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1947-07-31 第1回国会 衆議院 労働委員会決算委員会連合審査会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十二年七月三十一日(木曜日)     午前十時三十四分開議  出席委員    勞働委員長        加藤 勘十君    理事 辻井民之助君 理事 山下 榮二君    理事 原   侑君 理事 三浦寅之助君    理事 相馬 助治君       菊川 忠雄君    島上善五郎君       田中 稔男君    館  俊三君       前田 種男君    山花 秀雄君       尾崎 末吉君    寺本  齋君       橋本 金一君    松本 一郎君       石田 博英君    倉石 忠雄君       栗山長次郎君    吉川 久衛君       綱島 正興君    決算委員長        竹山祐太郎君    理事 島村 一郎君 理事 竹谷源太郎君       片島  港君    河合 義一君       高津 正道君    玉井 祐吉君       辻井民之助君    戸叶 里子君       中曽根康弘君    長尾 達生君       西田 隆男君    松本 一郎君       岩本 信行君    冨田  照君       平井 義一君  出席國務大臣         厚 生 大 臣 一松 定吉君         國 務 大 臣 齋藤 隆夫君         國 務 大 臣 米窪 滿亮君  出席政府委員         厚生事務官   吉武 惠市君         厚生事務官   江口見登留君     ————————————— 本日の會議に付した事件  勞働省設置法案内閣提出)(第一二号)     —————————————
  2. 加藤勘十

    加藤委員長 それでは前会に引続き開会いたします。竹山祐太郎君。
  3. 竹山祐太郎

    竹山委員 私は行政機構に会する委員会代表的な意味におきまして、労働省設置に関する問題について、政府の所見を伺いたいのであります。  第一に前提としては、現在における日本情勢から労働省設置政治的必要性十分承知をいたしているものであります。最初に行政機構に関する担当國務大臣としての齋藤大臣に伺いたい点であります。今回の労働省設置は、現在前内閣以来引続いて調査立案中の行政機構全般に関する諸施策の一環として行われるものであるかどうか。もちろん前内閣以来噂には上つておりましたが、現内閣成立と同時に、はつきりとこの設置の問題について決定をされ、準備に進まれてきたのであります。現内閣としては、労働省設置を当初から取りあげておられるのでありますが、これが今の行政機構全般との問題、現内閣としての関連性について伺いたいのであります。  次は、この労働省設置の問題を含めて、全体の行政機構改革を、いかなる方向にもつていこうとしておられるのか。またそれはいつごろ決定をされ、実施に進まれようとされておるのであるか。この点を伺いたいのであります。なぜさようなことを伺わなければならぬかと申しますと、現在労働省の問題のみならず、特別な理由による内務省の解体もありますが、行政機構に関しては幾多の問題が出ておるのであります。これについては議会の内外、あるいは政府部内における動きと、国民の全体として感じておる感じとの間には、いろいろ私は食違い、大きな問題があると思うのであります。終戦以来、国力の非常に小さくなつた日本として、もちろんいろいろ事態がむずかしいために、行政機構複雑化を来すということは避けられないと思いますが、国民の受ける感じは、終戦後ますます官庁の増設を見ておるのでありまして、どこまでいけば一体官僚の数が止まるのか、その際限を知らないという感じをもつておるのであります。むしろ今日国民の率直なる感じは、強力なる政治行政を望むことは切でありますが、でき得るならばその意味において、政府みずから行政機構の簡素にして強力なる改革を望んでおることは切なるものがあると思うのであります。その意味から言いまして、今後の根本的な見解伺つておきたいと思うのであります。とかく、昨今の情勢を想像をいたしますと、どうも自分たち代表——多少言葉は妙でありますが、意見代表する者が閣議に出ておらなければ、強力な施策政治は行われないという感じ国民に与えておると思うのであります。こういう傾向が漸次拡がつていく場合におきましては、一体大臣を何人置いたらいいのか、際限はないと思うのであります。むしろ戦争中もしばしば唱えられて、実行はできませんでしたが、少数閣僚制なり、強力なる内閣政治力を発揮する根本的な検討をいたしてまいりませんならば、今の情勢をそのままに進めていくことは、まことに私は憂慮すべき傾向にあると思うのであります。これは国会自身においても慎重なる検討をする問題だと思うのであります。今回新たに設置されました常任委員会制度なるものは、まことに国会の権威の上において重大なる意義をもつものでありますが、同時に今後慎重に検討を要する点は世間の批判をもつてすれば、巧みなる官僚の誘導によつて、ますます官庁機構複雑拡充を来すおそれを伴うものと想像されるのであります。これは一に内閣及び国会が強力なる政治力の結集によつて、真に国民の求める強い政治行政を行わなければならないと考えるゆえんであります。かような見地から今回の労働省設置に始まる現内閣行政機構全般に関する構想、また労働省設置に至りました内閣見解、以上の点につきまして、齋藤國務大臣お答えを望む次第であります。
  4. 齋藤隆夫

    齋藤國務大臣 お答えいたしまする前に、行政調査部機構、並びにこれまで取来つた事柄につきまして、大体述べまして御了解を求めておきたいと思います。御承知でございましようが、前内閣におきまして、昨年の十一月に行政調査部というものを設けて、日本行政機構全般にわたつて根本的の大改革をやつてみたい。その上公務員制度並びにその運用についても、全面的に検討してみたいという趣旨をもつて行政調査部が設けられまして、昨年の十一月から仕事にとりかかることに相なつたのであります。この機構は、官制によりますと、行政調査部の総裁は、國務大臣をもつてこれに充てる。主管は法制局長官をもつてこれに充てる。その他四つの部を設けまして、第一は総務部、第二は行政機構に関する部、第三は公務員制度に関する部、第四は行政運営に関する部、この四つの部を設けまして、この部門にそれぞれ各省の若い事務官を充てておりまして、現在におきましては、雇員も合わせて百名以上になつておるのであります。そうして熱心にこの目的のため調査研究をしておりますが、なかなか広範囲にわたしまして、まず外国における、少くともイギリス、アメリカ、旧ドイツ、フランス等における行政機構のことにつきましても、でき得る限り材料を集めております。日本行政機構は、御承知通り、明治以来の伝統の上に、設立せられておりまして、これを根本的に改めるということは、実際においてなかなかむずかしい問題もありまするし、またそれがはたして時代に相応するかしないかということも、相当検討を要することがあるのであります。もうすでに旧制度が亡びまして、新しき憲法のもとにおきまして、いわゆる民主的行政機構改革し、官吏も、天皇の官吏たる資格はなくなつて国民官吏となりましたからして、こういう観念をば土台といたしまして、あくまでも民主主義の線に沿うて機構を改正してみたいといつていろいろ研究しておりまするが、これを具体化することはよほどめんどうでございまして、今日まで大分具体化したものもございまするけれども、まだこれをば議会の協賛を得るまでには至つておらぬのであります。しかしさいわいにして昨年の暮れ、アメリカから日本行政視察団が四人参つております。これはなかなか熱心に日本行政機構——というよりは、むしろ公務員制度及び公務員制度運用について精しく調べておりますが、行政調査部におきましては、官吏制度公吏制度ば相当に具体化しまして、官吏法公吏法というものを作成いたしまして、これを成るべく早く議会に出そうという準備をいたしております。また内閣制度からして各省及び地方制度につきましても、でき得る限りお説のように、なるべく簡素にして強力な民主的の機構を行いたいと思つて研究しておりまするが、まだ議会に出すまでの運びには至つておりません。しかしいつまでもこういうことで放つておくことにはまいりません。行政調査部は大体初めの出発が一年ということになつておりますが、一年という期限が過ぎたならば、これは自然消滅になるわけでありまするが、大体今後一年を期してこの事業を完成したいということになつておりまするからして、行政調査部でこしらえました具体的の機構は、この次の臨時議会もしくは次の通常議会には、ことごとくさらけ出すことができると思いまして、通常議会が済みますると同時に、この行政調査部を閉鎖するつもりでおるのであります。  そこで労働省の問題でございまするが、労働省のことは御承知通り、前内閣において労働省設置ということがきまつておりまするので、行政調査部といたしましては労働省設置について別に研究したことはありません。これは政治上においても実際上においても設置の必要があると思いまして、内閣行政調査部を離れてきめたのでありまするからして、労働省設置につきましては行政調査部は別に関係しておりません。このことをば御承知を願いたいのであります。要するにそういうことでございまして、ただいま申しました国家公務員法はこの国会に間に合いませんが、十二月一日までにその効力を発生しなくてはならぬということになつておりますから、いずれこれがために、これだけでも特に臨時国会を開かなければならぬという必要が起つてくろものと思つております。さように御承知を願います。
  5. 竹山祐太郎

    竹山委員 よく了解をいたしました。ただちよつとふしぎに考えますことは、これほどの一省を設立する問題が行政機構全般考えておられる行政調査部として何ら触れられなかつたということは、もちろん政治的事情了解をいたしますが、さようなことでは、今後の行政調査部行政機構全般改革案を強力に期待をしている国民の側から見ますと、いささかもの足りない感じをもつのであります。内閣が必要とあればどんどんつくつていくことを承認をしている前提において行政調査部調査をする。名前が調査だからいたし方ないかもしれませんが、それもどうぞ望むことは、政治力をもたれる齋藤國務大臣が、調査でなしに、全体の実行性のある立案を速やかにせられんことを希望いたす次第であります。  次は一松厚生大臣に伺いたいのであります。労働省設置の問題が行政調査部としては何ら関係がないということであれば、これはこれ以上質問をするわけにはいきませんから、内閣として今日まで労働政策をやつてこられた厚生大臣見解を伺いたいのであります。先般米窪國務大臣の説明によりますと、要約すれば、強力なる労働政策を遂行する、また労働政策に関する行政機構を整備するということが、この法案提出理由のように了解をいたしたのであります。さようであれば、現在まで国情の変化十分了解をいたしておりますが、現担当大臣としての厚生大臣から、労働省設置をいたし、行政機構の整備をいたさなければ強力なる労働政策が行えないという事情について、一応御見解伺つてみたいのであります。
  6. 一松定吉

    一松國務大臣 ただいま御質問労働省設置に関しまする政府態度といたしましては、あなたも御承知通りに、これは幣原内閣の当時すでに、この労働行政強化拡充ということに向つて強き施策をしなければならないということに相なつてつたことは御承知通りであります。従いまして、吉田内閣成立いたしました時に、それらの与論に即応いたしまして、労働省設置しようという議が数回会議にも出ましたが、その当時にはまだ今日ほどにそれらの点が熟さなかつたのであります。ところが御承知のごとく本年の二、一ゼネストの前後から、労働者の攻勢というものが非常に熾烈になりました。そればかりではありません。我が國の國家再建という方面において、労働者諸君任務ということが非常に重大になりまして、それがためにかの労働組合法だとかあるいは労働関係調整法だとか、あるいは労働基準法だとかいうような特別な法規を制定して、これらの強力なる労働行政を推進しなければならないという情勢に立ち至りましたために、もう機も熟したからというような了解もできまして、ここに労働省の新設をみなければならぬという情勢に立ち至つたのであります。このことに関しまして、厚生省として、しからば独立しないでも、それだけの労働行政を強力に推進する働きができないのかといえば、それはできぬことはありますまい。人員を殖やしましてやればよろしいけれども、しかしながら御承知通りに、国家再建ためには厚生省任務も重かつ大になりまして、これ以上、今までより一層厚生省本来の、いわゆる社会福祉ために手を拡げなければならぬ仕事がいくつも山積してまいりましたこのときに、その同じ労働行政拡大強化しなければならぬ仕事をやるというよりも、むしろここに新たに一省を設けて、そういう方面に主力を注ぐことが必要であろう、こういうようなことが、吉田内閣の時からすでに論議せられておつたのでありますが、片山内閣成立と同時に、それが十分に擡頭してまいりまして、それが今日の情勢に立ち至つたのであります。こういうような情勢につきましては、あなたは、よく政治方面のことも十分に今御理解に相なつておるという御趣旨でありましたが、政治方面だけでなく、実務の方面からも、これを独立して、労働行政拡大強化していくということにおいては、厚生省に置くよりも、独立省を設けた方がよろしい、こういうような国家見地から、かようなことに取計らうことに相なつたのであります。さよう御了承願いたいのであります。
  7. 竹山祐太郎

    竹山委員 続いてもう一点、今のお話のごとく前内閣以来の懸案が片山内閣において実現をしたということは、片山内閣、殊に社会党の性格がこれをかくあらしめたとも理解され得ると思うのであります。その意味において労働大臣となられる米窪國務大臣のごときは、国民から見れば、最もぴつたりした労働大臣であると考えるのであります。そういうことは同時に、現内閣としてはきわめてぴつたりした政策であり、また省の出発にはきわめて適格でありますが、政治情勢というものは、必ずしも固定をしたものでないのであります。政治の状態が変つた時を想像してみますと、先ほども私が申したごとく、労働政策が役人をただ殖やすということだけでは十分に行われないところに、厚生省から労働省を独立しなければならぬ政治情勢を産んだと考えられますが、さような意味において、一変をいたした性格内閣などが将来出た場合において、はたして今日考えられておるような労働省の真の活動が期待し得るかどうかということも、行政機構としては十分考えておかなければならぬと思うのであります。それらの点については、今までの経験上、官庁としての仕事の上においては何ら支障を来さないかどうか、憂慮すべき事態はないと考えられるかどうか、一応現大臣としての一松大臣伺つておきたいのであります。
  8. 一松定吉

    一松國務大臣 ただいま申し上げましたように、わが国における労働行政拡大強化ということが今日の時勢から必要であるということで労働省を新設するに至つたということは、申し上げた通りであります。これが今後における社会上の変化においてどうなるかということは、御承知通りそのときそのときにおいて、その労働行政運用上、これはなお拡大強化せねばならぬということであれば、労働行政というものを一層拡大強化する必要もありましようし、あるいはもう今日の情勢ではここまでしなくてもよろしい、縮小しなければならぬという時期がくれば縮小しなければならぬということもございましようし、そのときそのときに従つて必要に応じてこれを拡大強化し、もしくは減少しなければならぬということは、政治の本当であらうと思いますから、今から予想して、これはこうなるであらう、ああなるであらうという大体の見定めはつきましようが、予言してこうであらうという断定はできないと私は考えております。
  9. 竹山祐太郎

    竹山委員 次は、厚生省労働省を分離いたしましたあと政策重点は、もちろん現在の機構がそのまま残るのでありますが、おのずから重点をどこにおいて進んでいかれるのであるか。またごく事務的な話でありますが、今後の労働省設置によつて直接予算の増額はどの程度であるか。また人員の増加はどの程度になるのか。これはあるいは米窪國務大臣の方があとの分は御担任かもしれません。その辺はわけてお答えを願いたいと思います。
  10. 一松定吉

    一松國務大臣 労働省設置いたしますために、厚生省から労働省の方に所管賛をいたしますものは、いわゆる保険制度に関する問題でありますと同時に、職業方面行政に関するものであることは言うまでもないのでありますが、そうすると厚生省に残るものはどういうところが、重点であるかというと、保健衛生に関することが厚生省の最も重点でありますし、社会衛生、これらのことは、これまた重要なる厚生省任務であります。これに牽連いたしましていろいろな問題があります。たとえば薬の問題、あるいは医者の問題、薬剤師の問題、助産婦の問題、あるいはいろいろな伝染病等に関する問題、あるいは残つておる問題はいわゆる健康保険、あるいは年金というような仕事、それから最も明るい仕事としては国立公園拡大強化というような問題、あるいは体力局問題等についても、文部省との間においていろいろ調査研究を進めなければならぬというような問題が山積しておることを御了承願いたいのであります。
  11. 米窪滿亮

    米窪國務大臣 私に対するお尋ねは大体予算、それから新たにできる職員という点だと思うのでありますが、官房と新たに創設する二局の予算は目下大蔵省と折衝中でございます。私どもの方で立てた予算が相当削減されておるのでございますが、大体八千万円程度で話が落ち着くのではないかという見透しをもつております。それから官房及び二局の人員がどの程度殖えるかということについては、昨日も事務当局から、まだ正確な数字をここで御説明する域に達しておらないという答えがあつた通りでございまして、まだ今日においては、はつきりと申し上げることのできないのは残念に思つております。わかり次第至急御説明することにいたします。
  12. 竹山祐太郎

    竹山委員 これはもう済んだことをここで取上げることはどうかと考えますが、一応世間で耳にしておりますから、伺つてみたいのでありますが、先般米窪國務大臣答弁の中にも出てまいつた問題で、労働省設置にいたる経過において、一松厚生大臣米窪國務大臣と、信念の上において若干の食い違いがあつたことが出ております。片ずいた以上、さような問題はなんでもないと思いますが、この際問題がはつきりいたしておりますならば、どういうことが、労働省設置にいつて、事務的なりその他の点において議論になり、あるいはかく解決したものであるということを、この議会を通じてはつきりしていただくことが必要であると考えますので、厚生大臣から、必要な程度において伺いたいのであります。
  13. 一松定吉

    一松國務大臣 一体保険制度が一本において運営せられることが適当であるか、あるいはこれが分離して運営せられても支障を生じないものであるかということは、保険制度を研究する上において、最も関心をもたなければならないことは言うまでもありません。私の信念は、今いろいろ保険制度が行われておりますが、それらのものは、将来は社会保障にまで進まなければならぬということであります。社会保障にまで進むということであれば、保険制度はどこまでもこれを多岐にわたらしてはいけない、一本において運営することがよろしいというのが私の信念でありました。ところが今回労働省設置せられるということにあたりまして、まず失業保険失業保障は、御承知通り今までわが国にはなかつたが、これが新設せられる労働省に直接関係があるから、これだけの仕事をすることが一番よろしいのではないか、この点については私も賛成いたしたのでありますが、さてその後にきたる問題は労災保険の問題であります。労災保険の問題は、ただいま私の申し上げた、保険制度は一本に運営することがよろしい、社会保障にまで進むことが必要であるという信念のもとにおいて、やはりこれは厚生省においてすべてやつた方がよろしいのである、かように考えたのであります。なぜよろしいかというと、すべての手續において、あるいは将来一本に、大きい社会保障にまとめる上においてもよろしい、こういう考えでありましたが、御承知通り労働基準法が制定せられ、これと労災保障が表裏一体をなす立場にありますので、この労働基準法労働省に直接関係がある法案である以上は、この意味において、労災保険労働省にもつてつた方がよろしいということが、労働省厚生省意見の分かれるところでありました。そこで私と米窪國務大臣の間に、論争ということもなく、どちらにもつてゆくのが国家ためによろしいか、利害関係者ために最善の方法であるかということについて、意見の交換をしておつたのであります。ところがそれらの点については、いくらお互いが話をしても、信念の相違でありますから、互いに一致点を見出しません。それならば閣議において、片山總理大臣芦田外務大臣にまかして、どちらでも国家ためによい方に裁断してもらおうではないかということで話合いがついて、そういうように頼んだのであります。その結果、両者の間でいろいろ調査研究の結果、その直接の利害関係のある労資協調建前から、労働者資本家の間において、どちらがよいのであるかという意見を確かめよう、その態度いかんによつてその帰属を明らかにすることが民主的であろう、こういう建前から、労災保険に直接関係ある資本家方面労働者方面代表者を招致しましてその意見を聴取した結果、これは労資ともに一人の異論者なく、労働省にもつていくのがよろしい、こういう上申をしたのであります。そうしますると、いわゆる保険制度を一本にしておかなければならぬというようなことも、国家民衆ために私は考えておるのである、しかるに利害関係の重大な立場にある労資が一本になつて、これは労働省にもつていくがよろしいということになれば、私は何をか言わん、もちろんこれはそうしてもらうことがよかろうということになりまして、私は欣然として自己の主張をなげうつて、そうしてこれを労働省に移管するということに賛成をいたしたのであります。かく賛成をいたしました以上は、この仕事が完全に運営のできるようにしなければならぬという建前から、私も喜んで労働省方面に、それらの仕事が円満に遂行のできるように御協力をしよう、こういう考えをもつて今日に至つておりまして、本日も全国の保健課長並びそのいろいろな関係官を本省に招致いたしまして、今そういうことを訓辞してきたところなのであります。どうかさよう御了承を賜りたい。世間に伝わつておりますように、一松米窪両氏口角泡を飛ばしてなわ張り争いをしておるというようなことは、もつてのほかで、誤解だということを御了承を願いたいのであります。
  14. 竹山祐太郎

    竹山委員 よく了解をいたしました最後に労働省が新しく動いていくにつきまして、一省をつくるについては、ここに割り込んでいく従来の省との間に、まず行政的にいろいろな問題があると思います。もちろん米窪氏の熱をもつてよく解決されると私は思いますが、一応今日の段階において、各省との関係において、すべての問題がきれいに片づいてしまつておるとも考えられないのであります。現在米窪氏が考えられておる問題として、各省との間に将来労働省として、ここに一省を設けたいという片山内閣重大政策として、これを実現する意味におきまして、今後なお問題が残つておる点があるとすれば、それらの点について米窪國務大臣の御答弁を求めます。
  15. 米窪滿亮

    米窪國務大臣 お尋ねに対して的確に私がお答えできるかどうかは疑問ですが、たとえば厚生省との関係においては、今一松厚生大臣の言われた御意見通りで、何らの感情的なわだかまり、事務上の支障は起るまいと考えております。労働省の担当者としても、厚生大臣の、協力して労働省の健全なる発達を望むというような今のお言葉に対しては、まことに同感であり、感謝しておる次第であります。御指摘の点についは、たとえば船員労働を厚生省へ包括すべきであるという意見もあり、また船員労働はその特殊性、従来の歴史、また行政官庁として船員労働と海事行政は切り離すことはできないというようないろいろな事情、こういつたことで船員労働の所轄事項と、それから船員保険というものが運輸省に残つておる、こういう点においては、連絡調節の機関を労働省に設けまして、両者の間に事務の支障のないようにやつていきたいと思うのでございまして、おそらくこれに対してもフリクシヨンがなくていくのではないかと考えております。もう一つ各省との関係において予想される点は、婦人問題について、直接労働に関係のある婦人問題は労働省で扱うのでございますが、一般の婦人問題については、これまたそれぞれ文部省、厚生省、あるいは内務省等において取扱つておられることがあるのでございます。そういうお取扱いになつておる以外の点については、労働省が中心になつて連絡調節をはかる。それと労働者に対する最も広い意味における教育問題、この点も文部省を中心としてその他の関係各省との間に連絡をとつて、広い意味における公民教育といいまするか、つまり社会人としての労働者に対する教育ということについては、これらの省との間に何ら食違いなり、あるいは所管争いの起らないような方法において、円満なる連絡調整をはかりたい。大体そういうぐあいに考えております。
  16. 竹山祐太郎

    竹山委員 私の質問はこれで終ります。今まで伺いました点について私の感じは、冒頭に申し上げましたごとく、政治情勢において現内閣労働省設置されたということについては、欣然賛成をいたすものでありますが、行政調査部として行政機構に関する関係においてなされたのでないという御答弁のごとく、私の憂慮いたします点は、今後内閣が強力につくつた以上は、労働省の機能を発揮すると同様に、全体の行政機構について、しつかりとした政策を遂行されるように希望を申し上げておきます。以上で私の質問を打切ります。
  17. 加藤勘十

    加藤委員長 次に島上善五郎君から発言を求められております。島上君。
  18. 島上善五郎

    ○島上委員 敗戦後の荒廃に帰しておる産業を再建復興することの必要であることは、もはや議論の余地のないところですが、このために労働組合の健全なる発達が必要であるということも、これまた議論の余地のないところだと思う。労働省設置されまして、この労働組合の健全なる発達について努力されることを、われわれは大いに期待しておるのでありますが、昨日の前田君の質問に対して、米窪國務大臣は、労働組合の健全なる発展については、労働組合自体の自主的な動きを尊重して、干渉がましいことはいたしたくないというような御答弁であつたと思いますが、私もそれは結構だと思います。しかしながら現に労働組合の健全なる発達を阻害しておる事実があるといたしますれば、それを取除くということはぜひとも必要なことではないかと思う。私は一、二の労働組合の健全なる発達を阻害しておる事実について、どう考えるということを御質問いたしたいと思います。労働組合法の第十一条に、労働組合の組織と活動に対して妨害を加えてはならぬという規定がありますが、現に中小工場においては、組合法に規定している条項に違反して、労働組合を組織しようとする活動をはなはだしく、まあ激しい言葉で言いますると、弾壓しておる事実があるのであります。これはすでに労働委員会等においても、十一条違反の判定を下されておる事実が少からずあることを見ましても明らかでありまするが、労働委員会へ提訴に至らない事実が、中小工場においてたくさんにあるのであります。労働組合をつくろうとすると、それに対していろいろと口実を設けて、妨害しておるという事実、そういうことに対して、そのような事実のあることをお認めになるかどうか。それに対してはどういうふうに考えておるかということ。  またもう一つお伺いしたいことは、御用組合の存在であります。今日労働組合の存在を頭から否定できないことは、大方の事業主も承知しておることでありまして、従つて労働組合の組織が労働者の中から自主的に起る前に御用組合をつくりまして、そのわくの内に労働者を縛りつけておこうとする動きが、これまた中小工場において幾多見られるのであります。戦時中の産報をそつくり裏返しにしたにひとしいようなものをつくつて、会社の息のかかつた労務課長もしくは労務課長の次あたりの人が指導して、労働者の自主的な動きを抑えつけている事実も事例をあげればいくつとなくあるのであります。今日日本の労働組合が全国的な連合体に組織された数よりも、むしろ単独組合の数が多いくらいであるというこの事実の中には、私が今申し上げた、極端に言えば、産報を裏返したに等しいような資本、事業主の息のかかつた御用組合が単独組合の中に多数存在しておるということを言つても間違いでないと思う。こういうような御用組合のわくの中に縛りつけて、労働者の自主的な動きを抑えつけるということは、これは組合の健全なる基礎を覆す大きなる事実だと私は考えるのであります。こういうことに対して米窪國務大臣はいかようにお考えになつておるか、お伺いいたしたいと思います。
  19. 米窪滿亮

    米窪國務大臣 島上さんの御指摘になつたようなことが、主として中小工業の方にあるとするならば、それは先般来たびたび私が言つておる、健全なる労働組合を育成するという労働省の方針に相反するものでございます。それで当局としては、そういう経済団体がないように、今後とも経団連その他と折衝を保つてまいりたと思うのでございますが、くわしいことについては労政局長からお答えいたさせます。
  20. 吉武恵市

    ○吉武政府委員 島上君のお尋ねの十一条違反の点でありますが、おそらく小さい事業場においてはかような事実があろうかと思います。これはお話のように、決して健全なる労働組合の結成を促進するゆえんでございません。労働組合は申し上げるまでもなく第二条は、労働者が主体となつて自主的につくられてこそ初めて労働組合なのでありますが、事業主がつくらせるいわゆる御用組合というようなものは、ほんとうの健全なる組合ではございませんので、よろしくございません。それから今の第十一条の関係につきましては、お話のように提訴があれば、中央及び地方労働委員会におきまして処置をいたすことになつております。相当提訴された事件もございます。それからわれわれといたしましては、組合法の趣旨宣伝におきまして、この十一条の関係を特に取出して、十一条に違反すると、こういうふうな処置になるぞというようなパンフレツト等も用意いたしまして普及に努力しております。今後ともこの点につきましては重点を置いて普及宣伝をいたすつもりでございます。
  21. 島上善五郎

    ○島上委員 大体の方針は了解できますが、私はこの問題についてもう少し質問したい。今の労働組合法の罰則は違反者に対してゆるやか過ぎると思う。平気で違反をやつているという事実がありますので、私はこの御用組合のわくに閉じこめておこうとする中小事業主、それから組合法違反を平気でやつている事業主に対しては、労働組合法を改正して、もつと厳重なる方針を立てる必要があるのではないかと考えております。それに対してどういうお考えであるかお伺いしたい。
  22. 米窪滿亮

    米窪國務大臣 お答えします。労働組合法の改正という点については、いろいろ各方面から意見があるのでございますが、目下政府としてはこれを研究しておる状態でございまして、今の島上さんの御指摘の点についても、今ただちにこれを改正するという考えはもつておらないのであります。しかしこれは、あるいは早晩改正法律案を国会に提出するようになるかもわからないと考えております。
  23. 島上善五郎

    ○島上委員 労働基準法の実施監督についてお伺いいたしたいと思います。労働基準法を一日も早く実施してもらいたいということは労働者の痛切な要求であります。ただしかしながら、労働基準法の実施をよほど厳重に監督いたしませんと、私は下の方へいきまして、せつかくの労働基準法が死んでしもうことになりはしないかということを憂えるものであります。特にこの監督については、労働大臣を予定されております米窪さん、あるいは今の労政局長であられる吉武さんは、どういう監督方法を考えておられるか、お伺いしたいと思います。
  24. 江口見登留

    ○江口政府委員 お答えいたします。監督機構運営の問題だと思います。目下都道府県の労働基準局、さらにその下におかれます各監督署の充員を急いでおりますので、これが充員できました後において、どういう方法で運営されるかという点についてはまたいろいろ研究いたしまして、それぞれ専門の方の御意見を承りまして、あるいは労働組合関係者の共同による建議など取入れまして、共同で監督の手伝いをすることになるのではないかと考えておるのでありますが、いい方法があれば今後の監督運営にそれらの方法を取入れてまいりたいと考えております。
  25. 島上善五郎

    ○島上委員 監督署を設けられるということでありますが、現在も労政事務所もしくは公共職業安定所というものがございますが、どうもそれらのものの中には、戦時中の動員署から引続いておる人々が多くて、とかく事業主との間に、いわば腐れ縁のようなものをもつておる人が、特に上の方に多いように思われる。もしそういう人々のみによつて監督が行われるということになりますと、いきおい不十分なる監督ということになると思う。私はこの監督署の地域内における労働組合の代表による民主的な監督機関を設置する必要があると考えておりますが、これに対してどのようにお考えであるか、承りたいと存じます。
  26. 江口見登留

    ○江口政府委員 お答えします。監督署の充員の問題でありますが、戦時中労働行政に関与しておりましたいわゆる腐れ縁のような、極端に申しますと警察の配下にありまして、警察権をもつてそういう工場の監督にあたつてつたような連中は、いわゆる労働行政から排除されるという原則がありますように、監督署につきましても、そういう腐れ縁のある人はもちろんできるだけはいつてもらわない。できるだけ新鮮な、新しい感覚をもつた人に監督官になつていただくという方針をもつております。それから労働組合を大いに活用して、工場監督にあたらしめるように考えてはどうかというお話でありますが、もちろんわれわれも、これも有力な一つの方法であろうと考えております。監督署が開けますと、いずれそういう方面についても強力な指示を与えて、できるだけそういう方向で進むように通牒などを発することになろうかと思つております。
  27. 島上善五郎

    ○島上委員 まだお伺いしたいことはたくさんございますが、それは労働委員会だけの時に質問するとしまして、ただ一つ勤労者の住宅問題、これは昨日の質問にもあつたと思いますが、その際の御答弁によりますと、二十二年度二十六万戸の計画があるというお話でしたが、そのうち実際にどのくらいが勤労者の住宅に予定されておるかという点と、もう一つは閣議にも、国有林の払下げ、国有林を伐つて勤労者住宅を建てるという問題が出たそうでありますが、払下げるとやみの原因になるおそれがあるし、公団方式をとると国家的にマイナスになるというような御答弁のように承つておりますが、今日勤労者住宅がいかに緊急必要であるかということは、あらためて申し上げる必要はないと思う。私は従来のように業者に払下げるということはやみの原因になるおそれがあると思いますが、たとえば労働組合を対象として、労働組合に勤労者住宅の建設並びに管理を任せるというような方法を考えましたならば、決してやみにもなりませんし、また勤労者の住宅建設について、最も公正な方法がとられるのではないかと考えております。そういう点をお考えになつておるかどうかということをお伺いいたしたいと思います。
  28. 米窪滿亮

    米窪國務大臣 第一点の御質問に対しては、先日も申し上げたように、大体において炭鉱従業者その他を含めて十一万二千戸がいわゆる勤労者の住宅と政府は解釈しておるのであります。ただ勤労者ということが非常に広い意味があるので、御質問と多少の食違いがあるかもしれませんが、大体政府考えとしては二十六万戸のうち、十一万二千戸をもつて労働者の住宅に充てたいという計画でございます。第二点の御意見については、これも一つの可能性のある御意見と承つておりまして、将来ともひとつ研究してまいりたいと思います。
  29. 島上善五郎

    ○島上委員 今の勤労者の住宅問題で、十一万二千戸ということですが、この中には鉱山方面の住宅と、都市の勤労者のものとが当然含まれておると思いますが、その内容をもう少しはつきりさせていただきたいと存じます。
  30. 米窪滿亮

    米窪國務大臣 先ほども申し上げた通り、勤労者という範囲があるいは若干食い違いが起るかもしれませんが、十一万二千戸の内訳は、炭坑に新設するもの二万五千、改造するものが一万五千、庶民住宅三万二千、分譲住宅が四万、計十一万二千戸、こういうことになつております。
  31. 島上善五郎

    ○島上委員 私の質問あとは労働委員会の際に残しておきまして、本日はこれをもつて終ります。
  32. 加藤勘十

    加藤委員長 相馬助治君。
  33. 相馬助治

    ○相馬委員 労働省設置法案によりますと、船員の労働に関する件については、これを運輸省に委ねるということについて、またそのやむを得ない事情について、先の委員の質問によつて——直接の質問ではなかつたのですが、米窪國務大臣からちよつと触れられたようでありますが、よく考えてみるのに、連絡統一をはからなければならない。このことは向うには任せつきりにしておけないということは、ちやんと、この法案に認めている通りであつて、これはわれわれが考えてみるのに、どう考えても労働行政を二分するという意味で、労働者を明らかに弱体化するものであるがゆえに、このことにはあくまで私は反対でございます。船の航行安全その他特殊な事情があると、こういうことがかりに成り立つとしたならば、鉱山労働者はやはりその特殊性に基づいてこれは商工省に委ねるという議論も一応成り立つてくるのではないか。こう考えますというと、この日本の今の労働行政、特にまた官吏を増してはいけないというこの国のさ中において、労働者の福祉のため労働省を設けるというこの必然的な運命の段階から考えても、海と陸とで労働を二分化するということは、先ほどの国務大臣の簡単な説明を聴いていると、現実に妥協するということがいいか悪いかということを考えてみますというと、私は本気になつて労働省をつくつて、本気になつて労働者の福利をはかり、本気になつて日本の生産を増強すると、こういうのならば、ひとつこれは勇気をもつて、これは運輸省になんか任さるべき性質のものでないということを指摘したいと思うのであつて、これについて大臣見解を承りたいと思うのです。そして特に、前のこれを立法するときのいろいろな事情等もありましようけれども、これは私が言うのではないですけれども、海員ボスと運輸省との狎れ合いということは、少くとも労働組合などをやつているものについては常識であると、ある人が言つていたと、こういうことをつけ加えておきたい。
  34. 米窪滿亮

    米窪國務大臣 御質問の点はきわめて重要な点であつたので、閣議においても相当これが慎重に議せられ、また閣議にこの労働省設置法案をかける前にもたれました労働省設置準備委員会においても、これに対する非常に慎重なる議論が交換されたのでございます。そこで結局はこの船員労働を今日現存のごとく運輸省に残すという結論に到達するまでの——時間の関係上詳しいことは申し上げませんが、そういう根拠はどこにあつたかというと、大体において鉱山労働も特殊であるということは言えるのですが、船員労働は特に船に乗つて、いわゆる住居と職場が同一の船というものに乗つているという関係、こういう関係からみてこの船員の乗下船の行政、あるいは船員教育の行政、あるいは船舶建造であるとか、あるいは船員になる資格を与える行政であるとかいつたことが、もう全然特殊であるということから、どうしてもこれは一般海事行政官庁において取り扱うことがプラスである。その他の官庁にいけばマイナスの方が非常に多い。であるがゆえに外国においても、たとえば英国ではロード・オヴ・トレードだ。あるいはアメリカではマリタイム・コミツシヨンだ。あるいはフランスにおいても同様に独立した官庁において船員行政を行つておる。また過去における鉱山その他の一般の陸上を含めた労働と、海事の労働だけは全然切り離した国際労働総会を開いてきておるのではないか。こういつたいろいろの点で、これを今後において、あるいは労働省労働行政を一元的に統一すべき気運がつくるかもしれぬが、現段階においては少くとも従来の例を百八十度に改めて、労働省設置についてこれに統合すべきであるということは、まだ客観的条件が熟しておらない。もう一つは、いわゆる民主主義に盛んに唱えられておる今日において、この船員労働に直接関係のある海員組合、あるいはこれとさらに関係のある船主の方の団体の意向をたびたび尋ねたところ、あくまでも現存のごとく運輸省において船員労働を所管してもらいたいという意向であり、また今まで何回もの議会においても常にそういう意見が唱えられておる。各議員もみな、それについていろいろの決議をしておる。こういつた情勢考えて、政府はともかくも、少くとも現段階においてはこれは運輸省におくべきである、こういう結論に達したのでございます。しかし、であるからといつて、せつかく労働省ができるのに、一般労働問題と全然孤立した労働行政を運輸省でやる場合においては、いろいろそこに食い違いが起るだろうということを考慮して、連絡協議会労働省に置いて、そして両者との間に各係官が出て会議を開いて、食い違いその他の支障が起らないようにしていこうということになつたのであります。その辺の事情をご了解願いたいのでございます。
  35. 相馬助治

    ○相馬委員 御説明の趣旨はよくわかりました。これを分離するということについて、私は必ずしも釈然としたものではありません。それは船員組合の与論がそうであつたということを聞いて、この次に言おうとすることを私はやめるのでありますが、しかし広汎な労働行政という立場、それから労働者の福祉という立場から、私も一労働者として、かつまた労働省の強力なる発展を祈るものでありますがゆえに、現実の面に妥協されたということに対しては、はなはだもつて不満でございます。なおいろいろ問題が起きないように必要な連絡会議を開くと規定してあり、労働大臣と運輸大臣とが協議してこれをきめるとありますが、これはもしどうしてもわけなくちやならぬ、もしどうしても連絡統一をはからなければならぬという場合には、この労働問題に関して、船員の労働に関しての問題でありますがゆえに、何らかこの法案の上でも、たとえば議が決しなかつた場合には労働大臣の意志によるというくらいのことを入れておかなければ、これはてんで話にならぬではないか。こういうことを心配いたしますがゆえに、一応これを指摘しておきたいと思います。
  36. 米窪滿亮

    米窪國務大臣 法文の上では、御質問の細かい具体的なことは掲げておりませんが、労働省内に連絡協議会を設けるということから考えて、いずれ詳しいことは委員会をつくるわけなのですが、当然それは議長に労働大臣がなる。そうして両省の直接事務を担当しておる係官が委員ということになつて、結局これらの一般労働問題と船員問題との関連事項については、労働大臣が最後は主宰するものであると御了承願いたいのであります。
  37. 相馬助治

    ○相馬委員 今の点についてはわかりました。ぜひその勇気をもつてしつかりお願いしたい。それから設置法案の第五条の労政局の事務分掌のうちに、労働に関する啓蒙宣伝に関する事項ということがあります。先ほど島上委員も御指摘になつたように、ともすれば健全な労働組合ということを人々は言う。そしてその健全な労働組合にひつぱつていくための宣伝啓蒙ということが、どうも産報式な統一に流れ勝ちであるということを考えてみますと、これは立入つて労働省労働者の啓蒙宣伝を一手にやるのではないということだけはお互いに了解し、同時に前の質問でよく私はわかつておりますが、これは組合の実勢に任せていくのが正しい見解だと思うのですが、それならば法令の上で、労働に関する啓蒙宣伝に関し労働組合連合団体に便宜を与える事項と、こんなふうにでもする考えがあるかないか、もしこの上でそううたわないが、そういう精神であるがゆえに、そういうことを施行細則の上でうたうという用意があるとするならば、そういう用意があるということ、こういうことを一つお答え願いたいと思います。同じようなことでありますが、たとえば基準局などにおいても、労働基準法というものが、労働者の福祉のために設けられたということは誰もが了解するのでありますが、その基準になるものが労働者の福祉を守り得ない点に定められることもわれわれとしては考えざるを得ないのでありまして、労働基準局において左の事務を掌るという基準を、他の団体新聞等において、政府見解として、あるいは部局の見解として例示したり、仕事の説明をしたりする場合において、少くとも労働組合連合会に対して、それ以前に十分大衆討議をする時間を与える通報をする必要があらうと思いますが、これらについても細則等において定められる用意があるかどうか、お聴きしたい。
  38. 吉武恵市

    ○吉武政府委員 さきの労働行政については、先般来しばしば申し上げたように、組合の実勢を尊重しながらやつてゆくつもりであります。しからばこのなかに、労働組合に対して援助を与えるという規定をおいたらどうかということでありますが、これは労働省全体が健全な労働組合の発達援助に向つておりますので一労政局にそういう立場をおくおかぬにかかわらず、労働省全体が健全な労働組合の助長発達を援助するものと御了承願います。基準法の施行等について事前に組合等に連絡をするるようにということでありますが、これは基準法をつくるときにも、組合の労働者代表を入れました労務法制審議会等で十分審議をいたしました。また基準法が施行になりますれば、あのなかに労働基準諮問委員会を設けまして、これまた労働組合の代表の方に入つてもらつて、そこで一体この法律でよいのかどうか、改善する余地があるか、あるいは実際に運用してどこが間違つておるかということを始終審議していただくことになつております。基準法ばかりでなく、先般来お尋ねがありました労働教育の問題にしろ、労働行政各般につきましては、絶えず労働組合の方々とは事前に打合わせをしながらいつておるのであります。ただ組合側の方々からごらんになれば、まだ不満の点があらうかと思いますが、私どもといたしましては、各省に率先して民主的に運営しておるつもりであります。なお指摘の点は十分今後とも注意にいたしまして、連絡いたす考えであります。
  39. 相馬助治

    ○相馬委員 もう一つ基準局長さんにお尋ねいたしたい。島上委員が質問されたことでありますが、基準法がどういうふうに施行されるかということについては、結局労働監督官の人の問題に大きな意味があると思う。局長の先ほどの説明によりますと、充員しておいて、しかる後によく相談するというように聞きましたが、これは反対ではないかと思う。栃木県の例を申しますと、栃木県では基準局ができてそれが県庁の中にありましたが、県庁の労政課とうまくいかない。それで今は一新聞社の三階に店を開いてやつております。基準局長は一生懸命やつております。ところが労働基準委員会をつくるのだが、それをつくる正式の通牒も何もないからというので、私のような地方労働委員に諮問しておる。人事について地方労働委員に意見を聴きたいと申しておる。誰にも聴かないよりいいことですけれども、こういう暫定的なことをやつておる。それでその間にどんどん人を入れている。将来は監督官というものは適当な資格審査というものを厳重にやつて入れるわけでしようが、ああいうふうに入れておいて、そうして労働基準委員会ができて、これが不適当だというときに首を切れますが。これは切れないと思う。そう考えますと、少くとも人を入れるについては、まず労働基準委員会というものをつくつて、それに諮問をして、そうして慎重にやらなければ私は将来が慮られる。従つてこれらに対してはどういう指導をしておるのかということをお尋ねしたい。  もう一つは、ある一人の者を労働監督官に推薦した、そうすると年配といい、学歴といい、これは当然二級官くらいな資格があるのだが、厚生省見解として、永く民間会社にいたから二級官たり得ない、こういう話を私は聞いた。まことに怪しからんことであつて、官尊民卑を立証するものである。民間会社にいたということが悪いといへばそれまでだが、そんな悪いという人は今あろうとも思いません。こう考へますと、もう少し……。監督官の任用については、今から尤もらしい説明があると思いますが、なお一層しつかりしていただかなければならない。こういうふうに私は考へるのであります。監督官は政府の意思によつてやるので、それは結局労働省設置法の労働者の福祉と職業の確保という意味においてやる。そうしたならば組合あるいは使用者の団体等についても、しかるべき者に十分相談する。同時にきめられた労働基準委員会というものを早くつくらなければ、人なんか一人だつてはいれない。ところが事務員の充員を急いで、局長は人をあまり入れないと悪いとでも思うのですが、一生懸命あくたもくたも集めてやつております。こういう現実を訴へるわけであります。
  40. 江口見登留

    ○江口政府委員 お答えいたします。監督官の採用方針でありますが、これにつきましては普通の官吏以上の資格が要請されておるのであります。ただいま大体関係方面了解を得まして、目下採用基準につきましては内閣におきまして法制局において審議を受けております。まもなく原案通りきまるもものと思つております。普通の官吏より基準が高くなつておりますために、その採用に非常に困難を来してある。お話のようになかなかその資格に合う人がありませんので、地方の基準局におきましても人を探すのにたいへん苦労しております。もちろん私らの方でもいい人があれば、地方に推薦して基準局に勤務できるようにお世話しておりますが、そういういい人がありましたら、委員のお方もできるだけ御推薦を願いたいと実は思つております。その採用方針につきまして基準がきまりましたら直ちに地方に知らせまして、その基準に合う人を採用するようにというつもりでおりますが、大体原案通りにきまるだろうという予定がついておりますので、しばしばの会議でその内容も周知しまして、よほど監督官になれない人は別だが監督官になり得る人は事務官としてどんどん採用をしておるはずであります。
  41. 相馬助治

    ○相馬委員 それを心配しておる。
  42. 江口見登留

    ○江口政府委員 それからその監督官を採用する際に委員会にかけて採用するようなお話がありましたが、この官吏の採用につきましては委員会は実は設けないことになつております。従来通り各省の推薦によりまして、二級官以上は内閣の方で任命する。こういう手続をとつております。それから二級官になり得ると思つてつたのになり得ないという場合がもちろんございます。それも従来の官吏任用規則がそうなつておるのでありまして、その点はたしかに御指摘の通りきわめて民主的でない点があるかとも思います。つまり民間におつた人については条件が悪いというようなことに一応はなつておるようであります。先ほど齋藤國務大臣からもお話がありましたが、目下公務員法の制定を急いでおりますので、そういうものができますれば民間官界を問わず、同一の資格が認められるようになるのではないか、こういうふうに考えております。監督官の採用につきましては、二級官以上につきましては、できるだけこちらとしては民間の経歴を重んじたいと思つておりましても、内閣の基準が改められない以上、それに縛られて窮屈な思いをいたしておるような次第でありますが。これは間もなく改正されるのじやないかと思います。
  43. 相馬助治

    ○相馬委員 以上で私終つたのでありますが、その性格から、その使命からいつても、労働省は最も民主的に官吏の構成その他の運営をやられることを國務大臣に希望いたします。同時に経済白書に対して、あつちこつちからいろいろ批判がありますが、全員口をそろえて評判の悪いのは労働組合法でございまして、これはイデオロギーでもなんでもありません。現実に食えないという現実が、労働攻勢というものを、われわれは希望もいたしませんし、悲しいことでもありますけれども、想像されると思う。ひとつ早く労働省出発し、同時に國務大臣もしつかりやつていただきたいと思う。
  44. 加藤勘十

    加藤委員長 これで連合審査会は一応終了することにいたしまして、明日からは労働委員会単独でさらに質疑を続けることにいたしますが、なお質疑並びに御意見の開陳をされます方が七名残つておるわけであります。初めにも申上げました通り、できれば労働省設置に関する主として行政機構に関する問題に質疑御意見を限定して、その他の労働一般に関する問題の意見については、失業手当法なりその他の法案が出たときに述べていただくということを申上げまして御了承を得たわけでありますが、今日までの御質疑なり御意見なりを聴いておりますと、どうしてもこれは関連があるからやむを得ないことではありますけれども、やはり意見が多岐にわたりまして、行政機構の点についての意見が少いのであります。そうしてなお質問者は今日七名残しておる。こういう状態でありますので、今後御質疑なり御意見なりをお述べ下さいます場合には、できるだけ最初の方針に問題を限定して、一応この問題を切上げて次に移りたい。こういう考えでありまするから、この点明日から御出席なさいます方は特にお含みおきを願いたいと存じます。  今日はこれをもつて散会することにいたします。     午前十一時五十九分散会