○
國務大臣(
鈴木義男君)
只今上程に相成りました
最高法務廳設置法案の提案の理由を御説明申上げます。この官廳の性質、地位に鑑みまして、
内閣総理大臣から御説明申上げるのが適当と存ずるのでありますが、
内閣総理大臣の命によりまして、主としてその立案の任に当りました関係上、私から御説明申上げることといたします。御了承を願います。
御承知の通り新憲法においては、いろいろの制約と例外とはございまするが、立法、行政、司法三権の分立を大原則として樹立いたしたのであります。立法は國会が掌り、行政は内閣が掌り、司法は
裁判所がこれに任ずるという建前であります。この三作用の分立を明確にいたしました結果、
従來裁判所の人事、予算及び
事務章程の制定等に関する権限が
実質上司法大臣の手にありましたが、挙げて
最高裁判所に委ねられたのであります。かくて
司法省の任務、その在り方がいかにあるべきかということが再檢討されなければならないことになりましたのは当然のことと存ずるのであります。殊にこのことは去る九月十六日
附マツカーサー元帥から
内閣総理大臣に宛てられましたる書簡の中に強く示唆されたのであります。政府はこの必要に鑑みまして、内閣に、
警察制度と共に
司法省の改廃問題に関する
調査審議委員会を設けまして、不肖私がその
委員長に指名させられまして、
愼重審議の結果、今回提案のごとき結論に到達いたしたわけであります。
私共の考えでは、若しこれを
司法省だけの改廃問題として考えますならば、
裁判所が独立をいたしました後は、その残余のいわゆる
司法行政事務だけを取扱う官廳として残すことも考えられまするし、又
檢察事務は一個独立の事務でもありまするから、
檢事総長の下にこれを独立の官廳とし、登記、戸籍等の事務、行刑及び
司法保護等の事務もそれぞれ独立の官廳に委ねまして、
司法省というものは解体してもよろしいとも考えられるのでありまするが、こういう消極的な解決だけでは不十分でありまして、更にこの機会に新憲法下における
行政権行使の適法性を確保するために、
行政部全体における
法律事務を総合的に統轄して行くべき職責と任務とを有する新機関を設置することを構想したのであります。即ち新憲法は國民の不可侵且つ永久の権利として
基本的人権を保障し、健全なる
民主法政治國家の確立のために、
最高裁判所に対し一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を與え、又
裁判所に対し民事、刑事の裁判権の外、すべての
行政事件その他の
法律的爭訟を裁判する権限を與えているのであります。従つて、政府が憲法及び法律を忠実に施行するためには、
政府自体においても、憲法及び法律の
解釈適用を統一して、自主的に法に
則つた政治を確保することが絶対に必要でありまして、このためには政治に一元的な法務に関する
統轄機関を設け、法律問題に関する政府の
最高顧問として、
行政部門に対し法律上の意見の開陳又は勧告をさせることが適当と存ずるのであります。
これが即ちこの法案にいわゆる
最高法務総裁でありまして、この
最高法務総裁の管理する事務は
最高法務廳でこれを掌るのであります。こういう官廳は各省とは異りまして、
行政部全体に跨る任務を遂行するのでありますから、一つの省として考えられるべきではなく、独立の
綜合的官廳として内閣に設置せらるべきものと存ずるのでありまして、これを省と呼ばずして廳と名付けましたのもそのためであります。
この制度を立案いたすにつきましては、英米における
アターニー・ゼネラルの制度が参酌せられたのでありまして、殊に米國の
アターニー・ゼネラルの制度が参考となつたのであります。役所を作るというよりは
行政部全体に対する
最高法律顧問たる
最高法務総裁というものを設ける、そしてその
最高法務総裁が仕事をして行く必要上諸々の
補助官府を持つという建前でありまして、制度よりは人に重きを置くのでありますから、法案の建前は先ず
最高法務総裁を置く、これが最高の権威と権限を持つという意味で特に
最高法務総裁と名付けたのであります。そしてこの総裁の下に
檢察長官、
法制長官、
法務調査意見長官、
訟務長官及び
法務行政長官の五長官を設けたのでありまして、この五長官は米國の
サリシター・ゼネラル・アシスタント・ツー・ザ・アターニー・ゼネラル等に当り、それぞれ
主管事務について
最高法務総裁を助けるのであります。
この
最高法務総裁は極めて重要な官職でありまして、不偏不党、公正に職務を遂行する者でなければなりませんので、その選考を愼重にすることを期待いたしますために、その地位にふさわしい者の中から選ぶということを法文上特に明らかにいたしたのであります。併し又内閣の一員であります以上、常に國会に対して責任を負うものでなければなりません関係上、その者は常に
國務大臣であることといたしておるわけであります。
次に法案の具体的な内容についてその概略を御説明申し上げますと、
最高法務総裁は法律問題に関する政府の
最高顧問として、内閣並びに
内閣総理大臣及び
各省大臣に対し意見の陳述又は勧告をなすと共に、政府における法務の
綜合統括機関として、國の利害に関係ある爭訟に関する事項、
内外法制の調査に関する事項、人権の擁護に関する
事項等の外、
従來司法大臣の所管に属した
檢察事務及び
檢察廳に関する事項、恩赦、
犯罪人の引渡し、戸籍、登記、供託、行刑並びに
司法保護に関する事項、
従來法制局の所管に属した
政府提出の
法律案又は
政令案の
審議立案、條約案の審議に関する事項を管理し、尚これに関聯して昭和二十二年勅令第一号の規定による
覚書該当者の
観察等に関する事項、並びに
従來内務大臣の所管に属した國籍、
外國人の登録、昭和二十一年勅令第百一号の規定による政党、協会その他の團体の結成の禁止、
聯合國最高司令官の要求に基く
正規陸海軍將校又は
陸海軍特別志願予備將校であ
つた者等の
調査等に関する事項をも統合管理することといたしたのであります。この
最高法務総裁は、先程申しましたように、その地位の重要性に鑑み、これにふさわしい者の中から
内閣総理大臣がこれを任命し、その者は
國務大臣として内閣に列するものとし、又この者はその担当する
行政事務については
内閣法にいう主務の大臣たるものとして、その
職務権限については「省令」を「
最高法務廳令」と読み替える外、
行政官廳法第四條乃至第七條の規定を準用することにいたしたのでありまして、これらのことはこの法律の第一、ニ條に規定しているところであります。
次に
最高法務総裁の
補助機関について申し上げますと、
最高法務総裁の下に
檢察長官、
法制長官、
法務調査意見長官、
訟務長官及び
法務行政長官の五長官を設けて、各
長官総務室及び
所属各局の事務を
指揮監督される外、
最高法務総裁官房長を置いて
総裁官房の事務を
指揮監督させることとし、又
最高法務総裁の管理する事務は、
最高法務廳でこれを掌ることとして、
最高法務廳には
総裁官房及び各
長官総務室の外、
檢察長官の下に檢察局及び
特別審査局を、
法制長官の下に法制第一局、法制第二局および法制第三局を、
法務調査意見長官の下に
調査意見第一局、
調査意見第二局及び
資料統計局を、
訟務長官の下に
民事訟務局、
税務訟務局及び
行政訟務局を、
法制行政長官の下に民事局、
人権擁護局、
矯正総務局、
成人矯正局及び
少年矯正局を設けることにいたしたのであります。
以下簡単にこれらについて御説明申し上げますと、先ず
檢察長官の下にありまする檢察局は、
従來司法省刑事局の所掌に属した檢察の指揮その他の
檢察事務及び
檢察廳に関する事項、恩赦、
犯罪人の引渡し、
犯罪捜査の
科学的研究、
司法警察職員の
教養訓練に関する
事項等の外、
檢察事務に関聯する犯罪の予防、その他刑事に関する事項で他の所管に属しない事項を掌り、又
特別審査局は昭和二十一年勅令第百一号の規定による
各種團体の結成の禁止及び解散等に関する事項のうち民事局の所管に属する同勅令による政党、協会その他の團体の財産の接収及び処理並びに政党の登録に関する事項を除くその他の事項、
聯合國最高司令官の要求に基く
正規陸海軍將校又は
陸海軍特別志願予備將校であ
つた者等の
調査等に関する事項並びに昭和二十二年勅令第一号の規定による
覚書該当者の
観察等に関する事項を掌るのである。
次に
法制局長官の下における法制第一局、法制第二局及び法制第三局は、
従來法制局の所管に属していた
政府提出の
法律案及び
政令案の
審議立案並びに條約案の審議に関する事務を掌るものでありまして、法制第一局は主として外事、財政又は金融その他法制第二局又は第三局の所掌に属しない事項に関するもの、法制第二局は主として産業、経済、運輸又は通信に関するもの、法制第三局は主として法務、文教、厚生又は労働に関するものをそれぞれ分担するものとし、ただこれら各局の事務は相互に関聯性を有しておりますので、
法制長官は特に必要があると認めるときは、臨時に
各局所掌の事務を変更することができるものとしたのであります。
次に
最高法務総裁は法律問題に関する政府の
最高顧問として、
行政部門に対し法律上の意見の陳述又は勧告をなし、その他法務に関する
綜合機関として重要な機能を持つているのでありますが、これらの機能を十分に果すためには、平素より廣く内外の法制及びその運用の実情に関する基本的であつて且つ綜合的な
調査研究をなし、又その資料を収集整備する必要があるのでありまして、このため規模の大きい
調査機構を設けることが要請せられる次第であります。この意味におきまして、
法務調査意見長官の下に
調査意見第一局、
調査意見第二局及び
資料統計局を設け、
調査意見第一局において
司法制度、民事及び刑事に関する内外の法制並びにその運用に関する
調査研究に関する事務を、
調査意見第二局においてはそれ以外の内外の法制及びその運用に関する
調査研究に関する事務を、又
資料統計局においては内外の法令その他法制に関する資料の収集、整備及び編纂、法務に関する統計並びに法令の
周知徹底に関する事務を掌らせる外、各局それぞれその
所掌事務に應じて、内閣並びに
内閣総理大臣及び
各省大臣に対する法律上の意見の陳述又は勧告に関する事務を掌らせることといたしたのであります。
更に
訟務長官の下に設けられまする
民事訟務局、
税務訟務局及び
行政訟務局について申上げますれば、これらの部局は國の利害に関係のある爭訟に関する
最高法務総裁の権限を輔佐するために設けられたのでありまして、
民事訟務局は租税及び関税に関する爭訟に関する事務を、
税務訟務局は租税及び関税に関する争訟に関する事務を、又
行政訟務局は
税務訟務局の所掌に属するもの以外の一切の行政に関する爭訟に関する事務を掌ることといたしましたのであります。
更に又その他の
法務行政を担当する部局について申しますれば、民事局は
従前司法省民事局の所掌に属していた戸籍、登記、供託、訟証、
司法書士及び
司法事務局に関する事項の外、これまで内務省の所管に属していた國籍及び
外國人の登録に関する事項、昭和二十一年勅令第百一号の規定による、政党の登録ならびに政党、協会その他の團体の財産の接収及び処理等に関する事項並びに民事に関する事項で他の所管に属しない事項を掌るものであり、
人権擁護局は新憲法によつてみとめられた
基本的人権の確保のために、
人権侵犯事件の調査及び情報の収集、民間における
人権擁護運動の助長、
人身保護及び貧困者の
訴訟救助その他人権の擁護に関する事項を掌らせるため特に新しく設けられたものであります。
又
矯正総務局、
成人矯正局及び
少年矯正局は、
従來司法省の行刑局及び保護課の掌つていた行刑及び
司法保護に関する事務を統合してこれを一元的に取扱うものでありますが、最近における
犯罪激増の傾向に鑑み、行刑及び
司法保護に関する機構を整備するため新たに二局を設け、そのうち
矯正総務局においては
犯罪人に対する行刑及び保護に関する企画及び事務の調整に関する事項、刑務所、拘置所、
少年審判所、矯正院その他の官公立の
少年矯正施設に関する
事項矯正職員の
教養訓練に関する事項並びに
犯罪人の指紋に関する事項、その他行刑及び
司法保護に関する事項で他の所管に属しない事項を
掌らしめ、
成人矯正局においては成人に対する刑及び
未決勾留の執行に関する事項、
成人犯罪人の保護に関する事項並びに成人に対する
司法保護事業に関する事項を、又
少年矯正局においては少年に対する刑及び
未決勾留の執行に関する事項の外、
少年法の改正によつて設立しようと考えておりまする
少年裁判所によ
つて保護処分に付された罪を犯した少年その他の少年の保護に関する事項、並びに
少年裁判所によ
つて保護処分に付された少年に対する
司法保護事業に関する事項を掌らせようとするものでありまして、以上の五局及びその事務を
指揮監督せし
むるため法務行政長官を設けたのであります。
尚以上各局の外、各長官の下には、
長官所属の各局の
指揮監督に関する事務を掌らせるため各
長官総務室を置くことといたしましたが、事務の
統一保持の点からこの種の機関は必要と存ずるのであります。
更に
総裁官房について申しますれば、ここでは
従來各省官制通則等で官房の
所掌事務として定められていた機密に関する事項、総裁の官印及び廳印の管守に関する事項、
所管行政の考査に関する事項、
公文書類の接受、発送、編纂及び保存に関する事項、職員の
身体身分に関する事項、経費及び收入の予算、決算、会計及び会計の監査に関する事項、並びに
最高法務廳及びその所管各廳の管理に属する財産及び物品に関する事項の外、
皇統譜令に基く
皇統譜副本の保管に関する事項、
弁護士法に基く
弁護士及び
弁護士会に関する事項、
廳外機関たる
最高法務廳研修所に関する事項、並びに
聯合國最高司令部等との連絡その他の
渉外事務に関する事項をも掌るものであります。
以上
最高法務総裁の主なる
補助機関及びその
所掌事項についいて申上げましたが、これらの事柄はこの法律の第三條乃至第十一條に規定しているところでありまして、若しこれらの規定によ
つて所掌部局の定まらない事務があるときは、その事務は
最高法務総裁の定める部局がこれを掌るものとし、又この法律に定めるものの外、
最高法務廳の職員並びに
廳外機関である
最高法務廳研修所の設置その他について必要な事項は政令でこれを定め、
廳内各局、各
長官総務室及び官房の分課について必要な事項は、
最高法務総裁がこれを定めることといたしたのでありまして、これらのことは第十二條及び代十三條に規定しております。
次に
経過規定について申上げますと、この法律は施行の準備の都合上、公布の日の後六十日を経過した日からこれを施行することとして第十四條にその旨を規定いたしました。又
従來司法大臣の管理に属した私立の
矯正施設に関する事務及び罪を犯す虞れのある少年の保護に関する事務は、従來の実績に鑑み、暫定的には
最高法務総裁にこれを取扱わせるが、將來はこれを
最高法務総裁の権限から除外することとして、これに関する
経過規定を設けたのでありまして、その詳細は第十五條に規定してある通りであります。
以上この法案の提出の理由及びその内容の概略について申述べましたが、初めに申上げましたように、我が國が將來健全なる
民主的法治國家として発展するためには、新らしい職責と機能を持つた
最高法務廳のような機構が絶対に必要であるのでありまして、この点は十分に御了解を頂けるものと確信いたすのであります。尚詳細につきましては、御質問に應じお答え申上げることといたしまして、この辺で説明を終わりたいと存じます。何卒
愼重御審議の上、御可決あらんことをお願いする次第であります。
次に國の利害に関係のある訴訟についての
最高法務総裁の
権限等に関する
法律案につきまして、提案の理由を御説明申上げます。
最高法務廳設置法の制定により、國の利害に関係のある爭訟に関する事項は
最高法務総裁がこれを管理することとなりますので、これに対應して、この種の爭訟に関する
最高法務総裁の
権限等を定めることが必要となつたのであります。
従來は、中央又は地方の
行政官廳の
所管事務に係る
民事訴訟については、関係廳の長官又はその指定する
所属官吏が國を代表して訴訟を行なつていたのでありますが、この種の訴訟には事案の内容が複雑なものが多いため、関係各廳は人的物的に少なからぬ負担を余儀なくされて來たのであります。而も
日本國憲法及び
裁判所法の施行並びに
國家賠償法の制定に伴い、國民から國に対する
損害賠償の
請求訴訟、國から職員に対する求償の
訴訟等、國を当事者とする訴訟その他いわゆる
行政事件の訴訟が従前よりも増加し、その内容も亦一層複雑となることが予想されるのであります。かような事態に対処するため、この種の訴訟については、法律問題に関する政府の
最高顧問たる地位にある
最高法務総裁が一元的にこの実施等の責に任ずることとし、以て関係各廳の負担の軽減を図ると共に、その実施の統一を期そうとするのが、この
法律案の趣旨でありまして、かような制度を確立しますことは、他面これにより國の正当な利益の擁護に遺憾なきを期し得ると共に、訴訟のより迅速適正な遂行にも資することともなり、又國民と國家との間における法律上の紛爭を適正に解決する所以でもあると存ずるのであります。
以下この
法律案の要点を申上げますと、先ず第一は、右に申述べました趣旨から、國の利害に関係のある訴訟のうち、國を当事者又は
参加入とする民事の訴訟については
最高法務総裁が國を代表するものとしたことであります。
第二は、
最高法務総裁は、その指定する所部の官吏その他のものに國を当事者又は
参加入とする民事の訴訟を行わせ得るものとしたことであります。
最高法務総裁は、その指定する所部の官吏に右の訴訟を行わせます外、必要があると認めるときは、その訴訟となつている事務を所管する
行政廳の職員をも代理人に指定して訴訟を行わせ得るものとし、これによ
つて所管事務に関する
知識経験を訴訟の上に活用しようとするものであります。
最高法務総裁が事宜により
弁護士に訴訟委任することは固よりこれを妨げるものではありません。
第三は、
最高法務総裁は、國の利害又は公共の福祉に重大な関係のある訴訟においてみずから又は所部の職員により
裁判所に意見を述べることができるものとしたことであります。これにより國の利益の擁護又は公共の福祉の確保に遺憾なきを期そうとするものであります。
第四は、
行政廳を当事者又は
参加入とする訴訟の代理人に関する規定を設けたことであります。
裁判所法の施行に伴い
行政裁判法が廃止され、違法な
行政処分についてはすべて
裁判所に出訴し得ることとなつたのでありますが、この種のいわゆる
行政事件の訴訟については、
行政廳は
弁護士を
訴訟代理人に選任する外、その指定する所部の職員に訴訟を行わせることができるものとしたのでありまして、専ら
行政廳の利便を考慮したものに外なりません。
第五は、いわゆる
行政事件の訴訟について
最高法務総裁の
指揮権等を定めたことであります。右の訴訟は実質上は國の事務に係る訴訟に外なりませんので、これについては
行政廳は
最高法務総裁の指揮を受けるものとし、
最高法務総裁は必要があると認めるときは、その所部の官吏に
当該訴訟を行わせ、又は
行政廳の指定若しくは選任した者を解任し得ることとしまして、國の利害に関係のある訴訟の一元的な実施を期したのであります。併しながら
公正取引委員会の審決に係る訴訟につきましては、昭和二十二年法律第八十五
号私的独占及び
公正取引の確保に関する法律の趣旨に鑑み、
最高法務総裁の
指揮監督を受けないものといたしたのであります。
最後に第六は、
最高法務総裁又は
行政廳の指定した者の裁判上の権限を定めたことであります。
訴訟手続の円滑確実を害することのないように、これらの者は代理人の選任以外の一切の裁判上の行為をする権限を有することといたしました。
以上を以て
只今議題となりました國の利害に関係のある訴訟についての
最高法務総裁の
権限等に関する
法律案の大要の説明を申上げました。何卒
愼重御審議の上、速やかに可決せられんことをお願い申上げます。