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説明員(
久下勝次君) 最初に
小杉委員の
お尋ねの中
お答えをいたす必要があると思うことがございますから……。
医療費につきまして、
実情に應じて徴収のできるような
規定を設けて欲しい、こういう
お話でございます。つまり取れない者からは取らなくていいようにというような
お話であつたように伺いました。
医療費の問題につきましては、
医師会、
歯科医師会の
解散とは直接
関係がないようには存じておるのでございますが、この点につきましては若干今までの
経緯を
簡單に申上げたいと思います。
医療費につきましては
國民医療法の中に、必要な命令を
厚生大臣が、なし得ることにな
つておりまして、
医師会、
歯科医師会令には、
医師会、
歯科医師会はそれぞれ
医療報酬の
標準額を
総会において
決定することにな
つてお
つたのであります。これがいわゆる
医師会、
歯科医師会の定めた
医療報酬でございます、これはあくまでも
標準額でありまして、個々の
医師はその
標準額に基きまして適当な
医療費を決めて、具体的な場合に應じて頂くということにな
つてお
つたのでございます。この根本的な今までの行き方を如何様にいたすかということは、実は御
承知の
私的獨占禁止法の
関係もございまして、果して
医師会、
歯科医師会というものが、今後新らしく出来ましたものに対しましても、自分の
会員の取るべき
医療費を、会として決めていいかどうかということは、この
私的獨占禁止法との
関係において
考慮を要すべき点があるように思うのでございます。併し又一面におきまして、
医療費というものの本質につきまして考えなければならない面が
お話の
通り相当ございます。この辺の調和につきましては、
只今経済安定本部その他
関係方面と
相談をいたしておるところでございまして、御
趣旨に副うようにいたすつもりでございます。
それから清算に関する
弁償金を取らないように、人によ
つては軽減するようにという
お話でございます。この点につきましては、今度の
法律の
建前が、すべて
医師会、
歯科医師会の
総会においてこれを
決定するということにいたしておるのでございます。私共といたしましては、その
決定に基きまして、それぞれ主務官廳が
認可をすることにな
つておりますが、この
認可もできるだけ
総会の決議を尊重いたしましてやるようにいたしたいと思います。併しその
決定が基だしく公益を害するような場合には、或いは
認可を與えないというような
処置によりまして、甚だしい場合の
処置としては今のような最後の手もございますので、極端の場合には
処置ができると考えております。できるだけ御
趣旨のように
医師会、
歯科医師会が自発的にそういう点を
考慮するようにいたして行きたいものと念願をいたしております。
それから藤林委員の
お尋ねでございますが、
法律案第十五條に対する御
質問でございます。第十五條を設けました
趣旨は、実はそ前に
日本医療團の現在
経営しております
施設の概要を申上げる必要があろうと思うのであります。
医療團の
経営しております
施設は、
医療團が
設立せられましてから既存の
施設を買収したものがあり、或いは寄附を受けたものがあり、或いは借受けてや
つておるものもございます。或いは又
法律に基く出資を受けておるものもあるのでございます。又借受けましたものにも、期限付のものもあり、或いは無期限のものもあり、有償のものもあり、無償のものもあるというような
状態でありまして、極めて複雑でございます。そのうちこの十五條の
規定が適用せられまするものは、ここにも書いてございますように、
日本医療團の所有する土地建物その他の
施設物件でございまして、即ち
医療團が所有するという事実がなければこの
規定は動かないのでございます。かような
規定を設けましたのは、
医療團の
経営しております
施設の中には、新設、買収、出資、寄附というようないろいろなものがございますが、これらの物のうち寄附或いは買収に際して條件を附けておるものもございます。この條件の中には、
医療團が
解散をする場合には返して欲しいというような條件の附いたものが相当あるのでございます。この
規定はさような條件の附きましたものについて考えておるものでございますが、先程申上げました
医療制度審議会の
答申の
方針から申しましても、
日本医療團の
経営しておりまする
医療施設は成るべく一括してこれを処理するようにしたいという
一般方針が定められておるのでございます。而もこれを公的な
医療施設として残すようにして欲しい、こういう
一般方針が定められておるのでございます。この根本
方針に基きまして、その処理
方針といたしましては、仮に條件の附いておりますもの、例えば仮還しなければならないという條件の附いておりますものでも、十分相手方と
相談をして、そうして話し合いのつく限りこれを公的機関として残すように努力すべきである、その他借入れの
施設につきましても亦同様にこれを
從來医療團の
施設として利用しておりました人々に対しては、
日本医療團の
経営方針として社会保險の單價をも
つて從來全部
医療を行な
つてお
つたのでございます。これが私的の
病院にな
つてしまつたり、或いは
病院以外のものに轉換をされるというようなことがありますと、その附近の人々が非常に迷惑をいたしますので、公的機関としてできるだけ安い
費用でよい
医療を受けられるように処理すべきであるというのが、
医療制度審議会の
答申の
方針でございます。かような考え方から、特に國が、
國家とてし必要と認めます場合には、さような條件の附いておりまする
施設でも、外のものに優先して買取り得るということをこの
規定でいたしたいと思うのでございます。勿論この
規定はさようなことでございますけれども、私共の
只今の考えといたしましては、これを盾に取
つて何でもかんでも國に取上げるというような
措置をいたすつもりではないのでございまして、あくまでもこれはいわゆる傳家の宝刀というような考え方で、できるだけ相手方との話合いによりまして、十分な了解を頂きました上で、今申しますような
医療制度審議会の
答申の
方針に副うように
処置をいたして行きたい、こういう考えでございますので、十五條は一應こういう
規定を傳家の宝刀として
規定はいたしておりますけれども、実際の運用としてはできるだけこれを使わずに、円満に解決して行きたいと思
つておる次第でございます。
尚甚だ失礼でございますが、
お尋ねに添えて一二
お答え申上げて置きます。元の
所有者に対する返還をなすべきであるという
お尋ねもございましたが、これも
只今申上げたことで御了解を願いたいと思います。それから戰時中買収したことについては無理があつたという
お話でございます。この点は私共としては全面的に否定をいたすつもりではありませんが、御了解を頂きますために若干そのときの状況を申上げたいと思います。昭和二十年戰爭末期に非常に空襲が激しくなりましたときでございます。あの当時各
大都市に、空襲を受ける危險の多い所におきましては、多くの
病院が他に身賣りをいたしまして、そうしてその金を握
つて田舎へ疎開をしよう、或いは
医療機関としてそれを放釋してしま
つて、とにかく人に賣
つてしま
つて田舎に逃げようという傾向が非常に多くな
つておりました。時の
政府はこの点を憂慮いたしまして
閣議の
決定をいたしました。そうして空襲が激しく
なつた場合にはそういう
病院がなくなりますことは、空襲によりまして出た怪我人の救護に非常に支障を來たす虞れがある、又不断の
國民一般の
医療にも差障りがある、こういう
理由によりまして
日本医療團として成るべく買取らせよう、
日本医療團の
施設として利用させよう、こういう
措置をと
つたのでございます。このために
閣議決定をいたしましたのは、その者に強権を発動しようというのではないのでありまして、それに必要な
資金の融通、或いはどうしても赤字になるような
状態でありましたならば、國が後から尻拭いをしてやろうというような氣持で、当初の
閣議決定が行われたのでございます。
医療團はこの
閣議決定の
処置に副いまして、当時相当な
病院まで或いは買收し、或いは借受けをいたしておるのでございます。勿論そういうような
状態下におきまして、そういう
理由に基きまして、買收或いは借受けをいたしました
関係上、実際問題として無理がなかつたとは申せないと思いまするが、但し私共
承知しておりまする限りにおきましては、
一つの
法律を発動して、本人の
意思に反して價格を決め、或いは無理に買收をしたというような事実はないものと
承知をいたしておるのでございます。
それから最後の、
医療團の
運営がうまく行かなかつたということについては、將來の
医療制度として大いに
考慮しなければならないということでございます。この点は私共も全然御同様に考えておる次第でございまして、
日本医療團の
一般医療施設の後始末として、
医療制度審議会の
答申の内容も、その
趣旨を尊重いたしまして、原則として
府縣又は
大都市というふうに、つまり中央集権的な
経営方針を採らずに
建前は縣なり
大都市なりというところでや
つて行く、又半面これを余り小さい
経営主体に渡したくない、こういうような兩面からの抱負が加わりまして
答申にな
つておるものと考えておる次第でございます。