○島上委員 敗戦後の荒廃に帰しておる産業を再建復興することの必要であることは、もはや議論の余地のないところですが、この
ために労働組合の健全なる発達が必要であるということも、これまた議論の余地のないところだと思う。
労働省が
設置されまして、この労働組合の健全なる発達について努力されることを、われわれは大いに期待しておるのでありますが、昨日の前田君の
質問に対して、
米窪國務大臣は、労働組合の健全なる発展については、労働組合自体の自主的な動きを尊重して、干渉がましいことはいたしたくないというような御
答弁であ
つたと思いますが、私もそれは結構だと思います。しかしながら現に労働組合の健全なる発達を阻害しておる事実があるといたしますれば、それを取除くということはぜひとも必要なことではないかと思う。私は一、二の労働組合の健全なる発達を阻害しておる事実について、どう
考えるということを御
質問いたしたいと思います。
労働組合法の第十一条に、労働組合の組織と活動に対して妨害を加えてはならぬという規定がありますが、現に中小工場においては、組合法に規定している条項に違反して、労働組合を組織しようとする活動をはなはだしく、まあ激しい言葉で言いますると、弾壓しておる事実があるのであります。これはすでに労働
委員会等においても、十一条違反の判定を下されておる事実が少からずあることを見ましても明らかでありまするが、労働
委員会へ提訴に至らない事実が、中小工場においてたくさんにあるのであります。労働組合をつくろうとすると、それに対していろいろと口実を設けて、妨害しておるという事実、そういうことに対して、そのような事実のあることをお認めになるかどうか。それに対してはどういうふうに
考えておるかということ。
またもう一つお伺いしたいことは、御用組合の存在であります。今日労働組合の存在を頭から否定できないことは、大方の事業主も
承知しておることでありまして、従
つて労働組合の組織が
労働者の中から自主的に起る前に御用組合をつくりまして、そのわくの内に
労働者を縛りつけておこうとする動きが、これまた中小工場において幾多見られるのであります。戦時中の産報をそつくり裏返しにしたにひとしいようなものをつく
つて、会社の息のかか
つた労務課長もしくは労務課長の次あたりの人が指導して、
労働者の自主的な動きを抑えつけている事実も事例をあげればいくつとなくあるのであります。今日
日本の労働組合が全国的な連合体に組織された数よりも、むしろ単独組合の数が多いくらいであるというこの事実の中には、私が今申し上げた、極端に言えば、産報を裏返したに等しいような資本、事業主の息のかか
つた御用組合が単独組合の中に多数存在しておるということを言
つても間違いでないと思う。こういうような御用組合のわくの中に縛りつけて、
労働者の自主的な動きを抑えつけるということは、これは組合の健全なる基礎を覆す大きなる事実だと私は
考えるのであります。こういうことに対して
米窪國務大臣はいかようにお
考えにな
つておるか、お伺いいたしたいと思います。