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1947-08-15 第1回国会 衆議院 労働委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十二年八月十五日(金曜日)     午前十一時九分開議  出席委員    委員長 加藤 勘十君    理事 山下 榮二君 理事 川崎 秀二君    理事 橘  直治君 理事 原   侑君    理事 相馬 助治君       荒畑 勝三君    菊川 忠雄君       島上善五郎君    館  俊三君       土井 直作君    前田 種男君       天野  久君    山下 春江君       小澤佐重喜君    古島 義英君       吉川 久衛君    河野 金昇君  出席國務大臣         國 務 大 臣 米窪 滿亮君  出席政府委員         厚生事務官   上山  顯君     ――――――――――――― 八月十三日  職業安定法案内閣提出)(第三六號) の審査を本委員會に対託された。     ――――――――――――― 本日の會議に付した事件  職業安定法案内閣提出)(第三六號)     ―――――――――――――
  2. 加藤勘十

    加藤委員長 これより會議を開きます。  職業安定法案を議題として、まず提案理由政府當局から聽くことにいたします。米窪國務大臣。     ―――――――――――――
  3. 米窪滿亮

    米窪國務大臣 職業安定法案を審議せられるにあたりまして、本法案提案理由を御説明申し上げます。本法案は六十六條にわたる相當長いものでございまするが、これの趣旨はきわめて簡單でございます。終戰以來職業行政においても大きな轉換をいたしてまいりました。終戰まで職業行政は、一言にして申しますれば、勞務動員配置目的として行われたのでございまして、現行職業紹介法もまたこの精神によつて一貫されておるのでございます。職業行政本來の目的は、國民に對しまして奉仕することでございまして、憲法の改正をみた今日、その憲法で定められました基本的人權の尊重が、今日實現されなければならないのでございまして、從來勞務統制配置目的といたしました現在行つている職業紹介法をやめまして、新たに憲法精神に則るところの法律を制定する必要が生じたのであります。これが本法律案制定趣旨でございます。  本法案目的とするところは、その第一條に明記してあります通り公共職業安定所その他の職業安定機關、これは各縣廳にあるところのものでございますが、それらが憲法第二十二條職業を選擇する自由の趣旨を尊重して、各人がもつている能力適當職業につく機會を與えることによつて産業な必要な勞働力を充足して、もつて職業の安定をはかるとともに、經濟興隆に寄與するということにあるのでございます。最建途上、にあるわが國において、われわれのまず努むべきところは、國民のもつその豐富な勞働力有效に發揮することでございまして、國家再建に必要な産業勞働力を充足し、各人についてその職業の安定を得させると同時に、國家經濟興隆せしめることが現下最も必要であるのでございまして、本法案制定趣旨とするところもまた、右の目的を實現することにあるのであります。本來職業行政は、全國にわたる勞働力需要供給による人の流れ基調として行わるベき性質でございまするから、ここに他の一般行政とは違うところの行政組織及び人事取扱いが必要となつてくるのでございます。  まずその組織の方面について申し上げまするが、職業行政組織は全國にわたる勞働力需要供給の適正な調整をはかるために、中央から第一線機關に至るまで、全國を一貫した系統運營することを理想とするものでございますが、一方地方自治本旨を尊重し、都道縣知事に對しまして公共職業安定所業務指揮監督を司らしめたことでございます。しかしこれに伴つて都道縣知事が、この法律規定によつてその行うべき職務に違反した場合におきましては、勞働大臣はその都道縣知事是正する命令を發し、またその都道縣知事がこの命令に從わないときは、勞働大臣はさらに高等裁判所に向つて同様の是正命令を請求しまして、そうして代執行を行い得ることと定めたのでございます。そのような規定を設けたゆえんのものは、裁判所がこれに介在することによつて法案目的を確實かつ迅速に遂行しようとするものにほかならないのでございます。  次に職業行政に從事する職員人事につきましては、職業行政特異性に鑑みまして、全國の職業安定機關を通じて、安んじてこの道に精進し得るような措置を譲じたのでございます。先ほども申し上げましたように、職業行政は全國的の人の流れ基調として行わるべきものでありますから、勞働大臣勞働力需要供給の状況に應じ、二つ以上の都道府縣にわたる事務連絡にあたらせるため、または都道府縣職員に對する技術指導を行うために必要があると認めたときは、重要産業地區本省の出張所として職業安定事務所を設置することができることといたしました。また職業行政民主的運營をはかるために、公共職業安定所業務補助機關として、市町村との連絡にあたるべき連絡員を設けると同時に、中央都道縣及び特別地區勞働者雇傭主、及び公益を代表するもので組織する職業安定委員會を設置いたしまして、必要があるときは地區にもこれを設置することができることとして、もつて公共職業安定所業務、その他この法律の施行に關する重要事項を審議させることといたしました。  公共職業安定所の行う職業紹介に關しましては、求人、求職申込み取扱い紹介原則爭議行為に對する不介入等について規定をいたしました。職業指導については、その原則及び職業適性檢査實施に關しまして規定を設け、また職業補導については都道縣知事が主體になりまして、これを行うことを原則と定めたほかに、都道縣知事に對する勞働大臣の援助の義務について規定を設けたのであります。  次に政府以外のものの行う職業紹介事業勞働者募集等につきましては、現行法ではこの規定は多く命令に委任してありますが、從來國家総制建前から、あるいはこれを禁止、あるいは嚴重な制限を加えておるのでございまするが、本法案におきましては、新憲法趣旨に基きまして、個人活動の自由を尊重し、弊害のない限り廣く職業紹介事業勞働者募集活動を認めると同時に、弊害あるものに對しては從來よりも罰則を強化したのでございます。これは勞働者保護をはかろうとする趣旨にほかならないのでございますが、同様の趣旨によつて法案は、他人の勤勞の上に存立する勞働者供給事業禁止しようとするものでございます。すなわち本法案規定によつて認められる勞働組合法による勞働組合勞働大臣許可を受けて行うもののほか、從來多く行われてきた勞働者供給事業ほ、中間搾取行を行い、勞働者に不當な壓迫を加える例が少くないのに鑑みまして、勞働民主化精神から、全面的にこれを禁止しようとするものであります。  本法案規定に違反した者に對する罰則につきましては、勞働者に對する保護見地から檢討を加えて必要なものについては體刑を科するとともに、違反行為をした者が法人または人にために行つた代理人、被用人等である場合におきましても、その輕過失及び重過失の場合について罰則を設けてあるのでございます。  最後に、本法案規定によつて禁止される有料營利職業紹介事業及び勞働者供給事業につきましては、附則において三箇月の猶豫期間をおくことといたしました。  右の説明でおわかりであるだろうと思いますが、職業安定法案の全體を通じてその骨子をなす精神は、憲法の二十二條趣旨に基きまして個人基本權を尊重し、勞働者保護をはかることによつて、現在の状勢に即應した勞働民主化を促進しようとすることにあるのであります。  以上職業安定法案制定趣旨及びその内容の大綱について御説明申し上げたのでございまするが、何とぞ御審議の上、時局に鑑みまして、速やかに可決あらんことをお願い申し上げる次第でございます。なお本法案の詳しいことについては政府委員から説明させることにいたしたいと思います。
  4. 加藤勘十

    加藤委員長 次いで逐條的に主要な個所について職業安定局長説明を求めることにいたします。
  5. 上山顯

    上山政府委員 職業安定法趣旨なり大體の構想につきましては、ただいま米窪國務大臣から提案理由として御説明いたした通りでございます。なおそれを敷衍いたしまして、おもな事項につきまして御説明いたしたいと思います。  まず第一章總則からでございますが、第一條法律目的が謳つてございますが、これはただいまの提案理由説明にもありましたように、今までのような行政、特に戰時中は勞務の充足という方の見方から運勞されておりましたきらいがあるのに對しまして、新しい職業安定法におきましては、先刻來御説明いたした通り、新憲法精神に副いまして、ここにも現われておりますように、各人にその有する能力適當職業につく機會を與えることを本旨といたしまして、それによつて職業の安定をはかつて經濟興隆に寄與いたしたいつもりでございます。  第二條職業選擇の自由につきましては、憲法に書いてありますことをもう一度操返したわけでございます。  第三條には均等待遇のことがございまして、これは同じ趣旨勞働基準法等にも規定されている通りでございます。  第四條は、政府の行います仕事を後の各條にもたいてい出てまいりますが、要約して規定して次第であります。  第五條は定義でございまして、特に御説明することはないと思います。  第二章は、政府の行います職業紹介職業指導及び職業補導というようなものについて規定をいたした次第でございます。最初に行政機構がございますが、これにつきましてはただいま大臣からも御説明申しましたように、職業行政というのは人の流れを把握いたしましての行政でございまして、この人の流れというのは、府縣というような地方的な行政區畫にはかかわらないわけでございまして、どういたしましても全國的な見地からの運營が必要でございます。しかし一面地方行政と關連いたす面もいろいろございますので、全國的な行政機構を一方こしらえながら、地方長官權限を認めまして、二つの要求の間の調整をはかりたい、かように考えているわけであります。  第八條公共職業安定所は、ただいまもこういう名前で四月以來發足いたしておりまして、これは勞働大臣が管理をいたすことになつております。しかしこれについては都道縣知事指揮監督を受けるということにいたしまして、地方行政との關連をつけておるようなわけであります。  第九條の職員任用その他人事のことでありますが、まず職業安定機關につきましては、特殊の専門の知識經驗が必要でございますので、これの資格について勞働大臣が定め得るということにいたしてあります。それからなるたけこういう専門的な經驗を生かしまして、同じ仕事に長く携わらさしたいわけであります。もつとも新たによつてから人がはいることもございまするし、また適當でない人をやめさせましたり、本人の希望に基きましてほかの行政の面へ動く人もあるわけでありますが、この第二項にございますように、本人の意に反しまして、職業安定以外の機關の職に轉出をさせることはしないということにいたしまして、經驗をもつて仕事をやつております者が轉々と仕事のかわるというような從來とかくございました弊害をためてまいりたいという考えでございます。  第三項に職員任命のことがございますが、ただいま安定所職員厚生事務官ということになつておりまして、二級官も三級官も全部厚生省の方が握つているわけでございます。ところが新しい法律におきましては、二級官の方は本省が握ることになつたのでございます。三級官につきましては、地方長官に任して任命をしてもらう。ただしこれについての基準等本省でいろいろきめますことにいたすつもりであります。それから職業課なり職業安定課という名前で、都道縣廳職業安定の職員がいるわけでございます。これは現在は地方事務官ということになつておりまして、内務省系統でこの人事を押えているということになつているわけでございますが、新しい法律では、都道府縣におる者につきましても、二級官は勞働省の本省で押える、三級官は地方任命するということにいたしたいと思つております。  なお第九條にございます職員任用人事のことにつきましては、ただいまの公務員全般制度とは若干違つた點があるわけでございまして、近く公務員法が制定されるように承知いたしているのでありますが、もしも將來公務員法が制定されました曉には、この第九條の規定の件はそれによつて制定されるということになる見込みでございます。  第九條は、公共職業安定所業務を補助させるための連絡員のことを規定しております。  第十一條は、市町村長公共職業安定所の大體補助的な仕事等をやらせることにいたしております。  第十二條職業安定委員會規定がございます。これは職業行政につきまして關係者意見を十分尊重して運営してまいりたいという趣旨から、中央地方に四つの段階の委員會を設けることにいたしております。そうしてこれには勞働者を代表する者、雇傭主を代表する者をおのおの同数入れることにしておりまして、これに公益を代表する者を加えて組織をいたすということになつております。職員安定行政のような種類のものにつきましては、特に最も利害關係の多い勞働者なか雇傭主意向を十分に反映する必要がありますので、そういう規定を加えているわけでございますが、なお實際運用にあたりましても、そういう點に十分注意いたしまして、關係業者意向を反映して運用いたしたいという考えでございます。  次に第二節、職業紹介に移りたいと思います。  第十六條、第十七條、第十八條の邊は特に御説明するようなことはございません。  第十九條に職業紹介原則という規定がございます。これの二項に「公共職業安定所は、求職者に對し、できるだけその住所又は居所の變更を必要としない就職先に、これを紹介するよう努めなければならない」という規定がございます。それから後の方になりますが、第三十九條に募集地域原則という規定がございます。これはまた募集の方の見地から、「勞働者募集を行おうとする者は、通常通勤することができる地域から、勞働者募集し、その地域から、勞働者募集することが困難なときは、その地域に近接する地域から、勞働者募集するように努めなければならない」という規定がございます。それで今後の職業行政紹介なり募集やり方といたしましては、なるだけは通勤地から通えるようなところに紹介もし、またそういうところから募集をするようにいたしてまいりたいと存じます。從いまして將來工場を建設いたします場合には、今までももちろん勞務者募集のことは考慮に入れまして、工場立地ということが考えられておつたと思うのでございますが、今まで以上に勞働事情を重く見まして、工場立地がなされなければならないと考えております。これはむしろ私見にわたるかと存じますが、單に職業行政立地から見て、そういうことが望ましいだけでございませず、廣く國土計畫の見地よりも、むしろそういう方向に進まなければならないのではないかと存じております。しかし現状におきましては、必ずしもさようなことが十分考慮されて工場が建設されておりませんので、現實の問題としましては、相當遠方から勞働者募集しなければならぬという事態も生ずると思つております。從いまして第十九條なり、また第三十九條の運用にあたりましては、特に經過的の場合、十分實情に即した運用がされなければならぬということは考えておりますが、大きな方向といたしましては、なるたけ通勤地募集するよう、また通勤地工場紹介するようという一つ原則を示した次第でございます。それから第二十條の爭議行為に對する不介入という見地からいたしまして、現に爭議行為が發生していることが明らかな業務の部門、または紹介をいたして新たに人がはいりましたために、爭議行為が發生するおそれがあることが明らかな場合におきましては、求職者紹介してはならないという規定がございます。これは近く提案になります豫定の失業保險法の方に關係するのでございまして、失業保險法等におきましては、職業安定所紹介した業務を、常當の理由なくして拒んだ場合には、給付の制限を受けるというような規定がございます。その場合、この勞働爭議のあります工場紹介された場合には、正當な理由として就職を拒み得るかどうかという問題がございますが、その點は安定法の方で、はつきりそういう紹介をしてはならないという規定がありますので、特に失業保險法等においては、その規定は設けておりません。  それから第三節に職業指導規定がございますが、特に御説明心要はないかと存じます。  第四節の職業補導につきましても、特に御説明を要しないかと存じております。  以上が第二章でございますが、第三章といたしまして、政府以外のものの行う職業紹介勞働者募集及び勞働者供給事業のことが規定してございます。それで一般民間の行いますこれらの事業につきましては、大臣からも説明いたしましたように、一方では、弊害がないと認められますようなものについては、今までよりも自由に相當いろいろのことを認めることにいたしております反面、弊害があると認められますようなものについては、斷固禁止をするというような考え方で立案されております。第三十二條有料營利職業紹介事業でございますが、これはただいま法律では、國際勞働條約等にも、原則として職業紹介事業無料だという建前になつておりますので、有料營利のものは認めない方針になつておるのでございます。しかるに國際勞働會議におきましても、特殊の業務につきましては、その後の會議におきまして、特に一定基準のもとに、有料營利紹介を認めてもよいというようなことにきまつているようなわけでございます。それでこの第三十二條は、それらのことを考えあわせまして、特に弊害がなかろう。そうしてこういう制度を認めることが、非常に便宜だろうと認められますようなものについて、例外的に有料營利職業紹介事業を認めることにいたしたわけでございます。すなわちここにございますように、美術音楽、演藝というような、特殊の技術を必要としますようなもので、一般職業安定機關では必ずしも紹介適當でない。そういうものにつきまして、たとえば關係團體職業紹介仕事をやりたいというような場合については、特に認めたいという趣旨でございますが、ただこれにつきましては、勞働大臣中央職業安定委員會に諮問をいたしまして許可をするというような、非常に丁寧な手續をとることにいたしております。なお許可の有效期間といたしましても、一年間というようなことでございまして、弊害が起るようでありますれば、いつでもやめさすことができるようにいたしたいと考えております。  それから第三十三條に無料職業紹介事業がございますが、これにつきましても、勞働大臣許可を受けまして認めることに相なつております。但しこれについても、職業安定委員會に諮問いたし、また有效期間は二箇年というような制限を設けまして、十分監督をいたしたいつもりでございます。  それから第三十五條以下に勞働者募集のことがございますが、文書による募集等につきましては、ただいまは許可主義でございますのを、自由に行うことができるといたしまして、こういうものにつきましては、大いに自由を認めているわけでございます。但しその場合にも一定制限ができますようなことが第三十八條規定してございます。それから文書以外の方法によります募集につきましては、大體ただいまの職業紹介法に基いての省令に似たやり方でございますが、若干實情に即して改めたような點もございます。  それから第三十九條の募集地域原則につきましては、先刻御説明いたした通りでございます。  次に第四十四條以下に勞働者供給事業について規定がございます。これはただいまの大臣説明にもございましたように、いろいろ弊害を起しやすい仕事でございますので、原則的には全面的に禁止をいたしておるわけでございます。ただ關係者が自主的な組合をつくりましてやつてまいりたいという場合には、勞働組合許可を受けさせまして、弊害がないと認めました場合には、無料勞働者供給事業を認めたいつもりでございます。ことはたとえば、家政婦なんかも勞働者供給事業ということになつているわけでございますが、ただいまのように、営業的にやります家政婦會というようなものは認められないことになります。しかし現在家政婦であつた人たちが集まりまして、組合組織でやつてまいりたいというような場合には、勞働者供給事業ということにはなりますが、特に勞働大臣許可を受けて認めていこう。こういう考えでございます。なおこの勞働者供給事業が廢止されますと、ただいま關係者が相當おりまして、現にこういう仕事をやつておる際でございますので若干影響は考えられるのでございますが、私たち對策といたしましては、一つはただいま申しました勞働組合法による組合をつくつてやる場合を認めております。  第二は、職業安定機関充實活動の促進により、今まで勞働者供給事業をやつておる者が果しておりました機能職業安定機關に果させたいつもりでございます。これは現に進駐軍關係勞務については、勞働者供給事業というのは認められていないのでございまして、現在職業安定機關がこの仕事を果しておるわけでございますが、今後は進駐軍關係以外仕事についても一層安定機關活動をはかり、これらの機能を果してまいりたい考えであります。  それからもう一つ請負業者勞働者を使いまして、自分の企業計算でいろいろな請負事業を營むことは禁止されてないわけでございます。もつともこの請負事業についてもいろいろの問題がございまして、これの改善等につきましては關係方面といろいろ研究もいたしておるのでございますが、そういう弊害がない限りにおきましては、請負事業そのもの禁止されておるわけではないのでございます。  それから第四章に雜則といたしましていろいろの規定がございますが、そのうち特に御説明を要するかと思いますのは、五十六條以下にございまか都道縣知事に對する監督に關する事項でございます。これは都道縣知事のやりました処分がこの法律なり、またはこの法律規定に基いて發令する命令、またはこれらに基いてなす処分に違反いたしました場合に、これが是正方につきまして規定をいたしておるのでございまして、まず都道縣知事に對して是正すべきことを命令するということをいたしまして、知事がその命令是正いたしません場合には、高等裁判所に對しまして、知事に對して違反事項是正を命じてもらいたいということを、請求することができるという規定を設けておるのでございます。それでこの場合高等裁判所に請求するのでございますが、こういう行政仕事高等裁判所にもつていくのはおかしいではないかというような、あるいは御疑念をおもちではないかと存じます。御承知のようにただいままでは、こういうようなことは行政裁判所でやつてつたわけでございますが、新しい憲法では特に行政裁判所というものがございませずに、普通の裁判所におきまして行政關係のこともやることになつております。従いましてこういうような仕事は、今まで行政裁判所がもつておりましたような機能裁判所がやる、そういう趣旨でこの仕事裁判所がやつてくれるわけでございます。なお裁判所法におきましては、他の法律で定めるところによつてこういう權限をもち得るような規定になつております。  時間の關係もございまして飛ばした規定もございますが、特に問題がありますようなおも立つた規定につきましての御説明は以上の通りであります。
  6. 加藤勘十

    加藤委員長 本日はただいま國務大臣並びに政府委員からの提案理由を述べられ、あるいは若干の説明が加えられましたたが、質疑並びに意見の開陳は次會からいたすことにいたしまして、次會は來週の火曜日午前十時から開會いたします。暑いときで非常に御苦労様ですが、各委員諸君の御出席を特にお願いしておきます。自由黨の方もどうぞお傳えくださるようにお願いいたします。それからなお質疑の順序等につきましては、後に理事會を開いて、そこできめたいと思います。本日はこれをもつて散會いたします。    午前十一時四十六分散會