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1947-09-25 第1回国会 参議院 決算・労働連合委員会 第3号
公式Web版
会議録情報
0
付託事件
○
國家公務員法案
(
内閣送付
) ○
國家公務員法
の
規定
が
適用
せられる までの
官吏
の
任免
に関する
法律案
(
内閣送付
)
—————————————
昭和
二十二年九月二十五日(木曜日) 午後二時二十三分開会
—————————————
本日の
会議
に付した
事件
○
國家公務員法案
—————————————
下條康麿
1
○
委員長
(
下條康麿
君) 只今から
連合委員会
を開きます。最初に、
齋藤國務大臣
に……。
齋藤隆夫
2
○
國務大臣
(
齋藤隆夫
君) それでは本
委員会
に付託せられましたところの
國家公務員法案提案
の
理由
をこれから
説明
いたします。 我が國現在の
官吏制度
は、明治以来多年の
傳統
の上に築き上げられて來たものでございまするが、
日本國憲法
の
施行
せられました今日、ここに旧來の
傳統
を一擲しまして、新
憲法
の
精神
に則
つて
新たなる
基盤
の上に、
國家公務員
の
制度
を立てるということは、現下の必然的な要請であり、又このことは新日本建設の大
事業
を完成する上におきましても、喫緊の要務であると存じます。以上の
見地
からいたしまして
政府
におきましては、先般來鋭意これが研究を重ねて参
つたの
でございまするが、ここに成案を得まして、
國家公務員法案
を
立案
し、
今期國會
の御
審議
を煩わすことに相成
つたの
でございます。
本案
は、
國家公務員
について
適用
さるべき
各般
の
根本基準
を掲げまして、科学的合理的な
基礎
の上に、民主的な
方法
で
國家公務員
を選択し、且つ指導すべきことを定めまして、眞に
國民
全体の
奉仕者
として有能誠実な
職員
を確保し、以て
國民
に対して
公務
の民主的且つ
能率
的な
運営
を
保障
することを
目的
とするものであります。 次に
本案
の
要点
につきまして大体御
説明
をいたとたいと存じまするが、先ず
本案
の
適用範囲
についてであります。
本案
は
國家公務員
の職を
一般職
と
國務大臣
その他の
特別職
とに分つことといたしまして、この
法律
は
一般職
に属するすべての職にこれを
適用
することといたしたのであります。 次にこの
法律運営
の
中枢機関
といたしまして
本法
の完全な
実施
を確保し、その
目的
を
達成
する
ため
に
内閣総理大臣所轄
の下に
人事院
を設置することにいたしたのであります。而してこの
人事院
は
公務員
の
職階
、
任免
、
給與
、
恩給
その他
公務員
に関する
人事行政
の
綜合調整
に関する
事項等
を掌ることにいたしましたが、その
組織
につきましては
人事行政
を民主的ならしめると同時に、これが
運営
の
嚴正公平
を期するが
ため
に、これを構成する
人事官
の
選任方法
、
身分
の
保障等
につきまして
所要
の
規定
を設けて
本法
の
趣旨
の
達成
に遺憾なきを期している次第であります。 次に
官職
の
基準
として、先ずすべての
國民
はこの
法律
の
適用
について平等に
取扱
われ、
人種
、
信條
、
性別
、
社会的身分
、又は
門地
によって差別せられないという
根本基準
を定めたのであります。又この
法律
におきましては従來の
官吏
の
身分的區別
はこれを排除することとなり、
國家公務員
の職につきましては、その
職務
と
責任
の度合において精密なる
職階性
を
採用
することとして、
國家公務員
の
任用
、
給與等
はこの
職階
に應じてなさるべきものといたしたのであります。又
職員
の
採用
、
昇進等
は
原則
としてすべて
試験
によることとして、殊に
採用試験
はすべての
國民
に対して平等に
公開
せらるべきものといたしまして、
任用
の公正明朗を期することにいたしたのであります。 次に
國家公務員
の
能率増進
を図るの
見地
からいたしまして
能率考査
の
制度
を
実施
し、又
教育
、
訓練
、
保健
、
安全保持
その他
職員
の
能率増進
、
福利向上
に必要な
各般
の施設をなすべきことを定めておるのであります。 次に
國家公務員
の
分限
及び
懲戒
に関しましては、
本人
の意思に反して
罷免
その他
不利益
な
処分
を行うのは、
法律
に列挙する
事由
に該当する場合のみに限るものといたしまして、尚
國家公務員
に対する
保障
として、これに対する
不利益
な
処分
について異議がある場合におきましては、これを
人事院
に訴えて、
審査
を要求し得ることといたしておるのであります。 それから次に
國家公務員
の
服務
につきましては、
國家公務員
は
國民
全体の
奉仕者
として、
公共
の
ため
に
勤務
し、その
職務
の
遂行
に当
つて全力
を挙げてこれに専念すべき旨の
基準
を掲げまして、この
精神
に基きまして
諸般
の
服務
上の紀律を掲げておるのであります。 以上
國家公務員法
につきまして、その概要を
説明
したのでありますが、尚この
機会
に
國家公務員法
の
規定
が
適用
せられるまでの
官吏
の
任免等
に関する
法律案
の
趣旨
を御
説明
いたして置きます。 即ち
國家公務員法
の
規定
は、各
官職
について順次その
適用
を見るのでございますが、その
適用
がなされまするまでの間の
官吏
の
身分取扱
に関して、法制を備える必要があるのでありますが、暫定的の
措置
でありますので、概ね
從前
の例によることといたしたのであります。これを併せて御
審議
の上議決あらんことをお願いいたします。尚詳細の點は
政府委員
からして
説明
いたします。どうかよろしく御
審議
の程をお願いいたします。これを以て大体
提案
の
理由
といたします。
前田克己
3
○
政府委員
(
前田克己
君) それでは私から
國家公務員法案
の
内容
につきまして、少しく詳細に御
説明
申上げます。
本法
案は、本則百十條、
附則
十四條から成る相当廣範なものでありまするが、その
内容
は大体三つの
眼目
から成立っておるのでございます。「第一」は、
本法
の
目的
及びその
適用範囲
に関する
事柄
なのであります。「第二」は、この
法律実施
の
ため
の
中枢機関
たる
人事院
に関する
事柄
であります。「第三」は、
国家公務員制度
の実体をなすところの
各般
の
根本基準
に関する
事柄
であります。 そこで先ず第一の
眼目
の点でありますが、
本法
案は、その劈頭に、
本法
案の
目的
とするところを掲げまして、この
法律
は
官職
についての諸般の
基準
を掲げ、
職員
が
公務
の
遂行
に当りまして、最大の
能率
を発揮し得るよう、民主的な
方法
でこれを選択し且つ指導すべきことを定め、以て
國民
に対し、
公務
の民主的且つ
能率
的な
運営
を
保障
することを
目的
とするものであることを明かにしているのであります。 次に
本法
の
適用
を受ける
國家公務員
の
範囲
でありまするが、
國家公務員
の職を
一般職
と
特別職
とに分ち、
特別職
は、
本法
の
適用
からこれを除外しておるのであります。而して
特別職
は、第二條に列記された各種の職でありまして、
特別職
以外の職を
一般職
とするのであります。この
特別職
の中には、第一に、
従來自由任用
に委されておりました
官職
、即ち
國務大臣
その他の
政教官
及び秘書官を掲げますると共に、交省のいわゆる
事務
次官、それから
建設院
及び
終戰連絡中央事務局
の長、宮内府
長官等
をもこれに加えました。第一に、
会計檢査院
の檢査官の如く、その
任命
について
國会
の選挙、議決、又は同意を必要とする
職員
の
官職
も
特別職
となっております。第四に、單純な営務に雇傭される者の職を
特別職
といたしました。これらの
職員
は、その仕事の性質が、
一般行政職員
とは異なっておりまして、その
任用
、
分限
、
服務
、
給與等
につきまして、
本法
をそのまま
適用
することは、必ずしも適当ではないと認めるによるのであります。 尚
國会議員
、
裁判官等
も同様の
趣旨
でこれを
特別職
の中に数えております。 以上
特別職
に属する主要なものを挙げたのでありますがこれ等を除外いたしました
國家公務員
の職、即ち
一般職
がこの
法律
の
適用
を受けるわけであります。但し、この
一般職
の中に含まれる
官職
の中でも、
外交官
、
領事官
、
学校教員
、
裁判所
の
職員
、
檢察官等
につきましては、その
職務
の
特殊性
に基き、
本法
上の
適用
上若干の特例を要することも考えられますので、これ又
法律
或いは
人事院規則
によって
例外規定
を設けるの途を
附則
の方において
規定
いたしております。 次に第二の
眼目
でありまする
人事院
に関する諸
規定
、これは
法律
では第二章に
規定
されておるのでありますが、これについて御
説明
をいたします。
人事院
はこの
法律
の完全な
実施
を確保し、その
目的
を達成する
ため
、
内閣総理大臣
の
所轄
の下に設けられるものであります。先ずその
組織
について申上げます。
人事院
の
首脳部
は三人の
人事官
を以て構成せられております。その中一人がその総裁に
任命
されるのであります。この三人の
人事官
が
人事官会議
を構成いたしまして、その合議によりまして
人事院運営
の
重要事項
を決めて行くわけであります。
人事官
の
任命
につきましては、努めてこれを民主的ならしむると共に、
内閣
の専断を避ける意味におきまして、特に両議院の同意を得て、
内閣
がこれを行うことといたしました。
人事官
は天皇の認証官でありまして、任期は六年であります。
人事官
たるべき者の
資格要件
としましては、人格が高潔で、民主的な
組織
と
成績本位
の
原則
による
能率
的な
事務
の処理に理解があり、且つ
人事行政
に関し識見を有する年齢三十五歳以上の者たることを要するといたしておるのであります。かような
條件
を特に掲げましたのは、
人事行政
の民主的な且つ中正なる
運営
及び科学的、合理的な
人事管理
を主眼とする
本法
案の
趣旨
の達成に遺憾なきを期せんとするに外ならんのであります。尚
本案
は、
人事院
の
公正中立
を確保する
ため
に、
人事官同志
の間に、
同一
の
政党
に属する者、又は、
同一
の
大学学部
の
同一
学科の
卒業者等
がないように、
所要
の
制限
を設けますると共に、
人事官
の
身分
を
保障
する
ため
、その
退職
の
事由
を法定し、又罷免につきましては、
心身
の
故障
、
職務
上の
義務違背等
の場合においては、
内閣総理大臣
の訴追に基く
最高裁判所
の
弾劾裁判
を必要とする旨を定めておるのであります。 尚
人事院
には、右の三人の
人事官
の下に
事務総局
が設けられまして、
事務総長
の一人と
所要
の
職員
を所属させまして、その
事務
を掌ることになっております。 次に
人事院
の
権限
でございまするが、これは一口に申述べれば、第三條に明かな如く、各廳
職員
に関する
人事行政
の
綜合調整
、及び
職員
の
試験
に関する
事項
ということになりますが、要するに
人事院
は
本法施行
の
中枢機関
でありまするから、その個々の具体的の権能は
本法
の随所に現われておるわけであります。その中主要な
事項
について申上げますと、先ず
人事院規則
の
制定改廃
であります。即ち
人事院
は、この
法律
の執行に関し必要な
事項
について
内閣総理大臣
の承認を経て、
人事院規則
を制定し得ることになっております。
本案
におきましては、
本法実施
の細則は、別に
法律
で定められるもの以外は、概ね
人事院規則
を
以つて
定
むべきもの
としておりますが、これは主として
人事管理
上の諸
準則
が、専門技術的な性格のものであることによるものであり、かたわら
人事院
が綜合的、中立的な立場を
基盤
といたしまして、これら諸
準則
の
一元性
及び
公平中立性
を期待せんとするものであります。以上の
外人事院
の具体的な
権限
として主要なものは、これは後にも触れる
機会
がありますが、
職階制
の
立案
、
給與準則
の
立案
、
試験
及び
選考
の
実施
、
恩給制度
の
立案
、
公務傷病等
、に対する
補償制度
の
立案
、
職員
からの不服の申立の
審査
、
人事行政
に関する
勧告等
であります。以上が
人事院
の
組織権限
についての大要でありますが、尚
人事院
と
各省
との緊密な連絡を確保する
ため
に、
各省
の
人事主任官
を以て構成する
人事主任官会議
を
人事院
に置くこととし、
人事行政
の全般に円滑なる
運営
を期しております。 次に第三の点に移りまして、
官職
の
基準
に関する第三章の諸
規定
であります。新
公務員制度
の本体をなす
事項
、即ち
職員
の
試験任免
、
給與分限
、
懲戒
、
服務
、
恩給等
に関する
事項
がここに定められている次第であります。先ず第二章の第一節は通則といたしまして、「すべて国民は、この
法律
の
適用
について、平等に取り扱われ、人種、
信條
、性別、
社会的身分
又は門地によって、差別されてはならない。」旨の
原則
を掲げております。
國民
が
官職
を
占むるに
当
つて
、
日本國憲法
第十四條の
趣旨
が堅持されなければならないことを明示いたしておりますと共に、他方「この
法律
に基いて定めらるべき
給與
、
勤務
時間その他
勤務條件
に関する
基礎事項
は、
社会一般
の情勢の変化に適應」すべき旨の
原則
を定めているのであります。続いて第二節は
職階制
に関する
規定
であります。この
法律
は
職階制
を以て
人事管理
の
基準
といたしているのでありまして、その骨子は、すべての
官職
はこれを職種と
等級
とに區分し、
職務
と
責任
の
類似性
によりまして科学的に分類し、かくして精密に分類せられた
官職
については、
同一
の
資格要件
を必要とし、又同程度の
給與
が與えられなければならないようになっておるのであります。
從つて
この
法律
が完全にその意味を発揮いたしますのは、あらゆる
官職
について
職階制
が
適用
されるに至ることを前提とするのであります。これは極めて困難な仕事でありまして、一朝一夕にできるものではありません。
職階制
の確立は前に申上げた通り、
人事院
の最も重要なる任務でありますが、その
方法
といたしましては、
実施
可能な部分から
実施
し、逐次すべての
官職
に及ぼす方針であります。第三節に移りまして、これは
試験
及び
任免
に関する
規定
でありまして、五款に分かれているのであります。その要点を極く簡單に申上げますと、先ず
職員
の
任用
は、
新規
の
採用
、
昇任
、轉任、
降任
の四つの場合を含みまするが、いずれについても情実を排除し、專らその者の実際の能力、即ち
試験成績
、
勤務成績
、その他能力の実証に
基ずい
て、適材を活用するということが
根本基準
であり、外の諸
規定
はいずれもこの
根本基準
に則
つて
定められているのであります。即ち
職員
に対する
任免等
の
人事権
は
等級
に感じて
内閣
、
内閣総理大臣
、
各省大臣
、その他各廳の長が行うのであります。
官職
に欠員が生じました場合にこれを補充する
方法
としては、
任命権者
は、
採用
、轉任、
昇任
、及び
降任
のいずれによることも自由であります。ただ特別の場合には
人事院
が
任命方法
を指定することがあり得るわけであります。
職員
の
新規
の
採用
について申上げますると、これは大体
競争試験
によるということが
原則
であります。その
試験
は
官職
の、先程申上げました
職階制
に
基ずく分類
に應じまして、
人事院
の定める
試験機関
によって行われ、
最低限度
の
受験資格
を設けることを認める外、すべて公開の
原則
によってなん人でも
試験
を受け得られるようにすべきものと定めております。尤も
人事院
の承認のありました場合には、
公開競争試験
によらず、
選考
の
方法
による途が開かれております。次に
昇任
でありますが、これは
原則
として
下級在職者
のやはり
競争試験
によるのであります。この場合も
競争試験
を不適当とする特別の場合には
在職者
の
從前
の実績に
基ずく選考等
の
方法
によることもできるものと定めてあります。以上のように
競争試験
によって
採用昇任
を行おうとする場合には、
任命権者
からの請求に應じて
人事院
は予め作成してありますところの
任命候補者名簿
に記載してある者のうちから、
任用
さるべき一人について、各五人の
候補者
を推薦するのであります。
任命権者
はその中かち
適任者
を
任命
することができるのであります。 尚
新規採用
の場合においては、
原則
として、
職員
の
採用
は一應六ケ月の
期間
は
條件附任命
といたしまして、その
期間
にある者が、その
官職
についての
適格性
を示した場合に初めて本
任用
となることを定めているのであります。以上述べましたのは本來の
任用
の手続でありますが、緊急を要する場合等で、本來の手続によることのできない場合には、
一定
の
條件
の下に臨時に
職員
としての
任用
を行うことができると定めてあります。次に第四節に移りまして、これは
職員
の
給與
に関する
規定
であります。先ず
給與
は
官職
の
職務
と
責任
に應じたものでなければならないという
根本基準
を掲げ、その
趣旨
はできるだけ速やかに、且つ
現行制度
に適当な考慮を拂いつつ、可能な
範囲
で作成せらるべきものとしているのであります。而して
給與
は
法律
で定める
給與準則
に
基ずい
てなさるべきものでありまして、
人事院
は
職階制
に適合した
給與準則
の
立案
の責務を有する旨を定めております。尚この
給與準則
には
俸給表
が
規定
さるべきものであり、その
俸給表
には
職階制
による
等級ごと
に
一定
の幅を以て俸給が定められ、且つそれは
生計費
、民間における賃金、その他の事情を考慮して定めらるべきことを要求しているのであります。尚
給與
に関しまして
人事院
が適法、且つ公正に
給與
の支拂が行われることを確保する
ため
に、各廳を監視する任務を與えられ、
給與簿
を検査し、必要があるときは取扱の是正を命ずる等の
権限
をもつことといたしております。第五節は
職員
の
能率
に関しましてこれが十分に発揮され、且つその
増進
が図られなければならないという
根本基準
を明らかにし、これが
ため
に
勤務成績
の評定並びに
能率増進計画
の樹立及び
実施等
について
規定
いたしているのであります。
從來職員
の
能率増進
に関する科学的乃至計画的な
措置
は遺憾ながら極めて不十分でありましたので、この欠点を是正する
ため
に、
人事院
の定めるところに從いまして
所轄行政廳
の長がその
職員
の執務について定期的に
勤務成績
の評定を行い、そうして
職員
の執務に遺憾なきを期することとし、同時にこれを
職員
の昇給、
昇任
或いは
降任免職等
の際の公正な
基礎材料
たらしめることにいたしているのであります。次に
他方人事院
の綜合的な企画の下に
関係
各廳の長は
職員
の
教育訓練
、保健、
元気回復
、安全の保持、厚生に関する
事項
について具体的な計画の樹立及び
実施
を定めまして、積極的に
職員
の
能率向上
、福利の
増進
に資さなければならないことを
規定
いたしております。第六節は
分限
、
懲戒
、
公務傷病
に対する補障の
規定
でありまして、これらはすべて公正に行われなければならないという
根本
の
基準
を明かにいたしますると共に、
分限
に関しましては
身分保障
、欠格による失職、
本人
の意に反する
降任
及び
免職
、
本人
の意に反する
休職
の
効果等
について
規定
をいたしております。申すまでもなく
職員
は
國民
全体の
奉仕者
として、安んじて
職務
に専任できるようにいたさなければなりません。これが
ため
に
法律
に定める
事由
による場合の外は、
本人
の意に反して
降任
、
休職
又は
免職
されることがないこととすると共に、
人事院
の
規則
が定める
事由
に該当するときにのみ、降給されることにいたしまして、
職員
の
身分
を
保障
いたしておるのであります。
免職
、
降任
の
理由
といたしましては、
勤務成績
不良の場合、
心身
の
故障
の場合及び
官職
に対する
適格性
の欠除の場合を挙げました。
休職
の
理由
といたしましては
心身
の
故障
の
ため
、
長期休養
を要する場合及び
刑事事件
に関し起訴された場合を挙げております。而して
休職者
は
休職期間
満一年の経過により当然退官いたすのであります。夫に
懲戒
に関する
規定
でありますが、
懲戒処分
は
免職
、停職、減給又は譴責の四種といたしました。
懲戒
の
事由
といたしましては、
本法
又は
人事院規則違反
の場合で、
職務
上の
義務違反
又は
職務
怠慢の場合、それから
國民
全体の
奉仕者たる
にふさわしくない非行のあった際、この三つを挙げておるのであります。尚
從來懲戒
につきましては事前の手続きとして、
原則
として
懲戒委員会
に付議することとなっておりましたが、
本案
では
任命権者
が直ちに
処分
を行い得るものとし、後に述べまする如く、
人事院
の
事後審査
による救済の途を設けて
処分
の公正を期することといたしました。以上が
原則
でありますが、
臨時的職員
、或いは
條件付任用期間
中の
職員等
に関しましては、その
特殊性
に顧みまして
分限
の
規定
を
適用
しないことといたしておるのであります。それから同じ節の中で
保障
に関する
規定
でありまするが、これは
職員
の
勤務條件
及びその意に反する
不利益
な
処分
に関しまして
職員
に対する発言の
機会
を與えんとするものであります。以て
分限
及び
懲戒等
の公正な
運営
を確保する
ため
の裏附とすると共に、すべての
職員
をして欣然として積極的に
職務
に専念することを得せしめようとする
趣旨
によるものであります。これが
ため
に一方には
職員
は
俸給給料
その他あらゆる
勤務條件
に関し
人事院
に対して、
人事院
又は
所轄廳
が適当な
行政措置
を行うことを要求する途を開くことといたしました。すべてこの要求に対しましては
人事院
は事案を
審査
判定し、必要あるときは
一定
の
措置
を取らなければならんのであります。又次に
職員
がその意に反しまして
休職
、降給、
降任
、
免職
その他著しい
不利益
な
処分
を受け、又は
懲戒処分
を受ける。その
処分
の際に
処分
の
事由等
を記載した
説明書
の交付を受けまして
一定期間
内に
人事院
に
審査
を請求することができることといたしておるのであります。この
審査
の請求に対しましては、
人事院
は事案を
審査
して、
処分
の正当なときはこれを確認いたしますが、正当でないときはこれが是正について
所要
の
措置
を取るべきことといたしておるのであります。尚
保障
の一つといたしまして、
公務傷病
に対する補償についても
所要
の
規定
を置いております。第七節は
職員
の
服務
に関して、「すべて
職員
は、
國民
全体の
奉仕者
として、公共の利益の
ため
に
勤務
し、且つ、
職務
の
遂行
に当
つて
は、全力を挙げてこれに専念しなければならない。」という
根本基準
を明かにいたしまして、又
服務
の宣誓、法令及び上司の命令に從う
義務
、
政治的行爲
の
制限
、私企業からの隔離、他の
事業
、又は
事務
の
関與制限等
について
規定
をいたしました。次に
職員
の
服務
に関しましては大体
從前
の
官吏服務規律
にも相当詳細に
規定
されております。今回の
規定
も
趣旨
においては、大差のない
事項
も多いのでありまするが、ただ二三の点につきまして新しい
規定
を設けておるのであります。即ち
國家公務員
の自覚に徹せしめる
ため
新たに宣誓の
義務
を負わさせることといたしました。又
國民
全体に対する
奉仕者
として眞に中立的な立場で
職務
に専念すべしという
公務員
の本質に顧みまして、
政党
又は
政治的目的
の
ため
に
寄附金
その他の利益を求め、若しくはこれを受領し、又は何らの
方法
を以てするを問わず、これらの
行爲
に関與することを禁止いたしました。更に特別の場合の外、公選による公職の
候補者
となること、及び
政党
又はその他の
政治的團体
の役員となることを禁ずることといたしました。更に
職員
に対し廣く商業、工業、
金融業等
の
営利
を
目的
とする
営利企業
の役員、顧問、
評議員等
の兼職を禁じますと共に、みずから
営利企業
を営むことも禁止いたしておるのであります。尚
職員
の
在職
中の
職務執行
の公正を期する
ため
に、
退職
後二年間は
原則
として、その者が
退職
前二年間に
在職
しておりました
官職
と密接な
関係
にある
営利企業
を代表する地位に就職してはならないということにいたしました。又
営利企業
につきまして株式の所有の
関係
、その他の
関係
によりまして、
当該企業
の経営に参加し得る地位にある
職員
につきましては、
職務途行
上特に留意する必要がありますので、
本人
の
株式所有
の
関係
、その他の
関係
について報告を徴することができる途を開き、報告に基きまして
関係
の存続が適当でないと認めるときは、その旨を通知し、更に進んでは
職員
が
当該職業
との
関係
を断つか、
退職
するかしなければならないことといたしました。最後の節は、
退職者
に対する
恩給
に関する
規定
であります。
恩給制度
は
公務員
として相当
期間
忠実に
勤務
して、
退職
した
職員
の老後の生活に資する
ため
に、必要な所得を與えることを主要な
眼目
とするものであります。現行の
恩給制度
も勿論その
趣旨
は大体相似たものでありまするが、
受給者
の
範囲
、その
内容等
について今後十分
人事院
において研究した上で、
現行制度
の改むべき点は改められて行くものと考えております。 以上の外、
本法
は第四章におきまして
本法
の
施行
に必要な罰則を決めております。それから
附則
におきまして
本法
の
施行期日
、その他
本法
の
施行
について必要な
経過措置等
を
規定
いたしておるのであります。
本法
の一般的な
施行期日
は明年の七月一日であります。併し
人事院
は遅くとも
昭和
二十四年の一月一日には設置されなければならないということになっております。ところがそれまでの
暫定措置
といたしまして、本年の十月一日から
内閣総理大臣
の
所轄
の下に、
臨時人事委員会
を置くことといたしておるのであります。この
委員会
は
委員長
及び
委員
二名を以て
組織
せられ、この
法律
の
施行
に必要な
範囲
で
人事行政一般
に関する調査、その他
本法実施
の準備の
事務
を掌り、明年七月一日からこの
法律
に定める
人事院
の職権を行うものとされておるのであります。 尚一言御
説明
を申上げたいのは、新
制度
に切替えの際の
現職者
の
措置
でありまするが、
人事院
の指定する日に、その指定する
官職
に在任する者は、この
法律
に
基ずい
てその
官職
に就いたものとみなされるのであります。別に特別の
試験
、
選考
等の手続を要さないのであります。ただ
人事院
の指定する日における各廳の局長、次長等、特定の上級の
官職
に在任する者は、その際臨時的の
職員
に
任用
されたものとみなすこととなりました。これは、これらの
制度
の移り替りに伴う人事
運営
上の支障を防ぐと共に、同時にこれらの地位のものについては少しも早く新
制度
による人事の更新がなされんことを期しておるわけであります。以上長くなりましたが、
公務員
法案
につきまして、やや詳細の
趣旨
を御
説明
いたしました。他は御質疑に應じましてお答えをいたします。
小川友三
4
○小川友三君
本案
の第一章第二條につきましてお伺いいたします。
國家公務員
、これに書いてある
特別職
というのですが、これに
國会議員
を含まないと明記してあるのですが、そうしますと
國会議員
で官房長官もあり、
國務大臣
もあり、政務次官もあると思いますが、その場合は
國会議員
を辞職したものと見なすとか、
國会議員
でないものとみなしてこうした立法をしたかということをお伺いするのであります。それから第二條の十六に大使及び公使ということが書いてありますが、総領事、領事はこの中に含まないかということをお伺いいたします。それから十八の國家
職員
ですが、この中には各
委員会
の専門
委員
も含まれておると思いますが、この点をお伺いいたします。それから第五條に[
政党
の
役員
であった者又は
任命
の日以前一年間」とありますが、これは
政党
員を信用していない
ため
にこうしたものを書いたか。これを訂正する意思があるかないかということをお伺いいたします。
前田克己
5
○
政府委員
(
前田克己
君) 最初の御質問でありまするが、
國家公務員
という言葉の定義だけから申しますれば、廣くは
國会議員
が含まれることになると思うのであります。ただこの
法律
は只今御
説明
いたしました通り、
職階制
ということを
基準
にいたしまして、且つ
人事院
において
人事行政
の統轄に当らしめるということを主眼として、これに適当に
職員
を
法律
適用
の対象といたしておるのであります。
從つて
國会議員
というものは全然その
目的
になるべき性質のものでありませんので、除外をいたしました次第であります。ところが御質問のように
國会議員
が
國務大臣
、或いは官房
長官等
に就任いたす場合もあるのであります。これら政務官は第二條におきまして、やはり
特別職
といたしまして、
法律
の
適用
から結局除外をされておるのであります。待って只今御心配の如く辞任というような問題は起きて來ないわけであります。次に
外交官
についてお尋ねでありますが、これは大使、公使を
特別職
といたしましたのは、この
任命
につきましては外國のアグレマンを必要といたしまして、又その
職務
内容
も、これは國を代表いたしまして、外國に使いするというような非常に特殊な
地位
を持っております。これを
任命
いたしまする時も、必ずしも
外交官
として下から上つた人を
任命
するばかりでなく、廣く國内全般に國家を代表するに適当な人を登用するというようなことが必要の
ため
に
特別職
といたしておるのであります。総領事、領事は、これは純然たる外務省の
事務
官吏
でありまして、大使、公使とは余程趣が違
つて
おるのであります。
從つて
これにつきましては一般の
外交官
とはその
職務
の
特殊性
に鑑みまして、多少の特別
規定
は
附則
の方で設けられると思うのであります。
特別職
とはいたしておらないのであります。次に
國会
職員
はお尋ねの如く廣く専門調査員等も含むものであります。それから第五條の
政党
の問題であります。これは先程御
説明
いたしましたように
人事官
というものは極めて嚴正な人事に関する行政に当るべきものでありまして、
從つて
極めて抽象的な
立場
にあることを必要とせらるるものであります。その
意味
におきまして余り
政党
の色が濃く着くということは支障があると思われますので、
政党
の
役員
になる程深入りをした方は遠慮をして頂くという
規定
であります。別に
政党
を嫌つたわけでもない。或いは不信任といたしたわけでもないのであります。
政党
員であることは少しも差支がないのであります。御了承を願いたいと思います。
小川友三
6
○小川友三君 関聯してちょっと簡單でありますが、大使の中で、特命全権大使、特命全権公使というのはこの中に含みましようか。
前田克己
7
○
政府委員
(
前田克己
君) 含まれます。
吉川末次郎
8
○吉川末次郎君 いろいろ
審議
が進んで行くに
從つて
お尋ねしたいことが起
つて
來るかと思いますが、先ず二三の点について御答弁が願いたいと思います。
國務大臣
の御答弁が願えれば大変結構でありますが、第一は、常任
委員長
会議
がありまして途中から加わりましたので、或いはお話があったかも知れませんが、ここに頂いておりまするところの資料といたしましては、
官吏
関係
法令の拔萃と
職階制
度の
説明
という資料だけを頂いておるのでありますが、まだ十分拜見いたしておりませんが、アメリカの
職階制
度でありますか、それについてのことが概略書いてあるようでありますが、大体アメリカのこうした行政廳の人事
制度
によって専らお作りになつたものであるかどうか、或いはこういう
公務員
の
人事行政
に関する他國の
制度
等について尚同様に参考にする必要はないかどうか。又そういう資料があれば、十分にこれ以外に一つ頂きたいということをお尋ねすると同時に、御要求申す次第であります。 第二番目にお尋ねいたしたいことは、これは特に國務相の御答弁が願いたいと思うのでありますが、ずっとこの
法案
を拜見いたしましたところ、アメリカの考えをいろいろ根抵においておられたのだらうと思うのでありますが、米國のパブリツク・アドミニストレーシヨンにおける
人事行政
についての観念であります。いわゆる
政党
の排撃、アメリカの言葉で申しますと、スポイル・システム、
官吏
の中に
政党
員が入って來て、そうして
公務員
の
地位
を
政党
員が占めるということ、即ちスポイル・システム、日本では文官分捕り
制度
などと翻訳いたしておりますが、これを極力排斥して、そうしてやはりアメリカの言葉でメリツト・システムというのでありますが、そういう
政党
の排撃というような観念が非常に強くこの
法案
に現われておると思うのであります。これは一應了解できるのでありますが、併しながらそれが行過ぎておるような、囚われた観念に陷
つて
いやしないかというようなことが非常に危惧されるのでありまして、斎藤國務相よく御承知でありますように、今日は日本の政治的な変革期であります。日本の民主革命といわれておるところの時機なのでありますから、そうした新
憲法
を中心とするところの民主革命の
精神
というものが、パブリツク・アドミニストレーシヨンの末端にまで十分に行き亙るようにしなければならないと思うのであります。その点は現在のアメリカなどと、今日政治の革命的な変革期にありまするところの日本におけるところの
人事行政
の考え方というものとは、非常に変
つて
いなければならないのじゃないかと思うのであります。ここには
一般職
と
特別職
ということを掲げられておりますが、ここに掲げられておりまするものは、從來とも政務官として
取扱
われて來たところのものが中心になっておると思うのでありますが、これによりますると、例えば斎藤國務相が閣僚の一人になっていらつしやいます現
内閣
が行いました
人事行政
、労働省の婦人及び少年局の局長に山川菊栄女史を起用したというようなことは、世間からも、今日片山
内閣
の
人事行政
として極めて評判がいいのであります。私も亦非常にいい
人事行政
であると考えるのでありますが、そうした局長は除外されておるのでありまするから、山川菊栄女史の
任用
の如きはできないこととなりまするが、併し私は現
内閣
の政治的な
立場
からいたしまして、又現在の日本の政治の客観的な情勢からいたしまして、ああした人が労働省の主脳部に
採用
されるというようなことは私は非常に必要なことじゃないかと思うのであります。それは
政党
というものに対するところの中立的な
立場
にありまする、昔からの官僚というようなものがその職につきますよりも、私は今日の日本の政治的変革の
目的
を
達成
するという上において必要なことじゃないかと思う。同様なことが行政の各部面において私は
人事行政
上考えられて行かなければならぬと思うのでありますが、この
法案
は余りに日本と、実情の今日異なっておりまするところの、平常的な、ノーマルな状態にありますアメリカの政治事情等を模倣するということに余りに急であるような感がいたしますが、そうしたことに対する、私の考えに対する一つ斎藤國務相の御答弁を願いたいと思うのであります。 それからちょっとしたことでありますが、第五條に、「
人事官
は、人格が高潔で、」云々という言葉がありますが、これはどうも日本の
法律
の文言といたしましては、私の浅学を以ていたしますると極めて新しい言葉の御表現であるように考えるのでありますが、何かこういうような
法律
上の前例が、ひとり日本のみならず、外國においてもあるのであるかどうか、総理大臣の
任命
につきましても、或は
國会議員
が選挙されること等につきましても、特にその人間が、人格が高潔で、というような言葉は、
法律
的に表われておらんように思うのでありますが、成るほど
人事院
の
人事官
が人格が高潔でなければならぬことは当然でありますが、そうすると外の
公務員
はいかにも人格が高潔であるということを
條件
としないような感じがするのでありますが、特にこういう文言をお入れになつた御
精神
は分りますが、もう少し
法律
学的な建前から一つ御答弁が願いたいと思うのであります。 尚それに関聯いたしまして、新聞の報道いたしておりますところによりますというと、この
法律
は議会を通過いたしましても、
実施
されるのは大分後になるのでありますが、
昭和
二十三年七月一日から二年以内にといっていることは御
説明
の通りでありますが、それまでは人事
委員会
というものによって、この
事務
を御運行になるような
法案
になっておると思います。ところが時事新報であったと思いますが、その一時的な
人事院
に移るまでの人事
委員会
の主脳幹部といたしまして、名を挙げて書いております。それが殆んど決定
事項
であるかのように時事新報は報道いたしておりましたが、それは今日行政調査部に働いていらつしやるというように聞いております、部長か何かの職に在る前の貴族院議員であった、慶應義塾の
憲法
の先生であったと聞いておりますが、浅井清氏が
任命
されると書いてありました。もう一人書いてありましたが、その一人は昔から実業界におけるところの、
能率
の研究をしていらつしやいます
能率
屋さんの上野陽一氏がなられるようなことが報道せられておりましたが、或いはこれは新聞の誤報と固より思うのでありますが、そういうような御腹案があるのであるかどうか。又傳えられておるところの浅井清氏や
能率
研究家の上野陽一氏等が、その
所要
されておるところの第五條の人格高潔の士であるというふうにそのエキザンプルとして我々が考えていいのであるかどうかということについて、先ずお答を願いたい。
齋藤隆夫
9
○
國務大臣
(
齋藤隆夫
君) 御質問に対して御満足なお答えをすることができるかできぬかは存じませんが、私の考えておりまするところを卒直に申上げてみたいと思います。御承知の通りに昨年の十二月の初め頃からして、前
内閣
において行政調査部というものを設けまして、そうして日本の行政
組織
を
根本
的に全般的に改革する。同時に
公務員
の
採用
及び運用について最善の
方法
を考えるということで、行政調査部ができた。爾來今日になるまで多数の要員が当りまして、内外の
制度
について熱心に研究を続けておるのであります。この
公務員
法も実を申しますというと、その
委員
の方々の非常な研究と努力とによってこれができたのであります。それが原案と相成
つて
おるのであります。 終戰以來日本の
諸般
の
組織
についていろいろの改革が行われまして、その改革の中には、外國の
制度
が入っております。併しながら外國と日本とは御承知の通りに國家
組織
の
根本
からして違いまするので、その
制度
をばそのまま日本に持って来るということは、これは甚だ不適当でありまするからして、この間をよく調整いたしまするが
ため
に、お互ひに相当に苦心をしておるようなのが今日の現状でございまして、この
公務員
法もそういうような点からして、大分米國の
職階制
なるものが混
つて
おりますことを御承知おきを願いたいのであります。 それからしてアメリカでは御承知の通り長いあいだスポイル・システムの排除に行政部がよほど改革に骨折つたということも書物において見たのでありまするが、近頃はそれが
職階制
というものが発達いたしまして、その弊害も段々と氣をつけておるように思っておりまするが、この
公務員
法も主としてこの
職階制
度を基本といたしまして、官界の宿弊をば一掃したいという建前になっておるのであります。 それからして
政党
員と
公務員
との
関係
でありまするが、この
法律
におきましても
政党
員は
公務員
になってはいかないということは書いておりません。確か
政党
の
役員
はいかんということは現れておると思いまするが、
政党
員でも
公務員
になれるのでありまして、御指摘になりました労働省の局長でありますとか、こういう方が、労働問題について多年の経験者でありまするからして、
公務員
となってその
事項
を掌握せられるということは、これは官界の
ため
によほど喜ぶべきことであると思います。 その外詳しいことは前田
政府委員
からお答えすることにいたします。私大体のことしか存じておりませんからして、この法文の
内容
に関することは
政府委員
よりお答えすることにいたします。私は思いつきましたことだけをお答えをいたします。
前田克己
10
○
政府委員
(
前田克己
君) 今大臣の答弁に漏れましたところだけ補足して申上げます。
法案
を作りますに際しましては、アメリカの資料ばかりでなく、その外英國或いは昔のドイツ等の資料も研究をいたしたのであります。いろいろ断片的のものがあり、或いは非常に浩瀚なものがありまして、直ぐ今お手許に参考資料として差出すような形には整理されておりません。 それから第五條の人格高潔云々の字句についてのお尋ねでございまするが、これは特別の
意味
は持っておりません。この
法律
全体を通じまして同様の御疑問の出るような字句が、或いは
恩給
のところ、
服務
のところにもあると思うのでありますが、
法律
的な特別な
意味
は持っておりません。 それから
臨時人事委員会
の
候補者
のことにつきまして、一部新聞紙に報道がございました。これは只今の
法案
の
趣旨
によりまして、
政府
におきまして愼重
選考
中でありまして、未だ決定に至っておりません。ただ新聞紙に傳えられましたような方々も、別にこの要件を欠いておる方というふうには、
政府
といたしても考えておりません。
吉川末次郎
11
○吉川末次郎君 今のことに荷関聯してお尋ねいたしたいのでありますが、斎藤國務相はアメリカの
制度
を非常に参考にしたものである、そうして日本の官界を粛正するということの
ため
にアメリカでいわれて來たところのスポイル・システムの排除、行政部面からの
政党
員の排撃ということを非常に重要視したというような御答弁があったと思うのでありますが、併しこれは官界の粛正を非常に日本に要するといたしましたならば、日本の官界にはアメリカのスポイル・システム排撃に際して考えられておるような
政党
員の行政部面、
公務員
への、官界への侵入というものは、今日まで殆どなかったといっても決して過言ではないと思うのでありまして、日本の官界が粛正されるところの必要がある、そうしてその粛正さるべきところのものは、官界へ入っておらんところの
政党
を排撃するということをしきりに考える必要があるのではなくして、そういう考え方は今私が申しますようにアメリカのスポイル・システム排撃の、
公務員
採用
に関する考えを、全然事情が違うのに表現的に、そのまま余りに偏して、書物上の知識で、行政調査部の諸君が採択されておるのではないか、粛正を要するところの、日本の官界におけるところのものは誰であるか、それは今日まで日本の行政界をば一〇〇パーセント支配して來たところのいわゆる官僚の輩なのでありますから、これを粛正するということが、私は
國家公務員法
が新らしく制定されるところの、最も重要なる基本的な観念でなければならないと思うのであります。ところが
政党
を排撃するということにこの全部の法文を通じて、極めて綿密なことにまでも
規定
をおいて、外國のそうした全然事情の違うところの
法律
というものを、極めて浅薄な態度で模倣しておられるような感がいたすのであります。本当に日本の今日の官界を粛正しなければならない、そうして粛正さるべきところの対象は、封建的な、腐敗した官僚であったし、又あるということをば、どうもネグレクトされておると思うのであります。この
法案
に対する世間一般の批評もそういうところにあると思う、
政党
をしきりに排撃することは、今日までの日本を、この敗戰の結果に軍閥とともに陥れたところの官僚が声高く今日まで日本の政界において叫んで來たところの彼等のスローガンであります。
政党
員の排撃ということは……。そうして彼等は
官吏
任用
制度
を基本にして行政部面への
政党
色の侵入を排撃し、殊に地方自治体におけるところの
政党
の排撃ということを全く見当違いの間違つた議論をいたしまして、詳しいことは私省略いたしますが、今日までや
つて
來たのであります。今日まですでに彼等は自己のギルト的な勢力を温存し、これを保全しようという利己的な考えによって
政党
を排撃し、彼の厖大なる、有力なる、パワーフルな、官僚の政治力というものを作
つて
來たのであります。ところがそれを粛正すべきところの新
内閣
のそうした行政の
ため
の立法であるところの
國家公務員法
というものが、昔の官僚が自己保存の
ため
に、エゴイズムの
ため
に、自己のギルド的な慾望の満足の
ため
にして來たことと同じことを、やはりこの立法の
精神
の骨子にしておられるような感があるということを、世間も非難しており、又私も非常に不満に思うのでありますが、重ねて今の点についてできるならば齋藤先輩の御答弁が願いたいと思うのであります。
齋藤隆夫
12
○
國務大臣
(
齋藤隆夫
君) 日本の政治の運行に当りまして、官僚に対する所の観念はすでに決定的に決
つて
おると思います。官僚の弊害もどういうものであるかということももう世間衆知のことでありまして、我々が今更かれこれ穿撃する必要はないと思いまするが、この
公務員
法の大体の
趣旨
もやはりその官僚の宿弊をこれによって一掃したいという
精神
は、この
法案
の各所に私は現われておるように思います。
職階制
の如きは最もその著しき一つであると思います。
政党
の弊害ということは、これまでも随分言われましたが、全く
政党
の弊害が、官界になかったとは言えないのであります。あったと思いますけれども、それも改めなければならんという
趣旨
を以て、
公務員
法は作られておるわけであります。故にあらゆる官界の宿弊を一掃するという
見地
の上に立って、これが作られておるのでありまして、これが適正に行われましたならば、從來の弊害は相当に粛正せられるものである、こう考えておりまするからして、これ以上はおのおの見る所によって違いましようが、我々はそういう考えを以て、この
法案
をば一貰しておるということを御承知置きを願いたいと思います。
太田敏兄
13
○太田敏兄君 この
法案
の
附則
にもそう書いてありますし、只今の御
説明
にも言われたのでありますが、この
法律
で十月一日から
臨時人事委員会
は発足したいということでありまするが、そうすると結局この
法案
は、今月中に議了せねばならんということになりますが、今日から数えまして六日で、日曜を除きますと五日しかないのでありますが、こういったような重大なる
法案
を近々数日中を以て議了するということは、非常に無理ではないかと思うのでありますが、併し無理にこれを間に合せようと思いますれば、殆んどこれは鵜呑みにするよりほかにないと思いますが、そういうことは甚だ遺憾であると思うのであります。これを今率然として出されまして、そそくさに
審議
するという
理由
が特にありますれば伺いたいと思うのでありますが、私はできれば特にこういう重要なる
法案
は、愼重を期して
審議
に当りたいと思うのであります。 それから第二に、この第五條の
規定
にありまする
人事官
の選任のことでありまするが、これは両院の
同意
を経てとありますから、恐らく
政府
から両院に諮問せられるであらうと思いますが、更に私はこれを本当に民主的な
國民
の公僕たる官僚
組織
を作る
ため
には、先ず最も民主的な
人事官
を置く必要がある。それにはただ
政府
から両院にその
同意
を経るということだけでなしに、その前に一種の民主的な
方法
で
人事官
を選任する、そしてそれを
國会
の
同意
を経て総理大臣がこれを
任命
するというふうにすることが望ましいと思のであります。これは
最高裁判所
の裁判官の
候補者
が、一種の民主的な
方法
で選挙されまして、それを総理大臣が
任命
したのでありますが、やはりこういうふうに先ず最も民主的な
方法
で
人事官
の
候補者
を或いはこの倍数とか、或いはその任意で宜しいとか、兎に角民主約な
方法
で先ず選任しまして、それを両院に諮
つて
内閣総理大臣
がこれを
任命
するというふうにしたらば、もっと民主的な、より民主的な
人事官
が得られるのではないかと思います。これにつきまして当局の御意見を伺いたいと思います。 それから第二十一條の
権限
の委任の下りでありまするが、これは「この
法律
に基く
権限
で重要でないものについて、これを他の機関をして行わしめることができる。」こうありまするが、これはちょっと字句に拘わるわけではありませんが、「重要でないものについて」ということがよく分らないのでありますが、或は二級官以上は直接
人事院
でやる、そうして三級官以下のものは他の機関に委任して行はせる、尚これは別に言葉に囚われるわけではありませんけれども、重要でないということもちょっと耳障りでありまして、上級
官吏
が重要であ
つて
、下級
官吏
が重要でないということはないと思うのでありますが、そういうような語呂の穿法なり、或いはその
範囲
を具体的に調査部の方の構想をお伺いしてみたいと思います。
齋藤隆夫
14
○
國務大臣
(
齋藤隆夫
君) この
附則
の第二條でありますか、第一條でありますか、この
法律
は十月一日から
施行
するということになっておりまして、もう十月一日はあと残す所一週間しかないのでありまして、その間にこの
法律
の
審議
を完了願うということは、誠にこれは
政府
としても実は苦しい
立場
におるのでありまして、もっと早くこれを提出することができればよかったのでありますけれども、
諸般
の
関係
によって遅れました。
政府
といたしましてはなるべくこの
期間
内に
審議
を議了して頂きたいのでございまするけれども、これ以上は
國会
の権能でありまするからして、
國会
の方においてどういう工合にお
取扱
いを願うことができますか、
政府
といたしましては、何らこれに喙を容れることはできないのでございます。併し事情は御承知の通りの次第でありまするからして、よろしく一つ御考慮願いたいと思います。
前田克己
15
○
政府委員
(
前田克己
君) 爾余の二点について私からお答えいたします。第一は
人事官
の
任命方法
について、もう少しなにか民主的な
方法
が考えられんかというお尋ねであります。これにつきましては、随分いろいろ外の例もございまするし、内部でも議論があったのでありまするが、結局は
國民
の代表者たる
國会
の
同意
を経て
任命
するのであるかち、これが一番民主的な
方法
ではないか、或いは何等か諮問機関、推薦機関のようなものから一應推薦を受けるような
方法
、或いは逆に
國会
の方から指名をして頂くような
方法
がいろいろあると思いまするが、
人事官
の
職務
そのものが非常に技術的な専門的な性質のものでありまするから、又行政の実際にも通曉しておることを必要といたしまするので、そういう点を考慮いたしまするとやはり第五條に定めました
資格要件
を具えた
候補者
を
内閣総理大臣
が
責任
を持って愼重に
選考
して、それを
國民
輿論の判断に問う
ため
に両院議員の
同意
を得る、これが実際的でもあり、且つ民主的な要望を入れた、かように考えて
規定
いたしておるのであります。 それから二十一條の
権限
で重要でないものについての委任の
規定
でございますが、これは読んで宇のごとく重要でないものを他の機関をして行わしめるという
規定
でございます。ただこの
職員
の
任免
につきましては、後の五十五條のところに明かになっておりまするように、
人事院
自身は
職員
の具体的な
任免
ということにはいずれの場合と言わず與らないのであります。
任免
はすべて
任免
権者に属することになっておるのであります。ただその他いろいろこの
官職
の共準に掲げられております
事項
、殊に
能率
のこと、或いは
服務
に関すること等で、
各省
でそれぞれ特殊の事情のあるものもあります。余り基本的でない軽微な
事柄
を他の機関に任せる場合もあるということでこの
規定
をおいておる次第であります。
北村一男
16
○北村一男君 この
人事官
というものは非常に重要性を帯びておるわけでございますが、
人事官
を選ぶ標準に人格が高潔で、
能率
的に
仕事
を運べて、その他私、法文を持って來ませんが、標準がもう一つあ
つて
、それから三十五歳以上、資格が四つついておる、これはこういうことは主観的でこれがいいと言いましても、客観的にはどうも人格の点において疑義があるというような点も考えられますが、これは絶対
條件
では勿論ないと思われまするが、どの程度の重要性を持っておるのであるか、自分の子供に嫁婿を迎えるにも、いい者を選ぼうとしてもなかなかそのいい人がない。或程度我慢しなければならんというような実情から考えて、これはどの程度に重さをおいてお考えになっているのか、或いは他の
委員
から質問がありましたかも知れませんが、それを承
つて
おきたいと思います。
前田克己
17
○
政府委員
(
前田克己
君)
法律
の
規定
といたしましては別に飾りの言葉ではございませんから、書いてありまする通り、人格も高潔でなければならんし、民主的な統治
組織
と
成績本位
の
原則
による
能率
的な
事務
の処理に理解がなくちやならない、又
人事行政
に関して識見も持たなくちやならない、年齢も三十五歳以上、これは飽までも絶対的に守らなければならん、こう考えるのであります。この中年齢のことの如きはこれは誰が見ても間違いない、その他のことも或程度その人の経歴等によりまして、おのずから客観的な判断が下せると思うのであります。勿論相当見る人によって違うような分子もございます。実際この
人事官
を選任いたしまするときの
手続
きといたしましては、総理大臣の手許におきまして
関係
の人が相談をして選ぶということになると思うのであります。併しこれは
任命
は
内閣
でありまして、閣議にもかかりますし、又両議院の
同意
というもう一つ檢討の
機会
もございます。これらの
機会
にこれが檢討されまして、著るしく個人の主観によって選任が左右される、そういう心配はないものと考えております。
北村一男
18
○北村一男君 あなた自体が大体こんな人間が日本に沢山あるとお考えになっておりますか、そのあなたの御意見を一遍承りたい。
前田克己
19
○
政府委員
(
前田克己
君) まだ現在の我が國におきましては、過去において
人事行政
というものに対する研究も、或いはそういう実行も十分発達いたしておりませんので、この要件に合致した方を選ぶのは相当困難とは考えております。併し廣く官民を通じまして、この人材を求めれば三人ぐらいの方を探すことは不可能ではないのではないかと考えておる次第であります。
北村一男
20
○北村一男君 そういう考え方が官僚の考え方なんで、さっき吉川
委員
が仰せられましたそういう考え方から清算してかかれということがこの
公務員
法に盛られんければならん。そんな人間は今の世の中にはありません。私は断言します。そういう空想を盛つたような法文は
國民
に対して不親切であります。そこで私はこれ以上は意見の相違でありまするが、今太田
委員
の仰せられたように、やはり諮問機関のようなものを拵えて、諮問
委員
のようなものを拵えて、そうしてそれにお諮りになることが過ちを少くするゆえんだと思いますから、これは是非そういうように改めて頂きたいと存じます。
岩間正男
21
○岩間正男君 個々の具体的なことについては後程これが進行するに連れて詳しく伺いたいと思いますが、先ず総括的にお伺いしたいことがあります。 第一にこの第一條のこの
法律
制定の
目的
という條項によりますと、民主的な
方法
によって選択し、又民主的な
運営
をするというようなことが謳はれておるのでありますが、これがこの
法案
の中で果してどれだけ実行されておるかという点について甚だどうも疑わしいものがあると思うのであります。只今も前の方から意見がありましたのでありますが、そういう
運営
の
方法
について果して今日この
法案
が十分に官僚臭を拔切つた形の民主的な
基盤
からなされておるか、立法されておるかどうかという点について疑問があると思うのでありますが、こういう点につきまして、その大綱でもいいですから、御答弁が願いたいと思うのであります。 次に今日日本の
公務員
の諸君は殆ど多くが労働組合を結成しておるのであります。この労働組合そのものに対していろいろな意見があるとは思いますけれども、その
根本
精神
とするところは、現段階の日本の民主革命、こういうものを推進するところの主体的な、そうしてそれを下から盛上げて行くところの最も基本的なものとしての自覚を以て立ち上っておるのだろうと思うのであります。吉川
委員
からも先程質疑があったのでありますけれども、
從つて
恐らくこのような一つの主体的な力を持つたところの組合というものに対して当局がこれを指導し、いや指導という言葉が当らないとすれば、これをよく見守
つて
大きく育てて行く。そうしてその中から今までの官僚の
制度
の誤
つて
來たいろいろな問題を自然と脱皮するような
方法
を取らうということが最も大きな方針ではないかと考えられるのでありますが、それにつきまして、このような
公務員
法案
がここで急速に決定されて行く、そうしてこの
法案
を見ますというと、そういうような民主的な
方法
というものを助長するような面よりも、これを拘束するというような面が非常に多いというように見られる。この拘束によって現段階漸く成長し始めたところの民主的な動向というものに水を差される。結局眞の今
國民
が待望しておるところのこの
公務員
の民主化というものが十分になされない。
從つて
この
法案
を
樹立
する元來の
目的
からも遠くなるというような矛盾した面が見られるのでありますが、こういう点について果してこの労働組合法とこの
國家公務員法
というものをどのような関聯において今後これを考えて行くべきかという点、そういう点についてお聴きしたいと思うのであります。 更に今日一番大きな問題になっておりますのは、この
公務員
、詰り
官吏
一人々々の生活権の問題なのでありますが、この生活権を確立するところの
規定
というものが、
本法
案では非常に抽象的であり、微弱であるというところから、現在においては非常に問題が発生しておる。官僚のいろいろな涜職の問題とか、それから自分の職場を利用して権益を漁るというような問題が発生しておるのでありまして、この
法案
の
裏附
けとしての、当然この生活権の確立というものが強調されなければならないと思うのであります。これなくしては、この
法案
も恐らく空文になってしまうということがはっきり考えられるのでありますが、この点についての当局の意向をもっとはっきり明確に指示して、ここで
説明
して貰いたいと思います。 第四番に行きまして、これは現在官僚機構の中で、やはり大きな欠点の一つとして、挙げられておりますのは、このセクシヨナリズムであります。繩張り争というものが現に今日あります。殊に、今次の水害によって櫻堤の決壌というような問題の如きは、最も端的な官僚機構の見本的な現われでありまして、こういうものに対して現状のままで、これが推移して行つたならば、依然として官僚
制度
の弊害は拔くことのできない段階にあると思うのであります。これについてこの
公務員
法は如何なる具体的な
措置
を取り、そうしてこれを解決せんと努力しておるかという点について、これははっきりした一つの見通しを指示して貰いたいと思うのであります。このような点につき考慮が十分になされない限り、この
公務員
法は官僚の病弊を、最も障害とするところを完全にこれを一擲するというような面がなければ、絶対に日本の
公務員
の改革というものはできないと思う節があるのでありますから、この点について特にはっきりした御答弁が願いたいと思うのであります。 更にもう一項でありますが、
人事官
の問題でありますが、この
人事官
が三人と限定されておる、而もその三人の中の一人が総裁というようなことになると、非常に人数が少い。このような少い
人事官
をどういうような根拠によって選ばれたか、これだけの人数において果して民主的な
運営
というものが可能であるかどうか、大体以上五項目に亘りまして、概括的に質問をいたしたいと思います。
齋藤隆夫
22
○
國務大臣
(
齋藤隆夫
君) 第一に民主的な
方法
で
公務員
を選択するという文字が現われておりますが、この
法律
の
施行
によって、果して民主的に
公務員
を選定することができるかできないかという御質問のように伺いましたが、御承知の通りにこれまでは
公務員
を
採用
するにつきましては高等
試験
というものがありまして、これには相当の学歴なんかも必要となっておりましたけれども、今度の
試験
制度
におきましては、そのような学歴の如きものはすつかり止めまして、如何なる学歴のある人でも、学歴のない人でも、等しく
試験
に應ずるということになっておりますからして、これまでのような弊害はないと思いますと同時に、民主的と申しましたところが、
試験
も何もせずして、勝手に
任命
するということも、これにも相当の弊害がありまするので、いずれの民主國におきましても、
公務員
を
採用
するにつきましては、それ相当な
試験
があるのでありますからして、これらの
試験
につきましては、各方面からしていろいろな非難もあると思うのでありまするからして、この非難に鑑みまして、この
法律
はそれらの非難に値するものは排斥して、極めて民主的な
方法
によって
試験
制度
を改めるということによりまして、これより以外にどうも民主的に
公務員
を選定するという
方法
はないように考えておるのであります。それからして労働組合法との
関係
につきましてお尋ねがありましたが、
本法
と労働組合法との間には、実は何らの
関係
がありません。労働組合法は労働組合法の
規定
によって
施行
せられるのでありましようし、
本法
は
本法
の
目的
によって
施行
せられるのでありまして、直接には何らの
関係
はないと思います。それからしてこういうふうな
法律
を拵えても、生活権の
裏附
けがなければ駄目じゃないか、併しながらそういうことはこの
法律
以外において、一般の政治問題でありまして、この
法律
はそこまでは
関係
はしておらんのであります。 セクシヨナリズムの問題がありましたが、これは多年の問題でありまして、これは今度の行政機構の改革につきましても、セクシヨナリズムを排斥して、すべての行政
事務
を一元化するという方に案を練
つて
おりまするからして、これがどういうふうな形となって現われて來るかはまだ分りませんけれども、この点は極めて御同感であります。
人事官
三人ということについてお話がありましたが、これは他の
政府委員
からお答えを申上げさせます。
前田克己
23
○
政府委員
(
前田克己
君) それでは最後の
人事官
の数の点について私の所見を申述べます。これは結局
人事官会議
というものを設けるのでありまするが、併しやる
仕事
は普通の
官職
におきまする
執行
事務
でありまして、これは余り多くなりますると、議決の
手続
等にも非常に時間がかかりまするし、又各人の
責任
の自覚というような点から申しましても、必ずしもよい結果が得られないのではないかと思うのであります。それから又先程御質問のありましたように、人数が多くなりまする程、
法律
に決めた
趣旨
の
適格性
を備えた方の
選考
に非常に困難でありまするので、それらの点も考慮に入れまして三人と決めました次第であります。
岩間正男
24
○岩間正男君 私の質問の中で、少し不明確なところがあったと思うのでありますが、労働組合法との
関係
という質問の出し方が非常にまずかったと思うのでありますが、労働組合法によって労働組合を形成したこの
公務員
の既得権と、この
公務員
法とはどういうような
関係
を持つかという点に質問を改めたいと思います。
前田克己
25
○
政府委員
(
前田克己
君) まだ御質問とピントが合わないかも知れませんが、結局この
法案
には
公務員
に関する特別法でありまするから、この
法案
で何か
規定
を設けますれば、それが労働法や労働
関係
調整法の特別法になるわけでありまするが、この
法案
は御覧の通りその点については何も
規定
を設けておりません。
從つて
公務員
の團結権、或いは争議権等に関する他の
法律
による
制限
、或いは権利というものは何ら変更がないわけであります。 それから屡々問題になることでありまするが、現在
職員
組合というものが團体協約によりまして、或る程度各官廳等の
人事権
に關與しておる場合があるのであります。これは現在といえども、法令によって別にそういうことが認められておるわけではなく、ただ法令によって與えられておりまする
任免
権の裁量内の
事項
としてそういうことが
規定
されておるのであります。
從つて
この点は
本法
案に移りましても同様でありまして、こういう
事柄
を法令上認めるということにつきましては、必らずしも適当ではないと思うのでありまして、ただ実際問題としてそれをどう扱
つて
行くかということは、
本法施行
後の
取扱
い、
運営
の問題として、将來の研究問題になるわけでございます。
中野重治
26
○中野重治君 これはさっき吉川
委員
の間に対して斎藤大臣が答えられたと思いますが、その答がよく分らないので、もう一度お尋ねしたいのですが、それは
根本
的な問題で、細かい問題もお尋ねしますけれども、それはこの
法案
の作られた
根本
精神
に関するもので、つまり簡單に言えばこういうことになります。それはこの
法案
が、アメリカにおける
公務員
法というようなものを
本法
に配して、そうしてできるだけ日本式に
適用
できるように改めたいということは皆認めておるわけですが、それについて、アメリカでは
政党
の力が発達して、
政党
政治が発達して、部分的に発達し過ぎたようなところがある。
官吏
が
政党
の力に押されて困るような点がある。それを
政党
の大き過ぎる力から
官吏
及び
官吏
の
仕事
を守ろうというところにアメリカでのこの
法律
の意義があるわけです。そういうことが今
説明
されたわけですね。日本ではそれが逆であるということも認められておるわけで、そこでアメリカでは、いわば大ざつぱに言ってしまえば、
政党
の力をもう少し抑える。ところが日本では官僚の力を抑えなければならん。官僚の今までの
組織
を
根本
的に破壊して、
國民
の公僕としての
公務員
の性格を新しく作
つて
行かなければならん。そういうときに、官僚と言っては言葉が妥当でないかも知れませんが、つまり官僚を守る
ため
のアメリカ方式を、官僚の力を
根本
的に破壊して新しい公僕方式を作
つて
行く
ため
の日本に持って來るということは、現在でさえすでに非常に大きい又惡く大きい日本の官僚の力を一層強め、一層法制的に固定化するということにしかならん。そういう点についての吉川
委員
の質問だったと思うのです。ところがそれについて斎藤大臣は、見解の相違だと答えられたと思いますが、見解の相違ということは、これは誰にもあることだから仕方がないけれども、弱めるべき官僚、弱めなければならん日本の官僚、その官僚を守る
ため
の
法律
を作り上げることでどうして
目的
を達せられると思うのか。この点については見解を一致させて置かないと、この全
法案
を
審議
するのに、一口に言えば、話にならんと考えるわけです。その点ですでに見解の相違があるのか、つまり我々は日本におけるよくない官僚の長年、これは大臣がさっき、明治以來多年の
傳統
とか、舊來の
傳統
を一擲しなければならんとか、新
憲法
の
精神
に則るとかいうふうに、最初この
法案
ができて來る
説明
があったわけですが、
政府
ではそれを認められておるわけでありますね。大臣と我々とそこでは一致しておるわけでありますね。その力を
根本
的に弱めて改める。そこへ強めるのがよいということであると、我々は、強める方を持って來てはいけない、弱める方式、
政党
の力をもっと伸ばす方式をここへ繰り込まなければならん。この点ですでに
根本
的な喰い違いがあ
つて
、そうしてそれは單に見解の相違であるということでこれがパスするものであるならば、これは甚だ問題に立ち入ることすらもすでに遮断されてしまうということになると思いますので、その点では
政府
側も我々も
根本
的には一致した見解に到達したい、こう思うわけです。
齋藤隆夫
27
○
國務大臣
(
齋藤隆夫
君) この
法案
が現われました動機につきましては、最前申した通りであります。併しながらこの
法案
を作成するについて、アメリカの思想もいくらか混
つて
おりますることも、これは疑いないのであります。併しながらこの
法案
はこの
法案
として独立な
規定
が設けられておるのでありますからして、この
規定
そのものによって御
審議
願いたいのでありまして、我々はこの
法案
によって我が國の官界多年の宿弊をでき得る限り一掃することができる、こういう考えを以てこの
法案
に当
つて
おるのでありますからして、何もアメリカの官界では、いわゆる
政党
の弊害を受けて
官吏
が苦しんでおつたからして、そのアメリカの思想を眞似て作つたところのこの
法案
は、やはり徹頭徹尾その思想の下においてできておるものであろうと、こう解釈せられるというと、我々の解釈と大分違うのであります。この
法案
を
審議
せられるに当りましては、やはりこの
法案
自体について、この
法案
によって
目的
を達することができるかできないかという点について主力を注がれて、子の不備なる点はどこまでも御訂正を願いたいと思うのであります。
中野重治
28
○中野重治君 これでアメリカの
法律
の影響を受けるとしても、それは我々は日本の問題を解決する
ため
に参考にするのだと、決して翻訳を我々がここで議論をするのではないということははっきりしたと思います。その点で見解はほぼ一致したと私も思いますが、それならば、その実際の條文がどうなっておるかということについて今度は細かい質問をしたいのですが、
人事院
の問題がこの
法案
の中枢であるということも、これは認められておるわけで、これは
委員長
の方からもお話のあった通り、
人事院
がこの
法案
の中枢であるからして、
從つて
決算
委員会
でこの問題を
取扱
うということにもなるわけで、これも誰にも皆認められておると思いますけれども、その
人事院
の構成について、これが
内閣総理大臣
の一方的な
任命
が行われるような、そういう仕組になっておること、それがどうして官僚機構の温存の
ため
に役立たないで、却
つて
官僚の民主化の
ため
に役立つという
説明
、それをお聴きしたい。 それから問題は沢山出ておるようでありますが、
人事院規則
というものが出ておりますが、その
人事院規則
というものはなんであるかということをお聴きしたい。
法律
でもなければ政令でもないという形になっておりますが、そういうものを作ることが
憲法
の
精神
を活かすのにマッチしておるかどうか。それから而も、
法律
でもなく制令でもないこの
人事院規則
というものが強い力、それから廣い
範囲
の力を持っておるということになっております。それですから尚更、そういうものを作るということが、
憲法
の
精神
に違反しないかどうか、それから
人事院規則
というものが、これによりますと、勿論この
法案
がこのまますらすら通れば、
人事院
に白紙委任だれるということになるのですが、要するに
人事院
が総理大臣の一方的
任命
によってできるように構成されるようになっていて、その
人事院
が自分だけで
人事院規則
を作ると、その
人事院規則
というのは政令でもなく法令でもないと、而もその
規則
というものは
廣範
且つ強力な作用を及ぼし、そうしてその
人事院
がこの
法案
の中枢であるということは万人が認めておる。こういうことは果して日本の
官吏
の全仕組を
國民
の公僕にする
ため
に新しく
法案
を出す際の行政上のその中枢になる
人事院
というものを民主的なものとして
説明
するのに妥当であるかどうか、それをお聴きしたいと思います。
齋藤隆夫
29
○
國務大臣
(
齋藤隆夫
君)
人事官
の
任命
のことについてのお尋ねでありまするが、これはもう最前
政府委員
からお答えしたと思いますが、これは総理大臣が勝手に決めることができるものではなくて、やはり両院の承諾を得るのであります。両院の承諾を得るという点で、これは民主的な
任命
であることは十分その
趣旨
を達することができると思います。申すまでもなく両院は
國民
の代表機関でありまするからして、両院のやつたことは即ち
國民
のやつたことになるのでありますから、これ以上に
國民
が直接に
人事官
の
任命
について口を入れるということになりますると、これはもう人民の直接政治になるのでありまして、間接政治である立憲政治とは相容れん思想であると思います。
國会
が承諾するというその一事によって民主的な
任命
であるという理論が十分に
達成
せられるとこう私は考えております。他の
人事院
の
規則
につきましては、これは
政府委員
からお答えいたさせます。
前田克己
30
○
政府委員
(
前田克己
君)
人事院規則
の性質でございますが、これはちょっと例を取りますと、
会計檢査院
法の
規定
で、檢査院規程というものを作る、大体これと似たものであります。ただ檢査院は独立機関でありますが、これは総理大臣の
所轄
に属する機構でありまするから、制定することが勝手にはできません。総理大臣の
承認
を受けることを必要とするのであります。併し
公務員
法に基ずく限り、一種特別な
地位
を持つ法規である、これはもうその通りであります。 そこで、それにしても
人事院規則
への委任が非常に多過ぎる。かたがた
人事院
の
選任方法
と相俟
つて
非常に不安な点があるという御心配があり、随所に
人事院規則
というものが出ては参りまするが、その中には可なり
施行
細則的な
規定
も多いのでありまして、こういうものを政令によらないで、
人事院規則
で決めるということを
規定
する
趣旨
が非常に強いのであります。それで決まりまする
内容
は可なり技術的なものがありまするから、これを
法律
で釘附け的に
規定
してしまうにも適しない
事項
は非常に多いのでありまして、或る程度
人事院規則
に委せることも己むを得ないと思うのであります。ただこの場合、普通でありまするならば、
法律
の
施行
は政令によるというわけでありまするが、この点は
人事院
は総理大臣の
所轄
にはありますけれども、業務り性質上、或石程度独立的な
地位
を有せしめる必要があるのでありまして、その
意味
におきまして、
人事院
に委せるということで
人事院規則
を作らしておるのでありまして、
人事院
の構成者が選任よろしきを得まするならば、こういう専門家を集めました人に委せる方が
規則
の中立性を確保するというような上から行きましても適当であるとこう考える次第であります。
下條康麿
31
○
委員長
(
下條康麿
君) まだ御質問があろうと思いますが……。
原虎一
32
○原虎一君 この程度で散会を希望いたします。
下條康麿
33
○
委員長
(
下條康麿
君) 本日はこの程度で散会いたします。明日は午後一時半から開きますからどうぞ……。 午後四時十五分散会 出席者は左の通り。 決算
委員
委員長
下條 康麿君 理事 太田 敏兄君 山下 義信君
委員
岩崎正三郎君 吉川末次郎君 北村 一男君 中川 幸平君 平野善治郎君 深川タマヱ君 小川 友三君 小野 哲君 鈴木 憲一君 山崎 恒君 千田 正君 労働
委員
委員長
原 虎一君 理事 堀 末治君
委員
赤松 常子君 天田 勝正君 平岡 市三君 紅露 みつ君 奥 むめお君 竹下 豐次君 姫井 伊介君 中野 重治君 岩間 正男君
國務大臣
國 務 大 臣 齋藤 隆夫君
政府委員
総理廳
事務
官 (行政調査部総 務部長) 前田 克己君 総理廳
事務
官 (行政調査部公 務員部長) 淺井 清君