○草葉隆圓君
兒童福祉法案の質疑につきましては、予備審査以來熱心に、且つ実地調査までいたしまして進んで参りましたので、大体終了いたしたと存じますが、今囘の
衆議院で修正された新らしい提案等の
関係で二、三の点をこの
機会に御
質問申上げて置きたいと存じます。
第一は、
兒童福祉司と
兒童福祉委員のことが、
はつきりと今囘
改正法案において出て参りましたので、以前よりも余程十分なる機能を発揮することができると存じますが、その
兒童福祉司は、その配置或いは人選、或いはこれの俸給、いわゆる待遇等についての御腹案がありましたら伺
つて置きたいと存じます。更に
兒童委員は全部
民生委員だけに付けた名前に相成
つたのでありまして、而も
改正第六十四條になりますと、本法
施行後三ヶ月を過ぎますと全員総改選ということに相成りまして、誠に適任者を得るにおいては絶好の
機会と存じます。併し從來ややともいたしますと、いろいろ批評されてお
つた民生委員の改選に当りまして、單に形式的に流れて数だけをおいたために、むしろその結果において妥当でないような
状態が生じて來たのが、現在拡充された
民生委員に対する一つの不評ともな
つて來たかと存じますが、今囘の
兒童福祉法の
施行を契機といたしまして、民生員の改選に対する選考標準、或いはその数、或いは
民生委員に対する待遇等についての御腹案がありましたら伺いたいと存じます。尚
改正法によります十
二條の
民生委員はこれに協力するもの、いわゆる
兒童委員は
兒童福祉司に協力をするということにな
つておりますが、その外二、三事務的なことが條項に挙
つておりますけれども、協力をするという概念はこの
兒童福祉司とも
仕事の上において相当違
つた考え方になると思うのでありますが、この具体的な考え方において
兒童福祉司と
兒童委員との関連をお伺いしたいと思います。
次に、從來の規定の四十
二條、いわゆる少年教護
関係でありますが、我々は從來からこの年齢が十八歳であるために、少年司法
保護と今回の
兒童福祉法による從來の少年教護との
関係が、むしろ混乱しはしないかということを憂いまして、一方これとは違
つて兒童院等の綜合的な
兒童保護の行政機構を確立するにおいては、年齢を從來
通りにした方が却
つてよいのじやないかというようなことが、相当本委員会での論議となりまして、從
つてそれによる
兒童福祉法の提案の
改正を考えてお
つたのでありますが、
政府におきましては今回修正して提案にな
つております。いわゆる年齢十八歳を以て、いわゆる
厚生省の
兒童福祉と、それから從來の司法省の少年
保護とが混乱せずに不良行爲をなし又はなす虞れのあるものと、犯罪行爲をなし、又はなす虞れあるものとの、実際に事務的に円滑に連絡が十分や
つて行かれるような手配をお取り願うかどうかという点を一つ
お尋ねを申したいと思います。
それからもう一つ元の
改正前の四十六條に少年教護
施設において学科を卒えたる者は直ちに修了証書を與えて課程を修了したものと認定をするということに相成
つているのでありまするが、これは從來はその
施設から正当に退院する、場合において、その院長が認定をいたしてお
つたので、在院中であ
つて、学科を修了しておるが、まだ性行が直らない者に対しては、性行が直
つてから課程を修了したものといたしてお
つたのでありまするが、今回はその性行の如何に拘わらず、学科は学科として課程を修了した者を認定するというこに変
つたのでありまするから、実際上の運営については相当これはいろいろ問題がある場合があろうと存じますが、この現行法と、
改正されております
兒童福祉法の四十六條の運営については、できるだけ実際の教護院長等の立場を十分阻害せずにやれるようにな
つて頂けるかどうか、この点も伺
つて置きたいと思います。
もう一つ
政府の最初の案の四十
一條の次に、私は
精神病的な
子供を各養護
施設、いわゆる
福祉施設には
精神病的な
兒童の取扱いが欠けているから、これをどこかに入れたらという問題を、
関係方面からの御
意見等も拜聽して持
つてお
つたのであります。併しこの
精神病兒という言華は妥当でありません。
精神病的な
子供でありまするから、場合によりますと
精神薄弱兒を廣く解釈して、その中に包含をしながら、從來の
意味の
精神薄弱兒、更に廣義にもつと廣く解釈して、
精神病的な
子供をここに加えるということになりますと、別に
一條を設けんでもいいと存じますが、
精神薄弱兒を左様な解釈の下にお取扱いになることができるかどうか、これも伺
つて置きたいと思います。
それからもう一つは、
改正前の第四十五條の
兒童福祉施設の長は入
つた者に対して必要がある場合には親権を行う。これは余りに親権を行な
つて、例えば保育所等において親権を行な
つて、從
つて保育所においていろいろ危害を受けたり、或いはいろいろな場合において、親権者であるから、それに対する処罰等も何ら受けんで済むというような惡意に解釈される場合があることを虞れまして、そうして親権というものを最小限度の、例えば教護院等に限るとか、或いは孤兒院等に限るというような最小限度の親権でいいじやないかということが私共の主張であるわけでございますが、これはさような
意味においての実際の取扱いができるような処置を、この提案の原文においてもお採りになる御意思であるかどうか、この点を
お尋ね申し上げて置きます。
それからもう一つは三
十九條、今度の新らしい修正の三十
八條において、母子寮が加えられ、且つ三
十九條において、從來の三十七條でありますが、保育所というのがあるのでありまするが、この母子寮と保育所との
関係は誠に相密接なる
関係を持
つておるのでありまして、從
つて母子寮の機能を幸いにここで取上げて進めます以上、保育所の第三
十九條、元の三十七條、この保育所というものに対して、僅か
一條でありまするが、これが実際の取扱い、或いは内容等について少くとも一方教育法でいう從來の幼稚園等に匹敵するだけの内容と権威とを持たせるように、今後
指導するということが最も必要でありはしないか。いわゆる
兒童福祉の上においては、一方保育所の完全なる発展ということを期することが最も大事ではないか、かように考えるのであります。日本の現在の勞働
関係から申しましても、あらゆる観点から申しましても、保育所の完全なる設置と発展とを期するために、取府は十分なる方策をこの
機会にお立てになることについてのお心持を一つ伺
つて置きたい。同時に母子寮に対して、更に現在の母子寮以上に
政府は相当の方法を以てこの母子寮をお建てになり、或いはその奨励をなさる御意思があるかどうか、殊に最近最も困難な情勢にある問題は、
子供を持
つておる未亡人の問題であります。これは実際塗炭の苦しみに悩んでおるのでありますから、幸いに今回修正されました
兒童福祉法案に母子寮が入りましたので、これも十分なる方策を一つこの
機会にお取りになることを私共は冀
つて止まないのでありまするから、この点につきまして
政府の御所信を伺
つて置きたいと存じます。以上であります。