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1947-08-15 第1回国会 衆議院 労働委員会 第8号
公式Web版
会議録情報
0
昭和二十二年八月十五日(金曜日) 午前十一時九分
開議
出席委員
委員長
加藤
勘十君
理事
山下
榮二君
理事
川崎 秀二君
理事
橘 直治君
理事
原 侑君
理事
相馬 助治君 荒畑 勝三君 菊川 忠雄君
島上善五郎
君 館 俊三君 土井 直作君 前田
種男
君 天野 久君
山下
春江君
小澤佐重喜
君 古島 義英君 吉川 久衛君 河野
金昇
君
出席國務大臣
國 務 大 臣
米窪
滿亮
君
出席政府委員
厚生事務官
上山
顯君 ――
―――――――――――
八月十三日
職業安定法案
(
内閣提出
)(第三六號) の審査を本
委員會
に対託された。 ――
―――――――――――
本日の
會議
に付した事件
職業安定法案
(
内閣提出
)(第三六號) ――
―――――――――――
加藤勘十
1
○
加藤委員長
これより
會議
を開きます。
職業安定法案
を議題として、まず
提案理由
を
政府當局
から聽くことにいたします。
米窪國務大臣
。 ――
―――――――――――
米窪滿亮
2
○
米窪國務大臣
職業安定法案
を審議せられるにあたりまして、本
法案
の
提案理由
を御
説明
申し上げます。本
法案
は六十六條にわたる相
當長いも
のでございまするが、これの
趣旨
はきわめて簡單でございます。
終戰以來職業行政
においても大きな轉換をいたしてまいりました。
終戰
まで
職業行政
は、一言にして申しますれば、
勞務
の
動員配置
を
目的
として行われたのでございまして、
現行
の
職業紹介法
もまたこの
精神
によ
つて
一貫されておるのでございます。
職業行政
本來の
目的
は、
國民
に對しまして奉仕することでございまして、
憲法
の改正をみた今日、その
憲法
で定められました
基本的人權
の尊重が、今日實現されなければならないのでございまして、
從來
の
勞務
の
統制配置
を
目的
といたしました現在行
つて
いる
職業紹介法
をやめまして、新たに
憲法
の
精神
に則るところの
法律
を制定する必要が生じたのであります。これが本
法律案制定
の
趣旨
でございます。 本
法案
の
目的
とするところは、その第
一條
に明記してあります
通り
、
公共職業安定所
その他の
職業安定機關
、これは各
縣廳
にあるところのものでございますが、それらが
憲法
第二十
二條
の
職業
を選擇する自由の
趣旨
を尊重して、
各人
がも
つて
いる
能力
に
適當
な
職業
につく
機會
を與えることによ
つて産業
な必要な
勞働力
を充足して、も
つて職業
の安定をはかるとともに、
經濟
の
興隆
に寄與するということにあるのでございます。最
建途上
、にあるわが國において、われわれのまず努むべきところは、
國民
のもつその豐富な
勞働力
を
有效
に發揮することでございまして、
國家再建
に必要な
産業勞働力
を充足し、
各人
についてその
職業
の安定を得させると同時に、
國家
の
經濟
を
興隆
せしめることが現下最も必要であるのでございまして、本
法案制定
の
趣旨
とするところもまた、右の
目的
を實現することにあるのであります。本
來職業行政
は、全國にわたる
勞働力
の
需要供給
による人の
流れ
を
基調
として行わるベき性質でございまするから、ここに他の
一般行政
とは違うところの
行政組織
及び
人事
の
取扱い
が必要とな
つて
くるのでございます。 まずその
組織
の方面について申し上げまするが、
職業行政
の
組織
は全國にわたる
勞働力
の
需要供給
の適正な
調整
をはかるために、
中央
から
第一線機關
に至るまで、全國を一貫した
系統
で
運營
することを理想とするものでございますが、一方
地方自治
の
本旨
を尊重し、
都道
府
縣知事
に對しまして
公共職業安定所
の
業務
の
指揮監督
を司らしめたことでございます。しかしこれに
伴つて都道
府
縣知事
が、この
法律
の
規定
によ
つて
その行うべき職務に違反した場合におきましては、
勞働大臣
はその
都道
府
縣知事
に
是正
する
命令
を發し、またその
都道
府
縣知事
がこの
命令
に從わないときは、
勞働大臣
はさらに
高等裁判所
に向
つて
同様の
是正命令
を請求しまして、そうして代執行を行い得ることと定めたのでございます。そのような
規定
を設けたゆえんのものは、
裁判所
がこれに介在することによ
つて
本
法案
の
目的
を確實かつ迅速に遂行しようとするものにほかならないのでございます。 次に
職業行政
に從事する
職員
の
人事
につきましては、
職業行政
の
特異性
に鑑みまして、全國の
職業安定機關
を通じて、安んじてこの道に精進し得るような措置を譲じたのでございます。先ほども申し上げましたように、
職業行政
は全國的の人の
流れ
を
基調
として行わるべきものでありますから、
勞働大臣
が
勞働力
の
需要供給
の状況に應じ、
二つ
以上の
都道
府縣
にわたる
事務
の
連絡
にあたらせるため、または
都道
府縣
の
職員
に對する
技術指導
を行うために必要があると認めたときは、
重要産業地區
に
本省
の出張所として
職業安定事務所
を設置することができることといたしました。また
職業行政
の
民主的運營
をはかるために、
公共職業安定所
の
業務
の
補助機關
として、
市町村
との
連絡
にあたるべき
連絡員
を設けると同時に、
中央
、
都道
府
縣及び特別地區
に
勞働者
、
雇傭主
、及び
公益
を代表するもので
組織
する
職業安定委員會
を設置いたしまして、必要があるときは
地區
にもこれを設置することができることとして、も
つて
公共職業安定所
の
業務
、その他この
法律
の施行に關する
重要事項
を審議させることといたしました。
公共職業安定所
の行う
職業紹介
に關しましては、求人、
求職
の
申込み
の
取扱い紹介
の
原則
、
爭議行
為に對する不
介入等
について
規定
をいたしました。
職業指導
については、その
原則
及び
職業
の
適性檢査
の
實施
に關しまして
規定
を設け、また
職業補導
については
都道
府
縣知事
が主體になりまして、これを行うことを
原則
と定めたほかに、
都道
府
縣知事
に對する
勞働大臣
の援助の義務について
規定
を設けたのであります。 次に
政府
以外のものの行う
職業紹介事業
、
勞働者
の
募集等
につきましては、
現行法
ではこの
規定
は多く
命令
に委任してありますが、
從來
の
國家総制
の
建前
から、あるいはこれを
禁止
、あるいは嚴重な
制限
を加えておるのでございまするが、本
法案
におきましては、新
憲法
の
趣旨
に基きまして、
個人活動
の自由を尊重し、
弊害
のない限り廣く
職業紹介事業
、
勞働者
の
募集活動
を認めると同時に、
弊害
あるものに對しては
從來
よりも
罰則
を強化したのでございます。これは
勞働者
の
保護
をはかろうとする
趣旨
にほかならないのでございますが、同様の
趣旨
によ
つて
本
法案
は、他人の
勤勞
の上に存立する
勞働者供給事業
を
禁止
しようとするものでございます。すなわち本
法案
の
規定
によ
つて
認められる
勞働組合法
による
勞働組合
が
勞働大臣
の
許可
を受けて行うもののほか、
從來
多く行われてきた
勞働者供給事業
ほ、
中間搾取
行を行い、
勞働者
に不當な壓迫を加える例が少くないのに鑑みまして、
勞働
の
民主化
の
精神
から、全面的にこれを
禁止
しようとするものであります。 本
法案
の
規定
に違反した者に對する
罰則
につきましては、
勞働者
に對する
保護
の
見地
から檢討を加えて必要なものについては體刑を科するとともに、
違反行為
をした者が法人または人にために
行つた代理人
、被
用人等
である場合におきましても、その輕過失及び重過失の場合について
罰則
を設けてあるのでございます。 最後に、本
法案
の
規定
によ
つて
禁止
される
有料營利
の
職業紹介事業
及び
勞働者供給事業
につきましては、附則において三箇月の猶豫期間をおくことといたしました。 右の
説明
でおわかりであるだろうと思いますが、
職業安定法案
の全體を通じてその骨子をなす
精神
は、
憲法
の二十
二條
の
趣旨
に基きまして
個人
の
基本權
を尊重し、
勞働者
の
保護
をはかることによ
つて
、現在の状勢に即應した
勞働
の
民主化
を促進しようとすることにあるのであります。 以上
職業安定法案制定
の
趣旨
及びその内容の大綱について御
説明
申し上げたのでございまするが、何とぞ御審議の上、時局に鑑みまして、速やかに可決あらんことをお願い申し上げる次第でございます。なお本
法案
の詳しいことについては
政府委員
から
説明
させることにいたしたいと思います。
加藤勘十
3
○
加藤委員長
次いで逐條的に主要な個所について
職業安定局長
の
説明
を求めることにいたします。
上山顯
4
○
上山政府委員
職業安定法
の
趣旨
なり大體の構想につきましては、ただいま
米窪國務大臣
から
提案理由
として御
説明
いた
した通り
でございます。なおそれを敷衍いたしまして、おもな
事項
につきまして御
説明
いたしたいと思います。 まず第一章
總則
からでございますが、第
一條
に
法律
の
目的
が謳
つて
ございますが、これはただいまの
提案理由
の
説明
にもありましたように、今までのような
行政
、特に戰時中は
勞務
の充足という方の見方から運勞されておりましたきらいがあるのに對しまして、新しい
職業安定法
におきましては、先刻來御
説明
いた
した通り
、新
憲法
の
精神
に副いまして、ここにも現われておりますように、
各人
にその有する
能力
に
適當
な
職業
につく
機會
を與えることを
本旨
といたしまして、それによ
つて職業
の安定をはか
つて
經濟
の
興隆
に寄與いたしたいつもりでございます。 第
二條
、
職業選擇
の自由につきましては、
憲法
に書いてありますことをもう一度操返したわけでございます。 第三條には
均等待遇
のことがございまして、これは同じ
趣旨
が
勞働
基準
法等
にも
規定
されている
通り
でございます。 第四條は、
政府
の行います
仕事
を後の各條にもたいてい出てまいりますが、要約して
規定
して次第であります。 第
五條
は定義でございまして、特に御
説明
することはないと思います。 第二章は、
政府
の行います
職業紹介
、
職業指導
及び
職業補導
というようなものについて
規定
をいたした次第でございます。最初に
行政機構
がございますが、これにつきましてはただいま
大臣
からも御
説明
申しましたように、
職業行政
というのは人の
流れ
を把握いたしましての
行政
でございまして、この人の
流れ
というのは、
府縣
というような
地方
的な
行政區畫
にはかかわらないわけでございまして、どういたしましても全國的な
見地
からの
運營
が必要でございます。しかし一面
地方行政
と關連いたす面もいろいろございますので、全國的な
行政機構
を一方こしらえながら、
地方長官
の
權限
を認めまして、
二つ
の要求の間の
調整
をはかりたい、かように
考え
ているわけであります。 第
八條
の
公共職業安定所
は、ただいまもこういう
名前
で四月以來發足いたしておりまして、これは
勞働大臣
が管理をいたすことにな
つて
おります。しかしこれについては
都道
府
縣知事
の
指揮監督
を受けるということにいたしまして、
地方行政
との關連をつけておるようなわけであります。 第九條の
職員
の
任用
その他
人事
のことでありますが、まず
職業
の
安定機關
につきましては、特殊の専門の
知識經驗
が必要でございますので、これの資格について
勞働大臣
が定め得るということにいたしてあります。それからなるたけこういう専門的な
經驗
を生かしまして、同じ
仕事
に長く携わらさしたいわけであります。もつとも新たによ
つて
から人がはいることもございまするし、また
適當
でない人をやめさせましたり、
本人
の希望に基きましてほかの
行政
の面へ動く人もあるわけでありますが、この第二項にございますように、
本人
の意に反しまして、
職業
安定以外の
機關
の職に轉出をさせることはしないということにいたしまして、
經驗
をも
つて
仕事
をや
つて
おります者が轉々と
仕事
のかわるというような
從來
とかくございました
弊害
をためてまいりたいという
考え
でございます。 第三項に
職員
の
任命
のことがございますが、ただいま
安定所
の
職員
は
厚生事務官
ということにな
つて
おりまして、二級官も三級官も全部厚生省の方が握
つて
いるわけでございます。ところが新しい
法律
におきましては、二級官の方は
本省
が握ることに
なつ
たのでございます。三級官につきましては、
地方長官
に任して
任命
をしてもらう。ただしこれについての
基準等
は
本省
でいろいろきめますことにいたすつもりであります。それから
職業課
なり
職業安定課
という
名前
で、
都道
府
縣廳
に
職業
安定の
職員
がいるわけでございます。これは現在は
地方事務官
ということにな
つて
おりまして、
内務省系統
でこの
人事
を押えているということにな
つて
いるわけでございますが、新しい
法律
では、
都道
府縣
におる者につきましても、二級官は
勞働
省の
本省
で押える、三級官は
地方
で
任命
するということにいたしたいと思
つて
おります。 なお第九條にございます
職員
の
任用人事
のことにつきましては、ただいまの
公務員全般
の
制度
とは若干
違つた點
があるわけでございまして、近く
公務員法
が制定されるように承知いたしているのでありますが、もしも
將來公務員法
が制定されました曉には、この第九條の
規定
の件はそれによ
つて
制定されるということになる見込みでございます。 第九條は、
公共職業安定所
の
業務
を補助させるための
連絡員
のことを
規定
しております。 第十
一條
は、
市町村長
に
公共職業安定所
の大體補助的な
仕事等
をやらせることにいたしております。 第十
二條
に
職業安定委員會
の
規定
がございます。これは
職業行政
につきまして
關係者
の
意見
を十分尊重して運営してまいりたいという
趣旨
から、
中央
、
地方
に四つの段階の
委員會
を設けることにいたしております。そうしてこれには
勞働者
を代表する者、
雇傭主
を代表する者をおのおの同数入れることにしておりまして、これに
公益
を代表する者を加えて
組織
をいたすということにな
つて
おります。
職員安定行政
のような種類のものにつきましては、特に最も
利害關係
の多い
勞働者なか雇傭主
の
意向
を十分に反映する必要がありますので、そういう
規定
を加えているわけでございますが、なお
實際
の
運用
にあたりましても、そういう點に十分注意いたしまして、
關係業者
の
意向
を反映して
運用
いたしたいという
考え
でございます。 次に第二節、
職業紹介
に移りたいと思います。 第十六條、第十七條、第十
八條
の邊は特に御
説明
するようなことはございません。 第十九條に
職業
の
紹介
の
原則
という
規定
がございます。これの二項に「
公共職業安定所
は、
求職者
に對し、できるだけその住所又は居所の變更を必要としない
就職先
に、これを
紹介
するよう努めなければならない」という
規定
がございます。それから後の方になりますが、第三十九條に
募集地域
の
原則
という
規定
がございます。これはまた
募集
の方の
見地
から、「
勞働者
の
募集
を行おうとする者は、通常通勤することができる
地域
から、
勞働者
を
募集
し、その
地域
から、
勞働者
を
募集
することが困難なときは、その
地域
に近接する
地域
から、
勞働者
を
募集
するように努めなければならない」という
規定
がございます。それで今後の
職業行政
の
紹介
なり
募集
の
やり方
といたしましては、なるだけは
通勤地
から通えるようなところに
紹介
もし、またそういうところから
募集
をするようにいたしてまいりたいと存じます。從いまして
將來工場
を建設いたします場合には、今までももちろん
勞務者募集
のことは考慮に入れまして、
工場立地
ということが
考え
られてお
つた
と思うのでございますが、今まで以上に
勞働事情
を重く見まして、
工場立地
がなされなければならないと
考え
ております。これはむしろ私見にわたるかと存じますが、單に
職業行政
の
立地
から見て、そういうことが望ましいだけでございませず、廣く
國土
計畫の
見地
よりも、むしろそういう
方向
に進まなければならないのではないかと存じております。しかし現状におきましては、必ずしもさようなことが十分考慮されて
工場
が建設されておりませんので、現實の問題としましては、相當遠方から
勞働者
を
募集
しなければならぬという事態も生ずると思
つて
おります。從いまして第十九條なり、また第三十九條の
運用
にあたりましては、特に經過的の場合、十分
實情
に即した
運用
がされなければならぬということは
考え
ておりますが、大きな
方向
といたしましては、なるたけ
通勤地
か
募集
するよう、また
通勤地
の
工場
に
紹介
するようという
一つ
の
原則
を示した次第でございます。それから第二十條の
爭議行
為に對する不
介入
という
見地
からいたしまして、現に
爭議行
為が發生していることが明らかな
業務
の部門、または
紹介
をいたして新たに人がはいりましたために、
爭議行
為が發生するおそれがあることが明らかな場合におきましては、
求職者
を
紹介
してはならないという
規定
がございます。これは近く
提案
になります豫定の
失業保險法
の方に
關係
するのでございまして、
失業保險法等
におきましては、
職業安定所
の
紹介
した
業務
を、常當の
理由
なくして拒んだ場合には、給付の
制限
を受けるというような
規定
がございます。その場合、この
勞働爭議
のあります
工場
に
紹介
された場合には、正當な
理由
として
就職
を拒み得るかどうかという問題がございますが、その點は
安定法
の方で、はつきりそういう
紹介
をしてはならないという
規定
がありますので、特に
失業保險法等
においては、その
規定
は設けておりません。 それから第三節に
職業指導
の
規定
がございますが、特に御
説明
の
心要
はないかと存じます。 第四節の
職業補導
につきましても、特に御
説明
を要しないかと存じております。 以上が第二章でございますが、第三章といたしまして、
政府
以外のものの行う
職業紹介
、
勞働者
の
募集
及び
勞働者
の
供給事業
のことが
規定
してございます。それで
一般民間
の行いますこれらの
事業
につきましては、
大臣
からも
説明
いたしましたように、一方では、
弊害
がないと認められますようなものについては、今までよりも自由に相當いろいろのことを認めることにいたしております反面、
弊害
があると認められますようなものについては、
斷固禁止
をするというような
考え
方で立案されております。第三十
二條
の
有料營利職業紹介事業
でございますが、これはただいま
法律
では、
國際勞働條
約等にも、
原則
として
職業紹介事業
は
無料
だという
建前
にな
つて
おりますので、
有料營利
のものは認めない方針にな
つて
おるのでございます。しかるに
國際勞働會議
におきましても、特殊の
業務
につきましては、その後の
會議
におきまして、特に
一定
の
基準
のもとに、
有料營利紹介
を認めてもよいというようなことにきま
つて
いるようなわけでございます。それでこの第三十
二條
は、それらのことを
考え
あわせまして、特に
弊害
がなかろう。そうしてこういう
制度
を認めることが、非常に便宜だろうと認められますようなものについて、例外的に
有料營利
の
職業紹介事業
を認めることにいたしたわけでございます。すなわちここにございますように、
美術音楽
、演藝というような、特殊の
技術
を必要としますようなもので、
一般
の
職業安定機關
では必ずしも
紹介
に
適當
でない。そういうものにつきまして、たとえば
關係團體
が
職業紹介
の
仕事
をやりたいというような場合については、特に認めたいという
趣旨
でございますが、ただこれにつきましては、
勞働大臣
が
中央職業安定委員會
に諮問をいたしまして
許可
をするというような、非常に丁寧な
手續
をとることにいたしております。なお
許可
の有
效期間
といたしましても、一年間というようなことでございまして、
弊害
が起るようでありますれば、いつでもやめさすことができるようにいたしたいと
考え
ております。 それから第三十三條に
無料職業紹介事業
がございますが、これにつきましても、
勞働大臣
の
許可
を受けまして認めることに相な
つて
おります。但しこれについても、
職業安定委員會
に諮問いたし、また有
效期間
は二箇年というような
制限
を設けまして、
十分監督
をいたしたいつもりでございます。 それから第三十
五條
以下に
勞働者募集
のことがございますが、
文書
による
募集等
につきましては、ただいまは
許可主義
でございますのを、自由に行うことができるといたしまして、こういうものにつきましては、大いに自由を認めているわけでございます。但しその場合にも
一定
の
制限
ができますようなことが第三十
八條
に
規定
してございます。それから
文書
以外の方法によります
募集
につきましては、大體ただいまの
職業紹介法
に基いての省令に似た
やり方
でございますが、若干
實情
に即して改めたような點もございます。 それから第三十九條の
募集地域
の
原則
につきましては、先刻御
説明
いた
した通り
でございます。 次に第四十四條以下に
勞働者供給事業
について
規定
がございます。これはただいまの
大臣
の
説明
にもございましたように、いろいろ
弊害
を起しやすい
仕事
でございますので、
原則
的には全面的に
禁止
をいたしておるわけでございます。ただ
關係者
が自主的な
組合
をつくりましてや
つて
まいりたいという場合には、
勞働組合
の
許可
を受けさせまして、
弊害
がないと認めました場合には、
無料
の
勞働者供給事業
を認めたいつもりでございます。ことはたとえば、
家政婦
なんかも
勞働者供給事業
ということにな
つて
いるわけでございますが、ただいまのように、営業的にやります
家政婦會
というようなものは認められないことになります。しかし現在
家政婦
であ
つた人たち
が集まりまして、
組合組織
でや
つて
まいりたいというような場合には、
勞働者供給事業
ということにはなりますが、特に
勞働大臣
の
許可
を受けて認めていこう。こういう
考え
でございます。なおこの
勞働者供給事業
が廢止されますと、ただいま
關係者
が相當おりまして、現にこういう
仕事
をや
つて
おる際でございますので若干影響は
考え
られるのでございますが、私
たち對策
といたしましては、
一つ
はただいま申しました
勞働組合法
による
組合
をつく
つて
やる場合を認めております。 第二は、
職業安定機関
の
充實
、
活動
の促進により、今まで
勞働者供給事業
をや
つて
おる者が果しておりました
機能
を
職業安定機關
に果させたいつもりでございます。これは現に
進駐軍關係
の
勞務
については、
勞働者供給事業
というのは認められていないのでございまして、現在
職業安定機關
がこの
仕事
を果しておるわけでございますが、今後は
進駐軍關係以外
の
仕事
についても一層
安定機關
の
活動
をはかり、これらの
機能
を果してまいりたい
考え
であります。 それからもう
一つ
、
請負業者
が
勞働者
を使いまして、自分の
企業計算
でいろいろな
請負事業
を營むことは
禁止
されてないわけでございます。もつともこの
請負事業
についてもいろいろの問題がございまして、これの
改善等
につきましては
關係方面
といろいろ研究もいたしておるのでございますが、そういう
弊害
がない限りにおきましては、
請負事業そのもの
は
禁止
されておるわけではないのでございます。 それから第四章に雜則といたしましていろいろの
規定
がございますが、そのうち特に御
説明
を要するかと思いますのは、五十六條以下にご
ざいまか都道
府
縣知事
に對する
監督
に關する
事項
でございます。これは
都道
府
縣知事
のやりました
処分
がこの
法律
なり、またはこの
法律
の
規定
に基いて發令する
命令
、またはこれらに基いてなす
処分
に違反いたしました場合に、これが
是正方
につきまして
規定
をいたしておるのでございまして、まず
都道
府
縣知事
に對して
是正
すべきことを
命令
するということをいたしまして、
知事
がその
命令
を
是正
いたしません場合には、
高等裁判所
に對しまして、
知事
に對して
違反事項
の
是正
を命じてもらいたいということを、請求することができるという
規定
を設けておるのでございます。それでこの場合
高等裁判所
に請求するのでございますが、こういう
行政
の
仕事
を
高等裁判所
にも
つて
いくのはおかしいではないかというような、あるいは御疑念をおもちではないかと存じます。御承知のようにただいままでは、こういうようなことは
行政裁判所
でや
つて
お
つた
わけでございますが、新しい
憲法
では特に
行政裁判所
というものがございませずに、普通の
裁判所
におきまして
行政關係
のこともやることにな
つて
おります。従いましてこういうような
仕事
は、今まで
行政裁判所
がも
つて
おりましたような
機能
を
裁判所
がやる、そういう
趣旨
でこの
仕事
を
裁判所
がや
つて
くれるわけでございます。なお
裁判所法
におきましては、他の
法律
で定めるところによ
つて
こういう
權限
をもち得るような
規定
にな
つて
おります。 時間の
關係
もございまして飛ばした
規定
もございますが、特に問題がありますようなおも立
つた
規定
につきましての御
説明
は以上の
通り
であります。
加藤勘十
5
○
加藤委員長
本日はただいま
國務大臣
並びに
政府委員
からの
提案
の
理由
を述べられ、あるいは若干の
説明
が加えられましたたが、質疑並びに
意見
の開陳は次會からいたすことにいたしまして、次會は來週の火曜日午前十時から開會いたします。暑いときで非常に御苦労様ですが、各委員諸君の御出席を特にお願いしておきます。自由黨の方もどうぞお傳えくださるようにお願いいたします。それからなお質疑の順序等につきましては、後に
理事
會を開いて、そこできめたいと思います。本日はこれをも
つて
散會いたします。 午前十一時四十六分散會