きたいといろいろ考えておるのであります。今度新らしい裁判所法ができまして、裁判官という者は行政に關するすべてのものに對する知識を持つておらなければならないというようなことになりましたので、いずれはすべての裁判官がそういうようになられるのであらうと思いますが、過渡的に特許局に關する知識についても今少しく詳細に持つて頂くというようなことで、司法省とも目下交渉いたしておるのでございますが、できれば一般裁判官特許に關して外の事件と同樣に、極めて積極的に行つて頂きましたならば、こういう問題は起らないのであろうと考えるのであります。辨理士辯護士の問題につきましても、只今のところ兩者の區別というものが餘りにはつきりいたしておりませんので、却つてうまく行かないのではないかと考えまして、これにつきましても辨理士性格をはつきりしたものに變える必要があると私共考えておる次第であります。いずれにいたしましても、司法處分が十分に行われませんことには、特許權保護というものは完全に行われませんので、從つて特許制度も發達いたしませんので、この保護という問題につきましては、更に適當なる發展をいたしますように努力いたしたいと思いまして、目下研究いたしておる次第でございます。
  12. 小林英三

    小林英三君 尚、この機會長官にお伺いいたしておきたいと思いますことは、日本における發明者表彰ということが、從來も極めて外國に比べますというとできていなかつた從來發明協會ですか、あすこで商工省發明奬勵規程に基いて奬勵をしておりまして、全國表彰とか或は地方表彰という程度のもので一片の免状、それから鑛金のメダルくらいの程度のものしかできておらなかつた。これはもう今度の戰敗といこことになりました一つ原因も、日本におきましては發明家という者に對する極めて冷淡な態度が國家として多かつたことが大きな原因だろうと思いますが、そういうような侵害等罰則のみならず、今後發明者に對する國家の大きな表彰奬勵、或いは場合によりましては發明家に對する懸賞というような制度も採りまして、文化國家として立ち上る上におきまして、大きな賞品の奬勵國家がする必要があるのではないか。それに對する特許局としましてもお考えになつておると思いますが、その點を一つ
  13. 久保敬二郎

    政府委員久保敬二郎君) 表彰につきましては、私共もなんとかしたいと考えておるものではありまするが、どうも十分な豫算が取れませんので、非常に殘念考えておるのであります。ソビエツトの如きは、非常にその實質的の表彰をいたしておりまするようで、いろいろ發明の價値を判斷いたしまして、或いは小さいものでありますと、一日の休暇を與えるというような小さいものもあるかと思いますと、又一年間の鐵道のパスを與えるというような表彰もしておるとか、或いはその外に相當思い切つた表彰をいたしておりますので、我が國におきましても、この特許制度と併用いたしまして、この表彰ということを行いましたならば、發明奬勵上非常に有效であるとつねづね考えておるのでございますが、何分にも目下國庫財政が非常に困難でありまするために、私共の思うような工合にできませんことを、殘念思つておる次第でございますが、今後とも御趣旨の點につきましても、十分努力研究いたすようにいたすつもりでございます。
  14. 田村文吉

    田村文吉君 これを拜見いたしまして、直覺的に感じましたのは、金の位が變つて來たのでありますから、相當にすべてを御訂正になるのはわかつておりますが、年限の若いのと古いのに對するお上げになりました率等が皆變つておりまして、それについての御説明がはつきり承れなかつたように感じますが、これを一應少し御説明頂きたい。  それからもう一つ大分この戰爭ですべての状況も變つてつておろうかと考えますので、この機會發明實用新案意匠登録等に對する現在の件數及び傾向等を若しデータで頂くことができれば、大變仕合せだと思うのであります。
  15. 久保敬二郎

    政府委員久保敬二郎君) 今のそのデータはなにか刷つたものはございますが、そういうものをお屆けした方がよろしうございましようか。その毎月の出願傾向とか、どういう工合に……。
  16. 田村文吉

    田村文吉君 丁度今審議中でございますから、この機會に御印刷になりましたもので結構でございます。各委員に御配付をお願いいたしたいと思います。
  17. 久保敬二郎

    政府委員久保敬二郎君) それでは最初にこの料金遞増率の違いにつきまして、ちよつと御説明を申し上げたいと存じます。特許法におきましては、第一年から三年が十圓を三十圓に、三倍にいたしておりまして、第十五年にはこれを八倍にいたしました。更に延長になりますと、十倍というような工合にいたしておりますが、これは發明を工業化して利益を上げますのには、相當の年限を要しますので、最初の中は利益擧らんというために、最初の中をなるべく負擔を輕くいたしまして、利益の擧るに從つてこれを多くして行こうというような關係で、後に行く程遞増率を高めた次第でございます。これに對しまして、實用新案におきましては、七圓を二十圓に直しますし、最終年の二十五圓を八十圓に直しまして、大體全部を通じて三倍程度にいたしておるのでございますが、これは實用新案と申しますものは、發明に比べまして極めて輕い物品のものだというだけのものでありますので、むしろこれは相當の資本をかけて、工業化させるという問題ではなしに、直ぐ商賣をしてしまうというようなものでありますので、發明と比べまして、そういう年限に比例して、利益が遞増するという工合考えられませんので、その遞増する率は極めて少しだというような工合考えましたので、このように全體を通じて三倍程度といたしまして、もともと現行法でも七圓から二十五圓までの遞増率があるわけのものですから、その率を徴收した次第でございます。それから意匠につきましても、大體これは實用新案と同樣と考えまして、同じような程度遞増率といたした次第でございます。それから商標の方は、これは十倍ということにいたしましたが、これは發明考案というものと性格が違いまして、營業權を保護するものでありまして、相當負擔力があると考えましたので、これをすべて十倍ということにいたしました次第でございます。
  18. 田村文吉

    田村文吉君 重ねて伺いますが、今のような御説明でありますと、實用新案罰金だけが十倍になつておりますのは、ちよつとおかしく感ずるのでありますが、第二十八條の千圓を一萬圓にするということが、外のものは三倍で比率を取つて來たが、そこへ持つて來罰金千圓を一萬圓にお改めになつたということは、そこの率について何か御説明がありますれば伺いたい。
  19. 久保敬二郎

    政府委員久保敬二郎君) これは内容と公然關係のない問題でありまして、外の方の料率は、これは税金と或いは考えるべきものですが、何か手數料と考えるべきものでありますが、何かそういうものでありますけれども、こちらの方は純然たる罰則でありまして、懲役の方では一年というものが變つていないわけでありますが、貨幣價値の變化で、千圓が一萬圓になるというだけのものでありまして、これの罰の内容に對しては變つていないと實は考えている次第であります。
  20. 宿谷榮一

    ○宿谷榮一君 この百二十九條の中の第二號の、「特許權侵害スヘキ物ヲ輸入又ハ移入シタル者」という點ですが、これは輸入ということがありますから、無論外國から輸入することを指しているわけであろうと思いますので、それで一例を擧げますと、アメリカで特許を取つたものを日本内地において貿易商が、日本特許權のあることを知らずして輸入するという場合もこれはあり得ると思いますが、それから移入ということは、最近朝鮮とか臺灣とかというものを失つておりますから、これは輸入と同視すべきものと思う。それからアメリカで特許があつて日本特許があるという場合も、この戰爭中、交戰中であつたために、中断されている。偶然そういう問題も今後において生じて來るのではないか。今外國の交際もはつきりしていないので、外國特許ということを日本發明者が受けることは恐らくできないと思いますが、今後起つて來るそういう問題に對して、知らずして輸入した者がこの五年以下の懲役に處するというようなことになると、なかなかむつかしい問題が生じやしないかと思うのです、これをお殘しになり、特に附け加えてあることはどういう意味合であるか、御説明を伺いたいと思います。
  21. 久保敬二郎

    政府委員久保敬二郎君) この特許權と申しますのは、國内においてその權利侵害するということに對して、國内において獨占權を與えるわけでありますが、從つて外國特許を持つておりましても、日本特許を持つておりませんければ問題はないのであります。假りにアメリカに特許權がありましても、そのアメリカ人が日本に對して同じ發明に對して特許權を取つておりませんでしたならば、それは日本でどんどん實施ができるわけでございますが、逆に日本特許權がありまして、アメリカにそれがないという場合にアメリカで勝手に作れますが、日本へは直ぐそれを輸入することはできんというような關係になりますので、結局各國獨立として物を考えまする關係上、日本特許權がありまして、それが侵害になるというような場合には、外國からそれを輸入すれば當然罰せられるということになると考えるのであります。それから現在アメリカで發明をいたしまして、アメリカで特許權を取つておりまするものが、戰爭中アメリカと日本の交通がありませんでしたために、今後どうなるかという問題でございますが、これにつきましては、特許權がどういう工合に取扱はれますかということにつきまして、まだ私共的確たる豫想を持つておりませんので、どうなりますか分らないのでございますが、前大戰の例などを見ますと、平和條約におきまして相互に互惠的に條約を結びまして、例えばアメリカで出願したものを戰爭中にドイツへ出願できなかつたというものは、平和條約締結後六ケ月とか或いは一年という期限を切りまして、その期限内にアメリカからドイツへ出願して來れば、アメリカで出願したと同じ日にドイツに出願したと認めるという規定を設けております。今度日本におきましても大體戰時中アメリカが日本に對して出願ができなかつたということに對しまして、そういうような條約の下に、或る程度の優先權を認めまして、アメリカで出願したと同日に日本出願したというような工合にされるのではないかと豫想しておるのであります。そういたしますと、戰爭中アメリカで相當特許になつておりますというものを、將來日本に又特許權を取られる虞れがあるのでございますから、アメリカで特許になつておるものを、今日本特許になつておらないからといつて實施することは相當危險があるんぢやないかということを惧れておる次第でございます。それから輸入又は移入の方でございまするが、これはもうすでに先程お話のように朝鮮とかそういうものがなくなりましたので當然なくなるべきであるのでございますが、こういう條文の細かな點の整理が實は捗りませんので、これはいずれ民事訴訟法などがこの秋乃至今年中に改正されるだらうと思いますので、その機會に憲法に抵觸するようなものはすべて訂正いたしたいと考えておる次第でございます。
  22. 宿谷榮一

    ○宿谷榮一君 今の繼續ですが、貿易が再開されまして、雜貨關係も相當内地と外國との品物の交流があると思います。たまたまその中に業者が國内では特許を取つてあるが、アメリカで言えば日本特許が取つてない。日本で言えばアメリカの特許が取つてないというような問題が生じて來るのじやないかと思うのですが、或いはあり得ないかも知れませんが、非常に種類の多いものですから、そういう問題も出て來ようと思うのですが、どうもこの點が現在の状況においてはつきりまだ呑み切れないのですが、日本だけの場合を考えまして輸入すると、特許權侵害したことになるという點が、現在の状況において實際の問題として少し矛盾が生じやしないかというような氣がしておるのですが、將來通常の國交状態の下でありますれば、當然こういう問題も、日本特許があることを知りつつ、外國から日本特許を受けてないものを日本に入れるという場合もあり得るかも知れませんが、そういう問題が今後當分の間、或いは出やしないかという心配をするのでしてお尋ね申上げたのであります。
  23. 久保敬二郎

    政府委員久保敬二郎君) それは外國人が日本特許を持つておるという場合でありますか。
  24. 宿谷榮一

    ○宿谷榮一君 外國人が日本特許を持つていないで、アメリカが日本特許を持つていなかつた場合、併し日本には特許があつたというものをたまたま貿易再開に際して輸入したということが出て來るのですが、それに對して通商上のこういうことで制限して置きますと、通商上の自由貿易というような面にも影響して來る分が多少あろうと思われます。この點に對して現在の状態において、この輸入、移入という點を殘して置くことがどうかとこう思うのでしてお尋ね申上げたわけであります。
  25. 久保敬二郎

    政府委員久保敬二郎君) アメリカで特許を取つておるかおらないかに拘わらず、日本で戰爭中特許を取つたというようなものを、それを今のアメリカで日本出願して來た場合にどうなるかというようなことで考えてよろしうございますか。
  26. 宿谷榮一

    ○宿谷榮一君 出願する以前に、日本特許を取る前に輸入した場合を私は申上げておるのであります。
  27. 久保敬二郎

    政府委員久保敬二郎君) 外國からの輸入につきましては、それが日本で模倣いたしますと、日本におきまする特許權侵害になるというような場合にはいかんということを連合軍の方からやかましく言つて來ておるのであります。只今日本特許がないからといつて、それを實施いたしましても、今特別の事情の下に、今後平和條約によつてアメリカが優先權を主張して、ずつと前に遡らしてその特許權を發生して來るという虞れがあるのです。そのために現在日本には特許が取つてなくつても、外國から輸入したものをそのまま模倣するということは非常にあとで權利侵害の訴追を受ける虞れがありますので、ちよつと警戒を要する問題だろうと思うのですが、この輸入したとか移入するというものを權利侵害にするかしないかという問題につきましては、これは萬國同盟條約を結んでおりまして、日本だけ特別にどうするということはできませんので、これは世界各國ともこの規定は遵奉しておるものでありますので、それを今特に變えるということはできない問題だと考えております。右のような次第でありますので、よくPXなんかでよいデザインがあるからそれを早速日本で眞似して作ろうというようなことをいたしますと、それは今日本特許權がないからよろしうございますが、平和條約が結ばれると、遡つて特許權ができるということになりますので、やはり權利侵害になるというようなことになりますので、PXに入つたりなんかしておるものをそのまま模倣することはいかんという豫め注意を受けておる次第でございます。
  28. 宿谷榮一

    ○宿谷榮一君 日本の問題も逆にそういうことは今度は考えられるのであります。
  29. 久保敬二郎

    政府委員久保敬二郎君) 只今のお話はアメリカに對して日本がどうできるかという問題ですね。それが今度の平和條約で互惠條約、双務的にその點が決められますかどうですかということの問題になるのでありますが、前大戰では大體双務的に兩方とも同じように決めております。これは前大戰では、ドイツとアメリカが兩方とも大きな工業國であります。相當兩方とも相手方の權利侵害しておいたという量なども、相當同じような程度じやなかつたかと思うのであります。そういう意味で双務的に解決しておるのでございますが、今度の日本の方の場合におきますと、双務的に行きましたならば、非常に私ども仕合せではないかと考えておるのでございますが、平和條約でどうなりますか、この點心配しておる次第でございます。
  30. 宿谷榮一

    ○宿谷榮一君 この案は衆議院でも可決しておる案ですか、まだどういうことになつておりますか。
  31. 稻垣平太郎

    委員長稻垣平太郎君) 委員會は可決しまして、今日本會議にかけるのであります。
  32. 宿谷榮一

    ○宿谷榮一君 そうですか、これは早急に決定しなければいかん問題ですね。
  33. 稻垣平太郎

    委員長稻垣平太郎君) そうであります。
  34. 細川嘉六

    ○細川嘉六君 この法案の内容について質問するわけでありませんが、さつき小林委員からもお話がありまして、局長の方からも二、三その感想も述べられておりましたが、今日の日本の現状では、發明とか工夫、新考案というものは、うんとできなくちやならんし、又國の建設には、これはどうしても今まで通りでなしに思い切つたものが出なければたらん。それについては長い間特許の方に關係しておられる局長の方において、どういう特許權者保護し、更に特許なさる色々のものを發達させるかということについて、何かお考えがありませんか。どういう發展策、一つ發展策はありませんか。鑛工業委員會では、これは直接に問題にならないでしようけれども、こういうこともお互いに理解して置いた方がよいと思いますから、この點何かあなたの方に一つお考があるならば仰しやつて下されば、參考になると思います。
  35. 久保敬二郎

    政府委員久保敬二郎君) 發明奬勵につきましては官制によりまして、發明奬勵委員會というものを商工省に作つておりまして、そこて色々發明奬勵の方策を大臣が諮問いたしておる次第でございます。只今諮問に對して檢討中でございまして、まだ結論は得られておらないのでございますが、優秀なる發明を積極的に實施するために、數億圓程度の實施營團というようなものを作りまして、そこで良い發明を取り上げて、どんどん事業化さしたらいいじやないかというような御意見があるのであります。大體發明ということは發明することよりも、むしろそれを實施することが非常にむづかしい問題でありまして、發明力におきましては、日本もアメリカも大して違いはないと考えるのでありまするけれども、それを工業化する力におきまして、アメリカは世界に群を拔いているというような工合考えておるのであります。そういうためにアメリカというものは、ああいう富強を誇り得る國になつたと考えられるのでありまして、アメリカの新聞の論説などを見まして、發明を強化させるということに對して積極的の精神を事業家が持つておる。こういう事業家が發明を積極的に強化させようという精神力を持つておる限りはアメリカの繁榮は永久に保障されるであろうというような論説なども出ておるのでありまして、要するところ發明というものは發明しつぱなしではなんにもなりませんので、それをどんどん工業化さして行かなければなんにもならん。そのためにこれが少しばかりの資本では到底ものによりましては工業化できないのでありまして、大きな發明になります程、何億、或いは何十億というような資本が要りますので、結局國家で推進するようなものになりましたならば、何億という單位の金を使つて推進しない限りはうまく行きません。現在のように發明の實施化のために五萬圓とか、十萬圓程度の補助金を出しておる程度では大した望みが持てないのでございますが、結局そこに行きますと、國庫と睨み合せの問題になりますので、私共の主張も未だ容れられていないような次第なのでありますが、工業化させるということに對しましては、今後とも私どもの最も力を注いで行かなければならない問題ではないかと考えておるのでありまして、著々その實現に努力はいたしておる次第でございます。
  36. 小林英三

    小林英三君 今の久保長官のお話私非常に意見が違うのであります。今發明奬勵の問題について御質問がありましたのですが、發明だとか、或いは考案だとかいうものは、その場合直ちに一つの工程で行くものではない。一つ發明でもこれが實施できるまでには何段階も段階がある。恐らくどんな發明でありましても直ぐ實施できる、いきなりできる發明はない。最初いくら特許を取りましても、機械化して物になつて世の中に出るまでは何囘も何囘も改良して行く、その段階がむつかしいのであります。これがすぐ使えるような立派な發明であれば、何億圓も政府が出さなくても民間の企業家はいくらでも出す、そこまで行く段階がむつかしい。これはどこの發明家に聽いて御覧になつても恐らくそうである、初めから自分の理想とするものができるものではない。發明して實施して見て商品化すると故障がある。又やり直す、又やつて又駄目だ、いよいよ完全な物ができるまでは何囘も段階がある。これは世界の何處の國の大發明でもそうだと思います。ゼームス・ワツトの發明でもそうである。その間の段階がむつかしい。これが日本政府ができない。だから發明家は貧乏をしてできない。それを私共は要求しておるのであります。詰り發明家に對して立派なものを成り立たせるには、政府がそこまでやらなくちやならんということを考えるのであります。實際立派なものができたら誰でも出します。政府のおせつかいは要らん。そこまでの段階に對して大變な援助を必要であると同時に、そういう大きな發明を完成したものは大きな當與をするということを私共は希望したいのであります。
  37. 濱田寅藏

    ○濱田寅藏君 大體御發言が非常に逸脱したような傾向があるのであります。本論に入つて進めて頂きたいと、かように考えております。
  38. 細川嘉六

    ○細川嘉六君 逸脱していない。大體法規の内容についての説明は終つたのですから、これを活かすべく質問に入つておるので逸脱していない。それからもう一つ局長さんにお聽きしたいと思う。先程長官はソ聯において發明家を非常に優遇をしておる例を擧げられましたが、ソ聯という國は新らしい國である。大破壊の後から起ち上がつた國でありますが、その際教育も大變改革をやり、科學技術の非常な振興策もやりました。それについて、そこからあなた方お調べになつて、この問題についてソ聯がどんなことをやつておるか。それを一つお話を聞くことはできないでしようか。
  39. 久保敬二郎

    政府委員久保敬二郎君) ソ聯の方の特許制度竝びに發明奬勵制度につきましては、實はあいいうすべて祕密にしておる國柄でございまして、完全な資料はなかなか手に入らないのでございます。昔もソ聯大使館に申し込んだりなどしたこともあるのでございますが、結局貰えませんで、現在私共が研究いたしておりますのは、或いはフランスの文献に現われておるとか、英國の文献に現われておりましたようなもので、私共は漸くソ聯の特許制度の一部を知つておるというような貧弱な知識なのでございますが、目下ソ聯につきましては、當然日本に……、外の國では採用しておりませんソ聯だけ、というようなものが相當ございますので、その制度は當然研究しなければならんと考えまして、今飜譯などに努力いたしておるのでございますが、まだ十分に資料が整いませんので、もう暫く御猶豫をお願いいたしたいと存ずるのであります。  それから先程の小林委員に御答辯申上げたいのでありますが、私ども發明の工業化というところの問題は、その失敗を重ねて何遍もやらなければいけんというのは、全く同じ意味に考えておりまして、政府で出資するというのも、結局そういうようなために出資したいということを考えております。完成しておること、或いはもう確實にこれができるというものは、特に政府が援助をしませんでも、民間でそれが十分にできるものでございまして、數囘の苦心を繰返さなければできんとか、或いは何遍も研究はして見たけれども、結局はものになり得ないというようなものに對して、相當の援助をしなければならないと考えておる次第でございます    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  40. 稻垣平太郎

    委員長稻垣平太郎君) 大體御質問も盡きたように存じまするので、今日お話を伺うことはこの程度に止めておきたいと思いますが、御磯議はございませんか。
  41. 稻垣平太郎

    委員長稻垣平太郎君) それでは質問はこの程度にいたしまして、久保長官には、先ほど田村さんから御希望のありました統計表を、一つ私の手許までお届けを願います。  それでは本日の特許法の一部を改正する法律案についての御説明竝びに質疑を、これで終ります。  尚この前の委員會におきまして、石炭調査の御報告がありました際に、北海道の輸送の問題につきまして、本委員會で決議案を作りまして、運輸交通委員會にこれが調査方を依頼いたしたわけであります。運輸交通委員會におきましては、運輸當局にこれが説明を求められた次第でありまして、私その會に出席いたしまして、北海道炭の貨車輸送についての隘路その他についての説明をいたしまして、これに對する當局の答辯を求めたのであります。それに對しましては、先般中川委員から御報告になりました數字についてはその通りであるが、目下貨車要修理數が二千五百輌あるうち、今月中にあと千三百輛程度修理できる豫定である。尚來月は七八百輛になる豫定である。機關車も本土の方からそちらの方へ廻しまして、機關車の數の少ないのに對して緩和をする豫定である。そういう次第でありまするから、今後石炭輸送について北海道において心配するようなことは、絶體にいたさぬつもりであるという御答辯でありました。このことを皆樣に御報告いたしておきます。  尚工機部その他における食糧による動勞意欲低下云々の問題につきましては、これは事實相違しておるという御返答でありました。この點を御報告いたしておきます。  それでは本日の委員會はこれで散會いたします。    午前十一時三十五分散會  出席者は左の通り。    委員長     稻垣平太郎君    理事            下條 恭兵君            小林 英三君            川上 嘉市君            中川 以良君    委員            カニエ邦彦君            濱田 寅藏君            荒井 八郎君            大屋 晋三君            平岡 市三君            堀  末治君            鎌田 逸郎君            小宮山常吉君            宿谷 榮一君            玉置吉之丞君            田村 文吉君            藤井 丙午君            帆足  計君            細川 嘉六君   政府委員    特許標準局長官 久保敬二郎