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1947-09-25 第1回国会 参議院 厚生委員会 第18号
公式Web版
会議録情報
0
付託事件
○
教員
の
恩給増額
に関する
請願
(第六 号) ○
食肉統制價額撤廃
に関する
陳情
(第 二号) ○
聖靈生命眞理療法保護法規
の
制定及
び名誉恢復
に関する
陳情
(第四号) ○兒童の
福祉増進
に関する
法令制定
の
陳情
(第七号) ○
恩給法
の
改正
に関する
陳情
(第十二 号) ○
都市官公廳職員
の
生活
安定に関する
陳情
(第三十八号) ○戰死、
戰災遺家族
並びに
傷病者
の更 生に関する
陳情
(第五十号) ○
恩給法
の
改正
に関する
陳情
(第六十 四号) ○
國民健康保險組合制度
を
改革
するこ とに関する
陳情
(第六十六号) ○
國民健康保險金
に対する
國庫補助金
の
増額等
に関する
陳情
(第九十八 号) ○
青少年禁酒法案
(
小杉イ子
君發議) ○
恩給増額
に関する
請願
(第三十九 号) ○
災害救助法案
(
内閣送付
) ○
兒童福祉法案
(
内閣送付
) ○
青少年禁酒法制定反対
に関する
請願
(第五十八号) ○
青少年禁酒法制定反対
に関する
請願
(第七十一号) ○
青少年禁酒法制定反対
に関する
請願
(第七十三号) ○
恩給法
の
改正
に関する
陳情
(第百五 十三号) ○
國民健康保險組合
の
振作促進
に関す る
陳情
(第百五十五号) ○
國民健康保險制度
の
更生
に関する請 願(第八十二号) ○
青少年禁酒法制定反対
に関する
請願
(第八十七号) ○
恩給増額
に関する
陳情
(第百九十三 号) ○
最低生活
の保証に関する
陳情
(第二 百十八号) ○
國際電氣通信株式会社等
の社員で公
務員
とな
つた者
の
在職年
の
計算
に関 する
恩給法
の
特例等
に関する
法律案
(
内閣送付
) ○
医師会
、
齒科医師会
及び
日本医療團
の
解散等
に関する
法律案
(
内閣提
出) ○
恩給増額
に関する
請願
(第百十一 号) ○
戰死者遺族
の
更生対策
に関する
請願
(第百十六号) ○
生活協同組合法
の
制定
に関する
請願
(第百四十三号) ○
青少年禁酒法制定
に関する
請願
(第 百四十六号) ○
青少年禁酒法制定
に関する
請願
(第 百五十一号) ○
住宅営團経営
の
住宅
を
國営
とするこ とに関する
請願
(第百六十九号) ○
東京帝國大学演習林拂下げ
に関する
請願
(第百七十二号) ○
教員恩給増額
に関する
請願
(第百七 十八号) ○
青少年禁酒法制定反対
に関する
請願
(第百七十九号) ○
生活協同組合法
の
制定
に関する
陳情
(第二百七十五号) ○
教員恩給増額
に関する
陳情
(第二百 九十八号) ○
傷痍者更生援護
に関する
請願
(第百 九十九号) ○
青少年禁酒法制定反対
に関する
請願
(第二百一号) ○
拂下げミシン
に関する
請願
(第二百 十号) ○結婚問題に関する
請願
(第二百二十 号) ○
恩給増額
に関する
請願
(第二百二十 三号) ○
社会保險制度
の一元化に関する
陳情
(第三百三号) ○
教員恩給増額
に関する
陳情
(第三百 十二号) ○
結核医療施設
を市営に復元すること に関する
陳情
(第三百二十一号)
—————————————
昭和二十二年九月二十五日(木曜日) 午前十時十三分開会
—————————————
本日の会議に付して
事件
○
社会政策
について
総理大臣
に対する
質疑
—————————————
塚本重藏
1
○委員長(
塚本重藏
君) それではこれより開会いたします。本日は、この
委員会
に付託せられております
二つ
の
法案
と、それから
予備審査
の三つの
法案
を日程に上しておいた次第でありますが、
皆さん
の御要求によりまして
片山総理
が御
出席
になりましたから、
片山総理
に対する
質疑
をお願いいたします。通告がありますのでこれを許します。
山下義信
君。
山下義信
2
○
山下義信
君 私は
二つ
ばかり
総理
に伺いたいと思います。來る十月一日、二日、三日、御
承知
のごとく
東京
におきまして全
國社会事業大会
が開催せられることに相成りました。承わりますと両陛下もお出まし下さるということでございます。この今日の困難な
状態下
におきまして、
國民救済
の
社会事業
、聖なる
仕事
に挺身しております全國の
関係者
約二千名が、今や陸続と帝都に集りつつあるのでございます。又当
委員会
も
只今委員長
の申されましたように、殊に
兒童福祉法案
、これは我が國の四百万の
兒童並びに
幾百万の母性の
福祉
を念願いたしまする実に重大なる
法案
を審議いたしております。この
機会
に我々は特に
首相
の御
出席
を得まして、
社会事業
並びに
厚生行政
に関聯いたしまする
政府
の御
所見
を伺わんとする者でございます。 第一は、
厚生行政
の
改革
ということでございます。私
共片山総理
が
内閣
を組織されました当初に、その
施政方針
を
國会
で御演説相成りましたるその内容を具さに拜聽いたしました時に、その中に
國民
の
同胞救済
、即ち
社会事業
、
厚生行政
という面に対しまする御
政策
の御被露がなか
つた
のでございます。固より当面の
國政
の重点が
経済政策
にありますることは言うまでもないことでございまするが、併しながら
社会党
を主軸とする而も
片山総理
が首班と相成りましたる
内閣
におきましてこそ、我が國の
社会事業
というものが
飛躍的発展
を遂げられることを
國民一同
が
期待
をいたしておりますのに、その
内閣
の重大なる
政策
としてお取上げ相成
つた
という
印象
が未だにないことを遺憾とするのでございます。今日の
社会事業
或いは
厚生行政
というものを、從來の單なる恩惠的或いは
慈善的観念
からでなくいたしまして、新憲法の第二十五條にありまするところの
國民
の
最低生活
を保障するという見地の
行政
に向いつちありますることは、言うまでもないことでございます。從いまして私共が
考え
まするに、今後の
厚生行政
というものは、こういう線に副いまする非常な強いものが
展開
せられて行かなれけばならんのではあるまいかということを思うのでございます。これらに関しまして
政府
はどういうお考をお持ちにな
つて
おられましようか。或いは又例えば
國民
の食
生活
の問題、或いは
経済機構
の面で
考え
ますると、
配給
というような
制度
も、これも実際申しまするというと、大なる
厚生行政
ではあるまいかということを思うのでございます。或いは
國民食堂
を設置いたしまするとか、小さいことでございますが、
國民浴場
の新設でありまするとかいうような積極的な面の
厚生行政
の
強化展開
というものが必要なのではないかということを思うのでございます。かく
考え
まするというと、今日の
厚生省
が
労働行政
の全部が
労働省
に移管いたされまして、後が空家のようにな
つて
おりますることを
考え
ますると、
厚生省
の改組というようなことにつきましても、何らかの新らしい構想の下にお
考え
なさりつつあるのではないかと思われるのでございます。即ち
社会政策行政
の
中心
でありまするこの
厚生行政
に対しまする
首相
の御
所見
を伺いたいと存じます。 第二は、私共
厚生委員会
におきましては言うまでもなく、
生活保護
に関しまする問題を取扱
つて
おりまする
関係
上我々本
委員会
におきましても現
内閣
のお持ちにな
つて
おられまする
賃金政策
というものに対しましても亦関心を持たざるを得ないのでございましてその点を
簡單
にこの
機会
に伺いたいと思います。
賃金政策
に関しまして傳えられますところによりますというと、
平野農相
は本年度産米の
新米價
から推しまして、
賃金
千八百円の
ベース
の
改定
も亦止むを得ないだろうという御
意見
と聞えております。又
米窪労働大臣
は新
物價
の
改定
と
賃金
の
改定
との、あの
実質賃金充実
の時間の間のズレから押しまして、千八百円
賃金ベース
に
彈力性
を持たせることも又止むを得ないだろうと言われておるということであります。然るに
和田安本長官
か
内閣
の
既定方針
を堅持せられてありますることは言うまでもございません。それらに関しまして各閣僚の間に
賃金政策
に対するお
考え
が幾らか喰い違いのあるような
印象
を受けておりますことに対しましての、
首相
の御
意見
というものも未だ我々は確たる御
方針
を承
わる機会
を持たないのでございます。新聞紙の報道が区々でございまするので、私共この
機会
におきまして承わりたいと思うのであります。時間がございませんので
簡單
に省略させて頂きますが、実はこの
内閣
の
賃金政策
というものは
大変國民
に私は誤解されておると思います。それは
賃金政策
の
説明
の方法が非常にむずかしうございます。いわゆる千八百円の
賃金水準
というものは、言うまでもなくこの
数字
は
物價体系
を形成なさるところの統計の
賃金
、いわゆる
解説用
の
賃金
でありまして、
世間
に実際に行われておるところの
賃金
を言うのではない。これを堅持するということは必ずしも
世間
の
賃金
をストップさせるという
意味
ではないのであろうと思います。併しながら
國民
はいわゆる
政府
のこの
物價体系
を維持なさるという
数字
上の堅持というものにつきまして
賃金
をストップされておるというような
考え
方を持
つて
おります。尚十一月になりまするというと
黒字
が出るというこの
説明
これも亦
國民
が非常に誤解しておるのではないかと思う。いわゆる千八百円の
生活
で
黒字
が出るような誤解を持
つて
おります者が多々ある。実際はこれは四・二を掛けましたるその
收入
のものが理想的に
物價
が参りましたときに
黒字
が出るという
数学的説明
なのでございまするが、これが恰も
現実面
の上に直ぐにこうなるもののような
印象
を受けておりますることは、要するところ
賃金政策
の
説明
というものが、ただ單に
物價体系
を作りまする
基本的政策
の
説明
と
現実面
との混淆から來りまするところのものではないかと思いまするので、私共
内閣
の
賃金政策
の上におきまして、もつと
國民
に
分り
易いように、
國民
はこの
内閣
によりまして段々
社会党
に対しまする
期待外れ
という淡い失望はございまするが併しながら
総理大臣
に対しまする信頼というものは非常に厚くな
つて
おります。これはあなたを目の前にいたしまして私がかくのごときことを申上げますることは、聊かお世辞のように聞えまするが、眞に今漸く
総理
の人格というものが
國民
の間に
滲透
して参りました。眞面目なる
氣分
が勃然として起きつつあります。働こう働こうという
氣分
が起きつつございます。時恰も新秋の
好きシーズン
になりまして、いわゆる
勤労意欲
というものが正に
向上
しつつあるように私は見受ける。こういう時に
賃金
に
彈力性
を持たせる。私共はこの
生産
の
能率
を上げるということと、
賃金
とがスライデイングしますことは決して
弊害
がない。
物價
と
賃金
とが惡循環しまする場合は
弊害
がございまするが、
生産
を非常に高めて、そうして
賃金
を幾パーセント上げて行くということは、これは当然のことであるということに
考え
ておるのでありまするが、併しながら一方におきましては
賃金
が恰もストップしておるかのごとき感を持ちまして、
生産サポ
に遺憾な点があるのでございます。
内閣
におかれましては新らしき
生産増強
、
能率増進
に伴いまするところの彈力ある
賃金政策
、而も
國民
に
分り
やすいところの
賃金政策
をお取りになりまするお
考え
があるが否かどいう点を伺いたいと思います。以上の二点につきまして
総理
の御
答弁
を煩
わし
たいと存じます。
片山哲
3
○
國務大臣
(
片山哲
君)
只今山下
君の御尤もなる御
意見
に
基ずく
御
質問
でありましたので、この
機会
に私が
施政方針
において述べましたる
社会事業
に関する根本的な
考え
を申上げて見たいと思います。 御
承知
の
通り施政方針
の演説は大体総論的な問題のみを述べなければならない時間的
制約
もありまするし、細かい問題についてはこの後に來りまする
政策
の
実施面
において十分御了解を願い得るという段階において申上げることにな
つて
おるのであります。それで私の
社会政策
、或いは
社会事業
に関する
考え
をどこに進めてお
つた
か、どこに包括してお
つた
かと申しますると、
民主主義
の
徹底
ということを強調いたしたわけであります。その
民主主義
は
政治
問題に限らず、
産業経済
の
部面
にも、又
社会生活
の
部面
にも
滲透
しなければならない。そういう
意味
で
民主主義
の
徹底
を
高度民主主義
という表現を以ちまして、できるだけ
説明
の便宜を図ろうと
考え
たのであります。即ち
徹底
せる
民主主義
が各
方面
に
滲透
いたしまする場合においては、その
政策
はおのずから
國民
の
生活
の
向上
となり、又
産業
の
発展
に役立つことともなり、
社会生活
の平均が來たり、富の偏在が打ち碎かれるということにもなるし、万般の上において偏頗なる
生活状態
というものがなくな
つて來
ると、こう
考え
ておるのであります。
從つて高度民主主義
の
徹底
が
社会生活
及び
産業経済方面
に
滲透
することによ
つて
、根本的なる
社会政策
、或いは
社会事業
、もう少し強めて申しまするならば、富の公平なる分配を画策いたしまするところの
政策
が
滲透
して來ると
考え
るのであります。例えて申しまするならば、農村において
農民
が非常に苦しい
生活
をしておる、これは地主の搾取もあ
つた
のでありましよう、
土地制度
の不公平、不
均分
というような不
合理性
もあ
つた
であろうと思うのであります。これを打破して、眞に
生産
に從事する
農民
の
生活
を
向上
せしめなければならない、こういう
意味
で、
制度
の
改革
によ
つて下
の方に沈んでお
つた農民
の解放を図
つて
行かなければならないと
考え
ておる
意味
において申上げておるのであります又
労働者
の
生活
もその
地位
の
向上
を図ることが
産業
の
発展
に役立つことになるのである、
労働者
の
産業
に対する或る
地位
を與えることによ
つて
、
労働意欲
の
昂場
もできるのである。そうして
地位
の
向上
、
制度
の
改正
が
産業
の
発展
と関聯いたしまして、その
生活態様
の改善もおのずから現われて來るのである。
社会生活
に
民主主義
の
滲透
することによりまして
社会生活
が明るくな
つて
、そうして極く
分り
易い例を申して見まするならば、
家庭生活
においても男尊女卑、封建的なる
家族制度
が打破せられることによ
つて子供
の
地位
も
向上
するし、
婦人
の
地位
も
向上
する。こういうふうにな
つて來
ると
考え
ておるのであります。
從つて子供
を尊重する
観念
であるとか、或いは力の弱い方方の
保護政策
というものも
均分
の
観念
に從いまして、おのずから透徹して來なければならない。こういう
基本観念
と申しまするか、根本的なる
政治原理
をそこに置いて
各種
の
政策
をそれから割り出して來なければならない。こういう氣持を
多分
に現
わし
たいと
思つて
お
つた
のであります。その
意味
において
民主主義
の
滲透
が何よりも必要である。これは
政治
問題だけでは決してないということを強調したゆえんであります。私はそういう
意味
から
社会政策
は高度なる
民主主義
の
滲透
によ
つて
十分に行われて來なければならないものであ
つて
、そういう
方針
の下にこの
内閣
は
政治
の実際に当
つて
行こう、こういう根本的な心構えを申上げたような次第であります。そこでそれから割り出して何をなすかという実際問題にな
つて
参りますると、仮すに時に與えて頂かなければならないし、又行うについての
順序
も見て頂かなければならないと思うのであります。特に
考え
るべきは、
山下
君も仰せになりました
通り
、今日は
経済危機
を突破するということが
中心
とな
つて
、
國家経済
の
建直し
ということが第一にな
つて來
なければならない。
國家経済
を
建直し
て、そうしてその
確立
を
考え
た後において始めてそこに透徹せる
各種
の
政策
が実現して來ると、かように
考え
ておるのであります。何よりもなすべきことは、我が國の
経済
の
破局
を救わなければならない、こういう当面の重大なる
仕事
がかぶさ
つて來
ておるものでありますから、それを
中心
といたしまして実際上の
政策
を現
わし
て行かなければならない。こういうような
建前
で進んで行かなければならないと
思つて
おるのであります。決して
社会政策
、
社会事業
を疎かにしておる筈もなければ、又これを忘れておることもないのでありまするが、何しろ当面の
破局
を救わなければならないという止むを得ざる事情のために、思う
通り
のことができないというような悩みに陷
つて
おるということも御
了承
を願いたいと思います。そこでこの
破局
を
救つた
後においては、できるだけの
社会事業方面
に力を入れたいと
考え
ております。今までは
軍事費用
が
多分
に要求されまして、予算の大部分というものが
軍事費用
でありましたのでありますが、今日においてはそれがなくなりましたが、併しまだ戰爭の後始末をしなければならないということによる多くの
制約
があることは御
承知
の
通り
と思います。それで段々それらに関する
仕事
が終りましたる後においては、御
希望通り
の方向に向
つて
十分進んで
國民生活
の
向上眞
に氣の毒なる人の
救済
は勿論のこと、不合理なる
社会制度
の
改革
に段々と進んで行きたいと
考え
ておるのであります。
從つて子供
の問題であるとか、
婦人
の問題であるとか、或いはその他病人に関する問題でありまするとか、
國家衞生
に関する問題でありまするとか、進んでは
子供
の教育に関する問題、
家庭
の
明朗化
、そういう問題についてはできるだけ多くの
費用
を計上いたしまして、実際面における
救済事業
に
進行
いたしたいと
考え
ておるのであります。どうか今暫く時を仮して頂きたいと思います。そうして
皆さん
の協力を得まして、十分なる施策に進んで行きたいと
考え
ておる次第であります。 第二の
賃金
の問題でありまするがこれも
山下
君御
質問
の中に御
意見
としてお述べになりましたる
通り
でありまして、この
賃金
は決して
釘付け
にしておるわけではないのであります。元來個個の
経済生活
をよくしようと思いまするならば
國家経済
をよくしなければなりません
國家
の
産業
の
発展
を図
つて
行かなければならないのであります。
戰後
の
國民生活
と
國家経済
との
関係
の順調なる進み方を図
つて
行かなければならないということが、今日程
現実
的に現われておる時はないと思います。その
個人
と
國家経済
、
國家産業
との
関係
は誠に有機的な密接な
関係
を持
つて
おると
考え
るのであります。そこで
國家経済
をよくし、
國家産業
を
発展
せしむるということが何よりも先に來るのであります。これがよくなりますならば、自然に
個人生活
もよくなりまするし、職業も安定するし、
國民全般
に関する
生活
安定ということが実現して來ると
考え
るのであります。御
承知
の
通り戰前
と比較いたしまして、今日の勞働力の
生産能率
も減退いたしております。
戰前
においては一人でやり得たことを今日では三人掛りでや
つて
、漸く同じ結果を得られるというような窮屈な
状態
にな
つて
おるのであります。それは資材の不足であるとか、資金の
関係
でありまするとか、交通の不便でありまするとか、いろいろの
條件
が重なるものでありまするから、
能率
が低下いたしておりまするし、尚又全般的に
考え
まして、
國家生産能率
というものも
戰前
の半分或いは三分の一にな
つて
おるというようになることを
考え
て見ますると、全体として
生産能率
の低下せる現在におきましては、
戰前
のような割合をも
つて
そのまま臨むことができないのであります。特に
土地
が減りましたのにも拘わらず、人口が殖えておるというような
現象
でもあり、又
消費生活
の
部面
から
考え
ましても、そう急激に
生活態様
を切下げるわけにも行きませんので、
消費場面
におきましては相当の
消費状態
でありまするから、これら全体を綜合いたしてみまする時において、
賃金
と
物價
との
関係
を同じ
水準
に置くというわけには行かないと思うのであります。
物價
が
政府発表
の
計算
によよりまして、物新
價体系
によ
つて
五十倍或いは六十倍の高率を示しておるということをお示しいたしたのでありまするが、それと同じように
賃金
を上げるわけに行かないのであります。今申しましたような
條件
、今申しましたような
制約
によりまして、
物價
の方は高くな
つて
おりまするが、
賃金
はその以下に
水準
を決めて、そうしてその釣合を取
つて
行かなければならないと思うのであります。即ち
物價
は高くなりましたけれども、
賃金
はこの程度に止めて置いて、その間の原因は何から來
つて
おるかということを
考え
て行かなければならない。そこに我が國の
経済
の
破局進行状態
があり
危機状態
がある。これを加えて初めて
物價問題
と
賃金
問題との
平衡率
が保たれるこういうような
状態
になるのであります。これを取除かないことには、この
破局進行状態
を取除かないことには、
賃金
の
ペース
を上げるわけには行かないと思うのであります。
從つて賃金
を上げますると、
自然物價
もずうつとこういう
傾斜状態
で
上つて來
る。こういうふうで何よりも必要なることは、
賃金
を仰えておりまするところの、この
不健康経済状態
を取除くということが必要と思うのであります。それに
政府
は極力奮闘いたしておるのであります。即ち闇の撲減でありまするとか、或いは
生産拡充
に関する
國民
の
総力
の集中でありまするとか、いろいろの
経済健全対策
を樹てまして、そうして平衡せる
状態
に進む
健康状態
の
恢復
をのみ念願しておるというような
状態
でありますから、今この
賃金
の
ペース
をそのままに、
物價
が
上つた
からと言
つて
上げるわけには行きません。上げますと必ず
物價
が
上つて來
まして、
生活
は苦しくな
つて
参ります。それでありますから、いろいろ新聞に傳えられておるような説があるといたしましても、
政府
の目下の
考え
といたしましては、この千八百円の
ペース
は
守つて
行きたいと
考え
ておる次第であります。これは
釘付け
では決してありません。ストツプでは決してありません。
ペース
でありまするから基準としてこれだけのものを
守つて
、新
物價体系
の壊れることを防いで行かなければならないという趣旨であります。お示しのように
個々
の
産業
、
個々
の
経済
で採算の取れる場合においては、適正なる
賃金
が
考え
られてよかろうと思うのであります。そういう
意味
でありまするから、七月五日発表いたしましたる新
物價体系
は堅持して行きたいと
思つて
おります。そうして
國民
が
日本
の
政治
を担当しておると同様に、
日本
の
産業
を
國民
全体が担当しておるのである。
日本
の
産業
を
発展
せしむるものは、
國民
全体の力である。国民の
総力
というものを、こういう場合に発揮して貰わなければならない。そういう
意味
から申しまして、
労働運動
が最も健全に
産業発展政策
の線に副うて
労働運動
が進まれなければならないと
考え
て、その健全なる
発展
を指導いたしたいと
考え
て
労働省
の発足をいたしておるような次第であります。特に
労働組合運動
が
産業
を
発展
せし
むる中枢
の担い手として、
國家経済
に大いに寄與して貰いたいと
考え
ておるような次第でございます。こういう
意味
から
國民運動
の
展開
を
政府
は要望いたしておるのであります。
國民運動
と申したのは、決して
政治運動
ではなく、お説教ではなくして、
國民
全体が
國家産業
を
背負つて
、國定
経済
の
発展
に寄與して貰いたい、こういう
意味
でありまして、闇を抑えるのも、
流通秩序
の
確立
を実現して貰うのも、一に
國民
全体の
運動
に俟たなければならないと思うのであります。
安本
で申しました十一月になれば
黒字
が出るであろう、こういうことは勿論
安本
で
考え
ておりまする
体系
が順調に進んで、
國民
全体の力によ
つて闇
を撲滅して、いわゆる
闇ブローカー
を排除して、本当に
國民
が
配給
で
生活
し得るように、
生産増強
に
國民
全体が邁進するという
建前
が実現いたしまするならば、
予定通り
の
進行
によ
つて黒字
か出る、こういう
順序
を示したことであります。遺憾ながら闇の撲滅を完全に行う段取りには行かなか
つた
のでありまして、この点甚だ残念に思います。
從つて理想通り
の
黒字状態実現
ということに行かなか
つた
ということも、亦
現実
としては止むを得ないことであろうと思います。併しどうか
國民
全体が十分これらの問題を認識して頂いて、そうして
黒字実現
のためにこの
体系
を十分に
守つて
頂きまするならば、必らず
物價
も下
つて
参りまするし、
希望
は実現せられるというふうに
考え
ておるのであります。これは我が國だけの特殊なる
現象
ではなしに、全世界に現われておりまするところの
現象
であろうと思いまするから、我々
國民
は眞に一体とな
つて
、
希望
を持
つて
、そうして闇を排除いたしまして、働いて
配給
で
生活
をする、こういう
建前
で進んで行かなければならないと
考え
、
政府
は極力これを
希望
し、
國民
にこれを強く求めておるような次第であります。以上の点を十分に御
了承
を仰ぎたいと存ずる次第であります。
草葉隆圓
4
○
草葉隆圓
君
敗戰後
の困窮いたしました
國民生活
の打開のために、
政府
は
経済
の実相をよく
國民
に知らして、諸諸の
経済緊急対策
を実施しながら、一方に
國民
に
耐乏生活
を求めて進んでおられるのでありますが、
只今総理大臣
の御
答弁
を伺いますと、
高度民主主義
の
徹底
ということによ
つて
、
社会政策
を十分浸透する、そうして当面のこの
経済
の
破局
を救
つて
行くということが、先ず何よりも急務であるから、それを
救つた
後で
社会医療
に全力を盡すというような御
答弁
のように私は拜承いたしましたが、その点につきまして、尚二、三の実例を挙げて御
質問
申上げ、
総理
の御
所見
を拜承いたしたいと存じます。 現在の
國民生活
は誠に非痛な程苦しい
状態
であると存じます。一方におきまして、諸々の
経済緊急対策
を実施し、それと
國民
が力を合せる
意味
においての
耐乏生活
を求められておる。これだけでは私共はどうしても本当の起ち上りというものはできんのではないか、
救つた
後から、当面の
破局
を
救つた
後から
社会政策
、
社会医療
に手を付けるということは、これは無理なことではないか、むしろ本当に諸々の緊急
経済
対策というもの、或いは
國民
の
耐乏生活
というものは一方においてさような
社会政策
、社会施設の充実があ
つて
初めてでき上るのではないか、この面の裏附けがなか
つた
ら空念佛に終る虞れはないかということを私共は深く憂い、且つ信じておるのでありまするが、この点につきまして私は
二つ
の関点から実例を以て一つ伺いたいと存じます。 第一は兒童の問題であります。兒童の問題につきましては、大戰爭の後で諸々の兒童の問題が生じますことは、これはもうどこの國でも同じでありまして、曾てムツソリニーが政権を取
つて
ナポリに参りました時に、孤兒が余りに多くてその処置を糺明された時、自分はこの孤兒の処置ができるまでは再びこの町を訪問しないと言
つて
、全力を盡して孤兒の処置に力をいたしたことは有名な話でありますが、最近も外入記者が
日本
に参りまして、町の孤兒を見ながら、
日本
には
政治
はないとさえ発表してお
つた
ようであります。今囘の
政府
の社会立法の最たるものとして拜見いたしておりまする
兒童福祉法案
の問題につきましても、これは眞劍に現
政府
がこの
敗戰後
の
日本
の起ち上りの上に、明日將來を
背負つて
立つ兒童をあらゆる観点からお
考え
にな
つて
おる十分なる
政策
としてを御立法にな
つた
かということを、我々は疑う程のさまざまな問題が尚残
つて
おる
状態
であろうと思います。例えて申しますると、不良少年について從來から
厚生行政
の面と、司法
行政
の面から相当長い間の未解決な点があ
つた
のであります。識香は何とかしてこれを解決しなければ、一つの不良少年の処置においてもこれは十分でないと言はれてお
つた
状態
でありまするが、現
政府
の唯一の社会立法である
兒童福祉法案
においてすら、尚現在解決せずに、そのまま出ておるというような
状態
でありまして、私共はこの一つの兒童の問題を取
つて
、殊に緊要なる兒童の問題を取
つて
考え
て参りました場合に、もつと強い高度の
社会政策
の立場から兒童問題の解決にお当りになる御意思が、急いでお当りになる御意思があるがどうか、そういう点について一つ御所信、御
意見
を拜承いたしたいと存じます。我々はむしろ大きい立場から、
日本
の將來を
背負つて
立つ兒童の問題については、從來の分散的な取扱を止めて、新に
総理大臣
直属の兒童院というようなものを作
つて
、そうしてそれには調査研究の機関を置き、十分や
つて
行かないと將來悔いを千載に残すことになりはしないか、いろいろな具体的実例は割愛さして頂きまして、もう一つの問題に移りたいと存じます。 もう一つは、戰爭犠牲者の処置の問題、いわゆる戰災、戰爭によ
つて
傷痍を受け、両眼失明し、両手両足をなくしたさまざまな傷痍の者、恐らく百万を越しておると存じます。或いは
子供
を失
つて
年寄
つた
両親が農業もできず、或いは今囘の非戰災者の特別家屋税等によりまして、た
つた
一つの家屋等にも課税をさせられ、而もそれは戰爭の公平なる負担の分配という名の下に行われ自分の
子供
を失
つた
程大きなる犠牲はないではないかという声が欝勃といたしておりまするが、その中でも特に夫を失
つて子供
を持つ未亡人の問題、誠に窮迫しておる問題と存じます。一方
日本
の
経済
が建直
つて
から、それから手を打つというような問題ではないと思う。現に私共が最も
期待
をいたしておりました
総理大臣
が三月十五日に「民衆の幸福」という書物を出版されて、その中に戰爭犠牲のために多くの未亡人ができた氣の毒なことである。これら未亡人は
生活
問題、社会問題について新らしい話題を投ずることであろう、社会の人々はこれらの氣の毒な未亡人を保護することになるであろう、來るべき
家庭
法でも十分に保護するは勿論、実際的な社会施設によ
つて
も働けない未亡人のために、又
子供
を抱えて
生活
のために苦闘しておる母のために、できるだけの愛と同情を以て迎えねばならん。尚これらの戰爭犠牲者を含めて一般に夫を亡くした氣の毒な妻と
子供
のために、
國家
は現存の母子施護法に満足することなく、これを
徹底
的に拡張して、大胆に
國家
の
費用
を支出するの途を講じ、その
生活
、職業とその
子供
の將來のために
希望
を與えるようにしたい。これは
総理大臣
が三月に御発表になりましたものですが、この時には母子保護法はすでに解消いたしておりましたから何かの錯誤だと存じます。それはともかくといたしまして、多くの数十万の未亡人はいわゆる懐しい片山さんの言葉を聞きながら、
総理大臣
になられての方策を本当に一日千秋で持
つて
おるものであります。まう賣るべき物もなく、誠に悲惨な
状態
にありますが、ここにありますように、大胆に
國家
の
費用
を支出するの途を講じて、そうして速かなる方策をお立てを願うということについて、
総理大臣
の率直なる御所信を拜承いたしたいと存じます。
片山哲
5
○
國務大臣
(
片山哲
君) 私の申上げましたのは、緊急対策が終
つた
後に
社会事業
に着手する。こういう
意味
ではなくして、今
社会事業
に着手する方は決めて置くのである、
民主主義
の高度なる
徹底
によ
つて
氣の毒なる人を救い、
婦人
子供
のために
國家
は特別の施設を持
つて
行かなければならない。金がないために教育を受けられない人々の教育施設の改善もや
つて
行かなければならない。いろいろやるべき方向は決めて置くのである。又準備もするのであるが、併しこれを実際に当嵌めて見ますれば、兒童保護の設備も要りますし、又教育問題につきましても六・三制の完全なる施設等に沢山の
費用
を要するということになるので、その
費用
支出を伴い、予算を伴う具体的な社会施設は、危機突破の後でなければ遺憾ながら実現の運びに至らない。こういう二段階に分けて申上げたつもりであります。即ち根本的な心構えはその方向に必ず向いておるのであるが、具体的
費用
を伴う施設は暫く待
つて
頂きたい。併し全然やらないのではなくて、許す範囲内においてできるだけの施設を小出しにしながらや
つて
行こう、こういうような実際の事情から來ておることを申上げたような次第であります。そういう
意味
から申しまして、今直ちに兒童局を設立するとか、或いは
子供
婦人
のために何億円という
費用
を予算に計上いたしまして、これを支出するというようなる具体計画を立てるということは、予算の上からい
つて
非常に困難である。それよりもこういう予算を計上し得る財政を
確立
したい。こういう
費用
を捻出し得る
経済
状態
に早く向
わし
めたい。その
意味
において先ず危機突破である。戰爭のために荒されて我々は燒野原に住んでおるのである、焦土の、燒けた煉瓦や割れた瓦の中にそのまま住んでおるのであるから、その燒跡を整理して行かないことには、前に進めない。前に進むためには
國民
全体の協力で跡片付けを取敢えずや
つて
、そうして跡にバラックでも建て、道路の整理もする、そういうふうにして着々や
つて
行こう。こういうことを
考え
ておる次第であります。決して全然危機突破と
社会事業
とを切り離して別個の
観念
にしておるのではないのであります。その
意味
において
施政方針
の演説におきましても、危機突破に向うのであるが、平和
國家
建設のために、文化
國家
建設のために、
國民
に健康にして文化的なる
生活
を保障するために、これから向わなければならないということをお約束しておるような次第でありまして、來るべき文化
國家
の内容を五ケ目挙げまして、私が
説明
いたした趣旨はそこにあるのであります。そういうふうにやりたいことは山程ある、今お読み下さいました私の書物におきましても、氣の毒なる未亡人のためにできるだけのことをしたい、大胆に
國家
の
費用
を計上して、そうして施設の充実を図
つて
行きたいという心持は今も同じでありまするが、何しろ財源がない、財源を早く作るように地均し工作を先ずする必要がある。組閣後三、四ケ月はどうしても地均しに掛かるわけであります。かかる程戰爭の被害というものが現われて來ておるのでありまするから、その点を御
了承
願いたいと存じます。そうしてできるだけ早く兒童問題、
婦人
問題のために財源を捻出して、そうして社会施策の
徹底
に進んで行きたい。かように
考え
ておるような次第でありまして、決してこれはこれ、あれはあれと分けて、今は何も手を付けないというような
意味
ではなのであります。必ずその方向に向
つて
進むべきことを明らかにいたしますし、又今後においてもできるだけそういう
方面
に
國家
の
費用
を投じて文化
國家
建設のために邁進したいということを重ねて申上げることができると存じておる次第であります
藤森眞治
6
○藤森眞治君 私は極く
簡單
にお伺いしたいのですが、実は私は今日まで
政治
を知らない田舎の一開業医者として、いろいろ
政府
の施設
方面
を実行して來た者であります。その間におきましていろいろ不便を感じたり、又不可解な点を体驗して参りました。と申しますのは同じ目的を以て作られておる施設、或いは法律というものが各
方面
から出て來る。そのために一つの目的がそういうことに煩いされて、十分貫徹されないという憾みを度々体驗したのでありますが、今囘この
兒童福祉法案
の審議に当りまして、その実例に当りましたので、この点について少しお伺いしたいと思います。 勿論片山
首相
がこの法律の條文を一一御存じはないとお察しいたしまするが、これを掻い摘んで御
質問
申上げたい点を申上げますると、第九條におきましては、兒童を
二つ
に分けて、つまり幼兒に対しては兒童局がこれの保健指導に当ろう。これから後は兒童局は先ず知らん顔をしておるような恰好にな
つて
おります。そのために先達て
質問
いたしましたところが、幼兒までは兒童局のやれる範囲においてやる。それから後は学校衞生
方面
でやることだから、敢えてこれ以上は要しない。こういうお話でありました。これが先程申しました私の非常にこれまで不便と感じ、不審を持
つて
お
つた
点であります。新らしくできます法律で、殊に大きな兒童を目標にいたしました。こういう立派な法律ができます場合に、何故これを一貫して十八歳に至る兒童という定義が下してありまする範囲の兒童全体について、一方は学校衞生においてやろう、一方は児童
福祉
法でやろう。こういう
考え
方が果して適当であるかどうか、片山
首相
はよく
施政方針
に病氣のことを例に取
つて
お話にな
つて
おりまするが、ここに一つの身体がありますると、頭の方はお前の方でやれ、こちらの方は全然よそでや
つて
いい。これでは十分身体の診断はできなにわけであります。でき得べくんばこれを全体を通じて診断しましてこそ、立派な診断ができる。こういうことになります。そういうふうに
考え
まするので、一つの法律の目的が決ま
つて
おるにも拘わらず、一方に分れ、又一方においていわゆる
行政
上の都合によりまして、こういうふうに分離するということが、これが
國民
の
福祉
に、或る
意味
において反するのじやないか、こういうふうに
考え
ます。尚最近におきましてこの災害保險、或いは船員保險、これが
厚生省
の管轄から離れました。我々從來まだいろいろ
各種
の社会保險ということの統合、これを一つにするということを相当
希望
して参りましたものでありまするが、それが却
つて
一つに纒めてありましたものを、又逆にこれを
労働省
の管轄に移し、或いは運輸省の管轄に移して複雑にするということは、これは官廳の
方面
の、いわゆる官廳
行政
の便利の都合かも知れませんが、併し実際にこれに当り、又これを受ける者の便宜から申しまするならば、成るべくこれが統合されている方がいいのじやないか、こういうふうに
考え
ます。
國民
の
福祉
のためには、官廳
行政
の便宜ということのために、この
福祉
を犠牲にすることはできないと
考え
るのであります。こういうふうな点を見ます。殊にこの災害保險に例を取
つて
申上げますと、最近においてこの災害保險は
厚生省
の方のいわゆる都道府縣の保險課からは、災害保險、いわゆる業務上の疾病は取扱わなくな
つた
から、これらは自分らの方の管轄外であるという通知が各
方面
に参
つて
おります。併し業務者のいわゆる災害を受けた折はどうかということについては、何も言うでございません。又
労働省
の方からも言
つて
おりません。いずれこれは何らかの方法ができると存じまするが、この空間にいろいろな又事故が起
つて
参りまするような
状態
であります。こういう点を見まして、いわゆる法律が
行政
大臣の便宜のため却
つて
実行、或いはこれを受ける者の幸福が犠牲にされるのではないか、こういうふうな点が
考え
られますので、その辺の立法上のお
考え
、或いは運用の点、こういう点につきまして
首相
の御
答弁
を頂ければそれで幸いと存じます。
片山哲
7
○
國務大臣
(
片山哲
君) いろいろ運営上に当りまして連絡が付かなか
つた
り、或いは別個の
意見
を出して、実際の局に当
つて
おられる方々の御迷惑を起したというようなることは誠にまずいことでありまして、今後の運営に当りましては、十分これらの点は注意いたしまして、万遺憾なきを期さなければならないと思います。連絡及び事務上の問題については十分注意をいたすことにいたします。尚
行政
上の都合で、
行政
上本位に
考え
て、災害の
救済
の実が挙がらない場合があるのではないかという御
意見
でありまするが、誠に御尤ものことと存じます。できるだけそういうことのないようにしたいと
思つて
目下いろいろ檢討いたしておるのであります。從
つて
災害保險は
厚生省
に統一をすべきか、又は災害の種類によりましてそれぞれ分割すべきであるか、こういうことはいろいろの
意見
がありまして論議をいたしました結果、今のところにおいては
厚生省
に纒めないで分けよう、こういうことになりまして、
労働省
置設に伴い
労働者
の災害は
労働省
へ、それから船員の災害保險問題は運輸省へ、一般の災害問題は
厚生省
へ、こういうふうに三つに分けまして、それぞれ十分その任務に当ろう、こういう
建前
で進んでおるのであります。折角そうふうでやり掛けたものでありますから、一應そういうやり方で進まなければ
労働者
の発足にも支障を來すというふうに
考え
ておりまするから、一應それで御協力を願いたいと思います。又いろいろの御
意見
が出まして更により良き案が出ましたる場合においては、尚諸君にもお諮りをいたしまして、十分檢討いたしたいと
思つて
おりまするが、只今の
方針
といたしましては業者並びに
関係
の方々の御
意見
を徴した結果、それがよかろう、こういうことにな
つて
おるのでありまして、その間の連絡等につきましても遺漏なきを期したいと
思つて
おるような次第であります。折角やり掛けたものでありまするから、そういう
意味
において一つ委員方の御協力を仰ぎたいと
考え
ておる次第であります。
今泉政喜
8
○理事(今泉政喜君) 本日は幸い
総理
の時間の許される範囲において、外に
質疑
がありましたら各自お名前を……
山下義信
9
○
山下義信
君 私共先程からいろいろお尋ねしましたのでございますが、大変御懇切なる御了寧な
答弁
を頂きまして非常に恐縮いたしておるのでございますが、併し遠慮なく申上げますと、実は若干失望をいたしました。本日この
厚生委員会
にわざわざ御
出席
を願いましたので、恐らく
総理
におかせられましては、言うまでもなく
委員会
の性質、
社会事業
、
社会政策
を所管いたしまするこの
委員会
にお出まし下さいまするので、その
方面
の
行政
に対しまして、普通の
総理大臣
ならうともかく、長い間
社会政策
に御盡力遊ばされ、草葉委員の申されるがごとく、殊に母子問題については懐しい片山先生、この席にお出まし下さいまするにつきましては、恐らく力強いお土産が頂戴できるものと我々は予期いたしましたのでござりまするが、一應の御丁寧な綿密なる御
答弁
の中から逐に何物をも得ることがないのでありまして、失礼でございまするが、淡い失望を感じました。これは私共委員が失望するばかりでなく、恐らく全國の
社会事業
家、恐らくいわゆる要援護者の対象の
國民
が失望するのではないかと
考え
ます。これは私共委員の方の
質問
の仕方がまずか
つた
のであろうと思います。実は冒頭に申上げましたように、十月一日、二日、三日に全國の
社会事業
家が相集まりまするので、恐らく
総理
にもお出まし下さると存じまするが、その席でもよろしゆうござりまするで、どうかこの
社会事業
の強化拡充、
厚生行政
の飛躍
発展
に関しまするこの
内閣
の御抱負、御決意、御盡力というものをお示し下さいまして、二千の者が全國からつどいまするそれらがそれぞれあなたのその言明を土産にして帰りまして、それらの事業に邁進することのできまするように御激励を下さいまするよう、まだ数日の間がござりまするので、偏にお願いを申上げて置きます。 尚この
機会
にやはり皆様のお許しを得まして、私が一言
総理
に伺いたいと思うのでござりまするが、実は先般來からいろいろの噂には新党問題の結成云々というような話が飛んでおります或いは講和会議を目指して、誰がその講和会議全権として適当な、それが
内閣
を云々と申して世上の取沙汰がやかましい。然るに一面におきましては最近の新聞紙上には又、いや、この
社会党
の片山
首相
こそ講和会議の全権として最も適当なる人であるが故に、この講和会議はこの
内閣
が乘切るべきであるというような記事も現われております。それはいずれでもよろしゆうござりまするが、これは
國民
が
承知
いたしたいと思いますることは、來るべき講和ということは
日本
を交えての講和会議というものがあるものでございましようか、又
日本
からその全権大使というような者が出まするような性質の会議があるのでござりましようか、私共ではそういう誰が講和全権に行くというようなことはないのではないかと思われるのでござりまするが、この点
國民
がこの講和ということを繞りまして、我が國の只今の立場というものに誤解がありましては、奮闘努力いたします上に
考え
違いがあ
つて
はいけないと存じますので、その点に関しまする
総理大臣
の御
考え
を御示し願いたいと思ふのでございます。
片山哲
10
○
國務大臣
(
片山哲
君) 只今の御
質問
の前に御
希望
の御発言がありましたが、別に
質問
がまずいとか、或いはそれに対して御
期待
に副うような
答弁
ができなか
つた
とかいうようなことを離れて、本当にこの率直なる心持を以て
皆さん
に申上げて、
皆さん
の御協力仰いで、一日も早く健康にして文化的なる
生活
ができるような社会を早く作りたいということを申上げたのが、私の切なる願いであ
つた
のであります。ここであなた方が、その
社会事業
に関する予算を幾ら出ることにな
つた
かとか、或いはその予算を計上しなければ
社会事業
に対する現
政府
の熱意というものがないじやないかと、こうきめつけになりましても、それは難事中の難事じやないかと思うのです。ない財布の中から何とか工面をしまして、そうして文化的な
日本
を早く作
つて
行こうということが今日の私共の切望するところでありまして、先ず金の要らない
制度
の
改革
、
國民
の心からなる要望、
國民
の
耐乏生活
、そうして途が開けるようにして、そこで勢いよく文化的な施設、社会的な施設を心地よく
國民
の協力によ
つて
作
つて
行こうということが常識であり、これが順路であろうと思うのであります。いろいろ戰爭の後始末をしなければならない今日の
経済
状態
を差置いて、その方はいいじやないか、それよりも
子供
のために、
婦人
のために、社会施設のために何億の金を優先的に出すことが、社会施設に関して忠実なるゆえんであるというわけでもないと思います。そういう御議論でも勿論ありませんが、やはり無理をしては
國家経済
というものが成り立たないのであります。やり繰りをいたしまして、できるだけのことをしたい。できるだけのことをするのである。方向も決
つて
おるのである。方向も決
つて
おるが、併し今ここで莫大な
費用
を
社会事業
に投ずるという御約束のできない事情は甚だ残念である。そういう財政にな
つて
おるのである。そういう
経済
にな
つて
おるのである。こういう衷情を訴えて、暫くの御猶予を願
つて
、そうして今は小出しにしておるが、必ずその小出しの線を活して、大出しにして社会施設の
徹底
を図
つて
行きたい。そうしてお待ちにな
つて
おりまする多くの方々の御協力を仰いで、
希望
達成に進んで行きたい。こういうことでありまして、決してこれを無視しておるわけでもなく、又反対の方向に進んておるわけでもない。不仕合せを受けております人々に諦めろというような無情なことをや
つて
おるわけでもないのであります。氣の毒な方々に対しては手厚い施設を
國家
がしなければならない。氣の毒な方々の範囲を拡げて貧しい方々にも、教育を受ける
機会
のない方々にも教育の
機会
均等を與えたい。こういうことを切に
考え
ておればこそ、財政面の余裕を早く作りたい。以前は戰爭のために莫大なる
費用
を投じてお
つた
が、これからは文化のために、社会のためにこれを投ずる
機会
を得たことを喜んで、一日も早くその
経済
事情の來ることを念願して進んで行きたいのでありまするから、どうかこの点は
皆さん
も了解して下さることと思うのであります。そうして
國民
全体が國を仕上げて行く。こういうふうにならなければならないと思います。
政府
は
國民
の使いとして
仕事
を担当いたしておるのでありますから。土台でありまする
國民
全体が、台所についての御理解がなければならないと思います。どうかその点を十分にお知り願いたいと存ずるのであります。尚もう一つ、講和会議の問題がありましたが、敗戰國としての
日本
として講和会議に臨むためには、本当に
日本
を平和國として建直さなければならないのであります。又
民主主義
の
徹底
を図
つて
、
日本
を民主國としなければならないのであります。又新憲法を忠実に安
つて
、新憲法の精神により建直りたる
日本
國であるということを、如実に表
わし
て行かなければならないのであります。それが
政府
の
仕事
として、目下そういう
意味
の新憲法の精神を具体化すること、
民主主義
平和國による建直りをしなければならないということが、私共に課せられたる心構えでありまして、それ以外の事柄はまだ何も申上げる時期にもな
つて
おらず、
政府
の
考え
ておりますることは、以上申上げたことのみであるということを以てお答に代えたいと思います。
小杉イ子
11
○
小杉イ子
君 私はこの度の救急措置といたしましては、どうしても食糧問題が根本であると
思つて
おります。そのために、私が当選いたしました時朝日新聞に参りましたところが、あなたは何故禁酒問題を提げて出なんだ、大変残念に思うと言われましたが、決して私が提げないわけではありません。提げておるのでございます。それがために新
内閣
が酒と食糧と風紀問題を含む高級料理屋に休業を命じたことは、徳川時代よりの一大英断で、北條時頼の識見に近いもので、大いに
政府
を親頼するものであるということを申しております。そうして
内閣
の成立当時、
総理大臣
はお酒を口に持
つて
いらつしや
つた
けれども、召し上らなか
つた
。そうして同窓会でも酒を上らないで、サイダーを注いで呉れとお替えにな
つた
。こういうことはどれくらい
國民
がその一挙一言の下に敬意を表し、謹聽したか、又食糧問題に対して酒という問題も
考え
てくれたということを私は深く感謝いたすのでございます。それでこの間、全國の労働組合の代表者たちが大勢見えました時に、酒ということに対して炭鉱ではどういうふうに
考え
るかと申しましたところ、今まで習慣のある人が飲んでおると申した人もございました。又一人は何でも
政府
は採炭
能率
を上げさすために酒々、酒さえあればこれが増産できると
思つて
おる。我々はそういうふうに丸で魚を釣を餌のようにして貰うことを
希望
する者ばかりではない。こう申しまして、私は非常に嬉しうございました。 それから九月十五日の新聞記事を私は讀みました。「早堀り芋と麥の早期供出には、五萬石の酒が報奬として特配された。縣によ
つて
率はちがうが、麥一俵か芋百貫に対して一合の所もあり、二、三合の村もあり、供出量の多い農家では一斗を超えたものも相当ある。平均三升から五升ぐらいの農村はめずらしくない。それが舊盆の八月末にどつと一度に
配給
された所が多いらしい。このごろの酒は腐りやすくて残暑には十日ともたず、呑助の農家でも一日一升の酒はのみほせず、料飮禁止でヤミに流すはけ口も容易に見付からず、蚕卵紙を入れる冷藏庫に酒びんの林立している所もあるという。蚕といえば、どぶろく密造でコージカビが發生し、それが掃立稚蚕兒に付著して掃立三日ぐらいで死んでしまうどぶろく養蚕異も長野縣辺りにあるそうだ。まじめな精農にいわせると、農林省がとかく百姓を呑兵衛あつかいにするのは心外で、報奬酒は労をねぎろう程度にとどめるべきだ。まして丹精した米が酒にな
つて
粗末に持込まれるのはむしろ腹が立つとい
つて
いる。大体報奬
制度
そのものが、
農民
を合理的な
経済
人としてあつかわず、正規の價格の外におまけをつけてつらねば出さぬという惡い癖をつけてしま
つた
が、ことに報奬酒は、世界でも最も勤勉な我が
農民
に飮酒の弊風を公然と流行させ、ひいてはどぶろく密造を助長した罪は大きいと言える。」こういうことが書いてあります。これは朝日新聞でございます。こういうふうでございますので、酒のないところの方が七割も増産しております。私は石炭増産でも四十四、五年先のことを
考え
ましても、いろいろ研究いたしましても、どうしても國管でなければならん、これには全面的に私は賛成いたしております。けれども増炭するのに酒をやるということは、各所で調べましたのでも、酒のある者と、ない者とによ
つて
、二割六分増産しておるところもあるし、それから七割ほどアメリカあたりは上げた例もあります。酒が欲しいという者は一割五分しかないということも調べておりますのに、これは余り問題になさ
つて下
さらないということは残念で、酒と禁酒問題を一緒にすると仰つしやいますけれども、決して離すことはできないのでありまして、そしてこの米さえあるならば、手のない人、足のない人がどれくらい喜ぶか、その点について大いに努力をして頂きたいという
希望
を私は
総理大臣
に申上げたいのでございます。
今泉政喜
12
○理事(今泉政喜君) ちよつとその前にお諮りいたします。
総理
は時間のお約束があ
つて
、十一時三十分までこちらの方におられて長くお引取めをすることができないことを甚だ遺憾に思います。一つその点
皆さん
の御
了承
を仰ぎたいと思います。
服部教一
13
○服部教一君 ちよつと五分間……お忙しいところおいで下さいましてありがとうございます。私は申上げたいことが沢山ありますけれども、時間の制限がありますから、一つだけ申上げます。 玄米食の問題でありますが、これは專門の研究家は、非常に衛生上有益であることは勿論、この現下の主食の不足を補う上において玄米食の奬励は最もいいということを言われておるのであります。それで
國民
全体に強制するということはむずかしいのであります。併しながらこれを大々的に奬励したならば必ず米の不足を大いに助けると思うのであります。どうか專門家の
意見
を………日の医学博士会あたりでも、これは衛生上いいということを決議にな
つて
おるのでありまするから、御
承知
だろうと思いますけれども、これを主食の不足の折柄一つ大いに奬励して頂きたい。又專門家のお方もあるのでありますから、そういう人の説を聽いて頂きたいと思います。ちよつとこれだけ申上げます。
片山哲
14
○
國務大臣
(
片山哲
君) ちよつと
簡單
にお二人にお答えしたいと思います。禁酒の問題でありまするが、これにつきまして、私の唱えておりまする
耐乏生活
なり精神
運動
なり
國民運動
なりは、無駄を省いて消費を節約して皆働いて
生活
をするようにして貰いたい、こういう
意味
を含んだ
耐乏生活
であります。その
意味
において、
國民運動
として、そういうものが
國民
の中から自発的に起ることが結構なことと思いまするが、やはり文化の施設、
農民
の娯樂、
農民
の慰安、勞働者の慰安というような文化施設を行わなければならないと思います。そうして酒に代
つて
勞を慰安する設備を
皆さん
によ
つて
考え
て頂きたいと思うのであります。そうしますれば、一杯の酒で勞を慰するということの代りに、他の方法で勞が慰せられるこいうことになると思いまするから、それと並んで
運動
を起して頂きたいと思うのであります。 それから玄米食の問題は、随分長い間の御議論のように拜聽いたしておりまするが、いろいろ学者で
意見
も区々たるようにも
承知
しておりまするので、更に
厚生省
あたりで十分に研究さして、民間の
意見
或いは諸君の
意見
も十分に反映するようにして頂きたいと
思つて
おります、
小川友三
15
○小川友三君 お許しを頂きまして……大水害が関東地区にありまして、その水害地の埼玉選出の議員としまして、特に治山治水、
社会事業方面
において
政府
の一段の御協力をお願いしたいのであります。
総理大臣
は、
日本
の困
つて
おる台所を
國民
は知
つて
貰いたいというお話がありましたが、こうした大水害或いは前議員の多々おつしや
つた
通り
、
社会事業
を積極的にや
つて
貰いたいということは、
國民
は協力をいたすのでありまして、例えば財政上困ると
総理大臣
はおつしやいますけれども、電燈に税金を掛けても百億円くらいの税金は一ヶ年に上がります。農地に税金をかけましても、百億以上の税金は上がります。煙草を値上げしましても、数十億の増收を計ることができます。奢侈品に税金を掛けましても百億前後の税金は取れます。酒造税を上げれば百億の税金は取れます。合計五百億くらいの税金は國を救うために、
社会事業
を積堀的にやるとか治山治水事業を積極的にやらなければならんということを主張し、
國民
に納得さえ行けば、五百億くらいの増税は絶対に可能であります。その
簡單
な例を申上げますると、簡易裁判を
政府
は七万円前後を以て作るという計画でありましたが、あれでは二坪、三坪しかできませんが、簡易裁判所のできるところの町村では百万円、二百万円、三百万円近いところの金を集めまして、簡易裁判所をどしどし新設いたしておるような次第であります。又六・三制にしましても
政府
は金を出しませんが、
土地
によりましては百万円以上二百万円の金をどしどし
國民
は集めまして、心配をいたしておる現状でありまして、
國民
の台所は非常な
收入
の増大によりまして相当樂にな
つて
おる場面があるのでありまして、どうか
國民
の台所は無財産に近いものであるという
総理大臣
の御解釈を御訂正願いまして、積極的に
社会事業
に力を入れて頂くことを御願いする次第であります。
千田正
16
○千田正君 お忙しいところ誠に恐縮ですが、一分間だけお願いいたします。只今私は東北の水害地から辛うじて身を以て帰
つて
参りましたが、東北は御
承知
の
通り
二囘打続く洪水によ
つて
非常な打撃を蒙
つて
、実りの秋を前にして
農民
が茫然としてお
つた
ところが、この十五日以來の百七十七ミリ以上の降雨のために、再び決壞個所数十ケ所岩手縣の縣南の黒澤尻から宮城縣の縣北新田、瀬峯に至る蜿蜒数百キロは殆んど一物もなく流しつぶされた状況であります。不幸にして
東京
都のような近いところでないために、十分なる通信網もなければ連絡もない、正に湖底に沈まんとするところの
状態
に置かれておるのでありますので、特に厚生
方面
の
関係
といたしましては、衣料、藥品その他緊急対策を是非講じて頂きたい。この点は切実なる両縣の、第三囘目の洪水を受けて打ち沈んでおるところの縣民からの要望でありますので、
総理大臣
に是非この点を御考慮願いたいと思います。
片山哲
17
○
國務大臣
(
片山哲
君) 今囘の水害につきましては多くの罹災者諸君を出しまして、誠にお氣の毒に思い、深甚の御同情を申上げたいと存ずるのであります。天災とは言いながら
政府
はこの災害を最低限に止める努力を拂うべきでありまして、唐突の際でもあり、後で
考え
てこうすればよか
つた
、ああすればよか
つた
というようなことなども思いつきまして、誠に申訳なか
つた
ことなどもあると
思つて
いるのであります。速急に應急救護対策を立てまして、
内閣
に
委員会
を作り、できるだけの処置を取
つて
活動をいたしております。又復旧対策もやらなくてはならないと
考え
まして、これも併行いたしまして
内閣
に
委員会
を作りまして、復旧対策を立てつつあるのであります。尚金融問題に関しましても、即時支拂の便やら、封鎖解除の便等も、大藏大臣を通じましてすでに発表いたしている
通り
であります。又農林大臣といたしましても、供出問題やら災害地に対する農村対策をも速急に発表すべく、それぞれの処置を取
つて
いるような次第でありまして、今囘のこの苦い経驗を生かしまして、今後においては万遺漏なきを期したいと懸命な努力を拂
つて
いる次第であります。どうか諸君は罹災地の氣の毒なる方々によく慰問下さいまして、
政府
が極力御同情を実際の上に現
わし
たい、今後の対策を十分に立てたいという
考え
を持
つて
おりますことをお傳え願いたいと存ずると共に、今後においても諸君の十分なる御援助を仰ぎたいと存ずる次第であります。 尚小川君より財政上の問題についていろいろの御進言がありまして、十分これは研究しつつあることでありまして、御
意見
のあるところを汲み取
つて
今後の施策の上にも檢討いたしたいと存じております。
今泉政喜
18
○理事(今泉政喜君) それではこれを以て
総理大臣
との間の
質疑
應答は打ち切りたいと思いますが、お差支ございませんか。
草葉隆圓
19
○
草葉隆圓
君 本日の
委員会
はこれを以て閉会したいということの動議を提出いたします。
今泉政喜
20
○理事(今泉政喜君) それではこれを以て本日の
委員会
は散会いたします。 午前十一時四十六分散会
出席
者は左の
通り
。 委員長 塚本 重藏君 理事 今泉 政喜君 谷口弥三郎君 宮城タマヨ君 委員 内村 清次君 河崎 ナツ君 中平常太郎君 三木 治朗君 草葉 隆圓君 中山 壽彦君 安達 良助君 木内キヤウ君 小林 勝馬君 藤森 眞治君 井上
なつ
ゑ君 小川 友三君 小杉 イ子君 波田野林一君 服部 教一君 姫井 伊介君
山下
義信君 米倉 龍也君 千田 正君
國務大臣
内閣
総理大臣
片山 哲君
政府
委員 厚生事務官 (兒童局長) 米澤 常道君 厚 生 技 官 (医務局長) 東 龍太郎君