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宮城タマヨ君 私も
山下委員の今述べられましたように、本
法案並びに
衆議院の方から廻つて参りました
修正を加えました全部に
賛成をいたす者であります。それにつきまして
一言附加えさして頂きたいと思うのでございますが、実際この
兒童福祉法案は、
地方なんかずつと歩いて見ますというと、世間的に非常にやかましく言われておりまする石炭の
國管案なんかに比べまするというと、非常に地味ではございますけれども、廣く深く、そうして大きい問題として、非常に廣い範囲でこの問題に関心を持たれてお
つたということを感じるのでございます。その他やはり私共この
厚生委員会におきまして、この
福祉法を審議いたしました者の
責任を思うのでございまして、そうしてその
責任と申しまするのは、ただ
法案を
成立させただけの
責任でございませんで、この
法案が実際に
運用される上にどういうふうになるかという今後の
責任について、私共多大の
責任を感ずるのでございます。それと同時に、この
行政面の
運用について、非常な大きい
希望と
期待とを持つものでございます。
そこで私は始めから些か心配いたしておりました点について、もう
一言最後に附加えさして頂きたいと思うのでございますが、先程
大臣からとても有難い
お話を伺いましたので、
司法行政と
厚生行政とが、つまり
少年法と
兒童福祉法との
関係が、いよいよこれからよく
なつて参りまして、
子供達がどんなにか、殊に不良と言われます
子供達がどんなにか助かるだろうということを、私は非常に喜んでおるものでございますが、この実際問題といたしまして、本
法案の
政府原案二十四條の
但書のところにございます「
少年審判所の
保護処分をなすべき
兒童については、この限りでない。」という
但書がここにございますことで大体はつきりしておりますけれども、実際としたらこし
兒童相談所に持つて参りました者、それからこの
少年法による
保護を受けますところの者ということを区別するということが、実際問題としては私はむづかしいだろう。そうして又
兒童相談所の職員によく
審判所との
連絡がつくようにな
つて來るまでは、殊に
兒童相談所だけが非常に
廣幅に
兒童を引受けることになりまして、言い換えて見ますと、純粋の
犯罪少年を除けましたところの、いわゆる虞犯少年なり、
不良少年なり、
浮浪少年なりというものは、全部私は
厚生行政の窓口に集ま
つて來る結果になると思うのでございます。そうして、そのことが又この
兒童福祉法の狙つておりますところでもあると思うのでございます。それで結局から申しますというと、
年齢も今までの
教護法によります
不良兒、それから不良の虞のある
子供は十四歳以下でございましたけれども、今度は十八歳以下ということになりますというと、
年齢においても非常に殖えて参ります。いわゆる
本当の
犯罪少年だけが
少年法によるものとなり、そうしてその他の者ま皆
厚生行政によるところの
保護を受けるということになりまして、一面から
考えましたならば、
子供達に取
つて仕合せのように
考えられますけれども、実際取扱う面について、随分これは困難な点が多くないかということを心配するのでございます。それにつきまして
教護院に入れなければならないという
程度の、つまり
社会から隔離して
保護しなければならないという
子供は、これはもう量から申しましても極く僅かなものでございまして、
本当の
不良兒の
保護ということは
観察保護で、親の所に返しましても、それからいろいろ就職しましても、よその家に預けましても、とにかくその
程度の
子供をよく
保護するという所が私は
不良兒に対して一番の
狙い所で、これが一番数の点においても
廣幅のものだろうと思つておるのでございます。それはつまり
観察保護するという
意味合の
子供なのでございますけれども、それについて今までの民生
委員なり、今度できますところの
兒童委員に今まで長い
間経驗を持つております
少年嘱託保護司というものがすでに加えられております。今度も幾分加えられると思いますけれども、この点について特に私は
考慮を
お願いしたいと思つております。もう二十何年間の
観察保護をいたしております
嘱託保護司が、今日実に
不良少年の
保護ということについては、労が多くて効が少すということに惱んでおります。でございますから、新らしく殊に
不良少年は愛で撫でて育てれば、これは大丈夫よくなりますよと言
つたような甘い
考えを持つて掛かりますと、時に失敗することがあると思いはすので、
司法行政の
末端で、今までやつておりました
嘱託保護司というようなものを、今後も
兒童委員に多量に加えるということを
一つ御
考慮を願いたいと思いますのです。それから実際
地方なんか歩いて見ますというと、今まで專門にやつておりました
嘱託保護司なんか、もう手を燒いてしまいまして、而も
司法省の方の
費用が、殊に
子供を委託しております
費用が実に少うございまして、
委託費用が一人について一日三円、これは
厚生省の方の
保護になりますと十五円ぐらい、
事務費が七円ぐらい付きまして、二十円以上のものが付くというようなことから、
仕事もむつかしいし、
費用は貰えないしというので、実際
厚生省の
仕事に代りたいということを
希望しておる人が
本当にあるのでございます。それから一方今度はお金のことは余り問題でないけれども、不良の
子供を扱つておりまして手を燒いておりまして、実際これは愛ばかりで
子供は
保護することはできないので、これはやはり
司法保護の方に委せて、愛と鞭との両方の
厚生行政と
司法行政のごときものを以て、
司法省の
関係の方にこの
仕事を返上しなければならない。余りむずかしいということを、
厚生行政の方の
末端をやつておる人が言つておりますのでございます。
或る
意味から申しまして実にちぐはぐな
末端の人達の苦しみなのでありますが、そういうことを思いますときに、先程
山下委員からも
お話がございました。総てを
一元化するという
兒童委員の
設立ということは、私はもう切実に
お願い申上げますものでございまして、どうしてもこれは
一元化して
貰つて、
末端の
本当の骨を
折つて命懸けでやつていらつしやる方々に、
仕事のし易いような
一つ組織を持つて頂きたいということを特に
お願い申上げまして、この
法案に全面的の
賛成を申す者でございます。