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中原公述人 産別會議といたしまして、若干の
意見を述べさせていただきたいと思います。まず今度の
追加豫算にいたしましても、あらゆる
政府の施策がそうでございますけれども、常に千八百
圓ベースというむちやくちやなことを
基礎にしておるという點から、われわれは非常な不滿をもつと同時に、これはわれわれの單なる不滿というばかりではなくして、この問題は
日本の
再建を阻害するものである。あるいはわが國を破滅に導くものであるという點において、絶對の反對をいたすものでございます。それで
豫算問題について言いますならば、いわゆる勘定合
つて錢足らずということでございまして、ただ單につじつまを合わせるということのみに終始しておるということは、それぞれの
公述人の方々の、こもごも述べられた趣意であるというふうに存ずる次第でありますが、それもこれも千八面
圓ベースという考え方が、そもそもそういうものであるから、
從つてすべてがそうな
つていかざるを得ないということになるわけでございます。安本當局の御
意見によりましても、十一月になれば、黒字になるというその十一月がもう半ばまで來たわけでございますけれども、なおそれでも黒字にならぬ。しかもそれはたばこの配給が減る、酒の配給もなくなるからそれだけ黒字になるじやないかというような調子でございきす。この調子でいきますと、すべてのことが何にも食わなくてもよろしい、何にもしなくてもよろしい、そうすれば何にも要らぬから、黒字になるではないかという極端な議論に見えますけれども、何ら本質的に變りがないという結果になるわけでございます。これは單にそういう理窟ばかりでなくて、現實に各
方面にこのことが行われておる次第であります。かりに議員の皆さんにしても、ほんとうに議員としての職責を盡そうとしたならば、はたして千八百圓でできるかどうかということを、十分に御反省願えれば、このことはわかることだと思います。現在各家庭においても、工場においても、電氣が消えて仕事ができない。そうしてほかの事柄がある
程度なされたとしても、
生産も上らない、ただ破滅を待つばかりだというような状況にな
つてきておるのであります。私ども電力問題について、その電力を何とか復興しなければならぬ、何とかこの電力をうまく使
つて生産をやらなければならぬと考えました場合に、炭、薪の問題が出てきたわけでございますが、炭、薪の問題にしても、これを安本の計畫、
政府の計畫通りをやることさえも現在できない
状態にな
つてきておる。その
根本原因としては、薪炭の増産の問題もございますが、現在ある滯貨をさえも運ぶことができない。その原因はどこにあるか。
國鐵の輸送が全然できないからであります。北海道にあります炭を出してこようというときに、豫定いたしましたものの半分しか出せないというような状況が起つたけれども、しかもその豫定したものを出したとしても、年末までに東京都民には、一世帶一俵しか渡らぬという
状態である。なぜその輸送が豫定の半分しかできないかというに、ほかにもいろいろ原因がございますが、
一つには輸送力が足りない、非常に不足しておる。それからまた車輛が非常に不足である。北海道の凾館において壞れた車を修理するとしても、これが非常に修理能率が上らない。修理することができない。それでこれを本土にも
つてきて修理するということにしても足りない。またこの貨車がよしんば修理ができたとしても、弘前の
國鐵の管理部、仙臺の
鐵道局の管理部においては、列車を動かすることができない。そうして東京においては、全遞の諸君の集團缺勤の問題について非常に不愉快な名前をも
つて山ねこ爭議というふうに
政府は呼ばれて、われわれは非常に遺憾に思つた次第でありますが、弘前その他においては、
政府で認められておりますところの食糧の休暇、あるいは年次休暇というものをとらなければ、どうしてもや
つていけないという状況にな
つてきておる。これには山ねこという名前は附けることはできないけれども、
實際問題としては、これによ
つて列車を二本も三本も一日にとらなければならぬという状況が出てきておるわけであります。こういうふうに、もう目の先の問題にしても、や
つていけない。これは千八百
圓ベースが固持されておるということが、最大の原因であるわけであります。そして各
企業の經營においても、このことはその通りでございまして、剩員があるとかないとかいうこともございましたけれども、さつきの大塚さんのお話の中にもありましたように、これを
企業において
生産をするということになれば、失業者も出さずに、どんどんすべての勞働者がすべての
國民が働くことができそれにわれわれは努力することができるのでありますはれども、これを阻害しておる最大のものは何であるかというと、千八百
圓ベースなのであります。私
企業においても、この職場の離脱ということは、方々において起
つておりまして、これは責める方が無理である。どうしてもそうならざるを得ないのであります。この
根本原因を解決することなくして、これを權力をも
つて威しつけ、あるいは戰前と變らないような絶對命令をも
つて威しつけるということでは、決してこれは復興することはできないことは明白であります。こういう點をよくよく考えなければ、いかなる
豫算を組んでごらんに
なつたところで、決してこれは實行できるものではないのであります。けさほども私は聽いたのですが、大阪の遞信局の管内において、東京における山ねこ爭議の問題を懸念して、さる
方面の絶對、命令であるというような名前をも
つて、公共職業安定所から、毎日の出勤時間状況を調べろ。それから勞働組合で何をや
つておるかということも調べろということが來ておるのであります。こういう問題もそういう勞働組合法の觀點から、また
日本の民主化という點から、非常に遺憾な重要な問題でありますが、このことも千八百
圓ベースの問題を解決せずして、これだけを固持していこうという勘定合
つて錢足らずのやり方を、どこどこまでも續けようとするところから出てくるのであります。千八百
圓ベースでや
つていけないということは、天下周知の事實でありまして、だれ一人としてこれでや
つていけるという人間はないのであります。これでや
つていきますと、やはり判事さんのように死ななければならぬということになるわけであります。すべての人間が死んでしまえということを、この千八百
圓ベースでつくられておる
豫算をも
つて國民に強要しておる。
國民に對する威嚇であるというふうに、われわれは考えざるを得ないのであります。しかも千八百ベースでがまんしろということをやる一方、そうして仕事を何とか續けてほしいということをやるためには、
政府御自身が、また經營者自身がストライキにあたりまして、いかにしてこのストライキを破るかというときに、莫大なる
費用を使
つておる。そうして最低五千圓というものは、どうしても出さなければ、
政府や經營者御自身がおやりになろうとすることさえもできないということは、身をも
つて示しておられるにもかかわらず、そのようなまじめにやろうとするものでない人たちには、そういうものをやるということは税金の問題にいたしましても、まじめなものからはとるけれど、ふまじめなものからはとらないということと同じことなのでありまして、この千八百
圓ベースというものを
根本的に改めない限り、税金の問題にしても何にしても、全部解決しないということになるのであります。このことは單に勞働組合あるいは勞働者は、自分のためばかり
言つておるのではありません。どうしてもこれをやらなければ、絶對に何ごともできないということは明らかであります。先ほど大塚さんは、
日本に殘されたものは八千萬の人間であるといううふうに言われたわけでありますけれども、この人間が働くことができるという
状態をつくり出さなければ、絶對に何ごともできないのであります。現にそういう大きい問題ばかりでなく、千八百
圓ベースのために、
鐵道がうまく動かないということがあ
つて、一トンの硫黄が動かないために、新聞の紙も
危機に瀕するというような
状態にな
つてきておるのであります。そうして
豫算の數字に現われておる點を見ますと、すべて
歳入の
豫算におきましては、この千八百
圓ベースを
基準にして、これをも
つて強要されておるところの人民
大衆、勞働者、農民、中小
企業者というような人からとる、とらなければならないというふうに出されております。
政府の案というもの、これは全體の七〇%から八〇%ということにな
つておるわけでございますけれども、その千八百
圓ベースということでは、どうしても食えない。いわんや税金がそれから拂えるわけはないのであります。こういう點から見ましても、そもそもこの
豫算は初めからやる意思のない
豫算であるというふうに言わざるを得ない。そうしてやろうとしておることは何かということになりますと、千八百
圓ベースで勞働者を抑えつけて、全然働けなくしてしまう。失業者をうんと出してしまう。そうして絶對命令である、至上命令であると稱して
企業整備をやり、首切りをどんどんや
つて、
國民の何人しか殘らぬ。
あとの人間はみな死んでしまうということだけをやろうというふうにしか、この
豫算からわれわれは考えることができないということになるのであります。しかもとれない人間からとろうとするものが、その七〇%から八〇まで占めておるのでありますけれども、これを使う段になりますと、この千八百ベースで苦しむわれわれの手にはいるもの、あるいはわれわれの方のためになるような
支出というものに使われますのは、わずか二〇%くらいしかない。そしてそれ以外のものは、いわゆる資本家階級という方々のために使われるというような結果にな
つてきておる。これではたして私は第一囘國會の中から選出された民主的な政黨の首班がつく
つておるところのこの
政府のやることであるかどうかという點については、まことに疑わざるを得ないのであります。そういたしますると、これは結局そういう民主的政黨を利用いたしまして、そういう殘虐なことをやろうとする人たちの政黨というものが、これを牛耳
つておるのではないか。そうしてや
つていこうとするのではないかというように考えざるを得ないのであります。勞働者はみなこれに對しては絶大なる憤懣を懷いておる次第であります。
しからばこれをどうしていつたらいいかという點について、若干の
意見を述べてみたいと思うのであります。もしもこれが實施されるということになりますと、すべての勞働者は、あげてこれに反對するでありましよう。そして山ねこどころの騒ぎでないアルプスの狼か虎かというようなことにまでなりかねないと思う次第であります。それがおそらく全國的に蔓延してくるというようになると思うのであります。そう
なつたらたいへんなことになるということは言うまでもないことでありますけれども、しかしそのことは勞働者がそういうことをしなければ、そういうふうにならないと言えば、それは違うのでございまして、勞働者が仕事をやめる。あるいは車を止める。電氣を止める。通信を止めるということについては、非常なお怒りを方々からいただくわけでございますけれども、そうでなくして、經營權というものを非常に主張され、そうしてこれを管理し、仕事を續けていく責任をも
つておられる方が、電氣を止めたり、汽車を止めたりする分には、一向馬耳東風で、しやあしや
あとしてや
つておられるということになるのでありまして、しかもこの
状態が續いていくわけでございますから、よしんば勞働者がおとなしく、いやでも應でも默
つてついていく。つまりファシズムのような
状態に
なつたならば、ではそういうことは起らないかと言えば、そうではないのでありまして、現在の
日本の状況におきましては、勞働者や何かみながおとなしくて、これに努力するということをいたしましたところで、汽車も止まれば、通信も止まれば、電氣も止まれば、あらゆる
生産も止
つてしまうという結果にならざるを得ないのであります。從いまして、このやり方を
根本的に改めるということなしには、どうしてもさような混亂は避けられないということになるわけであります。まずそのためには
政府の緊急
經濟政策に織りこまれましたところの、最大の眼目である物價と賃金の惡循環を斷ち切るのだというような考え方をやめていただきたいのであります。そうでない限りこれは
根本的には解決できない。賃金と物價というものが常に惡循環するのであるというような、そういうまぼろしを捨てていかなければ、そうして
根本的にすべての働く勤勞者、勞働者や農民その他の人たちが、十分に働けるように、これを保障するということが絶對の仕事であります。これをすればすべてが解決するのであります。それをせずにおいていろいろなことをやろうとすると間違
つてくるのであります。もしも十分に賃金をやるならば購買力が殖えて
インフレになるじやないかというように、しよつちゆう言われるのでありますけれども、それはそうではなくて、十分に働けるようにしさえすれば、
當然それに支拂われた賃金に對するところの價値として現實に物が
生産されてくる。その限りにおいて、いくら購買力が高くな
つても、物がどんどん出てくるということにな
つて、決して
インフレにはならないのであります。
インフレになるのは、勞働者にそれだけ賃金をやるならば、おれの方でもその率に
從つて、あるいはそれ以上にふところにはいるものがなければならないというような考えで、
企業その他を運營しよう。そういう観念を助長し、それを實行しようとするから
インフレになるのでありまして、この點を絶對に改めなければならないと思う次第であります。そうするならばすべての問題は解決する。私はかように思い次第であります。しかしそういうふうにするにいたしましても、
豫算の面でみますならば、要るものはやはり要るのでありますから、どうしてもそれに必要な收支の
豫算というものをお立てにならなければお困りになるであろうと思う次第でありますが、そこで
財源といたしましては、そういうわれわれ勤勞者から直接にと
つてしまうというひどいとり方をする
所得税を改める。同時に
生活必需品に課けるところの物品税その他の間接税というものを徹底的にやめる、あるいは非常に少くするというふうにしていただきたいのであります。この物品税、流通税、間接税というものにな
つてくると、いわゆるこれは
大衆というものが、その七割から八割までを現實には負擔するのでありまして、そうでない負擔者には、そういうものが少々かか
つても、ちつとも痛痒を感じない。そうしてみなにかかるのだからというようなまぼろしをも
つて、そういう負擔の不均衡というものを惑わすものでありますから、そういうものは絶對にやめなければならぬと思う次第であります。しからばどういうところからと
つてくるか、今申しましたように、少々何をとられても痛くも痒くもないような高額
所得者に對しては、その超過分に對して高率の累進課税をやることであります。それから大やみ利得者というものに對する課税をやはり徹底的にやらなければならない。これについてはいろいろ
方法もございましようけれども、財務の職員の方々に對して、これは徹底的にその
待遇というものを改善しない限り、決してあるところから金をと
つてくるという仕事はできないのであります。現在定員の半數ぐらいで、非常な苦しい中で仕事をしておられる。そうして官公廳職員あるいは教職員の方々の中で比べますと、現在財務職員の方々の
待遇より
惡いのは、幼稚園の先生だけであります。そのような
状態をやめて、安心して仕事ができるという
待遇をしなければならぬ。また同時にこの人たちの生命の保障をしなければ、あるところから金をと
つてくるという仕事はできないのであります。この點は命をかけての仕事であるから、その點について十分に
政府の
措置というものをしなければでき得ない、またこれをやらなければ決してわが國の状況というものはよくならないというふうに考える次第であります。
それからわれわれは今度の
企業再建整備に關しまして、勞働階級の主張しておるところは、いわゆる負債の打切りを先にや
つて、評價
利益をも
つて持別損失を埋めるというやり方をやめろということを主張しておるのであります。この負債の打切りをして、評價
利益によ
つて特別損失を埋めるということをやめる。しかしながら
實際にはいろいろな設備にいたしましても、
資材にいたしましても、値上りからくる點から十分に税金をと
つていただけばよろしいのでありまして、こういう點について
政府が本腰にな
つてやることになれば、喜んですべての勞働者は協力するでありましようし、こういう財産税をとるというような形でや
つていくならば、
財源というものについては、われわれは十分に心配なくや
つていくことができると思うのであります。それから
財政の
支出の中で、われわれとして非常に重大な關心をもちますものは、やはり官公廳勞働組合諸君の給與
状態がどうなるかということが、すべての勞働者にとりまして注目の的であり、また進んで喜んで安心して
生産を續けるかどうかということの、
一つのかぎになるわけであります。ただいま經營者の方から、
政府でお手本を示して首きりをやれと言われましたけれども、われわれといたしましても、
政府でお手本を示して、勞働者の
生活を安定させるということをやらなければ、だめだと思う次第であります。この
行政整理の問題にいたしましても、現在言われておりますところの
行政整理の
根本的な考え方は、いかにうまく國の仕事をしていくか、そのために必要な人間をいかにして維持していくか、またその能力をいかにして發揮さしていくかというところに、
行政整理の目的があるのではなくて、ただ定員をどうこうし、勘定の上、帳面ずらだけをうまく繼ぎ合わせようということが、
行政整理の
根本的な考え方であろうと思われる次第であります。なぜかなれば、
根本的に行政の各
方面において、どういう仕事がどれだけ必要であるから、どれだけの人間をどういうふうに保持しなければならぬという考えからするのでなくて、何とか
人件費を減らさなければならぬから、それでうまくや
つていこうじやないかということ、それが
豫算に
人件費が組み込まれる、あるいは手當が組み込まれる過程におきましても、明瞭にな
つておることにつきましては、私よりも議員の皆さんの方が、十分に御承知のはずであると思う次第であります。現在一番問題になりますところの
國鐵の從業員諸君の剩員の問題にいたしましても、現在の人間は戰前よりも二倍にな
つておるということを、ちよつと聞かされた記憶があるのでございますけれども、輸送の面から見ますと、現在輸送しなければならないものが、戰前のやはり二倍以上なのでありまして、この點から
言つても、どうしても人間が餘
つておるということにつきましては、事實について仕事をしていくという面からいくと、われわれ絶對に承服することができないのであります。また全遞の諸君、
國鐵の諸君もそうでありますけれども、
政府がどうしても新しい
日本の建設のために、勞働者の勞働
條件について、これだけはどうしても守らねばならないという、最低のものをきめたあの勞働
基準法というものを、ほんとうに實行いたしますならば、全遞におきましても、
國鐵におきましても、決して人員が餘るということはないのであります。こういう事實に目をおうて、つまり
日本を建設していくために、勞働者
大衆にこれだけの勞働
條件を保障しなければならぬということを、
政府みずから
言つて法律にして出しておきながら、しかもこれをあえて破り、そうして人間が餘
つておるというふうに、單に仕事をうまくや
つていく。いかに
生産能力を發揮していくかという觀點から目をそらして、數字の上からお金はいくら餘るとか、餘らぬとかいうような勘定から、そういうことができてくるということについては、われわれは絶大なる不満をもつと同時に、そういうことでは決して
日本の民主的な
再建ということは、でき得ないであろうということを、特に申し上げたい次第であります。
また失業
對策の問題にいたしましても、これは立場は違うのでありますけれども、先ほど大塚さんから、失業
對策について
政府の施策が非常に不十分であるということを言われたと思う。これは
金額の面について見ますならば、われわれとしても非常にこれは不足に思う次第であります。やむを得ない失業者に對しては、やはり千八百
圓ベースにいたしまして、その失業の退職金をきめるということになれば、これは絶對に何のための失業
對策かということで、
根本的な考え方がおかしくな
つてくるのであります。失業
對策ということにしましても、やはりこれはいつまでも失業さしていくというのではなくして、現在ある失業者といえども一日も早くこれを
生産面につけて、全體の
生産を上げていくというふうにならなければならないのであります。これがためには失業しておるそのときにおいても、仕事につけばすぐ働けるというだけの體力は、養
つておかなければならぬということが、絶對に必要なのであります。そういう點からいきますと、千八百圓のベースによります失業者に對するいろいろな手當、保險の
制度についても、われわれは絶大の不滿をもつものであります。またさらに重要な點でありますけれども、經營者の方からいたしましても、現在人員が過剩であるということにつきましても、永久に過剩であるということでないということは、十分にわか
つておられるのである。そうしてできるだけ一日も早く、すべての
國民、すべての人民が働いて、
生産面につくということにしなければならぬということも、またみなわか
つておる次第であります。そうしたならば經營者の面から見て、失業
對策にしても全體の
生産力を高めるという方向に、も
つていかねばならぬということを言われたと思いますけれども、われわれといたしましてもこのすべての仕事を、みな
生産を擴大さしていくという點に、觀點を向けなければならない。しからば現在
根本的な
生産力を發展させるということを、私
企業でも
つてやれるかどうかということについては、すでに答えが出ております。石炭の問題にいたしましても、鐵鋼の問題にいたしましても、あれだけ全産業の
前提基礎として必要な産業においても、なおかつ
根本的な
生産力の擴大ということがなされていない。これはいろいろ戰爭による荒廢とか何とかいうことがありますけれども、基本的な
生産設備というものを十分に備えるのでなければ、
根本的なことはできないのである。このことを今すぐ私
企業にやれと
言つてもできない。これは失業
對策としてそういう
生産的な
事業を考えようとしたときにも、同じように考えられてくるのでありますが、そういう點からその重要な
基礎となるべき産業というものについては、私
企業に任せるのではなくて、失業
對策を
生産的にも
つていかなければならぬということをほんとうに貫くならば、このような重要な産業についても
國家がこれをどんどんと經營していく。そうして今の
鐵道とか遞信とかいうような形の、ああいうばからしい一方的な國營の仕方ではなくて、それにたずさわる從業員を利用して、これによ
つて自分たちの
生活が保障されることろの、すべての人民
大衆というものと一緒にな
つて、みなの納得のいく經營をつとめてや
つていく。これに必要なものについては
基礎的な
生産設備という問題については、これは
政府がそういう點については、
赤字を覺悟しても、やらなければならぬ。しかもこの
赤字は將來において、全部解消されてくるものでありますから、そういう點からぜひとも重要な産業の國營、または民主的な管理というものについて、これを單に勞働者のイデオロギーの問題であるというふうにお考えになることなく、事實においてどうしたらいいか、數字の上からどうしたらいいかということから出てくるところの、
具體的な、現實的な原則であるというふうにお考えくださいまして、この點について十分やろうという意思が現われるところの
豫算というものに、組みかえていただきたいということを、われわれはお願いしてやまない次第であります。
時間もありませんので、申し上げたい要點について申し上げた次第であります。しかしそういうことをいたすにつきましても、何をするについても、すべて千八百
圓ベースというものを打ち破
つて、すべての仕事について働く人間に對して、十分にその
生活を保障し得るようにしなければならぬ。そういう必要からこの
追加豫算というものも、皆さんが十分にお考えくださ
つて、組みかえていただきたいということをわれわれは要望する次第であります。もしも現在のような
状態で推移いたしますならば、勞働階級がたとえ騒がなくても、わが國は荒廢していくであろう、破滅していくであろうということを申し上げて、そういうことについては勞働階級が坐視しているわけにはまいりません。
從つてその建設していくという
方面に向
つてすべての努力を捧げるであろうということを申し上げて、私の
意見の開陳を終りたいと思う次第であります。