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國務大臣(
齋藤隆夫君) いつかも
ちよつとお話したことがあるかも知れませんが、
行政機構を根本的に且つ全体的に
改革するというこの
目的のために昨年の十一月に
行政調査部が設けられまして、その後それぞれ部員を定めまして、約百人ぐらいの若い
事務官も参りまして、内外の
行政組織等について非常に
研究をいたしておりまして、その
研究の結果はたしか議会に対して二同ばかり
相当廣汎な
報告書が出ておるつもりであります。それからその具体化したものも
相当あります。併し議会の協賛を得ましたものは前の議会において
行政官廳法を出しましただけですが、今度この
公務員法が出ておりますし、それからして御承知の内務省の解体とか、又近く出そうとする司法省の
機構の改正とかいうようなことも、
相当に
行政調査部において関係して來たのであります。尚その外
行政機構の根本
改革ということもよく謳われまするが、併し実際や
つてみますると、どの
程度においてこれを果すことができるかということは、これはなかなか困難なる問題でありまして、各國の
行政組織を調べてみましても、大概その共通点が多いのでございまして、その國の特殊な
事情によりまして、特殊な
機構もございまするが、大体は同じようなものであります。各省ということにつきましても、余り変つたところの省のあるのは二、三に過ぎないのでありまして、その外は大体同じようなものであります。これは明治以來、いろいろの傳統の上に
組織されておりまして、その傳統をすつかり打切
つてしま
つて更に新らしいものが行われるということができるかできんかということ、又それをやるということが時代の要求に副うものであるかということも
考えねばならないことでありまして、全く古いものは打ち毀して、新らしいものばかりを作るということは、実際におきましてはなかなかでき難い点があります。理論におきましても、実際におきましても、そういうことはやれないと思うのでありますが、併し現在の
官廳組織を以て満足するものでは、ございませんからして、できるだけ成るべく簡單にして
能率を上げるようにやりたいと思
つておりまして、今のところここの者は非常に骨を折
つております。
それから
公務員法でございまするが、
公務員法ができましたけれども、それだけでは駄目でありまして、やはりこれはうまく運用しませんと、この
目的を達することはできませんので、先程申しましたように、日本の
官吏というものは、明治以來の傳統によ
つて支配されておりまして、
官吏を
法律によ
つて決めましても、これは
官吏の頭から改造して、本当に
官吏は、
天皇の
官吏でなくして、
國民の公僕として新
憲法の線に副うて十三分の働きをされるということは、これはなかなか一朝一夕のことではいかないのでありますけれども、
公務員法ができましたから直ぐに
官吏の頭が変
つて來て、
公務員法の第
一條にい
つておりますような
能率を発揮して、民主化に進むということはできるとは思いませんけれども、併し時と共に段々と改善されて行くものであろう、又改善しなくてはならんと思
つております。
法案は
一つの文字でございまして、これを運用するのは
國民であり、又その衝に当りますところの
公務員でありますからして、互いに力を合せて進んで参りましたならば、日本の
官吏制度も十分
改革できるという、この信念の下におきましてこの
法律案を出したものでありますからして急には参りませんけれども段々と改善して行くであろう、私はこう思
つております。