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1947-12-01 第1回国会 衆議院 予算委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十二年十二月一日(月曜日)     午前十一時三十六分開議  出席委員    委員長代理 川島 金次君    理事 稻村 順三君 理事 小島 徹三君    理事 鈴木彌五郎君 理事 苫米地英俊君    理事 川野 芳滿君       海野 三朗君    加藤シヅエ君       河合 義一君    黒田 寿男君       島田 晋作君    中崎  敏君       中原 健次君    西村 榮一君       押川 定秋君    川崎 秀二君       五坪 茂雄君    佃  良一君      長野重右ヱ門君    青木 孝義君       淺利 三朗君    磯崎 貞序君       角田 幸吉君    小峯 柳多君       鈴木 正文君    西村 久之君       樋貝 詮三君    本多 市郎君       今井  耕君    中村 寅太君       野坂 參三君  出席政府委員         大藏政務次官  小坂善太郎君         大藏事務官   福田 赳夫君     ————————————— 本日の會議に付した事件  昭和二十二年度一般會計豫算補正(第九號)  昭和二十二年度特別會計豫算補正(特第四號)     —————————————
  2. 川島金次

    川島委員長代理 これより會議を開きます。  昭和二十二年度一般會計豫算補正(第九號)、昭和二十二年度特別會計豫算補正(特第四號)を一括議題に供しまして、大體質疑は終了いたしたものと存じますので、これより討論にはいりたいと思います。社會黨海野君。
  3. 海野三朗

    海野委員 この豫算面を見ますと、いずれも必要な項目であることは確かでありますが、さらにわが日本といたしましては、いかなる方向に進めばよろしいのであるかということについて、もう少し未來を見ていただかなければならないと私は考えるのであります。未來を見るとは何であるかと申しますと、豫算、これを組んでこの先わが日本がいかなる歩みをしていくのであるかということを考えていただかなければならない。そうしますと、その見地から見るときには、この豫算面に對しては、私ははなはだ不滿を禁ぜざるを得ないのであります。どこに未來性がありますか、どこに日本ほんとう世界文化國として起ち上るところの豫算が組まれておるかと申しますと、これはここに含まれていないのであります。たとえば日本は今日まで戰爭をやつてきました。ほとんど學問科學、そういう方面におきましては、日本人頭腦世界列國に比較しまして、決して劣つてはいないのでありますが、今日まで軍國主義のために科學者が虐げられ、學者が虐げられてきておつたのであります。この科學の水準を高め、文化國家として日本が起ち上りますためには、今まで隱されておつたところの虐げられておつたところ學識文化世界人たちに知らしめる必要がある。これが日本文化を向上せしめていく第一番であると私は考える。この意味からいたしまして、日本學會はこれを算えてみますと、ほとんど二、三百に達しております。法科といわず、文科といわず、あるいは理工科といわず農學部におきましても、數多學會がある。その學會において學者がしのぎを削つて、戰爭中におきましても研究をいたしました。この人類文化のために貢獻しているところの數多報告が、今日まで一つも發表されないで、山積しているのであります。これは金が足りぬ。會員組織でもつて會費を集めてやつたらいいじやないか。こういうふうに大藏當局はお考えかもしれませんが、學者のこの會費だけでは紙が高くなつて、とうていこれを印刷に附することができない状態であります。しかるに街を見ると、いかがわしいところの本がまことに怒濤のごとく賣り出されておる。こんなことでは、われわれ日本人ほんとう文化國家ということが、世界の人から認められることはないと考えるのであります。この意味におきましてこの學會研究報告を發表するところの經費、それはわずか一千萬圓程度である。これがありますればまずこの二、三年の研究報告を出す上におきまして、非常な助けになるのであります。これが一つ、それから今民間における財團法人研究所としては九十九ありますが、ここにおける研究者學者が今日みなやみをやつている。やみとは何であるか。自分の研究所ではなしに、ほかの仕事をやつておる。それではいけないのである。研究者の進むべきところの道、これを考えて、間違いないところの道を進ませなければいけないのである。日本がどこへいくのであるか。やみ商賣をやつて食つてさへおればよいのであるか。それではいけない。われわれ日本人はもつとすぐれた頭腦をもつておるのでありますから、この頭腦を發揮せしむるような方向へと進ませるような豫算であつてほしい。この點につきましてはまことにこの豫算面は貧弱であつて、うなずけないのであります。殊にもう一つ、最近電燈が消されて困つておる、これは電力の不足である。つまり石炭不足である。それであるならば、この石炭をいかに節約していかに有效に使うか、すなわち熱をいかに利用するかということについての、熱管理の問題であります。これは放つておけない問題である。今足もとに横たわつておる問題である。このことにつきまして、三千萬トン石炭を掘るということを目標にしておりますが、三千萬トンつたところで、これをまずく使えば、つまり不經濟に使えば、實質においては二千五百萬トンあるいは二千萬トンの價値しか生じないのである。これをもつと有效に使うという方向に力を入れなければいけない。ドイツにおきましては、戰前において、この熱管理に力を入れましたために、三割五分の節約を得ておるのであります。この熱管理に二千萬圓經費を投じましたならば、まず最低一割の節約を得ることは、必ず易々たるものであると私は考える。この意味におきまして、大藏當局におきましては、各省より出てくるところの豫算、その豫算面をお考えになつておるのかしりませんけれども、私ども學者立場、專門の技術者立場から考えますときには、大藏當局におきましては、ただ机の上で金のつじつまを合わせるというふうにおやりになつておるのではないかと私は見えるのであります。どうしても豫算面におきましては、即刻熱管理及び學會報告の援助、そういうことに力を入れていただかなければ、日本が起ち上るということに對しての未來牲がさらにないのである。私はこの意味におきまして、どうしても次の豫算においては、各省より出てきましたところの豫算に對して、大藏當局は深甚の考慮拂つて、そうして豫算編成をなされるかどうか、この御決心を承つて、私は結論を申し上げたいと考えるのであります。どうかこの考えを深く銘記されまして、大藏當局におきましては、來るべき豫算については、十分なる愼重な態度をもつて處理せられることを希望いたしまして、この豫算には全面的に、やむを得ないと考えまして、私の討論を終ることにいたしたいと思います。
  4. 川島金次

  5. 苫米地英俊

    苫米地(英)委員 今度國會提出されました追加豫算は、この前に提出されました第一號より第八號まで、また特第一及び第三までの追加豫算編成せられたときに豫見せられなかつたような項目が何もない。その後に突發事項が起り、緊急必要が起つて追加豫算を組んだという形跡がないのであります。ただ何かの事情もしくは何かの制約でこの少額追加豫算を引離して出しておるのではないかというような印象を與えることは、まことに遺憾のことに存ずる次第であります。また、各項目にわたつて見ましても、産業の振興であるとか、民生の安定というような積極面施策がほとんど盛られておらないのみならず、各種の國民運動というものに名をかりまして、ここに官吏の給與不足充當というようなところをねらつたものがあるかのごとく多くの人に認められておる。これもまことに遺憾とするところであります。また、商工省分室設置に伴う經費その他に、現在の行政整理という行き方と逆行しておる點があり——政府説明によれば、行政整理行政合理化であつて人減らしではないというような説明でありますが、この前の豫算におきましても、今度におきましても、この行政整理に逆行しておるようないろいろな點が見られる點も、まことに遺憾とするところであります。北海道に所在の官署に在勤する政府職員に對する石炭手當の支給はまことに感謝するところでありますが、同時に私ども考えるのは、同じ廳内において机を竝べておるところの人々、それが、政府職員であるがため石炭手當をもらうことができ、他は公務員であるがゆえにこれをもらうことができないというようなことが起つたとすれば、まことに遺憾なことであります。もちろんこの追加豫算地方費をもつて負擔すべき公務員石炭手當を計上することはできないことはもちろんであり、また政府はこの點についていろいろ御配慮くださつておることと存じますが、この豫算通過とともに、地方費で賄わるべき公務員に對しても、同じような待遇を與えてくださるように御努力をお願いし、これを期待いたすものであります。臨時石炭鑛業管理法實施に必要な經費二千五百十六萬圓、これは、現在の段階におきましては、とうてい承認することのできないものであります。よつてこの項目はこれを削除して——小額の金でありますから、もし必要があるならば、その時に豫備費をもつて支出しても何らの支障を來さないと考えますので、自由黨といたしましては、この項目を削除して、この豫算を修正したいと存ずるのであります。以上のごとく、この豫算案は容易に承認いたしがたい點がありますけれども、また一方これの通過が遲れますと、各方面に及ぼす影響の重大なることも考えますので、臨時石炭國家管理法實施に必要な經費を除いた殘餘の豫算に對しては、贊意を表するものでございます。
  6. 川島金次

  7. 押川定秋

    押川委員 ただいま御討論になりました社會黨竝びに自由黨の御意見を承りまして、民主黨といたしましては、自由黨諸君石炭國家管理法實施に伴う準備の費用という點を除きましては、同一な意見をもつているのであります。政府におかれて豫算編成國民指導性に乏しいということや、また新施策に、將來日本あり方についての豫算という方面から考えまして、これらに計畫が現われていないということは、まつたく御同感であります。しかし飜つて考えてみますと、ただいまの追加豫算は本年度當初豫算に對する追加でありまして、當初豫算日本將來あり方について考えていられなかつたということは顯著な事實であります。從いまして明年の豫算にかかる意見を十分取入れられて、明年度豫算を御提出になるものであるという希望をもつておりますので、ただいまの御提出豫算につきましては、時局やむを得ない整理經費であると考えますがゆえに、全面的に贊成をいたします。
  8. 川島金次

  9. 今井耕

    今井委員 私は國民協同黨を代表いたしまして、本豫算にやむを得ざるものとして贊成をいたすものであります。しかし自由黨の方から御意見がありましたように、商工省分室設置に伴う必要な經費でありますが、この三千二百萬圓にこだわるというわけではありませんが、今日行政整理ということが最もわれわれが眞劍考えなければならぬ事柄であります。從いまして、いろいろ説明がありましたが、官公職員の人員の増加ということについては、よほど愼重考慮をしてもらわなければならぬと考えるのであります。  次に農業災害補償法施行に伴い必要な經費七千九百萬圓でありますが、これにつきましては、農林常任委員會附帶決議を尊重されまして、農民の負擔が増加しないように、特別の考慮を拂われることを切に希望いたす次第であります。  なお農業協同組合法施行に伴いまして、これの指導育成に必要な經費、あるいは農業會の解散に關する指導監督經費、これが三百五十九萬圓、これは一府縣にしますとわずか七萬圓程度しかないわけである。これは何としてもこんな少額では、ほんとにわれわれの考えているような民主的な協同組合が生れるという經費としては、あまりにも少額である。少くともこれは二、三千萬圓ぐらいは計上すべきであると考えるのであります。これにつきましては特別に豫備費等から出していただきまして、この育成指導に遺憾のないように、特に善處されんことを希望いたす次第であります。  以上三點を特に希望いたしまして贊成をいたす次第であります。
  10. 川島金次

    川島委員長代理 以上をもつて討論は終局いたしました。  まず自由黨苫米地委員より提出せられました修正案につき採決をいたします。右修正案贊成諸君は御起立を願います。     〔贊成者起立
  11. 川島金次

    川島委員長代理 起立少數。よつて修正案は否決せられました。  次に原案について採決をいたします。兩案贊成諸君は御起立を願います。     〔贊成者起立
  12. 川島金次

    川島委員長代理 起立多數。よつて兩案はいずれも原案の通り可決いたしました。  本日はこれにて散會いたします。    午前十一時五十六分散會    —————————————  〔参照〕  昭和二十二年度一般會計豫算補正(第九號)  昭和二十二年度一般特別會計豫算補正(特第四號)  に關する報告書  〔都合により最終號附録に掲載〕